1. ディープエンド・オブ・オーシャン
《ネタバレ》 弟ベン(サム)の性格の良さが無ければ成立しない感動の物語。久しぶりにものすごく良い映画に出会いました。 ひとつも無駄なシーン、無駄な台詞が無い完成度の高さです。役者さん達の演技も素晴らしい。とりわけ、子供時代のヴィンセントの演技は完璧でしょう。責任を感じながらも、母への不満を、その表情と少ない台詞のみで体現してしまっています。 ベンがいなくなり、母の心が壊れてしまい、家族の心の歯車が狂っていく序盤のシークエンス。正直ここでのベスには賛同できません。気持ちはわかります。でも母親です。いなくなったベンと同じくらい、ヴィンセントとケリーを、そして旦那さんを大切にしてほしいものです。ただ、『自分とベンだけが辛い』みたいなこの母親の姿が、きっと一番リアルに近いのでしょう。 母が母としての努めを果たさない日が続き、ヴィンセントは責任を感じているためそれに文句も言わず、諦めたように自分の足で家に帰り、母の代わりにケリーの世話をする。その様子がリアルすぎて痛々しすぎて、そして後半に活きてくる演出。すごい映画です。 家族の絆、リアルな兄弟の姿、それは決して完璧ではないが故に、見ていて感動しっぱなしです。 『君は木製のチェストから出られなくて、でも全然怖がりもせずに笑っていたんだ。』『君が来てくれると思って安心していたんだ。』のように、さりげなく心を打つ台詞が多いのもこの作品の特徴。その中で、『君』と、決してまだ家族にはなっていない距離感があることを感じさせる言葉のチョイスが逆に素晴らしい。 まさに名作と呼ぶにふさわしい傑作中の傑作です。 [DVD(字幕)] 10点(2014-10-20 00:46:42)(良:1票) |
2. デッドゾーン
《ネタバレ》 クローネンバーグ監督は、「ヴィデオドローム」で多少敬遠気味だったのですが、この作品は監督独特の世界観が抑えられていてとても見やすかった。 よく見るとスティーブン・キング原作。キング原作の映画は低評価のものが多いのですが、個人的にはキング原作の映画はどれも好きで、はずれがほとんどありません。この映画が面白いのも納得です。 事故と昏睡が原因で手に入れた超能力、ですがその能力をまったく歓迎していないジョニー。全編通して、彼はサラを失ってしまった悲しみを全身から漂わせていて、超能力設定が霞んでしまいそうなほど。ですが、ひとつひとつのエピソードを通して、少しずつ授かった能力を受け入れ始め、前向きにその才能を活かし始めるその心の変化の機微がなんとも見事。 そして死ぬ間際のデッドゾーンの使い方は素晴らしい。最後はこれ以上ないくらい深い感動と悲しみを残してくれました。 [DVD(字幕)] 10点(2013-03-04 00:21:57)(良:1票) |
3. デーヴ
大統領夫人がどんどん若返っているように見えて面白かった。木村拓哉の「チェンジ」を連想しますね。でもこちらのほうが断然良いですね。 [DVD(字幕)] 10点(2011-07-06 21:51:22) |
4. 電車男
《ネタバレ》 ドラマは未見。これは良いです。傑作です。コメディで笑い、涙で感動し、ラストはハッピーエンドでこの上なく幸せな気分になれます。邦画ならではの後味の良さが感じられます。この感じは洋画では絶対に出せない。こーゆー作品を見ると邦画の存在意義ってのを感じられます。 それにしても良い人ばかりの映画です。『毒』や『刺激』、『どんでん返し』や『謎解き』がなくても面白い作品ができるっていうお手本のような映画です。『倦怠期の夫婦』『ひきこもりの青年』『おたく3人組』『失恋看護士』、世界も価値観も違う人たちが、『電車男』っていう見ず知らずの人の相談に乗ってあげて、応援するっていうのが、人の温かさを感じられて好きです。日本もまだまだ捨てたもんじゃないなって思います。 それに、電車男を応援しながら、自分達にも良い意味で心境の変化や心の成長が現れるっていうストーリー構成が、ベタだけど良い。純粋な人の一生懸命さっていうのは、周りに良い影響を与えるものだと再認識。 それにしても『奥手の恋愛』っていうのは、良いものですね。人としての真心を感じられるというか。 そして中谷美紀。憧れの人としてキャスティングされるにはちょっと年齢高めかもと思いましたが、見ていくうちにどんどん魅力的に。そのたたずまい、何といっても『声』が優しい。優しい声で、優しい言葉をかける素敵なお姉さん。 ずっと電車男の主観できて、ラスト、エルメスの主観ではこう見えていましたっていうネタばらし。『いま、会いにゆきます』でも使われていた手法。このテクニックにとことん弱い私。もう切なくて嬉しくてやばかったです。 また、本筋とは関係ありませんが、『合コンに誘われず、メンズエステの試供品さえ渡してもらえない電車男』が、合コンに誘われ試供品を渡されるシーン、そこで見せる山田孝之の表情が本当にうまくて、細かいところがめちゃくちゃ丁寧な作品だと感心しました。と同時に、やはり外見も内面と同じくらい大切なことなんだと気付かされます。 [DVD(字幕)] 9点(2017-10-22 09:26:01)(良:2票) |
5. テキサス・チェーンソー ビギニング
《ネタバレ》 もう最っ高ですね。前作とは比較にならんくらい攻めてます。ってゆーかここまで見せちゃうなんて頭おかしーんじゃないのってレベルです。悪趣味の総決算です。 『これはだれの舌だい?』『何のためにこんなことするんだい?』『バランスだよ。』セリフもクレイジーです。 前作では多少誤魔化しちゃった惨殺シーンも、今作では全くの躊躇なし。もうばっつんばっつんいってます。 『悪魔のいけにえ』と言えば、狂気の象徴とも言うべき『晩餐シーン』が個人的に好きなんですが、今作にはばっちり入っていますね。 両足を切断されるおじさんに、舌を切り取られちゃったもう一人のヒロインなど、狂気がもう止まらない。 サブ的に登場するアウトロー男女、これもストーリーに良い変化を与えています。 反吐が出るような残酷なシーンの連続のなか、時折はさまれる爽快なシーン。 これぞスプラッタムービーの最高峰。 窓から飛び出すシーンなんかは、初代『悪魔のいけにえ』へのオマージュも感じさせます。 『ビギニング』ですから、わかっちゃいたけど『目撃者0』。つまり『生存者0』ってことなんですよね。 クライマックスの、希望から絶望への切り返しは息を呑む完成度。 バッドエンディングは嫌いですが、これは完璧。 でも二度と見ないけどね! [DVD(字幕)] 9点(2017-05-25 11:08:39)(良:1票) |
6. デッドポイント ~黒社会捜査線~
《ネタバレ》 素人・エアガン・路上生活者・最初に捕まった人の人柄、すべてが先入観となってしまいます。完璧なストーリー構成です。『まさか』です。その『まさか』を、見ている私達にもつきつける衝撃的なラストに撃沈されます。 警察車両を襲撃して武器を奪ったのも、流れからいけば『凶悪な三人組』のほうだと思ってしまいます。いや、今作のメインストーリーは、やはり『凶悪な三人組』の検挙なのでしょう。それが王道ですから。そのメインストーリーを隠れ蓑に、まさかのジョーカーをラストにもってくるとは誰が予想できるでしょう。これは参りました。本当にラストまでは、『踊る大捜査線』のような雰囲気だったのに、最後の最後でまさかの結末。その説得力の高さに、後味が悪いとか、最早そんな次元の話ではありません。ここにきて、『デッドポイント』というタイトルの意味を実感することになるんですね。 それに、こういう作品ではロマンス部分が邪魔になることも多いのですが、今作では『ロマンス=日常』を織り交ぜることにより、ラストの絶望感・喪失感がよりリアルなものに感じられます。 『よし、決めた。俺は告白するぞ。』『俺のことを好きになるんじゃない。』『ジミーに会いに行きます。』『俺も決めたぞ。妻に愛人のことを話して、二人とも面倒を見ていく』それぞれの言葉が、思いが、宙に待っていきます。 ラスト、マンディが冒頭のシーンと同じように、店の窓を拭きながら6人の結末を知ってしまいくずれ落ちるシーン。マンディの視線は、私達視聴者の視線にもなっているのでしょう。 [DVD(字幕)] 9点(2015-01-12 14:13:57) |
7. デコレーション・デイ 30年目の勲章<TVM>
《ネタバレ》 ビリーの真実。テリーの真実。ジーの真実。 アルバートに限らず、人は与えられた情報の中で創りあげた仮想・仮定の話を、真実だと錯覚してしまうことがあるかもしれません。 頭が良い人ほど。人生経験が豊かな人ほど。 ビリーとテリーの真実は、少しずつアルバートを既成観念から解放していきます。 人の心に耳を傾けるようになったアルバートは、ジーの真実を知ることができます。ですが、ジーにはもう一つ、心の中に秘めた思いがありました。それこそが勲章を授与しない本当の理由だったのですね。 結局、その人の本当の思いや、行動の理由は、その人にしかわからないものです。 だからこそ人はいつでも謙虚になり、友人たちの言葉に耳を傾ける姿勢をもつことが大切なのでしょう。 映画の中で明かされる三人の秘密は、人には簡単に言えないものですから、決して幸せな内容とは言えません。 ですが心に秘めた思いを打ち明け、友人や大切な人と共有できたとき、そこには新しい絆が生まれ、またひとつの幸せの形ができることを、この映画はそれとなく教えてくれている気がします。 [DVD(字幕)] 9点(2012-06-14 09:45:14) |
8. デビル(2010)
《ネタバレ》 ワンシチュエーションスリラーとしては大変よくできた作品。 まあこーゆープロットだったらもっとミステリーにして真犯人は人間にしちゃったほうが面白かったかもしれません。 『オカルトかよ』『結局は悪魔の仕業かよ』という不平不満が聞こえてくるのは致し方ないでしょう。 でも私はこの作品、とっても面白かったです。 演出の仕方が良いのか、雰囲気づくりがうまいのか、とにかく緊張感があります。エレベーターの中だけでなく、早い段階から外部の人間と連絡が取れているのも良かったと思います。最初はのんきに構えていた警備員の2人も、事態がだんだん深刻になるにつれ表情が変わっていきます。こーした変化が見てとれるのは良い映画です。 個人的にはエレベーターの修理作業をしている作業員のシーンが一番怖かったです。エレベーターが上から落ちてきそうになるシーンはびびります。 それにしても作業員や警備の人は可哀そうでしたね。エレベーターの中に閉じ込められた人たちは、それぞれ罪人。穢れた魂を悪魔に狙われる理由があります。ですが作業員や警備の人は『悪魔の邪魔をした』というだけ。そんなことで命をとられたんじゃたまったものではないです。 ボーデン刑事良かったです。敏腕です。この人が的確な指示を出すので映画がしまったものになりました。 エンタメホラーの成功例としておススメできる作品です。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2021-11-18 14:46:06)(良:1票) |
9. テケテケ2
《ネタバレ》 こーゆーやつの2作目って前作とはまた違う舞台になることが多いのですが、これは完全なる続編。一作目の生き残りである大橋可奈の現在からストーリーは始まります。個人的にはこの大橋可奈の悲劇には8点をつけたいくらいです。 完全なる続編にも関わらず、『イジメ』という新たなテイストを加えたことは評価に値します。 このイジメが結構陰湿で、いじめられっこに感情移入し始めたところで、テケテケさん登場。『いじめっこは月に代わってお仕置きよ。』ってノリでテケテケさんがばっさばっさといじめっこ達を一刀両断。まさに文字通りの一刀両断を繰り広げるのです。時代劇も真っ青です。もはやヒーローのようなテケテケさん、そこにはカタルシスさえ感じてしまうのです。 ただそこはやはりジャパニーズホラーってことで、最後にはちゃあんと悲劇が用意されているのです。ぬかりがない。 前作とは違う味わい。ターゲットとなる犠牲者も前作より多い。比較的かわいい子が多く、スパスパシーンも多く、画的な満足度は高いです。しょぼいB級作品とはもはや言えない、立派なエンターテイメント的魅力があります。 つっこみどころは前作より多いです。 あれだけテケテケさんを怖がっていながら、夜中に一人歩道橋を渡る大橋可奈。 歩道橋から踏み切りにテリトリーを広げるテケテケさん。更には踏み切りからも出ちゃって、建物の中にも普通に出ちゃうテケテケさん。『赤は嫌だー』って言いながら人間真っ二つにしたら、その『赤』がいっぱい出てくるんだよ、テケテケさん。男性に乱暴されて自殺したのに、女性ばかりを狙うテケテケさん。いったい何がしたいのかな。頭が弱いのかな。 [DVD(邦画)] 8点(2020-05-23 04:47:58) |
10. 手紙(2006)
《ネタバレ》 暗そーだし、シビアな雰囲気もしていたし、見るのをためらっていたのですが、評価の高さとキャストに惹かれて見ちゃいました。 ドラマ版『タイヨウのうた』が好きだったので、山田孝之と沢尻えりかの共演が見れて嬉しい。 で、映画を見た感想ですが、これが思っていたよりも大分良かった。原作が東野圭吾。なるほど。兄が被害者を刺しちゃうまでの映像を丁寧に描いてくれた、その意義は大きい。これがあるのとないのでは、この映画を見た感想は全く違ったものになってくるでしょう。 原作が小説なだけあって、若干エピソードを詰め込みすぎた感じはします。差別されることを恐れて身分を隠しながら働いていたかと思うと急に始まる漫才の練習。突如現れる片思いの美少女。倉田の言葉で会社を辞めてお笑いデビュー。瞬く間に売れっ子に。朝見と出会って婚約?ここまでで1時間弱。はっきり言って序盤はかなり目まぐるしい展開です。駆け足過ぎて感情移入する間もありません。 やはりこの映画の見所は中盤~後半だと思います。 頭が良く、成績優秀なのに大学をあきらめる。せっかく成功していたのにお笑いの仕事を諦める。好きな人との結婚をあきらめる。犯罪の抑止力になりそーなくらい、加害者家族の厳しい現実を描いているのに、ラストは希望のある終わり方。 沢尻えりか演じる由美子はもちろん、チョイ役ながら倉田、友人の寺尾、こーゆー人たちの助けと支えがあって、このラストが活きてきます。現実にはありえなさそーなことばかり。由美子の存在なんてほとんどファンタジー。でもこーゆーファンタジーが、この作品の中で救いになっています。 最後に、直貴役の山田孝之さん、剛志役の玉山鉄二さん、倉田役の田中要次さん、殺された女性の息子を演じた吹越満さん、みなさん素晴らしい迫真の演技でした。特に終盤の、被害者宅の訪問シーンで、『これで終わりにしましょう。』という言葉からの、『お互い長かったな。』というセリフで泣き出すシーンは涙腺崩壊しました。 [DVD(邦画)] 8点(2018-04-04 13:44:52)(良:2票) |
11. テキサス・チェーンソー
《ネタバレ》 これは怖い。前半、不気味で不穏で程良い緊張感。後半はたたみかけるようにスラッシャーホラー。 前半さすがにひっぱりすぎで、ちょっとダラダラしちゃったことを除けば、スラッシャー系ホラーとしては一流。不条理系ホラーとしては超一流です。あの狂った家族の、何もしていないときの怖さといったらなかったね。 人って、『何もしていないとき』が一番怖いかもしれないです。『今から自分の身に何が起こるのか。』、これがはっきりしないときの、不透明なドキドキ感がたまらない。とにかく、『説明が一切無い』、というのは怖いものです。 かと言って、レザーフェイスがチェーンソーふりまわし始めたら怖くないのかといったら、それはそれでやっぱ怖いのです。 レザーフェイスの、最も暴力的でありながら、最もコミュニケーションが取れない怖さ。彼の何を考えているのかわからない怖さっていうのももちろんありますが、『躊躇のなさ』がやはり一番怖い。まるで子供が虫の羽を無邪気にむしっちゃうような、無機質で無感動な暴力。それが自分に向けられるってのは、凄い恐怖感を煽られます。 話は変わりますが、個人的にホラー映画で好きな瞬間ってのがあります。 『窮鼠ネコを噛む』とか、『一矢報いる』とか、『形勢逆転』とか。そーゆーシチュエーション、たまんないんですよね。僅かなチャンスをものにする、その一瞬でしか感じられない爽快感。ホラーで一番テンションが上がる瞬間です。 レザーフェイスの腕を切り落としちゃうのも凄かったのですが、何といっても保安官を何度も轢いちゃうラスト。 『いけいけー』って、久しぶりにフィクションの世界を応援しちゃいましたね。 まあなんだかんだ言って、一番怖いのは『チェーンソー』だったりします。あの問答無用の攻撃力。そして『音』。チェーンソーって、なんであんなに凶悪な音をしているんだろう。 [DVD(字幕)] 8点(2017-05-20 14:39:51)(良:3票) |
12. ディープ・ブルー(1999)
《ネタバレ》 海洋モンスターパニックもの、『ジョーズ』や『ピラニア』といったジャンルは大好きです。そういう人にとっては理屈抜きに楽しめる映画でしょう。リアルな世界で味わいたくとも味わうことができない緊張感、スリルの疑似体験ができるのがたまんないっす。 ただ、こーゆーパニックものでは、個人的に『不特定多数が襲われる』というシチュエーションが好きなので、研究所限定というのが少し残念です。言ってしまえば、利権がからむ実験の代償に、関係者のみが襲われていくわけですから、因果関係がはっきりしすぎちゃっているわけです。正直自業自得的な側面もあるので、襲われていく皆様には申し訳ないんですが、純粋な犠牲者って感じがちょっと弱いかなと。 ですが本作のストーリーならではの感慨があるのもまた事実。研究所のみなさんや出資者のラッセル(サミュエル・L・ジャクソン)にとって、ただの被検体であり金の鳴る木に過ぎなかったサメが、突然脅威に変わるというシチュエーション。長い年月『被検体と、それを取り扱う人間様』っていう構図だったはずなのに、人間とサメの立場が一瞬にして逆転するっていうのが、空恐ろしいですね。 また、多くの方がご指摘されているように、今までのホラーの慣習を覆しちゃう試みが新鮮。 従来のホラーであれば確実に死んでいたであろう死亡フラグたちまくりの黒人コックが最後まで生き残っちゃう展開。 逆に、死亡フラグが立っていない人を、瞬殺しちゃうノリ。今ままでであれば、間一髪助けられた人って死亡フラグが消えるパターンが多いんですが、そんなことはサメには関係ないと言わんばかりにあっさりスーザン博士(サフロン・バロウズ)が殺されちゃうラストに、ホラーも日々進化しているのだと嬉しくなっちゃいましたね。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-07-07 07:06:41)(良:1票) |
13. デッドコースター
《ネタバレ》 ホラー界のジェットコースタームービー。その正統な続編。『続編は前作よりパワーアップしなければならない』という暗黙のルールでもあるのでしょうか。この作品も『スケール』、『ショッキング映像』、『スピード感』の3点において、前作よりも明らかにパワーを感じます。 ですが、個人的に好きなのは1。ホラーテイストが強いのもたぶん1。 それは、1のほうが夜のシーンが多いことも関係しているかもしれません。2は昼のシーンが多く、更には一般人がいつも周囲にいる中で次々と不慮の事故が起きるので、主人公たちの孤独感が、前作に比べると薄い感じがします。同じ世界にいるにも関わらず、世の中と主人公たちが見えない力で隔絶されている雰囲気がある前作に比べ、2ではその雰囲気が足りません。『孤独感』や『隔絶感』というものは、意外と『絶望感』や『恐怖感』と密接な関係を持っているようです。 そういえば、今回2回目の鑑賞ですが、1回目見たときにはよくわからなかった前作とのつながりがわかってすっきりです。飛行機事故で生き残った人たちによって、間接的に命を助けられたのが今回の犠牲者達。つまり、ハイウェイでの事故よりずっと前に、全員リストにのっちゃってたわけで、今回ハイウェイに皆が集められたのは死神界の一大イベントだったのかもしれません。それを更に妨害されたんじゃあ『一度ならず二度までも。』って死神が怒るのも無理はないですね。 前作がかなり良かったので、ネームバリューとアイデアをそのまま引き継ぐだけでも売れそうなのに、ディテールの作りこみやフェイントの多さなど、手を抜かない製作サイドの意識の高さは素晴らしいです。 目にはしごがズドン。エアバッグボン。は、衝撃的でしたが、一番見ていて怖いのはやっぱ歯医者でしょ。歯医者はしゃれになんない。もう歯医者行けないです。一緒に見ていた奥さんは怖さを半減するために薄目を開けて見ていましたが、意味あんのかなそれ。 とにもかくにも、大好きなシリーズ。このシリーズ見ていると、毎日死なずにすんでいることが、もはや奇跡的なことなんじゃないかと思えてくるような。そんなありがたい1本です。 [DVD(字幕)] 8点(2015-06-21 11:47:56)(良:1票) |
14. デイライト
《ネタバレ》 トンネル内の爆発、そして爆発に至るまでのシークエンス、それが個人的には本作のハイライトでした。金持ちの社長、売れない戯曲作家、うまくいっていない家族、息子を亡くした老夫婦、囚人、警備員、タクシー運転手、全く違う人生を歩んでいる人たちが、偶然同じ場所、同じ時、同じアクシデントにあってしまうという運命を感じさせるようなストーリーがとても好きです。 そして『インデペンデンスデイ』でも感じたことですが、映画でしか見られない映像世界を見られたとき、何とも言えない興奮を感じてしまうんです。トンネル内が爆発するシーンに酔いしれるなんて不謹慎もいいところですが、この現実離れしたシーンが見られることに喜びを感じてしまうんです。 だから『パニックもの』は好きなジャンルなんですが、多くのパニックものがそうであるように災害が起こるときのインパクトが強すぎて、中盤以降にちょっと物足りなさを感じてしまうことがあります。それでも全編通して、人の弱い部分、強い部分、醜い面、善良な面をバランスよく映し出してくれる作品はラストまで目が離せません。 そういった意味では、本作は傑作に近い良作でした。見る価値のある作品だと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-05-12 02:26:18) |
15. ディスクロージャー
《ネタバレ》 面白い!逆セクハラというより、もはやパワハラの問題でしょうか。いや、合併企業に対して開示すべき情報を隠蔽するための口封じが真相なので、セクハラやパワハラの問題でもないんですかね。まあ、とにかく面白かったです。 不明な点は確かにあります。社長はすべての真相を知っていながら、トム・サンダース(マイケル・ダグラス)をスケープゴートにしようとしたのか?フィルの目的は?メレディスのパワハラ・セクハラはトムが拒否した結果、トムを陥れる道具となりましたが、トムが拒否しなければそのまま懐柔するつもりだったんでしょうか? まあ、動機付けがはっきりしない部分はありますが、それを差し引いてもラストはきちっとわかりやすいハッピーエンドですっきりしました。忘れかけたころに“Friend”の正体が明らかになるラストも良いですね! ただ、フィルと社長が諸悪の根源のような気もするんですが、二人には社会的な制裁はないんです。組織内での最高権力者にはやはり手が出せるものではないのでしょーか。二人が何らかの形で失脚するところも見たかったなー。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-01-03 03:38:30)(良:1票) |
16. テルマエ・ロマエⅡ
《ネタバレ》 勝手知ったる2作目なので、序盤からローマと日本をいったりきたりっていうテンポの良さは良かったと思います。ここで前作みたいにもったいつけられたら気分が醒めちゃうかもしれません。 前作の前半のノリが大好き。だから今作でもそのノリを踏襲してくれたのは嬉しい。 マジック・ショーで気絶するシーンが最高です。 今作では温泉というより温泉街を模倣します。古代ローマになんちゃって温泉街が出来上がっていく様子がなんとも微笑ましくて楽しい。相撲文化をコロッセオに取り入れるのなんて何気に斬新。なのに最後のほうではまた血生臭いコロッセオに戻っていたのはとても残念。それだったら最後のほうで相撲文化をコロッセオに取り入れて、血生臭い殺し合いはなくなりましたってフィクションにしてくれたほうが良かったです。 今作はシリアスなドラマパートも前作よりなんだか楽しんで見られました。ただケイオニウスの兄と元老院にどんな罰を与えるのか、どんな逆転劇を用意しているのかちょっと期待していたぶん、力技と説得だけっていうのは正直期待外れでした。 ラストは結構好き。死の運命を受け入れるルシウス。離れ離れになる二人。でも真美の漫画がヒットして映画化されるというサクセスを用意。切なさと幸福感を次々と感じられるラストはなかなか良い。 最後に結局ルシウスが日本に来ちゃったのは、嬉しいけれど、蛇足感は否めない。 そういえば、混浴のシーンでルシウスが『なんて牧歌的なんだ・・・』みたいに、めっちゃ良いようにキレイごと言ってましたけど、私は普通にえろいと思いました。 [ブルーレイ(邦画)] 7点(2022-06-08 02:26:17)(良:2票) |
17. テルマエ・ロマエ
《ネタバレ》 ず~っと最初のノリでいってくれたら8点~9点。 中盤くらいから笑えるところがほとんどなくなって残念です。 それは裏を返せば前半のコメディセンスがずば抜けていたということ。 特にウォシュレットのくだりは笑いの神様が降りてきていますね。これ笑わない人いるんでしょうかっていうくらい笑いました。 それに、『現代の文明を過去に持ち込んだらどーなるか』っていうアイデアは使い古されていてもやっぱり面白いのです。わくわくしちゃうのです。ポスター。衣類かご。フルーツ牛乳。そのたもろもろ。 阿部寛は唯一無二の役者さんですね。この人が出ているだけで映画やドラマが面白くなるんだからたいしたものです。 上戸彩はなんだか本来の持ち味が活かされていなかった気が・・・ 彼女のセリフがなんともありきたりなものばかりでぱっとしないです。これは彼女の責任というより、脚本・演出が良くない気がします。 ストーリーは悪くないのですが、戦時下の戦場で湯治場づくりとはずいぶんと気の長い話だと思いました。まあみんなで協力して湯治場を作っていく雰囲気はすごく楽しげで活気があって悪くなかったです。 もう少し前半のカルチャーショック祭りを楽しみたかったので、少しばかりの物足りなさを感じつつ終劇。 前半8点。後半6点。間をとって7点というところでしょう。 [ブルーレイ(邦画)] 7点(2022-05-29 01:52:22) |
18. 手紙は憶えている
《ネタバレ》 おじいさん、お気の毒ですが奥さんのルースは亡くなったんですよ。 ああ、おじいさん。だからあなたの妻ルースは亡くなったんです。 かわいそうに。寝るたびに妻ルースが死んだ事実を忘れてしまうんですね。だから毎日目が覚めるたびに愛する人が死んだ事実を告げられる。なかなか酷な話です。認知症というのは結構残酷です。 そんな認知症のおじいさんがある目的をもって旅に出る。でも寝るたびに記憶をなくすからさあ大変。目覚めるたびに『ルース、ルース』『ここはどこだ』の繰り返し。手に書いた『手紙を読め』の指示に従い、その都度自分の役割を確認する。 なんか応援したくなっちゃいます。目的は復讐という物騒な内容ですが、それでもなんか応援したくなります。 そもそも寝るたびに記憶を失っちゃう認知症で、更に90歳は超えているおじいさんが復讐なんてできるのか。 きっとこの物語の着地点は別にあるんだろう。ほら、遂に最後の目的地だ。 あら、とても親切そうなおばさんが出てきましたよ。若いおじょうさんもいますよ。こんなところじゃやっぱ復讐はできそうにないですね。 ・・・え?ええ?どえええええええー!超サスペンスじゃねーかー! すごい脚本です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-11-09 03:59:03)(良:1票) |
19. デビルクエスト
《ネタバレ》 好きなジャンル。ニコラス・ケイジも好き。思っていたよりホラー色があって、そっちの意味でも楽しめました。 クレア・フォイ演じるアナは独特の迫力があって、たびたび驚かされます。 冤罪なのかクロなのか。疑心暗鬼が旅をよりスリリングなものにしてくれます。 街や村に着けば、ペスト患者と死体だらけ。ゾンビ映画さながらの異様な光景。何が潜んでいて何が出てくるか分からない、そんな不穏な雰囲気作りはA級映画に匹敵するクオリティです。 不気味な魔女疑いの女。ぼろぼろの吊橋。凶暴化した狼。ゾンビ修道僧。アドベンチャー映画ならではの娯楽要素はきっちり満たしているようです。 ラスボスの悪魔は拍子抜け。 外見よりも中身がつまらない。結局は『ソロモンの書』目当てだったというのがまずしょぼい。『この書物に長い間どれだけ苦労させられたか!』っていうクソ雑魚い台詞が更にしょぼい。女性の姿のほうがよほど怖い。 しょぼい悪魔とクソださいタイトルはさておき、終始楽しめる優良ホラーアドベンチャーだと思います。 過剰な期待をしないのがポイントですね。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2021-04-24 00:24:37) |
20. テラー トレイン(2008)
《ネタバレ》 幽霊系かと思ったらスラッシャー系。それもホステルタイプの理不尽サスペンス。旅人を誘っては列車に連れ込み、臓器を勝手に抜き取ってお客さんに移植しちゃう。怖い怖い。 とは言え、今作の主人公御一行様、ちょっと自業自得な側面があったりします。そもそも試合前に規則を破って夜遊びし、結果乗るはずだった電車に乗り遅れちゃったのが事の発端です。 一番かわいそうなのはコーチ。規則を破った人たちのために、乗るはずだった列車に乗れず、最初の犠牲者になっちゃうわけですから、この人だけマジでなにも悪くない。お悔やみ申し上げます。 この映画は『悪魔のいけにえ』や『ホステル』と同じで、9割はやられっぱなしバイオレンスなのでフラストレーションはたまります。ただし最後に復讐を遂げるので、一応のカタルシスが得られます。 ただ仲の良い女友達の一人がわけのわからん兵士たちに拉致られたままなのが後味が悪い。死んじゃった人たちはもう仕方がありませんが、生きている人は救ってほしいものです。 いっそ国際問題に発展させて、アメリカという国の力を使い、この違法な組織とどこぞの腐れ兵士達をまとめて粛清するくらいの面白さがあっても良かったかもしれません。 [DVD(字幕)] 7点(2020-10-23 14:16:30) |