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アンドレ・タカシさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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121.  アンストッパブル(2010) 《ネタバレ》 
列車を停めるだけの映画。構造がシンプルな作品はシンプルに楽しめるのが良い。本作はその典型です。比較的早い段階で暴走を始める列車がとてもエネルギッシュに禍々しく、休む暇もなくエンディングまで突っ走る。途中でいくつかの障害を蹴散らすシーンの迫力が長大な列車の運動エネルギーを感じさせ、大惨事への危機感を募らせる。動き続けているものがあるということが映画のテンポをスピーディに保ち、緊張感を途切れさせない。そこにバランス良く登場人物たちのキャラや事情を絡ませる演出はさすがにベテランの安定感。出演側もベテランと若手有望株の組み合わせが、そのままベテラン機関士と新米車掌という配置になっていて、映画好きには楽しい視点を提供してくれる。特に何も考えずに肩に力を入れてドキドキして、観賞後は残るのは爽快感。人間ドラマの深度を浅く保ったことが良い方向に作用しています。娯楽アクションとしてレベル高いと思います。
[映画館(字幕)] 7点(2011-01-08 00:25:45)(良:2票)
122.  SPACE BATTLESHIP ヤマト
「宇宙戦艦ヤマト」が実写になる日が来るとは。残念ながら感動はなかったけど、感慨でいっぱいです。初めて深く入れ込んだ作品だった最初のシリーズからこの実写版まで、実に35年。自分の人生の中に長く居座り続けているタイトルとして、看取らせてもらいました。突っ込みどころはありましたが、突っ込む気が起こりません。スクリーンに対していることに幸福感がありました。観て良かったです。
[映画館(邦画)] 7点(2010-12-04 01:05:04)(良:2票)
123.  マチェーテ 《ネタバレ》 
テンポの良いエロバカは好き。そもそも「グラインドハウス」にあったフェイク予告編を実際に製作すること自体がフツーじゃない。ナタの一振りで首がコロコロと3つくらい転がるオープニングから大笑いでした。完全に昇天したはずの姐さんがアイパッチで復活したり、セガールが切腹したり、デ・ニーロが「タクシードライバー」をやったり。笑いをひねる方向が、バカ・エロ・グロ・バイオレンスのどれかに振り切れているのがとても楽しめる。極度に表情が読みにくいが、実は女好きなマチェーテに共感(笑)。ラストでジェシカ・アルバとデキちゃうんだもんなぁ。ダニー・トレホもインタビューで彼女とのキスがいちばん楽しかったと言ってましたよ。彼の役者人生で最初で最後か? その作風の相変わらずぶりにちょっと飽きも入るが、この監督以外には出せない味だし、観ている間は退屈しないのでとても貴重。とどめは次回予告篇でした!
[映画館(字幕)] 6点(2010-11-25 11:17:11)(良:2票)
124.  英国王のスピーチ 《ネタバレ》 
人が何かを乗り越える物語は映画に普遍するテーマのひとつ。そこには、当人と周囲の人の真剣な闘いがあるからストーリーも熱を帯びる。本作が乗り越えるべき課題は、ただ喋るだけ。しかし主人公が国王で、相手が全国民で、しかも本人が吃音症となると、その課題はとても深刻な問題に様変わりする。吃音が精神のストレスから起こる症状との自論を持つ施療家がその治療を試みる。メインとなる処方箋は自分が国王の友人になること。この二人の人柄と距離感が楽しく映画を牽引します。二人が喧嘩した後に「王の謝罪を待つ者は、長く待つ必要がある」なんて照れ隠しの台詞を国王が口にするシーンがとても微笑ましい。その二人の演技もさることながら、王妃を演じたボナム=カーターが絶妙でした。言うべきは言うけど、それ以上の思いやりを感じさせる役どころ。王妃である前に妻であり母であり、親近感たっぷりの姐御肌も見え隠れする。最近は「ハリー・ポッター」や「アリス」でエキセントリックな役を演じてましたが、本作では彼女自身が持つ存在感が優しさという形で遺憾なく発揮されていると思います。ドイツとの開戦スピーチが上手くいった時、私はボナム=カーターに感情移入していて、一緒に涙しました。アカデミー賞に最多部門でノミネートされていますが、テーマや品格という意味では受賞に値する作品であるという意見です。発表まで24時間を切りました。さて。 〈2012/2/28追記〉作品・監督・脚本・主演男優の4部門を獲得。最も獲って欲しかったボナム=カーターの助演は残念でした。でも、今後の彼女の映画がとても楽しみになりました。
[映画館(字幕)] 7点(2011-02-27 12:21:06)(良:2票)
125.  たみおのしあわせ 《ネタバレ》 
最後はいきなり、ある名画のパロディになりました。あの展開には違和感を覚える人が大多数だと思う。以下、自分の解釈です。親父は至って真面目な人。息子の嫁=自分の娘で、手を出したりしたら禁断の関係という感覚。息子が大切で、義母にしろ、嫁にしろ、どんな女性が息子に相応しいかに腐心して生きてきた。嫁の思わせぶりな態度に戸惑っていたところ、式直前に抱きつかれ困惑極まれり。「こんな嫁はいらない」。これは、息子コンプレックスだ。一方の息子。死んだ母は唯一崇高な存在で、親父が付き合う女性を母と同格に考えることが出来なかった。父の愛人と叔父の関係を知り、自分の理解を超えた男女の関係に穢れたものを感じる。式直前に、その穢れを直接に目撃する。彼にとっては、無条件に信頼がおける女性は死んだ母だけ。「もしかしたら、女ってみんな穢れてるんじゃないか? 自分はそんなイキモノと暮らして行けるのか?」。母は亡くなっているので分かりにくいが、息子の症状はマザコンだ。女性の存在が巨大な恐怖として彼を包囲したとき、親父が救いの手を差し伸べ、そして二人で逃げた。誰から? 母以外のすべての女性からだ。ラストシーンが象徴的でした。母に見える女性を追って草むらに消えるマザコンの息子と、追従する息子コンプレックスの親父。きっと、この先も二人で暮らして行きます。それが「たみおのしあわせ」です。麻生久美子も大竹しのぶも、父子のコンプレックスの狂言回しです。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2009-08-28 00:20:09)(良:2票)
126.  127時間 《ネタバレ》 
主人公があの場を去る際に、一瞬振り返って「thank you」という言葉を口にする。そこに残した身体の一部に対して言ったようにも聞こえるが、私はその数日間に起こった出来事すべてに対しての感慨だと感じました。卒業式を終えて校門を出る際に、校舎を振り返って覚える感慨に似ている。実話がベースになっているようですが、自分の腕を切り離した直後に本当に「thank you」と言えたのかどうかは分かりません。でも、その気持ちは分かる。彼が過ごした葛藤の時間があまりに濃密だから。死の恐怖に直面しながら自己との対話を続けることで明らかになる自分自身。彼の人生の中で、最も切迫して、最も正直に、最も真摯に自身と向き合った時間だったと思います。だから、あの脱出は単純な生還とは違った意味を持つ。ひとつの出来事が価値観や人生観を変える。その究極版が本作だと思います。身動きできない状況の描写の中で、手を変え品を変えて演出される主人公の心象描写が素晴らしい。ダニー・ボイルさん、見直しましたね。私の中では彼の最高作です。でも、本作が私の人生の益になったかと訊かれるとちょっと違う。徹底した一人称視点のストーリーには痛みや渇きを感じるほどに共感するが、仮に自分があの状況に陥ったら違う感慨を持つと思うから。また、あの事故が結果的に彼を良い方向へ導いたとしても、自分で経験したいとはこれっぽっちも思わないから。私だったらどのように決断するかも考えたくない。考えるだけで痛い。そういう意味で、実はSF映画ほど距離のある映画。その距離感と感情移入のギャップが異彩を放つ作品でした。
[映画館(字幕)] 9点(2011-07-12 21:37:25)(良:2票)
127.  トウキョウソナタ 《ネタバレ》 
最近観た映画の中では、最も考えさせられる映画でした。今作の夫婦と兄弟の4人は、家族の体裁はあるものの、各自の考えや悩みを共有していない。それぞれが誰にも相談せず、それなりに自分で答を出している。だから独奏曲なのだと解釈しました。この4人の人生がそれぞれの「ソナタ」です。では、家族とは必要のない単位なのかというと、そんなこともない。三者が別々の事件を過ごした翌朝に食卓を囲むシーンや、両親が次男の演奏を見守るシーンには、家族の繋がりを感じます。でも、コミュニケーションの頻度とそれぞれが抱える問題の解決は別次元の話だと思いました。音楽に喩えるなら、時には和音を重ねたり、セッションを演じるようなタイミングがあったとしても、基本はカルテットではなく「ソナタ」なのだと…。この映画には、さらに「トウキョウ」が加わります。人口密度が高いと、他者との精神的距離はかえって広がるように思える。そんな場所で生き残るために、神経を擦り減らし続けるような圧迫感。それが「トウキョウ」の意味合いだろう。父の同級生や役所広司のように、適応できなかった人はバッサリと切り捨てられる。オーソドックスな流れだと、ここで家族の絆が登場するのだけど、今作は逆説的です。ここで、それぞれの「ソナタ」を強調している。長男は強い意志を持って自分の道を拓こうとした。米軍入りは突飛な選択に思えたけど、なんとか踏みとどまっていました。次男も、まさに「ソナタ」を演じることで、自分自身の人生の入り口に立ちました。気になるのは夫婦です。長男が勧めたように離婚という選択もあるでしょう。でも、この後の彼らの生き方を考えたとき、結婚生活を続けるかどうかは問題の本質ではない。一度は虚無的になりかけた個々の人生を、新しい価値観で捉え直すこと。その為であれば、離婚でさえ前向きな決断になることもある。「ソナタ」とは孤独になることではなく、単独の演奏でも豊かな音色を奏でることです。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-04-05 22:08:53)(良:2票)
128.  ザ・フライ 《ネタバレ》 
SFホラーの金字塔だと思います。古典である「蠅男の恐怖」を当時の世情に見事に蘇らせました。「蠅男の恐怖」を観たことのある者にとって、最初の転送でセス・ブランドルがポッドから出てくるシーンには緊張が走る。しかし、何事も起こらず肩透かしを食らう。これはどうしたことだ?という疑問を整理しようとするうちに、興味の尽きない怒涛の展開が始まる。肉体の変調に不安を覚えたブランドルがテレポッドのコンピュータで何が起こったのかを追及します。答えは蠅=フライとの「fusion」。私はここに痺れました。首がすげ替わるだけだったオリジナルと違い、遺伝子レベルでの「融合」が起こる。しかしコンピュータの回答は単語ひとつ。その呆気なさと重篤な事実とのギャップから漂うSFの香りが堪らなかった。ブランドルの肉体の変化と心境の変化がシンクロして進むシナリオも良く出来ている。ハエの生態を人の肉体に転写して行く描写が巧みで、グロさよりもアイデアに感心する。ブランドルは死を予感し、悲嘆し、やがて受け入れ、しかし最後は人間に戻りたいと願う。その心情が違和感なく受け取れるから、結末が複雑に残響する。SFの面白さとは大ウソをひとつ捻り出して、そのウソに基づいた描写で全体を固めること。グロさに目が行きがちだが、本作はテレポッドの機能を遺伝子融合装置へ転化させたところにSF作品としてのワンダーが集約されており、堅実にセオリーを守っていることが見応えに直結していると思う。私の中では「ターミネーター」と並び、B級からスタートしてA級に転じた数少ない傑作です。
[ビデオ(字幕)] 9点(2011-02-13 13:16:14)(良:2票)
129.  南極物語(1983) 《ネタバレ》 
腹がたって仕方なかった。 人間の都合を美談に仕立てる自分勝手さや、取り残された犬たちの冒険のでっち上げ。撮影のために何度も氷の浮いた海に突き落とされたであろう犬たちに痛く同情し、いい映画を作ったという顔をしていた製作者たちを憎みました。 公開当時は確か邦画の興行収入を塗り替えた映画でしたが、こんなものを有難がって感動しているニッポン人たちにも幻滅してました。
[映画館(邦画)] 0点(2008-09-16 01:26:31)(良:2票)
130.  アポカリプト
このレビューでの評価が高いので驚きました。自分にはストレスの溜まる映画でした。縛られて連行されて行くシーンと森を走るシーンが長すぎる。具体的にストーリーが進まないのに延々とそんなシーンを見せられて疲れたのが率直な感想。また、主人公の大反攻がいつ始まるのだろうと待っていたんだけど、追っ手を数人倒しただけで、大した盛り上がりもせずに終わった感じです。あれが予言されるほどの所業なのかと思いました。史実を表現したかったのか、当時の生活を表現したかったのか、あるいは悪趣味な生贄シーンを作りたかったのか…、どれも中途半端でテーマが見えない映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2008-09-06 22:55:15)(良:2票)
131.  アイアンマン3 《ネタバレ》 
とても楽しかったです。マーベルのシリーズもので、製作が進む度に面白さが増す作品も少ないと思います。アイアンマンの機能進化と主人公の掘り下げが秀逸なんだと思います。 トニー・スタークの見せ方は、これまでの流れを上手く活かしていました。天才だけど直情的なバカは変わらず。メディアに住所を公表してミサイルを撃ち込まれるもんね。世の美女は全員大好きだけど、今は一人の女性に一途。誠実で健気な一面です。最も活躍しているように見えた「アベンジャーズ」の闘いをトラウマにして、弱さを見せる設定も上手いと思いました。悪役の動機は根暗オトコの恨み節ですが、逆恨みと言い切れない余地を残します。主人公の若気の至りです。派手なお話の割には、すべての出来事が主人公の過去から現在に至る行動や心情に帰結するように構成されていて、良くまとまったエンターテイメントという意見です。 アイアンマンを残らずオシャカにして、次の「アベンジャーズ」ではどんな役割を担うのか。マーベルさんの狙い通りですが、素直に楽しみです。
[映画館(字幕)] 7点(2013-05-12 21:29:47)(良:2票)
132.  M:I-2
中身が薄いのにしつこい、って感じでした。
[DVD(字幕)] 4点(2013-06-26 01:50:16)(良:2票)
133.  カプリコン・1 《ネタバレ》 
公開当時に劇場で観たのですが、その時から複雑な想いでした。久しぶりの再見でもやはり同じように感じました。 サスペンスとしては高質です。印象に残る絵が多く、ストーリーと動感が上手く噛み合っています。終わらせ方も味わい深い。 なぜ複雑なのかは、ほとんど余談です。大気圏突入の失敗によって隠蔽側を追い込み、パイロットを亡き者にしようとするシナリオ。こうなると計画推進派は完全な悪役です。製作側の真意は分かりませんが、見かけはNASAの活動に否定的なスタンスです。非生産的な事業より福祉に金を回せというのは、当時の(今でも?)彼の国の世論でした。私はいわゆる天文ファンで、アポロ計画などに心を躍らせた少年でした。その少年の目から見た本作は「宇宙開発の意義の否定」と映りました。鑑賞者に夢を与える媒体であるべき「映画」で、宇宙開発を貶すなんてひどい、と思いました。でも、面白かったのです。だから「複雑」でした。 現在の私はエンタテイメントと割り切って鑑賞できますが、感受性が豊かな頃に覚えた印象はなかなか拭えないものです。「はやぶさ」を扱った邦画諸作でも、予算の捻出は頭の痛い問題として扱われていましたが、概念でしかない未来へ投資できるとしたら、経済大国と言われる国以外にはないと思います。
[映画館(字幕)] 7点(2014-01-31 02:25:26)(良:2票)
134.  蜘蛛女(1993) 《ネタバレ》 
確かに美人には分類されるけど、若くもないし可愛くもない、もちろん優しくもない。そんな女にどうして魅かれるのか。それは女性の股間の力。マジな話です。オトコって、100Gの重力に引かれるように、女性のアソコに引き寄せられる。たぶんDNAが負わせた宿命です。本作は、その辺りをよ~く理解して演出されています。ちなみ事故車両からトンズラするシーンの迫力はクモ女と云うよりクマ女です。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2013-01-27 01:20:02)(笑:2票)
135.  彼岸島 《ネタバレ》 
まぁ、こんなもんでしょう。私は原作を評価していないので完璧に映画化されても高い点数を付けたかどうか…。情報通信技術が発達した現代において、ああいう島が存在し得ること自体にもっと念入りな設定が必要だと思いました。それと、心情を言葉にし過ぎですね。身近な人を思いやる台詞が多すぎて、喋れば喋るほど友情ごっこに見えて物語と自分の距離が拡がって行く。吸血鬼にされた兄ちゃんが仲間への恨みを吐露するシーンなどは観ていてゲンナリするんだけど、彼に反撃できない主人公にはそれを通り越して凄くイライラしました。息の根を止めた兄貴に感謝したもんね。欠点が多い作品ですが、丁寧に描こうとしている部分が最大の欠点になっていると感じた次第。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2011-11-06 11:43:46)(良:2票)
136.  ウォーリー 《ネタバレ》 
ディズニーは昔から動物を擬人化したお話を得意にして来ましたが、そのゴミ回収ロボット版ですね。映画が始まると、あっという間に感情移入してしまった。これはウォーリーの仕草に尽きます。ほとんど喋らないけど、ボディパーツを全て駆使した文字通りのボディランゲージが素晴らしい。脅威を覚えたら亀のように丸く、じゃなかった四角くなるのも愛嬌たっぷり。終盤で一瞬、自我を無くしたロボットになりますが、その無機質ないでたちが本来の見え方であることを考えると、無機物に命を吹き込む魔法を見せられた気分でした。廃棄物の山の高さや住み家にある収集品が、ウォーリーの長時間の孤独を間接的に物語る。初対面のイヴァがやたら破壊光線を撃ちまくるアブナイ奴だったのに、隙を見ては接近して手を握ろうとするウォーリーの愚直さがもうダメ押しでしたね。こんなに純情な奴には滅多にお目にかかれない。個人的には、このあたりまでが最も面白く、宇宙に行ってからのお話は展開に少し雑音が入った気がしています。ツァラトゥストラや赤目のコンピュータから類推する「2001年…」の人類進化をギュッと小ぶりにした人類奮起(?)を、ウォーリーとイヴァが促すことはひとつのテーマだが、前半部でウォーリーの純情を見事に抽出していただけに、ややトーンダウンした印象でした。常々アニメーション表現の長所はピュアなものの抽出であると思っていますが、今作のウォーリーの感情表現はその特性を活かしきっています。ピクサーのテクニックは流石でした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-12-09 22:36:08)(良:2票)
137.  スター・トレック(1979)
小学生だった頃、深夜に放送していた海外ドラマ「宇宙大作戦」を寝床から抜け出してコッソリ見ていました。ボリュームを落としているにも拘わらず、気付いた母親に何度も叱られましたけど止めなかったです。子供ごころにもそれほど面白かったし、私のSFマインドは育まれたように思えます。 スクリーンに復活した「宇宙大作戦」改め「スタートレック」は、ちょっと力が入り過ぎて、格調高くまとめようとしたことで躓いていました。テンポが悪いのです。テレビシリーズで感じていたような展開の早いワクワク感が少なく、テンションが下降するシークエンスがあります。実績のあるベテラン監督の起用が逆に機能したと云う意見です。劇場鑑賞後、2時間枠の地上波洋画劇場で90分にカットされたバージョンを観た時の方が見応えが高かった。それで改めて感じたことは、「スタートレック」の面白さとはB級ってこと。B級って決して二流・三流って意味じゃありませんが、品格や行儀はこのタイトルには似合いませんね。新シリーズはそのあたりを良く心得ています。カーク・スポック・マッコイのトリオ漫才でもう少し突っ込んで欲しかったです。 でも、良作・駄作をまとめて映画化された「スタートレック」には色々と楽しませていただきました。
[映画館(字幕)] 6点(2016-03-31 00:12:38)(良:2票)
138.  ロビン・フッド(2010) 《ネタバレ》 
予告編を観る限りは「グラディエーター」ばりの血液が沸騰するようなアクション大作を期待したんだけど、かなり肩透かしを食らった感じです。伝説的な人物であるロビン・フッドが伝説の入り口に立つまでのひとつの解釈ということでしょう。セットや時代背景の演出などはさすがにリドリー・スコットらしい作り込みだけど、そのうえに乗っかるストーリーがつまらないです。かなり都合よく物事が進み、主人公は「ロビン・フッド」になりました、って印象だった。弓の腕前もさほど見せ所がありません。歴史大作感を出したかったらこの監督に撮らせろ、って安直さが透けて見えるようで、リドリー・スコットも職人の手腕は見せますが特別なことは何もしていない。この監督にはもっと冒険をして欲しいです。期待しすぎなのかな。ラッセル・クロウはお似合いのキャラだけど急造感が否めず、迫力と云う点ではケイト・ブランシェットに軍配が上がります。
[映画館(字幕)] 5点(2010-12-11 00:52:58)(良:2票)
139.  ローラーガールズ・ダイアリー 《ネタバレ》 
これは面白かったし、とても良い映画だと思います。まずテンポが良い。微妙なウィットも上手く効かせている。動的な爽快感もある。主人公も良い。どこに魅力があるかはっきり言えないところが魅力。男目線の意見だが、放っておけない頼りなさがイイ感じ。主人公と父と母の価値観を強引にでも一つにまとめ上げる締め方が良い。親友やチームメイトの事情と主人公との関係の描写も良い。絶妙なバランス感覚です。ということで、ほとんど欠点が見あたらない作品で、総体として魅力あふれる映画になっちゃってます。オーソドックスなガールズムービーをきっちり演出して、かなり高いランクへ到達させた印象です。初監督らしいドリュー・バリモア、やるなぁ。感心しました。そして、忘れちゃいけないローラーゲーム。東京ボンバーズとか佐々木ヨーコを知っている世代には懐かしさがこみ上げるんじゃなかろうか。私は完全に忘れていた記憶が何十年かぶりでフラッシュバックしましたわ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-08-01 21:36:58)(良:2票)
140.  バーティカル・リミット 《ネタバレ》 
この映画を一言で評すなら「悪趣味」です。全編、必然の無い不快に満ちている。まず、冒頭で息子にザイルを切らせて父親の死の直接の原因を作ること。確かにそれしか選択肢が無かったが、その設定自体が「悪趣味」だと言いたい。そんなことを言ったら映画にならないが、許せない気分になるから仕方がない。遭難した3人の救援に6人が向かい、生還するのは遭難者1人を含む3人だけ。結果だけを見ると、まるで二次災害を扱った映画。美しい自然の猛威の中で命を落とす分にはまだ観られるが、ニトログリセリンで爆死ってどうなんだ? 徐々に登場人物が減って行く様は、モンスターホラーと同じ体裁ではないか。さしたる必然も無く人を殺してサスペンスを盛り上げようとする「悪趣味」。最後に、遭難したボーンへ復讐の機会を窺っていたウィックは、土壇場で復讐を断念してボーンに自分のザイルを繋ぐ。それは山に生きる男として当然の選択に見えたのだけど、その直後にあっさりと自分のザイルを切ってボーンもろともクレバスに消える。人命を尊重した瞬間にボーンは一人の遭難者であり、彼に恨みがあろうが無かろうがザイルで繋がっている人物の命を一顧だにしない決断は英断なのか? オープニングの伏線を回収したように演出されている分、これが最も悪質な「悪趣味」だ。本作は自分の尺度では、かなりのクソ映画です。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2011-07-12 23:30:27)(良:2票)

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