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黒猫クックさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 791
性別
自己紹介 猫と一緒に映画を見ていると、ヤツらは私より先にコイツはクソ映画だというのを察知します。ストーリー展開や伏線回収が怪しくなってくると席を立ってしまうのです。だけどそんなおっちょこちょいな映画にだって良いところはいっぱいあるんですよ。
猫のヤツらは冷酷です。

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21.  アルゴ 《ネタバレ》 
 画面の中で暴れるイランの民衆。彼らは普段は店主で有り店員で有り、彼らの世界の一住人である。しかし、アメリカへの元国王亡命が彼らの暴力的な心に火をつけた。大使館の門は破られ兵員を含む人質が一年半拘束されるテロリズムへと発展していくのだ。   20世紀までは西側での論調はこうだった。 「アメリカの搾取が民衆を苦しめていた。アメリカが悪い」  しかし、テロリストにも事情があって可哀想だから、アメリカが悪い。あくまでも悪い。という理屈もネットの普及で実態がバレてきた。 「アメリカやイギリスのビジネスは、当事国関係者に害を与えているだろうか。何故人命や人生を踏みにじるのか。オフィスの仲間でも無いのに何故被害者ぶってるんだ」と。  中東での石油ビジネスによる富の分配は、国内政府が行うべきで中東で良くある事だが、怠った。産業が無いため、アメリカを憎む事を余った時間で繰り返した。   石油ビジネスの搾取的外観は存在するが、この暴動に加わった民衆のうち、西側先進国のビジネスに関与していた人材がどれだけ居たかという事を考える。テロリスト達には全くの無関係で、国策の利益配分をしなかったのは当事国の選択である。鬱屈をアメリカ国民の責任にして、神の名の下に捕まえたその辺の人を処刑する。こんな人間は間違いなく労働力市場で無価値である。映画でこれが主張される事はまだ無い。   庶民が革命軍と言う名のテロリストにそそのかされてテロリズムを楽しんでいる。実態としてはこの様なもので有りそれ以上では無い。国の運営に参加しているような陶酔感が原動力だ。  石油ビジネスを必要以上に搾取に結びつけてテロリズムの言い訳にしているのだ。この理屈だとガスが安価でなかったら我々はアメリカ大使館を焼き討ちしなければならないのだろうか?シェールガス関連の産業に就いていない我々にそれは関係のある事だろうか?どうでも良い事で有る。  彼らは彼ら自身の人生を享受すべきで、政治的な要求なら米政府にでもはがきを送れば良かったのだ。読まれなければその程度である。  国王が贅沢してるから昼休みに近所のアメリカ人を殺しても良かったが、一年半監禁してリンチしただけで殺しては居ない、我々は可哀想だ。どうしてこうなった。   だが、こうやってアルゴのような冒険的な救出劇が産まれ、やっぱりおかしいよねーと再認識されたりもする。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2013-04-30 03:26:21)(良:1票)
22.  犬神家の一族(1976)
 10年に一度見直す。背筋がビシッとなるから。全部入りなんだよこの映画は。
[DVD(邦画)] 9点(2013-01-14 02:20:25)
23.  おくりびと 《ネタバレ》 
 寒いさなかに、一人で山道を走る。軽自動車の上げるエンジンの音は悲鳴のようだった。だけど、捉えようのない気持ちを三つのピストンがたたきつぶしてくれる。喪失感は車が坂道を上っていくにしたがって別の何かに置き換えられ、心を埋めていく。ようやくたどり着いた高台に車を止めて街を見下ろすと、何となく止まっていた時間が動き出すのを感じた。  バッグの中から小さな魔法瓶を取り出して、コーヒーを紙コップに注いだ。コーヒーの苦さで色々な辛さが澱のように重なり、段々と、もう死んでしまったあの人の声がよみがえった。   その日偶然見たおくりびとの作中、大悟は大切な物を失ってしまった。その大切さに気付く頃、もう手に入らない様々なものをどうして良いのか咀嚼できないままに納棺師になる彼を見ていると、胸の痛みは耐えられないほど大きくなっていった。  彼はわだかまりの大きさと、生きていく方法の少なさを受け入れることが出来た。それを暖かく溶かして再び柔らかく作り直す事が出来た彼を見て僕は、どうやっても涙を止める事が出来なかった。想いが込められた石は大悟の個性を形作るためにずっと側に居たという事実を彼は知る事が出来、僕も安堵を覚えた。   その夜、何となく見下ろした街の灯の中にも、僕の居場所があるのかとため息を吐き出しながらじっと座り続けた。何時間にも感じられた時間は本当は長くも短くもなかったけど、永遠に繰り返し続ける堂々巡りの中にも答えの気配を感じる手がかりのような物を感じた。  記憶に残された様々な言葉は傷つける対象を求めて蜷局を撒いている。いつだって変わる事はないかもしれない。それでも少し割り切れる事もあるのだろうかと気持ちが固まると、僕は何となくサイドブレーキを下ろして、街の光に混ざり込む事にした。
[地上波(邦画)] 9点(2013-01-05 03:48:44)
24.  ダークナイト ライジング 《ネタバレ》 
 その日、目を疑うような事件がテレビの中で起こっていた。冗談であるに決まっている、あるいはある意味でショウなんだろうと、心をだました。とぐろを巻く恐怖感が与える生々しさはしかし、現実にしか見えなかった。  あの人達は次々と、死んでいる。間違いない、死んでいる。画面に映る慈悲を乞うあの人も、絶望に包まれながら落下していくあの人も。確かな死をブラウン管が伝えている。 「この国には起きないだろうけど可能性はあるよね」なんて、時間がたつと有識者みたいなことを誰もが口走る。  十年前、誰の想像も及ばないこの事件が地球の裏側で起こって、僕も全ての人と同じように為す術が無いその瞬間をテレビで見つめ、眺めてため息をついた。   21世紀になった瞬間、負のパラダイムシフトを経験した世の中はずいぶん変わってしまった。暗くなった世の中で、事件や災害は絶えなかった。  その内に僕の側から離れて行ってしまったあの人も、猫も、風景も、何の手も打たないまま、記憶になっていく。 「将来に向けて頑張って行かなきゃね」なんていう冗談めかしたやりとりも、現実だったその時と一緒に作り物のような塊になって、心のどこかに転がっている。  もし、時間も、手放した何かも帰って来てもきっと今のこの世界にはなじまないのだろう。違和感を拭わないで放っておいてしまう僕はきっともう一度それを失ってしまうのだと思う。   ダークナイトで英雄という像のパラダイムを変えられてしまった僕たち受け手は、変わってしまった新しいパラダイムの中で新しい評価基準を植え付けられ、そして自分の中でも作り出してしまった。  少し複雑な主人公の事情と難しい危機が振りかけられたキラキラしたストーリーが、今では決して主流でも定理でもなくなってしまった。  この世界で、そんな以前の様な様式の新しいダークナイトを見たとき、僕は引っかかりを感じた。この10年間の間に僕から離れていった様々な物と同じ悲しさが、同じ違和感を作り出している。少し切なくなった。  膝の上で喉を鳴らす猫も、後ろ姿しか記憶にない彼女ももう居ない。少々のつじつまなど気にせずに目まぐるしく場面が飛んでしまう、出来の良いこのアクション映画を素直に楽しめる僕ももう居ないんだ。と思う。   で、昼間に何分か追いかけている内に真っ暗になる、中東から裸足で歩って帰れるゴッサムシティ。うん、まあいいか。
[映画館(字幕)] 9点(2012-07-28 16:51:47)(笑:1票)
25.  男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎 《ネタバレ》 
寅さんをほとんど見ていないのだけど、子供の頃この竹下景子が出て来る本作を見て、あのラストシーンのあの切なさと言ったら。見ていて寅さんがどちらに転ぶのか、何となくわかっているのにどこかでそれを否定してしまう。 でも、あのまま寅さんがくっつく姿もまるで想像できないんだよなあ。邦画の良さが大爆発している。
[地上波(邦画)] 9点(2012-05-01 03:08:35)
26.  チェブラーシカ(1969) 《ネタバレ》 
子供向けでかわいいチェブラーシカをやっと観ることが出来た。 単純に観ると味わいがあって、どことなく寂しくて、小さな世界がすべてのこの世界には優しさが溢れていた。ワニのゲーナは誰にでも優しくて、だまされたりもするけどそのことを決して怒したり憂いたりしない。込められた寓意が心地よい。  細かく観ていくと、ソビエトの国力の衰退が始まっている時期であることが伝わってくる。体制批判と取れるような、何もない事への嘆きや国土の汚染、欧米からの略奪者を思わせるハンター、働かない大人などをそこここに散りばめている。 かなりきわどい描写であろう事が窺われるが、これが現存して資本主義圏の国で楽しまれている事から想像するにソビエト型の社会主義というのはすでに不可能であることが見通されていたのかもしれない。  でも、そんなことは置いておいて良い。チェブラーシカの可愛さにそんなことはどうでも良くなってしまう。ゲーナに可愛がられ、子供らしい甘えを楽しむ彼を見ていると暖かい気持ちになる。そこに流れるロシア民謡のようなあの曲が、疑いを持たずにあるがままを受け入れた生涯を送った、たくさんのソビエトの人たちのことを想って切なくなった。
[地上波(吹替)] 9点(2012-05-01 02:52:31)
27.  トム・ソーヤ 《ネタバレ》 
元が面白いから凄く面白い。  本の映画化ってこの時代の方がうまくないか?と思う。この映画100回見たら、と思う。そしたらこれ見よがしなコスプレ動画は作れないとおもう。恥ずかしいとおもうはず。第二次大戦が始まってもいない年にこんな面白いカラー映画を撮ってる。大日本帝国っていうくにはどうやってこんなもの凄い超文明を持つ国に勝つつもりでいたんだろうか。その当時の帝国軍と今のコスプレ邦画を作ってる会社ってメンタル的には大差ないのでは。意味不明な自尊心とかホントにそっくりではなかろうか。 
[DVD(字幕)] 9点(2011-09-01 01:03:35)
28.  アンヴィル!夢を諦めきれない男たち 《ネタバレ》 
傑作。  アンヴィルか。あの記録でしか知らない巨大ムーブメント。HMとHRの時代を生きたバンドのうちの一つか。あの時代の残り香を発掘するように、古代の貴重な遺跡や装飾品を探し出すように学校の仲間とCDを買いあさった日を思い出す。  あの時代がすでに過ぎ去っていたあのとき、あのバンドってどこ行っちゃんたんだろうね。なんて笑ってたわけだ。そのアンヴィルがさ、アンヴィルがですよ、アンヴィルがまだアンヴィルやってた!  それを物語にせずに、キチッとドキュメンタリにしてきた。剛速球で。  興奮である。もうそりゃあ興奮である。この映画の狙い的にダンガリーディスのプロデュースでシーンに舞い戻す企画だったのかもしれないし、しっかりその効果で売れたのかもしれないが、この男たちの気持ちの持ちようは真っ正面、剛暴である。  この男たちの生き様に不覚にも頭上に拳を振り上げていたのだった。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2011-06-05 23:58:06)
29.  告白(2010) 《ネタバレ》 
この悪意満載の映画には正直、興奮した。結末どころか中身が全部わかっている以上、映画になったときに期待するのはどの辺まで小説のアイデアを拝借してまるで違うものが作られているかということだが、ここまで同じ話なのにここまで面白く、映像や音の威力というものの神髄を見たかのようだった。  後味が悪いことや、倫理観が壊れてしまうような感覚、自分が知っている子供世界との差異へのたじろぎのような不快感は、すでに全く同じような原作の感想を方々で見ている。この作品が持つ不快感というのは明らかに作り込まれた不愉快であり、人造であるが、自然と作品の主張であるかのように存在感がある。  人工物であるという、隙のようなものがある種の箱庭感、安心感を醸すのだがこの作品に神経を逆なでされた人たちは、策略に乗せられても現実世界をもう一度認識することで強い不快感を顕わにする。それはこの作品の中で広がるいやな世界を否定することで現実世界の安心感を確かめたということだと思う。  しかし、これほどの不快感を人に与える暴力的なお話であるというところに私は何とも言えない魅力を感じてしまう。原作のもつ人に煩累を植え付ける暴力性を否定する書評やレビューが自然と、その嫌悪感の虜になった人たちの評価を浮き上がらせる。なんというか巧妙な心理操作がたまらない。心地よささえ感じてしまった。  松たか子がなぜかすんごい美人に見えて、吸い込まれるように感情移入してしまう。言い逃れする余地を存分に残し、最後には仕返しのためなら無差別に殺してみせる。実行犯を仕立て上げておきながらなお、すべてを失っている彼女は、真実が露見したら自殺するから良いもんね位の軽い薄ら笑いを浮かべた。「私が命の重さとか言っちゃって面白かった?ケケケ」的な確信的な薄ら笑い。が、なぜかすんごい爽快感だった。なんだこのザマーミロという爽快感。  なんかオレ変なんだろうなきっと。
[映画館(邦画)] 9点(2010-06-13 01:09:44)
30.  レオン(1994) 《ネタバレ》 
リュックベッソンはこの作品まで良い職人だったと思う。フィフス・エレメントあたりからおかしな方向に行ってしまったが、それはそれ。この作品が大変面白いこととはあまり関係のないことだろうからあまり考えないことにしている。  この映画の特徴の一つとなっているが、閉じられた世界観が精神的にも地理的にも支配的で、その小さな世界の中で逆らえない予定とも運命ともつかない時間の流れからの圧迫感が、登場人物にも観客にもそこから逃れる術を模索させる。  ほんの短い時間で不可逆的に変わってしまう彼らの生き方は壊れることで収束するが、大きな街の中で小さな箱庭が失われてしまったに過ぎないこの出来事は、観客の気持ちに小さな感傷を残す。生き残った登場人物のその後を思ってじっくりと憂鬱に浸ることができる。  そういう小さな世界で起こった大きな出来事はほんのちょっと私を切なくさせるが、そういう気持ちをちゃんと植え付けてくれる映画って言うのは実はそんなに多くない。だから大事にしたいお話なのである。  完全版の方は、追加されたシークエンスが私が持っていたイメージを強烈な力で矯正してしまい、この映画に持っていた幻想的な世界を打ち消してしまった。付け足して作られた新たな世界観は、何となくその後のリュック・ベッソン的でなじめない。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2010-04-30 00:54:14)
31.  チェンジリング(2008) 《ネタバレ》 
2009年に見た映画の中でダントツに面白かった。確かにグラン・トリノの方がグッとくる物は大きかったが、唸らされ度はこちらの方が高く実に甲乙つけがたい。  この作品のベースになっているのは実話とのことで、実話がここまで面白くなるには相当に見せ方が巧くないとこういう感想にはならない。本当の話にストーリーが乗っかってくるとどうもお話の部分と本当の部分がかみ合わなくなってくることがある。ストーリーとして進もうとする展開と実話の部分は一致してるが、プロットと実話が明らかに違う場合、受け手がどちらをとるかで印象が揺れる。  チェンジリングでは、プロットが実話よりもずっと整理されているが、整理された部分は実話を知るものであれば、何らかの感情的補完が必ず生まれるように作られている形跡があり、その計算高さには並の映画ではとうてい太刀打ちできない周到さが感じられた。  そういう話を独特の雰囲気でスピーディに完璧に表現する、監督イーストウッドという映画職人が存在するということがたまらなくウレシい。
[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 9点(2010-04-04 18:13:57)
32.  裏窓(1954) 《ネタバレ》 
面白い。凄く面白い。  この作品のすぐ目に付くポイントは3つ。男が殺人を犯したかどうかはラストまで分からない。主人公がいい加減なヤツ。グレースケリーが美人過ぎる。この3点だ。  主人公のいい加減で正義感だけは強い、という設定は観ているこっちまで親友の刑事のように「こいつだめだ」と言う気分にさせられる。そこから突飛な理屈で、絶対犯人だよ!と暴れまくるからもどかしさが最大限に増幅される。この辺の、受け手の感情コントロールの巧さはさすがヒッチコックというべきで、ぐうの音も出ない。  男が妻を殺したかどうか、ここにフォーカスしつつ受け手の注意をいろいろな手段で散漫にさせてしまう技術が凄い。アホアホ三人組の潜入活動の温度がまた物語を必要以上に重くしない。そのちょうど良い具合にぬるくなった温度がたまらない。  さらに実は、アホのジェフよりもさらにリサがアホだった!という展開で一気にバランスが崩れる。客が早く花壇調べろという気持ちが高まっているところで、いよいよ掘り返すよ!という時に暴走する。がっかりする暇もなく潜入である。今までの、覗き見を止めるだけで事件とは無関係に戻れるという心地よさを無理矢理取り上げられてしまう。この流れ、ウメェ。  しかもアホ女にもかかわらず、美人過ぎる人類、グレースケリーである。心の中でさえ美人過ぎてアホとか言えない。有無を言わせず早く戻ってきてほしくなる、巧妙だ。もうむちゃくちゃであるが、スリル満点だ。  この後の展開も秀逸。安全地帯だと思っていたところが、もっとも危険になる。セオリーだが、その使い方が良い。ディナーの宅配や頑固のオバサン、美人なリサたちは玄関をパタパタと開け閉めして出入りする。隣人達も鍵を閉めると言うことをしない。しかし、いろいろな人物に、いろいろなところへ出入りをさせているため、鍵は掛かっていないんだという記憶をしっかり焼き付けている。で、ラストシーンである。  もう何もかも良くできてる。上品にスリルを味わうにはもってこい。もしかして今となっては既視感を感じる人も多いのかもしれないし、もっと練れる人もいるだろう。だが、この窓の向こうは今とは治安や犯罪の意識が違う半世紀前の世界だ。頭をちょっと切り換えれば唸れる。グレースケリーが美人であるというだけで、説得力も五割増しなのである。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2010-01-03 00:37:51)(笑:1票)
33.  刑事コロンボ/二枚のドガの絵<TVM>
傑作中の傑作。TVMとはいえ侮れない。テレビの倒叙ミステリー最強のコロンボ警部が私は大好きだ。  幼少の頃、これを見た瞬間ぶっ飛んだ。もう解決不能と思われる状況で誰でも分かるやり口で犯行を証明して見せたコロンボを見たあと、10秒はポカーンとした。鮮やかすぎる。コロンボが凄いドラマであるという認識の元、二枚のドガの絵を求め続けて果てしなく見続けたが、結局これを超えるコロンボにであうことができなかった。  それが不満にならず、実はうれしかったりするところがこの作品の凄いところだ。
[地上波(吹替)] 9点(2009-12-31 01:41:25)
34.  クリムゾン・タイド 《ネタバレ》 
傑作。潜水艦ものでコレに勝つには、戦闘描写を押し出すしかないと思わせるほど緻密。正直、演技の細かさにはうんざりするほどだ。  ジーン・ハックマンが、いい人だか悪い人だかよく分からない演技をするときは、ヤバい。その場面は異空間になり、こっちが悪いことをしたような気持ちになりドキドキしてしまう。そこにいい人に決まってるデンゼル・ワシントンを持ってくるんだからすれ違いは決定的になるに決まってる。そこを囲む脇役陣の手堅さときたら、配役が悪魔的に巧い。  95年当時の世界の不安定さときたら、今考えると病的妄想的な世界観が現実を包んでいて、それを払拭する情勢確認手段の少なさはちょっとスリル満点だ。それが日常だった。そこにきて、ロシアのクーデターという設定。当時ならあり得すぎる、ゴルバチョフが武力行使による拘束をされてしまう世界だからだ。  こうした空間の中で、権限委譲の不備を突いた事件が起きてしまうが、その処理のあまりの巧さにはぐうの音も出ない。ハンターと同調すれば密室の中の組織が崩壊してしまうことを誰よりも知る艦長と、ラムジーが副長に同調して必ずしもそこにいる全員が同調できないことを理解できないハンターのパワーバランスがすばらしい。  ラムジーが越権行為をすることで、解任され確認までの時間を作った訳だが、誤算は敵艦の攻撃だった。これにより部下を謀反に引きずり込んでしまうことになる。その苦悩の表現も秀逸だ。暗号を知るミサイル発射将校のウェップスに銃口を向けたが、これが開けさせるためではなく命令に従わせるためだった。彼を部下を救う上官にすることで謀反人になることから救った。同調した部下達の心理とは違うところに真意があった。  中止命令では、様々に反応する部下に複雑な内心を見せる。最後、ハンターは、委員会の聴取でラムジーの越権は、自作自演であったと知るわけだ。謀反が起こったと言うことがオフレコになって、クルーが不問に付され誰かが犠牲になるに違いない自分の聴取が行われなかった。  もちろんそう解釈をしない見方もアリだろうが、いかにも何でこんなことになったのかという表情をするハックマンを見ると、その方が面白い。ラムジーを悪役として据えるのも痛快だが、単純にそうしないところに妙がある。
[映画館(字幕)] 9点(2009-12-30 17:06:21)(良:1票)
35.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
よもやこれほどの物が、これほどの質量で、これほどの記憶を残すとは。ビックリした。それ以外の言葉が思いつかない。  最初に言ってしまうと、昔の宮崎映画にインスパイアされてねえか?っていうシナリオには若干戸惑ったが、それは問題ないだろう。メタノールを金鉱だと思っているヨーロッパ人をターゲットにしてるんだろう、きっと。彼らにサトウキビ畑をどこに作るつもりなんだい、と説いているんだろう、きっと。そういうことにしてスルーしておく。だから日本人がいくらどこかで聞いたような話に感じても当人はそれほど気にならないんだろう、きっと。  といっても、もののけ以前のジブリのクラシック作品で自然保護を叫ぶ映画は、なんか思想的勘違いが入ってるし、そこを上手く練り直してくれてる。正直ありがたい。お話は似ていたらできが良い方が強い、発案者には価値がつく。それで良い。  特殊効果の表現だが、ちょっと待て。凄い。今まで、アクション映画はCGがリアルになってもT2初見の興奮を消し去ることはできないだろうと思っていた、が、今後はアバター初見の興奮を消し去ることはできないだろうという基準に変わった。  今まで観たCGIで、一番、圧倒的に、あり得ないほどリアル。広告やトレイラーを観たときは、生き物の(CG用語ではない)テクスチャが10年前に退化したな、タイタニックで時間止まってやがんな。位に思っていたが、それは一瞬で間違いだと分かった。そういう問題がどうでも良くなった。  モーションが今までのCGにはできなかったレベルで、物理法則が人間の頭では現実に見えるくらいのリアルさで迫ってくる。粒度や質量が、遠影が、実写じゃない人が、すべてが同じ密度に感じられてどこも浮いてない。背景がどう見ても実在し、オブジェクトが不気味なほどのリアルさで動いているということは、後にテクスチャを張り替えるだけで恐ろしいほどリアルな別バージョンを出すことができると言うことを意味する。明らかに意図的に嘘くさい生き物の質感には、そういう後出しじゃんけん商法を感じる。  実は楽しみだ。
[映画館(字幕)] 9点(2009-12-29 23:26:02)
36.  赤い風船 《ネタバレ》 
ものすごく良い映画だと思う。  手を離すと飛んでいってしまう風船が、自分から離れずにいつも一緒にいてくれる。それだけでも胸がいっぱいになる。意地悪だったり優しかったりする赤い風船は、友達だったり彼女未満の大事なガールフレンドみたいな存在になってずっと心に残るかもしれない。  映像のきれいさとか、風景のきれいさはもちろん、生活が垣間見られるたくさん出てくる子供のかわいらしさ小憎らしさとかには、特に隠された意味って無いように感じる。そこを排除して純粋に少年に感情移入することができるからこの映画の良さって引き立つのではないかと思う。  こういう純粋な短編に、簡単に比喩や寓意を乗せてしまうのはあまり上手ではないと思う。だから作り手がくれた世界に素直に甘えて、描写から方々に意味や結論を引き出すよりは風船に乗ってパリの上を飛んでいくという幻想を純粋に楽しむのも大いにありだと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2009-12-20 23:38:50)(良:1票)
37.  ダイ・ハード 《ネタバレ》 
もう、ホント素直に面白い。  絶妙のバランス感は、よく言われていることではあるけれど、よく言われている以上に寝られているように感じる。冷静に、何か作業をしているときのBGVになってさえ発する重圧は、生理的にそう感じさせるほどに洗練されている。  主人公と敵の距離感だけではない。主人公と奥さんの距離感、主人公と顔もわからぬ相棒との距離感、主人公と建物の位置関係、小道具との位置関係、さらには観てる客との位置関係。これが巧妙に計算されている。すべてが同時に変わる。スゴイ。  次々と、舞台の大きさを換えていく続編だが、大きさと難易度の比率がもっとも優れているのは言うまでもなく1だ。確かに密室を大きくした方が完成に要求される難度は高まる。間違いない。が、かといってそうする必要性って実際は無い訳で、ダイハードの自己同一性をブルース・ウィリスだけでなく、密室劇であるというところに安易に置かせてしまうほどの完成度だったということか。  80年代の映画の質感と、この味わいがダイ・ハードをとんでもないところに押し上げてしまった。予備知識ゼロで観たターミネーター2を観るまで、まさかこの映画より面白いアクション映画があり得るなんて想像すらできなかったほどだ。
[DVD(吹替)] 9点(2009-12-07 22:02:01)
38.  第三の男 《ネタバレ》 
どう考えても傑作。っていうか考えなくても傑作か。  このスピード感、60年前だもんなぁ、なんつう技術力。100分間をめいっぱい、全力で詰め込んだプロットに大満足。白黒の映画は実はあまり好きではない。ほんとに小さいころにみた第三の男があまりに難しくてゼッテェ観ねぇと、堅く心に誓ったからだ。以来中学生になって少しだけ観るようなるまでは全く観ていない。戦時中でさえフルカラー映画をボーンと作る国なのに、なんで戦後の映画が白黒なんだとことさら拒絶した。  が、大昔テレビの映画解説番組(いつ、何チャンでやってたか思い出せない)でこの映画がいかにすばらしいかを力説し始めたので、番組を中断。とうとう観るに至った。  それにしても、白黒フォーマットを使い倒して、これだけ速い脚本をボンボン追うカメラとカッコいい俳優が事件に巻き込まれればつまらないわけがない。終盤の追跡劇だけではない、講演につれてかれるシーンのあの緊迫とオチにはもう驚いて驚いて。なんていうか、この映画と同等の密度を持つ映画はあるかもしれない。けど、現代の同等の映画はこの映画の背を追っているわけで、この映画を追い越すことと言うのは本当に困難なことではないかと思う。  あまりに硬質な演出が、アホな幼稚園児に分かるはずもなく。アホな中学生が狂喜乱舞するにはあまりにもちょうど良く。昔を懐かしむアホがもう一度驚くに十分すぎる。これ以上ない完成品である。  しかし、ラストシーンのとらえ方が結構変わっていてそこに一番驚いた。オイオイオイオイなんで行っちゃうの!から、そう、それしかないでしょ。絶対それしかない。予感すらない。に変わっていた。あの後味がたまらん。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2009-11-24 20:51:50)
39.  ロッキー 《ネタバレ》 
傑作。  できすぎでしょう、この脚本。全然無駄が無く、風景や色味からさえも登場人物の人生観と息苦しい閉塞感が伝わってくる。画だけでは伝わらないはずの心情や、横たわる不安感を伝えてしまう。どうしたらこんな話が作れるのかな。  スポ根ものとしても無茶苦茶にできが良いので、簡単に感情移入ができる。それだけに、最後の結果を見たときにはもう・・・感動しまくってしまう。また、この頃のスタローンていうのはサブキャラの細かい心理や、それと絡み合う主人公の生き様や実直な性格というのを繊細に描いている。明らかに天才なのに、違う方向に向かってしまった。  しかしそれでも、戦争路線で人気が爆発してしまうあたりは多方面に才能があるからなんだろう。だからなおさらこのままの路線で脚本家としての純度を高めた作品を観てみたかった。  エイドリアンとの恋愛描写や、人生との戦いにあきらめない心理描写、誰もが一途である世界観など、神がかり的に巧くいっている。仮にラストの試合描写がエンドロール前の述懐で唐突に終わってしまってさえも、全く映画としての完成度に影響しないとすら思える。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2009-11-15 22:28:12)(良:1票)
40.  スター・ウォーズ/帝国の逆襲 《ネタバレ》 
傑作。最高に盛り上がる。   4の黒沢みたいなそれっぽい雰囲気は無くなったが、その代わりに「絶望感」や「出口が見えない閉塞感」というこの手の話には欠かせない感覚が埋め込まれている。  一つ一つのエピソードが重圧を持っていながら、それぞれに解決が施されているため、受け手に耐えきれないほどのストレスを与えない気配りをしながらも、共和国(共和国というものを善の終着点と定義していたのか?謎)が追い詰められていく物語の方向性は、巧妙かつ計画的だ。旧シリーズがここで推進力を得て、日和ったとしか思えない方向に行っても、残った力でうまいところまで飛ばしてしまわせることに成功している。  一方で、6があんな風に終わってしまうからこそ、こんなにも何もかもうまくいかない5が重圧を掛けてきても発散を求めて耐えることが出来るのかもしれないし、30年前のシリーズものとして早すぎたがために現代に見ても、良く出来すぎた昔の映画ということになるのかもしれない。
[地上波(吹替)] 9点(2009-11-15 20:19:05)(良:1票)
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