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Sgt.Angelさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 109
性別 男性
自己紹介 2008 7/22みんなのシネマレビュー登録

ぼちぼち復活。

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1.  第9地区 《ネタバレ》 
なんと志の高く誠実な作品。「観客に不快感を与えようとした」という“エビ”エイリアンの造形。そしてグロテスクな彼らに感情移入させる演出。社会派SFからバディムービー、そしてアクションになだれ込む怒濤の展開。そして決して安易でない清々しくも切ない決着のつけ方。最高。 差別に反対する者ではなく、かと言って積極的な差別主義者でもない、極めて平均的な人間ヴィカス。華のない顔ながらも憎めないこの男がいい。上司の婿養子ってのもなんだか切ないね。ドキュメンタリータッチでアパルトヘイトなど社会問題を背景にブラックなネタを仕込みながらも、そこは主張せず、ヴィカスとクリストファー親子の相互理解、友情をブレずに中心に据えているからこそ切ない。自分の暮らしていた世界に裏切られ、剥がれ落ちた体と心を通して見えるものが変わってくる。が、とは言え変わりきれないのが人間。協力してくれたクリスをぶん殴るわ見捨てるわの扱い。あくまで利害の一致でしかない。しかし、だから「俺の気が変わる前に行け!」に泣き、クリストファーたちを助けてやりたい一心のあの素晴らしいパワードスーツでのやけくそ大暴れに燃える。 司令船が地上に浮き上がるシーン、パワードスーツのミサイル掃射シーン、母船へと帰還する司令船を見上げるヴィカスの表情と涙、ラストショット、せっせと鉄くずの花を作るエイリアンにもまたまた泣く。胸を締め付けられる。泣いてばっかだな。いや、溢れんばかりのセンス・オブ・ワンダー、血湧き肉躍る魂、ロマンスまでもが炸裂しているのだから仕方がない!大傑作!
[映画館(字幕)] 10点(2010-04-10 22:50:14)(良:7票)
2.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
クリント・イーストウッドは変わった。『許されざる者』以降複雑な映画を撮り続けてきた。完成度は高いがその作品をどう受け止めるべきなのか、正直戸惑うことがあった。『ミスティック・リバー』では人の脆さ、暗さを描き、『ミリオンダラー・ベイビー』では死についてのテーマを観客に投げかけ、自分にも問いかけているようだった。それは冷たく突き放したような、この辛い現実も受け入れるしかない、ともとれる描き方だった。しかしここに来て彼はまた変わった。『チェンジリング』で人間の強さを示し、確かな希望を見せた。そしてこの『グラン・トリノ』。彼の近年の作品に見られなかったユーモアがあり、優しさ、希望に溢れる作品になった。ウォルト・コワルスキーという偏屈なキャラ、これをイーストウッド自身が演じたことで大きな意味が加えられた。ウォルトはタオとの交流で心を開きはじめるが、タオやスーの為にした事が結果的に彼らを傷付けてしまう。ここでウォルトは報復を決意したように見える。タオもそれを願った。彼はタオを置いて単身ギャングのもとへ行く。この展開は彼の作品群にもよく見られるものだ。しかしイーストウッドは変わった。これが彼の西部劇時代ならギャングを倒して夕陽に向かって去っていったかもしれない。『許されざる者』であれば皆殺しにしてやるせない空虚感、重苦しさを抱えて映画は終わったかもしれない。しかしイーストウッドは変わったのだ。ウォルトは自分の命と引き換えにタオやスーに何も背負わせなかった。「グラン・トリノは、俺の魂はタオに受け取ってもらえた。戦争や人殺しなんてものを次の世代に背負わせはしない。そんなものは俺の代で全て終わらせる。時代は変わったんだ。俺は席を譲るよ。」ウォルトが、かつてのハリー・キャラハンが、夕陽のガンマンが、イーストウッド自身がそう言っているように思えた。彼は自分が体現してきた象徴的なキャラクターを自らの手で葬り、そして次の世代へ、未来へ自分の魂と希望を託した。時代は変わったのだから。イーストウッド、こんなことされたら僕は泣くしかないよ。『グラン・トリノ』は俳優クリント・イーストウッドの終着点にふさわしい最高傑作、いや、それ以上に最高の“イーストウッド映画”だ!  《追記》でも『グラン・トリノ』が本当に最高なのは、こんな堅苦しい言葉を笑い飛ばしそうな程の親しさ、妙な軽さなのだな、と。改めて思った。
[試写会(字幕)] 10点(2009-04-07 00:23:44)(良:8票)
3.  スター・ウォーズ 《ネタバレ》 
おそらく、生まれて初めて観た映画だと思います。私が映画ファンになるきっかけとなった大切な作品です。まあ、観賞後4、5年間は映画ファンではなく、ただのスター・ウォーズオタクでしたが。もう何回観たかなぁ。ルーカスがただ好きなように面白いものだけを突っ込んで撮った作品ですが、ホント楽しいです。単純なプロットで、魅力あるキャラクターやライトセーバー、ドロイド、今観ても見劣りする事の無い映像。それだけで十分。この作品のおかげで今の映画好きの自分がいます。何年経ってもスター・ウォーズは最高の映画です!
[ビデオ(字幕)] 10点(2008-07-27 00:30:44)(良:1票)
4.  ワイルドバンチ 《ネタバレ》 
こいつらはどこまでも汚くて、卑しくて、差別的で、殺しばっかりやってる。おまけに西部劇的な誇りすらも持ち合わせていない。一時の感情だけで動いてるし、女子供だって銃撃戦に巻き込んで盾にして使っちゃうし、そいつらが死のうが生きようが知ったこっちゃねぇ。こんなやつらが近所にいたら迷惑千万!(当たり前だ!)。しょーもない奴らなんです。だけど、だからこそ、等身大でリアルな人物として見えてくる。仲間と酒を食らってゲラゲラ笑う姿を見ると、どうしようもなく最低な奴らなのに楽しそうで、かっこよくて、いいなぁなんて思う。そいつらが一時の感情かもしれないが、仲間のために戦いを挑みにいく。といっても勝算なんて皆無、死ぬと分かっていても突き進む姿には憧れてしまう。そして、最後の銃撃戦。銃撃戦と言うよりはほとんど戦争に近い。この直前の「間」がまたいい。ボスを射殺したあとの静寂、ボーグナイン師匠演じるダッチの不適な笑い。あの場から逃げようと思えば、逃げられたかもしれないが、あえて死ににいく。これ以降も銃撃戦は撮られてきたが、これほど熱を帯びた銃撃戦を越える事はできない。結局は自業自得で、人を殺しまくって勝手に死んでいった奴らなのに美しさがある。彼らとともに死ぬ事もできず、一人取り残されてしまったデーク。大した見せ場もなく、何もできずに終わったカッコ悪く廃れたオヤジも、昔の仲間の死を乗り越え、また新たに歩き出す姿は微笑ましく、かっこ良いのだ。  男たちが散る瞬間、最後の最後に放つ輝きが切なく美しい最高の映画!
[DVD(字幕)] 10点(2008-07-26 16:38:19)
5.  ミッドナイト・ラン 《ネタバレ》 
生涯ベスト映画の1本です。いつか一度でいいから映画館で観たい。愛すべきキャラクターばかりで微笑ましく、全てのシーンが堪らなく好き。そしてこれはグローディン、デ・ニーロの最高傑作です。 本当に地味なロードムービーなんです。しかし、根は優しいのに不器用なジャックとデュークの二人の会話、笑顔が愛おしい。ラストの空港のシーン。何度も何度も見返したシーン。罵り合い、裏切り、逃亡してきた旅が終わろうとする時、ようやく終わったと安堵しながらも、寂しさがにじみ出る。お互い悪い人間ではないし、この旅で優しい一面を見てきたもんだから、嫌いになんてなれない。 “See you in the next life .”旅の中で捨て台詞のように連呼されていた言葉が、ラストで深く心に残る。もう会わないであろう二人の言葉が寂しい。別れを告げたのに、振り返るジャック。しかしデュークはいない。寂しさをグッと押し殺したジャックの表情。清々しくジャックが口にする“Looks like I’m walkin’.”寂しさと後悔のない清々しさのこもったこの言葉。素晴らしすぎるラストシーンです。 旅を終えたジャックが歩き出す姿、80年代の軽快な音楽がかっこ良く、彼らの友情もまた切なくてかっこいい。自分の中でこのエンディングを越えるものはありません。 映画を観ることの一番の価値を教えてくれた本当に大切な作品です。
[DVD(字幕)] 10点(2008-07-24 15:00:22)(良:2票)
6.  デビルズ・リジェクト~マーダー・ライド・ショー2~ 《ネタバレ》 
10点にしてもいいくらい、す~ごい作品。前作が吹っ飛んじゃうくらいの素晴らしい出来。 法律、倫理、世のあらゆる規則を無視した、まさに狂人と狂人の対決。 前作から(一応)地続きなので、前半はもう変態一家の不条理な暴力にひたすら怒りが募るばかり。誰かこの鬼畜どもをぶちのめしてくれ~、と心の中で叫んでいた。 ワイデル保安官が遂に一線を越え、一家の母親を刺し殺すシーンには来た来た来たぁ!と燃え始め、一家をとっ捕まえ拷問にかけるシーンでは拍手喝采!保安官のやっていることはもはや一家と同じなのに、強烈なカタルシスを感じた。しかし一転してあのラスト。終始死んでしまえ~、とばかり思っていたあの変態一家に何故か寂しさ、哀れみ、彼らの家族愛すらも感じてしまうあのラスト。そしてアメリカン・ニュー・シネマよろしく警官隊に蜂の巣にされる。またエンドロールの延々と続く道を流れていく空撮も素晴らしく、狂った人間たちが自業自得で破滅していっただけのはずなのに、どこか崇高な風格すらも漂わせ、危うく涙がこぼれそうになった。まさかあんな奴らから‘人間’について考えさせられることになるとは。 あらゆる方面から感情を揺さぶられ、前作は何だったんだ!?(あれも好きだけど)ぐらいに思わせる大傑作。
[DVD(字幕)] 9点(2010-03-28 01:04:33)(良:2票)
7.  コララインとボタンの魔女 《ネタバレ》 
いやいやコレは本当に素晴らしい!『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』も十分に素晴らしく気味悪く、可愛らしく、美しい世界観だったのに、こちらはさらに磨きがかかってる!コララインたちのまさに生きているかのような滑らかな動き、あの灰色で退屈であるはずの現実世界を見ているだけでも何故か感動できてしまう。 そして何より扉の向こうの極彩色の世界。気味悪くて怖くて危ない世界・・・なのにどうしようもなく魅惑的な世界。もぉう楽しくてしょうがない。コララインもワイビーも猫も可愛いんです、ホント。極端にデフォルメされた顔つきなのにあの実在感。ほぼ一軒の家のみで展開される圧倒的な世界観にワクワクドキドキしっぱなしで。 物語はこっちと向こうの世界を行き来して最後は両親を取り戻すために戦う、という何ともシンプルな展開にも関わらず、アドベンチャーゲームをプレイしているかのような興奮、恐怖に溢れている。囚われた幽霊たちの目玉を、‘アイテム’を使いこなして手に入れると、そのステージが消えていくという単純ながら楽しいゲーム感。たった一軒の家だけなのに! 原初的な物語、展開、そして何よりも原初的なストップモーション・アニメという低予算技法でここまでの感動・・・いや~最高に楽しかったです。
[映画館(字幕)] 9点(2010-03-06 15:19:12)(良:1票)
8.  3時10分、決断のとき 《ネタバレ》 
オリジナル『決断の3時10分』は未見(TSUTAYAになくて...)ですが、西部劇は大好き。言うほど観てるわけじゃないのですが。アメリカでは興行的にも批評的にも最近の西部劇としては異例の大ヒットとなった本作、決して一般ウケするものではない西部劇で大成功をおさめたのは、きちんと“今この作品をリメイクする事の意義”を考えて作られた作品だからではないだろうか。今や全くと言っていいほど受け入れられなくなった西部劇。 そこで本作のオリジナルの大ファンだというジェームズ・マンゴールド監督は現代に通ずる、求められているテーマを盛り込んできた。 まず、娯楽要素満載の派手なアクション。冒頭からガトリングガンをかまし、早撃ちもあり、アパッチ族に襲われ、中国人労働者がつくるトンネルを駆け抜ける。この辺監督自身もかなり楽しんでる気がする。 何よりも、劇中饒舌なまでに語られていくウェイドとダン、そしてその息子ウィリアムの関係。 息子に何を伝えられるのかを模索し、己に誇れるものを求めるダンと、その姿を見届けようとする息子の父子の物語であり、強盗団のボスながらも、誰一人として信頼しないウェイドが初めて信頼に足る男と向き合ってみる物語なのだ。 また面白いのは、ウェイドが聖書に取り憑かれながらも無神論者、という所。何事に対しても心から楽しんでる様子ではなく、どこか『暴力脱獄』のルークのような自由奔放な性格を思わせる。 終盤、ダンはウェイドを護送する必要性をどんどん失っていく。牧場には雨が降り始め、200ドルもらって逃げ帰る事も出来たし、ウェイドはユマの刑務所から2度も脱走を遂げていると言う。しかしダンはもはや完全に吹っ切れている。例えここで死ぬ事になろうとも息子が誇れる父の姿を伝えよう、何より自分の誇りを取り戻そう、と。 その姿にウィリアムもウェイドも心を動かされていく。 ラスト、ウェイドはダンよりも遥かに付き合いが長く従順なチャーリーたちを撃つ。彼にとっては、ダンこそが自分と初めて向き合った人間だからだ。 まだまだ西部劇も捨てたモンじゃねぇぞ!と思わせてくれる傑作でした。
[映画館(字幕)] 9点(2009-08-08 22:36:10)(良:3票)
9.  ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー 《ネタバレ》 
これはスゴイ。2009年まだまだ年初めながら傑作と言っても過言ではないでしょう。『パンズラビリンス』を作って一皮剥けた様子のギレルモ・デル・トロ。前作では大いにやり残したことがあったように思うのですが、今作では彼のビジュアル・センスは遺憾なく発揮されています。すでにキャラ紹介が済んでいるおかげで、ヘルボーイ、エイブ、リズらの人物の掘下げに集中できているうえ、インパクト不足だった前作に比べ、冒頭の木偶人形での語り、ヌアラ王子の殺陣、“歯の妖精”襲撃シーンでデル・トロのファンタジックながらもどこか生々しい圧倒的な世界観に引きずり込まれる。 物語はストレートなものながら、その核を担っているのはヘルボーイ、エイブの人並みに純粋な恋という点が他とはひと味違う所。 身内の者を除いて人間には例外なく嫌われ、自身もその容姿に悩んでいる。しかし中身はもの凄く人間的で恋人の悩みを相談し(愚痴り?)合い、酒を飲んでカラオケを歌いまくる。この笑ってしまう場面でヘルボーイらの人間味が大いに感じられる。 前作では人間側を代表してマイヤースがいたものの、今回はほぼ完全に人間側の視点を排して、いくら忌み嫌われ世界が滅びようとも、最愛の人がそばにいればそれで構わない、といったヘルボーイたちの愛情がブレずに見事に描けているように思う。 アクションシーンも大満足。ヘルボーイvsウィンクのガチンコ対決や“森の神”エレメンタルの大怪獣シーン、ラストのゴールデン・アーミー、ヌアダ王子との決戦。どれも文句なしに素晴らしい。 それに今作は死の天使やゴールデン・アーミーの造形などのサブキャラクター達にもデル・トロらしいこだわりが見られて良かった。堅物のようで意外と武闘派のヨハン・クラウスが実にいいキャラ! クリーチャーの造形・描き方としては一つの完成形とも言える大傑作。 映画館で観られて本当に良かった。
[映画館(字幕)] 9点(2009-01-22 01:07:06)(良:1票)
10.  イースタン・プロミス 《ネタバレ》 
完璧に無駄を削ぎ落とし、物語も実にストレートで分かりやすい。しかしどのシーンをとってもクローネンバーグの異彩、力強さがある。銃は一度も使わず、全てナイフや素手でバイオレンスが展開する。銃を撃った時のような爽快感は微塵もなく、あくまで生身のピリピリとした痛みがある。このピリピリ感はバイオレンスシーンだけでなく全編に漂い、危険なのに魅力を感じてしまう世界観が確立されている。そしてこの作品のクライマックスは勿論サウナでの格闘シーン。丸腰の状態で襲われる恐怖、体を切られた時の痛み、全てが生々しく感じられる。本物の暴力、痛みを見せつけられた気がする。 ギャング映画としても画の美しさ、プロットの出来は素晴らしいものだが、それに加えてニコライ、キリルらの心の闇から生じるドラマも上手い。全ての登場人物が抱えている自己矛盾は今作の暴力描写なみにリアル。ニコライは正義と悪の間で揺れ、言葉の端々、さりげない仕草から優しさが垣間見える。キリルは威張り散らしながらも気弱で、子供への接し方からは十分な優しさが見える。ギャングのボスであるセミオンもまた身内と外部で穏やかさと残酷さが同居している。 皆残酷であり、優しくもある。犯罪映画でここまで強く“人間らしさ”を感じさせてくれるものはそうはないだろう。 バイオレンス映画としても、人間ドラマとしても最高峰の作品だと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2008-12-31 23:09:08)(良:1票)
11.  バック・トゥ・ザ・フューチャー 《ネタバレ》 
なかなか思い出深い、というか懐かしさのよみがえる作品です。まだ私が本格的に映画鑑賞をする前、テレビで放送している映画をちょこちょこ観ていた時期、この映画がしょっちゅう放送していて何度観ても面白くて、大好きな作品でした。 それから他にも色んな映画を観るようになってからは、この作品をちょっとなめていました。結構なひねくれ者でしたので、誰もが知っている話題作を誉めるのは何か気に食わなかったのでしょう。 でも、改めて観てみると相変わらず面白いんです。全く色褪せない最高のエンターテインメント作品であると再確認しました。 今思い返してみると、なんでこんなの好きだったんだろう、と思う作品もありますが、こういった作品を観ると案外小さい時の感性ってのは捨てたもんじゃないな、なんて事も思ってしまいました。  ホントいい映画ですよ。
[DVD(字幕)] 9点(2008-11-03 13:57:12)
12.  砂漠の流れ者 《ネタバレ》 
バイオレンス映画を撮り続けたサム・ペキンパー。血なまぐささ、汚らしさなど一切感じさせないこの作品が、彼にとっては自身のベストフィルムなんだとか。 不思議なものです。バイオレンス映画の代名詞とも謳われた彼が、最も好きな映画はこんなにも大人しい映画だと言うのです。 この作品にはペキンパーの作品に通ずる生と死というテーマがあります。初めはちょっと神経を尖らせながらも、娼婦や変態神父、一風変わった人々と関わりゆったりと成長していくケーブル・ホーグ。他のペキンパー作品ではコメディらしいシーンは全くといっていい程無かったが、今作では遺憾なく彼のセンスが発揮されているように思う。いい歳した大人たちがふざけて騒いでいる姿がホントに楽しそうでいい。 変な人たちと暮らし、他人から信頼を得て、自分も他人を信頼していく。人として成長した彼は、裏切られた奴らに情けをかけられるようになった。彼の死は悲しいけれど、心から信頼した人々に囲まれて幸せだったと思う。そして最後は嘘くさい神父だったジョシュアが、やたらと真実味のこもった言葉で格好良く締める。 こんなのんびりとしていて優しいドラマの中、男の格好良さ、ステラ・スティーブンスの美しさをこの上なく引き出せてしまうペキンパーはやはり素晴らしい監督なのだと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2008-10-08 00:34:03)
13.  暴力脱獄 《ネタバレ》 
ポール・ニューマンの最高傑作。捕まっても捕まっても脱獄を続けるルーク。いつでも不適な笑みを浮かべるルーク。神を否定して自らの力だけで行動するルーク。何をしててもカッコイイルーク。母親を想ってバンジョーを弾きながら、うっすらと涙を流すシーンが凄く切なくてこっちまで泣けてくる。死ぬその瞬間、最期の最期の瞬間まで笑っていた彼との思い出は、やっぱり彼の笑顔で満たされている。彼も苦しかっただろうけど、最期を笑顔で終えることが出来るのは羨ましいことだ。彼があんなにもかっこよくて、憧れてしまうような存在なのは戦争を経験し英雄となった過去、この世の地獄を見てきた過去があり、母親も失い、確か劇中でも彼が言っていたように「することがなかった」のだろうが、あの囚人たちの中でも最も辛い思いをしてきたであろう彼が最も明るく、強く、常に周りに笑顔を見せ、その姿から希望が得られるからだ。 全く神を信じていない彼があらゆる人に希望を与える神のような存在になったのだ。だからこそCOOL HAND LUKEには永遠の格好良さがあるのだ。 ポール・ニューマン、ありがとう。あなたの笑顔は忘れません。
[DVD(字幕)] 9点(2008-09-30 00:32:36)
14.  ロンゲスト・ヤード(1974) 《ネタバレ》 
いや~素晴らしいですこの作品。少々険悪なムードで迎えられても、ちょっとふざけあって笑ってしまえば、何となく仲良くなれる。こんな雰囲気がとても微笑ましくて刑務所だってのにうらやましく思える。憎い看守どもをブチのめそうぜ!とその為だけにフットボールを始め、慣れない練習を重ねていく。この過程だけでもずっと観ていたいくらい楽しい。個性的なキャラ(刑務所だからね)をコミカル、かつ丁寧でじっくりとリアルに描いている。そして何よりも看守チームVS囚人チームの試合。最近だとこういった試合のシーンって一つだけ大きな見せ場を作って終わらせてしまう事がありますが、この試合は特別な演出なしにリアルに長~く撮っています。でもこれがおもしろい。私はアメフトのルールはあまり知りませんが、臨場感がこれ以上ない程出ているんです。本気で試合をしているようにしか見えないんです。ボグダンスキーをノシあげる時の楽しさといったら・・・最高のシーンです。円陣を組んでクルーが「もう一度 同じ手だ」と言うとみんな笑いが止まらない。クルーだって言いながら笑ってる。凄く楽しそうで一緒になって笑ってしまう。ああいうシーン堪らなく好きです。 所長の警告を無視して試合には勝ったけれど、いつか釈放してくれそうな気もする。そうでなくとも、看守も囚人も全く後悔はない。この後はどちらもいい関係で暮らしていけそう。正々堂々と正面からぶつかりあった仲なのだから。だから、看守長はクルーを信じて撃てなかった。敵同士が戦い、認め合って生まれる友情の素晴らしさ。最高です。 刑務所という最悪の場所が羨ましくも思えます。
[DVD(字幕)] 9点(2008-09-24 00:32:15)
15.  遠い空の向こうに 《ネタバレ》 
いいですねぇ。ストーリーはよくあるものですが、いいアメリカ映画の典型というか、特別凝った演出等が無くとも全体を通して丁寧なつくりなので、安心して観ていられます。音楽もなかなか良く、星空を見上げる美しいシーンや俳優たちの表情にマッチしています。クリス・クーパーは今では少し珍しくなった(気がする)昔気質な父親を上手く演じていたと思います。役柄的にも、演技においても彼のベストな役かもしれません。それから、ロケット打ち上げのラスト。分かっていても胸が熱くなりますね!シメの8mmも涙腺直撃でした。「遠い空の向こうに」めずらしくうまい邦題もGood!爽やかで、気持ちのいい素晴らしい映画です。
[DVD(字幕)] 9点(2008-07-27 20:27:29)
16.  ヒート 《ネタバレ》 
この作品はなによりもデ・ニーロ演じるニール。この作品の男たちは皆カッコイイが、彼は別格。私が観てきた映画の中でも最も好きなキャラクターでもあります。ヴァル・キルマーも今作で主演二人に引けを取らないリアルな演技をしている。そして、そこらの映画とは一線を画すマイケル・マン監督の本物の演出。冒頭の現金輸送者襲撃シーンに始まり、映画史に残る市街銃撃戦、実に良く作られている。構え、リロード、まさにプロフェッショナル。強盗ばっかりしてるそんな奴も個人の付き合いの間では、たたずまいやしゃべり方から優しさが見えるのがこれまたカッコイイ。大切な人と穏やかに幸せに暮らす事だって出来るのに、それを捨ててまで決着を付けようとするニールとヴィンセントが愚かで美しい。二人の間には正義や悪、法律といったものは無く、自分の意地とプライドの為に戦う。最大の敵でありながら、最高の理解者となった二人の姿が切なく、そんな彼らの姿に憧れてしまう。
[DVD(字幕)] 9点(2008-07-26 22:00:57)(良:1票)
17.  ファンダンゴ 《ネタバレ》 
このサイトでレビューを拝見してからずっと観たいと思っていた作品です。500円前後でDVDが売られていたので即購入。こんなにイイ映画がこの程度で売られているとは・・・。まあ、おかげで得しているんですけどね。内容はケビン・コスナー主演、青春ロードムービーとしか知らず、予告編、スチール写真すらも一切目にした事がありませんでしたが、これは素晴らしい。監督デビュー作ながら、迫力のあるスカイダイビング、花火大会と戦争のオーバーラップシーン、これがなかなかうまい!ただ、何よりもこの映画のイイところは、主人公たち4人(5人?)たちにあります。みんなホントに楽しそうに笑っているんです。屈託なく(特にスカイダイビング以降のフィル!)、心から楽しんでいる。しかし、このあと起こる事を考えると切なくてたまりません。ほぼ同時期にデ・ニーロの「ディア・ハンター」を観たんですが・・・合わせて観るとかなりキツイものがあります。
[DVD(字幕)] 9点(2008-07-25 21:31:48)(良:2票)
18.  シャーロック・ホームズ(2009) 《ネタバレ》 
アクションパートは勿論、推理パートまでもオマケになってしまう程ホームズとワトソンのキャラ押し映画。 劇中の推理はほとんどが”時間を巻き戻して解説”パターンで、じっくり謎を解いていく楽しみもないし、そこまで感心したもんではなく、2人のキャラでこの映画の楽しみを7割近く占めちゃってる気がしないでもないんだが、これがとっても魅力的なのでしょうがない。ダウニーJr.のやさぐれキャラはそれだけでも2時間観ていられるほどやっぱりイイ。とにかくイイ。ジュード・ロウもダウニーJr.としっかり張り合っているし、レストレード警部もいい顔している。 また19世紀ロンドンの再現も素晴らしく、おかげでたっぷり世界観に浸れる。 ややセンスばかりが先行しがちなガイ・リッチー演出も今回は抑えめで、古き良き世界観の中にアクセントとして効いている。イメージで予告した後、実践というアクションも格好いい。ただこのアクションは何らかの形でクライマックスに生かせたんじゃないだろうか?殴り合いのシーンじゃなくとも、アイツが動いたらこれを使って、と思ったら予想外の動きに出て・・・みたいにしても面白かったと思う。まぁ同じ手を使っては飽きてしまうから控えたんだろうけれど。 ガイ・リッチー作品の中では作品全体と演出の調子が非常に整った、バランスのいい出来で、弱点はありながらも、物語、美術、世界観、演出、全て「シャーロック・ホームズ(とワトソン)」という人物を楽しもう!といった趣で、その点映画としては勝ちの作品で、しっかり楽しませてもらいました。
[映画館(字幕)] 8点(2010-03-15 02:09:50)
19.  レイチェルの結婚 《ネタバレ》 
期待以上の良作だった。家族ならではの息苦しさ、残酷さ、温かさが見事に描かれている。トラブルメーカーの妹キム、しっかり者の姉レイチェル、頼りない父、離れてはいるけれどやはり一番頼れる母。彼らには皆違った側面がある。母親とか父親とか以前に一人の人間だから。 家族は、どんな時でも自分を受け入れてくれるもの。それに間違いは無いしそうであるべきだと思う。しかしそうは言っても一人の人間の集まりなのだから、受けてしまった傷はそう簡単には治らない。お互いその事には触れないように、忘れようとしているわけじゃないが、そんな話をしても自分がさらに傷つき苦しむ事になる。 だからあの一家の心の傷の原因であり、傷そのものであるキムを姉も父も自分の傷に触るように、悪化させないようにそっと接する。 キム自身も自分がどのような存在であるかはよく分かっている。それでも普通に接する事が出来なくて衝突してしまう。そこで初めて辛く当たってくる姉の心情を聞き、その場を取り繕ってばかりの父の脆さも知った。皆同じように苦しみを抱えていたのだ。 改めて自分が一家に残した傷を見てしまい、自分を受け入れてくれる人を、傷を少しでも癒してくれる人を求めて母のもとへいく。しかし一番強い人だと思っていた母でさえ大きな傷を負っていた。 誰にも癒してもらえず、心身ともにボロボロになってキムがたどり着いたのはやはり家族のもとだった。 その傷を治す事は出来ないかもしれない。でも家族がいれば少しは乗り越えていけるかもしれない。辛い事も多いけれど、それが出来るのは家族だけなのだ。例え一人の人間の集まりで、脆くて扱い難いものでも、家族はそう簡単に壊れるものではないから。良くも悪くも、家族はいつでもつながっているのだから。 ラスト、家族の温かさを知ったキムが施設に戻っていく姿には素晴らしい清々しさを感じた。
[映画館(字幕)] 8点(2009-06-29 17:22:34)
20.  ウォッチメン 《ネタバレ》 
映画化されるにあたり、原作は史上最高のコミック!との評判を聞いたので、読んでみたら見事にハマった。アメコミに全く触れていない僕でさえのめり込んでしまうような素晴らしい完成度だった。で、この映画版はというと、期待以上ではないけれどこれ以上は望めない、といった出来。 前評判でも散々聞いていたが、ディランの「時代は変わる」に合わせたオープニングには心底感動した。涙が出るかと思った。ヴェイトを除くキャラクター達の造形や細部にまで到る美術にも文句のつけどころがない。アクション、バイオレンスも『300』を監督したザック・スナイダーだけあって今回も良し。 しかしやはり製作費、上映時間ともに足りていないんだなぁという場面が見受けられた。原作の完成度が高過ぎて削る箇所が殆ど見当たらないせいだ。原作との最大の変更箇所であるラストのくだりもこれが原因なのだろう。僕もあの血みどろの惨状は映像で見てみたかった(こう言うと不謹慎だが)。予算があればザック・スナイダーのことだからあの惨状も怪物も見事に再現してくれただろう。ラストの変更によってヴェイトのキャラ造形も変えざるを得なかったのだと思う。あの少しダークなキャラであればキャスティングもマシュー・グードでも悪くなかったかと。 それ以外はコミックに含まれている資料などもうまいことまとめてはいたが、長年映像化不可能と言われてきたわけを実感した。 僕の場合原作を読み込んでから映画に臨んだため、人物の背景を勝手に補完しながら観ることができ、163分の長尺も全く退屈することがなかったが、その分映画単品としての評価があまり出来なかった。反省の意をこめてまっさらな状態でもう2回ほど観てみよう。このトンでもない再現度のおかげで、原作を読んでいながら原作と切り離して観れるかもわからないが。 真の評価はDVDに収録されるという3時間半のCrazy Ultimate Freaky Edition(すごいタイトルだ)で下さないといけないのかもしれない。
[映画館(字幕)] 8点(2009-03-29 22:02:10)
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