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タケノコさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 575
性別 男性
年齢 50歳
自己紹介 管理人さま、レビュアーのみなさま、いつもお世話になっております。

タケノコと申します。

みなさまのレビューをとても楽しみにしています。
( まるで映画のように、感動し、笑い、ときに泣きます )

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201.  美しい星 《ネタバレ》 
今までの映画もある意味では宇宙人ばかりでしたが、とうとうホントに宇宙人ですか (笑) でも設定はブッ飛んでいますが、人間の描写に限って着目すればいつもの吉田大八作品でした。それは普通の人が、何かのキッカケによってダークサイドに堕ちていく、その怖さと滑稽さ。その堕ちた者の "壊れっぷり" こそ、監督が執着してきた部分であり、過去の作品群の系譜からすれば、今回の「宇宙人の大杉さん」は予想できたような到達点にも思えます。視点を変えれば、監督好みのキャラクター作りのためにSFという設定だけを拝借したもの、と考えます。宇宙人から見た地球として、気候の温暖化や環境の悪化などを提起しつつも、深堀りはしていない。従って環境問題を議論する映画ではないし、そこに対してはあまり本気ではない気がします。だから、僕らはこの美しい星のために何ができるのか? とかムキにならず熱くならずに、風刺の効いたコメディのつもりで楽しむのが吉と思いました。
[DVD(邦画)] 7点(2019-09-19 22:07:44)
202.  新幹線大爆破(1975) 《ネタバレ》 
題名がネタバレ全開な映画をいくつか知っているが、、これはその逆。何て噓つきな題名だ (笑) 高倉健さん演じる爆破犯一味。多種多様な乗客たち、爆破予告に振り回される国鉄側、そして犯人を追う刑事たち。クロスカッティングを効果的に織り交ぜながら進行する人間たちのドラマは、とても観応えありました。しかし、肝心の疾走する新幹線にスピード感が感じられないのは、当時の撮影技術ゆえに致し方無いか。そういった意味では、現在の撮影技術によるリメイク版を観てみたい、と思わせる映画ではありました。 (高倉健さんの代わりを誰にするかは難航するだろうが) 新幹線だけではなく、オートバイなど多彩な乗り物によるアクションも見どころ。ヘリコプター、翔んで埼玉、にはニヤリ。
[DVD(邦画)] 7点(2019-09-16 14:34:54)
203.  Sweet Rain 死神の精度 《ネタバレ》 
原作は未読です。空の上を延々と続く長い道を行く、死神 (金城武) と黒い犬。このシュールな世界観はわりと好き。個別ではエピソード1、3はよかったですが、ヤクザ編がダメでした。なんか安っぽいと言うか、迫力がない、怖くない。北野映画とか、やっぱり凄いんだな、と改めて思いました。雨がモチーフですが、このストーリーに絶対に必要? と言われるとそうでもなくて。降り続く長い雨、そして最後にあっと驚く展開が待っています、という狙いは理解できます。でも最後にようやく晴れ間がのぞくことはバレバレなので (笑) 、そこまでの解放感はなかったかな。
[DVD(邦画)] 5点(2019-08-30 12:18:29)
204.  あん 《ネタバレ》 
木々を揺らす風、踏切の音、鳥の囀り、耳元で囁く声。そして、"あん" が煮立つ音。その音はどれも心地よく、目をとじていても、すぅっと心の中に入ってきます。これはとても "音" にこだわった映画だと感じました。まるで目の不自由な方でもその情景が浮かぶほどに。樹木希林さん演じる徳江を店から追い払ったどら春のオーナーは、はっきり言ってこの映画の悪役です。確かに、誰にでも自分の人生と守るべき生活はある。なのになぜこれほど嫌悪感を感じるのか? それは彼女に "罪の意識" がないからです。どら息子 (甥っ子だったか?) を店にひっぱり込んで千太郎の真心を踏みにじるあたり、彼女に罪の意識というものは微塵も存在しません。千太郎には "罪の意識" がありました。何かに苦しむ人を救えなかったり、保身の為に見て見ぬふりをしたことに、罪の意識や自責の念が強い人ほど彼の涙に共感して泣けるでしょう。僕らが差別や偏見をもってきた人たちは、おいしいものや人の笑顔を好む、豊かな感性をもった普通の人々でした。救えなかったことが悲劇ではなく、それを忘却の彼方へと葬り去ることが本当の悲劇。我々は伝えていくことでしか償うことができないのだ。
[映画館(邦画)] 8点(2019-07-26 23:10:16)(良:2票)
205.  万引き家族 《ネタバレ》 
公開直後に映画館で観ました。カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞したことは確かに立派ですが、出来としては特に騒ぎ立てるほどのことはない、いつもの是枝監督の映画と思います。過去にもっと優れた作品はあるので、なんであえて本作が? っていう感じでした。本作、当時はいろんな意味で炎上気味でしたね。受賞の宣伝効果は大きな期待をさせたようで、「 思ったほど面白くなかった・・」 といった落胆の心境で酷評したくなる気持ちはわかります。しかし驚いたのは、万引きを助長するとか題名が教育上よくないとか、そういった意見が酷評の多数だったこと。私はこの内容が万引きを助長するとは思えません。むしろ、こういった悪いことは止めよう、と改心したくなる気がしますが? ちなみに、受賞について是枝監督は安倍政権の祝意を体よくお断りしたそうです。当然でしょうね、、万引きでようやく食いつなぐ貧困層のお話なんて、暗に政権 (政策) 批判をしているわけで。「盗んだのは、絆でした」にひねりをきかせて、あえて (体制側に向けた) 好戦的な題名にした試みは面白いと思います。でも、思っていた以上にその代償は高くつきました・・。良くも悪くも、人騒がせな映画であったことは間違いありません。
[映画館(邦画)] 6点(2019-07-19 21:44:40)
206.  団地 《ネタバレ》 
主要キャストの年代や昔ながらの団地といったロケーションから、昭和を感じさせる雰囲気は好きです。全く予想もしなかった大胆なSFであったり、ファンタジー色が強いことは嫌いではないし、むしろ面白い展開だと思う。でも本作の失敗はそこではないと思う。それは皮肉にも「団地」であること。根拠のない噂話しや切りたくても切れない複雑な人間関係、といったあたりが団地が舞台であることの面白みと思っています。だから、前半の展開はよかった。そして、このまま人間たちのドラマだけで行って欲しかった、という思いが強い。残念ながら、この展開だと本作が団地であることの必要性が特にはありません。題名「山下ヒナ子、無知との遭遇」あたりでよかったと思うが。
[DVD(邦画)] 5点(2019-07-07 16:16:59)(笑:1票)
207.  後妻業の女 《ネタバレ》 
原作は「後妻業」。でも本作は「後妻業の女」。女たち。汚い金と裏帳簿。津川雅彦。明らかに伊丹十三監督「マルサの女」をリスペクトしてますなあ (笑) サスペンスとしては凡庸でコメディにしてはそれほど笑えない。だから本作の見どころは、とにかく大竹しのぶという女優の圧巻につきる。対抗するは、尾野真千子という実力派女優。この二人が揃う場面は、あきらかに映画に緊張感が走ります。観応え十分の二人の舌戦 (演技合戦) が本作を救ったと言ってもいいでしょう。永瀬正敏はいかにも後妻業に恨みを持つ刺客といった雰囲気で、これは面白くなってきたと期待をしたのですが・・。それが予想に反して、単なる " ゆすり屋 " とは拍子抜けもいいところ。この役は別に彼でなくてもよかったんじゃない? 真実性のない遺言書という一枚の紙っぺら。結局は法制度がアマいから、それを利用して悪だくみする連中が後を絶たないわけで。表向きは後妻業という問題行為をコメディタッチに扱いながら、むしろ問題は法や制度自体なんじゃない? と痛烈に皮肉った映画のように感じました。
[ブルーレイ(邦画)] 6点(2019-07-07 16:08:09)
208.  ゴジラ キング・オブ・モンスターズ 《ネタバレ》 
とても楽しかったです。我らが日本のゴジラが時代を越えてハリウッドでも大いにリスペクトされていることは、やはり嬉しく思います。最初にキングギドラと対峙した場面は鳥肌が立ったし、最後に怪獣たちがゴジラにひれ伏す演出とかサイコーでしたね。 (題名は伊達じゃなかった!) そして、、モスラは可愛い! なぜかセクシーなんだよな~ 不思議 (笑) この迫力は大スクリーンで観て本当によかったと思う。でも気になった点もいくつか。それは大体、人間たちが関わる部分です。怪獣が暴れる場面 (映画の大部分ですが) 、展開もカットも忙しくて、誰が今どこにいるのか、人間たちの位置関係に全くついていけない。サリー・ホーキンスさんはいつ誰にやられて死んだの? そして特定の人間とその家族を延々とフォーカスするのは毎回どうかと? この状況下ですからね、、生と死と人生のドラマ、みんなありますよ。て言うか、仕事の現場に家庭のいざこざ持ち込みすぎでしょ、この人たちは。冷静に振り返ってみると、むしろ被害拡大させてた気がしますよ。
[映画館(字幕)] 7点(2019-06-17 22:55:48)
209.  七人の弔 《ネタバレ》 
本作の父親役の人選に当たり、役者に求められる資質 (条件) は意外と多くて、選考もそれなりに難航したように思う。 ①胡散臭い ②金持ちに見えない ③幸うす感がハンパない。 うん、全員完璧に満たしている。よくこれだけ集めたもんだ (笑) テーマはシリアスだが、カラオケのデュエットは馬鹿っぽくて不謹慎にも楽しいし、車椅子のじいさんの大失言 (ボケ) にダンカンがケリでツッコんだり、たけし軍団らしいコントが随所にあって、なかなか笑わせてくれます。そのお偉いさんたちが黒塗りの高級車で登場するところ、まるで北野映画のようでしたね。出来としては、親子一組の関係をそれぞれ回想で説明したり、テレビドラマ演出が多いように感じた。何より、子の虐待や臓器売買といった社会派でありながら、ちょっと茶化しすぎていてガツーンと心にくるものがなかったかな。自分たちのしていることに無責任・無頓着な大人たち、を皮肉った映画なんでしょうけど。
[DVD(邦画)] 5点(2019-05-04 20:53:17)
210.  サッドティー 《ネタバレ》 
冒頭、まさかの競歩に不意をつかれる。ぐるぐるグルグル、いつまでやるんかい、、と見ていたらまさか鳥たちにね、、(笑) この予想通りいかない感じ、いいね~。好きなんだよなあ。男たちの恋。ボンさんは妄想がすぎるし、早稲田は早稲田通りのように一方通行だし、朝日はまるで競歩のように止まることを知らない。彼らはストーカー予備軍の黒い三連星だが、今泉監督は優しいから、こいつらは少しピントがずれてるだけ、と言っている。次、女たち。夏 (イチゴ) は男を見る目なさすぎだし、夕子はやや浮気性な感じだし、棚子は売り物の洋服着て微笑んだりとか思わせぶりにもほどがある。人が誰を好きになろうが勝手だし本作は男女全ての恋に肯定的ですが、DV男だけは例外。彼の行為は肯定のしようがなく犯罪的行為なので、唯一マトモに顔を捉えられていませんね。本作のテーマである恋愛観とはそう、、例えるなら柏木のヘアスタイルのようなもの。誰がどこから見ても滑稽だけど、それおかしいよとは言いにくいもの。そもそも、本人の主観的なこだわりだから、他人に「それ間違ってる」とか言われる筋合いもないしね。
[DVD(邦画)] 8点(2019-05-02 20:28:40)(良:1票)
211.  犬神家の一族(1976) 《ネタバレ》 
原作でもある横溝正史氏の金田一探偵シリーズは、学生時代に本作を含めて数冊読んだことがあります。思い出せば、怪奇・陰惨・情念といったイメージがすぐに浮かぶのですが、映画版は少し違いました。物語は原作そのままですが、キャラの描き方はまるで喜劇調のように軽妙にアレンジされていて、驚くほどに爽やかな終わり方となっています。石坂浩二さんの金田一はシリーズの枠を越えて、邦画史に残るキャラクターだと思うし、加藤武 (よーしわかった!笑)・坂口良子 (可愛らしい!) といった脇役たちも愛すべき人物ばかり。でも実は悪役たちにこそ、市川崑監督の "人間愛" が行き届いています。戦争・財産・情念は人間を狂わすもの。彼らはその境遇が生んだ悲しき犯罪者であり、その描き方には「罪を憎んで人を憎まず」の心がありました。名曲「愛のバラード」。スケキヨマスクのビジュアルインパクト。金色の屏風や屋内の光と影を変幻自在に映し出す映像美。その他どこを切っても、まさに名作と呼ぶに相応しい。余談ですが、昨年の「角川映画祭」で幸運にも映画館で観る機会に恵まれました。念願の大スクリーンで彼らに再会できたことは、まさに映画ファン冥利に尽きるよろこびでした。
[映画館(邦画)] 9点(2019-04-25 21:41:04)(良:2票)
212.  横道世之介 《ネタバレ》 
87年といえば私は中学生。あの頃自分の頭の中は、期末テストの順位、部活でレギュラーを取ること、同じクラスの気になるあの娘のこと、そしてドラクエのレベルを上げることくらいであったか。あ、ジャンプの発売日っていうのもあったな。視野が本当にせまくて、世間はバブルで浮かれていたなどと当時は気が付きもしなかった。(というか、自分のことで精一杯で世間に目を向ける余裕などなかった、というべきか) 前置きが長くてスミマセン。この映画で秀逸だったのは、当時の雰囲気を完璧に再現していることは言うまでもありませんが、やはり、横道さんは誰なのか? を視聴者にアナウンスするタイミングでしょう。あえて冒頭でもエンディングでもない部分に持ってきたところに監督のセンスを感じます。ここを分岐点に以降は映画自体がセピア色した全く別の姿に変貌します。時折映し出される現在の光景もお見事で、彼のいない虚無感が恐ろしいほど蔓延していました。前2作も良作だった沖田修一監督、私の中ではこの監督の作品は品質保証マークが付きました。まだお若いし、この先が本当に楽しみな監督であります。
[DVD(邦画)] 8点(2019-04-25 21:25:31)(良:2票)
213.  家族ゲーム 《ネタバレ》 
横一列に並んだ食卓がとにかく印象的です。わざわざ車のシートに座って話したり、もちろん家庭教師とその生徒の構図もしかり、本作では誰もが向き合って対話をすることをしません。その全てがコミュニケーション不全のメタファーであり、家族の不協和音を視覚的に (そしてシニカルに) 描いた秀作であると思う。全盛期の森田監督の特徴としては、その特異な映像センスが挙げられます。張り詰めた空気、というのはなかなか映像にできないものだが、この監督はいとも簡単にそれを撮ってしまう。しかも初めから最後までそれが途切れないのは見事としか言いようがありません。BGM抜きに拘っていて、緊張感と静寂がよいバランスで持続しますが、最後はまるで嫌がらせのようにヘリコプターの音がうるさく響き渡ります。これが何かを示唆している、暗示しているといったご意見もあるが、ハッキリ言ってこれには意味などありはしません。でも平穏な昼下がりでありながら、何も起きないことがこれほど不安で胸騒ぎのするラストも珍しい。
[DVD(邦画)] 8点(2019-04-25 21:20:22)
214.  愛がなんだ 《ネタバレ》 
私が期待していた今泉監督の映画と違った、というのが率直な感想です。若々しさがなくなったと言うか・・。サッドティーや「パンとバス」あたりの、シュールで力の抜けた感じ (脱力感) が大好きだったのに! (でも最後までくぎ付けだったのは確かなので低い点はないです) 男の私から言わせてもらうと、マモルのような男は要注意です。彼、自分のことは延々と話すけど、テルコに心境を尋ねることが一度もなかったですね。これって彼女の "こころ" に興味ありませんよね。 (お使い、体、退屈しのぎの話相手、としか) でもナカハラが話した王様のエピソードのように、それはそれでテルコにも非があるわけで。恋愛観は人それぞれだし、語るとキリがないのでこのへんでやめておきますが。この監督の面白いのは、美男美女のカップルはほとんど成立しないところ。僕がマモルなら当然テルコですが、なぜかすみれさんっていう。過去の作品でもブサイク男が美女にモテまくっていたり、どうもアタリマエのカップルはお嫌いらしい。だから本作で監督の映画を初見の方にあえて言っておこう。普通の恋愛映画が観たいならそのへんの映画を当たれ、今泉だけは絶対に観るな! ただ、どんな愛でも必ず肯定してくれるから、愛がなんだか悩んでいたらきっと救われるぞ。 以上。
[映画館(邦画)] 7点(2019-04-22 16:08:26)(良:1票)
215.  アヒルと鴨のコインロッカー 《ネタバレ》 
伊坂幸太郎氏の原作を先に読みました。氏の作品の中では特にお気に入りの一冊です。映画化にあたり、本ならではの叙述トリックをどう料理するのか?と楽しみ反面、少々不安でしたが、これはうまいです。素晴らしいとしか言いようがない。基本、映画においては時系列で物語が進むべきで、回想シーンの多用はNGと思っています。でも本作の大半は実は回想ではなく、"ドルジ" を "河崎" と思い込まされた、椎名の解釈 (想像) なんですよね。山形人の存在により彼が事実を知った時、ペット店や動物園等々、彼の解釈はだまし絵に姿を変えドルジの回想 (真実) によって上書きされます。「椎名」の存在を最大限に活かした、映像による叙述トリック。監督の手腕に唸らされました。思えば彼はこの切ない物語の唯一の部外者 (巻き込まれ役) です。映画が初見の方は真実を何一つ知らず、いつの間にか彼と一緒に物語に巻き込まれ、そして一緒に騙される。すなわちこれは視聴者参加型の映画なのだと思う。映画が発信する言葉については言うまでもありません。"風に吹かれて" は、音楽という言葉の壁を越えて理解する普遍的な感動。アヒルと鴨は、見た目や肌の色ほど変わらないその本質。そして河崎とドルジと琴美の関係。そのどれもが、愛や友情に国境はない、といった大きなメッセージだと思います。
[DVD(邦画)] 8点(2019-04-09 22:09:55)(良:2票)
216.  スイートリトルライズ 《ネタバレ》 
長くて長くて眠りそうになった・・って時点で私の好きな映画ではなかった、ということだろう。いい歳したバカップル二組の退屈な痴話に最後まで付き合ったのは、美也子 (安藤サクラ) の存在。何かしでかしそうな危うい存在感に登場する度にどきどきしたよ。(いつから気づいていたのだろうか?) スイートリトルライズ、とか能天気なこと言っとる場合じゃない。不倫メロドラマには必ず犠牲者がいるということをどうか自覚してください。これならむしろ一時の不倫じゃあなくて、どちらも本気な恋で終わった方がよほど救われたよ。
[DVD(邦画)] 3点(2019-04-09 21:45:38)
217.  酒井家のしあわせ 《ネタバレ》 
ある複雑な人間関係の家族がいて、家庭の崩壊をちらつかせながらも、何とか持ち堪えて乗り越えて、その苦境を糧にしてやがて再生へと向かう・・まるで近年の是枝監督の映画のようなテーマです。父の失踪の秘密はあっと驚く展開を狙ったようですが、これは個人的にはスベった印象。彼の病について伏線的な描写が全くなくて、再会するなり 「俺はもうすぐ死ぬ」って・・。悲しい、かわいそうといった同情の前に啞然としてしまったよ。それはさておき。これは男の意見です。病気になったから、ホモのふりして失踪する父親なんていませんよ。むしろ残り少ない時間を大切な家族と過ごしたい、となおさら思うのではないでしょうか。女性が書いた脚本、だからこれは女性の感覚なのでしょうが。本作で次雄を演じた森田直幸さん。当時、出演作をいくつか鑑賞しましたが、若手の中では抜群にうまい役者さんでした。 (そうです、もう役者業を引退されたようなので、過去形です) やんちゃキャラでありながら、繊細な演技ができるという、たいへん希少価値の高い役者でしたね。さらによい俳優になることを楽しみにしていたので、とても残念です。
[DVD(邦画)] 5点(2019-04-09 21:34:17)
218.  パンとバスと2度目のハツコイ 《ネタバレ》 
そもそも、フランスパンで女を殴る女からすでに可笑しくて、この監督面白いなと。始まって数分にして、この映画当たり、と早くも確信しました。総じて、人物たちに対する視線は優しいのですが、主演のふみが少しだけピントがずれている、というのが本作最大の肝で、彼女を軸にクスッと笑える場面がワンシーンに一つ、必ずあるんですね。彼女の一挙一動にハラハラドキドキ、、でも大丈夫、そんな彼女も不思議と目薬のピントは外しません。 (言っちゃった) 次のシーンが楽しみだ早く観たいぞ、その心境のまま始めから最後まで楽しく観させていただきました。たもつはこの歳でバツイチ子持ち、車持ち。だから当然、洋服に散財できるはずもなく、毎度の上等じゃない服は納得で。ふみにいたっては、何度もナイキの同じスニーカーを履いて登場しましたね。こういったさり気ない気配り、重要ですね。付き合っていても、結婚していても、別れの予感はついてきます。だからその一歩手前の、これからそれを迎える期待感で胸いっぱいであること、ハツコイの心境であり続けること、それが何より幸せかも知れませんね。主演女優、ストーリー、音楽、ロケーション、そしてパン、バス、絵や洋服といった小道具 (美術) に至るまで、その全てが奇跡的に相性良くて、映画らしくない不思議な現実感 (空気感かな) がありました。(↓3737さまの) 全然大したお話じゃない、についても全くの同感です。ちなみに、わが行きつけの立川シネマシティ前の散策路が登場しましたね。(たぶん) よってプラス1点。
[DVD(邦画)] 9点(2019-02-22 20:21:09)(良:2票)
219.  生きる 《ネタバレ》 
かの黒澤監督の代表作であり、そのあらすじから、ずっしりと重たい内容の映画と思っていたが、意外と喜劇調にできていて驚きました。これは余命を覚悟した男が、悩み、迷い、奔走し、最終的には死ぬまでに何か自分が生きた功績を残そう、と決意し実行に至る物語です。しかし人間遅かれ早かれ死ぬのだから、これはある意味で誰にとってもの物語と思う。言わんとしていることは、必ずしも余命宣告されてからどうこう、ではなくて、常日頃からただ毎日を生きるな、活きろ、ということであり、使命とは与えられるものではなく、自分で決めろということではないかな。公務員はただ座ってるだけで給料がもらえるような描写がありますが、それは公務員に対する風刺でも揶揄でもなく、本作のテーマ上、職業も給料も安泰な人間を主人公にすえることが何より重要だったように思います。私としては、四十半ばでいろいろと人生を振り返り、残りの人生をどう生きるか、じっくりと考えるいい機会になりました。志村喬さんの大きな黒目の澄んだ瞳がとても心に残ります。日本が誇る名監督、名優の仕事をこの目に観ることができてよかったと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2019-01-07 22:42:26)
220.  サヨナラ COLOR 《ネタバレ》 
少年時代の正平にとって未知子は高嶺の花であり、体育館や教室の窓という "ファインダー越し" に眺めるしかなかった。長い時を経てようやく再会したとき、彼女は病院のベッドに横たわりそれは医者と患者の関係でしかなかった。未知子が正平を浜辺に呼び出す場面がある。ここで初めて、二人は対等に向き合う。それは彼の人生においても、この映画においても、わずかこの一度きりだ。青い海、空は晴れて澄み渡り、眩しい太陽の下、目の前に美しい彼女が立っている。この場面の何という美しさ。 (そう、それはまるで天国のような・・) そして二人は砂丘の上に並んで腰を下ろし、たった一瞬だが明るい未来へと揃って目を向けるのだ。不器用に一途にこだわり続けた想いは、残りわずかな彼の人生に、彼女と再びめぐり逢う奇跡で応えた。死という終わり方をもってしても、決して悲しくはなく、それすら霞むほどに彼が最後に抱いたであろう幸福感に泣いた。
[DVD(邦画)] 8点(2018-12-07 23:17:24)
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