261. 風が吹くとき
原作の持ち味を生かしつつ、美しく映画化されていた。核戦争の恐ろしさという意味では、絵本の方がよりシビアに表現されていたが、見えない死に神の恐ろしさを伝えるには十分な内容だと思う。はだしのゲンやらその他のグロ描写ありの原爆絵本等を幼少時に見てトラウマになった人(私もその一人だ)にとっては、ちょっと綺麗すぎないか?と思えるかもしれない。でも、より悲惨でリアルな被爆描写を知っているからこそ、一見穏やかに過ごしている老夫婦の無知さに背筋が寒くなる感覚がチリチリと骨身に伝わる気がする。世界の核保有国の全国民に見て欲しい映画。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-09-16 11:48:18) |
262. 靴をなくした天使
《ネタバレ》 全く期待せずに観たのに、いやー、面白かった。人間、イザと言うときは日頃の行いで判断されてしまうわけね。でも、真実を明かすことが最善とは限らないというひねりの効いた展開が面白かった。バーニーはかなり行動に矛盾があるキャラクターだけどやっぱり憎めなくて、それをダスティン・ホフマンが実に「らしく」演じてます。同じ父親役でも、一見模範的な改心を見せつつチラホラ偽善的なクレイマー・クレイマーのパパより、魔が差して人を救ってしまうこっちのダメ親父の方が私はだんぜん好き!!超ダメ親父でも、息子に対してだけは真のヒーローになれて良かったねぇとしみじみ思う。出来心の罪悪感に耐えられず自殺まで考えるやたら瞳の綺麗なホームレス、ってのをA.ガルシアが好演。おいしいよな~。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2009-08-12 01:25:41)(良:1票) |
263. スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師
《ネタバレ》 ここで終わりかよ!!ってな消化不良感が残りますが、まあ話はテンポ良く進むので退屈しない2時間でした。流血は派手ですが心理的にジワジワ来るような怖さは全くなし。むしろあまりにあっけらかんとコミカルに人が死んでいくので、バートン好きで無ければ眉をひそめるかも。その一方、こんな殺人鬼が主人公の映画でも出てくる不遇な子供達へのまなざしがひたすらあたたかいのもこの監督ならでは。ミュージカルとしてはちょっと中途半端だったけど、唯一風刺が効いていて面白かったのは、どんな奴がどんなパイになるか?を歌ったナンバー。このあたりからどんどん物語に引き込まれました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-08-05 16:14:47) |
264. レイジング・ケイン
《ネタバレ》 登場人物(多重人格の各キャラも含め)がいちいち不快。人間的魅力を感じる人が誰も出てこない。だいたい瀕死の患者の目の前でその夫にせまる身勝手な女医が子供を取り戻そうと奔走するのは説得力ゼロ。事件現場から平然と去る見るからに不審な人物をスルーする警官もボンクラ過ぎ。最後は予想通りのビックリを狙ったオチ。不愉快な映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2009-08-02 11:08:15) |
265. ダージリン急行
《ネタバレ》 三バカ兄弟ものと言えばサボテン・ブラザースを思い出すが、単なる類友3人組(?)のあっちとは違って肉親ならではの遠慮のなさが三者三様で可笑しい。インドに行けば人生リセットできると安直に考えるところからしてもうダメダメ感たっぷりなんだけど、なんだかんだ言って兄弟仲良しなのでギスギスしないでグダグダのままやりすごせてしまう。幼い頃の力関係のまま兄も弟も成長していないので、真剣にごっこ遊びをする幼児のように、何があってもとりあえず「心の旅」を全うしようとするのが馬鹿馬鹿しくも憎めない。なんか和みました。 唯一今後がちょっと心配なピーターの彼女だが、あんなバカはとっとと見限ってもらうもんもらって強く生きていって欲しい(笑) [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-07-31 18:55:42) |
266. スピード・レーサー
とにかく全編極彩色ベースなので見ていてかなり疲れる画像ではある。映画館で見たら確実に頭痛がするんじゃないかと思うが、自宅の42インチモニターで鑑賞していると、もっと大きい画面で見たいような気もしてきた。映像は派手だがストーリーは適当に追ってレースシーンだけを観ても楽しめるし、小ネタアクションも豊富にちりばめられ、さらにオトナシーンはなぜかきっちり配慮されている(笑)ので、超贅沢な子供向け映画として傑作かと。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2009-07-30 22:27:33) |
267. ブレス
《ネタバレ》 一言もしゃべらずにあそこまで表現できる美しい瞳のチャン・チェンに危うく惚れそうになるが、全体的に痛い映画だった。笑って良いんだか分からないシーンで、血迷った中年主婦の音痴な振り付きの歌を何度も聞かされるのは正直苦痛だった。ただし、ラスト近くのありえないラブシーンは露出が少ない割に妙にそそられるので、途中で見るのをやめなくて良かったと思った(笑) [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-07-30 22:10:13) |
268. タクシードライバー(1976)
世界は自分を中心に回ってはくれないことを、大人になっても分からない人間がいる。そんなトラヴィスと同様の心理状態のまま突き進んで本当に犯罪者になってしまう人間が珍しくない時代になってしまった今、この主人公の病み具合が恐ろしくリアルに感じられる。今も昔も極端な俺様男には要注意!特にこの映画に心酔しちゃうような若者にはご用心を。 こんな繊細かつ危険な人物の危うさを一挙手一投足で、或いは表情だけでビンビンに表現してみせるデニーロの役者魂にもホレボレ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-07-30 22:01:17)(良:1票) |
269. 下妻物語
面白かった!キャスティングが良く、二人とも良い感じにイッちゃってる感が出せてました。アンナの歯切れの良さに深キョンが大根に見えてしまいがちですが、桃子はコミュニケーション能力に難アリのオタクなキャラなのでこれで大正解だと思います。イチゴが失恋して泣くシーンはドキッとするほど可愛くてもらい泣きしそうになりました。世界に誇る「OTAKU」文化を輸出しつつダサダサな田舎者根性が抜けきらない、現代日本のアンバランスさをうまいこと映像化してます。キュートな快作です。 [DVD(字幕)] 8点(2009-07-29 13:06:42) |
270. 亀は意外と速く泳ぐ
三木ワールド全開。私は大好きです。ゆるいんだか豪快なんだか分からない登場人物たちの、ふざけてんだか真剣なんだか分からない謎の行動。このツボにはまれる自分はきっと、かなり幸せなそこそこ人生を歩んでいるんだと思う。人を傷つける様子を字幕まで出して笑うことを強要するテレビのお笑い番組よりよっぽどリラックスして楽しめます。目隠シストさんのレビューを読んで深く共感し、タイトルに込められたメッセージをようやく理解し、この映画がさらに好きになりました。そこそこの人々のそこそこ人生に愛を込めて力一杯のエールを♪ [CS・衛星(邦画)] 9点(2009-07-29 08:20:07)(良:1票) |
271. オールウェイズ
《ネタバレ》 ラブラブな大人二人をあたたかく見守る同僚たち、特にアルの存在が効いてて序盤の雰囲気は上々。テッドの登場、ピートの死、その後の話の進行も無理が無く、微笑ましくて良かった。でも、結果よければ全て良しなのか、散々無茶をやる夫に神経をすり減らされる経験に耐えてきたはずのヒロインが唐突に暴走しはじめて急に共感できなくなった。終盤までにスピルバーグ節がうなるシーンを入れたかったのかもしれないけど、「ってことは・・」と、強引な暴走の強引な結果も軽く予想できてしまって感動半減。おばあちゃんになっても妖精キャラが似合うヘップバーンはさすが。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-07-29 01:12:01) |
272. 恋愛小説家
ここでの評価の高さに期待して見たけれど、最後まで惹きつけられるものがなかった。どちらかと言えば偏屈人間を偏愛する傾向のある私だが、メルヴィンのキャラは全然好きになれない。いい歳して余裕なさすぎ、視野狭すぎ。キャロルもいくら生活に疲れて欲求不満になってるとは言え、とりあえず誰でもいいんか?と突っ込みたくなるようながっついた様子が痛々しくて見ていられない。あと、純粋な恋愛映画の場合、いくらストーリーが良くても肝心の主演二人のルックスが自分自身のストライクゾーンからあまりにもかけ離れていると感情移入がかなり難しいことをしみじみ思い知った夜であった。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-07-29 00:59:35)(良:1票) |
273. レナードの朝
二人の名優の神演技を堪能できます。激しく痙攣しながら鬼気迫る形相で「学べ!学べ!」と叫ぶパーキンソン病患者。R.デニーロにしかできません。とことん不器用でシャイな医師が、嬉しいときにちっちゃな目をキラキラさせてはにかむ様子。R.ウィリアムスにしかできません。展開に無理のない抑えたエンディングも良かった。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-07-28 16:24:01) |
274. おしゃれ泥棒
「おしゃれ泥棒」の邦題が秀逸。本当に洒脱で品が良くて楽しい映画でした。ヒロイン着せ替え映画としては、映画の中でしか見られないファッションを楽しめるので、SATCよりこっちの方が自分にとっては貴重。ストーリー展開のテンポも良くて退屈しません。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-07-28 16:21:30) |
275. 潜水服は蝶の夢を見る
身内が同様の奇病にかかって入院したことがあり、当時の本人の気持ちを思って妙に感情移入してしまい、突然画面が曇ったと思ったら見ている自分も泣いていたりして、客観的に鑑賞するのが難しかった。 でも、10万人に一人か二人という珍しい病気の患者に際して、相手の身になって考えることなどに到底出来ないと思っていたのに、こんな美しい映像でそれを理解する手がかりをもらえたことに素直に感動した。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-07-28 16:21:02)(良:1票) |
276. ピンチクリフ・グランプリ
たかが人形劇と侮るなかれ。日本昔話に出てくるような無茶な形をした山のてっぺんに、人と動物が仲良く素朴な暮らしを営んでいる・・という絵本ぽい設定がもうツボで、自然とニコニコしてしまう。手仕事ならではの味のある映像に和んでいたら、レースシーンでの思いがけないスピード感にさらに嬉しい驚き。序盤のテンポの悪さも味のウチ、という大甘採点で9点献上。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2009-07-28 16:04:21) |
277. ニコライとアレクサンドラ
ロシア史については世界史教科書程度の知識(それもうろ覚え)しかなかったがそれなりに面白かった。全体の長さに比べて驚くほどあっさりと終わるラストには、肩すかし感というよりむしろ肩の荷が下りるような安堵を感じた。ラスプーチンの人物像がたいへん興味深く印象に残り、後で調べてみようという気になった。ということで、ロシア史に興味のない人間をも振り向かせるという意味では大成功の作品。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-07-28 14:59:20) |
278. 純喫茶磯辺
ダッサダサのインテリア&セクハラ誘因そのものみたいな制服を店員に着せておいて純喫茶と気取って悦に入る親父の馬鹿さ加減がもう、自分の父親を見ているようで情けなくて涙が出たww 人間って本当にどうしようもなく馬鹿で愛おしい。それが他人だったら笑って見ていられるけど、肉親だと心底うんざり、まして年頃の女子にはキツイ。そういう男親に限って娘の気持ちにやたら鈍感。悪気はなくても破壊力ばっちりな鈍感さ。でも、そういう父親を見て育つと自然と娘にだめんず免疫ができるので、長い目で見ると教育的には◎だったりする(笑) [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-07-28 14:40:29)(笑:1票) |
279. フィフス・エレメント
《ネタバレ》 この作品に10点いれるのは勇気がいるが・・好きなモンは仕方ない。お金めいっぱいかけて悪趣味スレスレなB級SFを作っちゃう心意気が好き。まさに大きいコドモの道楽映画。なんかもう、みんな楽しそうに演ってんなー!って感じ。ミラも可愛いし、オペラシーンにもウットリ。個人的には、ゲイリー・オールドマンの「また空っぽ…」のリアクションだけでご飯3杯いける。スターウォーズもブレードランナーも好きだけど、どうせだったらこれぐらい豪快な馬鹿が元気に生きてる未来の方が楽しそうで憧れる。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2009-07-27 01:22:28)(良:4票) |
280. インベージョン
《ネタバレ》 エイリアン的な冷たい美貌のニコール・キッドマンがヒロインだと、無表情を装うのは朝飯前という気がしてあんまりハラハラしないのだった。敵の感染拡大の方法が下品すぎてオエー!!生理的不快感をかき立てるシーンが多いので食事の前後の鑑賞は避けるべし。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-07-26 00:08:55) |