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no oneさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 487
性別 男性
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/23806/
年齢 41歳
自己紹介 多少の恥は承知の上で素直に書きます。

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201.  エターナル・サンシャイン 《ネタバレ》 
詩的な映像と音楽がツボにはまり、最期まで夢中になって観ることができた。崩壊していく記憶のなかでの追いかけっこのシーンは美しく、ファンタジックで、それでいて身を引きちぎられるように切ない。幼年時代の記憶に紛れ込んで、ジョエルは「子供の頃に君と出会いたかった」という。愚かしい夢だけど、誰しも似たようなことを考えたことがあるんじゃないだろうか。クレメンタインが昔は自分をブスだと思っていたと話して泣き、ジョエルが抱きしめるシーンも好きだ。氷上に寝っころがった夜、転げて笑いあった雪の日、シーツごしの日差しのなかで抱き合った時間。美しい記憶の結晶が生み出した万華鏡。壊してしまって初めて価値に気づくなんて、ちょっと間抜けが過ぎる。二人で過ごした日々はお互いの心に深く深くくい込んでいて、記憶が消えたときには自分自身の一部をも失っている。失くした破片を捜して最後に再会したことは奇跡のようでいて、ある意味では必然だった。あまりにもきれい過ぎる恋愛物語は鼻につくのが通例だが、ここまで素敵な作品を差し出されては文句は言えない。斬新な脚本と洗練された映像で、『人を愛することの素晴らしさ』という普遍的過ぎてほとんど陳腐になりつつあるテーマを見事に現代的に描いてみせた。素晴らしい手腕に、素直に拍手。
[DVD(字幕)] 8点(2006-04-01 23:30:57)(良:2票)
202.  バリー・リンドン
ロココ絵画の名作を思わせる、夢のように美しくて荘厳な映像。絵画を観るのが好きな人なら、これだけでも観る価値があると思う。脚本も恐ろしく完成されており、映像がそうであるように全体の構成が完璧なシンメトリーを描いている(前半は決闘に勝利したバリーが故郷を追われた後に富と名誉を得るまで、後半は財産を浪費したあげく名誉を失ったバリーが決闘に敗れ、故郷へ舞い戻るまで)。登場人物への感情移入を拒否するような作りも面白い。バリー・リンドンは間違っても善人とはいえないが、かといってとんでもない悪党と言い切ることもできない、ある意味ではすごく人間くさいキャラクターだ。エピローグの言葉を人間に対する否定ととる向きが多いようだけど、逆に救いを読み取ることもできないわけではない。ブロンテの『嵐ヶ丘』の結末にも似たような言葉があって、そちらは激しい生を全うした人物たちがようやく安らぎを得た、という慈愛の意味で使われている。栄光を求めて這い上がり、最後には己の欲望に足をとられて転落したバリー・リンドン。ひとりの人間の生涯を、綺麗な部分も醜い部分もひっくるめてまるまる映画にする。ただ「彼が生きた」ということをありのままに提示する。人間を描く方法として、もっとも実直で嘘のないやり方だ。いつものキューブリック作品には人間に対する皮肉や批判が見られるが、今回は趣きが違う。人間の愚かさを受容する、キューブリック流の人生賛歌を唄っているのではないかとも思えた。
[DVD(字幕)] 9点(2006-03-31 19:38:20)(良:2票)
203.  蜘蛛女(1993)
生ぬるい。レナ・オリン演ずるモナ・デマルコフについては、確かに強烈ではあるけど、もっとずる賢くもっと邪悪にできただろうにと思ってしまった。主人公が破滅する過程だってもう少し壮絶なものを期待していた。強引な脚本は練り込みが足りていないし、映像的な見所もほとんどない。全体的に物足りなく、不完全燃焼に終わってしまった。どうせなら中途半端にではなく徹底的にむちゃくちゃやってほしかった。――って、他のコメント見るとそう感じたのはどうやら自分だけらしい。馳星周だの新堂冬樹だのの読みすぎで感覚が麻痺しているんだろうか。すいません、きっとまともな感覚の持ち主なら楽しめるのだと思います…
[ビデオ(字幕)] 6点(2006-03-27 00:12:10)
204.  ハンナとその姉妹
ずいぶんとモノローグが多い脚本で、普通は映像で物語を展開させるであろうところをモノローグで語ってしまうのが面白い。台詞に独特のユーモアがあるのはもちろん、やたらと噛んだり被ったりが多く、かなり癖のある脚本であることが伺われた。残念なのは字幕では英語のウィットに富んだ台詞を表現し切れていないことで、その落差は全然英語が不得意な自分ですらはっきりとわかるくらいだった。これほど台詞が重要な作品もないのだから、翻訳家にはもっと気合を入れて仕事をして欲しかった。たぶん英語力があれば断然面白さが違うんじゃないだろうか。しかしなんといっても印象に残ったのは、ちょい役のロックスターが着ていた「女」Tシャツ。どうでもいいことなのにものすごいインパクト。しっかりと記憶に焼きついてしまった。
[ビデオ(字幕)] 6点(2006-03-23 15:46:58)
205.  2000人の狂人 《ネタバレ》 
普通こんな映画を観るときはB級ぶりを楽しむものだし、実際そういう見方もできる。でもこれ、意外と面白い。  まず音楽の使い方。冒頭はバンジョーの陽気な音楽に乗せて、牧歌的な雰囲気の片田舎の描写で始まる。これ、適当な音楽を入れたからちぐはぐになってしまったわけではなく、明らかに意図的です(監督本人が音楽担当。おまけに作中の村の名前が付けられたバンドの演奏)。ここで引き合いに出すと笑われるかもしれないけど、『フルメタル・ジャケット』のミッキーマウスマーチみたいにあえて明るい音楽を合わせることで恐怖を増しているのだと思う。村に迷い込んだ被害者たちの台詞にあるように、村人といい音楽といい、異様に明るすぎて却って不気味な空気が漂っている。  しかも一人一人の殺し方が凝っていて、祭りのイベントに見立てて殺しては村人が喜んではやし立てる。明るく楽しく行われる、おぞましく残虐な殺人。すっごく気持ち悪い…。取り囲んでいる一見普通の人々が全員狂人だっていうのがまた逃げ場がない感じがして、息が詰まるようだ。  そしてラスト、なんとか主人公カップルは村から逃げ出すのに成功するが、警察に通報すると、実は二人がいた村は100年前に戦争で全滅していたことがわかる。最後にまた冒頭の明るい音楽が流れる。  平凡なホラーなら怖がらせようとするあまり陰惨な音楽をかけて、ラストでは殺人鬼が復活して「恐怖は続く」的な占めにするだろう。しかしこの映画は奇妙な明るさと、起承転結のはっきりしたストーリーで、残酷なおとぎ話にも似た独自の世界を築いている。ちょっと『注文の多い料理店』を思い出した。 欠点もたくさんあるけど、単なるクズ映画扱いはちょっと可哀そう。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-03-23 15:46:20)(良:1票)
206.  サンゲリア
あってないようなストーリー…よくこれで91分も続いたなと感心した。キモい、エグい、エロい、それだけ。あのゾンビ対ジョーズの企画は誰が考えたのか。バカなのか。バカだよな。いやに温和そうなサメで、あんまりゾンビに興味がなさそうだった(そういえば、サメのなかでも人間を襲う種類は希少らしい)。さっさと逃げようとするサメの口に無理やり腕を突っ込むゾンビ。アホな人間の思いつきに巻き込まれたサメ君が哀れでならなかった。
[DVD(字幕)] 5点(2006-03-23 15:44:03)(笑:1票)
207.  悪魔のいけにえ
怖くはなかったが、面白かった。   これほど幼児的・動物的で理解し難い殺人者も珍しい。実話を基にしているというものの、モデルになった事件とはかなりかけ離れている。このようなパーソナリティの殺人者など実在しないはずだ。それでもリアリティが失われていないのは、この殺人者が属する家族の関係性に妙な説得力があるからだろう。   一番凶暴で強靭だが知性がなく、父親と弟のいうことは大人しく聞く長男(レザーフェイス)、弱々しいが父親に反抗できる弟、いちばんまともだが家族の長である父親、ほとんど死にかけている(認知症?)のに家族には慕われている祖父。一般的な家族愛とは違うが、不思議と強い絆に結ばれているように見える。   レザーフェイスは確かに恐ろしいが、おそらくこの家族のフォローがなければまともに生きていけず、一生を精神病院で送るのが関の山だろうと思われる。つまりレザーフェイスは家族全体が揃って初めて本当に恐ろしい怪物になりえるのだ。この奇怪な一家の存在感は半端ではなく、たぶん(犯罪を犯しているかどうかは別として)モデルとなった家族は実在するのではないだろうか。弱々しい老人に無理やりハンマーを持たせてヒロインを屠らせようとする"家族団欒"の場面が強烈な印象を残す。   いたずらに派手ではない殺し方といい、夕陽の中での奇妙なダンスといい、並みの映画とは狂気の迫真性が違う。監督自身が内側に狂気を秘めた人でなければ、これは創れないと思う。   ちなみに主演女優の方、初見時はただただうるさいと思っていたが、よく観ると恐慌状態にもきちんと段階をつけて演技している。ラストの逃げ切った後のヒステリックな笑いの演技なんかはとくに感心した。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-03-23 01:24:02)
208.  DEAD OR ALIVE 犯罪者
人知を超えている。
[ビデオ(字幕)] 5点(2006-03-23 01:10:15)
209.  シベールの日曜日 《ネタバレ》 
これよりももっと感情移入のしやすい、わかりやすい感動作はたくさんある。もっと夢中になれる面白い作品はいくらでもある。しかし不思議なことに、これ以上に鮮烈に記憶に焼きついた映画はひとつもなかった。   精神が壊れてしまった男と、感受性の豊かな少女の束の間の絆。あどけない彼らの姿はなんだか足取りも覚束ない小さな生き物を見ているようで、可愛らしさになごむ反面、いつ怪我をするかとひやひやしてしまう。あやういまでの繊細さが、最後には破滅が待っていることを予感させる。   また映像の清らかさも本作を忘れ難いものにしている。湖に広がる波紋、空に入ったひび割れのように広がる木の枝、ガラスや水晶に砕かれた風景。自然物の上手な使い方にはタルコフスキーの『僕の村は戦場だった』を思い出した。   しかしなんといっても衝撃的なのは、悲劇を悲劇のままに投げ出す結末だろう。おそらくこの映画に強く共振してしまう人は、ある種の痛みを知っている人だと思う。大切なものが砕けてしまう痛み、きれいなものが汚されてしまう痛み、誰かを守れなかったという痛み――決して取り返しのつかない、圧倒的な喪失の感覚。苦い絶望のなかに、ただ優しい記憶だけが残る。   他にも同じような方がいらっしゃるので告白してしまうと、生涯で一番好きな映画を問われれば自分もこの作品を挙げる。もっと面白い、バランスの取れた映画は他にもあるとわかっているのだが、なぜかこの映画を選んでしまう。きっとこの映画が描くような痛みは、心のもっとも深い場所に眠っているもので、そこを突かれると自分が根本から揺るがされてしまうのだろうと思う。   失うことの痛み。それは辛く哀しく、しかしけっして忘れたくない大切な痛みだ。
[ビデオ(字幕)] 10点(2006-03-22 15:44:20)(良:2票)
210.  フレイルティー/妄執 《ネタバレ》 
最近ではどんでん返しには飽き飽きしてしまったところがあって、これは比較的よくできていたとは思うけど、無いなら無いで別に良かったかな。愛していた父親がある日突然発狂して子供たちに殺人を強制する、というアイディアだけで充分面白い。中盤までを丁寧かつ叙情豊かに描けば、キングの代表作のような泣けるホラーとして記憶に残る味わいを出せただろう。少年時代の兄に感情移入して観ていただけに、もっとドラマ部分をみせて欲しかった。  それにしても、近年のサスペンスって、どんでん返し中毒ですよね。でもどんでん返しというのはいわば必殺パンチであって、フットワークやジャブを磨いて初めて効果的に生きる技。そこばかり拘っていると一発屋的な、二度以上の鑑賞に耐えない浅い作品になってしまう。だから本作もまずまず面白いんだけど、なんか微妙なんだよなあ。今一歩、心に残るものがない。
[DVD(字幕)] 7点(2006-03-22 15:16:25)
211.  ツィゴイネルワイゼン
レコードに入り込んだ声。でも、何を言っているかはいまいちわからない……実は、こういう意味のわからないものが一番怖い。助けてという声が入っていたとかなら確かに怖いけど、どこか嘘臭くなるし、なにより恐怖だけで「不安」がない。アメリカのホラー映画の恐怖はショックの要素が強く、日本のホラーはぞっとさせるような戦慄の要素が強い。リンチの映画は戦慄に近いが不条理な作りは「不安」を付けたし、恐怖という感情をさらに複雑なものにしている。清順のそれはさらに乱歩や夢野久作のような日本的な「妖しさ」がある。この、夢を見ているような足元もおぼつかない感じ。生と死、意味と無意味の中間。日常では絶対に感じることのない雰囲気にどっぷり浸かることができる。
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-03-22 03:50:45)
212.  ヴィドック
摩訶不思議な映像世界が好き。錬金術師の鏡の仮面、炎の上がる溶鉱炉での戦い、落雷による殺人事件などなど、観てよかったと思えた。物語はすかすかなので、きっと映像感覚がツボにはまるかどうかで評価が決まってしまうんじゃないだろうか。まったく期待せずに観れば、ラストも読めずに案外楽しめるかもしれない。錬金術師がアホみたいによく動くのにはちょっと笑った。お前は体操選手かと。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-03-21 22:42:47)
213.  マンハッタン
ただし、たぶん自分が子供だからだろう、これがウディ・アレン流なんだろうというのはわかるのだけど、正直あまり楽しめなかった。   台詞は笑えるけど、ウディ・アレン独特の早口で滑舌の悪いしゃべり方が聞いていて苛々してしまう。核心に触れずに皮肉を織り交ぜながらの話がまどろっこしく、しかもそれがここぞという場面でも同じなのでげんなりした。さらりと描いている割りに内容はどろどろしてて、主人公の都合の良さには引いてしまった。美男美女が登場しないのも意図的なんだろうけど、観ていて辛い(ごめんなさい…)。主人公の十七歳の恋人なんかは美容院で注文を間違えたビョークにしか見えない。「きれいだよ」とウディが言うたびに「お前はどこを見ているのか」とつっこみたくなる(重ね重ね、ごめんなさい…)。   きれいな幕切れといい、非常に完成度の高い作品であるとは思う。あと二十年くらい経ってから観直せば、印象が変わるのだろうか。   ところで、『ハンナとその姉妹』でも思ったけどやっぱりウディ・アレン作品の字幕にはもっと気を使って欲しい。洒落たユーモアの魅力が雑な翻訳のために半減しているように思う。
[ビデオ(字幕)] 6点(2006-03-21 22:21:15)
214.  ザ・ブルード/怒りのメタファー
クローネンバーグ特有の粘着質の気色悪さは健在だが、活劇としては面白くはなかった。主な舞台が普通の民家と小屋であるため世界観に広がりがなく、脚本にも起伏がないので盛り上がらない。低予算のためかクリーチャーも地味で、わざと顔を映さなかったり暗闇で撮影したりして誤魔化しているのが見え見え。存在感のある人物造型や知性を窺わせる台詞には感心させられる部分もあっただけに、もったいないと感じた。この頃もっとお金が使えれば、傑作になっていたのかも。
[ビデオ(字幕)] 5点(2006-03-21 21:54:51)
215.  エクソシスト
本当に恐ろしいものとはなんなのだろうか。たくさんのホラー映画を観てきたが、いまだにそのことについて考える。  病院でリーガンが検査のために血を抜かれ、機械に挟まれる場面は直接悪魔は関係していないのに、辛く恐ろしい。苦しそうな娘をなすすべもなく見つめる母親は一体どんな気持ちなのだろう? 彼女の視点で見ていると、グロテスクな映像もまた見る目が変わってくる。もしあれが、自分の娘だったら?(若い自分には想像の範囲内でしかないが)  悪魔と対決する神父は、同時に心に抱える罪の意識と闘うことになる。嫌がる母親を病院に収容させ、看取ることもできずに寂しい最期を迎えさせてしまった過去と向き合う。彼もまた、大切な人が苦しんでいるときに何もできない辛さを知っている。  だからこそ、神父は心が折れそうになったとき、母親の「娘は死ぬの?」という言葉を聞いて立ち上がることができた。そしてためらわずに命をも捨てた。悪魔なんかよりも、愛する人の死のほうが遥かに恐ろしいと知っていたから。  恐怖とは大切なものの喪失から生まれる感情だ。その大切なものとは自分の命であったり、あるいは他人の命だったりする。もし後者を題材としたなら、それは恐怖の物語であると同時に愛の物語でもある。  ホラーにしては気品がある美しい映像で、内容もまた単なるショッカーではない深みのあるドラマとなっている。
[DVD(字幕)] 8点(2006-03-19 10:47:49)(良:4票)
216.  コラテラル
あまりにも脚本の穴が多すぎて、全然のめり込むことができなかった。穴をあげつらっているときりがない。そもそもタクシー運転手連れまわす意味があまりないし(ごく普通のタクシーの運転手に、明らかに組織犯罪に関わる連続殺人の罪を被せて誤魔化せるはずがない。しかも一度ならず同じパターンの犯行を繰り返している。それ以前に人質にとった運転手に引っ掻き回される危険があまりにも大きい。利点とリスクが釣り合っていない)、殺し屋に対する警察の対応も頭悪過ぎる(殺し屋がいるとわかっているタクシーを包囲せずにターゲットがいる場所まで尾行してどうする? 一般人もいる場所で銃撃戦が起きているじゃないか)。 派手なアクションがない分、抑制された渋いサスペンスが観られるかと期待していたのに、リアリティは皆無。ご都合主義にも程がある。プロの殺し屋の孤独を描いたつもりなのか知らないが、だったら素人以下のバカでしかも超タフ、というスーパーヒーロー的なキャラクターにしないでほしい。プロの犯罪者が実際どんな手口を使うのかとかも全然調べてないんだろうな。もう少し取材を重ねて、リアルで重みのある話にしなきゃ、ヴィンセントという人物になんの凄みも深さも感じることができない。穴を気にせずにすむようなタイプの作品ではなく、むしろ重厚な世界観を構築しなければいけない内容だと思うが、これではあまりにも……。 あと、音楽も個人的にはうるさく感じた。曲がいい悪い以前に流しすぎでは。
[映画館(字幕)] 2点(2006-03-18 23:12:49)
217.  鮮血の美学
コアなホラーファン、あるいはその業界の人ですら「非常に不愉快」と評するこの作品。ドキュメント『アメリカン・ナイトメア』によればヴェトナム戦争の影響を多大に受けた作品らしく、現実のニュース映像の射殺シーンをなぞるような映像もある。生理的に気持ち悪いというのもあるが、何より脚本にまったく救いがない。罪のない少女が暴行されたあげく惨殺され、少女の両親がたまたま出会った犯人たちに常軌を逸した復讐をするというストーリー。名匠ベルイマンの『処女の泉』という神話的な作品を下敷きにしているとのことだが、宗教的な救済のもたらされる『処女の泉』に対し、本作は「この世に神なんているものか」という呪詛の言葉が聞こえてくるかのようだった。きっと監督は自身のトラウマ、狂気を消化するために、この奇妙な映画を製作せずにはいられなかったのだろう。心的外傷を受けた子供は遊びの中で辛い出来事を再現するというが、ヴェトナムという地獄を経験したあとではこんな形で世界に対する悪意を発散するほかなかったのかもしれない。内容にまったく合っていないコメディの要素を取り込んでいる辺り、正気じゃないなあと思う。
[ビデオ(字幕)] 5点(2006-03-18 22:56:24)
218.  アレックス
おすすめできません。
[DVD(字幕)] 9点(2006-03-18 22:48:24)
219.  ファイナル・デスティネーション
実写版『浦安鉄筋家族』。だけど映像がリアルなので悲惨なのでちゃんと怖い。首吊り状態になったとき目の毛細血管が切れるシーンなんかは怖すぎて引いた。原題そのままの邦題はホラーというよりアクションもののようで、少しは考えて欲しいなと思った。
[映画館(字幕)] 7点(2006-03-18 22:43:13)
220.  ブリキの太鼓 《ネタバレ》 
アゴタ・クリストフの『悪童日記』を思い出した。残酷でユーモラスで、重厚で軽妙、邪悪なエネルギーにあふれた摩訶不思議な寓話。西欧史には詳しくないが、主人公オスカルの運命ががそのままポーランドの歴史の暗喩となっていることはなんとなく察しがつく。簡単に身体を許す祖母と母親、ポーランド人として闘う弱い男とナチズムに迎合する強い男という二人の父親はいかにも象徴的だ。後者の父親を死に追いやった後、主人公は墓穴に落ちたのを契機に再び成長を始める。かりそめの「死」を迎えることでようやくまともに成長を始めるオスカル。それは物理的にも心理的にも侵略されたポーランドが、徹底的な壊滅によってリセットされ、再びまっとうな国家として歩みだす姿でもあるのだろう。もっとも、そんな難しい解釈をしなくても普通に面白い作品ではある。主人公の少年役はほんっっっとうに可愛くなくて、よくこんな適役を見つけてきたものだとある意味感心した(子供なのか小人なのかわからないと思っていたら、小人症の子供だったらしい)。
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-03-18 22:26:01)
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