Menu
 > レビュワー
 > イニシャルK さんの口コミ一覧。6ページ目
イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1489
性別
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/22718/

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567
投稿日付順1234567
変更日付順1234567
>> カレンダー表示
>> 通常表示
101.  シュアリー・サムデイ
やりたいことはなんとなく分かるのだが、劇中の竹中直人のセリフのとおり本当に勢いだけで作ってしまった感じで、とにかく落ち着きがなく、映画に全く入り込めないまま、2時間がひたすら長く感じた。小栗旬の初監督作品ということで、見る前は嫌な予感しかしなかったが、やっぱり人気俳優が監督に初挑戦という話題性だけの映画という印象しかない。小栗監督の人脈か次々登場するゲスト俳優たちも使い方が勿体無いような気がするし、役者への演出も下手なのであろう、例えば小西真奈美なんかもっと出来るはずだと思うのに活かせていないような気がするし、回想シーンの多用もなんかうざったらしく感じてしまった。(他の映画だと普段はあまり気にしないのに。)それに、終盤の演奏シーンはなんか唐突に感じるし、脚本も詰め込みすぎでグダグダで、ドラマも薄く全体的に見てはっきり言って典型的な駄作だと思う。それにしても人気の若手俳優が話題性だけでこうも簡単に劇場映画を撮れるなんて、考えたら今映画監督を目指している若い人たちがあまりにも可哀想な気がしてならない。
[DVD(邦画)] 2点(2011-03-21 01:09:37)
102.  仁義なき戦い 頂上作戦 《ネタバレ》 
シリーズ第4作。いよいよ抗争が激化して最初から最後まで息つく暇もないほどなのだが、これまでなかった一般市民の犠牲や、抗争事件の取材に躍起になるマスコミ、そして暴力団一斉検挙に乗り出した警察という要素が加わったことで見ごたえが増していて4作目というのにクオリティを全く落とさないのは凄い。今回は広能(菅原文太)が前半で警察に逮捕され、後半は前回登場した武田(小林旭)が引っ張っていくあたりは「広島死闘篇」同様にこのシリーズがヤクザ社会を描いた群像劇であるということを強く感じさせられるし、次々と登場する曲者ぞろいのキャラクターたちもこのシリーズの魅力なのだろう。深作欣二監督の演出も相変わらずパワフルで魅せてくれる。最後は警察の頂上作戦によって生き残ったヤクザたちが逮捕されてしまうのにはなぜか哀れみを感じてしまった。それに最後の最後、広能と武田の会話はグッと来るものがあり、広能や武田よりも山守(金子信雄)のような卑怯者(でも、なぜか個人的には打本(加藤武)同様、なぜか嫌いにはなれない。)の方が刑期が短いというあたりに世の中の矛盾も感じさせている終わり方で印象に残る。それに完全にこの回で完結してもおかしくない空気が流れていて、実際に笠原和夫の脚本のシリーズとしては最後になった(次回以降降板)のも理解できる。菅原文太が広能を演じるのはあと一作残されていて、もちろん見るつもりでいるが、くどくならないかがちょっと心配。
[DVD(邦画)] 8点(2011-03-10 15:35:32)
103.  仁義なき戦い 代理戦争 《ネタバレ》 
シリーズ第3作。今回は前2作ほどの派手さはないが、その分、組同士の駆け引きの面白さがあり、見ていてだんだん引き込まれていった。下にも書かれている方がおられるが、笠原和夫の脚本は実に見事で、今にも全面抗争が起きそうな中でのやりとりは緊迫感があり、飽きさせない。深作欣二監督の演出も1作目や2作目のようなエネルギッシュなパワフルさよりもこの男たちの駆け引きのドラマををじっくり描くことに重点を置いており、脚本と演出がしっかりしているからこそ、ドラマ部分に見ごたえがあり、このシリーズがただ単にヤクザ同士の殺し合いだけを描いたシリーズではないことが分かるし、なぜこのシリーズが後世に残る名作と言われているのか分かる気がする。でも、やや中だるみ感もあり、これまでの2作は単体でも見れる感じだったのに対し、本作はいよいよ全面的な抗争が始まるというところで終わるのでやや物足りない感じがするのだが、同時に次も早く見なくてはという気持ちにさせられる。その本作のラストシーンはヤクザの社会の非情さを見せつけられるとともに、死んだ渡瀬恒彦演じる若者の無念や、組長である広能(菅原文太)の思い、若者の母(荒木雅子)の悲しみなどがひしひしと伝わってきて、強く印象に残る。出演者では広能組幹部の一人を演じた川谷拓三はシリーズこれまででいちばん大きな役柄ではないだろうか。打本役の加藤武はいい人のイメージが強いだけにどぎつい方言のヤクザ役はミスキャストなのではと思ったが、(実際、「座頭市二段斬り」で演じた敵側の用心棒役はミスキャストに感じた。)金田一シリーズの刑事や、「釣りバカ日誌」シリーズの秋山専務のイメージとはまた違う雰囲気の役を見事に演じていて新鮮に感じた。物語にじゅうぶん絡む役柄ながらスチール写真だけで登場する丹波哲郎演じる明石組組長も(本当に写真だけなのに)貫ろくと存在感がたっぷりあるのは驚かされる。
[DVD(邦画)] 8点(2011-03-03 15:56:49)
104.  仁義なき戦い 広島死闘篇 《ネタバレ》 
「仁義なき戦い」シリーズ第2作。今回はシリーズ本来の主人公である広能(菅原文太)を脇に回し、元予科練志願だった山中正治(北大路欣也)の悲劇的な末路を描いていて、前作のような勢いはやや抑え気味になっているものの、山中のドラマがなかなか見ごたえがあり、集団よりも個人に焦点をあてているのもあるのだろうけど、そのおかげで前作よりも分かりやすく、ドラマとしても前作より面白かった。予科練の歌を口ずさむ山中にはどこかかつて軍国少年だった深作欣二監督自身が投影されているのではないかと感じられるし、ヒロインの靖子(梶芽衣子)が戦争未亡人というのも利いている。ラスト、警察に包囲された山中の自殺シーンと、靖子の彼を思って号泣するシーンは演じる二人の熱演もあり、印象に残る名シーンになっているし、組織に利用され、虫けらのように死んでいく男のやりきれなさがよく伝わってくる深作監督の演出も見事。しかし、深作監督が苦手としているのかこの二人の惹かれ合っていく過程の描き方がちょっと適当というか下手に思え、この部分にもっと深みがあれば良かったと思う。出演者では山中を演じた北大路欣也はもちろんだが、大友を演じる千葉真一のキレたキャラクターもいい。最初は千葉真一が山中を演じ、北大路欣也が大友を演じるはずであったらしいが、逆にして正解だったと思う。成田三樹夫も相変わらずカッコイイし、広能の舎弟として登場する前田吟は「男はつらいよ」シリーズの博役でおなじみなだけにこういうヤクザ役は新鮮に感じる。そしてやはり梶芽衣子が美しく、恋人と引き離される女性の悲しさを見事に表していて素晴らしく、山中と靖子の惹かれあっていく部分の演出が下手に感じながらも、それでも彼女の演技から靖子の女としての悲しみが伝わってくるのはすごいと思う。このシリーズは基本的には女気なんかなさそうだけど、この映画の梶芽衣子は本当にいい。
[DVD(邦画)] 8点(2011-02-15 14:52:51)(良:1票)
105.  仁義なき戦い
深作欣二監督の代名詞的な映画で昔から見たいと思っていた映画だが、東映のヤクザ映画を見るのに抵抗があり、一部のシーンはテレビの日本映画特集番組などで見ていたものの、全編見るのにはなかなか手が出なかったが、ようやく見た。冒頭のキノコ雲の写真をバックに流れる有名な音楽(実際に映画を見ていなくてもこれまで幾度となく耳にしている。)から興奮させられるし、映画が始まっても深作監督らしいテンポのいいエネルギッシュな演出で引き込まれる。しかし、登場人物の人間関係をこちらが把握する前に殺し合いが始まってしまうのでゴチャゴチャした印象があるのも事実。でも、深作監督のダイナミックな躍動感あふれる演出は見ていて飽きないし、なにより実話ベースで当時まだ問題となっていた事案を題材にし、尚且つ実在するヤクザをモデルにしているだけでも企画の日下部五朗や、深作監督、脚本の笠原和夫といったスタッフの尋常でない挑戦心を感じられる。俳優陣も濃く、ヤクザ映画、そして、深作作品でも初めて見る菅原文太が渋く、存在感を発揮しているのをはじめ、出てくる男たちがみんな熱く、これぞ男の映画という感じ。山守役の金子信雄がはまり役と言われているが、自分が生き残るためなら何でもするような男を見事に演じており、本当にはまり役だ。(個人的には金子信雄と言えば小学生の頃に風邪引いて学校を休んだ日にたまに見ていた朝日放送の料理番組の司会というイメージが未だにある人なのだが。おいおい。)ラストの葬儀場で広能が拳銃をぶっ放すシーンはなにか見ていて爽快感を覚える。ガラが悪いのでちょっとまだ抵抗はあるかもしれないが、続編も見てみようという気にさせられるような面白さはあった。
[DVD(邦画)] 7点(2011-02-10 13:43:30)
106.  新・極道の妻たち 覚悟しいや 《ネタバレ》 
「極道の妻たち」シリーズ6作目。このシリーズを最初から最後まで見るのは同じ山下耕作監督が手がけた「極道の妻たち 最後の戦い」に次いで2本目となる(ちなみに山下監督の映画も見るのは2本目。)のだが、今回はかたせ梨乃に裏切られた岩下志麻が北大路欣也とともに、彼女と愛人である中尾彬を仕留めるまでが描かれていて、役柄が違うとはいえ、前回見た「最後の戦い」と比べると違和感を感じる展開で、ドラマ的にもなにか物足りないが、それでもけっこう楽しめた。しかし、山下監督にとって最後の東映での映画になる作品でもあり、前作で印象的だった映像美がかげを潜めているような気がするし、音楽もなにかコミカルに感じる。刑務所の面会シーンからいきなりシーンが香港に飛ぶのはちょっとビックリ。岩下志麻はどぎつい関西弁で、眼力が鋭く、貫ろく充分に主人公を演じていて、とても若い頃に見せていた清純派の面影などどこにもない演技で、本当に別人のよう。それでいてカッコよく、「覚悟しいや」と啖呵を切るクライマックスは思わず唸ってしまう。 それにしても松竹のスター時代を知っているとよくここまでキャラが変わったものだと不思議に感じてしまうのだが。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2011-01-16 17:39:17)
107.  下妻物語 《ネタバレ》 
深田恭子、土屋アンナという主演の役者に興味がない上、ロリータファッションには嫌悪感を覚えるし、ヤンキーにも抵抗感がある。つまりこの映画を見たいと思う要素が自分には皆無である。なので見る前はたぶん自分には合わないだろう、つまらないだろうと思って全く期待していなかったが、それなのにいざ見始めると気がついたらのめりこんでいる自分がいたことにビックリ。中島哲也監督の映画を見たのはこれが初めてだったのだが、アニメやCGを多用していたりして映像にかなり凝っていて、しかも大林宣彦監督なんかと同じでCM演出家出身ということもあってか、その絵作りがとてもうまく、また演出もよかった。登場人物とキャスティングに関してもミスキャストが一人もおらず、みんなはまっている。特に主演の二人のはまり具合が絶妙で、中でも桃子役の深田恭子は今まで何本か見てるけど、はまり役と言えるものを見たのはおそらくこれが初めてだろう。クライマックスで別人の如くキレるシーンは痛快。ハイテンションでバカバカしく笑える前半から女同士の友情ものへと転換する後半、この後半に持っていくところまでにドラマ的にもう一山欲しかったところだが、それでもこれがなかなか良くてほろっとさせられる。挿入歌として流れる「美しく青きドナウ」などのクラシック音楽や尾崎豊の楽曲の使い方もうまい。とにかく今まで食わず嫌いだったのがウソのように面白い映画だった。最近の日本映画では間違いなくエンターテイメント映画として成功している一本だと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2010-09-14 21:46:28)(良:2票)
108.  修羅雪姫 怨み恋歌
「修羅雪姫」シリーズ第2作。というか前回のあのラストシーンからどうやって続編につなぐのかと思ったら、前回のラストは無視しているみたい。前回は雪は復讐のためだけに生きていて、かなり気迫があり、演じる梶芽衣子からも得体の知れない凄さを感じたのだが、今回の雪は前回に比べておとなしく、凄みも感じないし、前回印象的だった主題歌が流れないのは残念(なぜだ。)だし、映像の美しさも前回のほうが勝ってた。でも今回は梶芽衣子のまわりにいる出演者が曲者ぞろいで、原田芳雄と伊丹十三の兄弟や、伊丹の妻を演じる吉行和子の濃い熱演はもちろん、悪役の岸田森がなんとも怪しい存在感で演じていて、はっきり言って雪よりまわりにいる登場人物たちのほうがインパクトがある。(岸田森、やっぱりカッコイイなあ。)これはこれでいいのだが、やはり前回に比べると雪の存在感が薄くなってしまった感じでやっぱり残念。ただ映画自体は思ったより面白かったかな。藤田敏八監督の映画を見るのは2本目だが、のちに監督となった伊丹十三が藤田監督を俳優として「タンポポ」に起用しているのを思い出し、ここでは藤田監督が俳優として伊丹十三を起用していることに一種の感慨深さというか、そういうのを覚える。ところで鈴木瑞穂のナレーションを聴くとこんなはちゃめちゃな映画でも硬派な社会派ドラマのように見えてしまうから不思議。
[DVD(邦画)] 6点(2010-09-09 12:03:03)
109.  修羅雪姫(1973) 《ネタバレ》 
主演の梶芽衣子の存在感が圧倒的で、美しく、激しく、強く、そして悲しみを秘めたヒロインをクールに演じていて、文句なしにカッコイイ。(眼力鋭いところはなんか柴咲コウみたい。)今ならR15指定は免れないだろうと思われるほど血の多い映画で、おそらく万人には受けないであろう映画だと思うのだが、それでも、映像は美しく、冒頭、梶芽衣子演じる鹿島雪が雪の中で大立ち回りを繰り広げ、倒した相手の血で赤く染まっていく白い雪や、返り血で赤く染まった白い着物など、白と赤のコントラストが絶妙で思わず美しいと唸ってしまう。冒頭の牢屋のシーンで白から赤に変わる外に降っている雪なども美しく、とにかく赤と白が最初から最後まで強烈に印象に残る。主題歌である「修羅の花」もよく、冒頭で流れてきたときにあまりの歌詞のインパクトにおどろいたのだが、これが血まみれの鹿島雪が白い雪の上に倒れるラストシーンでかかるともうやられたという感じで、このラストシーンのためにこの主題歌があるようなそんな気持ちにさせられるほど、映像によく合っていて、またシーン自体も非常に美しく、主題歌の歌詞と映像の美しさが見事に調和した名シーンだと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2010-08-31 18:26:24)(良:1票)
110.  処刑遊戯 《ネタバレ》 
「遊戯」シリーズ第3作。今回はコミカルさを排除し、最初から最後までひたすらハードボイルドに徹している。冒頭の銃撃戦などは派手な音楽もなく、淡々と進行してなかなか凝っていてカッコイイ。しかし今回は前2作ではそれほど気にならなかった松田優作のカッコつけたきざなセリフまわしというか、そういうのがかなり気になってしまった。このシリーズは毎回脚本家が違うわけだが、今回は「探偵物語」を同時期に書いていた丸山昇一が担当。この脚本家が個人的にちょっと苦手なのかもしれない。村川透監督の演出は前2作に比べるとこだわりが見えてだいぶ頑張っていると思うものの、テレビドラマのような印象がやっぱり少し残る。敵の黒幕が前回ヤクザの親分を演じていた佐藤慶なのだが、2作連続で同じ人を同じような役に配役しているのがちょっと面白みに欠ける気がする。(まあ、先週「殺人遊戯」を見たばかりというのもあるんだが。)それにしても以前見た大島渚監督の「夏の妹」でも思ったが、ヒロイン役のりりィの独特なしゃべり方はなんか気になるなあ。
[DVD(邦画)] 5点(2010-07-13 13:24:11)
111.  新選組始末記
雷蔵演じる主人公が新撰組物では定番の近藤勇、土方歳三、沖田総司といったメジャーどころではなく、近藤の人間性に惹かれて新撰組に入った新人隊士というのが意外だが、どうも主人公よりも近藤を演じる若山富三郎や土方を演じる天知茂のほうが印象に残ってしまうし、藤村志保演じる主人公の恋人もほとんど話に絡んでなく、はっきり言っていないほうがよかったような気もしないでもない。三隅研次監督の雷蔵主演映画はかなり久しぶりに見たが、このコンビの映画としては全体的に平凡な印象で、それほど面白くもないし、完成度も高くないように思う。若山富三郎が近藤役というのもごつすぎてどう考えてもミスキャストにしか思えない。(既に指摘されている方もおられるが、どう見ても近藤勇というよりは西郷隆盛にしか見えない。)一方、土方を演じる天知茂はニヒルでカッコよくいかにも冷酷非常な感じがとてもよく出ていた。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2010-04-19 19:05:59)
112.  死に花
老いというテーマが背景にあるため、シリアスな部分も当然あるんだけど、基本的には軽いコメディーで、前半あたりに少し退屈な部分があるものの、なかなか楽しめた。時代が時代なら東宝でクレージーキャッツ主演でやっていそうな印象も残り、穴を掘るメンバーに谷啓や青島幸男を起用していたり、メンバーが最終的に7人構成になるあたりはクレージーキャッツの映画を意識していると強く感じられ、クレージーキャッツの映画が好きな身(とはいえ最近は機会に恵まれず見れてないのだけど。)としてはなんかうれしい。しかし、(比べるのもどうかと思うが。)シリアスな部分があるからか、クレージーキャッツの映画ほどの爽快感はなく、最後のシーンあたりはなんか湿っぽく感じてしまったのも事実で、本当に60年代にクレージーキャッツ主演で古澤憲吾監督あたりが手がけていれば、爽快なままラストを迎えたのではないかとつい思ってしまった。とはいえ、山崎努をはじめとする主役の老人たちを演じている俳優たちはみな好演しており、安心して見ていられる。(長門勇が岡山を連想させていて笑える。)それからこの映画はちょうど一週間前に亡くなった森繁久弥の遺作である。出番は少なくセリフも一言だけなんだけど、さすがに登場シーンでは風格が漂い、出てくるだけで圧倒的な存在感を放っていて、まさに名優であると思う。また「社長シリーズ」などの喜劇映画で活躍したこの名優の遺作が喜劇映画なのは偶然ではないような気がする。白寿の老人役なのだが本当にこの映画の役柄のように白寿や百歳まで生きていてほしかったし、あらためて残念に思う。森繁久弥だけじゃなく青島幸男と藤岡琢也にとってもこれが遺作なんだなあと思うとなんだか切ないなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2009-11-17 20:55:55)(良:1票)
113.  次郎長三国志 第八部 海道一の暴れん坊 《ネタバレ》 
第8作。今回は石松が主役で、出演者のトップクレジットも森繁久弥となっている。これまでもシリーズの中で印象に残る様々な活躍を見せた石松だったが、今回は石松を演じる森繁久弥の演技がとくに素晴らしく、夕顔に惚れて赤くなる姿や、夕顔との風呂でのやりとりなど微笑ましいシーンでの演技も良かったが、やはりラストの決闘シーンで見せる演技はかっこよく、そして、「おらあ死なねえんだよ!」と叫ぶシーンも素晴らしかった。これ一本でもじゅうぶん森繁久弥という俳優の素晴らしさと魅力が伝わってくるし、この森の石松という役は彼にしか出来ないのではないかという気さえする名演技だ。この話だけはマキノ雅弘監督によるオリジナルらしいが、シリーズとしてここで終わらせたかったというほどの意気込みを持って演出に当たっていたというマキノ雅弘監督の演出も、彼の石松に対する愛情のようなものが感じられて、シリーズの中でも傑作と呼ばれているのが分かるし、僕ももちろんそう思う。やっぱり僕もこの次郎長一家の中では石松がいちばん好きだから。 2009年11月10日追記:石松を演じた森繁久弥さんが亡くなった。96歳の大往生とのこと。このシリーズの石松役はもちろん、コメディーからシリアスまで何の役で出ていてもとても味のある演技が印象的な素晴らしい名優で、好きな俳優の一人だっただけに訃報に接し、大往生とはいえ、かなりショックが大きく、すごく悲しい気持ちでいっぱいでとても残念に思う。本当に心からご冥福をお祈りします。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2009-11-10 22:07:48)(良:2票)
114.  しびれくらげ
「でんきくらげ」に次ぐ増村保造監督と渥美マリのコンビ作で大まかなストーリーやほかの出演者も「でんきくらげ」と似たりよったり。でも、「でんきくらげ」に比べるとこちらの方が面白かった。渥美マリは「でんきくらげ」よりはこちらのほうが確かに洗練されている感じはあるけど、増村作品に登場するヒロインとしてはやっぱり何か物足りないという気がする。「でんきくらげ」を先に見ているからか、主人公の父親役で玉川良一が出てきたときはまた同じような役回りなのかと思ったが、今回は「でんきくらげ」のようなワルな印象の役ではなく、笑ってしまうほどのダメ男の役でなかなかいい味を出している。この父親と主人公のやりとりがスピーディーに展開されるあたりはいかにも増村監督らしいし、ラストの余韻の残し方もうまいと感じさせるものの、本作も増村作品としては凡作の感が否めないのが少し残念。(さっき書いたように「でんきくらげ」よりは面白かったのだが。)そういえばヤクザ役で田村亮が出てるけど、田村三兄弟は全員が増村作品に出演経験があるんだなあ。
[DVD(邦画)] 6点(2009-11-04 17:06:50)
115.  シコふんじゃった。 《ネタバレ》 
先週に「ファンシイダンス」を見てるので、主人公の弟が相撲部に入部するあたりは少し二番煎じかもと思ったが、「ファンシイダンス」に比べて、こちらの方がドラマ的にも感情移入がしやすく面白かった。この手の邦画は今では矢口史靖監督の作品をはじめ結構作られてるけど、「ウォーターボーイズ」なんかと比べてもこちらの方が見ていて相撲にかける情熱と必死さが伝わってきて、リーグ戦や入れ替え戦などはまるで甲子園の高校野球でも見ているかのようだった。(大げさで感傷的な音楽がないのもいい。)笑いのシーンもつぼを押さえていて、中でも過敏性腸炎の竹中直人の演技には爆笑。(中学の頃にもテレビ放送途中から見たことある映画だったが、この下りだけ覚えてた。)あとはやっぱり巨漢マネージャーの正子だろう。相撲部の中でいちばんの存在感を発揮していて、そこにいるだけでも印象に残るのに、男装して試合に出るシーンはやはりかなりのインパクトを残していてとても印象的だった。(演じている女優が全く知らない人なのもさらにこのキャラクターを印象的なものにしている。)ほかの登場人物たちもみな個性的で面白い。主人公兄弟に向かって「若貴兄弟」と言うシーンなど今見ると時代を感じてしまう部分も確かにあるが、この後、多くの亜流を生み出したのも分かる出来で、本作は間違いなく周防正行監督の最高傑作だと思う。
[DVD(邦画)] 9点(2009-10-08 12:33:49)
116.  忍びの者
雷蔵主演の忍者映画。社会派で知られる山本薩夫監督の作品ということでちょっとかたいかなと見る前に思っていたが、確かに単純な娯楽映画という感じは受けないものの、それでもなかなか面白かった。雷蔵の忍者役というのは初めて見たが相変わらずクールでかっこよく、それでいて演技もうまい。しかし、この映画ではそんな雷蔵よりも、やはり二つの顔を持つ忍者集団の頭領を演じる伊藤雄之助の存在感あふれる怪演ぶりがもっとも印象的で、中でも普通の老人という感じから突然ものすごい動きをはじめるあたりはインパクトが大きく、また不気味で怖い。まさしくこの役は伊藤雄之助ならではだと思う。そしてその部下を演じる加藤嘉もなにか不気味な演技を見せていてこちらも印象的。ただ、信長を演じる若山富三郎は体格が良すぎで、以前に見た「尻啖え孫市」で弟・勝新が演じた信長と同じくちょっと違和感を感じるのだが。続編もあるようなのでそちらも見てみよう。
[DVD(邦画)] 7点(2009-07-30 12:41:36)
117.  新・平家物語
僕も今まで溝口健二監督の映画は白黒作品しか見ていなく、カラーの溝口作品を見るのは今回が初めての体験だった。(溝口作品見るのもかなり久しぶり。)撮影はいつも通り宮川一夫で、やはりこのコンビの作り出す映像は最高に美しいと思うものの、「雨月物語」や「近松物語」、「山椒大夫」といった白黒作品の圧倒的な美しさとは何か違う気がするし、確かに完成度は高い映画なんだけど、これら後世に残るような名作と比べると平凡な印象が残ってしまうのがちょっと残念だし、黒澤明監督と同じく、溝口監督もカラー作品よりは白黒作品のほうがいいと感じるし好きだ。前年デビューしたばかりの雷蔵が主演で、見る前は初々しさが目立ってあまりうまくないのではと思っていたが、(失礼。)デビュー2年目とは思えぬ演技でそれほど違和感もなくなかなか良かったと思う。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2009-05-07 16:23:56)(良:1票)
118.  次郎長三国志 第九部 荒神山
東宝「次郎長三国志」シリーズ最後の作品となる第9作。当初、二部構成予定の前編として作られ、その後後編が制作中止になったというのを見る前から知ってたので、まったく期待せずに見たのだが、最後の回なのにシリーズすべて見終わったという達成感よりも、もどかしさのほうが先に来てしまってかなり物足りない。これまでの回で石松と三五郎の掛け合いが好きだったのだが、やはり石松がいないこともその物足りなさに拍車をかけているような気がして、マキノ雅弘監督の演出も何かモチベーションが落ちている感じで残念だ。やはり僕もこのシリーズは前回が最後に相応しかったと思う。東宝のシリーズには劣るかも知れないが、東映の「次郎長三国志」シリーズもいつか見てみたい。(マキノ雅彦版が先になるかもしれないが。)
[CS・衛星(邦画)] 5点(2009-02-15 11:14:53)
119.  次郎長三国志 第七部 初祝い清水港
第7作。前回と比べてこのシリーズらしい明るさが戻っていて気楽に楽しめるものの、涙なくして見られない展開だった前回の続きの話と考えた場合にあまりにもギャップがありすぎると感じるし、前回ラストに登場した長門裕之演じる喜代三とお仲さんが泣いているシーンは確かに少ししつこい。でも、次郎長一家がお蝶さんの位牌の前で、百か日が過ぎたら久六を討つと誓うシーンや、親分が「お蝶を殺したのは俺だ。」というシーンは良かったと思うし、大政のところへ前回もちらっと出ていた妻 ぬいがやってきたり、佐太郎夫婦も再登場するというのはシリーズをずっと見ているとなんだか嬉しい気持ちになる。最初に書いたように前回とはギャップがありすぎるし、お仲さんと喜代三のシーンはもう少し短くてもいいと思うものの、それでも見る前に思っていたよりは楽しめたので一応満足ということでこの点数。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-01-26 15:12:53)
120.  次郎長三国志 第六部 旅がらす次郎長一家 《ネタバレ》 
前作ラストで兇状持ちとなった次郎長一家の逃避行を描いたシリーズ第6作。今回は冒頭からシリーズ今までの雰囲気とは違う暗い感じで、笑えるシーンも少なく、全体的に湿っぽくシリアスな展開なのがかなりの異色作に感じるのだが、今まで第一部からずっと見ていて次郎長一家に親近感がわいていたせいか、泣けて泣けて仕方がない。なんといっても今回はお蝶さん。病に倒れても匿ってくれた場所に兇状持ちになっているが故に長居は出来ない次郎長親分たちに対して「大丈夫、元気になったわ。」と言うのが何とも健気で見ていて辛く、これだけでもう泣けてくる。親分に盃を返そうとする三五郎と石松、それに弱っていくお蝶さんを元気づけようと無理に笑う大政たちにもついつい感情移入して思わず泣きそうになった。お園さんがお蝶さんの回復を願って権現様に願をかけるシーンも思わず感情移入して見てしまう。そして最後、お蝶さんがいよいよ亡くなるというシーン、ここで一人一人に声をかけるお蝶さんの姿を見て、前回の親分との馴れ初めの話をするお蝶さんの姿や、そのほかいろんな事を思い出して、また自分がその場にいるような気分にもなってしまい、せつなすぎて泣かずにはおれない。お蝶さんを演じる若山セツ子の演技ももちろん素晴らしく、このシーンは本当に名シーンだと思う。最初に書いたようにほかの回とは雰囲気がかなり違うものの、こういう映画でもマキノ雅弘監督のうまさを感じることが出来るし、これはこのシリーズの中でもかなりの傑作だと思う。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2009-01-26 02:32:35)
000.00%
190.60%
230.20%
3463.09%
4493.29%
531921.42%
634222.97%
734723.30%
828018.80%
9563.76%
10382.55%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS