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61.  トゥルー・グリット 《ネタバレ》 
「いちご白書」のキム・ダービーがマティに扮したオリジナルは見ていません。 コーエン兄弟の映画は変わったのばかりではないらしく、オーソドックスで画作りが端正で美しい西部劇、でも彼らの底知れないダークネスみたいなものも潜んでいそうな。 ヘイリー・スタインフェルドは子役あがりではなくポンと出てきた子のようですが、すごくしっかりしていて魅力的な新人。 彼女のマティが中心にいることで、他の西部劇とは一味ちがうものになっているよう。 マティは男まさりというより、見た目は少女でも頭や心は少年のそれで、自分が女であることがもどかしいような風情。 けれど、あの小屋をふりかえる表情はやっぱり少女のものに見えました。 自分が復讐の旅に出なかったら、彼らも命を落とすことはなかったと、そこまで考えたのかどうか。 復讐は因果なもの。 周りを巻き込み、時には本人をも。 ジェフ・ブリッジスは「クレイジー・ハート」もよかったけれど、この隻眼の保安官ルースターもいい。 自分の腕が衰えてないのを見せるべく意地をはるところなんか可愛かったし、いつのまにかできていたマティとの絆に心熱くなる。 ラビーフのマット・デイモンは途中姿を消す脇役なのが意外でしたが、脇役もこなせる人が本物の役者でしょうね。 時を経て忘れられない人を訪ねるラストの寂しさも、一篇の詩のようでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-10-08 06:59:57)(良:1票)
62.  天国の日々
穏やかな暮らしを夢見てうたれた芝居が三つの心を落日のように染め分けてゆく。ふたりを愛した娘の心は誰のものであったのか。彼女らのために命を落とした男たちの眠る大地の上を女たちは駆けてゆく。
[映画館(字幕)] 8点(2006-03-29 20:15:48)(良:1票)
63.  ドリームチャイルド
少女を偏愛したルイス・キャロルことドジソン教授と彼の特別のお気に入りだったアリス・リデル。長じて老ハーグリーヴス夫人となったアリスの30年代ニューヨークへの旅、そして遠い過去となったヴィクトリア朝イギリスへの心の旅が描かれる。アリスが触媒となり、キャロルの内面まで炙り出した作品は恐らくこの映画だけだろう。かなり良心的な解釈がされ、健全さを踏み外してもいない領域においてだが。とても30歳には見えないドジソン役のI・ホルムは、卓越した演技力でキャロルの神秘のヴェールを剥いでみせる。不思議の国に登場する数々のクリーチャーも登場するが、当時のJ・ヘンソンの腕をもってしてもかなり見劣りする出来であり、作品の魅力を削ぐことにもなっているのは惜しまれる。アリス役のA・シャンクリーはややもすればリデル嬢のオーラに欠けるかもしれないが、彼女が水辺にて忠実な従僕であるドジソンの胸に頭をあずけるシーンは秀逸。実際にはこのような情景はなかったであろうが「黄金の昼下がり」の象徴として、流れる水面(みなも)のような時の一瞬を掬い取った場面として心に刻まれる。ハーグリーヴス夫人のキャロルへの謝辞をもって映画は幕を降ろすが、生涯をあの物語に付き纏われる運命から逃れ得なかった彼女の本心は、神のみぞ知る。
[映画館(字幕)] 8点(2006-11-11 22:33:18)(良:1票)
64.  エバー・アフター
シンデレラってペロー童話以外にもあり、エリナー・ファージョンの「ガラスのくつ」のように独自の味つけがされた作品。 ドリューは茶髪にしていてシュワ似?の王子さま、テンポもスローでシンデレラなのに魔法使いは出さず実話としての作りでも、舞踏会のドレスは羽つきで妖精のような灰かぶり姫にフェアリー・テイルらしさが。 アンジェリカ・ヒューストンの意地悪継母ぶりが堂に入っていて、彼女のためにこしらえたのかシンミリする場面もあり、継姉のうち一人はいい子なのもうれしい配慮。 「ロック・ユー!」にチョーサーがいたように、これにはレオナルド・ダ・ヴィンチが登場し、冒頭のダニエルの肖像画は彼の「ほつれ髪の女性」(1508)をアレンジしたもの、時代はこの頃ということでしょうね。 最初と最後ではジャンヌ・モローがグリム兄弟に貫禄を示し、西洋はおとぎ話と地続きなのが感じられます。 少し地味だけど好きな人がいるのがわかる HAPPILY EVER AFTER。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-04 07:00:15)(良:1票)
65.  ナショナル・トレジャー
監督タートルトーブは「あなたが寝てる間に…」「クール・ランニング」などのヒューマン・ハートフル系のイメージがあるけど、原案もこの人ってことは男の人は胸に大きなロマンを抱いてるの? ディズニー=ブラッカイマー印だけじゃなく、過激な描写が少ないのもこの監督の資質からなのかも。本物の宝探しって地味な作業だと思うし、それでも十分ワクワクさせてくれるのですよ。(「黄金虫」「マスグレーブ家の儀式書」を読んだ時みたいに) ショーン・ビーンの悪役はいつもよりギラギラしてなくてお間抜けなくらいで、優雅な立ち姿にはホレボレ。デミ似のダイアン・クルーガーも「トロイ」のヘレンより意志的な美女。ニコラスは「絶対刑務所には入りたくない!」で「フェイス/オフ」を思い出しちゃうな。プラマー、カイテル、ボイトのオジサマたちも脇を固めててそんなに悪くないんじゃないのかな?
[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-12-24 19:49:34)(良:1票)
66.  月の輝く夜に 《ネタバレ》 
シェールの代表作。 芝居がかったセリフが多いのが舞台劇のようで、その面白さはウディ・アレンとはまたちがうイタリアン・テイスト。 確執のある兄弟とそれぞれに関わりを持つロレッタの変身後も濃厚に美しいけれど、飾っていない変身前の方が顔立ちのよさが見えやすい感じ。(地がいいということですが) マザコンのジョニー(ダニー・アイエロ、瀕死の母を看取りにいくシシリアン)と愛のない婚約をしながらロニー(ニコラス・ケイジ、まだ髪フサフサのパン職人)といい仲になってしまう彼女、さいご危機一髪なところをスコーンと小気味よく決まってくれるのが、逆転ホームランの爽快さ。 ローズ(オリンピア・デュカキス)がダンナの浮気にバシッと言えるのも、自分が魅力的な誘惑を退けたからこその力強さで、大団円にわけわからずに××してるおジイさんがオカシイ。 イタリアン・ファミリーの一騒動には、ニューヨークを照らす満月の魔力も関係していそうです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-03-08 07:00:07)(良:1票)
67.  ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬
ジョニー・イングリッシュ、8年ぶり?(前作はマルコヴィッチが変なフランス人だったくらいしか覚えてない…) 満を持しての登場かどうかはわからないけど、前作より作りこんでるよう。 パロディの方が本家より007っぽいのは皮肉なれど、意識的に「クレイグ以前」の雰囲気にしてあって、007本来の軽妙さや荒唐無稽を尊重してるというか。 M、Q、マネーペニー的な人物もおり、ジリアン・アンダーソン(ペガサス)は茶髪にしてるので、「X-ファイル」のスカリーと気づかない人もいるかも。 パッチが車椅子の人なのは、当然プロフェルドも意識してのことでしょうね。 ロイヤル・ブルーの衣装が素敵なロザムンド・パイク(ケイト)はボンドガール出身。 デビューがそれだったのは後悔してるといっていたけど、コレに出てるというのは余裕もできてきたのかな。 本家のアストン・マーチンに対抗してのロールス・ロイス・ファントムは、女性の声を持つ人工知能を備えロイスと呼ばれ、あの有名なマスコットが武器になっているのがウリ。 伏線つきの女王様ネタを見ると、ロンドン五輪開会式でのダニエル・クレイグとエリザベス女王の寸劇は、ホントに貴重だったなと感じます。 女王はすすんで出るとおっしゃったそうですが、威厳があっていかめしそうに見えても、ユーモアのセンスと「私もボンドと共演してみたい」とのひそかな願望がおありだったんじゃないかと思われて、本物の「女王陛下の007」に。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-01-02 07:00:02)(良:1票)
68.  ジェイン・オースティン/秘められた恋 《ネタバレ》 
アン・ハサウェイは名前こそシェイクスピアの妻と同じでも、華やかなアメリカの美人女優、肖像画を見る限りジェイン・オースティン本人とはかけはなれ、伝えられる女流作家の人生も映画になるほどの起伏はない気がしたのですが、03年に「新たに発掘された事実」とやらを元にしたこの映画、悪くはなかったです。 ビアトリクス・ポターの半生を描いた「ミス・ポター」同様、相当脚色はされているでしょうけど。 ジェインを「高慢と偏見」の作者として描いているため、レディ・グレシャムはレディ・キャサリン風、母親オースティン夫人もベネット夫人的になっていて、駆け落ち未遂も創作? でもトム・ルフロイとの恋は彼女の小説よりもシビア。 ルフロイ役が、オースティン映画の男優たちとはちがい線の細いジェームズ・マカヴォイなのは、ジェインを守る力がなく儚い恋なのを暗示していそう。 悲劇というよりそれを回避するための選択は口惜しさが残りますが、悲しみを静かに受けとめるジェインも、求婚されながら袖にしたグレシャムの甥と最後には友情を結ぶなど共に成長し、エピローグも心にしみ、現実の冷たい味を知ったジェインは果たせなかった自分の思いをペンに託し、6本の小説を書いたのだ、と思わせます。 青緑色の衣装が、知性の中に情感を持ちあわせるジェインのキャラクターを表しているようでした。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-09-01 01:06:52)(良:1票)
69.  ある日どこかで
ロマンティックで切ないタイムスリップ・ラブストーリー。クリストファー・リーブの「スーパーマン」以外でのもっともいい作品だろう。ジェーン・シーモアも一番美しいかもしれない。どこか物足りない気がするのは、メビウスの輪のように物語の始まりが謎につつまれたままなのと雰囲気が上品でおっとりしているからだと思う。冒頭に現れる老婦人の、パンフレットにしるされたリチャードの名前にふれる手があとから重みをもつ。
[映画館(字幕)] 7点(2009-08-11 00:30:38)(良:1票)
70.  幸せの1ページ 《ネタバレ》 
ウェンディ・オルーの児童文学「秘密の島のニム」(NIM’S ISLAND)の映画化。 主人公はアビゲイル・ブレスリン演じるニムなんだけど、日本では「ジョディ・フォスター主演」にしちゃったのが失敗。 「十五少年漂流記」「ロビンソン・クルーソー」は子供の頃愛読書だったし、「キングコング」「青い珊瑚礁」が好きなのもそのへんの理由からで、孤島には憧れがあるのです。 あのツリーハウスなんて「うわぁ♪」と思っちゃう。 アビーやパパ役のジェラルド・バトラーは楽しかったみたいだし、ジョディもサスペンスで同じような役柄が続いてコミカルな役がやりたかったのかも。 ペーパークラフト風のオープニング・エンディングもきれいで、最後にかかるU2の"BEAUTIFUL DAY"もハマってました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-08-25 01:34:09)(良:1票)
71.  バティニョールおじさん
占領下のパリで、進駐ドイツに日和見的な肉屋のムッシュ・バティニョールがひょんなことからユダヤ人少年を保護することに。 最初から最後までスリリングで飽きさせず、「重い題材でもできるだけ軽く描きたかった」のは結構なんだけど、「しょせん人間なんざそうキレイなモンじゃない」といった主演・監督・脚本のジュニョさんの開き直り・強引さはちょっと気になったかな。(人間を動物として描くリアリズムって当り前すぎて高級と思わないので) 俳優が本業のためか一本調子なのが印象を浅くし、子供向きでもないしウサギ好きな人にも向かないか。 けど必ずしも好人物でないオジサンが、知らず知らずのうちに子供たちに肩入れしていくのがこそばゆくも嬉しき奮戦ぶりで、「がんばれ!」と応援したくなる。 怪我をしたナチス将校をヘタレに、フランス警察をワルに描いたり、聡明さと子供らしさが共存するシモンは結構したたかと変則的な描写もおもしろい。 スイス国境でのおじさんの翻意も胸が熱くなった。 農場の少年マルタンは「ピエロの赤い鼻」の男の子。
[DVD(字幕)] 7点(2011-01-03 00:00:01)(良:1票)
72.  ブレードランナー/ファイナル・カット
25周年を機にお色直しをされたデジタル・リマスター版は、グラデーションが多くディテールに凝るBRでは絵画修復なみの威力を発揮する。 くすんでいた画面も彩度が上がって生気を取戻し、蔵出し映像や完全版のシーンも加えられながら時間は短縮され、音質もレンジが広がった。 見苦しかった箇所(初登場時のロイ・バティ(タイレルとのシーンのアウトテイクを流用?)の背景、アブドゥル・ハサンを詰問するデッカードの口の動き、ガラスを突き破るゾーラのスタントの頭部、スピナーを吊り下げるワイヤーなど)をいずれも抜かりなく修正してきているのも、納得のいくものを作りたいスコットの執念を感じさせる。 鳩のシーンだけは元の方がよく思え、雲の切れ目からのぞく青空に羽ばたく鳩が昇天するバティと感じられるのだ。 ディレクターズ・カットと同じく、ボイス・オーバーと旧エンディングがないことでピアノの上に飾られた写真の異質さが際立ち、スコットの意図どおり白いユニコーンとともにデッカードの出自の不確かさをほのめかすものとなった。 ドリュー・ストルーザンによるブルーを基調とした新しいポスターも新鮮な趣きをそえる。
[DVD(字幕)] 9点(2009-07-21 03:41:52)(良:1票)
73.  レ・ミゼラブル(2012)
ともに25周年を超えた「オペラ座の怪人」につづいて、「レ・ミゼラブル」のミュージカルも映画に。 誰もが「レミゼ」の舞台を見に行けるわけではなく、映画なら多くの人に手が届く。 元々ユゴーが民衆のために書いた物語、一部の人のものであってはならないと思いますし、ミュージカルをパッキングして見たい人に見せるのにはわるくない出来なのでは。 ユゴーの原作イコールこのミュージカルではないですし、舞台版から不満がないではなく、特にテナルディエ夫婦の描き方は気になるところ。 コメディ・リリーフにするために軽く扱われ、「楽しい奴ら」にされているのはどうかと感じてしまうのです。 持ち歌「宿屋の主人」(MASTER OF THE HOUSE)の出来がよく、他に明るくできるパートがないのはわかりますが。 「オペラ座」の時は舞台よりも表情がわかるのが効果的でしたが、本作はアップを多用しているのが少しうるさく、引きの画も見たい気がしました。 舞台では空間を埋めている歌声が、映画では広がる場を十分には持たないからでしょうか。 ヒュー・ジャックマンは歌唱力・演技力ともに十分なのですが、端正なルックスがジャン・バルジャンにそぐわないのが残念です。 髪も切ってのアン・ハサウェイは確かに熱演ではあるものの自分好みの演技とはいえず、逆にラッセル・クロウは「オペラ座」のジェラルド・バトラーと同程度には歌えていると感じました。 正直、「ワン・デイ・モア」「民衆の歌」のアンサンブルが一番聴かせたかもしれませんが、また一つ新しい「レミゼ」が生まれ、より多くの人が「レミゼ」の世界にふれられたことはよかったのではないでしょうか。 (歌に不満のある方は、定評ある10周年記念コンサートのCDなどをお聴きになってみては)
[映画館(字幕)] 7点(2013-01-10 07:00:02)(良:1票)
74.  愛情物語(1956) 《ネタバレ》 
喜びも哀しみもふくんだ穏やかな夜想曲(ノクターン)を聴くたびにこの映画を思い出す。 成功を手にしながら彼はかならずしも幸運な人間とはいえない。 天使であった最初の妻を失うだけでなく、嵐の夜にようやく開かれた息子の心を抱きしめたのもつかの間、まだ若い自分自身まで。 だがピアノにも家族にも精一杯の愛情を注いだ人生は短くともなんと価値のあることか。 瞬きのうちに風のように飛び去る魂を表現しているかにも思えるひときわ鮮やかなラストは、万感とともにこれ以上の幕切れを見たことがない気さえしてしまう。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2006-03-31 20:43:29)(良:1票)
75.  ブーリン家の姉妹
大河ドラマの総集編のようにスピーディでコンパクト、アメリカ映画の俳優メインで誰でもとっつきやすそう。 台詞には背景や説明をしのばせてあり明快、大部分創作でもブーリン一族の栄枯盛衰やローマカトリック教会からイングランド国教会が分離した経緯がわかるような作りで、品はよくないけれど愚かなものを愚かに描くのは結構なことだと思います。 大法官トマス・クロムウェルの扱いは小さく「わが命つきるとも」のトマス・モアも出てこず、ひたすらイギリス国王と一族周辺に絞った愛憎劇。 日本も「源氏物語」にあるように、だいじに育てた娘を宮中へあげ王(帝)の寵愛を得て首尾よく王子(東宮)を上げられれば一族繁栄、の図式は洋の東西を問わぬよう。 ナタリーとスカーレットは演技と眉メイクでそれぞれのキャラクターを作りあげ、アンとメアリーの姉妹であるがゆえの確執と絆をそれなりに表現していましたが、柔和なエリック・バナは多情なヘンリー8世にはあまりお似合いではないようで。 華麗な衣装は特にアンがフランスから帰国しての「勝負服」、エメラルド色に輝くドレスが鮮やか。(当時の染色技術ではこんな色はだせなかったと思うけれど) 意外なキャスティングは王妃キャサリン役のアナ・トレント、「ミツバチのささやき」の。 彼女を見るのは「血と砂」(89)以来なのですぐにはわからなかったのですが、不遇な立場でも自分を崩さず凛としたたたずまいで、映画に品を添えていました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-09-05 07:00:01)(良:1票)
76.  きみに読む物語
冒頭の湖と再会時の水鳥の群れはきれいでしたが、身分ちがいの恋人たちがどうにも安くてイヤ。(「巣」を作って気を引く求愛になびくヒロインも鳥なみの頭か?) 恋敵ジェームズ・マースデンは「魔法にかけられて」「スーパーマン リターンズ」と同じ当て馬でカワイソ、ジョアン・アレンの母親は最後まで愚かしく「今の自分を幸せと感じたくなると昔の男の惨めさを見に行く」なんて「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」的な方法ですね。 老ジェームズ・ガーナーやジーナ・ローランズはがんばっていたけど。 お母さんのジーナに出てもらった二代目カサヴェテス監督は「私の中のあなた」もいいと思わなかったし、好きじゃないかも。 認知症の映画はイギリスの「アイリス」の方がいいと思います。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2011-04-03 00:00:10)(良:1票)
77.  ウォーリー 《ネタバレ》 
観る前は、タレ目であわれっぽいデザインのウォーリーにもツリ目でツルツルのイブにも魅力を感じませんでしたが、動いてこそのキャラクター。(彼らの「目」もちゃんと考えられてる☆) 冒頭にある廃墟と化した地球の光景は圧倒的。 その中をちょこちょこ動き回ってお片づけ、危険を察知すると折りたたまれてヤドカリみたいにち~さくなるウォーリーは700年もひとりぼっち? 拾い集めた古ぼけた遺物とミュージカル・ビデオが宝物の彼が初めて会った女性ロボット・イブに心うばわれて。 まだ心がなくて冷たいイブだけど、終盤では彼らの立場が逆転するのがドラマティックです。 アレクシス艦の外界を知らない人間たちは「アイランド」的ですが全員コロコロ太っているのが特徴。 無機的な世界の中で一本のグリーンが本当に命ある美しいものに感じられ、スクラップ同然になりながら何とかそれを守ろうとするウォーリーの姿はやっぱりけなげ。 最後にピーター・ゲイブリエルの歌が流れたのにはびっくり、まさかピクサー作品で彼の声が聴けるとは、でした♪
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-10-09 00:00:03)(良:1票)
78.  月に囚われた男 《ネタバレ》 
月が好きなのは、ハインラインの「大宇宙の少年」が好きだったから。 大気はなく太陽光が遮るものもなく照りつける白と黒の地表を月面作業車が孤独に動き回る、寂寥漂うミステリー。 一番身近な天体である月が舞台の映画はあまりない。 邦題はデヴィッド・ボウイの「地球に落ちてきた男」にひっかけたと思われ、息子ダンカン・ジョーンズはミドルネームのゾーイの方で記憶にある。 古典的SF映画の空気で俳優はアメリカ人でも、セカンド・サムのキャラクターやラストはイギリス的な捻ったユーモア。 「2001年」のHALを思わせるガーティには、人工知能が人間らしい心を持つことを夢想する人間の夢が托され、ケヴィン・スペイシーの声がロボットの見えない奥の変心を伝え、サム・ロックウェルはコミカルな役を多く見てきたけれどシリアスな役を切なく演じきる。 「ガタカ」のように、自分でなくとも代わりとなる者が果たしてくれれば、人は満足して死んでゆけるのだろう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-12-01 07:00:00)(良:1票)
79.  戦場のアリア
お国の事情で戦地に駆り出される兵隊たち。母国は違っても彼らの心情はそう違いはない。音楽を愛する心も。故郷や家族を思う心も。本当は敵など要らないし憎くもない。そんな彼らの聖夜。小さな交歓の数々が彼らの冷え切った心を一時でも溶かしていく。D・クルーガーの美声は吹替えだけれども、男たちの戦場に降り立つ音楽の女神として魔法の時間を紡ぎだす。「リトル・ダンサー」の父親役が有名なG・ルイスが国と信仰の挟間で苦悩する神父として、宗教のもつ狭量さに疑問を投げかける。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2007-06-02 17:19:59)(良:1票)
80.  高慢と偏見(1995)<TVM>
キーラ・ナイトレイの「プライドと偏見」とは倍以上の尺の差があるので単純には比較できないが、おそらくこれと映画の「分別と多感」(「いつか晴れた日に」)がジェーン・オースティンの映像作品の双璧をなすものであろうと思う。 リジーとダーシーの複雑な恋模様もさることながら、彼らをめぐる人々のスノビッシュな描写が強烈。 オースティンの筆致は俗な人物を描く際に最も冴えわたるのだが、それをさらに誇張しているので大変なおかしみを呼ぶ。 ミセス・ベネットを筆頭にコリンズ牧師、レディ・キャサリン、ミス・ビングリーといったところは何度見ても愉しく、これは映画のおよばぬところ。 コリン・ファースは、身分高くありながら眼光鋭い檻の中の動物を思わせるダーシー。 誇り高く生きるよう育てられた彼は自分で自分を閉じこめており、吐く言葉も不遜なものとなってしまう。 一方リジーも鋭くはあっても口が過ぎ、自分の判断を過信している娘。 気難しい、だが邪心のない2人を序々に変わらせ歩みよらせるのに十分な時間をとり、決定的に結びつけるのは最も不愉快な人間たちとアイロニーもきかせる。 ファースにとっては再び彼を注目させる作品となった。 地味め美女ジェニファー・イーリーのリジーは華やかに見せるためか姉ジェーンとのツーショットが多いが、ジェーンのリジーとは対照的な鷹揚さも魅力であり、ピアノによる音楽は映画は優美、こちらは軽快とそれぞれ作品の持ち味を出している。 難があるとしたらベネット家の猥雑さ、わけても末妹リディアの稚気が作品全体の品まで下げてしまっており、映画のジェナ・マローンがまだしも好ましく思えることか。 (ずっとエクスペンシブだったソフトが、来月ようやくリーズナブルに! 13/9/15)
[CS・衛星(吹替)] 8点(2009-12-10 01:02:28)(良:1票)

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