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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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1.  アダルトボーイズ青春白書 《ネタバレ》 
 大人の夏休み感が味わえる一本。   「日々の疲れを癒したい」「アウトドアを追体験したい」って願いを叶えてくれる作りになってるし、娯楽映画としての完成度は高かったと思います。  自然の中で、大人も子供も笑顔ではしゃぐ様が描かれているし、皆にとって「楽しい夏の思い出」になったんだろうなと、ほのぼのさせられました。   ともすれば「最近の子供はけしからん、俺達が子供の頃はそうじゃなかった」「残酷なテレビゲームばかりやってないで、もっと健全な遊びをやりなさい」という説教臭い内容になりそうなストーリーだし、実際そういうメッセージ性も込められてた気はしますが……  観ていて違和感を覚えるほどじゃなかったし、あまり押し付けがましくないバランスにしてるのも良かったですね。  子供達を外に連れ出す場面も「せっかくアウトドアが楽しめる環境なのだから、自宅では出来ない遊びをしよう」って雰囲気だったし、この辺りのバランス感覚は上手かったと思います。   ただ、どうも波長が合わないというか……  登場人物に対する印象が「悪い奴らではないんだろうけど、友達になりたいとは思えない」みたいな感じだったりするのが、非常に残念。  例として挙げるなら「甲高い声のマッチョマンを笑いものにする場面」「皆が並んでるのにズルして横入りする場面」などがそれであり、ちょっと主人公達が「嫌な奴ら」に思えちゃうんです。   クライマックスのバスケの試合にて、主人公が故意にシュートを外して負けるのを美談みたいに描いてるのも、納得出来ないものがあります。  「主人公は大人になった」「この世には、勝敗より大切なものがある」って言いたいんでしょうけど、どう考えても対戦相手に失礼というか……  精神的な成長というより、単に主人公が自己満足の為に他者を利用して「わざと負けてあげた」という優越感に浸ってるだけに思えちゃったんですよね。  ベタな言い方かも知れないけど、そこは相手に対する礼儀として真剣勝負を行って欲しかったです。   とはいえ、その辺りに関しても「本作はスポーツではなく、休暇が主題だから」と考えれば、決定的な瑕とは言えないだろうし……  基本的には楽しい内容だったので、それなりに満足。  また何時か、夏休み気分を味わいたい時に再見したら、もっと好きになれる映画かも知れません。
[DVD(吹替)] 5点(2024-02-10 14:13:47)
2.  あなたが寝てる間に・・・ 《ネタバレ》 
 家族を求めていた主人公が、家族を得るまでを描いた物語。   その点、あまりラブコメらしくないというか……  「恋人を求め、恋人を得るまでを描いた」という普通のラブコメ映画とは、一線を画すものがありますね。  何せ彼氏役のジャックが登場するのが、本編開始後30分くらいになってからというんだから、徹底しています。  最後のプロポーズ場面でも、ジャック単独ではなく家族同伴で行ってるくらいだし、本作のハッピーエンドとは「素敵な恋人が出来た事」ではなく「素敵な家族が出来た事」なのだと伝わってきました。   そんな本作の特長としては、やはり主演のサンドラ・ブロックの魅力が挙げられると思います。  冷静に考えたら、こんな美女が「恋人のいない孤独な女性」を演じるって、かなり無理があるはずなのに、映画を観てる間はそう感じさせないんだから凄い。  シカゴの地下鉄で改札嬢として働き、毎朝見かける客に恋してるって設定なのですが、その姿が本当に健気で、応援したくなっちゃうんですよね。  憧れの彼に「メリークリスマス」と言ってもらえたのに、上手い返事が出来ずに落ち込んじゃう様なんてもう、実にキュート。  主人公のルーシーが嘘を吐き、ジャックの家族を騙してる形なのに、全然「嫌な女」とは思えなかったし、無理のある設定を主演女優の魅力で補ってみせているんだから、本当に見事でした。   脚本も中々凝っており、特に大家の息子のジョーは良いキャラしてたというか、物語の中での使い方が上手かった気がしますね。  彼が得意気に「ルーシーと付き合ってる」と言い出した時、観客としては(なんて図々しい)と感じるんだけど、良く考えたらルーシーも同じような嘘を吐いてるんだと気が付かせる形になってるんです。  だからこそ、終盤で罪悪感ゆえにルーシーが結婚式を破綻させちゃう流れにも、自然と納得出来ちゃう。  ある意味、ルーシーには一番お似合いというか、似た者同士な二人であり、終盤で二人がハグを交わし「良い友達」という関係性に収まるオチには、ほのぼのさせられました。   難点としては……駅でピーターを突き落とした二人がどうなったのか、謎のままなのでスッキリしない事。  そして「寝てる間に婚約者が出来て、それを弟に奪われた」って形になるピーターが哀れで、ハッピーエンドに影を落としている事が挙げられそうですね。   優しい作風の品なのだから、最後も「主人公は幸せになりました」というだけでなく「皆が幸せになりました」という形の方が似合ったんじゃないかなって、そんな風に思えました。
[DVD(吹替)] 6点(2023-12-26 08:25:46)(良:2票)
3.  アローン・イン・ザ・ダーク 《ネタバレ》 
 この手の「モンスターと戦うアクション映画」って好きです。  そして主演がクリスチャン・スレーターとくれば、否応なくテンションは高まるのですが……  冒頭のナレーションで「長いよ!」とツッコみ、その後「モノローグで自己紹介やったのに、何で台詞でも自己紹介するの?」とツッコみ、以降はもう何かを諦めた境地で、ただただ画面を眺めるだけでしたね。   物凄く退屈だとか、観ていて不愉快になったとか、そういう訳じゃないんだけど……  とにかく盛り上がりに欠けており、気が付けばエンディングを迎えてしまったという形。  自分は主演の俳優さんが好きなので、彼が主人公というだけでもある程度は楽しめたんですが、もし魅力を感じない人が主演だったらと考えると、空恐ろしくなりますね。   一応(おっ)と思わされる場面もあって、拳銃から発射された弾丸を追いかけるスローモーション演出なんかは悪くないし、無人と化した都市の風景も「現実では中々体験出来ない、映画ならではの味わい」があって、良かったです。  ラストシーンに関しても「あぁ、サム・ライミの『死霊のはらわた』をオマージュしているんだなぁ……」と分かって、微笑ましい。   ウーヴェ・ボル監督の作品って、観賞済みの中では「ザ・テロリスト」(2009年)と「ウォールストリート・ダウン」( 2013年)が例外的に面白く、それ以外は全滅だったりするんですが……  それでも何か愛嬌があって、憎めないから不思議ですね。  聞くところによれば、映画を酷評した評論家と、ボル監督とがボクシングで戦うドキュメンタリーもあるそうなので、機会があれば観賞してみたいものです。
[DVD(吹替)] 4点(2023-07-25 15:22:53)
4.  アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲 《ネタバレ》 
 前作の主人公カップルの娘が主人公という、正統派な続編。   とはいえ、方向性としては明後日の方に向かってるというか……  「無理やり作ってみました」感が凄かったですね。   まず、前作の女性大統領が「実は人類の絶滅を目論んだ恐竜人である」という設定になってるんだけど、そんな伏線なんて一切無かったはずなんです。  でもって「前作で死んだはずの元月面総統は、実は生きてた」「しかも彼は、ヒトラーの弟だった」「異星人であり、人類の創始者でもあった」なんていう真相が次々に明かされるんだから、ここまで来ると驚くより先に、呆れちゃいます。  (スケールを大きくすれば面白くなるってもんじゃないよ……)と、笑いながらではなく、真顔でツッコんじゃいましたね。   この「笑いながら」と「真顔で」の差が大きいというか、荒唐無稽な馬鹿映画でも「笑いながらツッコんで楽しめる」のであれば、全然問題無いと思うんです。  事実、前作に関してはギリギリで「笑いながら」ツッコめる範疇に収まってたし、楽しい映画と言える出来栄えでしたからね。  それが続編にて「真顔で」のラインに踏み込んでしまったという形であり、実に残念。   そもそも本作は「満を持してヒトラーが登場する」という内容であり、前作にて「ヒトラーが出てこないのが惜しい」という評価を下した自分にとっては、凄く褒め易い映画のはずなんです。  にも拘わらず、その低いハードルを越えてくれなかったというか……飛び越えずに、蹴倒してみせたような内容だったんだから、困っちゃいます。   だって本作のヒトラーときたら、単なる宇宙人を「実はヒトラーです。ヒトラーは宇宙人だったのです」って設定にしただけであり、ヒトラーである必然性なんて皆無ですからね。  ユダヤ人を特別嫌ってるって訳でもなく、ゲルマン民族の優位性を信じてる訳でもなく、人類全てを憎んで滅ぼそうとしてる異星人であり、ただ見た目がチョビ髭のオジさんというだけ。  唯一ヒトラーっぽいのが「絵を描くのが上手い」というワンシーンのみであり、これならヒトラーじゃなくチャップリンでも成立したじゃないかと、投げ槍にツッコむ他無かったです。   「核戦争で地球を汚染し、人類を滅亡寸前まで追いやった張本人」という、どう考えても一番憎むべき存在な女性大統領が、中盤で雑に退場しちゃうのも肩透かしだし……  ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を模した画面作りにして、キリストに相当する位置にヒトラーを置くとか、そういうシニカルな描写も、何かズレてる感じでしたね。  そりゃあ敬虔なキリスト教徒ならショッキングに思えたかも知れないけど、そうでない自分には全然ピンと来なかったし、歴史上の偉人や権力者などが「実は人間じゃなく恐竜人」って言われても(……だから何?)としか思えない。  Facebookの創始者であるザッカーバーグも恐竜人って事にされ「人類のオツムを空っぽにした功労者」であると皮肉気に描かれてるんだけど、Facebookが理由で馬鹿になるというなら、この映画を観る方が余程知能に悪影響なのではと、意地悪く考えちゃったくらいです。   一応、良かった点も挙げておくなら……  「ジョブズ教」に関してはラスボスを倒す伏線にもなってるし、ちゃんと意義のある設定だなと思えた事。  「頭は弱いけど、気の良い力持ち」っていうマルコムは、中々魅力的なキャラだった事。  それと、前作のヒロインであるレナーテが、聖杯の力を得てスーパーガールみたいに超人化し、恐竜を素手で倒しちゃう馬鹿々々しさは好きとか、そのくらいになりそうですね。   最後は「月にナチスが移住していたように、火星にはソ連が移住済み」ってオチになってましたし、続編も作る気満々なのが窺えるんですが……  2023年現在「アイアン・スカイ:ジ・アーク」の製作は難航中で、続編を拝める可能性は、かなり低いみたいです。  それを踏まえて考えると、本作に関しては「一本の映画として完成している」というだけでも、御の字なのかも知れません。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2023-04-26 22:32:49)
5.  アウターマン 《ネタバレ》 
 (悪役にしては恰好良いデザイン)(ヒーローにしては悪そうな顔)なんて思っていたら、それが伏線というか、正しい認識だったと明かされる展開が気持ち良いですね。  悪者なはずのシルビー星人が正義の味方になり、正義の味方なはずのアウターマンが悪者だったと判明する。  下手に扱えば「捻り過ぎ」「王道の逆をやりたいだけ」って印象になってしまいそうなストーリーラインなのに、しっかり面白く仕上がっていたんだから、お見事でした。   シルヴィ・バルタンに因んで、バルタン星人もどきの名前がシルビー星人っていうのもニヤリとさせるし、特撮好きの為の「オタク映画」としての魅力が、きちんと備わっていたのも良いですね。  作中に出てくる特撮オタク達が「平成版のアウターマンには興味無い」「やっぱり昭和のアナログな特撮が良い」的な主張をするのも、如何にもって感じだし「オタク向けな映画なんだけど、オタクを美化し過ぎていない」ってバランスなのが、これまた絶妙。  本作の主軸となるのは「シルビー星人のタルバと、浩少年との絆」であり、特撮オタク達は脇役というか、単なる添え物に過ぎないんです。  それが物足りないって人もいるだろうけど、個人的には好みのバランスでした。   (これ途中でタルバが死んじゃって、仇討ち展開になるのかな……タルバ良い奴だから、それは止めて欲しいなぁ)なんて考えていたら、ちゃんと「タルバは生きていた」ってオチになるのも、嬉しくなっちゃいましたね。  本来はヒーローではなく、宇宙の放浪者に過ぎないタルバが、地球を守る事には興味無いと言い放ち、仲良くなった浩少年との約束を守る為だけに戦うというのも、凄く熱い展開。  最後はアウターマンを倒して大団円を迎え「狙われた街」(1967年)をオマージュしたナレーションで〆るっていうのも、良い終わり方だったと思います。    そんな具合に「隠れた傑作」と呼べそうなだけの魅力を秘めた一品なんですが……  全体的な完成度としては、ちょっと作りの粗さも目立ちましたね。  脚本に関しても、どうも話が繋がってない感じがするし(何時の間にか特撮オタク達までシルビー星人に肩入れしている、など)そもそもタルバが平成アウターマンの役者達と合体して戦うって展開も、必然性に欠けていた気がします。  「役者が本当のヒーローになるという『ギャラクシー・クエスト』(1999年)のオマージュをやりたかった」あるいは「実際に特撮経験のある俳優を色々出したかった」などが理由かとも思えますが、個人的には「地球の為ではなく、浩少年の為だけに戦うタルバ」って時点で充分に感動出来たので、合体は必要無かったんじゃないかと。   決着が付いた後、浩少年だけじゃなく、周りの人達までシルビー星人に声援を送るっていうのも不自然だったし……  ここは「アウターマンが人を殺すのを見て正体を悟る」とか「凶器攻撃などの卑怯な戦い方に反感を抱き、正々堂々と戦うシルビー星人を応援し出す」とか、そういう流れにして欲しかったですね。  20億3千万のアウター星人が引き上げていった理由が謎のまま終わるのもスッキリしないし、終盤に不満点の多い形になってるのが、非常に残念でした。   でもまぁ、鑑賞前の「ウルトラマンを悪役にしてみたっていう、一発ネタだけの映画」という印象に比べたら、ずっと誠実で真面目な作りでしたし、素直に面白かったです。  最後に主人公のタルバは行方不明となり、特撮番組「宇宙星人シルビー」が放映されるって形で、画面越しに浩少年と再会する訳だけど……  その後ちゃんと二人で会って、少年との約束を守れた事を、誇らし気に報告して欲しいな、って思えました。
[DVD(邦画)] 6点(2023-03-16 03:49:59)(良:1票)
6.  遊びの時間は終らない 《ネタバレ》 
 タイトル通りの結末を迎えてくれるという、とても親切な映画。   一応、劇中にて「遊びの時間が終った」瞬間も描いており(主人公の平田が捕まったら、どうなってしまうんだ?)って疑問に対する答えを、きちんと用意してる辺りも嬉しいですね。  中途半端で、投げっ放しとも言える終わり方なんだけど、この「一度は逮捕エンドを迎えさせ、その後に再開している」という構成の御陰で、後味も悪くなかったです。   人質を「レイプ」する代わりに腕立て伏せで体力を消耗するとか、原作小説で印象深い場面はキチンと映像化してくれてるし、原作には無い映画オリジナルの要素として、阪神ファンのおじさんを登場させてるのも上手い。  そもそも原作の時点で「下っ端のヒラ巡査である主人公が、警察組織を翻弄する」「上流階級のエリートの鼻を明かす」という要素は含まれていた訳だけど「阪神を応援する時みたいに、犯人役を応援し始めるおじさん」って展開のお陰で、そういう「平田が庶民のヒーローになる」までの流れが、非常に分かり易くなっているんですよね。  思えば原作が発表された1985年当時、阪神タイガースには平田勝男という守備の名手がおり、優勝に貢献していたりもする訳だから、映画版スタッフも、その辺を踏まえて「平田=阪神」という重ね合わせを行ったのかも知れません。    そんな具合に「面白い原作小説を、更に面白く仕上げた映画」って形になっており、小説の映像化としては、ほぼ理想に近い出来栄え。  あえて言うなら「原作ではエリートの深川が二枚目で、主人公の平田は二枚目じゃない」という設定なのに反し、映画版では本木雅弘が平田を演じてるのが、原作との最大の違いなんだけど……  それも「平田がアイドル的な人気を得る」って展開に合っていたし、良い改変というか、良い配役だったと思います。   深川が「実は防弾チョッキを着ていた」と主張すれば、平田は防犯ビデオの映像を持ち出し「頭を撃ってるので、防弾チョッキを着ていようと死んでる」と証明してみせる場面とか、文字媒体ではない、映像媒体ならではの面白さを描いてる点も良い。  脱出の為に「金」をバラ撒く場面も「嘘を現実に変えてみせた」という不思議なカタルシスがあるし、視覚的に派手な見せ場にもなっているしで、良かったですね。  「原作通りで面白い場面」「原作には無かったけど面白い場面」その両方を描く事に成功しているんだから、本当にお見事です。   終盤、とうとう銀行から飛び出して逃亡する際に、相棒である中野が「……ここまでヤッちゃって、大丈夫かな?」と、ふと夢から醒めたような台詞を吐く件も、妙に好きなんですよね。  このまま続けたら、遊びが遊びじゃなくなってしまうかも知れない。  警察側が再び実弾を使用し、本物の犯人みたいに撃ち殺されるかも知れない。  それでも遊びを止められず、最後まで突っ走ろうとする主人公達が恰好良くて、何だか眩しく見えてくるような、忘れ難い名場面でした。   ……以下は、映画本編には関係無い余談というか、思い出話。  実は、この映画を初めて観た頃の自分って「邦画は洋画よりつまらない」「日本には、本当に面白い映画なんて全然無い」っていう偏見を抱いていたんですよね。  今は単純に映画を観た本数も増えて、面白い邦画も沢山あるのを知った訳だけど、当時の無知な自分は、本気でそう考えていたんです。  そんなある日、颯爽と現れた「本当に面白い映画」がコレだったんだから、初見の際の衝撃は、それはもう凄いもんでした。   そんな訳で、かつての自分のように「邦画は面白くない」って考えてる人がいたら、ついコレを薦めたくなっちゃうんですよね。  今なら、他にも面白い邦画を色々知ってるし、中にはコレより面白いって思える品もチラホラあったりするんですが……  やっぱり、そういう時は、この映画が一番頼もしく思えちゃいます。   自分にとっての、ヒーローのような映画です。
[DVD(邦画)] 9点(2023-01-15 20:03:23)(良:3票)
7.  アップ・ザ・クリーク/激流スーパーアドベンチャー 《ネタバレ》 
 「ウハウハで行くか」「ザブーンだな」  という意味不明な会話シーンを目当てに、定期的に観返したくなる一本。   劇中の主人公達同様、この映画も「出来が良い」「優秀な作品」ってタイプではなく、むしろ「落ちこぼれの劣等生」って表現が似合いそうなくらいなんですけど……それでも何だか、憎めない魅力があるんですよね。  川下りを題材にしているという、それだけでも自分の好みだし、緩い感じのギャグが各所に散りばめられているから、リラックスして楽しむ事が出来る。   勿論、肝心の川下りシーンに迫力が無いとか「自殺した学長も一人いる」って台詞は流石に笑えないとか、欠点は幾らでもあるんですが、そんな「迫力の無さ」「出鱈目で悪趣味な設定」さえも、本作では何となく「愛嬌」に思えてくるんです。   「テンションが低い観客を盛り上げる為、ブロンド女性が胸をはだけてみせる」という、お色気ギャグなシーンも、妙に好き。  主人公達の愛犬チャックも、仕草や鳴き声が可愛くて、面白くて、良かったですね。  本作のMVPには、この犬を推したいくらいです。   そして何より、クライマックスの「爆発」→「洪水」の流れには、大いに興奮。  このシーン単体で見ると、そこまで凄いって訳じゃないかも知れないけど、それまでのボートレース描写がノンビリしていただけに、ギャップによって盛り上がる形になっているんですよね。  土壇場で逆転負けしたライバルチームが「史上最悪のボートレース!」と叫んだりするのも、下らないと思いつつ、何故だか笑っちゃう。   今回久し振りの観賞だったのですが、やっぱり結構面白かったし、また暫く経ったら、観返したくなるんでしょうね。  中々離れられない、味わい深い映画です。
[地上波(吹替)] 6点(2022-08-03 15:53:49)
8.  アメリカン・パイ in ハレンチ・マラソン大会<OV> 《ネタバレ》 
 主人公が自慰を家族に見られる場面から始まるのは「原点回帰」って感じがして良かったんですが……  そのショックで祖母が死んじゃう形なので、全然笑えないし、ノリ切れなかったんですよね。  思えば、その躓きが最後まで尾を引いて、本作を残念な印象にしてしまった気がします。   その他にも「目に見えて画面が安っぽい」とか「主人公エリックの父が嫌な奴のまま終わるので、スッキリしない」とか、色々と欠点が多いんです。  前作「バンド合宿」の分を取り戻そうとするかのようにパーティー描写が濃厚なのも、個人的には嬉しかったけど……ちょっと下品過ぎて、ウンザリしちゃう人もいるかも。   とはいえ、自分としてはやはりアメリカン・パイシリーズが好きなもので、評価も甘くなっちゃうんですよね。  「主人公とヒロインが、最初から恋人同士である」って設定にして、過去作との違いも打ち出しているし、大学生達が全裸で校内をマラソンするという「ネイキッド・マイル」って発想も面白いしで、どうも嫌いになれない。   そして何といっても、ジムの父親が出演しているのが嬉しくって……「お前はジムの父さえ出ていれば満足なんだろ」って、自分にツッコミを入れたくなったくらい。  そんなジムの父が、大学時代には「歴代最高のハジケ野郎」「ネイキッド・マイルの創始者」であったと明かされる辺りなんかも、色々と妄想をかき立てるものがあって、良かったと思います。   「走って揺れる巨乳を、スローモーションで映す場面」には正直興奮しちゃいましたし、そんなエロティック要素だけでなく、青春映画としての要素も、ちゃんと盛り込んであるんですよね。  親戚のドワイトが「家名に恥じぬ生き方をするのは大変だ」と本音を漏らす辺りは、思わずしんみりしちゃったし、それがラストシーンにて「スティフラー」と呼ばれ「エリックで良い」と応える主人公の姿にも、きちんと繋がっている。  家名に囚われたりせず、前向きに、自由に生きる事を決意した主人公って感じがして、爽やかで良かったです。  美女のブランディ相手に、童貞喪失出来そうになったのに「好きな子がいる」と誘いを断ってみせる場面も(良くぞ言った!)って気持ちになれましたし、良い場面だったんじゃないかと。   「低予算である」「欠点も多い」という事は重々承知だし、誉め言葉に負けないくらい、悪口も浮かんできそうな作りではあるんですが……  「映画としてチャーミングな部分」も、ちゃんと備え持っている。  そんな、憎めない一品だったと思います。 
[DVD(吹替)] 6点(2022-07-23 15:50:17)
9.  アメリカン・パイ3:ウェディング大作戦 《ネタバレ》 
 ラブコメというのは基本、主人公とヒロインが結ばれて「めでたし、めでたし」で終わるものだから、そんなラブコメのその後、二人が結ばれた後の結婚式まで描いた本作は、とても貴重だと思います。   前二作を鑑賞済みの身としては、ジムとミッシェルに思い入れたっぷりなもので、そんな二人が結婚するというだけでも、感慨深いものがありましたね。  アメリカン・パイシリーズでは「前作まで付き合っていたカップルが、別れてしまっている」というパターンも珍しくないだけに、シリーズ中で一番好きなカップルの二人が結婚してくれた事が、もう小躍りしたくなるくらいに嬉しい。  結果的に「1で二人が出会い、初体験」「2でカップル成立」「3で結婚式」という流れになった訳で、ここまで丁寧に結ばれる過程が描かれたカップルって、映画史においても稀な例となるんじゃないでしょうか。    本作においてはシリーズ恒例の「パーティー描写」が「独身さよならパーティー」となっている訳だけど、ここの件も凄く面白い。  特に、ゲストのストリッパー達がメイドと婦警のコスプレをしていた辺り(米国だろうと日本だろうと、男の好みなんて大して変わらないんだな……)って思えて、興味深いものがありましたね。  そんな二人が花嫁の両親に見つかってしまい「本物のメイドさん」「本物の婦警さん」と言って誤魔化そうとする流れも秀逸であり、コント的な魅力があって楽しかったです。   出演者達に関しては、これまで脇役だったスティフラーが主役格となっているのが嬉しい一方、オズをはじめとした面々が多数欠席しているのが寂しいんですが……  まぁ、それに関してはカメラに写っていなかっただけで、本当は彼らも結婚式に招待され、二人を祝福していたんだと思いたいですね(「結婚式に行けなかった」と8で明言されているオズも、ビデオメッセージか何かは送ったはず)   ジムの父親も、相変わらず魅力たっぷりであり「困った時は何時も父が助けてくれた」というジムの言葉を聞いて、嬉しそうにする時の表情なんか、もう最高。  (本当に息子想いの、良い父親だよなぁ……)って思えて、微笑ましくて仕方無かったです。   「チョコ」の件は流石に引いちゃったとか、ダンス対決を見せられた際は(えっ、これってそういう映画だったの?)と戸惑ったとか、欠点と呼べそうな部分も色々あるんだけど……  シリーズに共通する「登場人物に対する、作り手の優しさ」「下品なギャグだけでなく、真面目な感動もあるバランス」が、しっかり踏襲されていたので、決定的な違和感にまでは至りませんでしたね。  「真面目な感動」に関しては、ジムが仲間達に感謝を述べる場面が顕著であり「トラブルが起きても何とかなったのは、何時も皆が助けてくれたからだ」「ありがとう」という言葉には、本当にグッと来ちゃいました。  実際に、前二作にて「何とかなった」のを見守ってきたからこその感動があり、シリーズ物の強みを存分に活かした台詞だったと思います。   二度ある事は三度あるとばかりに、最後はスティフラーのママが登場して〆るのも最高。  結果的には、この後に五本も続編が作られている訳ですが、作り手としても一旦はコレで完結という事を意識した内容だったんじゃないか……って気がしましたね。  そういう意味では「三部作」の最後を飾る品として、見事な出来栄えだったんじゃないかと。   「シリーズに興味はあるけど、流石に八本も観るのは大変」って人も、とりあえず3までは観て欲しいなと思える、そんな節目の一本でありました。
[DVD(吹替)] 7点(2022-07-23 15:43:47)(良:1票)
10.  アンストッパブル 《ネタバレ》 
 私生活が上手くいっていない主人公達が、事件を解決してヒーローになるという、非常に単純明快で気持ちの良い映画。   こういったストーリーの場合、現実逃避的な色合いが濃くなり、興醒めしてしまう事も多いのですが、本作に関しては「実話が元ネタなんだ。文句あるか」とばかりに、開き直った作りになっているのが良かったですね。  その為、素直に主人公達の活躍を祝福出来たように思えます。   若手とベテランの対立を軸に据え、両者の衝突と和解を、スピーディーさを損なう事無く描いている辺りも、素晴らしい。  「今はそんな会話している場合じゃないだろう。事態の解決に集中しろよ」とツッコませる作品も少なくない中で、本作はその辺りを非常にスムーズに、自然に描いているんだから、これは凄い事だと思います。   人為的なミスによって列車の暴走が始まり、周りのスタッフも当初は笑っていたのに、それがどんどん取り返しのつかない事態に発展していく流れも、上手く描かれていましたね。  お偉いさんが「命令に逆らったらクビにする」と脅してきた際に「とっくにクビになっていますよ」とベテラン機関士役のデンゼル・ワシントンが返す場面も、実に恰好良い。  自分としては相棒役のクリス・パインの方が贔屓だったりもするのですが、本作は完全にデンゼル側が「オイシイ」役でしたね。  緊迫した場面でも冗談を飛ばす剽軽さと、命を投げ打つ覚悟で暴走列車を止めようとする生真面目さ、両方を持ち合わせた男。  正に、彼の為にあるような役柄だったと思います。   難所のカーブを曲がり切る場面や、並走する車に列車から飛び移る場面なども、トニー・スコット監督らしい迫力があって、良かったですね。  無事に暴走を止めた後、エンディングのテロップにて「出世後、円満退社」「第二子が誕生」と、主人公達の幸福な顛末が語られる演出も、ハッピーエンド色を強めてくれている。   ただ、会社のお偉いさんや、事故を起こした機関士のテロップが、それぞれ「解雇」「ファストフード業界へ」となっているのは、喜ぶべきかどうか、迷っちゃいました。  そりゃあ作中で主人公達を「クビにするぞ!」と脅していた傲慢な上司がクビになるというのは、皮肉が効いていて面白いし、後者に関しても転職出来たなら、一応めでたしめでたしと思えますが、そのテロップで映画が終わってしまうというのは、如何にも寂しい。  順番を入れ替え、まずは上司達の末路について説明し、最後に主人公二人の幸福な顛末を示す形にしてくれていたら、もっと好きな映画になっていたかも知れませんね。  そこだけ、ちょっと残念。   とはいえ総合的には充分楽しめたし、娯楽作品としてレベルの高い一品だったと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2022-03-30 19:11:27)(良:2票)
11.  赤い珊瑚礁 オープン・ウォーター 《ネタバレ》 
 見渡す限りの大海原で、船が転覆。  いずれ船は完全に沈んでしまう為、助かりたければサメがいる海を泳ぎ、陸を目指すしかない……  その、陸地までの距離が16から20キロという設定なのが絶妙でしたね。  これが10キロなら迷わず決断出来たと思うし、100キロなら多分諦めて船に残って救援されるのを待っただろうなと思える、程好い塩梅。  実際には20キロ以上の距離があったらしく「やっぱり船に残っていれば良かった」とグループ内で言い争いに発展する辺りも、非常にドロドロしていて良かったです。   そんな中で、陸地を見つけた時の安堵感といったらもう、観ているこちらまでホッと息を吐いちゃうぐらい。  実話ネタという事もあってか、主人公達の装備が貧弱であり、食糧も武器も殆ど持ち合わせてないから、心細さが半端無いんですよね。  だからこそ「サメと戦う」という選択肢は有り得ず、ひたすらゴールの陸地を目指すしかない。  それはともすれば「退屈さ」にも繋がっちゃいますし、実際自分も中盤で(なんか飽きてきた……)という考えが頭をよぎったりもしたんですが、終わってみれば、その手法は正解だったように思えます。  とにかく、余計な可能性を与えたりしない。  唯一にして絶対のゴール目指して、ひたすら泳ぐしかない。  勝利条件、助かる方法は「陸地に辿り着く」事しか無いんだという、この単純明快さこそが、本作の特長であったかと。   最後の最後でヒロインは無事に陸地に辿り着き、生き延びるも、未だ海中にいたルークは引き上げられる直前で殺されるという辺りも、その「陸地に辿り着けば大丈夫」という価値観に則してるんですよね。  だから「主人公格のルークが殺される」という終わり方にも拘らず、理不尽さを感じさせない。  この辺りは、本当に上手かったです。   「地味」「堅実」「単調で退屈」「シンプルで力強い」と、貶す事も褒める事も簡単に出来そうな本作品。  自分としては「生存ハッピーエンド」ならぬ「一人だけ生き残ってしまったバッドエンド」とも言うべき、重苦しい終わり方まで含め、なんだかんだで楽しめた一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2021-08-28 08:05:04)(良:1票)
12.  アタック・ザ・ブロック 《ネタバレ》 
 この手のエイリアン物であれば、モブとして殺されるだけで終わるであろう「不良少年」にスポットを当てたのは新鮮で、面白い発想。  刀を背負った「ニンジャ」スタイルの主人公というのも、如何にも海外の映画オタクの心を掴みそうな感じです。   ただ、冒頭にて「女性を刃物で脅して金品を奪う」という姿が描かれており、そこで(えぇ、こいつらが主役なの?)とドン引きしてしまって、結局最後まで感情移入する事が出来ず、残念でしたね。  そもそも作中の情報から判断する限り、黒いエイリアン達が人々を襲う理由は「白い小さなエイリアンを主人公に殺された復讐」としか思えない訳で、どうにも観ていて居心地が悪い。  そのキッカケとなる「エイリアンの殺害」にしたって「正当防衛」「事故」ではなく、わざわざ逃げたのを追いかけて丁寧に殺しているんだから、情状酌量の余地は無し。  作中でも「こうなったのは俺のせい」と言っているのだから、作り手としても確信犯的にそういった流れにしたのでしょうが、それにしてはラストにて主人公が英雄視されちゃっているし、どうにも不可解なのですよね。  「この主人公も、実は親に愛されない可哀想な子だったんですよ」とばかりに子育てを放棄されていた事が示唆されても、それで悪事が正当化されるとも思えず、何だか中途半端な印象を受けました。   墜落死するかと思われた主人公が、国旗に捕まって助かるというオチからしても「可哀想な不良少年を国が救ってあげるべき」というメッセージが込められているのかも知れませんが、本人が非行を反省する描写も殆どありませんし、押し付けがましいものを感じちゃいましたね。   シンプルな黒いエイリアンの造形は好みでしたし、強力過ぎない武器を用いて、狭い団地内で戦うという内容自体は、とても良かったと思います。  「ロケット花火を用いてのガス爆発」という敵の倒し方も痛快で、観ていて気持ち良い。  それだけに、主人公にとって都合が良過ぎる世界観に付いていけなかった事が、勿体無く思える一品でした。
[DVD(吹替)] 4点(2021-07-09 17:22:48)(良:1票)
13.  憧れのウェディング・ベル 《ネタバレ》 
 「そうそう、こういうのが観たかったんだよなぁ……」と、ニンマリさせられる一品。   期待通りのラブコメといった感じで、安心して楽しむ事が出来ましたね。  音楽の使い方も良いし、出てくる料理も美味しそうだし、観ていて気持ち良い。   指を斬る、膝を射られるなどの「痛い場面」もありましたが、それも残酷になり過ぎない程度の撮り方をしている為、気にならない範疇。  「大丈夫。死にやしない」「誰か死んだ訳じゃあるまいし」という台詞の後に、葬式のシーンに移るというネタを天丼でやっちゃうのも、不謹慎ながら笑っちゃいました。   ラブコメお約束の「互いに浮気してしまう」というネタにしたって、女性側は酔ってキスした程度、それを知って自暴自棄になった男性側も本番直前までしか行ってないという形にしており、非常に配慮して作られているんですよね。  観客目線での「何も考えずに楽しめる映画」って、作り手側からすると、凄く気を使わなきゃいけないから大変だなって、改めて感じました。   「ドーナツ実験」の件も中々興味深く、面白い。  目先の利益に飛びつくタイプは、駄目人間が多いという実験結果に対し、それなりの説得力を感じていただけに、主人公がそれを否定し「出来たてのドーナツが貰えるという保証が無い」と指摘してみせる流れには、ハッとさせられるものがありました。   恋の当て馬となる男女についても、教授は最低男だったけど、オードリーの方は「口が悪いだけで、根は良い子」ってバランスだったのも好みですね。  両方とも「嫌な男」と「嫌な女」として描かれていたら、流石にゲンナリさせられたでしょうし、上手い着地だなと思います。   終盤にて、プロポーズのプランを再び台無しにするという、冒頭に繋がる脚本も鮮やかだったし、その後のスピーディーな結婚式も最高。   物凄い傑作という訳じゃないし、映画史に残る一品でもないでしょうけど……  こういうタイプの、観賞後に幸せな気持ちに浸れる映画って、好きです。
[DVD(吹替)] 7点(2021-05-09 05:58:57)(良:1票)
14.  あなたは私の婿になる 《ネタバレ》 
 これ、好きですね。  「偽りの恋が、いつしか真実の愛へと変わっていく」という既視感満載なラブコメ物なのですが、適度なサプライズがあり、ちゃんと新鮮な魅力を味わえるんです。  その最たる例が「心臓発作で倒れる祖母」であり(これは彼女を死なせて盛り上げる展開か)と、観ていてまんまと騙されちゃいました。  それが「家族を仲直りさせる為の演技でした」と判明する訳だけど、全く嫌味が無いし「悲劇を回避出来た」「お陰で皆が仲良くなれた」という形の嘘なんだから、不快感が無いんですよね。  「観客を騙す映画」って沢山あるけれど、ここまで気持ち良い騙され方をした例は、ちょっと他に思いつかないくらい。   アンドリューの元カレが復縁を迫るのかと思いきや「このままマーガレットと別れても良いの?」と言い出す場面も、凄く良かったですね。  本当に脇役が良い人達ばかりだから、彼らに支えられる形で主人公二人が結ばれる流れが、観ていて心地良い。  そんな「サプライズ」が巧みな一方、序盤でヒロインのマーガレットが「泳げない」と言う伏線があったら、ちゃんと後に溺れそうになる場面を用意したりとか、観客の予想や期待を裏切らない構成になっているのも、お見事でした。   あとは、男性目線で観ると「美人な女上司の弱みを握り、言いなりにする」という邪な願望を満たす内容になっているし、女性目線で観ると「実家が金持ちの彼と結ばれる玉の輿展開」になっているしで、その辺の「男女どちらが観ても楽しめる」というバランスの良さも、絶妙でしたね。  孤独だったマーガレットが「家族の温もり」に触れ、アンドリューの家族を騙す事に耐えられなくなり、結婚式での告白に至る流れも丁寧に描かれており、説得力がありました。   そんな本作の不満点を述べるとしたら……  冒頭にて登場する「毎朝ラテを用意してくれる店員」が可愛くて、メインキャラかと思ったら違ってたのが残念とか、男性ストリッパーの場面は観ていてキツかったとか、精々そのくらいかな?   サンドラ・ブロック主演のラブコメ映画は色々ありますが、自分としては本作が一番好きですね。  エンドロールの質問にて「婚約者は誰?」と問われ、嬉しそうに「アンドリュー」と答える姿も可愛らしいし、彼女の魅力が存分に味わえる一本でした。
[DVD(吹替)] 7点(2021-03-07 07:56:32)(良:2票)
15.  アメリカン・パイ in ハレンチ教科書<OV> 《ネタバレ》 
 中盤までは、とにかく退屈。  「自慰を家族に見られる」「恥ずかしい動画が拡散しちゃう」っていう過去作のネタをなぞりつつ、淡々と物語が進んでいく感じで、全然ノリ切れなかったんですよね。  初代に出てきた「性書」が再登場した際には(おっ……)と思いましたが、それも読める部分が殆ど無くて役立たずっていうんだから、観ているこっちもガッカリ。  唯一魅力的なキャラである「主人公の母」は出番少なめだし、山場となる「下着の万引き」「お婆さん娼婦の死」に関しても、あんまり笑えなかったです。   そんな訳で、これはシリーズでも最低の作品ではないかって失望すら浮かんできちゃったんですが……  そこで颯爽と、ジムの父親が登場!  前作の「ハレンチ課外授業」での失態を帳消しにするくらい、一気に映画を面白くしてくれたんだから、もう嬉しくって仕方無かったですね。  ボロボロになった「性書」を復元していく様はスピーディーな演出で楽しかったし、結婚生活が35年続いた秘訣について「妻を愛し、妻を尊重してきたからだ」と演説するジム父の姿も良かったです。  本作においては「若者達を優しく見守り、アドバイスを与えてくれる」というジム父の魅力がしっかり描かれており、その点でも自分泣かせというか(ちゃんと、このシリーズの魅力を分かってる人達が作ってくれたんだな……)って、感激させられるものがありましたね。   そんなジム父が退場した後の、スキー旅行のパートも面白くって、序盤~中盤にかけてのグダグダっぷりは何だったのと不思議に思えちゃうくらい。  それまで全然魅力を感じなかったヒロインのハイジについても「スキー場の女性は綺麗に見える」の法則で、スキーウェア姿が実にキュートだったし、それまで「嫌な奴」だったスコット・スティフラーには天罰が下り、反省して「憎めない奴」に変わっていくしで、それまでの欠点の数々が、悉くプラスに転じているんですよね。  「魅力を感じないヒロイン」「不愉快なだけで愛嬌皆無のスティフラー」が、一本の映画の中で、こうも変わるものかと感心しちゃいました。   それと、前作で失われた「青春映画の切なさ」が復活している点も、忘れちゃいけない魅力。  空中で止まったゴンドラにて言葉を交わし、結ばれる男女の姿なんて、実にロマンティックでしたからね。  最後に「性書」の貸し出しカードにサインして、元の場所に戻すのも「童貞からの卒業」「青春の終わり」を感じさせて、良い場面だったと思います。   冒頭にて述べた通り「中盤までが退屈」っていう明確な欠点がある為、総合的に評価するなら6点くらいになっちゃうんですけど……  後半で一気に挽回してくれた為、鑑賞後の印象は良かったですね。   やはりアメリカン・パイシリーズって良いよなぁと、しみじみ思わせてくれた、そんな一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2020-11-13 09:51:53)
16.  アフリカの女王 《ネタバレ》 
 呑気な川下り映画というイメージだったのですが、久々に再見してみて、序盤は意外と陰鬱な事に吃驚。   ヒロインの兄が精神を病んで死ぬ場面とか(あれ、こんな映画だったかな……)と戸惑っちゃうくらいでしたね。  この辺りは、やはり戦争を扱った映画なんだなと、しみじみ感じさせるものがありました。   とはいえ、川下りが始まってからはイメージ通りの「呑気さ」に溢れており、ホッと一安心。  一応、道中では色んな災難に見舞われて苦労するんだけど、それもお約束の範疇というか、安心して観ていられる感じなんですよね。  裏を返せば「緊迫感に欠ける」って事でもあるんですが、自分としては長所に思えました。   現地人の描写とか、蚊の大群が合成丸出し(ヒロインが「こんなに刺されて」と主人公を気遣うけど、刺された痕なんて全然分からない)とか、現在の観点からは気になる点も多いんだけど、まぁ御愛嬌。  舟を止めて水浴びしたり、雨が降ったら狭い屋根の下で男女同衾したりと「ラブコメ映画」としての魅力を備えている点も、良かったですね。  最初は兄にさえ「器量が悪い」なんて言われていたヒロインのローズが、どんどん綺麗に見えてくるし、ボガート演じる主人公も髭を剃ったら二枚目だしで、観ているこっちとしても、主人公カップルの好感度が徐々に上昇していく様が気持ち良い。  アフリカが舞台って点を活かし、色んな動物を拝ませてくれるし、急流の場面は迫力あるしで「旅映画」「アドベンチャー映画」としての魅力も、文句無しでした。   ただ、これは勿体無いなと思えたのは……  ちらちらワニの存在を匂わせておきながら、結局ワニとの戦いになる場面が無かった事ですね。  流石のジョン・ヒューストン監督も、後の「ワニ映画」需要までは予見出来なかったのでしょうか。  もしワニと戦う場面があったら「川下り映画の元祖」というだけなく「ワニ映画の元祖」としても語られたかも知れないし、つくづく惜しいです。   最後は目的通り「ルイザ号」の爆破に成功し、アッサリ終わるんだけど……  なまじ爆破後も長々と尺を取っていたら(ご都合主義過ぎる)って印象が強まっていたでしょうし、スパっと終わらせて正解だったんでしょうね。  死刑執行直前に主人公カップルの結婚を認めたりと、ルイザ号の船長も良い人だったので、船が爆破されても生きてる描写を挟んであるとか、そういった細かい配慮にも感心させられました。   昔の名作映画って、格調が高い代わりに「一度観たら充分」って気持ちになる事も多いんですが……  これは例外的に、また忘れた頃にでも観返したくなる。  そんな味わい深い一本です。
[DVD(字幕)] 7点(2020-10-14 19:12:49)(良:1票)
17.  アナコンダ2 《ネタバレ》 
 前作とは異なり「如何にも胡散臭いが頼りになりそうな男」が、一貫して味方側だったのが嬉しいですね。  ワニをナイフ一本で倒すシーンなんかもう、恰好良くて惚れ惚れしちゃうくらい。  終わってみれば、そんな彼=ビルこそが主役であり、当初主役格かと思われたジャックが悪役に転じるという構成なのですが、その辺りの「転換」描写も巧みでした。  始まってから大体四十分くらいでビルは「金よりも人の命が大事」ジャックは「人の命よりも研究(と、それによって齎される金)が大事」という考えだと分かる為、観客も自然と善悪が判別出来るという形。  そんな「主役交代」の仕掛けを用意する一方で、作中全体を通してのヒロインとしてサムも用意している為、視点が散漫に感じられる事も無く、素直に楽しめたように思えます。   序盤では「川下り映画」としての魅力を堪能出来たし、巨大な滝に落ちて船が壊れ、徒歩となった後も「吸血ヒル」「毒蜘蛛」など、様々な障害を用意して、飽きさせない作りになっている辺りも良い。  本命の「アナコンダ」は要所要所で襲い掛かる程度に留め、最終的には人類にとって最も恐ろしい動物である「人間」との戦いになる構成も、王道な魅力があったかと。   その他「JAWS/ジョーズ」や「サバイバー」をパロった場面ではニヤリとさせられるし、ビルのペットの子猿は可愛いしで、全体的に愛嬌がある作りなんですよね。  アナコンダの恐怖だとか、人間同士の争いで剥き出しになる醜さだとか、そういった面は薄味なんだけど、それゆえ気軽に、肩の力を抜いて楽しめる。  繁殖期の為、沢山の大蛇が集まっているという設定なのに、実際は単体の蛇に襲われるシーンばかりな点など、物足りなさを感じる部分もありますが「まぁ、面白いし良いか」と納得出来る範囲内でした。   最後は爆発オチで倒すというお約束も守ってくれたし、四人という結構な人数が生き残る事が出来て、妙に明るいノリで終わる辺りも好みでしたね。  総合的な面白さという意味では前作と甲乙付け難いですが、どちらが好きかと問われたら、本作の方を挙げちゃいそうです。
[DVD(吹替)] 7点(2020-09-05 17:12:49)(良:1票)
18.  アメリカン・パイパイパイ! 完結編 俺たちの同騒会 《ネタバレ》 
 初代主人公のジム・レヴェンスタインが復帰した、記念すべき一品。   そんなジムだけでなく、他にもオールスターな面子が揃っており、特に「3」の結婚式で不在だったオズまで駆けつけているのが、嬉しくて仕方無かったですね。  初代のヒロイン勢も全員揃っているし、シャーマンにジェシカといった脇役陣まで集結しているんだから、もうそれだけで感激。  シリーズのファンにとっては、最高のお祭り映画だと思います。   妻のミッシェルは、おばさんになってもキュートだし、息子のエヴァンも可愛いしで、そんな主人公一家の姿を描いた冒頭部だけでも、楽しくなっちゃいましたね。  この後、ジムは隣に住んでた女の子のカーラに迫られ、不倫を犯しそうになる訳だけど「妻と息子の為にも、裏切れない」と誘惑を拒むジムの姿に説得力があったのは、それくらい「妻も息子も可愛い」んだって分かる場面が、事前に用意されていたお陰だと思います。   シリーズ皆勤賞となるジム父の使い方も絶妙で、ジムが「昔、愛読していたエロ雑誌」を懐かしそうに読んでいる後ろで、すいーっと部屋に入ってくるだけでも面白いんだから、もう脱帽。  途中、ジムの母が死去していたと分かり、しんみりしちゃう一幕もあったんだけど……  そこで暗くなり過ぎず「ジムの父に、デート相手を探してあげよう」っていう、明るい展開に突入するのが、如何にもこのシリーズらしくて良かったですね。  紆余曲折の末、最終的にはスティフラーの母とデートする仲になるってのも面白い。  フィンチが二人の関係を知った時、どんな反応を示すのか、気になって仕方無いです。   他にも「初代でスクーターに乗っていたフィンチが、颯爽とバイクで登場する」とか、シリーズのファンならニヤリとさせられる描写が多くて、良い意味でサービス精神豊富な映画だったと思いますね。  上述のジムに関してもそうなんですが「浮気」「不倫」といった関係に発展しそうになっても「男が勇気を出して断る」「今の恋人が、実は酷い奴だったと分かる」って答えに着地する為、罪悪感とか、不快感とかを抱かずに観られるんです。  これ、何気無い事かも知れないけど、凄く大事だと思うんですよね。  作り手にとっての「サービス精神」とは、観客を喜ばせる為の「プラスを生み出す配慮」だけでなく、観客を失望させないという「マイナスを防ぐ配慮」も指すんだなって、感心させられるものがありました。   後半、高校時代の「将来の夢」について話す場面では、大人の青春映画ならではの感動があったし 「妥協して生きてるのも、つまらない仕事してるのも、みんな同じだよ」 「恥と思う必要なんか無い」  という劇中の台詞には、本当にグッと来ちゃいましたね。  皮肉な目線で見れば、そんなの「負け犬達の慰め合い、傷の舐め合い」に過ぎないのかも知れないけど……  傷を舐め合える仲間がいるって事は、とても素敵な事なんじゃないかと思えました。   ジムが朝目覚めると、下半身裸で昨夜の記憶が無くなっていたという「ハングオーバー!」っぽい場面は、あまり意味が無かった事。  心臓発作を起こしたボブが無事かどうか、作中でハッキリ言及して欲しかった事など、欠点というか、気になる点も幾つかあるにはあるんですが、もうホント、そんなのどうでも良くなっちゃうくらいに楽しかったですね。   クライマックスには、スティフラーの母に負けないくらい美人なフィンチの母が登場し、スティフラーと結ばれるサプライズ展開もあったりして、下世話なネタのはずなのに、つい笑っちゃいます。  エンドロールにて、高校時代の写真や結婚式の写真が流れるのも、本当に素敵な演出で……  「時代が変わっても、五人はずっと仲間のままなんだ」と、しみじみ感じさせてくれました。   本作のパッケージを眺めてみると、そこには邦題で「完結編」なんて書かれている訳ですが、劇中では再会を誓う乾杯で終わっているし、自分としても是非続編に期待したいですね。  出来るなら、息子のエヴァン君が小学生か中学生、自慰を始めるくらいの思春期まで成長し、父親であるジムが戸惑いつつも一緒に成長するような……  かつてのジム父と同じように、今度はジムが息子を優しく見守り、助言を与えてあげるような、そんな「良い映画」であって欲しいものです。
[DVD(吹替)] 8点(2020-05-16 09:26:48)(良:1票)
19.  アメリカン・パイ 《ネタバレ》 
 冒頭、主人公のジムが自慰してる場面から始まる訳ですが、そこで脱落しちゃう人には時間を取らせなくて済むし、そこで耐えられた人には概ね楽しい時間を提供してくれるしで、とっても親切な映画ですね。  最初にインパクトのある映像を用意して、観客を惹き付けると同時に「篩に掛ける」効果もあったという訳で、上手いやり方だと思います。   仲良し四人組が「プロムまでの三週間で、童貞卒業する事」を誓うところから物語が動き出し、そこから群像劇というか、オムニバス的な魅力を持った内容となるのも良い。  コーラス部に入ったり、噂を利用したり、学校に代々伝わる「性書」に頼ったりと、それぞれのやり方で頑張る様が、観ていて楽しいんですよね。  結果的に、四人中三人が童貞卒業出来たので達成感があるし、唯一童貞のままなオズも「初体験の思い出なんかより、ずっと大切なものを手に入れた」という形で、一番幸せそうに描かれているくらいなので、観ているこっちまで嬉しくなっちゃう。  似たような青春映画としては「グローイング・アップ」(1978年)という先例がありましたが、あちらが堕胎などの重いテーマも匂わせていたのに比べると、本作は徹底的に明るく「健全なエロティック青春ドラマ」って感じに仕上げており、それが独自の魅力に繋がったんじゃないかな、と思います。   性に大らかなジムの父親に、愛嬌たっぷりなスティフラーと、脇役が魅力的な点も素晴らしい。  この手の青春映画だと、父親はとことん地味なまま終わるし、スティフラーのような「ヤリまくりの体育会系」は単なる憎まれ役で終わるってのが、お約束になっていますからね。  それだけに、本作には特別感があるし、印象にも残り易い。  後の外伝でも「ジムの父親」「スティフラーの血縁者」が名物キャラとなっているくらいだし、本作が人気シリーズになれたのは、この二人の力が大きかった気がします。   スティフラーの母親や、幼い弟もキュートな存在であり、特に前者が主人公の一人であるフィンチと結ばれる場面なんかは、凄く好きですね。  「友人の母親と結ばれる」っていうのは、男の浪漫ですし、たとえコメディタッチでも興奮を誘うものがある。  そこで流れる曲が「ミセス・ロビンソン」っていうのも、ベタだけど嬉しくなっちゃう選曲でした。   その一方で、後にジムと結ばれるミッシェルは出番が少なく、単なるヤリマン女みたいな描かれ方だったのは……ちょっと、残念かも。  本作を観た限りでは、彼女が将来的にジムと結婚する事になるだなんて、全然予測出来ない感じなんですよね。  自分は「アメリカン・パイ」シリーズは概ね好きなんだけど、初代が一番の傑作とは思えない理由としては、この「ミッシェルの扱いが中途半端」って点が挙げられそうなくらいです。  あとは「女性の裸をオカズに、女性が自慰する場面」があるんだけど、それがさも当然のように描かれてるのが気になったとか、盗撮されたナディアへのフォローが弱いとか……欠点と呼べそうなのは、それくらいかな?   皆で祝杯を挙げるラストシーンにて「人生で一番楽しいのは、今だよ」と語る台詞があるのも、今となっては興味深いですね。  実際には、映画はココで終わらず、その後の主人公達の「夏休み」「結婚式」「同騒会」も続編で描かれている訳ですし。  少なくとも、シリーズ全作を鑑賞済みの自分としては、彼らにとって「一番楽しい時間」とは「高校時代」ではなく、後に描かれた日々の方じゃないかと思えたので、興味がおありの方は、是非続編とセットで楽しまれて欲しいです。 
[DVD(吹替)] 7点(2020-05-16 09:13:03)
20.  アメリカン・パイ in ハレンチ課外授業<OV> 《ネタバレ》 
 「彼女をイケメンに取られた」という一言だけで、前作ヒロインとの絆を無かった事にされる導入部にガッカリ。   主人公エリックの父親も、相変わらず嫌な奴のままフェードアウトしちゃうし……せっかく「エリックが主人公の物語」を二作続けてやった形なのに、それを全然活かせてないのが勿体無いですよね。  「ヒロインと復縁する」とか「父親が改心する」とか「カリフォルニアに行ったライアンと再会し、友情は不滅だと語る」とか、続編だからこそ出来るオイシイ展開を全部放り投げた感じ。   それでも、大好きなジムの父さえいてくれたら問題無いだろうと思っていたんですが……  遂にその神話も崩れたというか、本作に関してはジムの父にすら魅力を感じられず仕舞いで、参っちゃいましたね。  何時ものように優しいアドバイスをしてくれるのかと思いきや「(私なら)オタクどもを叩き潰してやる」なんて物騒な事を言い出すもんだから、これにはもうホント、がっかりです。  この辺、めんどくさいファン特有の反応になっちゃうんですが(ジムの父は、そういうキャラじゃないだろう)って、つい思っちゃいました。  一応、敵役のエドガーに優しい声をかける場面もあったんだけど、それも結局は「ありがた迷惑」で終わっちゃうし……こんな扱いなら、出演してない方が良かったかもと思えたくらいです。   「地獄の黙示録」や「ディア・ハンター」のパロディにもノリ切れなかったし、射精をスローモーションで表現するとか、ゲロのぶっかけ合いとか、悪趣味な描写が散見される点もキツい。  話の大筋も「敵対していた友愛会に勝利し、ハッピーエンド」ってだけなので、意外性も何も無くて、エンドロールが流れた際には(えっ、これで終わり?)と戸惑ったくらいでしたね。  前作までは保持されていた「青春映画としての切なさ」が無くなってるのも寂しいし……正直、本作を褒めるのは難しいです。   それでも、あえて良かった点を探すとしたら「大学の寮生活ならではの楽しさ」は伝わってきたとか、その辺が挙げられるかな?  美女のステイシーが股間でビールの栓を抜くのも面白かったし、ブラ外し対決の件も、結構好きです。   あと、本作はジム父の台詞通り「オタク男子」が敵役となっており、これは新鮮に感じましたね。  かつては迫害される立場だったのに「将来金持ちになるのはオタクだから」という理由で、エリートのオタク男子がモテるようになっている。  劇中の台詞通り「時代が変わった」訳だけど、オタク男子が迫害される時代を描いた「ナーズの復讐」(1984年)を踏まえて考えると、かなり感慨深いです。  この手の映画で敵役(=恵まれた上流階級)になれるくらい、オタク男子に対する認識も変わったという訳ですからね。  似たような例としては「21ジャンプストリート」(2012年)などもありますが、本作の方が五年も先に発表されていますし、そう考えると価値が高い一本なのかも。   そんなアレコレも含め、基本的には「楽しい映画」「ハッピーエンドの映画」として作ってありますし……  「アメリカン・パイシリーズならではの魅力」を求めたりせず、これ単品として鑑賞する分には、そこそこイケる品なんじゃないかな、と思います。
[DVD(吹替)] 5点(2020-05-16 08:50:32)
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