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tottokoさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2001
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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1.  千と千尋の神隠し
何度観ても、唯一無二のテーマ性と、舞台装置にあふれ出るイマジネーションの奔流には圧倒される。全く予想のつかない物語の中を主人公と進む楽しさ、好奇心が刺激される喜び。125分間、子供ともども目をまん丸にして身動きせず見入ったものだった。 ほとばしるような色彩、朱色の鮮やかな和とも中華とも感じる美術をはじめ、藍の深い海列車の夕暮れに出迎えのランプ、具現化された八百万の神々、釜爺のボイラー室の背の高い薬草箱から客室の襖絵に至るまで、ひとつひとつの場面があまりにも印象的で美しく、数多のアニメ映画の中でも別格に位置すると思う。 例えば夕暮れ時の鳥居になぜか心がざわめいたり、道の脇に地蔵様を一体発見しただけでその背景が想像できたりと、異界への感受性は日本人のDNAに刻み込まれているかのように感じることがある。だからカオナシが何者なのかとか、○○は△△の象徴であるとかの説明が無くても、彼らがそこにいることを私はすんなりと受け入れられる。 主人公の少女千尋は宮崎アニメの女の子としては珍しくリアルに近い造型で、怖気も開き直りも親切にされた喜びも、彼女にシンクロしたかのように共感できる。もうイイ年になった私だけど、そう何度観ても。
[DVD(邦画)] 10点(2014-11-27 00:34:30)(良:4票)
2.  ブロークバック・マウンテン 《ネタバレ》 
この映画って大変に革新的なのでは。かつて一世風靡した“ボーイズ・ラブ”モノはヨーロッパ系の美形男子が担うものと相場が決まっていたように思う。それが今作はカウボーイ二人、身体はがっしり、山の自然は雄大だけれど耽美性は無し、そのうえ両者の行為もそこそこはっきり映すんだ。実際抵抗のある人もたくさんいるようで。けどワタシは泣けてしまった。なんといっても、ヒースとジェイクの力演、これにつきる。ヒースの苦渋の表情と、ジェイクのすがるような瞳の演技。真に心を通わせる者を求める、心の渇き。男が男に魅かれてしまったら、もしも私がヒースの妻であったなら心の奥底でかなわない、と瞬時に悟るような気がする。最後になってしまった湖畔での逢瀬の場面、やり切れなさを吐露するジェイクと、苦しさに崩れ落ちるヒース。あまりにつらくて切なくて、この場面で“ブロークバック・マウンテン”は私にとって“ひまわり”と並ぶ悲恋物語となったのでした。
[DVD(字幕)] 10点(2013-07-20 00:56:03)
3.  スナッチ
さくさく展開する話のノリの良さ、群像劇のお手本のような怒涛の交錯っぷりが、間抜けでしれっとしていてもうしびれる。イギリスっぽいひねた笑いのセンスが絶妙。(笑)をつけたくなるエピソードのオンパレード、小汚いけどスタイリッシュ。デルトロがあんな扱いで・・犬のおなかがきゅーきゅーゆってて・・名前はデイジー、これだけでまた思い出し笑いできます私は。大好きだー。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2011-10-07 11:41:39)
4.  オーケストラ! 《ネタバレ》 
映画が紙の媒体と決定的に違うのは音を伝えられる、ということ。クライマックスの演奏会は圧倒的。音楽の凄みに何度観ても泣く。アンヌ・マリーが(額に怒マークをはりつけて)ソロパートを奏でるその音色が金色の一筋となってするすると天上に昇ってゆく。彼女の音に叱咤され鼓舞されて、ダメ団員たちの音楽家魂に火がついてついには太く力強い音の奔流になってほとばしる、この瞬間は肌が粟立つほど。N・キンスキーの再来と見紛うような、神々しいまでのM・ロランの立ち姿と合わせて永久保存したい位の美しい舞台だった。前半から中盤にかけての、すったもんだな喜劇っぷりも好き。ネタは定石なれど、団員フルばっくれは予想できなかったなー。旧共産党の栄光の残滓もなにやら切なく、圧政のもと起こった悲劇も織り交ぜて話に奥行きも持たせている。笑って、やきもきして、戦慄して、うっとりして、泣いた。感情のほぼ八割方を喚起させられたこの映画、私にとっては満点。
[DVD(字幕)] 10点(2011-09-28 00:25:50)(良:1票)
5.  3時10分、決断のとき 《ネタバレ》 
なんてこった号泣だ。なんといってもジョン・ウェイド演じるR・クロウの演技が白眉。彼は凶悪犯なのだけど、キレて手に負えない人物ではなく(この辺は手下のチャーリーが一手に引き受け)話はきちんと通じるしむしろ知識・経験が豊富で器の大きさすら感じる。おまけに笑顔がチャーミングでつまり人間としての魅力に溢れてる・・んだが、自らの中で整合性がとれるといきなり隣の人間を惨殺する道徳の無さ。そのウェイドがおそらく人生で初めて敬意に近い感情を抱くのがダン。ダンが息子のために人間としての矜持を示そうと決意した場面から涙腺決壊。究極の状況の中、ぽつぽつと心の一番痛い箇所を告白するんだけど、その話もいちいち泣かせるんだ。始めは14才らしく、不良なことに憧れてたお兄ちゃんが、世の中の黒いも白いも勉強させられて成長していく姿も良い。最後に銃口を下に向けたお兄ちゃん、あっぱれです。ああもうハンカチ乾いてるとこない。忠犬のごときチャーリーが哀れといえば哀れ。
[DVD(字幕)] 10点(2011-08-26 18:20:42)(良:1票)
6.  ブレードランナー/ファイナル・カット
オリジナルを観た時の心の震えは色褪せる事無く。今また新しい技術を施された鮮やかな未来世界に再び陶然となりました。 いつも暗くて猥雑な下界に降りしきる酸性雨。 巨大な広告船に映る日本髪の女、奇妙な文字。 内も外もメタリックに輝くタイレル社。 からくり人形が占める技術者の部屋。白いダリル・ハンナ。 髪形も肩パットも押しの強いショーン・ヤング。 もう少し色気の欲しいハリソン・フォード。 レプリカントの哀切、悲恋。音楽の残す余韻。 全てが濃く強く、あの紺色の世界の中に刻印されていて美しい。 何度観ても心惹かれる名作、監督の意匠が一番反映されているこの‶ファイナル・カット”が一番好き。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2021-03-08 23:52:19)
7.  アダムズ・アップル 《ネタバレ》 
いやいやいや・・北欧の至宝マッツ・ミケルソン主演の、空前絶後な一品であります。なんだコレ。 マッツ・ミケルソンは田舎教会の牧師。仮釈放された受刑者を引き受けて指導を行う立場の人格者・・である。たしか。 ところがねえ。ここの牧師もその助手らも皆そこはかとなくオカシイのですよね。短パン牧師のポジティブさは他を圧倒し、もはや狂気と紙一重。「前向き」なことが脅威に感じられる現象なんて初めて見た。 共同生活中の元受刑者の二人も体内磁場が狂っているのではと思われ、結果観てる側としては新入りのネオナチ暴力男に感性の正常さを委ねねばならないという非常事態がずーっと続くのであります。なんというシュール。 このまま呆気にとられて口が開きっぱなしで終盤へ向かうのかと思いきや、驚くなかれ思いもよらぬ感動の光に包まれるラストが訪れるのであります。 なんということ。やはり神は貴方の味方だったのですねミケルソン牧師。科学を信用しているという医者(この医者のクソぶりもたいがいなもんで)も逃げ出すほどの、信仰の勝利。宗教絡みの作品とは思えないほどの清々しさ。右の頬を打たれたら左の頬を差し出すべし。目の幅の涙が流れ落ちる感動を是非みんなと分かち合いたい。 教訓・猫は先に下ろすこと。クッキーは偶数枚用意のこと。♪How deep is your love(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-12-18 22:59:26)
8.  僕の大事なコレクション 《ネタバレ》 
いやー、もうね中盤まで延々と繰り広げられるヘンテコな人たちののどかで独特の空気が居心地よくて大好き。主要3人の顔つきがいい。ウクライナの今どき若者のアレックスとその頑固じーちゃん。ユダヤ系アメリカ人E・ウッドの神経質そうな佇まい。偽盲導犬のサミーも欠かせない相棒。 世界でも有数の穀倉地帯ウクライナの広々した畑も森の緑も美しく、交互に入るアメリカンなR&Bと東欧の民族音楽ぽいBGMも妙にマッチしています。流行の先端を気取って米国黒人ミュージシャンを好むのに、素朴にニグロなどと口にして世界標準とのズレが顕わになっちゃうアレックスとか、チップの意味が分からないウクライナの人たちとかはいかにもサービス業など無かった旧ソ連時代の名残を見るようで興味深い。 アメリカから来たユダヤ人青年のルーツ探しと、ガイド役のウクライナ人爺ちゃんの過去が交錯する終盤は、予想もしなかった展開を見せました。圧巻の一面のひまわり畑とその中に守られ保管されていた小さな村の人たちの魂。封印していた自らの過去を自分の手で清算した爺ちゃん。まともに語るには凄惨すぎる戦争の傷も、ゆるゆるとした柔らかな筆致でくるんで痛みを軽減してくれているかのようでした。 「過去が現在を照らす」今をしっかり生きるためにも今につながる過去を知ることの大切さ。チャラ男アレックスのこの言葉にすべて集約されています。余韻の長く残る作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-01-08 16:24:00)
9.  キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
すごい実話があったもんだ。詐欺の手口が斬新(と言っていいのか)で、こんなにうまくいくのかなあと呆気に取られつつも、へええ、という感心の方が大きく、感心は快感に変わり、つまりとても楽しかったのでした。 ディカプリオはティーンの役も違和感無くこなす驚異の芸達者ぶり。すっかりシリアスドラマの仕事が多くなったT・ハンクスはそういえば”BIG”の役者さんでした。コメディセンスは健在で、イライラとレオを追っかけるFBIのオジサンは情に厚くて嘘は言わない(終盤に一つだけ)ナイスなキャラクターで,トムにぴったりハマっておりました。 逃げる方と追う方の間に、いつの間にやら友情ぽい繋がりが生じる様も繊細に描かれるあたりは脚本、心憎いばかり。ドラマの筋に第一のヤマ、第二のヤマと盛り上がりも用意してアクセントを多数つけた展開は見飽きないですし、画もキレイ。 矯正ブリッジをつけたA・アダムスのおばかさんな笑顔や、なつかしのM・シーンを見つけたりとか、印象的な画もちょくちょく挟まります。観て楽しい、この一言。コメディの見本のような良作と思います。
[DVD(字幕)] 9点(2017-07-25 00:41:31)
10.  パイレーツ・ロック 《ネタバレ》 
ユルくてお馬鹿で、でも人生にはロック、という信念が一本強固に通ってて大好きな映画です。出てる英国俳優がいかにもイギリス映画っぽい多彩な「顔」博覧会で唸る。ホフマンは米国人だけど。見てるだけで面白い。 舞台が船内に限られているにも関わらず、話の一つ一つがとても楽しい。ほぼセックス事ばかりなのはご愛嬌。狂言回しも兼ねるトム・スターリッジ君、あからさまな童貞顔で役にぴったりだ。極めて不道徳な檻に放り込まれた彼、かなり気の毒な目にあったりしながらも成長(?)してゆくのだった。多分。 戻ってきた往年のキングVSホフマン演じる伯爵の対立が一触即発の事態になったりするのかな、と思いきやこれが思いもかけぬ流れでもってお互い手打ちで締める展開へ。一本気ながら妥協点を知る、みたいな適度なしょーも無さ。このエピソードが一番好き。 敵役の政府側は完全にコメディ。強敵なようなそうでもないような。感じはモーレツに悪いが。 遭難ラストの緊迫感はかなりのものです。電波に乗って流れてくるラジオからのSOS、なすすべなく呆然となるリスナー。海の底へ沈むレコード。泣きたいのをこらえて見守りまして、ついに伯爵が浮いてきたときの喜びったら。ああよかったなあ。だってロックは悲愴なものじゃない。生きるための音楽だからね。制作は正しい判断をしました。 全編通して耳に心地よい音楽はもちろんパーフェクト。でも時代はちょっと違うのね。レビュワーの皆さん、勉強になりました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-11-19 17:28:40)
11.  フラガール 《ネタバレ》 
ベタであっても良いものは良い、と思わされた。泣いた泣いた。女の子達が頑張って、苦労を乗り越えてプロダンサーになる、外枠だけ聞けば凡庸なスポ根みたいだけれど、丹念に描かれた背景の生活の厳しさ、貧しさが彼女らの立場を切実なものにする。日本は、貧しかった。家屋の狭さ、古さ。学校に行ける子、行けない子。紀美子は制服なのに、親友の早苗は家庭の事情で通学できる余裕が無い。昭和40年代の炭鉱街の女の子にとって、華やかさがどれほどの憧れであったか想像に難くない。夢を諦めざるを得なかった早苗が街を去るシーンは、嗚咽しすぎて気分が悪くなってしまった。 どの役者もしっかり見せてくれるけど、富司、松雪、蒼井の女三代が凄く良い。華やかな夢など見ることも望めず、仕事に誇りを持つしかなかった富司の世代、夢の世界に裏切られて、現実を知る松雪、そしてひたむきに新しい世界を目指す若い世代の蒼井。三者が絡み合い、互いの理解を得ながら大団円へと進む。いやあ、ベタだけど号泣した。いい話だ。
[DVD(邦画)] 9点(2013-11-22 00:35:49)(良:1票)
12.  扉をたたく人 《ネタバレ》 
地味で控えめだけど、いつまでも心が共鳴するような良作。人生に厭いた大学教授の出会う、予期せぬ扉。人と出会い、繋がることの幸福感と、そんな一市民のささやかなつながりすら絶つ9・11後のアメリカの現実。ドラマチックに盛り上げるような演出を控えたドキュメントタッチでまとめているけれども、唯一教授が感情を昂ぶらせるのは願いが叶わなくなったと知る移民局での場面。小役人相手に、どうにもならないことだけど、彼の叫び、憤怒は観る者すべての思いを代弁するように感じた。個人的に好きな場面は教授がストリートショップで店番をせざるを得なくなっちゃうトコ。「手作りです」って。こういう、ふっと笑みがもれるようなシーンを挿入してくる映画がほんと好き。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-09-19 23:54:46)(良:1票)
13.  リトル・ダンサー 《ネタバレ》 
舞台となっている炭鉱街が坂の多い街で、これが情緒あって良いんです。坂の上から見渡す先には水平線、道の両側には赤いレンガ壁の家並みが段々と並び、そこをビリーの父が「受かった!」と初めて見せる満面の笑みで駆けてくる。泣く。ビリーへ残したお母さんの手紙、クリスマスのほのかな彩り、頑固一徹かと思われた親父の豹変にも近い愛情の発露、二人して心細そうなロンドンへの旅。ああ~泣く。ビリーの思春期を迎えた拗ねた表情や、辛さに耐えかねてバレエ教師に悪態をついては泣く、ひとつひとつのエピソードも良いのだけど、なんたって親友に恋心を寄せられるとは驚いちゃうよねビリーも。引くかと思いきやチュチュまでプレゼントだ。なんて麗しい友情だ。通知が届いた時は身内の如くどきどきして見守りました。ビリーの帰りを待って、誰からともなくすっと食卓に集まる家族の描写が素敵。
[DVD(字幕)] 9点(2012-10-12 00:25:06)
14.  ホテル・ルワンダ 《ネタバレ》 
ルワンダで何が起こったのか、ドキュメンタリーで知ってはいたけれどもやはり異様な迫力だった。何度でも衝撃を受ける。繰り広げられる理不尽な暴力に、「やめろぉー!」と画面に叫びたくなる。人間に対して絶望しそうになるけれども、一方で一個人の良心のみを信条に大量の難民を匿ったホテル支配人や、蛮勇を奮って戦い続けた国連大佐、身を危険にさらして孤児を助けた赤十字の職員のような人間もいたわけで、手を合わせたくなる気持ちにもなる。舞台は違うけれども以前TVでコソボでの民族浄化の実態を国際的に知らしめようとしていたかの国の代表が、アメリカ人記者に「なぜ我々の税金を使ってあなたたちを助けなければならないのか」と問われていたのを思い出した。彼の返答は「なぜならそれが人間として正しいことだからだ」だったと思う。D・チードルも言っていた。「外の友人に知らせよう。彼らが恥じて手を差し伸べてくれるよう。」“正しいこと”をせずに見て見ぬふりをするのは恥ずかしいことなのだ。渾身のメッセージというのはどすん、と重みをもって伝わるもので、剛速球で飛び込んできたこの映画を私もぎりぎり踏ん張ってなんとか正面から受け止めた。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-03-09 18:35:50)
15.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
参った。イーストウッドにやられた。口の悪い、とっつきづらいクソじじいか・・いるよなあこんなじいさん。丁寧だなあと思うのはウォルトの人生の背景ともいうべき日常がきちんと描かれていること。理容室やバーでの友人とのやりとり。ゴミ出しの日常。アメリカにしてはやや小規模な家構えや「初めてオーダーメイドで服を作ったよ」との台詞から、フォードを退職したあとの元軍人の年金ってどのくらいなのかなあとか、自然と彼の生活に関心が湧く。偏屈を振り回して身内に嫌われて、でもお隣のオバサンたちには結構モテてんじゃん。妙なアジアの風習をどっさり持ち込まれて困惑するウォルトじいさん。笑ってしまう。愛すべきクソじじい。なんてかっこ良い死に様なんだ。ちきしょお。涙が止まんないや。あんた凄いよ。前出の背広を何のためにあつらえたのか、鈍い私は観終わって数十分経ってから気付いた。滝のように涙が出た。くそおっ もっと長生きしてほしかったよ、じじいっ。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-12-05 23:49:07)(良:2票)
16.  イングロリアス・バスターズ 《ネタバレ》 
タランティーノが好き放題やってくれた小気味よさ。農家や酒場での半端ない緊張感や、まさかほんとにナチ全滅の映画館炎上など、映画を観る快さにどっぷり浸りました。女優陣が全員美しくて目にも楽しい。ランダ大佐ったらそれまでキレキレに冴えていたのに、全てを手に入れたと思った途端、足すくわれちゃって。これまたイカレてるブラピが見逃してくれるわけないじゃんか。馬鹿だなあ。    2017/6 追記 観終わった直後より、じわじわ効いてくるのがタランティーノなのか。何年経っても、ふとこの映画の細部まで思い出し、ああまた観たいなあ、あのショシャナとランダ大佐の再会する震撼場面とか痺れっぱなしの地下居酒屋とか、赤赤赤で彩られた炎上映画館とか、イングロリアス飢餓に見舞われたりするってやっぱすごい映画だよな。というわけで点数変更なのでした。
[DVD(吹替)] 9点(2011-08-23 17:45:17)
17.  トラフィック(2000) 《ネタバレ》 
頭は疲れたけれど、‘映画見たー!’という充足感でいっぱいになる。麻薬を巡る三組のドラマそれぞれがずっしりと見応えあり。特に画面が黄色く切り換わると‘デル・トロの組’だ!とわくわくする。根深い社会問題だけに重たいのだけど、時折笑える演出が粋なのもこの映画の魅力。ハビエールが米側から「どこならいいんだ」と問われて選んだ場所には大笑い。屈強な男3人がファミリー向けレジャープールかいな。(しかもちゃんと遊ぶんだ。まじめな顔して。)麻薬取締局の捜査官2人の勤務中トークもじわっと面白い。ヘレーナがレモネード持ってやってくるときのおたおたぶりは みもの。各組が自分たちの問題にとりあえず答えを出して話は一旦終わる。ハビエールの出した答が力強く、希望にあふれて素晴らしい。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-07-25 01:17:41)(良:1票)
18.  ディナーラッシュ 《ネタバレ》 
舞台であるイタリアンレストランと、そこにいる人たちがとても魅力的な群像劇。 お店は監督の有する本物だそうで、だからこそのリアリティなのですね。フレンチのように気取らず賑やかで、でも心が落ち着く種類のざわめきで満たされている。粋なバーテンが場を回すミニ・バーの心躍る空気。地下厨房からキビキビと上がってくる一皿一皿がしっかり美味しそうなイタリアン。舞台装置が素敵に整っているうえ、そこに配置された個性的な人間たちの日々のドラマも興味を引きます。 ギャングとの駆け引きが文字通り命がけのオーナー。女にだらしないけれど腕の立つ料理人の跡取りシェフ。ギャンブル依存で首が回らなくなってるサブシェフと、男女のあれこれ。 皆しょってる人生が濃いなあ。アーティストを目指すウェイトレスや、厨房内でちょっぴり格上げになった若手料理人とか脇役の者たちも存在感があって単なるモブではないです。一人ひとりに目配りの効いている脚本だからこそと思う。出時間の少ない料理評論家のおばさん二人のインパクトの強さをごらんあれ。もう忘れ難い。 なんてことない一日を切り取った形であっても観られる作品になったでしょうけど、どっこい終幕に向けて驚きの伏線回収も見せてくれます。ちょっとしたカタルシスも得られて、とても面白かったです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-12-29 14:21:21)
19.  インビクタス/負けざる者たち 《ネタバレ》 
マンデラ大統領の激動の人生を、95年ラグビー南アW杯にスポットを当てて観易く仕上げた脚本力が見事だと思いました。スポーツイベントの持つフェアな爽やかさが、人種差別というえぐみを中和させる効果もあって心地よい仕上がりになりました。 キャスティングも超安定。フリーマン大統領とM・デイモンキャプテン。ハリウッドでもトップクラスの「信頼感を醸す」二人ですから、これはもう心の底から任せた、という気持ちになりますよね。 試合のシーンも良かった。もっと観ていたいと思わせるような臨場感がありました。 ラジオ実況を聞く白人のおっちゃんたちと黒人の子どもの連続一コマ劇場、いいなあこれ。見る度に縮まる距離と、いつの間にか買ってもらってるジュース。笑って泣きました。 ああ、ひとつだけ。低空飛行を演出したパイロットもとい航空会社は事前に警備および主催に連絡しとくべきだったとは強く思うな。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-09-10 19:06:59)
20.  告発のとき 《ネタバレ》 
こんなに原題とかけ離れた邦題もないのではないか。これではジョディ・フォスター主演のやつかな、と勘違いしてスルーする人もいるだろうし、第一制作の思いが全然伝わらない。 トミー・リー扮する父親は古いタイプの軍人。かつての自らの軍人としての経験・信条が未だに生きていると信じていたのでしょう、息子二人も軍人になった。父は息子に語るのでした「共に戦線で命を張った仲間を裏切るはずはない」「お前はちょっと神経質になっているだけだ」。 でも現在の戦争は彼の時代と大きく様変わりした。父たるトミー・リーは大きく見誤っていたのです。 かつてエラの谷で英雄になったダビデの物語。(これが原題ですね)幼い子にトミー父が語ったような「勇気をもって戦えば勝利することができるんだ」的理想論はもう通用しない。 戦争はより複雑化して残酷になって人間の心を粉砕してしまうということを、ラストに息子の同僚に聞かされているトミー・リー。彼のひしゃげた顔はむごくて見ていられなかった。 トミー父の傍に地元刑事であるシャーリーズ・セロンを置いてサポート役にしていることが、観ている側の理解を助けます。彼女もまた、職務において自身の判断の誤りで悲劇を回避することができなかったという重荷を負っています。そして幼い息子の「なぜ王様はこどものダビデを行かせたの?」という問いに答えられない。 なぜ国家は若者を殺すのか。敵はゴリアテではなくなっているのに。国旗を逆さに掲げたトミー父の絶望を思うとやり切れない。 誰も勝者のないイラク戦争の一端を、静かに深く掘り下げた作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-07-23 22:29:44)
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