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K&Kさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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21.  アメリカン・サイコ 《ネタバレ》 
“American Psycho”『アメリカの精神』転じて『アメリカの内面』。でしょうか?『アメリカン・スピリット』がカッコいい表面だとすると、『アメリカン・サイコ』は人に見せられない裏面のような意味に思えます。 この映画、パトリック・ベイトマン個人を追いかけると、妄想か?現実か?って議論に迷い込むところだけど、映画の最後の方、レーガンのスピーチを聞く4人の反応から再視聴すると、伝えたいことが観えてきます。社会の教科書なんかに載ってた、国家を擬人化した風刺画をイメージしてください。パトリック達はザックリ言うと当時のアメリカなんでしょう。  イラン・コントラ事件。'80年代中盤のレーガン政権下、表向きイケイケの経済大国アメリカは、秘密裏にイランに武器を売却。その収益をニカラグアのゲリラ組織に横流ししていた事件。実際に動いてたのはブッシュ副大統領(Vice President)だったようで、当時も今も真相は有耶無耶になっているそうです。 ウォール街の証券会社で働くベイトマン副社長(Vice President)。有名なカードバトルをじっくり見ると、同僚もみんな副社長。有能なポールもアホのルイスも副社長。しかもみんな、名前以外電話もFAXも同じ番号・・・んなアホな。 ポール「電話してくれ、金曜はドーシアに…」ってティモシーに名刺渡してるけど、みんな同じ番号やん、どこに電話するねん。こんな所からこの映画は妄想側、と言うか現実じゃない方の物語として観るのが正しいようです。  パトリックのビジネスマンの表の顔と、連続殺人鬼の裏の顔はあくまで映画のオモテの面。裏テーマとしてパトリック、4人の同僚、殺されたポール、アホのルイスを出して、Vice Presidentなる人物の、悪い意味での多面性を表しているんでしょう。 浮浪者や娼婦たち“格下の人間の殺害”は、当時のアメリカが裏で行ってきた世界の戦争誘発行為。ベトナム戦争以降、直接参戦していないアメリカが、裏で戦争に加担していた事実。ポール殺害は同格のライバル国やライバル政治家への社会的抹殺を意味するのかと。予約の取れないドーシア、完璧な名刺は、世間の名声や支持、信頼の象徴なのかな。 パトリックがどんな殺人を起こしても、フルチン・スニーカー・チェーンソーでマンション中駆け回っても、世間は沈黙。勝手に有耶無耶にしてくれます。「レンタルビデオを返しに行く」なんて苦しい言い訳でも世間は納得。 「タイムズの広告を?」「いや…あぁ、見た」「広告は出ていません。」「本当のことを知りたいんだ」「面倒は困ります。お帰りください。」政府にもみ消された事実は、たとえ本人が真実を知りたくても、知ることはできません。新聞に出た事実さえも消えてしまいます。アメリカの闇。アメリカの内面。ジーンが見付けたあのノートこそ、アメリカが人知れず行ってきた真実の歴史。恥ずべき犯罪の数々。  ロクに仕事しないで、政治のニュースより高級なランチの心配。華々しい街の裏には失業した浮浪者も、暴行で病院に行ってもやっぱり客を待つしかない娼婦もいる。現実に目を向けず、行き着いた先がブラックマンデー('87.10)、当時世界で2番めの株価大暴落でした。 '89年ブッシュは大統領になり、'90年アメリカは湾岸戦争に直接参戦。イランはアメリカから手に入れた莫大な武器を輸出し、アルカイダを支援し、'01.9.11同時多発テロが起きたのは、ブッシュJrの時代、この映画公開の1年後でした。
[DVD(字幕)] 8点(2023-02-04 16:50:40)
22.  網走番外地 北海篇 《ネタバレ》 
このシリーズ初めて観たけど、4月に第1作が公開されて、7月、10月、そして4作目の本作が12月と、とんでもないハイペースで作られています。当時はまだカラーテレビが普及しきってなくて、本作のような娯楽アクションは映画館の大画面で観るのが当然な時代だったんだろう。どう考えても楽しそうな時代でした。  トラックで荷物を運ぶ代わりに高額の報酬が入るなんて、“恐怖の報酬”っぽいし、行きずりの人たちが同じトラックに乗り合うのは“駅馬車”っぽいな。 この作品のお約束が解らないんだけど、刑務所の中が案外短いのが意外だった。ペンケセップ?鹿走内町?オポチョッカ?ワッカ?北海道っぽいけど聞いたことない地名。「道北イチの難所」を“東北”と聞き違えてたところで私は小混乱のここどこだ?状態。  フルヤのガムの包みに入れた『誘拐されています』のメモ。あれ?誘拐されてたんだっけ?逃げようと思ったらいつでも逃げられる緩~い状態な気が…。 しかし、なんであんなトコに葉山の女房と敵の親分がいるんだ?東北と勘違いしてたのはあるけど、荷物の運び先ペンケセップに向かう途中に居るのは、たまたま?あんな事件になっちゃって、葉山のお母さんの仕送りはどうなるの?? 謎の男の正体はナルホドだったけど、骨折した子と母親、自殺未遂の美女の結末がアッサリし過ぎ。もう少し回収してほしかったかな。 ポスターのキャッチコピーが『・・・オホーツクの飛沫をあびて 追跡200時間の追撃戦』…またテキトーなこと書いて。 でもこの映画、巧くイジり直したら歴史に残る名作になるぞ?  …なんて思いながら、このいい加減な感じ、劇場で一発上映のために作られた“撮り棄て”な感じが、まるで私達が子供の時代の週刊連載マンガのようだわ。鬼寅があんなところで出てくるトコなんてまさに!だわ。同シリーズで年に4作。マンネリにならないようにアイデアを捻り出しながら映画を創っていく感じが、熱々のライブ感を感じさせる。ホント楽しそうな時代だわ。 本年が映画デビューイヤーの大原麗子。ショートカットがまた似合ってて可愛い。やせ我慢で真冬の大雪原で上着を脱ぐ健さんがカッコいい。本作のように、最後何となく事件が解決した感じで終わって、その時それで満足して劇場を後にできれば、それで良い気がしてくる。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2023-01-21 11:09:06)
23.  愛情物語(1984) 《ネタバレ》 
'83年、原田知世は舞台『あしながおじさん』で主演デビューをしていたと言うから、この映画は今で言うメディアミックス的な相乗効果があったのかもしれない。ただ如何せん角川監督が何を観せたいのかが解らない。いや原田知世を!俺が!可愛く!撮り!たいんだ!!ってのは伝わるんだけど、その熱意が見事に空回りしている感じ。 ダンサーを目指す少女のサクセス・ストーリー。あしながおじさんを探す日本情緒なロードムービー。なんかホラー調な部分もあって、何がしたいんだか解らない映画に仕上がってます。楽しい幕の内弁当と言いたいところだけど、宴会オードブルの残り物詰め合わせのように思えてしまう。  当時の風景くらいしか見所がない映画かというと、原田のダンスは中々のもの。ボディウェーブとか出来てんじゃん。振り付けに時代は感じるけど、結構長い時間ワンカットでダンスシーンが観られる。だけど電車の中(特撮)で踊ってたり、渡瀬が岩をカンカンやってる横で踊ってたりと、なんともシュールな画が挟み込まれる。角川春樹ら大人達の期待に答えようと、一生懸命踊ってる原田が健気に思えてしまう。彼女が今でも年齢相応の女優として活躍している理由が解った気がする。真面目なんだ。  無国籍感満載のオーディション。というかアメリカ人(風)ダンサーだらけのなか、1人子供みたいな体型の原田がちんちくりんに見えてしまう。 そんな不利なオーディションで主演女優に抜擢という謎のアメリカンドリーム。星条旗も掛かってるし、当時の日本はアメリカの真似をすることがカッコイイと思ってたんだろうな。 そんなアメリカンなダサ格好良さとは裏腹に、久しぶりに聞いた主題歌『愛情物語』には、こんな曲あったなぁって、世代直撃の懐かしさに唸らされたわ。
[インターネット(邦画)] 4点(2023-01-17 22:23:05)
24.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
“Avatar”サンスクリット語の『化身』がモトで、仮想空間の自分の分身を意味する。アバター使うSNSってAmebaだったっけ? 公開当時は本格的な3D映画が世の中に出だしたばかりで、キャメロン監督だし期待値も高かったけど、あの真っ青な宇宙人にどこまで感情移入できるか不安も大きかった。ナヴィのモチーフは猫科っぽい。豹だろうか?う~ん… 青い人というとインドのシヴァ神を連想するけど、アバターの語源から、意外な繋がりがあったんだね。  地球人サイドで物語が進んで行く中で、今の技術から運用方法が想像出来る未来兵器の数々。スペースシャトルやヘリコプターの未来版とともに、世界観的に違和感なく運用される二足歩行ロボット。キャメロンは相変わらず近未来ミリタリーものとして観せ方が上手いなぁ。巨大なタイヤに刺さった槍が、地球人側から観るから不安感を掻き立てる。 未知の惑星。パンドラの植物、動物、そしてナヴィ。地球と異なるパンドラの生態系を、徐々に体を慣らすように観せる手法も上手い。ハレルヤ・マウンテンで『ほえぇ~!』と驚いてる頃には、ナヴィの見た目の特殊さなんてもう慣れっこになっていて、人間同様に喜怒哀楽を表す彼ら。特に両親からジェイクの教育を言いつけられたネイティリの不満声。言葉の意味はわからんけど、感情が手に取る様に伝わって面白い。もうナヴィに親近感を感じている。これも3Dという、映画の世界に入り込む感覚が、よりそう感じさせるんだろうか?  最後の全面戦争の派手さ。後から思うと地球人として複雑だけど、果敢に戦うジェイク達を応援してしまう。エイワが力を貸した時のカタルシスも大きい。あの一戦で手を引く地球人じゃないのは想像付くけど、ひとまずの結果にホッとする。 『一人が死に、一人が再スタート』兄の代役として、車いすのジェイクが自分の足で走り回るのは、テクノロジーの進化、将来像に夢を見られる時代だったように思う。そして高度に発達した世界での、肉体の必要性について考えさせられるエンディングに繋がる。  そうそう、これが人生初の3D映画体験。鋭利なトゲとかがわざとらしく目の前に迫ったり、爆発の破片が飛んできたりってのを想像したけど、もっと奥行きや世界観の広がりに3Dを使ってて、CGバリバリの映像なのに、作り物の嘘くささは感じなかったな。ただメガネ無しの映像に比べて、少し暗かった気がする。濃度の薄いサングラスを掛けて観ている感じ。あと高かったな。2,800円とかした気がする。 凄い映像の映画だったけど、『ダンスウィズ…』や『ラスト・サムライ』と展開が似ていて、まさかこの映画の続編が、こんなに年数経ってから創られるとは思わなかったわ。
[3D(字幕)] 8点(2023-01-09 22:51:42)
25.  アバター:ウェイ・オブ・ウォーター 《ネタバレ》 
“The Way of Water”『水の(世界で生きる)習わし』。前作が森を舞台にしたのに対し、海を前面に押し出してきた本作。 体験型アトラクションとしてとても解り易い住み分けですね。ストーリーより映像美重視な作品とはいえ、前作より30分も長い3時間超えの上映時間を飽きさせない手腕はさすが。 前作から10年以上、“あれからジェイクたちに何があったか?”を駆け足で伝えていく中で、ネイティリとの実の子と養子養女。5人も出てくる。もし序盤のまま森が舞台だと、みんな青くて細くて、じっくり観ないとどれが誰だか??ってなりそうだけど、外観上違いのあるメトカイナ族の中にサリー一家を放り込むことで、きちんと(かろうじて?)区別は出来るようになっている。 ただ顔と名前が一致するまでちょっと大変なのと、パンドラ世界の固有名詞がポンポン出てくるので、直前に前作を観ておくと理解はスムーズだったと後悔。  ストーリーは、南北戦争の映画を観ていると既視感多いかもしれません。戦争に巻き込まれた大家族の宿命も。 本作は最初から続編を考えての作品の為か、全力を出し切った感が薄いです。キャメロンはターミネーターにしてもT2にしても、一つの作品に全力を出し切る姿勢が大好きでした。過去のどの作品も“彼らの戦いは今後も続くけど、映画で描くのはここまでおしまい”って感じがしっかりしていたのに、本作は“まだ続きますよ”感がありありで、こう観せられると『続編作りの神様でも、普通な終わり方するんだな』って思ってしまいました。  本作のヒロイン・キリが、まさかのシガニー・ウィーバーってことに最後のクレジットまで気が付かなくて。動く城の映画で感じた声の違和感が全く無かったのが、さすがのクオリティ。キリがシガニー本人なら、彼女の出生の秘密や不思議な力の理由も、モヤモヤっと解る気がしてきたぞ?そんな事より、この映画のモーションは、演者自身の動きから取り込んでいるんだろうか?だとしたら凄いなシガニー。 ひと作品の中で、同じような“捕まって逃げて”を何回も繰り返すから、さすがに『また捕まるのかい』って思った。そう言えばキャメロン映画の多くに“捕まって逃げて”が出てくるっけな。でも本作ほど何回も似たような展開がってのは、初めてだった。 『息子には息子』サリー一家の中で唯一純血のナヴィ・ネイティリの、スパイダーへの行いが、私の中でも未消化。あれで終わったのか、今後掘り下げるのか?う~ん、交われない存在って事なのかなぁ。  アトラクション映画として、今回4DXの字幕版で視聴。SWのEP9以上に映像と座席の動きに一体感が感じられました。浮遊感が素晴らしく、大佐のビデオメッセージのシーンでは宇宙酔いしそうに(※長時間じゃないので心配無用)。さすが家庭ではなく劇場で観るために作られた映画らしいなって思いました。 登場人物がナヴィばかりなのに英語のセリフが多いのは、字幕に気を取られるのを防ぐためだろう。そう考えると吹替版が一番適してるのかも? 映像に合わせて背中を叩かれるような衝撃が伝わるんだけど、3時間超えとなると首がじんわりと痛い。水しぶき同様、衝撃OFF機能が欲しかった。肩こり持ちの人はIMAX版のほうが良いのかな? そうそう、直前までIMAX版と迷ったせいで、うっかりREALD・3Dメガネをまた買ってしまった。これで5本になりました。欲しい人居れば…
[3D(字幕)] 7点(2023-01-02 12:30:52)
26.  アンタッチャブル 《ネタバレ》 
- The Untouchables - “触れることが出来ない存在”。メディアが付けたエリオット・ネスの特別捜査班の呼び名。 映画としてまとめ方がとても上手い。これだけボリューム感のある内容なのに、上映時間はキッチリ120分に収めるところが凄い。この映画を素晴らしい完成度にさせたのは、テンポの良さと思い切りの良い嘘。  ネスやカポネに興味を持って、ちょっと調べれば映画と違う事実がボロボロ出てくるんだけど、それが全然、この映画のマイナスになってないのね。 本当は11人いたというメンバーを4人に絞って、それぞれに個性と魅力を持たせている。史実に沿ったらあんなドラマチックな採用シーンは無いハズ。 たまたま報告に来たウォレスにショットガンを渡して郵便局に入っていくシーンなんて鳥肌モノ。この扉を破ったらもう後には引けないぞ!のドキドキ感。ネスの妻たちを避難させた後の、4人が揃って小走りするときのワクワク感が半端ない。モリコーネの音楽がまた盛り上げてくれる。 カナダ国境の銃撃戦なんて、ぜったい馬に乗る必然性がない(カナダ警察はともかくアンタッチャブルズは車だろう)のに、なぜか納得して観ている自分。 4人の観せ方が上手いから、犠牲が出た時のネスのショックと喪失感に共感出来る。ベテランのコネリーとスミスはもちろん、ガルシアの存在感が光ってた。  カポネの登場シーンは少ない。それでもバットのシーン一つで恐怖を植え付ける上手さ。このシーンがあるから、初登場時の顔そり→出血の恐怖感も活きてくる。顔そりのシーン、朝食のシーンと、カポネこそがまさに“触れられない存在”として描かれる。銃撃戦多めのこの映画だけど、最後は史実通り裁判で決着。登場時との対比で群衆にモミクチャにされる“触れられない存在”だったカポネ。ここんとこの観せかたも、上手いよなぁ。 劇中、犯罪の実行犯はカポネでなく、少女もメンバーもニッティに殺される。だからこそ最後、正義とは無縁の感情で、それもネス自身の手で決着を迎えることにもカタルシス大。  馴染みの新聞記者が「禁酒法が廃止されるそうですが?」と伝えるタイミング。カポネが有罪になって、ネスが捜査本部を後にするあのタイミングで、こんなスクープが伝えられるなんて絶対嘘なんだけど、映画として入れるべき嘘って、こういうのだよね。 史実を忠実再現するのもいいけど、映画として、エンタメとしてこの表現方法が正解。これが“楽しむための映画”の醍醐味だろう。
[映画館(字幕)] 10点(2022-12-17 23:37:31)
27.  あいつと私(1961) 《ネタバレ》 
ヤー!!ヒッップ ヒッップ ヒップラー♪初めて観たときは、あのオープニング曲にズッコケそうになったけど、2回め観ると意外と癖になるね。歌はともかくイントロの高揚感は今の時代に聞いても素晴らしい。 '60年辺りの大学生のドラマなんだけど、まるでアメリカの学園コメディのようなノリ。会話のテンポの良さが、どことなくシン・ウルトラマンの会話に近い感じがした。そういや、けい子の一人語りはまるでエヴァの赤木リツコみたい。 セックス、赤線、ザーメンと、オブラートに包むことなく日常会話で出てくる性表現にビックリする。当時の若者、こんなだったのかな?『処女と童貞のままで 九月にまたこの丘の上であいましょう』…ってなにそれ。温泉マークがラブホテルの意味だったなんて、勉強になりました。 そしてパワフル。友達の結婚式に出て、安保闘争に参加して、レイプされた女友達を介抱して、次の日はデーゲーム野球観戦。早朝に3人並んで瓶牛乳ガブガブ飲むとこ大好き。軽井沢の別荘からママに呼ばれての食事も、みんな食べる食べる。日本が裕福になった時代なんだな。  この映画の主役は芦川いづみ。彼女と裕次郎の、嵐の中のキスシーンはとても綺麗。ここのシーン、三郎の過去を聞いてけい子が飛び出してズブ濡れになるんだけど、ここ三郎をプールに突き落としてズブ濡れにしたのと対になってるんだろう。お互いの家の食事も。けい子が三郎宅に泊まる時の、モトコ・桜井のものと思われるブカブカのネグリジェ姿が可愛い。これも三郎がけい子の父のブカブカの服を借りたのの対になってる。ついでに三郎は女装したんだから、けい子の男装も観たかった。  思春期の三郎に性の相手を与えたのはママ。そのせいで恋愛感情が歪んでも、ママを恨むどころかママが好きな三郎。 そんな三郎を不潔と言い、強引にキスされても、翌朝には車と別荘があるから友達を続けるというけい子。 家にまで愛人を呼び込むモトコ・桜井。嫌気が差して荷物まとめて出て行こうとするけど、結局出ていかないパパ。 彼らと、安保反対と叫びつつ、朝鮮特需の恩恵を受けて平和で贅沢な暮らしはしっかり謳歌する、当時の日本の大学生が重なってしまう。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-12-10 00:06:50)
28.  アンブレイカブル 《ネタバレ》 
- Unbreakable - “壊せない”。ある意味ネタバレ?自己紹介?なタイトルなんだけど、他に“(暗号が)解読できない”。って意味もあるそう。なんかコッチだと、シャマラン監督から観客への挑戦状にも思える。 確かに前作の完成度を考えると、ちょっとランクダウン感はあったけど、私にとって“まぁ楽しめたシャマラン作品”だったので、こちらでの点数に驚いてしまった。こんなに低いの?レディ・イン・ザ・ウォーターより下??まじか…  序盤の鉄道のゆらゆらしたカメラは印象深いし、事故後もう一人の生存者の、白いシャツに血がジワ~~っと滲むシーン。「数分後にはあなた一人になるでしょう」はショッキングだった。ベンチプレスで重りを追加する度にジョセフが後ろに下がっていくのも可愛い。デビッドが『これ俺、内緒な』ってジョセフに新聞見せるシーンも静かで良かった。当時のアメコミヒーローと言えばバットマンはお洒落にリメイクされ、X-MENは新時代のヒーロー物をCGでド派手に。そんな時代、リアル路線に傾倒したアメコミヒーローもアリだと思った。  シックスセンスの大ヒットで、シャマラン映画は予想外の結末を期待するものだってレッテルを貼られてしまったように思う。そんな期待に正面からガチンコ勝負を挑んだのが本作かもしれない。上に書いたタイトルにしても、『真実を知る覚悟はあるか?』ってキャッチコピーにしても、劇中のイライジャの母の台詞「この話、最後に驚くのよ」にしても。 シャマラン監督、この映画の結末にだいぶ自信があったんだろう。前作同様に観客が「あぁ、やられた!」って思うだろうと。でも多くの評価は「前作ほどじゃないね」って感じ?私は「なるほど~」って感じだったかな。イライジャの秘密は予想外で、不満はなかったけど、それよりデビッドが超人的能力を身に着けた、理由?キッカケ?が知りたかったんだけど…って、肩透かし感はあったかも。 前作を楽しんだ人が、同様の刺激、驚きの結末を期待して観に来ている以上、ハードルが上がりすぎたんじゃないかなぁ?もしシックスセンスよりコッチが先に公開されていたら、もう少し評価は変わっていたかも? それか公開時は監督名を伏せておいて、映画の最後の最後に『実はシャマラン監督作品でしたー』とかって。そうなるともうネタ映画か。
[映画館(字幕)] 6点(2022-12-08 23:15:40)
29.  哀愁 《ネタバレ》 
- Waterloo Bridge - “ウォータールー橋”ナポレオンの『ワーテルローの戦い』から名付けられた橋なんだそうな。なるほど。 印象的な白いビリケンさんのお守り。1908年辺りに特許が~とあるから、マイラも流行りものとして一つ持ってたのかも。  ロイを好きにならなかったら、彼女はバレリーナとして、花形にはなれなくとも、淡々と生きていたかもしれない。 劇団を解雇され、娼婦に身を落としながらも懸命に生きてきたマイラ。ロイとの再会が無ければ、死を選ぶこともなかっただろう。 幸せを掴もうとしたが為の悲劇。マイラがあまりに純粋だからこその悲劇。彼女に人並みのしたたかさがあれば。  マイラに一目惚れし、大佐との食事を断ってまでバレエ劇場に足を運んだロイ。 戦地への赴任延期の日を、マイラとの結婚に使う、ある意味強引で、自分の感情に真っ直ぐな性格なんだろう。 家柄の良さからか、戦時中に職を失った女性がどのように生きていたのか想像もしない辺り、ロイもまた純粋だった。  キティ。純粋な2人を結びつけたいと、マイラと一緒に(というかトバッチリに近いカタチで)劇団を解雇され、彼女を見捨てること無く、黙って娼婦に身を落としたキティが素晴らしすぎる。 ある意味虫が良すぎるマイラ提案の玉の輿作戦。見方によってはキティを蔑ろにする行為なのに、快く送り出す優しさも素晴らしすぎる。 ロイがマイラを探して訪ねてきた時も、ストレートな物言いをせずに黙々と案内するところも素晴らしすぎる。 キティとマイラが初登場する時、「空襲警報だわ」って、マイラの前にグイッと割って入って言うところ含め、この映画の影の主役は二人を結びつけるために活躍したキティ。白いビリケンさんをロイに渡して以降、白いキティが常にマイラを守ってた。あまりに素晴らしすぎるキティ。
[DVD(字幕)] 7点(2022-12-04 18:51:29)(良:1票)
30.  I am Sam アイ・アム・サム 《ネタバレ》 
- I am Sam - “私はサム” 主人公はルーシーでなくサムです。だけどこの映画をキッカケに、とんでもなく幼いハリウッド女優・ダゴタ・ファニングが認知されました。当時まだ6~7歳とかなのに、台詞とともに感情を乗せる凄い女優さん。ハリウッドの人財層の厚さを痛感しました。 3度目の正直でアカデミー主演男優賞を狙ったショーン・ペンだけど、残念ながら受賞はならず。理由はトロピック・サンダーで語られていたことが案外本当かもな?なんて思えたり… ちょっとあざといかな?って思える部分もあるけど、ルーシーが何度も家出して何度も連れ帰される画に、なんかとても癒やされる。  さて、とてもわかり易くヒューマニズム溢れる親子愛に満ちたこの映画。ルーシーでなくサムが主人公のこの映画は、果たして誰をターゲットに創られたのかな?ってことを、ちょっと考えてみました。 既に親離れして社会に出ていった、サムくらいの年齢の息子を持つ母親がターゲットなんじゃないか?って思った。母親から見て出来が悪く、私の育て方が悪かったのかしら?なんて自ら反省してしまうような母親。親元を離れたバカ息子がどんな生活をしているかなんて、断片的にしか知らない。気がついたら、どこが良いのか解らない女と結婚してて、誰に似たのか可愛いくて賢い孫を連れてくるバカ息子。 劇中サムの母親がどんな人だったかは語られない。幼いうちに施設に入ってるからだけど、母親イメージを固定させないためかも。同じくルーシーの母親も再登場がないのは、息子の嫁を話題にしたくないからかも。若い世代のアーティストが、サムの母親の青春時代によく流れていたビートルズを歌うのも、入り込みやすさに一役買っているのかも?  サムがどれだけルーシーを愛して、不器用にも子育てに挑戦する姿を観て、本当に子育てに必要なものって、教養や裕福さではなく、愛情こそ一番だ。と再認識するんじゃないだろうか。自分のバカ息子をサムに重ねて、出来の良い孫をルーシーに重ねて観ると、私の子育ても間違っちゃいなかったのかも?息子への愛情だったら誰にも負けなかったわ。って、再認識出来るかもしれない。 そしてリタのように世間ではそつなく仕事をこなしていても、家庭はボロボロ。自分の子供をどう育てたら良いのか分からず、自信を失っている母親って結構多いと思うし、自分の子育て時代を振り返っても、私も当時はそうだった。と、共感出来る母親も多いだろう。 劇中、子育てを完璧にこなした母親が出てこない。リタの空回りした生活を通して、子育て真っ最中の自分を思い出し、サムの子育てを通して自分からは観えなかった息子の苦労を疑似体験するんじゃないだろうか。考え過ぎかな。  そうそう、新スタートレック好きには嬉しいサプライズがあるよ。データ少佐とケイコ・オブライエンが意外な役で出てくるから、お見逃しなく。
[映画館(字幕)] 6点(2022-11-23 23:01:32)(良:1票)
31.  アジョシ 《ネタバレ》 
- 아저씨 - “おじさん” ソミが何回も「アジョッシェー」とか言うから、耳に残りやすいですね。 テシクを演じたイケメン俳優ウォンビンさん、当時32歳くらいで“おじさん”役かぁ。子供から見てだからねぇ。最初のダラっとしたシャツ着てても解る筋肉の付き具合がたまらない。この映画で大注目されながら、この映画を最後にパタッと出なくなってます。なんか、惜しい。 キム・セロンも子役ながらとてもいい演技を観せてくれる。テシクと一緒に御飯を食べるシーンで、上唇にご飯粒(?)付けたまま話し続け、話し終わりに舌でペロッと食べるところ。不自然じゃなく、きちんと可愛い。最初ご飯粒は付いてなかったから、監督の指示通り演じたとしても、あの若さであの自然さ、凄くないですか?コレが指示もなく偶然出来た事としても、やっぱ凄い。  ベースはレオンの韓国版と言えるけど、レオンを知っていても楽しめてしまう。サボテンにジャブジャブ水を掛けるところが、テシクの優しさと不器用さを表現してたように思う。韓国流の残酷度の高さに拒否反応が出なければ、エンターテインメントとして、とてもクオリティの高い作品に仕上がっている。 ソミの母親のあんまりな最後に、ソミ自身ももしかしたら?と不安がよぎり、その感覚がテシクのソミを救いたい気持ちとシンクロし、最後まで緊張感を持って観ることが出来た。  目のところはもう、ロワンがソミを助けてるであろうことは想像できたと思う。絆創膏の前フリもあったし。だからこそ銃を使わないナイフの戦いが、フェアな好対戦に観えたし、マンソク兄を撃ち殺すところにはカタルシスが感じられた。これでもしソミが死んでいたら、そっちのほうが予想外。でもこういう、いい意味で“先が読める展開”は大歓迎。
[インターネット(字幕)] 8点(2022-11-08 22:20:55)
32.  赤いハンカチ 《ネタバレ》 
この時代のアクション映画にしては、単純に力技だけでなく、程よい謎解きと登場人物それぞれの感情描写もあって充分に楽しめました。 冒頭の爽やかな裕ちゃん。貧しいけれど前向きに工場で働いて、コロコロ笑う浅丘ルリ子が可愛い。自慢の御味御付のシーンとか通勤途中の目にゴミが入るシーンなんて、青春映画の一幕のようで爽やかだ。  おでん屋の親父の死を抱えての4年後。三上にしても玲子にしても影があって暗い。画的にも夜のシーンが多くて暗い。外国のハードボイルド映画のような雰囲気が出ていて、私としては好感を持てたな。ゆうちゃんが『赤いハンカチ』を唄いながら夜の街を練り歩くシーンが、やっぱ昭和の日本だなって感じさせて安心できる。夜の繁華街や石塚のイベント会場の作りが当時の賑わいを感じさせて、懐かしく思えたのもGOOD。  当時の日活アクションだしなぁ。って極力甘めに温かい目で観ていたけど、親父の逃走劇の舞台裏なんて思わず感心してしまった。でもあそこで三上が撃てなかったり、見事手足に当っていたら、石塚どうするつもりだったんだろう?
[インターネット(邦画)] 6点(2022-10-16 14:16:03)
33.  アポロ13 《ネタバレ》 
実際の事故を極力忠実に再現するジャンルの傑作。同年代のジュラシック・パーク同様、今まで再現できなかった映像を創ることが出来るようになり、後のCG技術の発展にも大いに貢献した映画だと思う。 CGに頼らない部分(ヒューストンの管制室、アポロ13号船内、シミュレーター、ジムの家など)の作り込みも丁寧で、セットとCGのいわばハイブリッド感の素晴らしさが味わえる。後のCG飽和期の“映像の嘘くささ”が無いのは、CG黎明期のこの時代の作品に多いと思う。  記録映画として淡々とした作品にならず、娯楽性が高いのもこの作品のすごい所で、ちょっとした“味付け”の上手さがとても活きている。 14号搭乗の予定が繰り上げで13号に。13という数字。打ち上げ2日前のメンバー交代。『そういえば今から思い返すと、アレって不幸の前兆っぽいよな』って、きっと後から言われだしたような出来事を、打ち上げ前に畳み掛けるように入れる。 クルーによる船内撮影とそれが中継されてないこと。からの「世界中が見守っています」って野次馬根性丸出しの生中継。実際あそこまでリアルタイムに放送していたのかどうか。テロップや臨時ニュース程度だったかも。 これも実際どうかは解らないけど、大気圏突入から交信復活までの2分近い間も映画的に盛り上げる。  単純に娯楽映画のスパイスをパッパと振り掛けているだけで、素材の面白さ(実際の事故だけに不謹慎な表現かもしれないけど)を充分に引き出している。 ジェームズ・ホーナーの音楽もセオリー通りで、宇宙空間では宇宙っぽい曲を。回収部隊の揚陸艦イオージマが出ると軍隊っぽい曲を。工夫がないと一蹴する事も出来るけど、映画好きの脳にこびり着いた既知の高揚感、不安感、安心感を湧き起こさせる、奇をてらわない演出だと考える。  この映画で観てほしいのは、CGの凄さや映像の目新しさではなく『栄誉ある失敗』と呼ばれたアポロ13号の事故とその生還への努力。ドキュメンタリー番組とは違う娯楽映画としてのアプローチ。映画という媒体が持つ表現力。観るものに伝える説得力。簡単に言えば映画の素晴らしさだろう。
[地上波(吹替)] 9点(2022-10-13 11:37:25)
34.  アビエイター 《ネタバレ》 
-The Aviator- “飛行家” たくさんの飛行機が登場する映画制作。世界最速の飛行機の製作。そして航空会社の買収、超大型輸送機の開発に偵察機の開発と、飛行機に関するものを新たに作り、自ら操縦するまさに“飛行家”ハワード・ヒューズの半生を映画化している。 名前くらいは聞いた気がするけど、映画界に航空業界にと多岐にわたって影響力を発揮した人物。莫大な資産を持ち、自分の好きなことに好きなだけお金を使うこの生き方は、ズバリ男のロマンじゃないでしょうか?  いっぽうで多岐に渡り過ぎて、ハワード・ヒューズを良く知らない私には、彼の人物像を掴むのに戸惑ってしまった。病弱な少年は資産家の子で映画監督になったのか→本業は航空機の会社なのか→有名女優との関係でも有名だったのか→精神を病んでしまったのか。みたいな。 そもそもハワード・ヒューズを構成する一番メインディッシュの部分が“飛行家”の部分で、どうして彼がそこまで飛行機に心奪われたのかが、劇中そんなにしっかり描かれてたかな?って。なのでこの映画が、彼のどの面を描きたかったのかが私には上手く伝わらず。  唯一の幼少期の描写「QUARANTINE(=感染予防のための隔離)」は、どっちかって言うとスパイス的な部分だと思う。初めにスパイスが出て、完成したメインディッシュが幾つか(資産家、映画監督、パイロット、実業家、プレイボーイ)出てくる…けどこれ、モトは牛?豚?鳥?みたく。 ハワード・ヒューズは過去にこんな経験があって飛行機に魅了された“飛行家”なんだよ。って部分を、しっかり描いた方が、解り良かったかな。その流れだと、こだわり抜いた飛行機映画の完成や、世界最速への挑戦やTWAの買収の成功も、『金に物を言わせて成功したぜ!』だけでない、彼だけのこだわり、達成のカタルシスが感じられたかもしれない。
[インターネット(字幕)] 5点(2022-10-08 11:52:41)
35.  熱海殺人事件 《ネタバレ》 
オープニングを軽く見て、面白そうだなって録画しといたのを観ました。仲代達矢、乱に出たあとにコレに出ちゃうんだ、凄いね。 さて、これね、最初オープニングで感じた「面白そうだな」ってテンションを維持しきれませんでした。 仲代さんがあんなアホなこと言ってる。志穂美さんが脱いでクネクネお色気振りまいてる。風間さんがハイテンションで下品で暑苦しい男を演じてる。大滝さんは…相変わらずだ。仲代さんが花束で犯人を何度も叩き付けるところなんて凄いんだけど、でもね。  出入り自由な留置所とか、屋上の犯人の説得とか、コメディとして楽しいシーンだし、油断すると笑ってしまうんだけど、1つの映画作品として面白いか?と自問してみると、う~ん…となってしまう。 ただ、子供の頃大好きだったポリスアカデミー('84)も、今観るとそんなに大爆笑できなかったことから、コメディって賞味期限が短いもの、年齢制限のあるものもあるんだな。ってところはあるし、本作も公開当時、その時代に観ていたら、結構お気に入りになってたかもしれない。  戯曲とのことで、舞台で観てたらまた違う感想になっただろうか?また映画として、この作品はつかこうへい作品の魅力を出せているのかな? この映画が原作の再現度・完成度が高いとすると、もう単に好みの問題になってくるかも。 同じつか作品で、公開年も近い蒲田行進曲は凄く面白かったから、そういうのを期待してしまったのかもしれない。  私は日本酒が苦手で、「コレ飲んでみ?どお?」なんて聞かれても、他の日本酒と味や風味がどう違うのか。美味いのか不味いのか。甘いのか辛いのか。上手く説明できません。そんな感じで、この映画の出来が良いのか悪いのか。つか原作の魅力が出せているのか不完全燃焼か、解りませんでした。 内容を理解して楽しめての6点以上でも、欠点が解っての4点以下でもない。そんな意味で、良さも悪さも説明できないから5点。 興味のある方は他の方のレビューを参考にして頂いたほうが良さそうです。
[インターネット(邦画)] 5点(2022-09-26 23:55:25)
36.  アラバマ物語 《ネタバレ》 
この映画、私にとって『第三次映画鑑賞ブーム』の引き金になった記念碑的な映画です。 私も40代半ばになって、気になってた映画、名画と呼ばれてる作品は、いまの内に観ておかないと、きっと一生観ることはないぞ!と。 で、たまたまこの映画のDVDを(数合わせで)買い「古いのになんて素晴らしい映画なんだ!」って思ったんですね。大袈裟に言えば「こんな映画があることを知らずに死ぬところだった!」なんて。 それまでホント、映画は年に両手に収まる程度しか観なくなっていたけど、この映画との出会い、このサイトへのレビュー投稿をキッカケに、今では全盛期(小~高までの第一次映画鑑賞ブーム)並みに観るようになってます。  さて -To Kill A Mockingbird- “マネシツグミを殺すには” 日本では馴染みがないけど“ものまね鳥”なんて言われてて、他の鳥の声真似がとても上手な、無害な鳥のこと。無実の罪を着せられた黒人のトムや、噂で危険人物扱いされているブーに対する世間の対応や反応。幼いスカウトが自らの目で観た世界とアティカスの教え。古き良き'30年代に、子供の目線で何を学んでいったかを、大人になったスカウトが振り返る、そんな構成です。  スカウトとジェムが家の周りで遊んでるだけなんだけど、それが観ていて楽しい。好奇心がエスカレートして夜中にブーの秘密を探りに行くところとか、子供の冒険らしくて好き。エジプト人歩きとか、もうツボった。 普段は年配のお父さんを「アティカス」って呼び捨てにする子たちだけど、真面目な話のときは「yes, sir」って答えるの、TPOしっかりしてて好き。 何よりスカウトの“ハムのコスプレ”がとんでもなくカワイイ。アレをハロウィンの衣装に選ぶセンスがもう可愛くってたまらない。 見た目が本物に忠実なハムなんで、ご丁寧に胸にわざわざ『HAM』って書いてあるの。あの衣装、7割方アティカスが手伝って作ったんだろう。スカウトは史上初のコスプレ・ヒロインじゃないだろうか。あ、仮装か。 子供向け映画と思いきや、アティカスが扱うのは黒人による白人レイプ事件。人種差別が根強いアメリカ南部の狭い社会で起きた事件を、住人ばかりの裁判で裁く。裁判所の一階席に座る白人と二階席の黒人。'62年の映画だけど内容はかなり生々しく、序盤の“子供の冒険映画”とのギャップに驚いた。  フィンチ家は街のど真ん中。教養のある黒人メイドがいる。隣人ラドリー家は社会に出て働けない青年ブーをずっと家で育てられる。言い換えると金銭的な余裕があるんだろう。 黒人加害者トムの家へは、フィンチ家から車で行く距離だから、相当街の外れなんだろう。そしてトムの家と畑の間にあるのがユーウェル家。貧しい白人は黒人の家の近所に住んでいるようだ。そういう、ギリギリの生活をしているユーウェルみたいな人ほど、黒人に対する対抗意識が強かったんだろうな。被害者メイエラ・ユーウェルは、内面が粗暴で、貧乏人の子沢山じゃないけど7人の兄弟がいる。ユーウェル婦人が出てこないのも気になるところ。 愕然の評決。だけど2時間にも及ぶ陪審員の協議が、人種差別の根の深さと、自分たちの良心の葛藤を物語っていたとも思えた。閉廷後アティカスを直立無言で見送る黒人たちが印象的。 そして原作の話だけど、本作の続編に当たる『さあ、見張りを立てよ』の存在、大まかなあらすじにも大いに驚かせられました。読もうかどうか迷ってます。
[DVD(字幕)] 10点(2022-09-05 12:11:08)
37.  あぶない刑事 《ネタバレ》 
昭和末期の刑事ドラマ。当時大人気だったけど一回も観てないんだよな。ハリウッド映画の激しい銃撃戦と比べてリアリティが無くて、どうもチープに感じられて…でもとんねるずの『ちょっとあぶない刑事』は好きでよく観てたっけ。  さて映画。オープニングの街並みがもう懐かしい。夜が暗くて電気が明るい。LEDの無機質な明かりでなく電球とネオンでギラギラしてたんだよ。うわ電話ボックスに人が入ってる。誰も携帯持ってない。私の記憶の中ではついこの前なんだ、バブル当時って。改めて映像で見ると、あんなだったなぁ~って懐かしく思えた。私も歳をとった証拠だわ。 今の目で観ると、常にサングラス掛けてるのとかに時代は感じてしまうけど、タカとユージ、二人ともスーツをパリッと着こなしていて格好いい。会話がおしゃれでキマってて、何をしてても華のあるキャラだね。手錠してダンスなんてホントこの作品を象徴するような愉快な画。 すぐ発砲するのと、銃の撃鉄上げて引き金に指をかけてるところとか、やっぱリアリティは考えてない作品で苦手だなぁ。この辺、あんまマニアックに拘るとライト層の人気を取れないのかもしれないけど…いきなりバズーカで警官2人死ぬのも、ライトな内容にしてはドギツイ展開に思えた。  浅野温子の服装が毎日コロコロ変わって楽しい。でも当時の流行りってあんなだったっけ?今の目で見るとかなり奇抜だわ。でも彼女の性格がカワイイ。ってかウザカワイイ。ちょっと抜けてるトオルもカワイイ。真面目な学生の変装もカワイイ。タカ&ユージに理解ある課長(中条静夫)もカッコいい。木の実ナナむかしと全然変わんない。 キャラクターの魅力は感じられるし、こりゃハマる人はハマるだろうな。当時ドラマの方観ていたらなぁ、映画とバラエティばっか観てたからなぁ。 想い入れがないのでこんな点数だけど、TVシリーズの映画拡大版として悪くない出来じゃないでしょうか?
[インターネット(邦画)] 5点(2022-08-26 23:16:03)
38.  嵐を呼ぶ男(1957) 《ネタバレ》 
両親(特にママン)が祐ちゃん好きだったみたいで、石原裕次郎が亡くなった時にベストアルバムみたいなレコードを買ってきて、家族で一緒に聞いた覚えがあります。 「フックだ!ボディだ!」とセリフ付きの歌に、当時の私は内心『・・・ダッサ』と思ったっけ。 裕次郎の格好良さが詰まっていると言われる本作。きっと大人になった私だったら、共鳴・理解出来る何かがあるに違いない!と思い、数年前に1回めの鑑賞。 オープニング、銀座の昼が夜になり、ネオンがギラギラ輝く当時の夜景が美しく、ガヤガヤした人の喧騒が楽しい。観ていてワクワクした。 ヤクザの世界とベタベタな芸能界も、きっと当時の感覚では“言うまでもない世間の常識”だったんだろう。時々闇深さを見せる今の芸能界より解りやすい。  詰まらなくはないんだ。惹かれるものはあるんだけど、でもね、う~ん・・・チャーリー(何だよチャーリーって)との対決で歌っちゃうのってどうよ?アレってドラムのテクニックとか関係ないし反則じゃない?なんかね、一番の盛り上がりポイントが、正直言ってやっぱりダサくて、このノリに素直に同調できなかった。“昭和を代表するスター”の代表作の魅力を充分に理解できなかったわ。 子供の頃からスタイリッシュで格好いいハリウッド映画と洋楽にどっぷりハマって、“欧米文化サイコー!!”って自分を洗脳してきた私には、戦後から立ち直って、その先を模索する当時の日本人のパワー(暑苦しさ)、昭和の真ん中な空気(古臭さ)にダサさを感じてしまったんだろうな。  それで今回、レビューのために再鑑賞。やはりオープニングにワクワク。戦後わずか12年でコレって凄いよなぁ。戦後かぁ。“戦後”ってキーワードで鑑賞すると、そういやチャーリーって、アメリカ人の代表的な名前だな。 左手を痛めつけられ、それでも逃げずにチャーリーと戦う裕ちゃん。手をやられたなら他の武器で戦えば良い。「おいらはドラマー♪」と、出せる力を全部出して戦う石原裕次郎に、当時の若者は焼け野原から立ち直った日本、“もう戦後ではない”これからの日本を重ねたのかもしれない。  ロカビリーとかカタカナ名前とかそういうアメリカの借り物でなく、これからは日本独自の格好良さを創り出していこうぜ!って、1957年という時代は、そういう日本の将来の分岐点だったのかもしれない。 映画の裕ちゃんみたく「フックだ!ボディだ!」って、日本人みんなが出せる力を全部出して、なりふり構わず頑張った結果が、高度経済成長なんだろうな。 This is 昭和! This is ニッポン! ダサいけど格好いいぜ、裕ちゃん!
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-08-26 19:51:38)
39.  あゝひめゆりの塔 《ネタバレ》 
今年の終戦の日に観たのはこちら。10年ほど前にひめゆり平和祈念資料館に行ったときは、無言の写真たちが訴えてくる重さ、ググゥッと肩を押されるような重さに、言葉を失ってしまった。なので、もうタイトルだけで重たく感じてしまう作品。 そこを吉永小百合と浜田光夫を起用して、日活青春映画そのまんまなオープニングで惹きつける。当時まだ戦後から23年。戦時中の若者がどのような青春時代を過ごし、命を落としていったかを、次の世代、特にあの子たちと同年代の若い人に観てもらいたいという思いが感じられる。モノクロなので耐性のない人でも最後まで観られると思うけど、実際の場面を想像するだけで充分に恐ろしい。  真面目に創られた映画にしては、ちょっと気になった点が二つ。まず口で手榴弾の安全ピンを抜くトコ。当時の武器は“天皇陛下からの預かり物”だから、丁寧に扱ったはず。それも兵隊でもない女学生が口でグイって…きっとTVドラマ“コンバット”辺りの影響だろうな。 それとアメリカ軍の攻撃機…には見えない。どう見ても民間機。あの飛行機はロッキード・モデル10という輸送機。水浴びを襲うグラマン・ヘルキャットは特撮で表現しているのに、どうして輸送機で代用したんだろうか。 アメリカ軍の攻撃機が女学生を追い回し、機銃を撃つ。きっとこの画を1つのカットに収めるために、撮影用に手配出来る実機を使う必要があったんだろう。パイロットの視力なら、砂地を走るトミちゃん達が非武装なのはもちろん、“一目散に逃げてる女子供”だと解ったはず。 それを、撃つんだ。狙って、撃ててしまうんだ。 この映画にはアメリカ人俳優が出てこない。きっと意図して出さないことにしたんだろう。誰が撃ったかも解らない、無感情な“鉄の雨”だけが彼女たちに襲い来る。そんな劇中、女学生を撃つ攻撃機のカット。撃てば死ぬ。あのアメリカ兵は、どんな気持ちでトリガーを引いたんだろう。その画のためのモデル10。  日本軍の学徒隊の扱い方も酷い。動員されたのが卒業直前なのって、校長先生の人望を利用するのと、学生の方がまとめやすいからだと思う。 学徒にも暴力を振るう軍人。男性器を出してお小水の介助。切断する足を押える手に伝わる体温とノコの振動。生きる希望より青酸カリのミルク。まだ10代の少女たちにはあまりに想像を絶する過酷な数ヶ月。 戦場を連れ回すだけ連れ回して、最前線での解散命令。実際はあの子たちを生かすためじゃない、見捨てる道を軍は選んだ。結果的に1,503名(映画より)もの学徒の命が奪われた理由として、あまりに理不尽じゃないか。  何の抵抗も出来ず、誰にも守られず撃たれて死んでいく学徒。捕虜となって、軍人に聞かされてきた辱めを受けるより、自決を選ぶ少女たち。 軍人でもない少年少女が、呆気なく散ってゆく姿に『無駄死に』という言葉が浮かんでしまう。 それじゃあんまりだ、決してそうじゃない。と思いたいけど、じゃあ、あの子たちの死は『意味のある死』だったのか。 現地訪問よりおよそ10年。この映画を観ても、やっぱり言葉を失うしか出来ない。 ひめゆり学徒隊の悲劇を知った私に出来るのは、平和の有り難みを実感して一生懸命生きることと、あの子たちの犠牲を忘れないでいてあげることくらい。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2022-08-24 01:51:34)(良:1票)
40.  アフロ田中 《ネタバレ》 
原作が好きであればあるほど、実写化、映画化には不安がつきもの。原作の再現度と雰囲気の再現。オリジナル要素がどれだけ馴染むか等、沢山の障害がある。“高校”から“結婚”まで全部実家にある私だけど、高校を中退してからプレハブ小屋生活、旭工務店に勤めるまでを足早に流した時には、初めて観る人を置き去りにする作風、正直期待できない作品。だと思った。 でもコレがなかなか、2時間の映画として、良くまとまった作品に仕上がっていると思う。この作品は、アフロヘアーだけど中身は普通の青年・田中広が、社会の仕組みや男女の恋愛に勝手に悩み、等身大の成長をしていく物語。当時原作は“さすらい”の頃だけど、一番脂ののっていた“上京”をベースに“中退・高校”のエピソードを交えて、友人井上の結婚と自身の彼女作りに、原作の雰囲気を壊さないよう、オリジナルの彼女候補・佐々木希を絡めて描いている。  松田翔太の見事な熱演。ちゃんと田中広に観える。動揺や不安感といった心の声を被せることで、田中が何を考えているかがよく分かる。無愛想だったり無口だったり、エロい誤解を与えないよう自重したり。あんな見た目(アフロ)や雰囲気の裏で、こんな事を一生懸命考えてたんだって、可愛く思える。 野良猫の餌やりは優しすぎ(映画オリジナル)に観えたかもだけど、ここも心の声で補完。田中は実家にクロって猫を飼っていて、会えないのを寂しがっていたのを再現したと思うと納得。それを見て亜矢(佐々木希)が勝手にキュンとしただけ。人がどう思うかなんて解らないもので、最後も亜矢が何を考えてるのか、経験不足の田中には良く解らないままにフラレて終わるのも、アフロ田中らしい。  友人の再現度もなかなかのもの。ただ大沢(堤下)は、もっと小柄でブサイクな俳優さんでやってほしかったかな。 一番感心したのはロボ(井上のお嫁さん)。原作をよく知らない俳優さんなら、うつむき加減の根暗演技になりそうなところ、背筋伸ばしてちゃんと嬉しそうに笑顔を出してた。結婚式の『ご本人主演の再現VTR』凄く良かった。完璧なロボを実写で観られただけでも大満足。原作への愛があるなぁ。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-07-24 13:45:15)
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