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21.  七人の侍 《ネタバレ》 
黒澤監督の全盛期の作品って、実は観たことが無くって(乱と影武者だけ)。何かこう『観る時には正座しなきゃ駄目かな?』なんて、“世界のクロサワ”って冠に自ら敷居を上げて鑑賞。 普通に大人から子供まで楽しめる娯楽作品だったことに驚愕。肩肘張ってたところ、一気に楽な姿勢を取り戻して、戦国末期の世界感を堪能できた。『その世界に入り込める』というのは映画では結構重要な要素で、最近の邦画だと特に演者が番組とかで観る芸能人に見えた瞬間から現実に引き戻される。だけどこの作品では、三船ではなく菊千代、志村ではなく勘兵衛と、まるでこの世界で生きているように思えた。  序盤、言葉の聞き取りにくさは感じたけど、案外慣れてしまうもの。聞き取れない言葉はすっ飛ばしても楽しめるのが娯楽作の醍醐味かもしれない。 二百七分という長時間も、一部:侍集め『侍を七人集める』 二部:準備『侍と百姓の掘り下げ』 三部:戦闘『残る野武士三十三人を斬る』と、綺麗に三部構成に分かれている。それぞれの達成条件が解りやすい。 登場人物の魅力も一際で、平八の薪割りは胴に入っていて、浪人生活の長さを感じさせるし、五郎兵衛の優しそうな笑顔は仕官先を探している浪人(第一印象が大事)らしい。  利吉の女房の表情に息を呑む。目が覚めても慰み者の身は変わらず。現実世界に希望も見出だせない虚しげな表情の美しさ。一転して驚き、恐怖、恨みの笑みに変わる。凄い。ここで初めて味方側にも犠牲者が出るが、最後はとても淡白だ。あんなに魅力的な人物が、何の余韻も残さずに呆気なく死ぬ。娯楽映画とは言え、死の緊張感がある。単身闇討ちを掛ける久蔵が無事帰ってきたことへの安堵と、勝四郎が代弁する魅力。子どもたちが七人の侍遊びをしたら、きっと菊千代役と久蔵役の取り合いだったことだろうな。 魅力的な登場人物と分かり易い物語。よく出来た娯楽映画で、とっても面白かったです。
[DVD(邦画)] 10点(2022-05-15 23:21:13)(良:2票)
22.  天空の城ラピュタ 《ネタバレ》 
劇場で2連続で観て以来、TVでやってても観ることなく、今回DVDを買って36年ぶり?に観ました。 やっぱり面白いなぁ。宮崎監督が実力に伴う評価をされてきた時期の作品なので、アブラの乗り具合が違う感じ。フラップターとかゴリアテとか、アイデア満載の不思議なメカを出し惜しみしないところが、才能が溢れてる感じで好き。私は特にオープニングの永遠に穴を掘れるショベルがお気に入り。 宮崎監督の才能だけでなく、当時のアニメーターの実力、久石譲さんのセンス。要塞襲撃のカメラワークとテンポと音楽は神懸かってます。 さて“血湧き肉躍る冒険活劇”については皆さんのレビューをご参照頂くとして、“思春期と成長”について書いてみます。  少年少女の冒険は、なにも宝探しや悪者との追いかけっこだけじゃない。身近な女の子を異性として意識するのも立派な冒険。 おさげアタマに地味なネイビーのワンピースを着た、いかにも幼い少女という出で立ちだったシータ。パズーの服を着て帽子を被れば女の子だとバレないくらい。パズーの家で目覚めてから靴を履くシーンの子供っぽさは、誰も見てないところだけど、彼女のあどけなさを強調するために敢えて入れたんだろう。 そんな子がタイガーモス号に乗ってからは、ウエストを絞って、猫背がちだった背筋を正し、胸を強調してきたからさぁ大変だ。まさに“カワイイは作れる”を実践するシータ。大人の海賊たちも彼女にメロメロなんだから、パズーも溜まったものじゃない。 タイガーモス前と後で、胸に限らず等身から表情まで女になるシータ。当然、わずか3日位の劇中で彼女が成長したのではなく、主人公であるパズーがシータを“同年代の子供”から“異性”として見るようになったからだろう。  パズー目線だけでなくシータの中でも成長が見られるのは、ドーラからキッチンを任されたシーン。汚いキッチンを相手に腕まくりをするシーンから、極端に胸が大きくなる(ように見える)。『さぁ男どもの腹を満たすぞ!』と、彼女の中の女“母性”が目覚めたシーン。 ラピュタに上陸して、シータが腰の紐を解こうとしてると、パズーに急に抱きかかえられた時に不意に出た声。ヘタクソならここは「キャッ!」とか言わせるところを「うわっ」と言わせる。この「うわっ」は、女性が気を許した相手だけに“素の自分を見せる”アレね。当時のアニメのヒロインは普通「うわっ」って声出さないでしょう。宮崎監督と横沢啓子さんの手腕、高等テクニック。その後2人は(一瞬だけ)熱いハグをしてクルクル回りだす。シータの腰に回した手。ボーっと見上げる空にはツガイの鳥(ヒタキ)。あぁもうエッチ。 そして若い2人は滅びの呪文を唱えてしまう。皆さん大好きな「バルス!」。呪文の結果はあの通りだったけど、効果の範囲が分からない呪文を唱える意思の強さ。自分たちだけでなくドーラ達も死ぬかもしれない。もしかしたら世界が滅ぶかもしれない。好きな人を守るために世界を滅ぼしてしまおう。って思える若さが良い。少年に出来るのは世界を救うことでなく、目の前の女の子を助けるので精一杯なんだ。  ラピュタは子供向けのマンガ映画のワクに収まらない青春映画。未来少年コナンのラナと同じ12歳という年齢は、当時の宮崎監督の中の、性の対象/非対象の境界線だったんだろう。最後まで子供の容姿だったラナが、いかにしてナウシカ(16)のような“女”になるか。シータは登場時ラナ(子供)っぽく、映画の終わり頃にはナウシカ(女)っぽくなっている。その成長を安直な色気ではなく、直接的な描写・表現を入れずに一本の映画で表現。 パズーも赤ら顔一つ観せず、真っ直ぐな冒険少年の姿しか観せないから見落としがちだけど、少年少女の大冒険の中に、思春期の異性への思いを織り込んでいるのは、見事としか言いようがない。
[映画館(邦画)] 10点(2022-05-03 12:05:13)(良:2票)
23.  レスラー 《ネタバレ》 
-The Wrestler- これは“レスラー”という職業であり、生き方でもあるんでしょう。 小さい頃プロレスは結構流行っていて、猪木VSマサ斉藤の巌流島の戦いとかあったっけ。だけどプロレス=八百長という先入観があって、あんまり見てなかったな。当時まだお子ちゃまだったから、“相手の技を(敢えて)受ける”美学を理解できなかったんだ。  グランジの登場した'90年代をディスるシーンは物凄く共感できるし、子供とファミコン(?)するシーンも良かった。エンディングに掛かるスプリングスティーン('80年代のスーパーヒーロー)の曲も素晴らしい。輝かしい'80年代の栄光と、時代と年齢の変化に対応できなかった男の悲しさ。演じたのがミッキー・ロークだから、より心に響く作品に仕上がったと思う。 '90年代に入りパッタリ出番の減った人気俳優ミッキー・ローク。甘いマスクがいつのまにかゴツゴツのお顔になり、時々映画内のキーパーソンとして出てくる“名前だけは知られている過去の人”だった彼が、まさかプロレスラー役で映画の主役を演るなんて、世の中不思議なものですね。  「もう充分だ、俺を抑え込め」心臓に爆弾を抱えたランディを気遣うボブ(アヤトッラー)の優しさ、20年ぶりに闘う友への気遣い。観方を変えると思いっきり八百長だけど、今の私にはこのプロレスの美学も理解できる。 ランディの目線の先にパム(キャシディ)は居ない。必殺技『ラム・ジャム』を出す決心をした瞬間の、運命を受け入れた表情。もしあの場でパムの姿が見えたら、ランディは違う結末を選んでいたかもしれない。 レスラー人生の最後。そして恐らく自身の最後を、ファンの期待に応えることで自分を納得させる不器用な生き様。 ストリッパーのパムもランディ同様、歳を重ねると厳しい仕事をしている。他の生き方を選べなかった不器用さに、お互い共感できることも多かったろうに。 ボクサーの第二の人生のスタートを観せてくれた“ロッキー”のエンディングとはまた違う、だけど同じくらい熱いものがこみ上げてくるエンディングでした。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-04-26 21:01:39)(良:1票)
24.  E.T. 《ネタバレ》 
“E.T. THE EXTRA-TERRESTRIAL”『地球外生命体』。細かく言えば『陸上生物』で、“Intelligence”が入ってないので『知的生命体』ではありません。話を聞いただけの友達の言葉から命名したからだけど、なぜエリオットが愛称に“イーティー”を採用したかは謎。  この友好的な宇宙人E.T.って、どんな姿をしているんだろう?って、公開前から話題の映画でした。公開後も、おもちゃ屋さんにE.T.人形が並んで大人気に。それでも劇中の動くE.T.の姿は一切公開されてなかったと思う。 ポスターの指合わせは、友好を表現する挨拶になってたから、友達と喧嘩して仲直りするときは「ごめんね」と言う代わり(照れ隠し)に指くっつけてたっけ。 新春かくし芸で研ナオコのドラマ(“イーテフ”だったか、研ナオコがE.T.だったと思ったけど、記憶違いっぽい)で盛り上がって、私も本物を観たい熱が。 忙しいママンに「お姉ちゃんと観ておいで」と言われ、別な映画が観たかった姉が熱弁「みんな英語で喋るんだよ?あんた解る?字幕の漢字読める?」それでもいい!観たい!という私に、姉「E.T.はね、実は白黒映画なんだよ、きっと退屈して寝ちゃうよ?」それは、困る。当時8歳の私にはその嘘を覆す知恵もなかったわ。一気にシュンとしてしまって、ママンも「トシちゃん観ておいで、そっちも面白いから」って。姉と一緒に『ウィーン物語 ジェミニ・YとS』を観に行きました。面白かったです。  その後E.T.はテレビ放送もされず、ビデオデッキが普及しても暫くVHS化されず、いよいよレンタル開始ってときは、もうワクワクが止まらなかったわ。 いざ視聴・・・・あれ?内容殆ど知ってる。子供の頃に観た“イーテフ”と、ほぼ一緒。終わり?これで全部?びっくりする何かはないの? 本作を観ること無く、リスペクトされた作品を多数観たことの弊害で、まるでインパクトの無い出涸らしのような印象を持ちました。当時、あの時代、あの空気の中で観るべき作品だったんだなって。リスペクトやパクりは超有名作品の宿命。たまに遭遇する“古いけど隠れた名作”って、当時不人気で内容パクられることが少ないから、今観ても面白いのかも?  第一印象はそんなだけど、複数回観るとオリジナルのパワーを感じられます。 舞台は閑静な住宅街と、近所の森だけ。子供が自分の足で行ける範囲なんですね。子供が汚い言葉で話し、夜集まってタバコ吸ってピザ注文してママのケツ触ろうします。BMXのカッコイイこと。大人相手に戦うために気合い入れるサングラスやマスク。スタントだってバレない工夫なんだけど、カッコイイ。 騒がしいスクールバス。カエルの解剖の緊張感。飲酒(子供に飲ませるのは難しいからって、あんな方法で表現するのは流石)。好きな子にいきなりキス(足がキュッと内股になるのがエロいぞ)。そしてきれいな夕焼け。静寂に包まれる夜の森。まさに学生時代の放課後。子供時代の冒険物語です。 本作はアメリカ人にとっての『となりのトトロ』なんでしょうね。   ~興味があればE.T. 20周年アニバーサリー特別版へ~
[ビデオ(字幕)] 8点(2023-09-09 11:17:50)(良:1票)
25.  ローマの休日 《ネタバレ》 
-Roman Holiday-  “野蛮な見世物” “他人を苦しめて得る利益” NHKのバラエティ番組で紹介されていたから、ご存じの方も多いだろうけど、古代ローマの王族や貴族が、娯楽として剣闘士の殺し合いなんかを観る様子。なんだそうです。原題については色々な解説があるけど、私はこの古代ローマの剣闘士に該当する存在がアン王女なのかな?って思いました。  誰もが羨むハズの王女という立場。なのに彼女の願いは庶民の当たり前の生活。 24時間自由がなく、決められたことしか言えず、病気の時以外休むことが出来ない存在が現代の王女。 そして王女を見世物として楽しむのが庶民。庶民が楽しむネタを集めるのが新聞記者。アン王女を見世物として新聞記事を書き、それが特ダネであるほど利益が挙がる。王族を金儲けと庶民の暇潰しのネタにする時代が来るなんて、古代ローマ時代には考えられなかったことだろう。  偶然出会った酔っ払いの女性がアン王女と知ったジョーが、真っ先に閃いたのが金儲け。雲の上の存在のアン王女が、一般市民と同じ事をして喜ぶ姿は、王族の地位を貶める大スクープになっただろう。 記者会見の別れ、アンとジョーだけの秘められた記憶。ローマ中を駆け回り、自由な生活を満喫するアン王女の無邪気な笑顔。許されない淡い恋。たった一晩の自由はアンに王女としての自覚を与え、ジョーを金儲けより大切なものに目覚めさせた。王女らしくない振る舞いを記録した数々の写真は、アービングの手によってアンだけの思い出となる。  “王女が一日だけ庶民になって羽根を伸ばす”なんてシンプルで脳天気な物語の様でいて、その奥には自分の立場を受け入れて生きていく、大人の女性の切ない別れが描かれている。アン王女のその姿が、デビュー間もないオードリーの、この映画をキッカケに人気女優として駆け上る姿と重なるから、一時の流行りものではなく、永遠に愛される作品にしているのでしょう。   最後に“ジェラート(アイス)のコーン食べずに捨てる問題”について記しておきたい。 私の年代だとZガンダムで初めて観た人が多いと思う。食べられるものを食べずに捨てるのは衝撃だった。まさかそのモトがローマの休日だったなんて…。 スペイン広場でジョーとの会話中、さり気なくコーンをポイ捨てするアン王女。『王族だからコーンが食べられると知らず、食器や包み紙の一種だと思って捨てた』説。なるほど、説得力と優しさが感じられる説だけど、花屋との可愛いやり取りを思い返すと、ジェラート屋にコーンを返したりせずにその辺に捨てるのもどうか?ジョーがコーンに無反応な所からも、これは後付の説っぽい。 『コーン食べないのが当時のブーム』説。「パジャマの上だけ着て寝るの~」なんてのに憧れるアン王女だけに、こちらのほうが正解っぽいかも。ただ場所が観光名所だけに、あそこでポイ捨ては後の世に与えた影響は大きかった。画面上あそこでジェラート食べてるのアン王女だけだし。そこはナマの情報に疎い王女が、雑誌で知った流行りモノを、ちょっとやってみたかった。って考えると、なんかとても可愛らしい。 このシーンの時計の針は有名だけど、花屋とのシーンと合わせて、長時間ジェラートを食べ続けたであろうオードリー。絶対食べ飽きてるにも関わらず、私たち庶民に『一生に一度でいいからスペイン広場でジェラート食べたい』って思わせる名シーンであり、舌を出してコーンの中まできちんと美味しそうに食べて見せるオードリーの姿が、新人らしくてなんとも健気。
[地上波(吹替)] 9点(2022-05-16 23:12:06)(良:1票)
26.  ゴッドファーザー PART Ⅲ 《ネタバレ》 
シリーズはⅡからⅠへと無限ループする作品だと思ったので、このⅢをどう食い込ませるか興味を持って観た。外伝、後日譚の趣の作品で、すでに作品として完成している前2作と混ぜるより、ゴッドファーザー・サガ(未見)の続きとしてみると良いのかもしれない。 ファミリーのためにマフィアの世界に身を置いたマイケルが合法ビジネスに全面転換を始めた。ファミリーの合法化はマイケルの目標だったと思うので、それを諦めず30余年の時を経てようやく。と思った。 コニーはファミリーの良心だと思ったから、Ⅱの終盤でアンソニーを呼び戻したことを、彼女の中でどう消化していたのか気になった。“フレドの不幸な事故”にして自分を納得させていたんだな。だけどコニー自らザザ暗殺を指示していたのが驚いた。しかも甥っ子のビンセントを使ったのにも、なにかコニーらしくないというか…そう変わっちゃったんだな。と思うところだろうか。 ケイの「アンソニーの“NO”はあなた譲りよ」。そうと決めたら変わらない、変えられない性格だと言いながら、あの時の“NO”は忘れてない。と、シリーズらしさを出している。 ビンセントを見ていると、ソニーが生きていたらとつくづく思う。Ⅱのデニーロ扮するビトーの性格や考え方が、4人の子供に極端に分かれて遺伝したように思う。タラレバだけど、ファミリーがビトー→ソニー→ビンセントと続いていたら、きっとフレドも生きていて、マイケルもコニーも穏やかに暮らせたんじゃないだろうか?トムのその後もどうなったのか、もう少し語ってほしかった。 メアリー…と言うよりソフィア・コッポラが酷評されていたのは覚えている。確か日本公開前から酷評されていて、まるで彼女が作品の足を引っ張っているかのような印象付けだったと思う。完成したときから『良作だけど前2作には及ばず』な評価を想定して、叩かれ役としてソフィアの演技の未熟さを前フリしていたとしたら、フレドを殺したマイケル並みに映画界ファミリーって恐ろしい。 マイケルの最後として見て良かったと思う。若干アクションに寄ってしまった感はあるけど、クオリティの高さは維持していて、決してシリーズの名を汚すような作品じゃない。特にエンディングのダンスの回想は素晴らしい。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-02-24 10:49:12)(良:1票)
27.  エクスペンダブルズ 《ネタバレ》 
-THE EXPENDABLES-“消耗品”。 かつて映画ファンを熱くさせたあのヒーロー達が、当時の世界観のままに年齢を重ねて登場。まるで同窓会の会場で扉が開く瞬間のような、そんな映画。 もうね、ドルフ・ラングレン≒イワン・ドラゴって刷り込まれてる世代には、スタローンとラングレンが再び共演するってだけでワクワク。そんなに出番は無いっちゃ解っていても、シュワルツェネッガーやブルース・ウィリスも登場するってなったら、もうフェスティバルのカーニバル。更にリー・リンチェイにミッキー・ロークと容赦ない豪華ラインナップ。もう2000年代のアクションスター、ジェイソン・ステイサムでさえ小僧に見える。 夏休みのまんが祭りの『マジンガーZ対デビルマン』や『ウルトラマンVS仮面ライダー』、畑は違うけど『U.S.A.for AFRICA』や『猪木VS馬場』みたいなモンで、内容がどんなに塩っぱくても、薄っぺらくても良いんです。もうこの、本編を見る前の期待感から、映画は始まってるんです。  最近のバリッとした2010年のアクション映画だけど、薄~いメッキを剥がしたら、あらら80年代のアクション映画そのまんま。 自虐的なタイトルから連想されるように、全盛期からおよそ20年以上も経って、当時と同じことをしてる馬鹿馬鹿しさ。 話次第では将軍と協力して共に戦う事も出来ただろうに、アタマは使わず己の肉体だけを使い、ただただ敵を倒す単純さ。 この映画を観ると、自分たち(アメリカ)の正義を一方的に押し付ける80年代のアクション映画が、どうして廃れたのかが見えてくる。 そこまで含めての自虐映画だと思う。 スタローンがこの映画を作ってくれたことに満点を付けたいけど、5~7点を目指して作られた映画に10点は失礼なんで(そうか?)、7点にさせて頂きます。
[地上波(吹替)] 7点(2022-01-09 14:48:07)(良:1票)
28.  鉄道員(ぽっぽや)(1999) 《ネタバレ》 
あぁ、これは高倉健さんの遺言。とても私的なメッセージの映画だったんだな。 国鉄からJRになり、赤字合理化と人員削減、廃線に追い込まれる炭鉱時代の花形路線は、当時の日本映画業界の弱体化のようだ。 この作品で映画界から引退を考えていたかは解らないけど、まだ自分も業界も元気なうちに撮っておきたかった映画なんだろう。 健さんのセリフの「ぽっぽや」は全部「映画俳優」や「役者」に置き換えても通じそう。 雪子の作った鍋を食べながら、膝を正しての告白は、健さんから自分の周りの人たちへの、感謝の言葉に思えてならない。 健さんは江利チエミさんと結婚し、子供を授かるが中絶、離婚ののちチエミさんも亡くしている。 実の妻と子供への思いを、映画人らしく佐藤乙松を演じながら、泣きながらの懺悔をしたんじゃないだろうか。 当時まだ若い頃に見ていたら、また違った感想だったかもしれないが、自分も歳を重ねたのと、健さんが亡くなった今だからそう思える。 後出しジャンケン。後半は涙が止まらなかった。  当時売れっ子の広末涼子との共演は、健さんの希望より監督らの希望=若い観客にも高倉健の映画を見てもらいたい、ヒロスエ目当てでも良いから…じゃないかな。 最後の小林稔侍の「聴いて泣かせるうちは、ぽっぽやも、まだまだ」は、「まだまだ映画でやれるよ」という健さんへのエールだろう。 この映画が1999年という区切りの年に公開されたのも、本作以降主演作は数本あっても大きな映画賞は辞退されているのも、健さんの色々な決意の現れに思える。 しかし、ぽっぽやが健さん主演のファンタジー映画だったとは思わなかったなぁ。 そして当時の広末涼子の美しさと透明感はハンパない。昭和の映像にいきなり現代人が出てきたみたい。 あとエンディングの歌と電車の画は、まるでジブリ映画の実写版ようだった。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-02-16 00:41:10)(良:1票)
29.  帰ってきたヒトラー 《ネタバレ》 
“Er ist wieder da”『彼が帰ってきた』。この映画、とても内向きというか、ドイツ国内・ドイツ国民向けに作られた映画に思えます。移民に困っていたドイツ人の中にフツフツと湧いていた不満を、思い切った登場人物にぶった切ってもらう。 ヒトラーを頭ごなしに“悪”とみなす(と思われた)現代社会に、ヒトラーを置いて直接話させてみたらどうなるか?ドキュメンタリー風な撮影から、思いのほか好意的な人が多いことに驚いた。でもこれ、台本なしの会話にしても半分ジョークとして答えてるようにも思えるのと、モキュメンタリーの可能性も否定できない。エンディングで顔が黒塗りの人もいれば、顔出しでナチス式敬礼してる人もいて、何かそんなリアリティが却って造り物っぽく思えたかな。 この映画の目的・着地点は『誰もが知る悪のハズのヒトラーが、何故か民衆の心を掴んで現代社会で受け入れられていく』ことで、本当のハプニングを楽しむ映画ではないだろう。  バラエティ番組に初登場した時の長い沈黙は、ヒトラーのカリスマ性をしっかり感じさせた。そして低俗なテレビ番組の批判。彼の演説に引き込まれる観客。笑わせる所で笑い、考えさせられる所で考える。過去から学んだハズのドイツ人が、解決できない今の問題の答をヒトラーに求める。 実際『シェパード・ダックスから純血のシェパードは生まれない』の話は説得力があるというか、その通りだと思う。最近の多様性を変に認める世の中の動きに怖さも感じる。単一民族というその地域に根づいた人種の境界線を否定するような、曖昧に濁して混ぜてしまうような恐ろしさ。面と向かって移民受け入れを否定することが悪のように思われる世の中。多様性の行き着く先が、ネットで目にする『日本の地方都市の国道』の、同じチェーン店ばかりのツマラナイ風景になるようにも思える。それはそれで恐ろしい。  ただ、ヒトラー×ナチスがユダヤ人に対して行った極端な政策の反動から、昨今の思い切った政策を行えないドイツの弱さに繋がっているとも言えるかもしれない。日本も同じかもしれないけど。 言いたい不満を自分が言えない代わりに、ズバッと言える行動力あるカリスマを支持する。1933年、ヒトラーは暴力と恐怖でドイツを支配したのではなく、民衆の自由意志で選ばれて首相になった。それもまた恐ろしい。
[インターネット(字幕)] 6点(2023-05-09 23:33:01)(良:1票)
30.  ダイヤルMを廻せ! 《ネタバレ》 
~Dial M for Murder~ダイヤルのMは“殺人”のM。 序盤、完全犯罪のタネ明かしから入るのは珍しいと思った。説明聞きながら電気を消して、暗い中で動けるかとか確認するスワンも芸が細かい。 タネ明かしから見せるってことは、当然その通りにいかないって想像が付くんだけど、奥さんが私も出掛けるって言われたときはドキッとした。その後時計が止まって計画がズレるけど、こっちは特に悪影響なかったんだっけか? 優秀な警部相手に、とっさの思い付きで“駅で彼を見た”とか“上司の電話番号を聞くため”とかポンポン出てくるトニー。苦しい言い訳にも取れるけど凄い。 マークの推理が、最初の完全犯罪のタネ明かしとほぼ一緒なのが、ハラハラして面白い。さすが推理小説作家。 最後の鍵がマーゴのでなくスワンのだと気がつくシーン、警部の読み通りになるところをトニーのセリフ無しで見せるのも上手いなぁ。 しかし、殺人とは言え、不倫カップルに制裁を加える夫が悪人に描かれるって、なんか時代を感じてしまうなぁ。最後にマーゴとマークが警部と一緒にトニーを出迎えるところ、ハッピーエンドと言って良いんだかモヤるけど、全てを諦めて二人に酒を薦めるトニーが格好良くも見えた。  そもそも鍵を開けてすぐ、階段のカーペットに鍵をしまったスワン。自分の家の鍵とそっくりだからそうしたのか?家の鍵が多様になった最近の家では使えないネタ。このアパートの玄関、この時代にオートロックなのか?トニーが出ていくとき鍵かけてないよーな。 有罪から死刑になって執行されるまで早っ!とか、警部令状もなしにマーゴの鍵で家宅捜索しようなんてアウトローとか思ったけど、一番ビックリしたのがインターミッション。105分の映画で途中休憩が入るなんて予想外だった。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-08-17 21:38:47)(良:1票)
31.  オクラホマ・キッド 《ネタバレ》 
-The Oklahoma Kid- “オクラホマ小僧” ってところか? 西部劇なんかでよく『○○キッド』って出てくるけど、Kidって仔ヤギの意味らしい。 仔猫のキティ、仔犬のパピイみたく。どうしてChildの砕けた言い方に仔ヤギを充てがったのかは解らないけど、当時はアメリカだけで通じた使い方らしい。 1939年、第二次世界大戦中の映画で、私が観た中では駅馬車と並んで古い西部劇。舞台となるタルサに街が出来たのが1894年とあったから、舞台は45年前なんだな。相手を殺しても正当防衛であれば許された時代。たった45年でこの違いは面白い。  クリーブランド大統領が「先住民に適正な銀貨を渡し、保留地を明け渡させて開拓する」と宣言。…なんかちゃんとお金払ってるし、良い大統領にも思えるけど、この当時アメリカで大量の銀が産出されて、世界的に銀の価値が下がっていった時代。まさに“目先のあぶく銭でインディアンを追い出した”カタチ。 肥よくなオクラホマに集まる開拓者たち。チェロキー族に渡す銀貨を奪うマッコード一味。更にそれを奪うオクラホマキッド。『チェロキー族と自然保護のために戦うオクラホマキッド』なんて、この映画の方向性が見えてきたと思ったけど、なんか違う。  保留地のインディアンは一切出てこないし、キッドは盗んだ銀貨でギャンブルしてる。キッドが文明が発達することを拒むのは、街が栄えると悪党が私腹を肥やすから。強いものが奪う世界。まだ法律では身を守れない世界。悪党の煽動で殺された無実の父。スレスレの正当防衛で父の仇を倒すキッド。最後は仲違いしてた兄との絆も復活。 製作年を考えると、モンロー主義で、ヨーロッパの戦争(土地の争奪戦と街の発展)は、自分と無関係な立場を取っていたアメリカがキッド。 法を守って無残な最期を遂げた父は、ナチスやソ連に侵略されたヨーロッパ諸国。ジムと兄弟なのを認めない、実直な兄ネッドはイギリスだろう。 今の目で観ると、追い出されたインディアンのその後とか、盗んだ銀貨のその後とか、色々もやもやするけど、ジェーンと結婚してハッピーエンディング。 これでいいのだ。当時は。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-02-13 10:50:24)(良:1票)
32.  ある愛の詩(1970) 《ネタバレ》 
“Love Story”『恋愛小説』。直球勝負の思い切ったタイトルです。どんな内容かも想像がつくタイトル。そしてこの、美しくもどこか悲しげなテーマソングは聞き覚えがありました。 小説と映画の同時進行(メディアミックス)の先駆けだったんですね。テーマソングをレコードで掛けながら小説の続きを読み進める…なんて立体的な楽しみ方も出来た作品だったことでしょう。  冬の寒空の下、スケートリンクの端に一人の男が座っている。その横にタイトル“Love Story”。テーマソングがサビに入り、この映画の一言目が「彼女は25歳で世を去った」と。驚いたことにこのお話は、男女の恋愛物語の『結末』から始まります。そして彼女との出会いの回想に続き、2人がどのように愛を育み、なぜ彼女は世を去ってしまったのかが描かれていく。  クリスマスの朝方にジェニファーは亡くなるけど、彼女が息を引き取るシーンは描かれない。 オリバーとジェニファーが、最後の晩にベッドで抱きしめ合うシーン。このシーンが2人の最後として描かれる。 死別を描いた映画だと、その後の彼女が息を引き取る瞬間がクライマックスで描かれそうなものだけど、この映画では一切オミットしている。彼女を失った夫(オリバー)と父親(フィル)の別れのシーンへと続く。そしてオープニングのスケートリンクへと繋がる。  神を信じない2人は、夫婦となることを神に誓わない、新しい時代の結婚式を上げた。2人には天国や転生といった概念がない。 オリバーの中で、彼女と出会った図書室から、彼女と別れた病室までが延々とリフレインされる。それが終わることのない2人の“Love Story”…なんて、ちょっと怖い方向になっちゃったね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-01-20 14:08:50)(良:1票)
33.  千と千尋の神隠し 《ネタバレ》 
大好きで何度も観てしまう映画。 公開当時は月に何度か映画館に通っていて、その際に千と千尋のCM(オープニングから両親が豚になるまでの冒頭映像)を観て、『宮崎監督、今度はオカルト映画を作ったのかな?』と、その世界観と、今までとは違う“美少女じゃない”主人公に引き込まれた。この時点でもうこの映画が好きになってた。 過去の経験から宮崎映画は子供連れが多い。今回レイトショーを選んで正解だった、静かに鑑賞できた。  日常の風景から早々に知らない世界に放り投げられる感。ナウシカもラピュタもそうだけど、架空の世界を作らせたら宮崎監督の右に出る者がいないと思う。 日本が舞台なだけに、初めて見るけどどこか懐かしい飲食店街。現実にありそうでない油屋の建物。山形の銀山温泉、群馬の四万温泉、愛媛の道後温泉、台湾の九份…ズバリここです!って場所がないぶん、却ってあっちこっち温泉地や繁華街から、良い意味での既視感が感じられ、日本の文化って、良いなぁって再認識させてくれた。※油屋の湯は沸かしの薬湯っぽいから、温泉じゃないと思うけど、ちょうどこの頃温泉ブームだったね。 八百万の神ってのも良い。見た目が怖かったりするけど、大根やひよこが神様っていう日本古来の神に対する考え方は、最強だったり奇跡を起こしたりの海外の神様と全く違って、発想がほのぼのしてて、穏やかだなぁ。たぶん私の根っこの部分がすごく共感したんだな。  「ここで働かせてください!」「私のことはハク様と呼べ」「おめぇ良くやったなぁ!」建前と本音、上司という存在、職場の友人…遊ぶための小遣い稼ぎのバイトではなく、生きていくために働くこと。私自身が社会に出て間もない頃だってのもあって、温々した学生生活から、突然社会に自分を合わせなければいけなくなった千尋の気持ちがよく伝わった。 初日震えながら知らない部屋の布団に入る千。後日その部屋で肉まん?を食べる千。自分の家じゃないけどホッと出来る部屋になってるのが良かった。そう、休憩室とか食堂とか、会社でホッと出来る居場所って大事なんだよ。 千の気持ちになって物語を楽しんだけど、失敗しながらも自分の力で努力する千と、何も積み重ねてないカオナシ。こういう中身のない大人いるよな…一歩間違えると私もカオナシだ。それと同時に自分の居るべき場所って大事だなって思った。カオナシはひとまず銭婆のもとに行けてよかった。 最後に湯婆婆を「お婆ちゃん」と呼ぶ千尋。退職した怖い上司が、ただのお爺ちゃんになっていたのを思い出した。社会の仕組みはどこも似たようなものでも、会社の関係は所属中だけのもの。あんな怖い湯婆婆も、外から見ればただのお婆ちゃんなんだな。  なんかすっごく話が反れてしまってるけど、仕事で辛い時、ここで頑張ってる意味を再確認したい時とかに観たくなる映画。 で、観た後は温泉行きたくなるんだよなぁ。
[映画館(邦画)] 10点(2021-08-09 22:23:50)(良:1票)
34.  トップガン 《ネタバレ》 
-TOP GUN- “アメリカ海軍戦闘機兵器学校(NFWS)”の通称。 当時大ヒット&大ブレイクしました。トム・クルーズもトム・キャットも格好良かった。音速のドッグファイトとノリの良いサウンドの組み合わせ。デンジャー・ゾーンのノリも好きだけど、トップガンアンセムの静かに盛り上がる曲も好き。どうしてサントラ盤はギターが激しいんだろう、大人しいバージョンも入れてほしかったわ。 ミサイルが同じ場所から出てたり、洋上なのに陸地が見えたり、敵機が残り1機なのに2機映ってたり、そんな事が些細に思えるほどに本物のF-14Aの美しさ。特撮じゃない空撮の迫力。世界最強の航空戦力。あの雰囲気、あの格好良さに勝るもの無し。  カラオケで告白なんて、アメリカ人があの陽気なノリでやるから、もう格好良いのなんの。マーヴェリックてかトム・クルーズが相当歌が下手なのも見事にノリでカバーしてる。最後トイレまで追い掛けていって、グースとの賭けにインチキで勝つところもオチャメ。 アイスマンって嫌な奴&あの事故ってわざと?って思ってたけど、規律を守る常識人だし、本当に不可抗力な事故だったんだろう。ロッカールームでマーヴェリックに、一旦呼吸を整えてから「・・・ミッチェル」って名前で話しかけるトコ、ホント根が優しい人って感じ。  トップガンと言えば格好良いシーンで掛かるノリノリのロックが目立つけど、面白いのは懐メロが3曲ほど出てきたとこ。 カラオケで歌ったライチャス・ブラザーズの“ふられた気持ち”はピートとチャーリーのお互いの告白に。 グースが愛する妻キャロルにピアノ弾いて歌ったのはジェリー・リー・ルイスの“火の玉ロック”。 ピートの両親が好きだった曲としてオーティス・レディングの“ドック・オブ・ベイ” ノリノリのトップガンのサントラには入ってない3曲だけど、この映画では2人の愛を懐メロで表現しているのが面白い。 ベルリンの“愛は吐息のように”この曲も今ではずいぶん懐メロだけど、ピートとチャーリーの愛のテーマであり、デートムービーとしてトップガンを観た私たちの愛のテーマにもなっていた(と思われる)。だってみんなサントラ持ってたし。クラスに1人はサントラCD持っていて、それをみんなカセットテープにダビングして聞いてましたよ当時は。私もTDKのADに入れてたっけ…あぁ懐かしい。  最後にマーリンについて書いておこうと思う。今ではネットで簡単に調べられるから、ご存じの方は飛ばしてください。 公開から暫くして、ビデオとかで観てる時、最後の甲板で突然ヌゥっと出てきて「え!?もしかしてティム・ロビンス?」って、私たちををびっくりさせてくれたのが、マーリン。公開当時は無名だったから気にもしてなかった。 彼はいつから居て、どこで何してた?実は最後、マーヴェリックのレーダー要員、つまりグースの後任を努めてました。グースの死後、トップガンでは日章ヘルメットの黒人レーダー員(サンダウン)が後任だったけど、卒業式の緊急命令の時にヴァイパーが「レーダー員が居なければ私が飛ぶ」って言ってたから、この2人のどっちかがレーダー員を努めてたと思ってた。なのにどうしてマーリン? 実はマーリンは最初のミグ遭遇時の、クーガー機のレーダー員。本来だと空母エンタープライズからはクーガー/マーリン組がトップガンに行く予定だったけど、クーガーが辞職してマーヴェリック/グース組が行くことに。マーリンはそのまま空母に残ってたんだろう。腕は良いんだろうに。 で最後の緊急命令時もたまたまエンタープライズが母艦に選ばれて、最初の編隊チームだったマーヴェリックとマーリンの2人が、お互い固定パートナーが居ないから組めた。って流れでした。最後に突然登場したと思ってたけど、最初から映ってて、けっこう喋ってたんですねぇ。
[映画館(字幕)] 7点(2022-07-04 00:38:39)(良:1票)
35.  男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎 《ネタバレ》 
シリーズ33作目。本サイトでは寅さんシリーズ・ワースト3に入るくらい低い点に警戒する反面、私の好きな登が久々に登場する回(※事前に調べてた)ともあって、複雑な思いで観始めました。 当時私は中原理恵さんが大好きでした。欽ドン!毎週観てました。綺麗で可愛くて面白くて、こんな人が私のママンだったらなぁ…なんて思ったこともありましたよ。欽ちゃんブームが下火になった辺りから、彼女もあまり観なくなりましたね。今回久しぶりに彼女を観られて、そしてやっぱり綺麗な人で、なんかすごく当時を思い出せて嬉しかったです。 更に釧路(うわっ都会だ!)に根室(…田舎だ)に霧多布に中標津と道東てんこ盛りな回で、それもまた嬉しかった。あの樽の中をぐるぐる回るオートバイ・サーカス。札幌はじめ北海道の夏祭りの花形イベントでしたが、最後の一座もコロナの最中に人知れずひっそりと閉業されたそうです。  登の再登場は良かったけど、あの別れ方は悲しかったなぁ。だけど、カタギになった登と、時代に取り残された寅のフーテンぶりを敢えて観せる演出と思えば納得です。悲しいけどね。タコ社長の娘のあけみ。むか~し社長一家が出た時に、わらわら居た子供の一人なのかな?なんかぶっ飛んだキャラクターで好きです。美保純かぁ。味があるなぁ。トニー。名前からして住む世界が違う人です。ハーフ役かな?あだ名かな?思わせぶりなセリフを最後に出なくなるのは、確かにモヤモヤする。栄作。欽ドン…じゃないか、でも欽ちゃんファミリーの懐かしい顔。こちらも退場のしかたがちょっとだけど、面倒くさい旅の仲間っぷりが良いアクセントになってたわ。  マドンナ・フーテンの風子。中原理恵が好きなせいもあるけど、この後先考えずに憎まれ口叩いてしまう性格なのは、作中自分で言ってる通り。とらや&寅連合VSマドンナって図は初めてかも?最後のとらやでの言い方に怒りを覚える気持ちも解ります。みんなで優しくしたのに掌を返すようなやり方でって。その気持も解るけど、弾かれ者だった風子が、同じ境遇のトニーを嫌いになれない気持ちも解るなぁ。  最後の熊。モロぬいぐるみのニセモノ熊には失笑だけど、前作でレオナルド熊がニセモノ寅を演じた繋がりってことで、最低マドンナの烙印押されてる風子共々、許してやっちゃ、くれないだろうか? ちなみに私の中の最低マドンナは高見歌子(吉永小百合)です。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-12-17 23:00:15)(良:1票)
36.  シンドラーのリスト 《ネタバレ》 
二度と再視聴しないだろうと思っていた映画だが、たまたまCSで放送されたのと、最近始めた趣味(レビューを書く)の為に観ることにした。20年以上前に観たっきりだが、ほぼ全編を覚えていたから驚いた。それだけ衝撃的でわかりやすく、印象に残ったんだろう。 ホロコーストを扱った映画で残酷な描写が多く、ものすごく重たい。こんな、精神異常者の衝動殺人みたいなことが、近代オリンピック後の先進国により国家主導で行われていたことが恐ろしい。  『映画ほどの善人じゃなかった。』とも言われているそうだが、彼の行なった結果は善行に他ならないし、それが出来るだけの権力を持っていた。プワシュフ強制収容所という閉鎖された空間で、共に絶対権力を手に入れた実業家オスカー・シンドラーと親衛隊少尉のアーモン・ゲート。 賃金の安いユダヤ人を使い、戦争で荒稼ぎをして金銭欲を満たすシンドラー。 下級将校でありながら強制収容所所長の座に付き、気分次第で人を殺害するなど、支配欲を満たすゲート。 シンドラーはゲートに酒や女を提供し、ゲートはユダヤ人女性とキスをして捕まったシンドラーを救う。この権力者二人は、飲み仲間で友人同士だ。 シンドラーを善行に動かしたのは会計士のシュターン。彼は常に死と隣り合わせの生活をしながら、一人でも多くの生活を向上させるための努力を惜しまなかった。 リストを完成させたときシンドラーに「このリストの外は死の淵です」と伝えるシュターン。シンドラーがこの言葉の意味ときちんと向き合えたのは、戦争が終わり自分が逃走するときだった。それだけ、奔走していたとも言える。 開放されたシュターンたちが、どこに行くでもなくその場で朝まで寝過ごしたことも、自由を奪われてきた期間の長さを物語っていて印象深い。  この映画では色んなシーンで対比が描かれる。豪邸を追い出され、雑居アパートに移り住むユダヤ人家族と、その豪邸に移り住み満足げなシンドラー。アウシュヴィッツから生還出来る列車に向かうシンドラーの女性たちと、列車で届けられたばかりの未来のないユダヤ人たち。沢山の石を積まれたシンドラーの墓石と、道路にされたユダヤ人の墓石。 対比と言えるか微妙だが、ユダヤ人を一列に並べて一発の弾で射殺するシーンがある。インディ3で、一列に並んだドイツ兵を一発の弾で倒すシーンがあったが、同じような構図で観る者に真逆の感情を与えるスピルバーグって、とんでもない監督だ。
[地上波(吹替)] 9点(2021-02-24 00:10:18)(良:1票)
37.  ぼくらの七日間戦争(1988)
学校への不満、教師への反抗、立入禁止の廃工場、自分たちだけの生活。誰もが共感できて、誰もがワクワクする。私も同級生と、当時こんな事がしたかった。かつて少年少女だった全ての人のロマン。 でも初めて観た時は、私はもう15~6歳だったから、面倒くさいお年頃だったと思う。 外国のデモ隊と警官隊の衝突のニュース映像なんかを見た経験から『機動隊のやられ方、嘘くさ!戦車が出てきた時点で、警察も本気でツブしにくるだろ』学校祭の出し物、展示物を何日も掛けて制作した経験から『最後の罠とか花火とか、嘘ばっかり!』なんて。特に映画の後半部分の嘘くささが鼻について、気持ちが冷めていったっけ…あぁ、もう少し子供だった頃に観たかった。 いい大人になった今は、TMネットワークの歌とともに懐かしさも感じながら、当時よりずっと楽しめたかな。  何より宮沢りえの“時の人オーラ”が凄い。彼女の白い肌と透明感。他の女の子と並んだとき、腰の位置が違う。このあと芸能界で色んな仕事をさせられるけど、このときは宮沢りえの存在全てが絶対領域だった。 体育教師にジーンズの裾を引っ張られて破れる。中山役の宮沢りえをホットパンツ姿にする見事な演出。 中山「エレーナをそんなにぶたないで(棒)」カッキーが戦車を見上げると、あらら大胆な改造ホットパンツに。 ここのシーン、しゃがんだ中山が立ち上がるまでを、もっとネチッこく撮りたかったハズだし、その意図で入れたシーンだと思うけど、意外なほどアッサリしたカメラワーク。“宮沢りえをそんな目で見てはいけない”という意識が働いたのかもしれない。なんて思ってしまうほどの彼女の存在感だった。 菊池と中山の仲を見て急に機嫌が悪くなる安永。かといってこの三角関係が発展するとか無く、淡いままで終わらせるとか、いかにも当時の中学生らしい。 エース菊池と補欠の相原が仲が良かったり、絵の得意な久美子が、鉄の扉の外側でなく内側に大きな絵を書くとか、彼女の才能と内向的な性格が出ていてすごく良い。このくらいの歳まで、みんな才能も明るい希望や夢もあるけど、画一的な教育社会では、みんなの才能が世間に認められるわけじゃない。  61式戦車も重要。なんであんなところに居たのかは謎だけど、それが却って不思議で面白い。 何年も放置されたであろう古い鉄の塊。子どもたちの修理なんかで動くシロモノじゃない。それが動くなんてファンタジーだ。 まるでアイアン・ジャイアントやラピュタのロボット兵並みに、子どもたちのピンチに「・・・どれ、助けてやるか」と動き出すエレーナ。 61式は戦後初の国産戦車で、一度も戦闘で血を流すこと無く、今では全車退役しているそうな。そんな平和な時代の、動くはずのない戦車が、子どもたちを助け、みんなを載せて敷地内を楽しそうに駆け回り、元の位置の戻り、エンジンが焼けて寿命を迎える。 人に向けて撃つことのなかった大砲は、子どもたちの七日間戦争の終わりを告げる花火を打ち上げる。  今見ても最後の大暴れ、完成度の高すぎるトラップの数々が、11人の子供が頑張った感=リアリティが無くやりすぎで残念。 小規模にするか、せめて他の生徒も応援に来てみんなで…とかなら、多少説得力も増しただろうか? 最後どうなったのか。子どもたちはあれだけのことをして『楽しい思い出が出来たなぁ』くらいな感じで学校に通う。 バラバラに転校もさせられず、ワンポイント・ソックスも勝ち取れず、校長先生に殺されもせず。何もなかったかのような登校風景。 子供も大人もお互いに理解し合えず。って結末。最後が惜しい。
[地上波(邦画)] 6点(2021-08-25 14:23:49)(良:1票)
38.  バンド・ワゴン(1953) 《ネタバレ》 
~The Band Wagon~『時流(に乗れ)』って名前の劇中の舞台劇。 この一年くらい、過去にあまり見てこなかったミュージカル映画を観るようになったけど、この映画を見てアステアのダンスの凄さが伝わった気になった。 靴磨きのダンスがいきなり凄い。前半は磨き台の上だからほぼ足の動きだけで踊って見せる。その動きの多彩さ・華麗さに驚いた。 アステアの身体の使い方を観ると、特に足もと、大きな動きの前に小さな予備動作?が入ってるんだけど、一連の動作に無駄がなくて美しい。相当体幹が優れてないと出来ない動き。 それを涼しい顔してやってのける。細かく大胆に動く下半身に対し、上半身は優雅で滑らか。公園でガブリエルとのダンスの美しいこと…こんな書き方しか出来ないけど、とにかくスゴイなって思えた。  当時のゲームセンターって手作り感が面白い。あの“?”の箱にあんな仕掛けがあったなんて。 公園で社交ダンス(無料参加イベント?)してるのも、当時はそういう文化があったのかな? コードバのキャラが魅力的。なんかスポンサー相手に、熱心にファウストを説明するコードバに声を出して笑ってしまった。良いキャラだなぁ。 最悪の初対面をしたトニーとガブリエルがだんだん仲良くなって、吸えないタバコを勧められてぷかぷか吹かすガブリエル可愛い。 大失敗の公演初日のあと、無人のパーティ会場と、若い団員の打ち上げの対比。そこからの方向転換、仕切り直しで盛り上げるトニーと、舵取りをトニーに譲るコードバの柔軟さが良い。最後のプログラムをめくる毎にミュージカルナンバーを流す演出も良かった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-06-07 15:32:44)(良:1票)
39.  エイリアン2 《ネタバレ》 
“Aliens”『異星人たち』洋画の原題に興味を持ったキッカケがこの映画なんです。 まだパソコンやプリンタの普及していない平成初期、ダビングしたビデオテープに、インレタって方法で綺麗に背表紙ラベルを作るの、たぶんここのレビュワーの多くの人も、やってたと思います。「えぇと、ALI…EN……ん?2じゃなくてS??」気がついた時に本当にショックを受けました。前作で1匹だったエイリアンが、今回はたくさん出てくるから、シンプルに複数形の“S”一個を持ってくるこのセンス。しかも“S”を裏返したら“2”なんですね。当時の続編作品といえば、大味、マンネリ、悪ノリが当たり前だった時代、ハリウッドのSFアクション映画に、こんなにも繊細なタイトルを付けるなんて!  さて、初見は中2の頃かな、友達で集まってのビデオ鑑賞会でした。エイリアンと言えば有名なSFホラー映画(当時は未見)、この2も当然怖いんだろう、でも、ビビリの自覚はあるけど、友達にビビリの烙印は押されたくないぞ!と、平気なふりをして耐えることにしましたが…怖さより興奮のほうが遥かに勝ったわ。 ドロップシップ墜落に落胆し、いっしょに籠城準備している気になり、天井裏から迫るエイリアンに驚愕し、最後のドロップシップの脱出に手に汗握り、ホッとしたのもつかの間、クイーンの再登場に驚き…エンドロールから最後のカサカサまで、完全に映画の中に入ってたわ。  数日後改めてレンタルしました。観たばっかりの映画をレンタルするなんて…パッケージをマジマジ見て『今度は戦争だ!』の文字に妙に納得。そうだ、これはSFホラーというより、上質のSF戦争アクション映画だ。 '80年代は現実世界の延長線上のリアルな近未来、サイバーパンク映画真っ盛りだった時代。バークの渡す電話カードに未来を感じ、リプレーがよじ登るドロップシップのタラップの、画面左にあるクルクルコードにリアリティを感じた時代だったわな。 アームが伸びて腰に固定するスマートガン、バスケスとドレイクの阿吽の呼吸に痺れた人は多いだろう。 APCにズラッと並んだ生体監視モニター。エイリアンと初接触した際の、ザラザラのモニター越しに、リアルタイムに仲間が殺されていく絶望感。ショットガンを撃つヒックスを客観的に観せる画は、まるでドキュメンタリー映像のよう。  APCに踏み潰されるエイリアン。クシャッと潰れる頭部。バスケスとゴーマンの最後。あの役立たずの中尉が最後に見せた勇気。キャメロン監督のテーマとも言える戦う女と自己犠牲。 登場人物全員が兵隊ならともかく、映画の主役リプレー(記憶違いかもだけど、最初期の字幕ではこうだった記憶が…)は民間人。こういう場合、映画の中の兵隊って、ワラワラと数だけ多い、いわゆる雑魚キャラなのが通例だったと思う。きちんと個性と見せ場を創るのは珍しかった。 「みんなが守ってくれるわ、兵隊さんなのよ」彼ら宇宙海兵隊はきちんと仕事を果たし、守るべき民間人と生き残った生存者を宇宙戦艦まで連れ帰った。そして最後はリプレー自身の戦い。戦争映画のゴタゴタで有耶無耶にするのではなく、毎晩悩まされる悪夢を振り払う戦いで決着を付ける。ヒューマノイドとの確執も払拭しているのも地味に素晴らしい、続編ものとしてこれ以上無いくらい完璧な終わり方。  兄「またエイリアン2観てるのか?お前、どれだけ好きなんだ…」10代の頃、それこそ月に2回は観てたと思う。ダビングしてたのを日曜の昼間、茶の間で観て、洋画劇場でやればリアルタイムに観て、その後LDを買って自分の部屋のテレビでも観てたわ。たぶん私の人生で一番観た映画が、このエイリアン2です。  ~『エイリアン2/完全版 』に続く~
[ビデオ(字幕)] 10点(2023-01-31 00:09:36)(良:1票)
40.  見知らぬ乗客 《ネタバレ》 
~Strangers on a Train~電車の中の見知らぬ人。邦題のままでよいです。 二人の男の靴(足もと)から始まり、靴がぶつかって話が始まるオープニングがスタイリッシュ。 何度も出てくる小物『ブルーノのタイピン』よりも、この時締めてた可愛いロブスターのネクタイが気になったわ。 テニスコートで一人首を振らないブルーノの不気味さ。 パーティでバーバラ(ヒッチコックの一人娘だったんだ)を視ながらカニンガム夫人の首を絞める異常さ。 証拠のライターで自分のタバコには火を着けるけど、他の人にはわざわざマッチを使う変なこだわり。常人じゃないところが上手く表現できていたと思う。 名前のあるちょい役と思ったヘネシー刑事が、主人公といい感じに友達感を出して、バーバラにもバラバラ殺人のネタ話で怖がらせたりと、とても魅力的なキャラクターになっていた。 アントニー家に侵入。懐中電灯と地図の見せ方はダンジョン感があり、途中の犬も怖くてハラハラ出来る。 高速回転のメリーゴーラウンド。ガイとブルーノの格闘より、下をくぐる刑事さんの方が観てて怖かった。 全体的にゆるい感じはあるけど、ぼや~っと観ているうちに、その世界観に引き込まれる。 ヒッチコック作品は、後年のカラーの方が有名な作品が多い気がするけど、モノクロの方が若干、私自身の評価が甘めになっている気がする。掘り出し物を見つけた感があるからか?単に初期→中期作品のほうが私の好みに近いからか?
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-06-24 23:57:33)(良:1票)

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