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1.  殺人の告白 《ネタバレ》 
「時効が過ぎた連続殺人事件に、真犯人が現れて本を売り出す」という設定だけで面白そうと判断して見に行ったが、これは掘り出し物。エンターテインメントに徹したアクション・サスペンスで、個人的には韓国映画では私的ベストの「オールド・ボーイ」に匹敵する面白さであった。  ■あらすじと予告編ではサスペンスベースかと思えるが、ハリウッド顔負けの二回のカーアクションが入っていてアクションの比率は意外と大きい。ほとんど不可能ギリギリのラインの車上アクションは圧巻。カメラワークもいい臨場感を出している。ただし追跡劇における手ぶれカメラは合わない人には合わないかも。  ■ラストにあっと驚くどんでん返しが仕組まれており、展開が全く読めなかった。公開のテレビ討論会、遺族の襲撃など、息をつく暇も与えないノンストップなストーリー構成で楽しめる。細かいことを考えるといろいろ不自然さはあるが、それを気にかけさせないだけの勢いがこの映画にはある。  ■これ以上の予備知識はなしで見た方が楽しめると思う。
[映画館(字幕)] 10点(2013-09-03 20:23:13)(良:1票)
2.  アルゴ 《ネタバレ》 
結末は分かりきっているのに、しかも別に派手なシーンは一切ないし格闘なども全く存在しないのに、手に汗握ってしまう。その上、これが実話だというのだから驚かされてしまう(もちろん細部はかなり脚色あるのだろうが)。久しぶりに見た良作。  ■イランのアメリカ大使館人質事件において、6人が事件の際に大使館を脱出、カナダ大使私邸にかくまわれた。しかし逃亡がばれるのは時間の問題、そこでCIAが打って出たのが「映画作製を偽装してクルーとして国外逃亡させる」というとんでもない案だった。  ■入国から出国まで、映画として見れば大したことはしていないのだが「ちょっとでもばれたら殺される」という状況が描き出されているので、否応なく緊張する。グループ内で仲間割れがあったりと、状況も結構シリアス。最後の空港の脱出がほぼすべて「ぎりぎりのところで間に合う」の繰り返しになっているのは脚色だろうがまあご愛敬の範囲。  ■ほぼ不可能と思われた任務が達成されても、手柄はカナダであり、主人公の業績は地下にしまわれる、というところが実は印象的だったりする。目立つためのヒーローでないところはこの映画の良さ
[映画館(字幕)] 10点(2012-11-18 23:08:36)
3.  インセプション 《ネタバレ》 
面白かった。「メメント」テイスト全開で作られていて、ミステリ系映画が好きな身としてはたまらない。間の無重力戦闘とかもなかなかきれいで見ていて面白かったし。  ■単純なエンタメ(アクション・サスペンス)として見た場合、「夢の中の夢」「夢の階層構造において時間の経ち方を大幅にずらす」「夢の中だからご都合主義や派手すぎるアクションも大目に見れる」といった要素が大きく、アイデア勝ちだと思う。  ■話の構造としては同監督「メメント」に近い。「メメント」と「インセプション」の違いは、まず前者が純粋にミステリーとして構成されていたのに対し、後者はアクション・サスペンスとして一般受けしやすい構成になっている点。あと、前者が大枠の謎解きをラストにしてくれたのに、後者は謎解きしなかった点かな。特に後者は本作を解読する上で大きい。それと、メメントはストーリー追うだけでも頭が死んだのに対し、本作は一応おおよそ話は全部追えるように作られているのは観客にとっては良心的。  ■【以下激しくネタバレ】ラストのあまりにご都合主義的にすぎる展開と「監督はこの作品の脚本に10年かけた」という記事を読んで、ラストはフェイクで「すべてを描かなかった」という理解に変えた。  ラストの解釈で、希望的なハッピーエンドととる人が多いようだが、必ずしもそうではないと思う。とりあえず冒頭で、トーテムについてサイトーは「見ている」し「見たことがある、と発言している」し、「倒れたら現実、と自身が解説しているシーンがある」のだからトーテムについては相当怪しいというか、これ自体偽の記憶の可能性が十分ある。  あと、ラスト近くの電話してから1時間そこいらで罪が全部もみ消せる(し、それがパスポート・コントロールまで情報が行きつく)のかよという問題や、なぜ父親が迎えに来ているのかという問題もある。  他にも、モルの自殺がコブのいるビルではなくその向かいのビルから飛んでいる点、コブとサイトーがどうやって戻ってきたのかという点など、不審な点は多い。   そう考えると、ラストは希望的な「現実」という答えより、「夢」の方が正しそうな気がする。  
[映画館(字幕)] 10点(2010-09-15 01:27:10)(良:1票)
4.  悪魔は誰だ 《ネタバレ》 
■15年前の誘拐殺人事件が時効を迎える。そして時を同じくして、嘲笑うかのように同じ手口の誘拐事件が発生する。当時の担当刑事は今度こそ犯人を捕まえるべく奔走するが・・・ 巧妙なミスリード、そして韓国映画らしい展開と重苦しい中身、すっきりとはしないラストの良サスペンス。  ■小説ではよくあるタイプの「時系列をずらして、同時と見せかけて違う時間帯に起きたことを見せる」という手法が巧妙に使われている。二度目の誘拐犯は何となく予想がついたが、その動機は・・・そうか、そういうことか・・・ しかしこれだったら1回目と2回目の事件が似ている必要性はないんじゃないのかなぁとか思ってしまう。偽犯人が捕まるところも、そんなにうまくやれるのか、とか思ってしまうし。  ■ラストは、「真犯人」が罰せられてひとまず勧善懲悪、という感じに見えるが、彼も病気の娘を救うための苦渋の行動だし、そして娘に幸せな生活を与えつつ自分は山の中で15年隠遁生活を送ってきており、かなり苦しんできていると思う。子供の死も意図的ではないし、一概に悪とは言い切れない。むしろ「悪を裁く正義」に酔っている主人公にこそ、もっとも危ない「悪魔」を見ることができるかもしれない。このあたり、韓国のオリジナルタイトルが「MONTAGE」と犯人当ての要素を押し出しており、ゆえにラストも「勧善懲悪」として見られていそうなのに対し、邦題が「悪魔は誰だ」と勧善懲悪の解釈を拒むようなものになっているのは対照的に見える。
[DVD(字幕)] 9点(2015-09-01 00:40:46)
5.  プリズナーズ 《ネタバレ》 
娘が失踪、明らかに娘を知っていると思しき発言をする知的障害の男が捕まるが証拠不十分で釈放、父親は彼を犯人と決め付け娘の居場所を白状させるために彼を捕えて拷問する・・・というヒューマン・サイコサスペンス。サスペンスよりヒューマン面が強いかと思いきや意外とサスペンス性もあり、また同時に宗教色も強い作品。  ■息子を癌で失ったため、信仰を失い逆に神への反逆として次々と子供を殺すホリーとその旦那。娘を殺されても信仰を失わずに、神に許しを請いながら許されざる道へと進むケリー。第三者的、理性的に行動するロキ刑事。三者は「悪魔」「神」「異教徒」と区分でき、そして本映画で重要な点は、神を排する理性的な異教徒は一見冷静でいながら核心に迫れず、謎の解決に到達できるのは半ば不合理にも見える行動をとる神(ケリー)の側だということであろう。その意味では、冒頭の聖書の一節が述べているように、信仰に基づいていれば、罪を犯そうとも救われる、すなわち半ば拷問が肯定されているとさえいえる。  ■冷静に考えれば、アレックスが犯人ではなく、しかし明らかに娘と接触していることと、20年以上前のバリー誘拐の際に同じキャンピングカーが目撃されたことを組み合わせると、ホリーが犯人としか考えようがない。このままだとあまりにストレートなので、大量のミスリードを仕込んでいることは半ば仕方がない気もする。ただ、細かいところを「薬」でどうにでもよくしてしまうのはちょっと都合よすぎではあるが・・・  ■落ち着いてみると、明らかに警察が怠慢。少なくともケリーの別邸を捜査しないのはありえないレベル。病院からケリーがホリーの家に向かった際に、誰もケリーの車を追ってないのもあまりに不自然。その他いろいろとあらはあるが、しかし真に迫る作品ではあったと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2015-07-10 00:46:41)
6.  テロ,ライブ 《ネタバレ》 
テロリストが爆破予告をラジオ局生放送に電話してきて実際に爆破、というあたりはありそうな展開だが、視聴率や左遷されたキャスターの復帰を目論んでそのままテロリストとの対話を生放送、というのはなかなかひねっている。そして単純なサスペンスかと思いきや、後半の展開は予想の斜め上を行っている。ほとんど放送室だけというワンシチュエーションものだが全く間延びしないのはさすが。  ■長官が死ぬ辺りから平穏な終わり方は無理そうだという予感がする。視聴率のために人質を死なせるほうがよいという局長の命令はいかにもな感じだが、結果から見るとそれでよかったというあたりが非常に皮肉。そして最終的には多数の人命が失われたうえで、主人公自身がスイッチを入れてしまうのは、前半の人命をなるべく守ろうとする姿勢とは不整合な気もするが、その辺りも含めて「上層部の不誠実さと自己保身」に対する憤りがこの90分で犯人にも主人公にも充満したということなのだろうか。  ■しかし、上に使い捨てられるのも、抵抗において殺される(橋の上の人質や警察官)のも結局下っ端(長官だけは際どいが、主人公も犯人から見たら「上」のポストであることを考えると、上に上がってもさらに上から使い捨てられるリスクはいつでもあるということだろうか)で、局長や大統領といった上の身分の人間は安心して保身に走れるという構図がまざまざと見せつけられる。そういう徹頭徹尾の「下っ端の努力の無駄さ」をこの映画は暴き出している。  ■展開は強引なところもかなり多い。犯人が名前を挙げていながら彼が死んでいることを全然警察が突き止められなかったり、川に飛び込めば助かるくらいの高さの橋の上で助けを待ってたり。犯人の最後の方の行動も不可解だし、ビルが寄りかかるのとかはコメディかと思った。そういう粗さはあるものの、全体としては勢いをもって最後まで見せてくれる作品だとは思った。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-03 11:52:57)
7.  凶悪 《ネタバレ》 
これが実際にあったというのは恐ろしい。でかい態度でいて乱暴な言動を普段からする須藤ではなく、善人面で凶暴さを全く示さない「先生」の方がよほど凶悪だというのは嫌な感じを覚えさせられる。  ■原作は未読だが、こちらに年表形式で内容がまとまっている(http://subaru39.tripod.com/home/sagi/misizu.html)。これを見ると、殺人に関する部分はかなり事実そのままで描き出しているようである(五十嵐の死については須藤の手によるのではなく須藤逮捕後の自殺(?)らしく、ここだけ異なる)。  ■逆に原作になくて追加されているのは藤井の妻に関する部分。痴呆の母を邪魔だと思う息子夫婦の構図は、完全に三件目の保険金殺人とパラレルになっている。藤井は徹底して「自らの手を悪に汚さない」側に立ち、殺人を告発し、一方家庭では母親の問題を妻に押し付ける。しかしそうやって自分を汚れなき側に置いているつもりの心理が、じつは一番凶悪さに蝕まれていたりする。メッセージは非常に良いが、ただ付け加えられた家庭の描写がいかにもな感じの不自然さ全開だったので、そこはフィクションだからもう少し改善できたのに、と思った。
[DVD(邦画)] 9点(2014-04-11 01:03:29)(良:2票)
8.  ベルリンファイル 《ネタバレ》 
雰囲気とあらすじを見ると裏切りと陰謀、騙しあいの駆け引きがメインの作品かなと思うけれど、実際はかなりアクションに重い比重の置かれたサスペンス映画。  ■ベルリンを舞台に、南北朝鮮のスパイ同士が駆け引き、権謀術策を繰り広げる。ただ、スパイ戦というよりは開幕から派手な肉弾戦、銃撃戦が繰り広げられており、一つ一つキレがあって楽しめる。カーアクションもあるが「殺人の告白」と比べれば現実的なアクションに仕上がっている。ラストの草原の銃撃戦は、ありそうでなかった設定という印象。  ■なお、舞台は現在という設定(金正日は死んだあとになっている)のようだが、実際にこんなに駆け引きをやっているのだろうか。
[DVD(字幕)] 9点(2014-03-02 00:04:01)
9.  サイド・エフェクト 《ネタバレ》 
社会派的な雰囲気があるが、サスペンスのウェイトが高めな印象を受けた。ひねりの度合いは大したことないけれども、きちんと描き出していく正統派という感じ。  ■薬の副作用による殺人、がメインだけれども、前半は謎解きうんぬんよりも主人公周りの人間ドラマ・社会派が主という感じ。ジュード・ロウが誠実なんだけれどもなんか怪しげな感じもしていて、どういう風に転ぶのかなかなか読めない。巻き込まれて地位も家族も失っていく感じは悲劇的。  ■ただ、後半の謎解きは逆に一気に進み過ぎてしまったかもしれない。あんなにうまくいくかなぁ、というラストの決着だし、殺人の動機も「これだけ?」という気分も残る。  ■見せ方はヒッチコックばりで非常にうまいと思った。見ている時間は引き込まれていた。  
[映画館(字幕)] 9点(2013-10-03 00:01:56)(良:2票)
10.  オレンジと太陽 《ネタバレ》 
1970年代まで行われていた、イギリスからオーストラリアへの「児童棄民」の子供たちに、彼らの両親とつなぎ合わせようとする夫妻の苦闘を描いた作品。描写はかなりおさえ目ではあるが、だからこその重みを伴っているように思う。  ■責任追及にはほとんどウェイトを割かず、子供たちと両親を引き合わせることに注力していくのは、不満を持つ人もいるだろうが、個人的にはこちらの方がよいと思う。ビンドゥーンは異常だが、しかし子供たちにとっては、誰が悪かを追及することよりも、親に会うことの方がはるかに意味のあることなのだろうし。  ■ちなみに、そのため児童棄民の背景や目的もほとんど描かれていない。少し調べたところ、白豪主義の推進のため、オーストラリアに白人をとにかく送り込む必要があったというのは一つの要因らしい。しかしそうだとするとオーストラリア社会に白人を増やさねばならないので、ビンドゥーンのような僻地に閉じ込めて強制労働・性的虐待を行うのでは目的は果たされず、ビンドゥーンは児童棄民全体でみるとイレギュラーな事例なのかもしれない(子供たちがいい環境におかれたわけがないのは確かだが)。この辺はイマイチよく分からない。  ■本作では、最初の女性を除いて「母親ー息子」の再会の構図になっている。映像や写真を見る限り少女もいたと思うし、性的虐待が少年だけとも思えないが、それは描くと陰惨になり過ぎるからということだろうか。あと父親との再会が一切描かれていないのもよく分からない。  ■背景捜査にエネルギーを割かない分、描かれるのは棄民された子供たちの心境変化である。特にレンにフォーカスする形で描かれている。最初は非常に非協力的で挑発的だが、それは「泣き方を八才で忘れた」という苦境のためであり、次第にハンフリースに心を開いていく。最後ビンドゥーンに乗りこむのもそういう決算という意図だろう。しかし「過去に空いた穴」はいつまでも埋めれるものでもなく、それにこだわり過ぎるべきでもない。ラストは、恐怖を乗り越えつつ過去を振り切り、前向きに生きていくということを表しているのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2013-09-21 23:48:18)
11.  スウィッチ 《ネタバレ》 
これは掘り出しものでした。展開としては、自分の知らぬ殺人の罪を着せられる、という巻き込まれがた不条理サスペンスだが、自分の身元さえ証明できない、しかも外国、という部分がさらに主人公の不条理に拍車をかけている。  ■家をバカンスの間交換するサイト、という展開は結構強引だし、いきなりの警察突入(誰が通報したの?しかもあんな武装して)とか手法が回りくどい(最初から主人公殺せばいいじゃん)とかいろいろ気になるところはあるが、それを忘れさせてくれるぐらいの急展開を見せてくれる。また、追跡劇のときのカメラの使い方は個人的にはわりと上手いと思った。  ■主人公が狙われたのが「たまたま」ではなく、犯人は犯人で物悲しい動機がある、というラストの展開は、もう少しきちんと示してほしいところもあるが、予期していなかった展開だった。しかし主人公の無実が示されても、その後はあまり救われたとは言い難い気はする。いきなり霧の中のパリでエンドロール突入はそういうことであろう。
[DVD(字幕)] 9点(2013-08-29 00:03:07)
12.  クラウド アトラス 《ネタバレ》 
壮大な物語。3時間で6つの話が並行していて、最初は混乱するが、最後に向かってまとまっていくのは圧巻。  ■さまざまな物語があるが、通底するメッセージは分かりやすい。自由と抑圧、そして自由のために戦うこと、正しきことを行うこと。端々もまたつながってきて面白い。  ■映画通だと細かいシーンがいろいろとオマージュになっていたりして楽しめる。「ソイレント・グリーン」は老人ホームで突然出てきたが、いうまでもなくネオソウルの伏線。老人ホーム脱出直前の「ローレンス・オリヴィエとマイケル・ケイン」発言は恐らく「スルース」の「実は死んでないよ」の暗示。ネオソウルの戦闘シーンは「リベリオン」のガンカタを彷彿させられたし、ペ・ドゥナはもろに「空気人形」。70年代の移民の仕事場で犬が殺されるのは「吠える犬は噛まない」を意識してか。音楽家が「お前は撃てない」っていってたら撃たれて、でも死んでないというのは「ブラッド・シンプル」のオマージュかな、等々  ■俳優も1人6役やっていて、エンドクレジットで明らかになるけど、さすがにこれは分からん。解読サイトもあるので気になる人は調べてみるのが吉
[DVD(字幕)] 9点(2013-08-17 01:07:50)
13.  高地戦 《ネタバレ》 
朝鮮戦争の激戦地を描いた映画。北朝鮮と韓国で争奪を繰り返していた山が舞台で、戦争の不毛さや非人間性が強く伝わってくる。  ■宣伝の「停戦協定後の地獄の12時間」は実はラスト30分ぐらいだけで、停戦協定までの壮絶な戦闘がメインを占めている。しかし、互いに奪い合いをするだけの不毛な状況、理解されない上からの非道な命令、この状況下では、むしろ敵の方がよき理解者になってしまう。埋めた箱によるやり取りはそういうことであろう。  ■死体で埋まった山、その中を片手を吹き飛ばされてもなお敵を殺し続けていく大尉はまさに「地獄に生きている」ことを象徴している。これは味方を大量に殺して生き残った咎でもあろう。味方を置き去りにして船を出し、かろうじてしがみつく味方を銃で撃ち殺していく回想シーンが実は一番壮絶に見えた。  ■反戦映画の中でも「娯楽性」と「惨劇さ・非道さ」をうまくバランスしている良作だと思う
[DVD(字幕)] 9点(2013-08-13 00:27:40)
14.  恐怖ノ黒電話 《ネタバレ》 
ホラーという観点で見た場合、本作はかなり怖い。ホラー版「オーロラの彼方へ」といった感じか。  ■過去の側の犯罪者が圧倒的に有利(未来はただ時の流れに従うしかない)というのが通常のイメージと逆のところで、それが生殺与奪権を完全に相手に握られているという不条理性を作りだしている。親しい人を何人も殺され、自分も大火傷を負わされ、そして負の連鎖からは逃れられない。  ■しかし、冷静に考えてみるといろいろおかしい。「時間の流れを変えている主人公だけは外側にいる」かのような説明が途中でなされていながら、主人公もが時の流れの変更の影響を受けるようになる。そして、そんな大火傷を負ったり人を一人殺したりするような大変化を受けながら、主人公の境遇が前後でほとんど変化していない(前の夫すら同じ)というのは到底ありえないと思う(他の人の境遇変化を見よ)。とはいえ、そういったことは見ている間はほとんど気にならず、ただただ怖かったのであまり減点はしない 
[DVD(字幕)] 9点(2013-05-21 01:06:30)(良:1票)
15.  シージャック(2012) 《ネタバレ》 
海賊によるシージャックを扱った映画だが、一昔前に流行った「ハイジャックもの」とは全く違う。徹底してリアリティを追求した映画で、ドンパチは全く存在しない。  ■社長自らが交渉に臨むが、交渉は一向に進まない。金銭面で一向に妥協しないようにしているのはなめられないための戦略なのだろうが、4カ月にも及ぶ長期戦になると、さすがにやり過ぎの感は否めない。実際の交渉だったら早めに妥協をしていくと思うが。  ■しかし、犯人、人質、交渉人と、それぞれ一枚岩ではなく描かれているのは非常によい。それぞれの齟齬がウィークポイントにもなり、そこが混乱や危機の元凶にもなっている。  ■そしてあのラストの展開、なんとなく予想できたがしかし・・・
[DVD(字幕)] 9点(2013-05-06 23:55:35)
16.  アシュラ(2012) 《ネタバレ》 
内容としてはかなりタブー的なものに挑んでいる作品。人間が、まさに「人間」になるがゆえに苦しみ、そしてその罪と犠牲の中で葛藤する。アシュラはその只中を経験し、人間になりかけているところですれ違いを繰り返す。  ■若狭はアシュラの人肉を拒み「食べるぐらいなら死んだ方がいい」と言う。しかし、彼の恋人もまた若狭のために盗みという罪を犯そうとする。もし盗みがうまくいったとしたらどうなったのであろうか。恋人の持ってきた食べ物を若狭が食べるのだとしたら、それは結局「罪と汚れを他の者に被せることによって、自らの汚れなき状態を安心している」だけになってしまうのではないか。アシュラはその取りつくろいが極めて下手であり、恋人は恐らく上手くやれる。しかしそれは本質的には違いはない。「私は罪なく生きる」ではなく「いかに汚れなき生き方だと思っていても、私も罪の中にいる」と自覚し葛藤することが必要なのであろう。それが最後の法師の一言に表されている
[DVD(邦画)] 9点(2013-04-18 01:00:15)(良:1票)
17.  フランス特殊部隊 GIGN ~エールフランス8969便ハイジャック事件~ 《ネタバレ》 
タイトルが何かあれだが、エールフランス8969便ハイジャック事件を再現的に描き出した作品。アクション映画という感じはほとんどなく、サスペンス的なやり取りが中心。  ■モノクロ風で淡々としているが、決してヒーローがいるというわけでもなく、静かに交渉が進み、突入はあっという間に終わる。現実はこのようなものかという感じ。コンパクトに上手くまとまっていたと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2013-01-13 23:50:57)
18.  ビー・デビル 《ネタバレ》 
これは壮絶な作品。アングルは全く違うが「オールドボーイ」にもひけを取らない壮絶さがある。  ■舞台は島民が10人にも満たないような孤島。主人公ボンナムは生まれてこの方一度も島を出たことがない。島は徹底された家父長制、男尊女卑で、毎日こき使われ、殴られ、そして夜は島の男どもの慰めの道具にされるという、想像を絶する虐げられ方を生まれてからずっと受け続けている。  ■そんなときに、ソウルでの生活に嫌気がさして、一週間ほど島に幼馴染ヘギョンが避難してくる。喜ぶボンナムだが、ヘギョンはなるべく島の問題には触れないようにして助けてくれない。島からの脱出をヘギョンに懇願するも断られ、早朝に娘とともに脱出しようとするも見つかってしまい、娘は殺されてしまう。  ■最後の支えの娘が死んでしまい、ボンナムは「太陽を見ていたらわかった」と島民を皆殺しにしていく。  ■ラストは壮絶だが、しかしあれだけの怨念がたまるのは誰もが理解できるような構成で、むしろ今まで我慢していた方が信じがたいほどである。「発狂」というよりは、まさに「重しが外れた」という方が近い。  ■しかし一番つらかったのは、娘が殺されるのをヘギョンは見ていたにもかかわらず、それを取り調べて言ってくれなかったことであろう。こここそが「最後の綱が切れた」瞬間だ。  ■エンターテイメント性は全くない、見終わって疲れ果てるタイプの映画。でも一度は見ておきたい映画。一人で見ることをお勧めする。
[DVD(字幕)] 9点(2012-07-27 23:55:15)
19.  灼熱の魂 《ネタバレ》 
最初の方は筋道が見えず、バラバラの物語が投げ出されているように見える。だが、すべてのピースが組み上がると、その意味と悲劇が分かる。  ■最初は「なぜこんな謎ときみたいなのを死んだ後に子供たちにさせるのか?」と、これは映画を面白くするための設定なんじゃないか、と思って見ていたが、最後まで来て、なぜ母がそういう行動をとったか、がピシッとはまって、同時にその悲しさが見えてくる。  ■こんな悲劇に会い、しかもそれを誰にも言わずに半生を送ってきたというのは本当に想像を絶する。いささかやり過ぎな設定だが「報復に報復で応える無意味さ」を引っ張り出す設定ではある気がする。
[DVD(字幕)] 9点(2012-07-11 00:58:25)
20.  別離(2011) 《ネタバレ》 
決してどこかに「悪」がいるわけではない。一人一人のちょっとした巡り合わせや仕方がなさそうなことの積み重ねで事態が悪い方向へ向かう。このことは冒頭の離婚の話から暗示されていて、最後までずっとそれで進む。  ■一人一人それぞれ筋は相応に通っている。でもそれを全体として組み合わせようとするとうまくかみ合わない。そして、そういう翻弄の中で最も口実にされあおりを受けるのが子供や老人といった立場のものである。両親は「娘が・・・」と口々に言うが、本当のところは娘を口実に自分の思いを(悪意はないにせよ)すり合わせているところが多そうに思った。  ■ラスト。ずっと出てこないままエンドロールとなったが、そこで暗示されていることは、娘は「どちらにもついていかずに、自分は一人で生きる」ということなのではなかろうか。振り回されるのはもう嫌だ、自分で生きていけるだけの力はある、少なくとも映画ではそれだけの力があるように描かれていたが。
[映画館(字幕)] 9点(2012-05-24 22:09:49)
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