61. パリ・ルーヴル美術館の秘密
なんにも、面白くないですね……。説明もなく、たんたんと働いている人たちの姿を映すだけ。その様子も大して物珍しい作業でもない。たとえば絵の運搬風景は普通の引越しと変わらないし、救命訓練はただの救命訓練であって美術館とはあまり関係ない。またほぼ事務的な会話しかしない職員たちに感情移入することも魅力を感じることもない。インタビューや解説は意識的に排除したんでしょうが、失敗でしょう。非常に退屈。電車の窓から眺める風景の方がまだ楽しいくらいです。 1点(2005-02-23 22:26:51) |
62. ミクロコスモス
普段は気にも留めないちっぽけな虫の世界が、想像をはるかに超えて美しい。もちろんグロテスクなところはあるけど(とくに毛虫の群れとか、忘れたい)、アブラムシを取り巻くアリたちとテントウムシの動きや、闘うクワガタ、雨に戸惑うミズスマシ、濡れたクモの巣、奮闘するフンコロガシに、巣から覗くハチの幼虫など、透明感のあるきれいな映像のオンパレード。虫が地面を踏みしめる音まで聞こえてくるのが臨場感があってまたいい。小さな虫たちの生活がこんなにもドラマチックなものだったなんて。そして画面の虫たちの足元にときおりさらに小さな虫が通ることに気づいて、この世界の巨大さ、繊細さを実感。溜息が出ました。 7点(2005-02-19 02:23:00)(良:1票) |
63. 山猫
高得点が並ぶ中あれなんですが…わかりませんでした。確かに映像は美しい。豪華絢爛で、恐ろしいまでに徹底的な美意識。でも、自分にはとても退屈で…しかも僕が見たのは180分以上ある初公開版を再現したもので、通常版よりもさらに長いもの。ファンの方が観ればとても楽しめたのでしょうが。そろそろ終わるかな、この場面でしめかな、と何度も思ったのにまったく終わる気配がない。あまりにも長いので「もしかして自分は次元のひずみに迷い込んでしまって、これから永遠にこの映画を観続けるのではないか?」と疑ったほどでした。軽く本気で。しかし終盤近くの公爵が涙を流す場面などは、とてもよかった。(失礼ですが)あんなおじさんの涙が、あれほど美しくなるものなんですね。個人的にはアラン・ドロンよりも公爵の存在感の方が強烈でした。二時間くらいに編集したバージョンなら、もっと点数は高くしたでしょう。 3点(2005-02-06 01:34:29) |
64. シビラの悪戯
何をしたいのかがよくわからない。シビラがなぜあの普通のおじさんを好きになったのかもわからなければ、そもそも彼女の性格もわからない。おじさんも、シビラに恋する少年の心情も細かく描写されず、終盤一気にドラマチックになっても説得力がない。この脚本で主要登場人物に感情移入するのが難しいのは致命的。 脇役とそのエピソードの方がよほど面白い。シビラを中心に据えてセックスに関するユーモラスな群像劇を描くのかと思ったが、核となるべきエピソードが一番つまらないのでがっかりした。詩的な原題に比べて、なんて空虚なドラマなのか。無理やり劇的なラブストーリーにしようとしなければ面白かったかもしれない。 (後、シビラの声が汚い。鼻詰まりの少年のような声で、ハスキーとかそういうレベルじゃなく、汚い。個人的な好みだが、声の汚い女性は嫌いなので彼女の魅力も半減した。) 3点(2005-01-24 04:24:36) |
65. キャンディ(1968)
ポップでえっちな不思議の国のアリス。可愛くてお洒落な雰囲気はいいんだけど、面白いかといわれたら微妙。あの軍人のとこが一番笑えた。なぜか常に前方から風が吹いている詩人も好きだけど。フィナーレも個人的には好き。 なんとも言いがたい映画ですね。インド映画をみせられたようなカルチャーショックがありました。 5点(2005-01-23 05:36:45)(良:1票) |
66. まぼろし
まだ若いのもあって私には大切な人を失った経験がなく、その痛みは想像もつきません。夫の失踪を受け入れられず、幻想で何とかバランスを保つ妻。それでも否応なくつきつけられる現実が幻想を少しずつ打ち壊していきます。そして終盤の彼女が泣いているシーンで、夫の死を受容して終わるのだなと思いきや…あのラスト。いったいどう解釈すればいいのか…幻想に逃げた哀しい結末だったんでしょうか? それにしては圧倒的に美しい光景で、けっして陰鬱なシーンではありませんでした。 ところで、私は『ポネット』のような作品が嫌いです。「お母さんはあたしの心の中で生きている」と言って立ち直るのですが、ずいぶん妙な理屈だし、そもそも喪失の痛みってそんなに生易しいものでしょうか。もしかしたら、一生その痛みが癒えることはないかもしれない。思うに、愛する人を失って生きていけるか?と問われてはっきり答えられる人は少ないでしょう。だからこそ、曖昧なラストでよかったと思います。答えは一人一人の胸の中にしかないからです。それに、彼女が現実を選んだにしろ幻想を選んだにしろ、あそこまで人を愛することができたということ自体、奇跡には変わりありません。どんな解釈をしたとしても、あの海の美しさは誰にも否定できないでしょうから。 9点(2005-01-23 05:20:52)(良:1票) |
67. エル・スール
残念ながら、私には合いませんでした。ちょっと地味すぎて(繊細、というべきなんでしょうが)。映像はまずまずきれいだけど、主人公の女の子はたいして演技が上手いというわけでもないのであまり魅力を感じません。個人的には「南」のシーンがないのも欠点だと思います。未完の作品だと知らずに観た上で、「中途半端すぎる」と素直に感じましたから。 5点(2005-01-19 19:59:55) |
68. スイミング・プール
《ネタバレ》 ランプリングの存在感。神経質で底意地の悪い感じ、単なる狂人ではなく、どこかが壊れた普通の人、といった人物造形が絶妙だ。こういうオチはありがちだが、それを多重人格のようなセンセーショナルなネタを使わずに作家の創造性で説明しているのがいい。日の光にゆらめくプールの水面、裸で泳ぐ若い女、唐突に行われる殺人……これはいわばプールにぷかぷか浮んでまどろんでいるうちに見た白昼夢のようなものだったのだろう。心地よく、美しく、幸福感に満ちた、しかし背筋が冷たくなるような狂気もかいま見える夢。楽しいけれど、油断すると何かに足首を掴まれて水中に引き込まれそうな、得体の知れない不安がある。プールからあがった後、楽しく泳いでいたはずのプールが、実はある女の心の中だった、というぞっとする真実に気付かされる。 [映画館(字幕)] 8点(2005-01-16 02:54:14)(良:1票) |
69. ノー・マンズ・ランド(2001)
善玉も悪玉もなく、自己中心的な正義と盲目的な憎悪が相乗して悲劇にいたる。場を収めようとしていた人間がもっとも悲惨な末路をたどる。これは戦争と、あらゆる争いの縮図。個人的には、戦争映画とはこうあるべきだと思う。 7点(2005-01-15 18:13:32) |
70. ウェイクアップ!ネッド
ほのぼのすぎてあんまり笑えないか、ブラックすぎて笑うに笑えないかのどちらかでした。 3点(2004-11-03 15:35:00)(笑:1票) |
71. ミスター・ノーボディ
150人の敵と対決するというから、いったいどうするのかとわくわくしながら観ていたら、ダイナマイトで敵をかく乱して逃げただけ……? だいたいあんなにうまくいくものだろうか。見るからに目立つ鞍に爆薬入れて銃撃戦に行くバカがいるか? 話としてはまずまず上手くできていると思ったが、肝心の戦闘シーンで冷めてしまった。 5点(2004-08-10 04:08:31) |
72. 焼け石に水
話自体は地味で、狭い人間関係の範囲で終わるし、短い。だけど、すごく面白い。ずば抜けたセンスが光る、コンパクトでシャープな切れ味の佳品。サニエの裸に目が釘付けなのは皆さんと同じです。登場人物全員がお尻を振るダンスシーンのインパクトも絶対忘れられそうにない。 7点(2004-07-30 19:22:57) |
73. 予告された殺人の記録
これはひどい。原作に対する思い入れが強かっただけに、なおさらひどく感じる。これはガルシア=マルケスの小説とは完全に別物だし、あまりにもレベルの差がありすぎる。きれいな映像なのは認めるが、それだけ。原作では挿話に過ぎなかったエピソードを最後に持ってきて、鮮烈なラストシーンが削除されているのには本当に驚いた。しかも被害者に濡れ衣を着せた女が好きな男とくっついた姿を一種の救いのように描くなんて、いったいどういう神経をしてるんだ? この映画を作った連中は原作のことなんて何も考えていない。文芸ぶっているだけの退屈な作品で、観るだけ時間の無駄だ。 3点(2004-07-30 03:14:40) |
74. 少女首狩事件
確かにつまらない、ありきたりな話。でも実話に基づいているだけに描写のリアルさにはぞっとさせるものがある。血の痕跡を探すルミノール反応で、部屋の壁一面に反応が出る辺りは結構怖かった。しかし最後の刑事の行動、バカ過ぎないか? 勝手な判断で不法侵入、犯人ばかりかその罪のない家族まで死なせて…… 3点(2004-05-02 13:59:40) |
75. 戦場のピアニスト
財産も家族も、誇りをも奪われ、(こういう言い方はすごく失礼だけど)ほとんどいやしいまでに生に執着する人間が奏でる音楽が、あんなにも澄んだ音で響く。ドイツ人将校の前で弾いたあの曲を聴いたときの気持ちは、とても言葉にはできないです。 9点(2004-05-02 12:50:33) |
76. ヴィドック
摩訶不思議な映像世界が好き。錬金術師の鏡の仮面、炎の上がる溶鉱炉での戦い、落雷による殺人事件などなど、観てよかったと思えた。物語はすかすかなので、きっと映像感覚がツボにはまるかどうかで評価が決まってしまうんじゃないだろうか。まったく期待せずに観れば、ラストも読めずに案外楽しめるかもしれない。錬金術師がアホみたいによく動くのにはちょっと笑った。お前は体操選手かと。 [ビデオ(字幕)] 7点(2004-02-28 05:31:18) |
77. 夜と霧
残酷な映像が力を持つことは確かだけど、映画それ自体はさほど優れているとは思わない。衝撃を与えているのは映画の作り手の力じゃなく、真実の力のほうでしょう。資料としての価値はあっても、映画としてはたいしたことない。踏み込んだ考察があるわけでもなく、編集も普通のドキュメンタリー。内容が内容だから事実の重みに何もいえない雰囲気がありますが、ドキュメンタリー映画としてのできはどうなんでしょうか? 5点(2004-02-25 04:31:44) |
78. つめたく冷えた月
普通。ひどいというほどではないけど、いまいち光るところがなかった。あと、音楽の使い方が安っぽい。 5点(2004-02-25 04:08:38) |
79. アレックス
おすすめできません。 [DVD(字幕)] 9点(2004-02-25 03:36:34) |
80. ミニミニ大作戦(2003)
アクションなのに暴力シーンが少なくて、ストーリーとキャラクターだけで楽しませてくれるので洒落た印象。いい意味で軽い、良質のエンターテインメント。あと、ひたすらやな奴で情けないノートンが○です。 8点(2004-02-24 02:49:30) |