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101.  から騒ぎ
ケネス・ブラナーが監督として絶好調だった時代の勢いが感じられますね。豪華キャストみんなが楽しそうに演じていたのが印象的で、それを軽妙なコメディとしてまとめあげた演出にも感心。安心して楽しめる一本。
8点(2004-03-08 17:52:29)
102.  リアリティ・バイツ
「ジェネレーションX」って言葉自体、もはや「死語」ですよね? 僕は、当時学生でOB訪問のあとに恵比寿ガーデンシネマで見て、冒頭のウィノナのthe answer is...I don't know..っていうのに、妙に共感した覚えがあります。「現実は痛い」っていうのがテーマの話だったはずなのに、最後は結局ラブコメ化してしまうのも、この世代というか時代を象徴してて、僕はけっこう好きです。ある時代を切り取った作品として評価してます。結局、この作品あたりを境にウィノナのキャリアが低迷しちゃったのが残念。
8点(2004-03-08 16:54:45)
103.  エデンより彼方に 《ネタバレ》 
50年代風メロドラマを徹底してリメイクした映画なのかなあと思って見ていたんですが、その上に、同性愛に人種差別という現代的なテーマをしっかりと絡めてくるところに、監督と役者の力量を感じました。クラシックで模範的な「奥様」だったキャシーが、レイモンドと出会って、少しずつ、深みのある「人間」へと変わっていく様がお見事。その変化を許容できない50年代の白人中産階級社会の閉塞感もしっかりと描かれてました。「めぐりあう時間たち」と正反対の役柄も見事に演じきったジュリアン・ムーアに拍手。
8点(2004-03-07 13:42:51)
104.  ミスティック・リバー
俳優の演技はパーフェクトだと思いますが、後味は最悪に近いですし、評価しにくい作品ですね。ボストンの決して裕福ではない労働者の小さなコミュニティの閉塞感と、そのなかで生きる家族の信頼と不信を描いた映画として見れば、完成度の高い作品。好みの問題なのかもしれませんが、僕はけっこう好きでした。
8点(2004-03-04 11:27:21)
105.  マッドマックス:フュリオサ 《ネタバレ》 
フュリオサがなかなか子役からアニャ・テイラー・ジョイにならない。序盤が思った以上に長く、ドラマ重視の展開にやや戸惑う。物語の主軸はディメンタスへの復讐劇であり、やたらとしゃべりまくるディメンタスのキャラもあって、途中まではディメンタスが主役なのでは、と思ってしまうくらいだった。しかも、イモータン・ジョーの「妻」候補として砦に連れていかれたフュリオサが、いかに武闘派幹部になっていくかという話は端折ってる部分も多く、なんか知らないあいだにアニャ・テイラー・ジョイになって出世していた。グリーンランドの場所を唯一知っているフュリオサを、あっさりディメンタスが手放すのも違和感。なぜ、この少女を殺さずに手元においていたのか。このへんの話の整合性の弱さも気になる。  それでも、ディメンタスがガスタウンを牛耳って二大勢力の対決にフュリオサが巻き込まれていく中盤以降はこれぞマッドマックスという移動→アクション→移動のつるべ打ちでとにかく凄い。IMAX専用の撮影ではないということでしたが、普通はスピード感が落ちてしまう遠景からのアクション描写が斬新で、これはやっぱり大画面で見て大正解。空から、左右から、下からと攻撃されるウォータンクをめぐる目まぐるしい動きも、見事に整理されて「気持ちいい」レベルに。トラックやクレーン、さらに塔などの建築物がガラガラと崩れ去る場面も、遠景なのにスピード感も迫力も十分過ぎる。ジョージ・ミラーの冴え渡るアクション演出を堪能できます。  ただ、終盤いよいよディメンタスとイモータン・ジョーの全面戦争、そのなかでどうやって復讐を果たすのか、という場面でまたも肩透かし。「戦争」に興奮するなんて時代遅れだぞ、というメッセージなのかと思うほど。ディメンタスの大演説も今ひとつエモーションをかき立てられず、最後の顛末は現実離れしすぎ。あの実をあそこで使ってしまうということは、フュリオサはついに砦に自分の居場所を決めたのかな、と思った次のカットでは、砦からの脱出へ、という流れもチグハグ。  総じて大満足ではあったのですが、シンプルだった『マッドマックス2』や『怒りのデスロード』と比べると、場面の変化が多く、登場人物の行動原理が掴みづらい。そして、過去作が120分以内におさまってきたのに、今作ではついに約2時間半の長尺に。『マッドマックス』シリーズの一作として見るといろいろ気になってしまうのでありました。
[映画館(字幕)] 7点(2024-06-04 18:19:14)
106.  関心領域 《ネタバレ》 
ホロコーストの隣で営まれるホームドラマ。幸福な家族の日常がどれだけ異常の上に成り立っているのか。これは他人事じゃないぞ、おまえの事だぞと突きつけてくる。日常と異常の重ね方があまりに独創的で、忘れられないシーンが多すぎる。妻が羽織る毛皮のコート、そのポケットに入っていたもの、「カナダ」、「大量虐殺」のための打ち合わせ、不気味な音と重なるオートバイの音、河を流れてくるもの、異動の知らせと妻の反応、地下道の先にあるもの、あらゆる場所がガス室に見えてくること。考えれば考えるほど、正気を保てなくなるような描写のオンパレードで、あとで関連本やサイトで「トリビア」を知って、さらに青ざめている。正直なところ、1回限りのアイデアの勝利だとは思うけれど、ジョナサン・グレイザー監督はその1回の「賭け」に勝ったと思う。  ただ、これだけの作品でも日本公開が遅くなったことはやっぱり不満である。カンヌで話題になってから公開まで実に1年。そのあいだに日本の良心的な観客は、各所で背景など調べて鑑賞に臨んだだろう。少なくとも、(良心的かどうかは別として)私はそうだった。ナチ・ドイツ関連の本やホロコースト関連本も読んだし、専門家の解説も(ネタバレは避けつつ)見聞きしてからの鑑賞だった。おかげで見ながらだいたいのことは理解できた。でも、それでよかったのかどうか、今では疑問だ。少なくとも、それは監督の意図ではないだろう。これだけ独創的な映画の「経験」を、単なる事前学習の「答え合わせ」にしてしまった。これは予備知識なしで、「何だ?これは!?」と半分怒りながら見る映画だったのではないか。その「怒り」は、作品にも向けられるだろうが、結局は、この世界で何があったのか/何が起きているのかを知らないまま、のうのうと生きてきた自分自身への「怒り」になるのだろう。私は、怒る機会を逸してしまった。それはきっと、この映画がもっていた本当の可能性を半減させてしまったことでもあるように思う。
[映画館(字幕)] 7点(2024-05-30 20:23:17)
107.  哀れなるものたち 《ネタバレ》 
前作『女王陛下のお気に入り』で免疫はできていたと思ってたヨルゴス・ランティモス作品ですが、今回もまた独特すぎるワンダーランド。前作では3人の女優の演技合戦が見物でしたが、今回はエマ・ストーンの独壇場。冒頭の赤ちゃん演技から終盤の難しい語彙も駆使する知力あふれる姿まで、やりたい放題という感じでした。それが女性の解放と自立という本作の主題とも見事に合致していて、彼女の表情や動き、ファッションを見ているだけでなんとも爽快な気分になるから不思議です。とくに、後半に彼女が「知」にめざめるきっかけが、「男」ではなく、本とシスターフッドであったというところは、とてもよかった。マッド・サイエンティストともいえるゴッドウィンがそれでも彼女と関係を築けていたのも、科学という知への執着があったから。また、船で出会った黒人青年とベラの会話もよかった。彼が現実の矛盾を象徴する「格差」をベラに見せつけることで、本作が単に性欲や性愛の話ではなく、私たちも生きる「世界」についての寓話であることが明らかになります。セックスのシーンばかりが話題になるのですが、実は「知」というものの可能性を描いたものとして受け取りました。  とはいえ個人的にはちょっと難点も。まあ、キャラの位置づけ上しょうがないのですが、マーク・ラファロ演じるダンカンにはもう少し奥行きがあってもよかったのではないかとは思いました。ダンカンと終盤に登場するある男性はまさに「有害な男性性」の象徴なのでしょうが、彼自身のなかにある理のようなものを浮き彫りにしてはじめて、「有害な男性性」と向き合えるのではないのかな、とも思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2024-01-29 21:46:04)
108.  バービー(2023) 《ネタバレ》 
まず、グレタ・ガーウィグの映画は好きだけど、これだけエンタメに振れた作品って初めてでは。その点ちょっと不安だったのだけれど、名作映画オマージュやら時事ネタも散りばめながら、まず楽しかったのが何より。冒頭の「2001年」オープニングはいいのだけれど、その後のバービーランドの描写が個人的にはなかなかキツく、この調子で2時間は辛い、と思い始めたあたりからグングン面白くなりました。まさに「現代フェミニズム入門」的な内容で、近年の「男社会」批判(有毒な男性性、ホモソーシャル、マンズプレイニングなど)がうまくエンタメに組み込まれていて、とくに「フォトショップの使い方を聞く」「ゴッドファーザーを語らせる」あたりは本当にツボでした。ただ、ケンがたくさんいるわりには人種以外のバリエーションにとぼしく(アランという別人格がいるから、というのもあるだろうけど)、ここに弱者男性キャラみたいなのが話に絡んでくると、ますます現代フェミニズム入門映画としてふさわしかったかもしれない。  残念だったのはマテル社のほうの描き方。幹部が全員男性なのは皮肉なのでしょうが、あまりそれが物語上活かされていない。ウィル・フェレルのコメディセンスは本作と相性よさそうなのに、どうにも空振り気味。結局最後までイマイチ何がやりたかったのかわかりにくく、テーマ的にもちょっとノイズでした。あと、もうひとつ。「家父長制が・・・」とか「女性の現実を知って目覚める」みたいな部分を解説調の台詞で説明しちゃった箇所もちょっと残念。第二波フェミニズム時代のコンシャスネス・ライジングであり、今風に言えば「Woke」なんだろうけど、見てればわかるから、あの解説台詞はちょっと観客を冷ましちゃったのではないかな。あそこだけ「フェミニズム入門」講義のようでした。  そして、ラストのラスト。バービーが行った場所があそこだったというのは、ちょっと深すぎて考え込んでしまったよ。一人の人間として生きればいい風だったラストで、やっぱり「女性であること」がそこでズシリと重く響く。スッキリというよりも、「え・・」っとしばらく困惑しながらエンドクレジットを見ることに。そのあとジワジワとその意味みたいなものが浮かんできたけど、まだ腑に落ちたわけではない。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-12-10 15:30:53)(良:1票)
109.  ザリガニの鳴くところ 《ネタバレ》 
冒頭のノースカロライナの湿地帯の映像を見ただけで、あ、これは佳作だと直感でわかる丁寧な絵の作り方。取り残された主人公と自然界との関係性だけでも十分に魅力的な話だけれど、本作はそこにミステリとラブストーリーを重ねることで物語の「引き」も強く、最後までほとんど飽きることなく浸ることができました。とくに、序盤に少女と父親の緊張感ある関係を丁寧に見せた事で、終盤の事件の真相にぐぐっと感情移入できる作りも秀逸。このあたりは原作の出来のよさでもありそう。よくできたシナリオに、説得力のある自然の映像と美しく成長する「自然児」を演じたデイジー・エドガー=ジョーンズの好演が加わって、「映画」としても一級品となったと思います。頼れる弁護士役のデヴィッド・ストラザーンもよかった。一方で、少々不可解だったのは、被害者となるチェイスの変化。恵まれた環境にあるからこその孤独な人物像にはそれなりに説得力があったのに、急に暴力男に豹変するあたりの描写はもう少し丁寧さがほしかったところ。たぶん、父親に仕事を任されて自分を認めてもらったあたりが心変わりのタイミングだったんでしょうが、その描写もないので、カイアに男を見る目がないみたいな感じになってしまうのはちょっと残念でした。あと、ザリガニって鳴くんですかね。ザリガニのフライは南部料理の定番で、きっとあちこちにいるんでしょうが、「Where the Crawdads Sing」のイメージが最後までよくわからなかった・・・。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-08-15 21:39:59)(良:1票)
110.  プロミシング・ヤング・ウーマン 《ネタバレ》 
「#Me Too」時代にふさわしいリベンジもので、主人公キャシーが対峙しているのは、友人を襲った人びとやそれを許した周囲の人たちだけでなく、「襲われたほうにも落ち度があった」という性暴力を正当化する語りとそれを支えるセクシズムそのものなのでしょう。「プロミシング・ヤング・マン」を守るためにその男と同等以上の能力も可能性もあったはずの女性の尊厳や生命がないがしろにされる社会のあり方への「復讐」として、彼女は毎晩バーへ行き、泥酔したふりをする彼女に言い寄る男たちに「成敗」を下す。彼女の「復讐」方法は、映画の雰囲気から予想していた「仕事人」風バイオレンスではなく、社会的・心理的に追い詰めるタイプだったのは少し意外だけど、その分リアルで男性観客に居心地の悪い思いをさせるには十分。なかでも、冒頭に声をかけるのが3人組のなかで唯一「ロッカールーム・トーク」に気乗りしないタイプの男だったり、それなりに誠実そうなライアンの「過去」だったり、わかりやすい「クソ男」でない風に見えるやつこそが「クソ」という描き方は秀逸で、男性としてはその分救いがないというか逃げ場がない。フェミニスト気取りの男を含め、どんな男もこの問題からは逃れられないぞという、なかなかキツいメッセージに思える。  そんな本作なので、いちおうは「復讐」は完遂されるものの、それもまた爽快感や解放からはほど遠い。ライアンの「正体」だったり、ラストへの流れはなんとなく予想できてしまう。パリス・ヒルトン、ブリトニー・スピアーズなどの「お騒がせ」系女性歌手曲の使用もテーマには合致しているけれど、少ししつこいというかベタにベタを重ねるようで演出過剰な気がするのも確か。とはいえ今、作られるべくして作られた作品。色褪せないうちに鑑賞することをお薦めします。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-06-11 08:28:21)
111.  NOPE/ノープ 《ネタバレ》 
やっぱり映画館で見たかった。飛行物体の浮遊感とチラチラ写りこんでくる表現が秀逸で、視線を巧みに入れ替えながらその「恐怖」を増幅させる演出はやっぱり劇場でこそ、だったように思う。「西部劇」「怪物映画」という伝統的な映画のフレームを、主人公の味方とされる「動物」視線で再構築するモチーフはとても面白いし、映像として撮ること=映画そのものについての映画である、というのも最後まで見ればよくわかる。そう考えれば、チンパンジーにせよ馬たちにせよ、映画産業のなかの「動物」の扱いには、ジョーダン・ピール監督らしい「人種」への問題意識も反映されているのだろう。  ただ、自分としては『アス』の哀しくも恐ろしいラストが大好きだったので、「西部劇」+「怪物映画」として最後スッキリ格好よく終わってしまったのはちょっと物足りなかったか。また、そのスッキリ感が、監督のシネフィルっぽい原初的問題意識とかみ合っていないような気もして、せっかくの「怪物映画」としての終盤のスペクタクルをどっぷりと楽しめないのも残念。それも、映画館など没入感がある環境で見ていたらまた違ったのかもしれない。いずれにせよ、新作が待ち遠しく、そして必ずこちらの期待を超えてくる一作を持ってくる監督であることは間違いない。次も楽しみ。
[インターネット(字幕)] 7点(2023-06-10 17:40:55)(良:1票)
112.  ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー 《ネタバレ》 
ストーリー的にはどういう映画になるかはおおよそ予想できていたし、だいたいその通りの作品でした。個人的には、その結果よりも「どうやって」の部分に興味があって久々の映画館へ。上映時間の長さは、王女シュリの成長を丁寧に描いた結果であるとは思うのですが、正直なところ前作のティ・チャラとキルモンガーの因縁と同じ重さを、シュリとネイモアの対決に負わせるのは酷というものでしょう。キルモンガーが背負ってきた大都市ゲットーの黒人の不平等の問題に対して、ネイモアが背負っているのは別名「ククルカン」(マヤの神)が示すようにヨーロッパ人によって滅ぼされた先住民族の物語。  冒頭に嫌な感じでフランスの高官が出てきますが、本作ではフランスの植民地であっていまもその遺産に苦しむハイチが鍵になり、ハイチ独立の英雄と同じ「トゥーサン」という人物の登場が示すように、所々でこれに関連するテーマが匂わされています。この名前は、本作がアフリカと北・南米を蹂躙してきたヨーロッパ人による帝国主義・植民地主義による苦難の歴史から起ち上がってきた人びと(アフリカ人、奴隷・元奴隷たち、そしてアメリカ大陸の先住民族)の物語であることを象徴しています。そして、チャドウィック・ボーズマン=ティ・チャラという軸を失ったため、本作は苦難を生きる/生きた人びとの群像劇的な物語として再構成されました。その結果、話のスケールが広がり、ライアン・クーグラー監督をはじめ製作者のねらいも明確になったと思います。こんな「ポストコロニアルな世界」を娯楽映画、それもヒーロー映画でみることになるとは、と妙に胸が熱くなりました。  ただ、前作からみてもスケールが広がった本作の文脈を日本の観客が読み取ることは難しいと思いますし、抽象度も高いので物語の推進力としても、それを背負うキャラの魅力としても、前作と比べると見劣りしてしまうのはたしかです。そもそも今日的な文化帝国主義の代表ディズニーのマーベル娯楽大作で、植民地主義批判をやってしまうことの矛盾も感じることも。そして、前作以上に女性の活躍が気持ちよく、シュリの「自由奔放な妹」キャラからの成長を長い時間をかけて描いた本作であればこそ、ラストのアレは必要だったのか・・・私には疑問でした。また、せっかく大きくなったスケールが、三作目でまた家族の血縁の物語に戻ってしまうのでは、どっかのSF大作と一緒じゃないかー。次もあるっぽいですが、そうならないことを切に願っています。
[映画館(字幕)] 7点(2022-11-21 19:18:08)(良:1票)
113.  スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム 《ネタバレ》 
もしかしたら自分世代(40代)だと、熱狂的なファンでもなくても公開されるとなんとなく見てきた映画シリーズの筆頭が『スパイダーマン』なのかも。『スターウォーズ』はたぶん思い入れあり過ぎるし、MCUは逆に仕事やら家庭やらで忙しくてフォローする余裕がない。そんな絶妙な距離感でつきあってきたシリーズも、まさかの過去作主人公&ヴィラン勢揃いとなれば、それはそれで懐かしくもあり、気分もあがって楽しい時間でした。とくに、打ち切りによってあまりに中途半端なままだった『アメイジング・スパイダーマン』のピーターにちゃんと「救済」のチャンスを与えていたのにはウルッと来たし、ヴィランそれぞれにピーターらしい結末を用意したのも、ほかでもない「心優しい」本シリーズらしさを感じました。一方で、あまりに苦い結末は、いよいよトム・ホランド版ピーターも、親友や初恋の人と違う人生を歩みはじめ、「子ども」から「大人」への階段を上ったのだと思えば、丁寧に彼の成長を追ってきた本シリーズらしい納得のまとめ方だったと思います。それぞれの登場人物たちにちゃんとそれぞれの結末を用意し、映画会社の都合で作られてきた3つのシリーズをまとめてしまうという力技には、ただただ感心しました。一つだけ、2代目グリーン・ゴブリン(ハリー・オズボーン)をどういうふうに絡ませるのかな、というのが気になっていたのですが、ピーターの台詞で触れるだけで終わってしまったのは、ちょっと物足りなく感じました。もしかしたら問題続きのジェームズ・フランコを起用できない事情もあったのかなーなどと邪推をしてしまって若干物語に集中できなかったのは少し残念。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-04-29 20:01:02)
114.  ザ・ハント(2020) 《ネタバレ》 
あんまり褒めたくないけど、よくできてる不思議な映画。鑑賞中の感想はずっっと「感じ悪い〜」だった。登場人物ではなく、この映画の製作者に対して。脚本のデイモン・リンデロフは、最近だとHBOドラマ版『ウォッチメン』で人種問題を大胆に取り入れたことで知った人。しかし、白人至上主義を叩いた『ウォッチメン』とは対象的に、この映画でカリカチュア化されるのは、リベラルのエリートたち。その人間的なクソっぷりは冒頭から炸裂し、トランプ支持者っぽい登場人物をユーモラスでグロい方法で殺戮する序盤は、もう何をどう考えればいいのやら、という感じだった。この映画の「イヤ〜」な感じの正体は、たぶん、リベラルっぽい人たちもトランプ支持者っぽい人たちも、その描き方が、メディア(とくに敵対する陣営)が描く相手のステレオタイプ的なイメージそのものであることだ。それぞれの「典型的なイメージ」を実体化して見せ、その人たちが殺し合う様を「コメディ」として見せてること自体が、たいへん気持ち悪く、感じ悪い。そのなかで一人超然とした立場にある主人公は、くだらない殺し合いを安全地帯から眺めている「私たち」とも重なる。それは、昨年の大統領選挙の前後、面白おかしくアメリカの政治混乱を眺めていた「私たち」にも重なる。  ただ、その構図の気持ち悪さに耐えられなくなってきたとき、ラスボスであるヒラリー・スワンクが語る「真相」にはちょっと唸った。なるほど、これは単なる感じ悪いメディア・イメージの戦争であるだけでなく、そのメディア・イメージがいかに現実を作ってしまうのかを描いた一作だったのだ。見終わった後、誰かと語りたくなるものの、語る内容によってはその人との関係にも影響がありそうな点も含めて「劇薬注意」という作品でした。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-09-16 14:29:01)
115.  TENET テネット 《ネタバレ》 
たぶん少なくともあと1回見るけど、やっぱりレビューは初見時の気持ちが大事ということで、1回見た状態&しかもNetflixでの鑑賞という条件でのレビューです。まず、難解という前評判を聞きすぎたこともあるのか、最初の印象は「確かにわからないが、これはわからなくても面白いやつ」だということ。なんか順行と逆行が入り乱れたシーンとかでなんじゃこりゃーってなりながら、飛行機もカーチェイスもラストのドカンも、その時間のごちゃごちゃをうまくサスペンスに昇華してる。「わからないけど楽しい!」っていう気持ちって、映画を見る上で結構大切なんじゃないかな、と思った次第。思えば小さい時に初めてみたスターウォーズだってガンダムだって、実はストーリーとかよくわかってなかったけど、「楽しい、かっこいい」という気持ちで見てたのを思い出した。そういう原初的経験を何十年も映画を見た後に体験できるとは思わなかった。難をいえば、やっぱり映画館で観たかったか。それなりに大画面と音響の環境で見たけど、そりゃー映画館にはかなわない。一方の難点は、ノーランの映画にはいつも同じことを言ってると思うけど、アクション自体の面白さ不足。絵としての奇抜さと新鮮さはあっても、アクションとしてのワクワクがやっぱり足りない。まあでも、個人的には完全にNGだった『ダンケルク』の後に、これだけ「面白いやつ」を繰り出してくるあたり、やっぱり侮れないし、これからもノーランの新作には注目し続けることになりそう。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-06-27 18:24:10)
116.  ノマドランド 《ネタバレ》 
2020年を代表する作品なのは間違いない。ほぼ全編出づっぱりのフランシス・マクドーマンドは、『ファーゴ』とも『スリービルボード』とも異なる、静かだけれど、人付き合いがよく、でも何かが欠落している人物像を見事に演じきった。ホンモノのノマド生活者のキャストもみな個性的で魅力的だ。クロエ・ジャオ監督は市井の貧しい高齢者たちをとてもチャーミングに、そしてそこにある人間としての芯の強さをしっかりと表現している。そして、素晴らしいアメリカの「ハートランド」の風景。砂漠も荒れ地も山も海岸もどれも本当に美しい。前は年に1度は行っていたアメリカの風景だが、コロナ禍ですっかりご無沙汰になったせいもあって、その見事な映像を見るだけで涙が出そうになる。きっと、コロナ禍で移動がままならないなか、この映画の風景描写に救われたアメリカ人も多かったのではないかな。だからこそのオスカー獲得は見事。地味とかなんとか言われるが、今年この映画が受賞したことには、「アジア系女性初」みたいな意味ではなく、もっともっと大きな意味がある。  ただ同時に、釈然としない思いがあるのも確かだ。それはやっぱりこの映画が描く現代資本主義への切り込みの弱さだ。もちろん、ケン・ローチになる必要はない。ラストの「消えた町」の風景に批判精神がないわけではない。それでも、たとえば、アメリカの医療保険をめぐる問題について少し知識があれば、この高齢者の生活がちょっとした病気や怪我であっというまに成り立たなくなる儚いものであることはすぐにわかる。だから大病後にノマド生活をするスワンキーのエピソードが現実から遊離した「夢物語」であることに、何か大事なことをごまかされているような気持ちになる。ノマドのコミュニティの人種構成も気になる。先住民らしい女性はいるけれど、そうした人種的な重層性を排したところに成立した世界に「フロンティア」を見出す視線も、すんなりと受け入れ難いものがある。寓話であることはわかっている。あえて踏み込まないミニマルな世界観こそがクロエ・ジャオ監督の真骨頂なのかもしれないが、それは、いろんなものの歪みが噴出した2021年に、僕が見たかったものとは少し違っていたようだ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2021-05-06 00:22:56)(良:1票)
117.  ミュンヘン 《ネタバレ》 
スピルバーグらしいヒューマニズムに満ちた暗殺スリラー映画。たぶん、このテーマだったら今ならもっと冷酷に徹したアクション・スリラーに仕上げることもできただろう。しかしスピルバーグは、登場人物たちの人間味を優先させ、それゆえに壊れていく主人公にフォーカスした悲劇に仕立て上げた。白眉だといえるのは、主人公たちが宿屋で敵と一夜を共にするシーン。ラジオの音楽で一触即発と思われた状況を救ったのは、なんとアメリカの黒人歌手アル・グリーンの「Let's Stay Together」! 1970年代という時代状況も考慮しながら、敵同士が意見を交わす本作でももっとも重要なシーンでの思わぬユーモアに少し心があたたかくなる。もちろん、だからこそその後に訪れる悲劇に打ちのめされるわけですが、このあたりのヒューマンな「甘さ」はスピルバーグならではです。その後の展開は復讐劇よりも、イスラエルという国家への疑念から、それまでかろうじて主人公を支えてきたものがガラガラと崩れ去る様のほうに力点が置かれるのですが、結局は「ユダヤ人」でも「パレスチナ人」でもなく「人間」としての描き方にこだわったスピルバーグらしい結末であったと思います。『シンドラーのリスト』や『プライベート・ライアン』と比べれば、物語的なバランスの悪さ、ヒューマニズムと復讐劇の噛み合わせの悪さは気になりますが、ある意味、21世紀になっても臆面なくこんな映画を撮れるスピルバーグの唯一無二さはむしろ貴重です。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-04-25 23:12:25)
118.  メッセージ 《ネタバレ》 
テッド・チャンの「あなたの人生の物語」は既読。あれを映画に!?ってどうなるのやらと思ったけど、予想以上にそのエッセンスは活かされていたように思います。元々は「言語」が世界を作り出すという20世紀後半の現代思想の流れ(言語論的転回)があって、それをSFとして見事に表現した作品だったと思うのですが、「言語を学ぶことは新しい世界の見方を獲得すること」を主人公のパーソナルな体験として映像として見せることには、それなりに成功していたのではないでしょうか。とはいえ、このテーマをブロックバスター映画でやる、というのには、やはり無理があった部分も否めません。たとえば、ヘプタポッドの言語解析の革新性が伝わりにくい。この映画だと漢字のような「表意文字」として解析しておしまい、な感じもあったのですが、その言語自体が、時空間の解釈を変えてしまう「コミュニケーション手段」だということがちょっとわからない。だから、ラストの怒濤の展開の唐突感が増してしまう。そして、もう一つの蛇足が、あまりに単純化された国際政治的要素。原作にはない話ですが、物語のサスペンスを盛り上げるためにも、この国際政治の要素も加えたこと自体はよい判断だと思います。ただ、米国の言語学者だけが「正しい理解」をしていて、「誤解」した各国が暴走しちゃう・・という流れはちょっといただけない。この点では、もっと他国の側にも、ヘプタポッドの言語の本質に迫る発見をさせるような流れがあったほうが、最終的に「アガる」展開にもできたんじゃないかなと思ってしまいます。まあ、『ブレードランナー』同様、どうやっても失敗する未来しか見えないプロジェクトだったとは思うので、そこにチャレンジしたヴィルヌーヴ監督にはリスペクト!ですし、『ブレラン』と同じく、ちゃんと一つの魅力的な作品として仕上げてくる力量には素直に感心しています。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-02-20 10:14:36)(良:1票)
119.  黒い司法 0%からの奇跡 《ネタバレ》 
アメリカで本当にあった黒人死刑囚の冤罪を明らかにした弁護士が主人公。日本公開がコロナ危機と被って興行的には苦しんだと思うけど、黒人が経験する構造的な差別を描くという意味で時宜にも適った佳作でした。描き方は主人公であり原作者のブライアン・スティーブンソンの生真面目さを反映したような真面目な正統派。演出的にも脚本上もひねった表現はあまり見られず、アメリカの人種主義とそれと闘う人々の姿をまっすぐに描く。その愚直さは現代劇としてはやや工夫不足な気もするけれど、黒人の命がいかに軽んじられてきたのかが問いなおされている現在には、その真っ直ぐさこそが希望に見えるから不思議だ。それから本作の出色のシーンは、実は本筋にあたるジョニー・D事件裁判の法廷劇ではなく、ジョニー・Dの仲間の死刑囚の死刑執行シーン。いまや世界中で見直しが進む死刑(それも準公開型の電気椅子方式であることに驚く)の執行の様を丁寧に描き、そこに見える死刑制度の暴力と人間の尊厳が交差するシーンは本当にすばらしかった。本筋のほうが、あまり意外性がなく、予定調和にも見える演出・内容だったなか、このシーンはすさまじく重い澱のようなものを心に残してくれた。マイケル・B・ジョーダン、ジェイミー・フォックス、ブリー・ラーソンの主要キャストはいつもながらに素晴らしい演技だったけど、強烈な印象を残すティム・ブレイク・ネルソンの怪演も印象的。アメリカの黒人問題に関心を持った方には素直におすすめしたい良作です。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-08-24 16:08:57)
120.  インセプション 《ネタバレ》 
ノーラン映画は基本的に見るようにしてるのですが、なぜか未見のままだった本作。やっと見れました。ノーラン映画オールスター+ディカプリオな豪華キャスト、とくに渡辺謙がちゃんと全編登場する主要キャラで出てきたことにもちょい驚く(ビギンズ程度の日本市場向け顔見せだと思ってた)。映画のほうは予想通り、序盤は何がどうなのかもわからず当惑、でもチーム戦になった後半は楽しめました。チームの個性的な面々、とくにトム・ハーディ、ジョセフ・ゴードン・レヴィット、そしてエレン・ペイジがそれぞれ颯爽と演じていて、入れ込み過ぎなディカプリオをうまく中和してくれました。『インターステラ—』にも引き継がれる時空間の相対性を活かしたプロットが効果的で、そこに防衛的な潜在意識との戦いとか、へんに擬人化された「夢=意識の世界」が面白い。最初戸惑ったけど、夢世界のルールは思ったよりシンプルで後半の4重世界を舞台にしたサスペンスと、ラストに一気にたたみこむカタルシスは見事でした。ただ、難点は、やはりノーランらしいアクション演出の乏しさ。基本的にサスペンス部分を謎解きよりもアクションで引っ張る構成なのに、アクション自体の魅力が弱い。ぐるぐる回転するホテル内の格闘も映像的なインパクト以外の工夫に乏しく、あまりワクワクしない。その点での演出をもうひとがんばりしてほしかった。
[インターネット(字幕)] 7点(2020-08-22 17:08:09)
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