81. 眠狂四郎 無頼剣
子供時分だったか市川雷蔵の円月殺法に「綺麗、でも何で相手は黙って見てるのだろう」と不思議に思ったのが唯一の記憶。 市川雷蔵のジェームズ・メイソンと似通う艶のある声での台詞回しに惚れ惚れ。「わしはまともな人間ではない」と言いながらテロリスト愛染を糾弾する姿はいたって真っ当で何かしら虚無感に欠ける物足りなさがありました。もう一人のお目当て天知茂は何時もながらの目力で貫禄充分な姿に見惚れますが、どこか小悪党感が垣間見えてこちらも物足りなさを感じました。掟破りの二人しての円月殺法に雷蔵を始めとしてクレームが出なかったのでしょうか、見所であるシーンに苦笑してしまったのが何ともはや。 「まともな人間ではない」というのをこの目で確かめてみたくなった(本作が最高作というのに迷うところがありますが)良作です。 [DVD(邦画)] 7点(2020-06-15 12:14:53) |
82. 天国と地獄
《ネタバレ》 学生時分に観ているものの内容を全て忘れています。会社権力争いものではなく営利目的未成年者略取ものだったとは。毛色が変わっているのが攫われたのが運転手の子だった点。葛藤の末に身代金3000万円(昭和38年時の!)を払い、無事だったしんいちに全速力で駆け寄り抱きしめる後姿は私も泣けてしまう。竹内にたどり着くまでの警察ワンチームの使命感溢れる理詰めな捜査模様は鑑賞歴中最上で頭が下がる思い。なので、監督の主張であったとしてもその後身柄確保に至るまでのやり口に無理筋を感じるところ。ラストの面会は圧巻。どん底に落ちても前を向く権藤と拗ねるだけの竹内のそもそも器の違いをまざまざと見せつける二人の名演が忘れ難い。 [DVD(邦画)] 7点(2020-06-11 01:52:40)(良:1票) |
83. 14の夜
タカシ達の体操服姿に自身14の頃を思い返すと、アバに、ジャック・ニコルソンに、ブッチャー・シーク VS ザ・ファンクスに、山崎豊子小説に、卓球に夢中でしたね。社会の先生に憧れを抱いたものの性的な感覚は起きませんでした。息子が14の頃は反抗期の最中でまともな会話が出来ず、当時どういう思いだったのか聞いてみたいと思わされました。淡々~~とした佳作。 [DVD(邦画)] 5点(2020-05-31 11:30:18) |
84. ナイト・オン・ザ・プラネット
ジム・ジャームッシュ監督作と言うことで鑑賞。敬愛するジーナ・ローランズ出演というのにガッツポーズ。アクの無い役柄であっても存在感は格別で見惚れてしまう。期待が膨れ上がったところでおしまい。「何で?」オムニバスだったのか。ストーリーではパリ編がベスト。台詞では「お金は必要だが重要ではない」が心に残る。 [DVD(字幕)] 6点(2020-05-27 01:30:06) |
85. ヤクザVSマフィア
石橋凌出演ということで鑑賞、オープニングクレジットでのヴィゴ・モーテンセンに俄然盛り上がる。二人の友情ぶりはまぁまぁ見るに堪えるものだったが、ストーリーがどうしようもない程の薄っぺらさで、ヴィゴ・モーテンセンの無駄遣いが残念な凡作。 [DVD(字幕)] 6点(2020-03-01 02:31:47) |
86. 万引き家族
《ネタバレ》 3人の給料と年金がありながらの万引き行為が情けなく、幼い子供にやらせているのが許し難く腸が煮えくり返る。0点 道徳心(死語ではない筈)無き絆が崩壊するという意味に於いての犯罪描写なのかもしれないが、犬畜生にも劣る実の両親を思うと疑似家族の日々の営みに感じた温もりに冷や水浴びせられてしまった。 初めて観た安藤サクラの演技力に+2点、どこか郷愁にかられた室内セット装飾に+1点 [インターネット(邦画)] 3点(2019-11-29 01:55:48) |
87. 解散式
《ネタバレ》 深作監督が撮る任侠映画。本作から仁義なきシリーズへと移行する事を思うと、時代の流れに適応出来ない鶴田浩二と丹波哲郎二人きりの解散式が印象深い。和服から洋服に変わったところでやる事は一緒の悪方ども。内田朝雄、小松方正、金子信夫の憎ったらしさは、血圧上がりまくりの名人芸。本作で最も魅力的だった渡邊文雄の最期は唐獅子シリーズとは異なる監督の任侠に対する視線なのだろうか。そこからのど迫力(ここでも血圧上がりまくり)の殴り込みを経て結局誰も彼も皆が死んでしまった物語が侘しい。建設にまつわるこのような話は絵空事ではないように思えるところ。 [DVD(邦画)] 7点(2019-11-07 02:26:34) |
88. ハード・コア(2018)
《ネタバレ》 ロボット登場でリタイアしなくて良かったと座り直したものの、話が膨らまずもどかしさでいっぱいです。 社会不適合者であっても卑怯な振舞と弱い者苛めをしなければそれで充分。なので、生きて欲しかったです。 大金抱えた弟の妄想と思われるラストショットが悲しい。 [DVD(邦画)] 5点(2019-10-26 02:49:22) |
89. 花と嵐とギャング
題名同様に意味不明な脚本。鶴田浩二は何とか見れるものの、高倉健は演技であってもアホっぽいキャラが観るに堪えない姿。リアリティのかけらもない終盤の撃ち合いシーン、緊迫感皆無の銀行襲撃シーン等々失笑ものの粗末な演出。後の東映任侠映画スター多数出演していながら信じられない駄作にびっくりしています。 [DVD(邦画)] 1点(2019-10-22 03:32:54) |
90. 阿修羅少女(アシュラガール) BLOOD-C 異聞
アニメ版を観ていないせいでしょうが、話にさっぱりついて行けません。雑な殺陣と耳障りな音楽にも興醒めです。有名どころを起用しておきながらの残念な出来栄えでありました。 [DVD(邦画)] 1点(2019-10-10 15:18:14) |
91. サイモン&タダタカシ
製作費が無けりゃ無いなりに工夫する意欲は見えるのですが、演技指導はどうなっていたのでしょうか。ギリギリでタダタカシは見られたものの、その他は全員酷くて侘しさでいっぱいです。脚本に目くじら立てる気力も起きなかったのが我ながら不思議です。 [DVD(邦画)] 3点(2019-09-22 15:13:27) |
92. クロスロード(2015)
青年海外協力隊50周年記念事業として製作され、シナリオを公募入賞作を基にしたという本作。地味ながらも手堅い作りに好感が持てます。見返りを求めない心の難しさを感じさせられた良作。 [DVD(邦画)] 7点(2019-09-19 01:57:45) |
93. 陸軍中野学校 開戦前夜
ひねくり回したストーリー、大詰めでのチープ感、シリーズ中で一番華に欠ける雷蔵。シリーズの潮時を感じさせられた凡作で残念。細川俊之の重低音ボイスが若い頃には出ていなかったのにはビックリでガッカリ。 [DVD(邦画)] 5点(2019-09-17 16:35:18) |
94. 陸軍中野学校 密命
《ネタバレ》 キャッツ・アイの正体をめぐる物語に惹き付けられたのですが、急展開の元となったのが偶然に小柳の車が前を走っていたというのが都合良過ぎて白けます。清楚な高田美和、欲求不満女の野際陽子共に好印象。雷蔵は野際陽子を色仕掛けで手玉にとる姿に惚れ惚れ。スパイが下劣かどうかは大局観によるのかなぁと考えさせられました。 [DVD(邦画)] 6点(2019-08-22 13:28:46) |
95. 陸軍中野学校 竜三号指令
《ネタバレ》 シリーズ第三弾では、「神よ与えよ 万難を我に」という気概で任務に当たり命を落としてしまう悲哀、和平の目的が果たせない無情が示されておりました。友の死を悼む椎名次郎に、まだ人間味が残っていた事が感慨深い。展開及び使用される小道具に無理筋はなく惹き込まれましたが、明子とスタイナーの件だけ「そんなアホな」ドン引きです。雷蔵は安定感抜群なものの突き抜けた感がなくちょっと残念。 [DVD(邦画)] 7点(2019-08-21 00:51:46) |
96. 陸軍中野学校 雲一号指令
清張作品を観ているかのような丹念な捜査模様ですが、そこに悲哀や不条理は無く、華も無ければ味わいも無い無味乾燥な一品。もうちょっと何とかならなかったのかと思う爆破シーンのショボさに呆れる。雷蔵の深みのある声での語り口は何時もながらウットリさせられ、今作での芸者遊びの客役でのはんなりとした姿(プライベートはこんな感じなのだろうか?)が絶品であり唯一の収穫。 [DVD(邦画)] 6点(2019-08-12 23:51:35) |
97. 心中天網島
2人を見守る神に見えた黒衣の演出が印象深い。他愛のない物語で登場人物がのべつ幕なしにけたたましく泣き崩れるくどい演出にはウンザリ。ただ、墓地での岩下志麻の艶めかしさは「凄い!」と感じるもので、ご亭主である監督の元での演技は女優冥利に尽きるのだろうと思えました。 [DVD(邦画)] 6点(2019-07-21 01:29:21)(良:1票) |
98. 孤狼の血
知人の御親族がエキストラ出演という事が鑑賞理由。なかなか良いシーンのご登場が羨ましい! 反目するヤクザ2組と剛腕刑事三つ巴の闘いは、けたたましさとグロシーンのオンパレードで欠伸連発。頭痛・胃痛に難儀する。これは知人に何と申し上げるべきかの思案が原因か? 自分に正直には申し上げられない。ア痛タタタ。 [DVD(邦画)] 3点(2019-05-20 23:35:00) |
99. 家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。
結婚して子供二人を授かり、家→保育園→パート勤め→保育園→家。気がついたら28年経過している身にとっては何ともホノボノとした オハナシでした。 [DVD(邦画)] 4点(2019-05-20 10:59:53) |
100. 資金源強奪
刑務所に収監されるまでの一気呵成の展開は苦手な深作監督テイストで冷めた目で眺めていました。そこから結末まで一瞬たりとも目が離せず、大藪晴彦作品を思わせる女に溺れない清元武司(北大路欣也の肉体美とギラギラ発散するオーラに惚れ惚れ)と黒川博行作品を思わせる軽妙洒脱な能代文明(梅宮辰夫の味わい深い演技に北大路欣也以上に惚れ惚れ)を軸にキャスト全員が躍動していました。ギョッとした空港シーンでの結末もお見事。大傑作。 [DVD(邦画)] 10点(2019-05-15 19:37:35) |