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風小僧さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 261
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自己紹介 現在の技術で作られた映画を観る目線で過去の映画を見下すようなことは邪道と思っている。できるだけ製作当時の目線で鑑賞するよう心掛けている。

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41.  麻雀放浪記
 焼け野原とバラックの風景をはじめとして「ギブミー・・・」やDDT散布、紙芝居屋など、戦後の世相を反映した画面の連続。見事なまでの画作りで、当時の日本社会の緻密な再現とともに独特の世界観が確立されている。わずかに、隅田川沿いを歩くシーンや上野の桜の特撮は画面の流れに溶け込んでいないのが残念。  ママが草笛を吹く中で流れ星ひとつ。酸いも甘いも一瞬の輝きに賭けるばくち打ちの心情を表す。「勝ち続けて丈夫な人は人間を失くす」・・・けだし名言、人生を語る問答は心に響く。  アウトローたちの生き様を描く群像劇の中で、賭博とともに生き賭博とともに死んだ出目徳が陰の主役とも思え、高品格は特異な存在感を放つ。天和をめぐる出目徳とドサ健の駆け引きも見どころ。だが冷静に考えればイカサマ合戦であるし“こんな世界に住む人たちもいたんだな”と受け止め、ヤクザな生き方に共感も反発もない。  自分の麻雀放浪を振り返ってみると、役満を1回振り込み・1回上がりの実害なし。ま、いっか。とかくこの世はゼロサム社会。 
[CS・衛星(邦画)] 7点(2017-07-23 13:02:01)
42.  ブラック・レイン
 大阪ってこういう雰囲気?「ブレード・ランナー」のような退廃的・煙っぽい空気感が合うか疑問。  「黒い雨」は菅井のセリフに出てくるが、原爆とヤクザの存在を無理やり結びつけたような印象で、映画全体にテーマ性は感じない。物語の展開としてはチャーリーの殺されるシークエンスが弱い。ラストの原版のやり取りも意味深だが心に響かず。指詰めは「ザ・ヤクザ」と変わらぬハリウッドの日本観が滲み出てるね。「芸者遊び」とか「完」も同様でステレオタイプの感。どちらかと言えば「ザ・ヤクザ」の方がいい。  主要キャスト3人の適演に加え神山繁がいい味出してる。あの人誰?と思ったら、ああーあ、プロフェッサー田中かい。   最後にひとつ、ニックが吐く皮肉交じりのセリフ「Fuck you very much」はうまく心情を表して面白い。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2017-07-16 17:12:33)
43.  ゆきゆきて、神軍
 撮影を意識しているため奥崎の精神的・肉体的暴力が一層エスカレートし、逆に相手や家族の対応は抑制気味というバランスの悪さ。結果的にカメラが煽りの役割を果たし本人をつけあがらせていないか?  戦争犯罪を語れば歪んだ正義感が許せるというものではない。その要素を取り除けばただの犯罪者であり、天皇の戦争責任追及は暴力の免罪符に利用しているだけ。皮肉なことに奥崎の暴力自体が旧日本軍の体質を体現している。  鑑賞後に残ったものは問題意識のみ。
[インターネット(邦画)] 1点(2017-06-11 13:09:31)(良:1票)
44.  椿三十郎(1962) 《ネタバレ》 
 ご都合主義的な展開だが、1時間半の程よい尺でテンポよく観られる。  子供の頃観た記憶では、三十郎がとにかく怖かった。久方ぶりに再見すると、腕っぷしに加えて可笑しみを醸す武士像がなかなか良い。豪快さと繊細さが相まって魅力的な人物像となった。三十郎と浮世離れした城代夫人の対比も面白く、夫人が干し草に寝転ぶシーンや三十郎が四つん這いで夫人を背中に乗せるシーンなど、音楽や城代家老のセリフを含めほのかなユーモアが全編に漂う。“穏やかに”の精神を貫く夫人役・入江たか子は好演。   要所に出てくる椿の花は効果的。特に赤い椿と白い椿の合図は機転が利いた展開。ウグイスがさえずる中で白い椿の花が落下・・・大目付らの策謀失敗とともに半兵衛の死を暗示している。  三十郎と半兵衛、結局二人は鞘に収まらない刀であり似た者同士。両者の決闘は必然的で、無駄のない短時間決着は見ごたえがある。現実はあれほどの血しぶきにならないだろうが。   捕らわれた四人を救出した後、わざと縛られた三十郎の説明を半兵衛があっさり信用するとはお人好し。また、最後に吐く半兵衛のセリフ「貴様みたいにひどい奴はない・・・」もちょっと弱気で味気ない。好敵手としてもっと厳しい態度・強気の言葉が欲しいところ。
[映画館(邦画)] 7点(2017-04-30 16:02:57)
45.  八甲田山
 この映画を観た後の教訓は「雪山を甘く見ない」、これに尽きる。題材からして雪中行軍を描くことは自明だから、厳寒の中で撮影を行ったことは評価するがこれほど長尺にする必要はない。  過酷な雪山の表情に時折見せるレンゲツツジやリンゴの花などが心を癒す。佞武多や桜、菜の花も含め雪山だけでなく四季の移ろいや山野の表情が描かれたのは好ましい。  何事も一度始めると止めることが難しいこの国において、上層部の責任の重さ、指揮命令系統に問題はなかったか等、現代にも通じる問題意識がある。それだけに、リーダー・部下それぞれの心情の描写不足は惜しい。  ラストの老村山伍長(緒形拳)の表情が余韻を残す。
[映画館(邦画)] 4点(2017-02-12 14:14:50)(良:1票)
46.  Wの悲劇
アイドル映画の側面はあるものの、三田佳子の気迫あふれる演技や演劇を作り上げる過程が堪能でき、見どころたっぷりの青春映画。 映画の中の演劇、現実の展開(大女優と研究生)と芝居(夫人と摩子)のオーバーラップ、それぞれ劇中劇の入れ子構造を楽しめる。特に身代わりを頼まれた静香が記者会見で“演じる”シーンは女優魂を感じ見ごたえがあった。が、薬師丸はちょっと力不足の感。 かおり(高木美保)の襲撃シーンは感情がこもって迫力十分。「いつか追い抜いてやる」の野心がこのシーンに説得力を持たせた。 演劇の舞台裏がよくわかるし、枕営業的なことも実際あるんだろうな。まっ、自分だったら物を投げるような演出家はゴメンだけどね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-12-11 14:37:10)
47.  夢(1990)
第1話【日照り雨】 狐の嫁入りはモロにスモークだね。狐の動きがユーモラスで小気味よい。虹の輝く花畑は鮮やかな情景で、言い伝えを通して自然の大切さを説く。 2話【桃畑】 桃源郷(自然)の喪失感と再生への訴え。 3話【雪あらし】 雪女は厳しさとやさしさ(包容力)を併せ持つ自然の二面性を表現。  2話と3話は舌足らずの印象。 4話【トンネル】 戦争の不条理を描く。犬は死者の魂を象徴し、その魂への鎮魂を込めたもの。 5話【鴉】 豊饒の麦畑、ひまわりや太陽の黄色は強烈な印象。絵画の中に溶け込んだ姿はNHK・Eテレの子供向け番組みたいで変な感じ。ゴッホの世界を駆け回る喜びとともに、彼と通じる創作の苦悩を感じる。  6話【赤富士】 スリーマイルやチェルノブイリ事故を踏まえた問題意識と東海地震への懸念を表したもの。原発に対する危機感を自分も共有する。 7話【鬼哭】 6話からのつながりで、文明の行き着く果てがどうなるか警句を発す。共感するが説明調のセリフが多い。 8話【水車のある村】 自然あっての人間というメッセージ。日本の農村の原風景を見る思いだが、小川沿いのキショウブはミスマッチ。ゴッホ好みの黄色?にしても在来種と競合するほどの繁殖力をもつ帰化植物は合わない。 よく生きよく働いて死ぬという人生観、そして青森ねぶたを連想させる踊りは人生讃歌であり、葬送の音楽は心に残る。   6話から8話までは現代社会への問題提起で、科学万能に対する懐疑を示したもの。共鳴する部分もあるが老人の遺言めいて説教臭が強い。  少年・青年・中年・老人の流れで一貫しているのは、人間と自然の共生を詠い、その大切さを訴えるものだった。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2016-12-04 20:16:57)(良:1票)
48.  トキワ荘の青春
小津映画的構図を用いて描かれる、主人公の心情に合わせた静かな佇まい。トキワ荘メンバーの中で寺田ヒロオの視点とはいえ、しんみりし過ぎ。ヒソヒソ話のようなセリフ回しや暗い画面の連続は時に不快でさえある。 ドラマ性を排した演出により、漫画家同士以外の人間関係が無機質で事務的な印象を受ける。昭和30年代、都会とはいえ下町が舞台であり、この雰囲気がこの時代に合うとは思えない。 主人公は“いい人”としてあっさりした描き方であるが、創作者として信念を貫くか時代と向き合い妥協するかの苦悩はあったんじゃないの?それがあまり感じられず物足りない。 お互いの才能がぶつかり、時には助け合う中、世間の評価や本人の向き不向きでそれぞれの道があるのが世の習い。ペラペラ漫画からアニメという新天地への転向を打ち明ける鈴木伸一や、志半ばで挫折した森安の別離は印象的。 赤塚と寺田、この二人の会話がその後の立場の逆転を冷徹に象徴している。それでも、寺田が漫画に対する信念を貫き通したことは、ひとつの見識と解する。 映画の内容から離れるが、寺田の画風を考えてふと思う。ピーナッツ・シリーズのような4コマ漫画に生きる道はなかったのだろうか、と。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2016-11-27 11:52:42)
49.  ザ・ヤクザ(1974)
「義理と人情」をアメリカ視点で描いたヤクザ映画。刀を鞘に入れる音は意外な新鮮さ。日本刀、花札、パチンコ、庭園、鳥居などJAPAN記号のオンパレード。尺八や五木の子守唄等、音楽も含めオリエンタル趣味たっぷりだが悪くない。虚無僧が突然現れるところは苦笑するばかり。 殴り込みのシーンは東映ヤクザ映画風でよかった。特にタナー襲撃シーンのカット割りがいい。 ラストの日米二人の指詰めは(健は五郎への、ハリーは健への)義理の精神に沿ったものだと思うが、こだわりすぎの感があり、あまり美学は感じない。 R・ミッチャムと高倉健の演技もさることながら、待田“月曜日”京介のヤクザぶりや「GO!GO!トリトン」ヒデ夕樹の貴重な映像がうれしい。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2016-11-20 20:19:44)
50.  ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘
 返す返すも残念至極に尽きる、禁句を承知のタラレバ勢揃いでした。 1 島の娘役は何と言っても髙橋紀子に演じてもらいたかったな。久保明も出演し彼女との共演が実現していたら、ウルトラQ「南海の怒り」の延長戦を楽しめたのにね。病気で降板さえしなければ・・・。あっ、水野さんがダメっていうわけじゃないですヨ。特撮と水野さんは相性が良いと思うし、リリーフをきちんとこなしてくれました。関係ないけど某番組での馬場正平さんとの思い出話は興味津々でした。 2 ペア・バンビの小美人はミスキャストでしょう。ザ・ピーナッツの印象が強すぎて損な役回りだったかな。せめてもっと華のある人が演じてればよかったんだけど。 3 モスラは結局救出役だけってのがもったいない。もっと活躍してくれなきゃだめでしょ。顔見世程度じゃなく、もう少しゴジラと絡んでくれれば題名に相応しかったのに。  なんだかんだ言いながら、エビラの登場シーンはよかったですよ。造形もいいし、海の中からハサミを出して「これから出ます」という雰囲気はバッチリ。やっぱり怪獣は“いきもの感”がないとだめだね。その点でエビラは好きだし、ゴジラとの攻防も純粋に楽しめました。 
[映画館(邦画)] 4点(2016-09-11 15:30:12)
51.  
リア王を下敷きにした戦国絵巻だが、全体の印象として仲代達矢主演の舞台劇を観ているようだ。息子たちに裏切られ苦悩する秀虎の姿に黒澤の自画像をみる思いで、三船ら身近な人間に去られた監督の内面と二重写しにみえる。 戦国の“乱”、心の乱れの“乱”、栄華が朽ちていく“乱”・・・。雲や光の映像美とともに、衣装は豪華で色彩豊か。さらに、合戦シーン(特に弓矢)、楓の方の惨殺シーン及び炎上する城が印象深い。これらの迫力はいかにも黒澤らしい。 終盤、映画の主題を説明するかのごときセリフに対して違和感が残った。狂阿弥の狂言回しはあまり効果的でなかったと思うし、ラストにモニュメント・バレーを想起させる場面が現れるのはさもありなん。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2016-07-31 11:41:21)
52.  マタンゴ 《ネタバレ》 
アダムとイヴの昔から禁断の果実・食物は人を惑わせる。本作は漂流サバイバル+怪奇映画の形を取りながら人間の本質に迫ったもので、マタンゴが核実験の産物と臭わせるところに批判精神が読み取れる。文字通り「キノコ雲」を想起させる造形だが、デザインは小松崎茂?ほほお―。 孤島を舞台に、極限状況に追い詰められた人間がむき出すエゴイズムと欲望が描かれ、ネオン輝く大都会と無人島の対比を通して、生きるとは何かを問いかけてくる。所詮、一皮むけば大都会に渦巻く欲望も孤島の欲情も似たようなものだろうが。 理性(人としての死)か欲望(キノコ化しての生)か究極の選択を迫られたとき、人はどのような行動をとるか。人間本位で考えがちであるが、一歩引いて考えればマタンゴ化して生きるのも自然の営みの一部といえる。生き残った村井が発するセリフ(島に残った恋人への思い)が象徴的だ。 7人の登場人物中、妖艶な悪女を演じる水野久美は最もインパクトがある。マタンゴ化して姿が変り果てる男たちに対して、キノコを食べるごとに妖しさ・毒々しさを増してゆく久美サマは怖く、美しい。 マタンゴの襲撃を逃れ、最後まで人間性を保った男が精神病院の中で後ろを振り向く一連の展開は、「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」に先立つこと5年、ゾンビ映画の先駆者的な位置付けができるだろう。衝撃的なラストシーンはトラウマのごとく記憶している。 この映画を観てからキノコを食べられなくなった体験談がネット上で散見されるが、自分は何ともなかったなあ。いろんなキノコを喰ったが、幸か不幸かマタンゴには成ってない・・・・・フォッフォッフォッフォッフォッ。
[映画館(邦画)] 7点(2016-07-10 10:58:41)(良:1票)
53.  海街diary 《ネタバレ》 
 「そして、家族になり世代は移りゆく」・・・松竹大船調を思わせる家族再生物語。海、山、坂道、江の島、江ノ電、桜のトンネル、花火etc,と、湘南の息吹を感じる舞台装置は完璧。  平穏な日常に訪れた「父の死」をきっかけに起こる波紋。それを通して、家族や周囲の人達と交わる四姉妹の心の機微を描く。父の不倫に批判的ながら、自身も妻帯者と交際するという矛盾を抱えるしっかり者の長女。次女はがらっぱちで、あるある感満載だが長女との対比を意識して役柄を作り過ぎの印象。三女は目立たず程々のマイペース。四女は父親の娘達に対する謝罪の念を体現する役柄で、見かけ上の繊細さと裏腹にサッカー上手の落差が面白く、内に秘めた強さを感じる。  親子を基本とする家庭の崩壊によって、各々の居場所を求める四姉妹。「居場所」「赦し」「再生」がキーワードとなり、長女と四女に焦点が合わされる。すずが母の行動を「よくない」と否定する言葉は幸の胸に突き刺さり、椎名との別れにつながる。自分の存在意義を問うかのようなセリフだが、すずという「命の誕生」こそが親と子、三姉妹との結びつきや風太達との出会い・交流という強い結びつきを生む。父母との葛藤を抱えた幸だが、すずとの暮らしや祖母の法要を機に「赦し」の念に傾き、ラストは残された四姉妹による家族の「再生」に昇華される。  父親の視覚化は物語に水を差すと思われ、回想シーンに頼らない手法は悪くない。会話で成り立つ父親像は「桐島、……」同様の効果を狙ったのだろう。   俳優の演技が良くも悪くも自然体で終始しただけに、多彩な表情を見せる“鎌倉”という名優が一番印象に残った。 
[地上波(邦画)] 5点(2016-06-05 15:34:09)
54.  エレキの若大将
若大将映画の魅力はいくつもあるが、何といっても飯田蝶子と有島一郎の掛け合いが一番だ。二人が出演していないシリーズ作品は滋味に欠け味気ない。飯田のおばあさんはハマリ役で、孫に対して絶対的に甘い祖母の姿を見事にデフォルメしている。学歴コンプレックスの息子を揶揄したり、時には騒動を起こすのもご愛嬌。 本作では後の“青春スター”黒沢年男や“エレキの神様”(というよりバニーズを率いた)寺内タケシなどの出演がうれしい。中でもビートルズをパロったジェリー藤尾の、列を組んで登場するシーンはユーモラスで面白い。 日光で雄一と澄子が「君といつまでも」をデュエットするシーンについて、「初めて聴いた歌なのに澄子が歌っているのはおかしい」と加山本人が話すのを何度かテレビで見た。一見不自然だが、自分としては「雄一が一度歌ってから澄子に教え、その後でデュエットした」と受け止め、素直に観ていたから何の違和感もなかった。監督の意図を思うと、澄子に歌を教える部分を入れていないが微妙に画面が切り替わっており、そこは観客の想像に任せデュエットにつなげたのだろう。文章でいえば「行間を読む」といったところかな。加山サン、不機嫌になることはなかったと思うよ。 ちなみに、劇中歌は「君といつまでも」より「夜空の星」の方が好きだ。弾厚作作品では「蒼い星くず」「白い砂の少女」「幻のアマリリア(殊に「ゴー!ゴー!若大将」バージョン)」が特に好きだなあ。
[映画館(邦画)] 7点(2016-04-24 14:11:02)
55.  ペコロスの母に会いに行く
認知症の母親とその息子の生活を、ユーモアを交えながらヒューマンタッチで描く。 ペコロス?ミニ玉ねぎにそんなのがあったな。息子のハゲ頭は“ミニ”ではないけどね。 冒頭のアニメシーンは温かみのある描写で、ほのぼのとした気分になる。 認知症といっても程度の差があり、さまざまな描き方があるだろう。本作は深刻過ぎず暖かい視線で前向きにとらえる姿勢、これはこれで良いと思う。介護生活でもエロ本読んでる現実感。それでも介護の苦労は十分伝わってくる。赤木春恵は程よい演技で好感が持てる。特に施設入所日、帰る息子に手を振るシ-ンは味わいがあった。竹中直人が登場すると先の展開を多少読めてしまうのが弱点かな。 戦争や原爆投下が母親の人生に影を落とす。妹を失ったり神経症の夫に苦労したり、多くの苦難の中でも希望を持って生きることの大切さが感じられる。ランタンフェスティバルの光景は躍動感があふれているが、いきなりソニー生命のネオン大写しには興ざめだ。出資者に対する配慮にしては目立ちすぎ。  ラスト、既に亡くなった人たちと橋の上での記念撮影等、メルヘンの要素もあり心地よい後味だ。 もし自分が認知症で施設に入ったら、穂積隆信演じる老人みたいに“選んで”ハラスメントをしそうな気がして、ちょっと恐いような・・・。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2016-04-10 15:28:05)
56.  はじまりのみち
 木下恵介への尊敬が随所にみられる作品だが、一番心に残ったのが「陸軍」のラストシーンで、田中絹代が出征兵士を見送る場面というのは皮肉な結果だ。  節々で見られる雲の移ろいは主人公や家族の心象風景を感じさせる。木下恵介役の加瀬亮は涙を流す場面で鼻水も垂らしているが、そこまでしなくてもいいよ。また、いろいろな映画で儲け役を見かけることがあり、本作では便利屋役(濱田岳)がそれにあたる。特に「エア食事」とでも言いたくなる、食べるふりのシーンは戦争中だけに印象深い。  ラストの木下作品の引用は作品数・時間ともに多すぎで、もっと数を絞って短時間にまとめ、その分(時間)を自作の表現に充てた方がよかった。それだけに作品の独自色が薄まったように思う。  全体の印象として、木下映画にも通じる戦争に翻弄される庶民の姿、その中で貫かれる家族愛を見つめることができた。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2016-02-07 16:22:29)
57.  キングコング対ゴジラ
ゴジラ勝つかキングコング勝つか、世紀の肉弾戦実現成る!これぞ怪獣プロレスエンタメの極致。おーっと、加えてわが日本の“笑撃波怪人”多胡部長の乱入!で面白くないわけがない。コマーシャリズムに対する風刺も上等! 序盤はゴジラ優勢でコング実力を発揮できず押され気味。だが中盤、雷撃を受けパワーアップのコング猛然とラッシュしてゴジラを圧倒。終盤は両者もつれ合いリング下ならぬ海中に没す。プロレス常道の両者リングアウトうやむや決着?はたまた最後、海上に浮上したコングの優勢勝ち?ラストシーンのこの謎には議論ありか。 後の怪獣バトル路線を確立した本作。さすがのゴジラも先輩怪獣のコングに一目置かざるを得ない結末だ。強豪同士の対決はお互い死力を尽くして両リン引き分けか反則がらみで試合終了、というプロレスのお約束と同様の展開で、予想通りドローながら内容は十分満足。コメディー的展開もまた満足。
[映画館(邦画)] 8点(2016-01-31 17:20:17)(良:1票)
58.  砂の器
暗い過去を背負うため殺人を犯してしまう天才音楽家の宿命を主題とする人間ドラマであり親子の物語である。 捜査が難航し、迷官入りかと思われる殺人事件を二人の刑事が執念で追及する。美しい日本の四季の風景を織り交ぜながら捜査の過程を叙情豊かに描く。特に日本海沿岸の荒涼たる冬の風景が親子の心情と重なり印象深い。 父の難病により故郷を追われ、親子は巡礼に旅立つ。行く先々で迫害され過酷な運命に翻弄される父子の絆・愛の強さが描かれる。その後の離別から息子(和賀)が犯罪を犯すに至る経緯は、宿命から逃れられない親子の姿を映すとともに人間の業の深さが表される。音楽家として名を成し、良家との婚姻を控え前途洋々たる和賀は、ハンセン病の父親の存在を隠すために恩人・三木を殺す。動機として弱いが、差別を受けた者にしかわからない苦悩が和賀を犯行に追い詰めたと考えられよう。 終盤、和賀の指揮によるコンサート会場での演奏シーン。ピアノ協奏曲「宿命」は、まさしく彼の芸術家としての高揚感・まばゆい未来への渇望と、対照的に暗い過去を抱える複雑な内面を表現するものであった。 人権にも関わる深く重いテーマを描き、美しい映像と圧倒的な音楽の力で情緒に訴える手法だが、後味は悪くない。
[映画館(邦画)] 8点(2016-01-10 12:46:36)(良:1票)
59.  桐島、部活やめるってよ
観た人それぞれに解釈を楽しむ映画だと思う。自分なりに考えると・・・。 桐島、桐島と何回も聞いていると、「カリスマ」の暗示かと感じる。同様に、吹奏楽部長のサックスもサックス、サックス・・・ん?「部活オンリーの童貞とセックスしまくりの帰宅部、どっちがいい」のセリフ。サックス奏者・亜矢が宏樹たちを見ている前で交わされる、男子たちのこの会話も意味深かな? 成績優秀でバレー部のキャプテン、彼女もいる学園の“カリスマ”桐島が、突然退部するという噂が流れる。序盤は多視点反復で登場人物の相関が描かれる。 運動部・文化部・帰宅部別にモテ系・非モテ系の属性を階層区分し、外見は類型的だが内面は個性豊かな等身大の高校生像、その複雑な心情をきめ細かく描く青春群像劇。暴力系(?)やガリ勉が登場しないのは母集団を絞り込むためか。この舞台設定には納得。 ひどく悪意のある人物はいないが、善人同士でも些細なことで傷つけあうことがあり、ちょっとした波紋で動揺する思春期の人間関係のナイーブさが滲み出ている。 桐島不在のため風助に特訓を強いるバレー部孝介は前近代的な精神主義を象徴。対照的に、野球部キャプテンは宏樹に対し部活復帰を無理強いせず自然体で接し好感。また、下位同士と思しき剣道部員の部室出入りシーンはなぜか微苦笑を誘う。さらに、女子3人で話している最中、梨紗が実果に「いま笑った?」の詰問や、かすみが竜汰に交際を秘密にするよう話す「大変なんです女子は」のセリフはリアルな怖さ。げに女同士の葛藤は恐ろしい。 桐島不在で右往左往する人達に対し、映画部員はひたすら我が道を行く。ゾンビ映画を作りたい部長と青春映画こだわりの映画部顧問の関係は、世代間のギャップや価値観の相違をさりげなく描く。 終盤、屋上で展開する映画部員による上位カーストへの逆襲劇(妄想劇)は、耐えに耐えた弱者が強者に一矢報いる勧善懲悪劇を彷彿させる。 屋上での騒動後、8mmカメラを向けられた宏樹が「いいよ俺は…」と涙を流したのは、前田のように打ち込めるものがない空疎感のせいか?エンドロールのクレジット「菊池 宏樹( )」に、彼の所在なさが表れている。2人は好対照だが、逆の視点で見れば、前田と会話して自分を直視しカメラのレンズを通して外の世界へ視野が開けた宏樹に対し、前田は最後までタコツボくんだったな。ラストの展開は、暗闇の中を彷徨っていた宏樹にも微かな光が差してくるような余韻があった。 桐島という偶像は不在の存在というべきか。周囲の人たち(映画部員等を除いて)の意識が偶像として祭り上げたものであり、実体以上に神格化された虚像でしかないのだろう。その意味で、偶像崇拝の怖さも内包した映画といえる。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2015-12-27 11:17:38)
60.  青春デンデケデケデケ
 団塊の世代を主人公に、全編通じて淡々と60年代の青春を描いたという印象。高校生の活き活きとした日常生活が描かれ、何よりローカル色満載が良い。  地方に住む若者たちが高校入学後ロックバンドを結成し、演奏に明け暮れる毎日を送る。その過程で彼らは友情を育み、地域社会にもまれ着実に成長する。大学受験を控えながらも音楽に熱中できる主人公、当時としては経済的に恵まれた方だろう。ちっくん役の林泰文は自然体の演技で好演。  この映画を自身の体験と重ね合わせて観られる人がちょっと羨ましい。自分の場合、クラシックギターを数年間練習したことがあるが、指先が少々変形した。その経験から「お前の手、フリッツ・フォン・エリックの手みたいだな」のセリフには敏感に反応した。ギター練習でエリックほどのスパンにはならんだろうがね…。セリフの上での特別出演、鉄の爪に乾杯!
[CS・衛星(邦画)] 6点(2015-12-06 15:36:35)
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