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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作国 : オーストラリア 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
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1.  レイルウェイ 運命の旅路 《ネタバレ》 
「長い年月、僕はずっと想像してきた。奴を見つけ出し、その舌骨を折り、眼球には箸を突き刺す。悲鳴を上げさせ、そして赦しを乞わせることを。その声を子守唄に眠った…。だが、時代は変わったんだ。我々はもう兵士じゃない。今の僕は単なる〝夫〟だ。妻は僕の全てだ。もう奴の事を掘り返さないでくれ」――。1980年、英国。一年前に結婚した妻と平凡ながらも幸せな日々を過ごしている初老の男性エリック。だが彼は、時々精神的に錯乱して妻を困らせてしまう。次第に私生活に支障を来たし始める夫に、妻は真実を知ろうと詰め寄るのだが彼は一向に理由を明かそうとしない。やがて、実はエリックは第二次大戦中のシンガポールで旧日本軍によって言語を絶する壮絶な体験を強いられたことが明らかとなる。そんな彼に追い討ちをかけるように、旧友からかつての敵であった〝彼〟が実は今も生きていて、のうのうと生活していることを知らされるのだった……。物語は、そんなトラウマに苦しむ現代のエリックと彼が日本軍の捕虜となって地獄のような鉄道建設に従事させられた日々を交互に行き交いながら、罪と赦しを巡るドラマを濃厚に炙り出してゆく。実話を基にして描かれたというそんな本作を複雑な思いを抱きながら、この度鑑賞いたしました。戦争という非日常に追い込まれたとき、人は誰もが各々の正義を振りかざし、時には取り返しのつかない過ちを犯してしまうという真実を、実力派の役者陣をそろえ、冷徹に見つめたその視線はなかなか鋭い。やはり戦争は悲劇しか生まないということを改めて実感させられました。戦争を知る世代がもはや殆ど居なくなろうとしている現代の日本において、この事実は忘れてはいけない。ただ、純粋に映画としてみれば、演出として拙い面がちらほら散見されるのが惜しい(特に、過去パートでの日本軍に隠れてラジオを造るエピソードや自死を選ぶ主人公の友人。もっと巧い見せ方があったはず)。とはいえ、この事実を多くの人に伝えなければという製作陣の思いには、一日本人として素直に好感持てました。最後に提示される本人たちの写真からは、やはり事実の重みがずっしりと心に響きますね。うん、久々に観て良かったと思える作品に出会えました。
[DVD(字幕)] 7点(2024-01-01 08:46:28)
2.  アラビアンナイト 三千年の願い 《ネタバレ》 
古今東西の神話や物語を研究する考古学者アリシア。以前辛い離婚を経験し、それ以来彼女は仕事一筋でこれまで孤独に生きてきた。古代ギリシャの神々や中東のエキゾチックな物語がアリシアの生きる支え。そんなある日、仕事で訪れた異国の地で彼女はとある小さな小瓶を手に入れる。いかにも安っぽいありふれたもの。だが、この小さな瓶の中には、古代の魔人ジンが3000年ものあいだ閉じ込められていたのだった――。宿泊したホテルで魔人を開放してしまったアリシア。戸惑う彼女に魔人は、「お前の願いを3つ叶えてやろう」と提案してくる。古代にかけられた呪いによって、魔人は解放者の願いを叶えなければ自由を手にすることが出来ないのだ。だが、物語に憑りつかれていたアリシアは魔人と少しでも長くいたいあまり、あの手この手で翻弄してゆく……。孤独な女性学者と古代の魔物とのそんな駆け引きを独創的な映像で描いたファンタジー・ドラマ。監督は、マッドマックスシリーズで有名なジョージ・ミラー。まぁなんというか、とっても変な映画でしたね、これ。予告編だけ見ると、胸躍るストーリーや迫力満点の映像で観客を魅了するエンタメ・ファンタジーかと思いきや、まさかのホテルの一室で物語がほぼ完結するお話でした。解放されたくて願いを叶えてやりたいジンと彼を開放したくない主人公がひたすら押し問答を繰り返すだけ。しかも何故か2人ともずっとバスローブ姿(お前らは一戦交える前の夫婦か!笑)。そこにジンの過去の解放者たちの物語が回想形式で描かれるという、逆アラビアンナイトみたいな展開になるのですが、肝心のこの物語がびっくりするほどつまらない。そんなに魅力的でもない主人公がひたすらグダグダするだけ。映像も終始小汚いうえに微妙に気持ち悪くて、生理的嫌悪感が半端なかったです。特に2話目の太った女性が大好きな王子様が、全国から集めてきたおデ……失礼、大柄な女性だけのハーレムをつくるシーンは、ひたすらそーゆー女性のフルヌードを見せられてだいぶしんどかった(個人の感想)。結末もかなり強引なハッピーエンドで思わず苦笑い。この監督って、やぱこーゆーセンスがものをいう内容の映画を撮るのに向いてないんじゃないかな。
[DVD(字幕)] 4点(2023-11-27 09:38:46)
3.  アイ・フランケンシュタイン 《ネタバレ》 
1795年、冬、俺は命を与えられた。俺は魂のない生きる屍。8体の死体を繋ぎ合わされ、電気ショックによりこの世に甦ったのだ。俺を生み出したのは、ヴィクター・フランケンシュタイン博士。そう、俺は神をも畏れぬ狂った科学者によって創られた、孤独なモンスターだ――。時は流れ現代、フランケンシュタイン博士によって生み出されたそんな魂なき稀代のモンスターは、辺境の地で年老いることなくずっと孤独な日々を過ごしてきた。200年にわたってそんな平穏な日々を過ごしてきたある日、長年彼のことを捜し求めていた悪魔の手先が現れる。難なく悪魔たちを撃退した“モンスター”は、真相を探るために久し振りに街へとやってくる。すっかり様変わりした人間の暮らしに戸惑いながらも、彼はそんな人間に知られることなく夜の闇の中でずっと戦い続けてきた天使と悪魔の壮大な争いに巻き込まれていくのだった……。こういう頭空っぽにして観るべき、B級ゴシックホラーアクションってたまに観る分にはけっこう好きなんですよ、僕。なんで、「なんか面白い映画ないかなぁ」とビデオ屋さんでうろちょろしていたら、本作のパッケージが目について今回レンタルしてきました。感想は…、「は、ははは……(苦笑)」。さすがにこれ、いくらなんでもストーリーがしっちゃかめっちゃか過ぎるっしょ!!頭空っぽにして観るべき超王道B級アクションとはいえ、ストーリーに突っ込みどころが多過ぎて、ちょっと僕は乗り切れませんでしたわ。本作の脚本家は、どうして主人公フランケンシュタインと天使(ガーゴイル)と悪魔という三つ巴の戦いにしたんでしょう。そうやって設定を複雑にしちゃったから、話が破綻しまくりでもう目も当てられない。単純にこのフランケンシュタイン対悪魔(もしくは主人公と天使が仲間になって、悪魔と戦うとか)にしといたら、勧善懲悪エンタメ映画としてすんなりと楽しめる作品になりえただろうにね。うーん、残念!ただ、最後までストレスなく観られたのとCGを駆使したアクションシーンはなかなか迫力あったので5点あげとこう。
[DVD(字幕)] 5点(2023-08-31 13:36:21)
4.  プリデスティネーション 《ネタバレ》 
1970年代、連続爆弾魔の恐怖に怯えるニューヨーク。場末の小さなバーに一人の〝男〟が酒を求めてやってくる。相手をするのは、何処か影のあるバーテンダー。だが、どうやらこのバーテンダー、政府の特殊工作員として未来からやって来た時空エージェントらしい。〝不完全な爆弾魔〟と呼ばれるテロリストの犯行を阻止するというのが、この工作員の最後の任務のようだ。「僕はかつて孤児だった。そして、君が信じるかどうか知らないけど僕はかつて女だったんだ」。バーテンダーに、かつて〝女〟だったころの話を始める客の〝男〟。性別だけではない。彼が歩んできた人生は、まさに事実は小説より奇なりと呼ぶに相応しい特異なものだった…。いったい彼は何者なのか?連続爆弾魔とはどんな関係なのか?そして、彼がしきりに繰り返す「鶏が先か、卵が先か…」という言葉の本当の意味とは?『デイブレイカー』という、ヴァンパイアが多数派となり絶滅寸前の人類の生き血を求めてドラマが展開されるというかなり特異な設定のホラー・アクションを撮ったスピエリッグ兄弟。彼らが、再びイーサン・ホークを主役にして挑んだのはそんなタイム・パラドックスをテーマにしたSF作品でした。前作のその他の追随を許さない独創的でスタイリッシュな作風がかなり気に入っていた自分としては、その世界観をさらに進化させたような本作ももちろん期待して鑑賞してみました。なんだけど、ちょっと予告編に騙されましたかね。もっとアクション寄りのエンタメ映画を期待していたのに、まさかこんな脳みそフル活用しないと理解できないような複雑怪奇なお話だったとは(笑)。でも、これはこれで面白かったです。観終わった後に誰もが深く考えさせられる優れた脚本と、随所にセンスを感じさせる格好良い映像(バイオリン型のタイムワープ装置とかナイス!)、それにイーサン・ホークをはじめとする男臭い役者陣の競演(特に、男と女を見事なまでに演じ分けたジェーン役のサラ・スヌークは素晴らしかった!)などなど、充分に見応えのある深い作品でございました。次はもっと『デイブレイカー』のようなアクション寄りのエンタメ映画を期待しつつ、この監督の次作を待ちたいと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2023-07-12 07:01:10)
5.  ニトラム/NITRAM 《ネタバレ》 
90年代、オーストラリアのタスマニア島で実際に起きた無差別銃乱射事件。多くの死傷者を出したそんな凄惨な事件を基に、犯行へと至るまでの犯人の心情を終始淡々と見つめたクライム・ドラマ。ほとんど音楽も使われず、ドラマティックな展開なども皆無、ただひたすらこの精神に重大な問題を抱え、恐らくは軽度な知的障碍もあったであろう主人公の次第に追い詰められてゆくさまが冷徹に描き出されてゆく。主人公を演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズの真に迫った熱演もあり、この最後まで緊張感を途切れさせない展開は見応え充分だった。社会から疎外され孤立してゆく息子をただ見守ることしか出来ない両親の葛藤もリアル。そんな青年を何故か受け入れる大富豪の老女の存在も違和感がなく、ともに社会から疎外された者同士で通じ合う部分があったのだろうという説得力も感じさせる。この老女が大金持ちで、彼女の善意がのちに大きな悲劇を生んだと思うとなんともやるせない。彼と事件の被害者を救う術はなかったのか――。周りに何人も「おかしい」と思う大人がいたのに母親も息子を常に気にかけていたのに誰も事件を防げなかったことを思うと、やはり社会の無関心も事件の原因の一つだと改めて痛感させられる。これは決して遠い国のお話ではなく、日本でも自分事として捉えるべき問題なのだろう。ただ、そのように深く考えさせるところは確かに良かったのだが、一本の映画として観ると残念な点もちらほら。一つ言えるのは、とにかく演出のキレがすこぶる悪い!果たしてこのシーンは必要であったのかと思えるような無駄な場面が余りにも多く、かと思えば父親の自殺などもっとそこを掘り下げて描くべきではと思えるところは意外にあっさり流したりする。もっと脚本を練るべきだった。見るべき部分も多い作品だっただけに残念だ。
[DVD(字幕)] 6点(2023-07-10 08:37:17)
6.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 
「凄い!!ぶっ飛んでる!!でも、サイコーに面白い!!」この一言に尽きるんじゃないでしょうか。もうね、映画としては反則と言ってもいいくらい直球勝負の超バカ映画なんですけど、余分なものを一切排除してストーリーを徹底的にシンプルにしたおかげか、なんだか人間本来の生存本能をまざまざと見せ付けられたようなそんな凄みさえ感じさせる作品に仕上がってるんですよ、これ。そう、人間なんて所詮は動物!性欲、食欲、この二つこそが男の生きるエネルギー源!!それがあってこそ社会は繫栄する!そんな男社会の源泉とも呼ぶべき本能に徹底的に抗う女たち……。なんて、深い――、のか(笑)。でも、人間の歴史ってこんなことの繰り返しだったのかもしれないですね。とにかく凄い映画でありました。「女は子供を産む機械」とでも思っている男どもに徹底的に反抗するシャーリーズ・セロン、かっこ良すぎ!!
[DVD(字幕)] 8点(2023-07-03 12:39:24)
7.  カリフォルニア・ダウン 《ネタバレ》 
アメリカ西海岸を中心にマグニチュード9.5の大地震が発生。各地に甚大な被害が出る中、主人公のレスキュー隊員・レイが家族を救うために大活躍する姿を描いた大災害パニック・ムービー。こういういかにもベタベタなディザスターものって、映像6割・人間ドラマ4割くらいがちょうどいいバランス配分だと思うのですが、本作はそのバランスがかなり悪いような印象を持ってしまいました。まあいかにもお金掛かってそうな迫力満点の映像は充分鑑賞に耐えうるレベルだとは思うのですが、いかんせん人間ドラマがあまりにもお粗末。こういう頭空っぽにして観るべきエンタメ映画でも、最低限押さえておかなければいけないツボっていうのがやっぱりあると思うんです。でも、本作ではこのツボをことごとく外しているから、一向に面白くないんですよね、これが。以下、この映画の駄目な点を思いつくままに挙げてみました。①主人公である父親と娘の仲が最初からかなりうまくいっている。気難しい年頃の娘と頑固な父親が最初はいがみ合っていたけれど、困難を乗り越えるうちに絆を取り戻すというお話にした方が盛り上がると思うのになんでこんなのっぺりとした展開にしちゃったんでしょう?②別居中の妻の現在交際中の男が、あり得ないほどの大金持ちでリアリティ皆無。大都会に高層ビルを幾つも持つ大富豪が、多少美人で巨乳とはいえ、なんで子供つきで旦那つきのオバハンをいこうと思ったのでしょう?普通、もっと若くてきれいなピチピチギャルをいくでしょうに。③けっこう重要な役どころである地震学者が「地震が来るぞ!!」と警告するだけの役割でしかなく、ドラマの中でほとんど意味をなしていない。きっと、こういうディザスタームービーは群像劇にしなきゃいけないという監督の固定観念があって、だから群像劇にしたいがために無理やり作り上げた人物としか思えないんですよね。④主人公をはじめとする全キャラクターに全く魅力がない。特に娘を助けることになる兄弟の弟なんか、ほとんど居る意味がありません。⑤レスキュー隊員である主人公が大災害を目の前にして、家族を最優先して職場放棄するばかりか先々で窃盗行為を繰り返す。この点に関しては改めて言うまでもないでしょう。結論。映像はそこそこ迫力があったけど、肝心のドラマ部分がこれではね~。ぎりぎり暇潰しにはなるかなぁってくらいの凡作でありました。4点。
[DVD(字幕)] 4点(2023-05-01 14:02:45)
8.  虹蛇と眠る女 《ネタバレ》 
オーストラリア郊外にある荒廃した砂漠の街を舞台に、突然失踪した二人の幼い子供を巡って次第に追い詰められていくとある夫婦を描いたネイティブ・ミステリー。ニコール・キッドマン主演ということで今回鑑賞してみたんですが、とにかくこれが驚くほど演出が稚拙でびっくりいたしました。もうほとんど素人レベルと言っても過言ではありません。ただ小汚いだけで一切センスを感じさせない映像が延々と続き、場面場面の繋がりもいちいち悪いし、あってなきが如しの退屈なストーリー等々、最後まで観るのが苦痛で苦痛で仕方なかったです。ところどころで差し挟まれる、さして意味のない砂漠の空撮映像がますます睡魔を誘発させ、最後まで観た自分を誉めてあげたいくらい(笑)。原題とは全く関係ない邦題の〝虹蛇〟も配給会社が客を呼ぶために無理やりひねり出した感が半端なく、後味が悪いだけで何も解決しないラストなどもはや目も当てられません。美熟女ニコール・キッドマンのフルヌード露出プレイに+1点。
[DVD(字幕)] 3点(2023-04-14 11:03:46)
9.  ディバイナー 戦禍に光を求めて 《ネタバレ》 
第一次大戦終結から数年後、オーストラリアの寂れた田舎町でとある一人の男の妻が自らその命を絶つ。原因は、激戦地となったトルコ・ガリポリで、兵士として派遣されていた3人の息子たちを全てなくしてしまい深く心を病んでいたから。息子も妻も何もかも失ってしまった夫のジョシュアは、せめて息子たちの骨だけでも妻のそばに埋めてやりたいとトルコ行きを決意するのだった――。訪れたかの地、言葉も文化も宗教も何もかも違うかつての敵国でジョシュアは当然のように途方に暮れてしまう。だが、偶然泊まることになった宿屋で彼は同じように夫を亡くした美しい未亡人と出会う。彼女の手助けもあって、何とかガリポリに辿り着いたジョシュアは、そこで衝撃の事実を知るのだった。なんと長男アーサーが敵の捕虜となり、もしかしたら今も収容所で生きているかもしれないということを……。歴史の荒波に翻弄され続けたとある一人の男の人生を雄大に描いた大河ドラマ。ラッセル・クロウが監督・主演を務めたということで今回鑑賞してみました。結論を言うと、なんというか、ぬるーい映画でしたね、これ。とにかくご都合主義のオンパレード。一民間人が簡単に軍管轄の激戦地に赴いたまではまあ良しとしても、さすがにかつての敵国の将軍がいくら主人公の境遇に同情的だからと言ってあそこまで協力的になるなんてあり得ないでしょ。そして、息子の消息を探るのに主人公が何の前振りもなくいきなり超能力的な力を使った時は、さすがに失笑しちゃいました。まあそこらへんも百歩譲って納得するにしても、やはり本作の最大の突っ込みどころはR・クロウ演じるこの主人公のびっくりするほどの軽薄さでしょう。だって、三人の子供も亡くし嫁も自殺で失ったというのにこの主人公、一向に悲しんでる素振りが見えないんですよ。挙句、偶然会ったばかりの宿屋の未亡人と良い感じになるって…。あんた、この前嫁自殺したとこで、しかも息子の消息を探りにトルコに来たんちゃうんかい!!なに未亡人とイチャイチャしとんねん!!ってキレそうになりました(笑)。ロケ地となったブルー・モスクの荘厳さに+1点。
[DVD(字幕)] 4点(2023-04-10 10:56:22)
10.  ハクソー・リッジ 《ネタバレ》 
良心的兵役拒否者としての信念から銃を手にすることを一切拒否、しかしながら衛生兵として多くの負傷兵の命を救った一人の男の姿を実話を基にして描いた戦争ドラマ。舞台となるのは第二次大戦中、日本国内では唯一大規模な地上戦が行われた激戦地・沖縄。監督は、私生活でいろいろと問題行動の多いメル・ギブソン。この人の思想信条や考え方、そして宗教観は個人的には嫌いなのですが、それでも映画監督としての才能はやっぱりピカイチなんですよねー。完成度は抜群に高いです、これ。前半、誰に何と言われようと銃を手にすることを一切拒否し、周りに迷惑をかけまくる主人公には同僚でもなんでもない観客の僕たちまでイライラさせるとこなんてホント巧い。「じゃあ兵隊に志願なんてするなよ!」と誰もが思うことでしょう。アンドリュー・ガーフィールドの頑固で変わり者キャラがばっちり嵌まっててなかなかナイスなキャスティングじゃないでしょうか。後半、壮絶な沖縄戦に突入してそんな頑固者の主人公が一転して英雄となり周りからの信頼を勝ち取ってゆくとこもカタルシスがヤバいです。なかなかよく出来た脚本と言えるでしょう。凄惨を極めた戦場描写も容赦がなく、地面にごろごろと転がっている無残な死体の中を自らの命を顧みずに走り抜けてゆく兵士たちからは一秒たりとも目が離せません。皮膚の焼けただれる臭いが今にも漂ってきそうな火炎放射器の炎、そこらへんに容赦なく散らかった剥き出しの内臓や千切れた手足、我先にと餌にありつく巨大なネズミたち…、リアリティに満ち溢れたそれらの描写には日本人としてとても胸に迫るものがあります。まあこの監督らしい一面的な描き方――例えば、襲ってくる日本兵が全員野蛮な狂信者として描かれているとことか、これを観たアメリカ人にまた原爆投下肯定論者が増えそう――は、相変わらずですけれども。それでも悔しいかな、日本人としてそんな微妙な部分も作品としての質が大幅にカバーしちゃってます。全編に貫かれるキリスト教礼賛描写も鼻につきますが、総合的な完成度はすこぶる高い戦争ドラマの秀作と言わざるを得ません。
[DVD(字幕)] 8点(2022-12-22 11:50:59)
11.  エイリアン:コヴェナント 《ネタバレ》 
SFホラーの金字塔『エイリアン』の前日譚をリドリー・スコット自らが描いたシリーズ第二弾。前作の内容をほぼ覚えていないまま今回鑑賞してみたのですが、まあだからと言って改めて観返すほどでもないかなぁというのが正直な感想。って言うか、スコット監督ってやっぱり根っからの映像作家なんだなって改めて思いました。粘着力のある映像美は他の追随を許さないほど素晴らしいのですが、その脚本によって作品の質は毎回大いに変わります。今回は正直微妙かな。その映像美に6点で。
[DVD(字幕)] 6点(2022-11-13 13:48:50)
12.  ベイビーティース 《ネタバレ》 
難病を患い過酷な闘病生活を送る16歳の少女と孤独な不良少年の青春の日々を瑞々しく描いたラブストーリー。監督が、長編デビュー作となる本作で幾つもの賞を受賞したということで今回鑑賞してみました。とにかくこの監督のセンスの良さに尽きると思います。ほとんど音楽も使わず映像も終始ブレブレな手持ち撮影、そして登場人物もごく限られているのに最後まで観客の心を捉えて離さないこの品の良いセンスは大変グッド。それぞれのエピソードを小さな章のように見せる演出や等身大の登場人物たちが織りなす繊細な心理描写もなかなかに素晴らしい。ただ、本作の評価の分かれ目となりそうなのが、この余りにもベタすぎる脚本でしょう。これまで何百本と撮られてきた難病ものラブストーリーをなぞっただけで、正直、捻りがなさすぎる。最後もお涙頂戴の悲恋で終わってしまいます。抜群にセンスの良い映像だとか、抒情性溢れる語り口など、この監督の才能は確かだと思うので次作に期待ってところですね。
[DVD(字幕)] 6点(2022-08-11 02:17:37)
13.  マグダラのマリア 《ネタバレ》 
あの世界でもっとも有名な物語の古典、新約聖書の世界をマグダラのマリア目線で映像化した歴史ドラマ。まあ観る前から大方の予想はついていましたが、最初から最後までもうとにかく眠たくなるほどオーソドックスな宗教ドラマでしたね、これ。ただ、マグダラのマリア役を今を時めく人気女優ルーニー・マーラが演じているということ、その一点のみで今回鑑賞してみました。確かにマリア役を演じた彼女の清楚な佇まいはまさに嵌まり役で、見ていてほれぼれするほどキレイでした。でも、本作の見どころと言えばそれぐらいかな。きっと熱心なキリスト教徒の方なら楽しめるんでしょうけど、僕のようなそうじゃない人間にとってはさすがにこれは退屈で退屈で仕方なかったです。新しい部分と言えば、これまで娼婦とも言われ罪深き女などとも称されたマグダラのマリアを、最もキリストのことを考えていた普通の人として描いているところぐらい。まあそれも僕にとっては、「へー、そうなんですか」くらいの感想しか残りませんでした。また、肝心のイエス・キリスト役をあのいまもっとも勢いのあるホアキン・フェニックスが演じているのですが、これがミスキャストもいいところ。でっぷりと貫禄ありまくりで、正直まったくキリストに見えないんですけど!だから語られる言葉もさっぱり心に響いてきませんし、あのキリストが取り乱して感情的になるシーンなんて見ていて違和感しか感じませんでした。予想だけど、これってキリスト教徒の人たちにも評判悪いんじゃないですかね?キリストの最期を知りたければ、メル・ギブソンの『パッション』の方が100倍くらい出来はいいんで、そちらを観ることをお勧めいたします。
[DVD(字幕)] 4点(2022-07-27 11:57:15)
14.  ピッチブラック 《ネタバレ》 
宇宙の片隅に浮かぶ小さな惑星。そこは三つの太陽が浮かび、常に灼熱の日差しが降り注ぐ死の惑星だった。だが、そこは22年ごとに一度、皆既日食によって漆黒の闇に包まれる夜が訪れる。そして、それは砂漠の砂の中に蠢く闇の生き物たちの解放の日でもあるのだった――。偶然にもその最悪の日に、流星群との衝突によって不時着を余儀なくされた一隻の宇宙船。地表に降り立った乗組員たちは、想定外の事態に途方に暮れるばかりだった。衝突の衝撃で死亡した船長の代わりに指揮を執る女性副操縦士に、様々な荷物を運ぶ古物商、異国の神を信じる異教徒、ならず者を捕らえて大金を稼ぐ賞金稼ぎ、そして彼に護送される途中の凶悪な殺人犯……。乗ってきた宇宙船が大破した今、果たして彼らは無事にこの死の惑星を脱出することが出来るのか?といういかにもなB級モンスター・SF・アクション。アイデアはなかなか秀逸だし、登場人物たちもそれぞれにキャラが立っているし、映像的にもけっこう凝った撮り方をしているしでまあ良いのだけど、なんだか全体的に惜しいんですよね、これ。演出の細かいところに「?」な部分が多すぎて、僕はいまいち楽しめませんでした。材料はすこぶる良いのに、巧く使いこなせていない感じ?三つの太陽が昇る惑星に22年に一度訪れる夜、すると大量に蠢きだすエイリアン、迎え撃つは夜でも目が効く無法者の殺人犯……と、いくらでも面白くなりそうな材料が揃っているのに、すごく勿体ない。アイデアや舞台設定は良かっただけに、残念!
[DVD(字幕)] 5点(2022-07-04 11:17:05)
15.  ピーターラビット 《ネタバレ》 
舞台は自然豊かな田園風景が拡がるイギリスののどかな田舎町。そこでは祖先より代々受け継いだ庭を巡り、性悪じじいと熾烈な闘いを繰り広げる小さな動物たちがいた。青いジャケットを羽織った動物たちのリーダーの名は、ピーターラビット。彼の指揮の下、うさぎたちは性悪じじいに対していつ果てるとも知れぬゲリラ戦を展開していた。そんなある日、唐突にじじいが心臓発作で死亡する。闘いは彼とその仲間たちの勝利で終わったかに思われた。だが、庭を相続したじじいの甥が新たにやって来たことから、長い闘いの第二幕が切って落とされるのだった。さらにはうさぎたちと同盟関係にあると信じられていた画家のお姉さんがその甥と恋に落ちてしまったことから、争いはますます混迷の度を深めてゆく。不毛な闘いの果てに人間と動物たちは何を見るのか?イギリスの有名な児童文学を原作に、うさぎたちと人間との小さなお庭を巡るバトルをスラップスティックに描いたファンタジー。原作のことはよく知らないまま、さして期待せずに今回鑑賞してみたのですが、これがなかなかブラックな内容でいい意味で期待を裏切られました。なんたって冒頭から、ピーター・ラビットのお父さんは敵のおじいさんにパイにして食べられたと説明されるんですから!そして心臓発作で死んだおじいさんが〝アイス販売車〟で運び去られると、動物たちが家の中で狂喜乱舞のパーティーを開くというハチャメチャぶり。いや、いくら敵とは言え、おじいさん死んでますから(笑)。そしてやって来る甥の潔癖症男との闘いも狩猟用の罠やら電気網やら果ては爆薬まで使ってのもはや殺し合い。『パディントン』も裸足で逃げ出すようなそんな不謹慎な内容に僕はかなりテンション上がっちゃいましたわ~。甥が電気ショックでいちいち吹き飛ばされたり、ニワトリが朝一で鳴く理由が実は昨日の不満を爆発させていたり、ミュージカル担当の鳥たちが毎回酷い目に遭わされたりと、細かなネタの数々もいちいち笑えます。何も知らない画家のお姉さんの目の前では仲良くしてるうさぎと甥が、彼女が居なくなった瞬間にボコボコに殴り合うというのはベタですけど、やぱ面白いっすね~。何気におじいさんが死んだことを最後まで誰も悲しまなかったのもけっこうツボでした。んで、最後は無理やりなハッピー・エンドで気分爽快!いやー、内容のブラックさとうさぎたちのもふもふ可愛さのギャップに萌えました。8点!
[DVD(字幕)] 8点(2022-04-28 10:41:54)
16.  レリック -遺物- 《ネタバレ》 
都会で自立した生活を送っている中年女性ケイの元にある日、警察から急な連絡が来る。田舎の森の中で独り暮らしをしている80代の母親が数日前から行方不明になっているというのだ。母は少し前から認知症の傾向があり、何とかしなければいけないと心配していた矢先の出来事だった。すぐさま娘のサムとともに実家へと向かうケイ。地元警察と協力し森の中を何度も探すものの一向に母親の姿は見つからない。だが、一週間後、何の前触れもなく母親が帰ってくるのだった――。「お母さん、いったい今までどこで何をしていたの?」。そんなケイの当然の質問にも、母親は話をはぐらかすばかりで一向に答えてくれない。とにかく見つかってよかったとしばらく実家で暮らすことになったケイとサムだが、しばらくすると母親の不穏な行動が目につくようになる。放心したように虚空を見つめていたかと思うと急に激昂して怒り出したり、夜中に誰ともわからない存在と一人喋っていたり……。これは普通に認知症の症状なのか、それともほかの何かが原因なのか。森の中の一軒家を舞台に、認知症に苦しむ母親とその娘と孫の葛藤を終始不穏に描いたサスペンス・ドラマ。とにかくこの作品の全編に漂う、じっとりとしたいや~~~な空気にやられちゃいました。ずっと暗い画面にひたすら暗い会話を交わし続ける登場人物たち、そしてその雰囲気をさらに助長するような不快な音楽。これらの合わせ技がひたすら観客の神経を逆なでしてきます。でも自分はこのいやな感じ、けっこう嫌いじゃない。特に何考えてるか分からないお祖母ちゃん(まあ認知症なんで当然なのですが)、裸でボーっと突っ立っていたり、笑顔で話していたかと思うと急に怒り出したりと、次に何するか分からない不気味さがすんごく恐ろしい。そこに認知症という病気の怖さも絶妙にブレンドしてくるところなんか、この監督けっこういいセンスしてるんじゃないですかね。まあアリ・アスター監督のヒット作『ヘレディタリー/継承』にだいぶ引っ張られてる感も否めないですけど(笑)。最後、がっつりオカルト要素を出してきちゃったのは自分はちょっと否の立場。現実的ともどっちとも取れるようなオチにしてくれた方が、より不愉快な余韻を残してくれたような気がします。とはいえ監督はこれが長編デビュー作ということなので、次作も期待して待ちたいと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2022-03-28 07:35:32)
17.  美しい絵の崩壊 《ネタバレ》 
そこは奇麗な碧い海が何処までも拡がる、風光明媚なオーストラリアのとある観光地。小さなころから共にこの地で育ったリルとロズは、お互いのことなら何でも知っている大の親友同士。結婚も出産も子育ても一緒に乗り越えてきた二人は、もはや夫以上に深く結びついている。そして、お互いの一人息子、イアンとトムも今やすっかり一人前の逞しい青年へと成長していた。そんなある日、彼女たちの関係に微妙な亀裂が入るのだった。なんとお互いの一人息子とほぼ同時期に肉体関係を持ってしまったのだ。「こんなこと、人としての倫理に背いている」――。許されざる事態に深く思い悩むリルとロズだったが、何度も身体を重ねるうちに彼女たちはいつしか深い愛情を芽生えさせてゆくのだった。それぞれの関係を認め合い、ずるずると深みに嵌まってゆく母親とその息子たち。微妙な均衡のうえに成り立っていた四人の関係は、二年後、新たな若い女性の登場で徐々に崩壊してゆく……。子供のころから知っている親友の一人息子との禁断の愛に溺れる二人の母親をじっとりと描いた愛憎劇。そんな許されざる愛に苦悩する母親役をそれぞれ演じるのは、実力派のベテラン女優ナオミ・ワッツとロビン・ライト。ノーベル文学賞を受賞した作家の小説を基にしたという本作、これがまぁなんともイヤーーーなお話でしたね。お互い親友同士の母親がこれまた親友同士のそれぞれの息子と一線を越えてしまうというだけでもイヤなのに、それがバレてしまうと今度はお互い公認で愛欲の海に溺れてゆくというのがまたなんとも不愉快……。母親と息子たちが、それぞれレズ&ゲイっぽいとこも不快指数を上げてきます。谷崎潤一郎の『卍』も真っ青な、なんというドロドロな四角関係(笑)。当然そんな関係がうまくゆくわけもなく、お互いの息子がそれぞれ若い娘に惹かれてゆくとこからは、今度は老いに怯える中年女性の嫉妬という新たな不快要素もぶち込んできます。さすがに後半は「もう分かったから勘弁してくれ!」って感じで観てました(笑)。まあここまで不愉快なお話を、美しい自然の風景と年を取ってもまだまだキレイな主演女優二人の魅力とで最後まで魅せきったところは素直に良かったと思うんですけどね。作品としてはそこまで悪くないんだろうけど、僕はもういいかな。ははは……。
[DVD(字幕)] 6点(2022-03-02 11:02:52)
18.  プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵 《ネタバレ》 
1970年代、アパルトヘイトの嵐が吹き荒れていた時代の南アフリカ。政府のそんな理不尽な人種隔離政策に反発し、非合法な活動を続けていたある二人の白人青年が逮捕される。彼らの名は、ティム・ジェンキンとスティーブン・リー。裁判の結果は、それぞれ懲役12年と8年の実刑だった。判決は瞬く間に確定し、彼らは速やかに当時地獄と恐れられていた白人専用のプレトリア刑務所へと収監されるのだった――。だが、彼らはまだ諦めたわけではなかった。愛する者のためになんとしても脱獄しようと目論むティムが考えた驚きの方法。それは、刑務官が常に腰にぶら下げている鍵の形を暗記し、それを木で彫って複製しようというものだった。少しでも力を加えればすぐ折れるうえに、刑務所のドアを開けるためには外から差し込まなければならない。しかもそんな鍵が外に出るまでに10もあるのだった。無謀とも言える彼らの計画だったが、それでもティムとスティーブンは持ち前の執念と正義への情熱でもって少しずつ鍵を彫り続けてゆくのだが……。実話を基に、難攻不落とも言われた刑務所から決死の脱獄を図った二人の青年を描いたプリズン・サスペンス。主演を務めるのは、髭もじゃ顔がすっかりトレードマークとなったダニエル・ラドクリフ君。まぁいわゆる古典的な脱獄ものなのですが、本作の特徴はその脱獄の方法が木材で鍵のコピーを作ろうとするところ。しかも目で見ただけでその鍵の形を覚えようと言うのですからまさに無謀。そんな馬鹿な…と思わなくもないですが、この時代のしかも南アフリカですからこれくらいセキュリティが甘々だったのでしょうかね。これが実話じゃなかったら、「脚本家、テキトーに書きすぎ!」と途中で冷めていたところでしょう。とはいえ、脱獄のドラマだけに特化した本作は、その手のツボは押さえられていたのでけっこう楽しんで見れました。冷酷非道な刑務官にいつ見つかるか、彼らの計画がいつか露見するんじゃないのかと最後までハラハラドキドキの連続で目が離せなかったです。ただ、全体的な感想としては正直薄味。もう少し政治的な背景も描かれていればより深みが増しただろうけど、そこは敢えてバッサリ切っちゃったのは良かったのか悪かったのか。シンプルな脱獄ものとしては普通に面白かったんですけどね。
[DVD(字幕)] 7点(2022-01-02 04:55:50)
19.  ペンギンが教えてくれたこと 《ネタバレ》 
海外旅行中のタイで事故に遭い、下半身不随の障碍を負ってしまった母親とその家族の苦難の日々を実話を元に描いたヒューマン・ドラマ。3人のかわいい盛りの子供たちにも恵まれ順風満帆の人生を送っていたのにいきなり、そんな失意のどん底へと落とされてしまう母親を演じるのはベテラン女優ナオミ・ワッツ。タイトルにペンギンとありますが本作にペンギンは一切出てこず、実際はペンギンと名付けられた小さなカササギが物語の鍵となります。内容は、そんな小さな一羽の鳥がこの壊れかけた家族の絆を再生してゆくという、まあ率直に言ってベタなもの。物語の前半、不慮の事故により一生車椅子生活を強いられることになってしまったこの母親のあまりにも自己中心的な姿に、僕はちょっと観たのを後悔してしまうくらい腹が立ってしまいました。いやいや確かにしんどいのは分かるけれどもあなたより大変な思いをしている人はごまんといるし、自分を献身的に支えてくれる夫も居るし何より3人のかわいい子供たちも居るのに、何をそんな自分が世界で一番かわいそうみたいな態度取ってんだよ!っていう、ね。そう思わせるほどナオミ・ワッツの演技力が素晴らしいんでしょうけれども。まあ「子供がトイレで吐いてるのに自分はもう駆けつけることも出来ない、母親として私もう終わってる」という言葉には、確かに心動かされるものがありましたけれど。でも、その家族の元へと迷い込んだカササギとの交流を通じてこの主人公が次第に前向きな気持ちを取り戻してゆくというのは、実話ということもあってなかなか惹き込まれて観ることが出来ました。娘を思うあまり主人公に酷い言葉をはいてしまう母親の造形も何ともリアル。そして最後、色んなものを抱えながらもそれでも前を向いて生きてゆこうと決意する家族の姿には、素直にエールを送りたい気持ちにさせますね。ただ、最後にテロップで表示される「この母親はその後、カヤックで世界大会に出場し、障害者サーフィンで2度優勝した」との事実にはビックリ!え、そっちをメインで描くべきやったんじゃないの?(笑)。ここまでベタで行くなら、ペンギンとのエピソードはあくまでサブに抑えて、この失意のどん底にいた主人公がカヤックやサーフィンで世界へと羽ばたくというお話にした方がより面白くなったと思うんですけど……。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-14 17:05:48)
20.  パワー・オブ・ザ・ドッグ 《ネタバレ》 
1920年代のアメリカ南部を舞台に、牧場主の兄弟とこの家に嫁ぐことになったとある未亡人、そして彼女の息子のそれぞれ複雑に絡み合う思惑を濃密に描いた心理サスペンス。主演を務めるのは、人気俳優ベネディクト・カンバーバッチとベテラン女優キルスティン・ダンスト。監督は、カンヌでパルムドールを受賞した名匠ジェーン・カンピオン。というわけで、観ながら思い出されるのはやはり同監督の名作『ピアノ・レッスン』でしょう。許されぬ愛に身を焦がす男女をこってり濃厚に演じたホリー・ハンター&ハーベイ・カイテルに負けず劣らずの熱演を見せてくれます。特に、ほとんど風呂にも入らず悪臭を放つ荒くれ者でありながら実は繊細な心の持ち主である牧場主を演じたB・ガンバ―バッチは見事でした。愛のない結婚生活から次第に酒に溺れてゆくK・ダンストの切なげな表情もなかなか良かったです。そして、最初は頼りない若者に過ぎなかった彼女の息子が次第に何考えているのか分からない得体のしれない存在へと変貌してゆくのも不気味でいい。ただ、『ピアノ・レッスン』と比べるとどうしても地味な印象を持ってしまったのも事実。何が足りないのかと考えてみると、それはやはり音楽なんじゃないでしょうか。あちらでは世界的なピアノ奏者マイケル・ナイマンの繊細で美しい旋律を持ったピアノ曲が全編に流れていて、非常に気品溢れる芸術作品へと昇華されておりました。対して本作、最後までほとんど音楽が使われず、終盤まで何とも地味な展開で気持ちが離れてしまうこともしばしば。最後に各々の思惑が明らかにされ、人間の底知れぬ怖さが浮き彫りになるというのは良かったのですが、いかんせんそこまでが長すぎます。いろいろと興味深い部分も多かったのですが、それと同じくらい欠点も目につく作品でありました。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-14 03:12:56)
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