81. オリエント急行殺人事件(1974)
《ネタバレ》 初見、原作未読。 雪山に立ち往生する列車内での密室殺人事件。豪奢な一等客車の乗客が目も眩む絢爛豪華な大スター達で漂う重厚さを堪能出来ました。彼等彼女等を過不足なく交通整理した監督の手腕はお見事。ポアロが事情聴取をする度に友人が「犯人だ」と決めつけるのに、「この人にかかったら全員が犯人になってしまう」と友人をオトボケキャラ認定したのですが、あの結末には「お見それ致しました」 犯人は都合よく乗り合わせたのではないので、乗車前のオルソンの慄きは後になって理解できます。彼女の始終怯えた様子に一番の人間臭さを感じました。 ポアロが私怨を私刑で果たした犯人を見逃したのは刑事ではなく探偵なのでどうにか納得できますが、乾杯はやり過ぎの感がします。それと謎解きの決め手が不明瞭なのが残念でした。 [DVD(字幕)] 8点(2017-03-24 00:53:52) |
82. グランド・ブダペスト・ホテル
ホテルの外観、内装の幻想的な美しさに「こんな所でゆったりとした時間を過ごしている」自分を妄想しました。苦手なレイフ・ファインズが登場した時に「しまった」と後悔したものの、グスタヴはドンピシャのはまり役で初めて魅力的だと感じました。びっくりするほど多数の名優達と織りなす物語を飽きることなく楽しめた絵本のような作品でした。ハーヴェイ・カイテルに気づかず観直して確認したのは不覚でありました。 [DVD(字幕)] 8点(2017-03-23 01:55:17) |
83. ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期
《ネタバレ》 43歳になったブリジット。体型はスリムになっているが皺っぽく老けた印象が観ていてツラい。ダニエルに代わって登場したジャックが没個性なのが物足りない。品の無い会話が飛び交うドタバタラブコメはあまりにも都合が良過ぎる起承転結。しかし、マーク・ダーシーから受けた時めきに劇場に足を運んだ値打ちを感じた。点数の全てをコリン・ファースに捧げます。 [映画館(字幕)] 8点(2016-10-29 17:38:35)(良:1票) |
84. 10番街の殺人
ロケ地は事件現場、台詞は忠実に再現。実録再現フィルムを見せられる。凄いの一語に尽きるリチャード・アッテンボローとジョン・ハートの演技が事件の陰惨さを生々しく際立たせている。日本劇場未公開も納得の恐ろしい作品。 [DVD(字幕)] 8点(2016-09-27 00:46:34) |
85. コードネーム U.N.C.L.E.
1963年を舞台に米ソが協力してナチス残党の悪巧みに立ち向かう。キャラの立った登場人物達の絡み合いに、笑って、ホロリとして、手に汗握った。敵ボスの優雅さは特筆もので作品に華を添える。齢を重ねても優男の面影が残るヒュー・グラントが観れて嬉しい。オープニングとエンディングのセンスにも魅了される。掘り出し物の一品。 [DVD(字幕)] 8点(2016-08-28 19:12:20) |
86. キングスマン
《ネタバレ》 コリン・ファース。ビシッと決めたスーツ姿は何時もながらの渋さで魅了されます。何十人も殺した教会での大乱闘は「何故?」と唖然茫然ながらも、初めてお目にかかるキレッキレッのアクションにメロメロ状態。このシーン何度も見直しちゃいました。最後まで登場願いたかったものです。選ばれし者だけ生き、庶民は殺し合わせて削除するという企みは何だか現実味を感じました。見応えのある掘り出し物の作品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2016-04-30 23:27:54) |
87. フルメタル・ジャケット
ハートマン軍曹の人間の尊厳を粉々に踏み潰す罵詈雑言から、戦場から生きて親元に帰したい、その為には上官の命令には絶対服従して個人的に何の恨みもないアカの他人を躊躇なく殺さねばならない、その為には人の心は捨てなきゃならん、という確固たる思いを感じました。微笑みデブ君がこのまま戦場に出れば自身もまわりの者も死んでしまうという考えが及ばなかったのが残念です。一見ありきたりな戦闘シーンも軍曹に「sir yes sir」と絶叫していた姿を重ねると合法的な殺人の不条理さに胸が詰まります。 [DVD(字幕)] 8点(2014-01-03 00:44:45)(良:1票) |
88. ジョニー・イングリッシュ
いやぁ、もう、声を上げて笑い通しでありました。勘違い→気づく→取り繕う 部下の存在も相まってこのサイクルがサイコー。それにしっかりとしたストーリーがあり、アクションシーンもなかなかなもの。そして嫌味で大層な悪巧みを企むジョン・マルコビッチ演ずる悪役が何ともいえない味わいがありサイコー。これぞコメディと言える快作です。 [DVD(字幕)] 8点(2012-03-11 03:34:05) |
89. ダーク・ブルー
戦闘シーンの際のハッとする美しい雲、空、大地、海。美しければ美しい程にそこで繰り広げられる行為の愚かさが浮き彫りになります。人を裏切り傷つけ、人と国家に裏切られ傷つく。そうやって授かった時を過ごしてゆく。静かな語り口が心に沁みる作品です。 [DVD(字幕)] 8点(2011-08-15 21:51:56) |
90. 007/美しき獲物たち
《ネタバレ》 初見。ユア・アイズ・オンリーを超える私的 best of 007。一片の情を持たぬゾーリンと、持っていたメイデイ。悪役好きの私のツボをこれでもかと刺激してくれたシリーズ最上の悪役に惚れ惚れしました。見どころたっぷりのアクション(スタントであろうが何だろうが)シーナ・イーストンと甲乙つけ難い主題歌。ロジャー・ムーアのボンド引退の花道を飾ってあげたいという皆の思いが察せられた作品です。 [地上波(吹替)] 8点(2011-06-25 18:52:58) |
91. ストレイト・ストーリー
それぞれのエピソードにおけるアルヴィンの言動と佇まいに、生を授かった時から、消え去ってくれない辛い思いも背負って行かねばならない定めと、毎日欠かさず何もかもを見守ってくれる大空のような存在に近づいて行く事が歳を重ねる事である素敵さを感じました。老いに対する怯えを軽減させてくれた本作に感謝。 [DVD(字幕)] 8点(2010-01-18 00:05:16) |
92. テルミン
理不尽な国家権力によって翻弄された生涯には、ご自身は一言も語られませんが数知れない苦悩や葛藤があった事が想像出来ます。それでも生き抜かれたところに感銘を受けます。音程が外れる、外れないが紙一重の危うさを感じるテルミンの音色に生を授かった者が生きてゆく姿が重なりました。映画に関して、テルミンという楽器に関しての知識が皆無の状況で出会えた本作。この喜びがあるので映画鑑賞はやめられません。 [DVD(字幕)] 8点(2009-08-09 17:43:42)(良:1票) |
93. マンマ・ミーア!
予備知識はアバのみ。中学・高校時代アバに夢中でしたので、全編に亘る楽曲の数々に歌い出してしまいそうになるのを何とか堪えました。もう、ストーリーは二の次、三の次です。期待以上だったのが、メリル・ストリープ、コリン・ファース、ピアーズ・ブロスナン、ステラン・スカルスガルドが歌って踊っていた事で心底驚きました。弾けている皆さんに「眉間に皺寄せてばかりでなく、元気出して、明るく暮らそうや」と励まして戴きました。 ♪♪So I say thank you for the music ♪♪ [映画館(字幕)] 8点(2009-02-01 22:11:25)(良:1票) |
94. 戦場にかける橋
《ネタバレ》 決して節を曲げず部下の前では背筋を伸ばして歩き、仕事を通じて部下を成長させようとするニコルスン。現実を把握し、独り悔し泣きにのたうちながらも譲歩した斉藤大佐。リーダーのあり方を考えさせられました。爆薬の設置から爆破に至る息詰まる展開を経てのラストシーン、 madness madness 狂った指導者が巻き起こす戦争という気違い沙汰を知らしめてくれます。今回、劇場で鑑賞出来た事は幸運でした。 [映画館(字幕)] 8点(2007-04-21 01:29:27) |
95. ヴェニスの商人
《ネタバレ》 パチーノとアイアンズの共演。自分にとっては夢の共演です。圧倒的な存在感はさすがです。夢のひと時を堪能出来、大満足でした。興奮冷めやらずの状態で、今日の所は取り敢えずここまでで・・・・箱を選ぶ時の思慮深さにうっかり騙されそうですが、自堕落な生活を送るぼんくらバッサーニオの厚かましい願いを聞き入れ、借金を申し込み、常識外れの証文であっても、甘い見通しを根拠に応じたのはアントーニオであり、証文通りの要求をするシャイロックに非は無いのです。ユダヤ人であるというだけで、ゲットーに押し込め、蔑むという慈悲のかけらもない行為をしておきながら、その相手に慈悲を乞うとは何事かと思います。 シャイロックは、鬱積した怨念を晴らそうとしますが、証文の盲点を衝かれた途端、要求を取り下げてしまったのは、刺し違えても言うまでには至らなかったようで自分としては、残念に感じました。財産没収はまだしも、改宗を命じるとは、驕るのも大概にしろと言いたいです。指輪の件もぼんくら振りを心配しての事かも知れませんが、執拗過ぎて不愉快でした。パチーノのぶすぶす燻り続ける怨念が裁判で一気に燃え上がる様子、アイアンズの破滅を覚悟するも、命の炎が細くなって行く事を怯える様子、共に圧巻で絶妙なキャスティングです。原作を読んでいましたが、見ごたえのある作品でした。未読の方は、読む前に鑑賞される事をお薦めします。 [映画館(字幕)] 8点(2005-11-09 19:56:35) |
96. 戦場のピアニスト
「生きて歴史の証人となる」事は値打ちのある事だと感じます。ナチスの所業とドイツ国防軍の存在。ポランスキーがその時代に見聞きしたことなのでしょう。シュピルマンが万感の想いで演奏したように、ポランスキーも万感の想いで作り上げたのでしょう。忘れられない作品です。 8点(2005-01-31 18:09:16) |
97. 007/ユア・アイズ・オンリー
自分の中で007シリーズ最高の作品です。当時、劇場で観て、母と二人「面白かったなぁ」と言いながら帰ったのを覚えています。23年振りに観ましたが、やはり面白かったです。主題歌が最高で007と言えばこの曲が浮かびます。「そんなアホな」という、けったいな小道具が一切出て来ず、ヘリコプター・車・スキー・海上・クライミング、どれも手に汗にぎるシーンばかりで、ボンドの不死身さを見せてくれるのが好きです。スタントチームの最高の仕事に敬意を表します。キャロル・ブーケは、「この世にこんな美しい人が居てるんやなぁ」と見とれたものです。ギリシアの風景も美しいです。ラストのボンドとロシアの将軍とのやりとりは忘れていましたが、「ホンマにその通りや」良い事言っています。悪役好きの自分にとって三人とも物足りなかった事だけ残念です。 8点(2004-07-28 04:54:34)(良:1票) |
98. 日の名残り
《ネタバレ》 執事たる者、女中頭と恋に堕ちてはならない、主人に自分の主義主張を口にしてはならない。執事としての信条を貫き通したスティーブンスですが、機械の様に無感情ではなく、人として湧き上がる感情を自ら淡々と押さえ込む様子を観て、悲しくなりました。中でも、恋愛小説をケントンに無理やり取り上げられるスティーブンスの姿、あの右手は動かなかったのか動かさなかったのか、は胸が痛くなる忘れられないシーンです。ダーリントン卿の最期を、バスで去ってゆくケントンを、それぞれどのような気持ちで見送ったのでしょうか。ケントンが「愛しています」と自分から一言も口にしなかったのは、執事というものを理解し尊敬していたからなのでしょうか。二人の見事な演技を観終わった後、いろいろな事を考えさせられ、自分なりの答えがまだ見つからない作品です。 8点(2004-07-09 05:59:01)(良:2票) |
99. ジャッカルの日
原作は、海外の作家で私が最も尊敬するフレデリック・フォーサイスの最高傑作で、中学生の時に初めて出会って以来の永遠の愛読書です。映画化において、原作における心理描写の深い味わいはさすがに表現しきれていませんが、狙う側、守る側の攻防はキャスティングの絶妙さと共に忠実に再現されていて見事な仕上がりです。 2022.4.26追記 ジャッカル=エドワード・フォックス=山本圭 奇跡のキャスティング 吹き替えの最高傑作 山本圭さん、安らかにお眠り下さい。合掌 [DVD(字幕)] 8点(2004-02-14 20:00:35)(良:1票) |
100. ラブ・アクチュアリー
何処にでも誰にでもある人を愛する思いを、イギリス映画ならではのユーモアたっぷりに描いた洒落たストーリーで、観終わった後ほっこりとした気分になりました。旦那と一緒に観ましたが、大昔に、プロポーズされた時の事を唐突に思い出してしまいました。初心に帰るという事で、結婚○○年のご夫婦にお薦めできる作品に感じます。一番楽しみにしていた大ファンのローワン・アトキンソン。アラン・リックマンとの競演は期待以上で大満足でした。 8点(2004-02-09 23:25:26) |