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Nujabestさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 112
性別 男性
自己紹介 10点---- 個人的ツボ。欠点なんて知ったこっちゃない映画。
9点---- 完成度高し。人にすすめたくなるような映画。
8点---- 良作。ちょっと気になる点も。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順123
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21.  愛のむきだし 《ネタバレ》 
今年色々な所で絶賛だった映画。しかし4時間という長尺なので中々手を出せずにいた。年末のこの時期になってようやく観賞。ひとことで言えばカオスな映画。この映画はアジアの都市、東京でないと作れないだろうな、きっと。それくらい色々なものが混沌としている。正直、演出もシナリオも質が良いとは言いがたいが、役者陣の熱演と情熱で最後まで見せきってしまう力はある。編集のテンポ、小ネタが良い。そしてゆらゆら帝国、ボレロなど、音楽の使い方が上手い。余計なエピソードも多いが、まさに見せ場のごった煮であり、すっきり絞って描くと、このわけの分からないエモーショナルなパワーもなくなってしまうのだろう。駄作と傑作をたゆたうこの感じは何とも言えない不思議な感覚だった。印象に残ったのは満島ひかりの素晴らしい演技、そしてカオリがテツに復縁を迫るシーン。まさに愛のむきだし、発情期のチンパンジーの雌を見ているような衝撃である。車ごと体当たりしてくるんだから笑える。奥田と安藤の娘、コイケの存在感も凄い。ところで、板尾に少女虐待させるなんて、「役とはいえギリギリじゃないだろうか・・・」とも思ったが、あろうことかペ○スを切り取られるという贖罪を受けるので、園子温監督のブラックジョークにはすっかり感心させられてしまった。
[DVD(邦画)] 7点(2009-12-27 07:19:32)(良:1票)
22.  酔画仙 《ネタバレ》 
この監督は画作りが本当に巧いと思う。ひとつひとつのシーンが実に美しい。ただ、自分は物語が映像にのっていかないと退屈するタイプなので、観るのに非常に体力を要した。瞬間的な感動はあっても、それ以上の持続的な感動には達しなかった。そういう意味では、同監督の、風の丘~の方が遥かに良い出来だと思う。(あちらも物語は希薄ではあるが)この監督、既に100本以上撮ってるそうだが、近年の作品は観る人を選ぶ映画だろう。(自分は最近の4本しかみてない) 特に印象に残ったのは、チェミンシクの熱演。そして、床に精液が墨絵のように散らばるショットのやるせなさ。思わず「せつねぇ」と心の中で呟いてしまった。
[映画館(字幕)] 5点(2009-09-23 22:40:29)
23.  おくりびと 《ネタバレ》 
死というものを生業の一部としている人間の成長ドラマを描くと同時に、死というものを遠ざけている現代日本人の姿を浮き彫りにしていたと思う。スーパーで大量陳列されているような(死を感じさせない)肉は平気で触るし食べるのに、生きているタコには触ることができない。そんな妻の姿は、どこか自分とかぶるところがあった。今の日本人の象徴があのヒロスエなのだと思う。子供の頃は平気で昆虫とかゴカイとか触っていたが、今は触れることさえ勇気がいる。日常的に触れていないと、段々と想像力が台頭してきて、恐怖が勝っちゃうんですよね。現代社会も、「死」は現実より切り離され、病院や屠殺場に押し込められている。医学や流通の発展は生活に多大な恩恵をもたらしたけれど、精神面では何かを少しずつ欠落させていってるような気がする。だからこそ、この作品の発した「死とは普通なもの、自然なものなんだよ」というメッセージには、大いに共感する。死が身近に存在した昔の伝統的な日本の姿を思い出させてくれる、生きる活力を与えてくれる良い作品だと思う。そして、そういう活力の根源は「笑いと愛と食」だよなと再認識。中身については、ファーストシーンでぐっと掴まれた。その後の導入部はナレーションが饒舌すぎて気になったが、総じて脚本は巧い。「生と死」を根底の軸としている映画だと思うので、ご都合主義に見える死によっての問題解決も気にはならなかった。ところで、ルーズソックスに込められた愛らしさの表現や、川原で佇んでいる所に霊柩車のクラクション(あの独特の音)が鳴るという笑いは、日本に住んでいる人にしか伝わらないだろうなー。土手でのチェロなど、多少しつこい部分もあったのでこの点で。
[地上波(邦画)] 8点(2009-09-23 18:13:56)
24.  クラッシュ(2004) 《ネタバレ》 
群像劇を2時間以内に纏めて人間の本質を描ききっているのがまず見事。それでいて、差別、銃、宗教、メタファーを絡めながら各々のドラマを配置している。実に巧い。群像劇の弱点のひとつである、それぞれのエピソードの深みにはかけるものの、映画そのものがテーマをじんわりと浮かび上がらせているので納得の出来。自分が一番に思ったのは人間とは表面的には全くあてにならないということ。例え口や行動で正義、差別反対を唱えても、そんなものは見せ掛けだけにしかすぎない。人の行動、言動には必ず動機があり、それが「他人を思う気持ち」から発せられたものかどうかは行動や言動では分からない。正義とは他の理由を動機にすることも多いと思う。例えば若い白人警官。かれは、黒人を殺してしまったけれど心の底には「黒人は何をしでかすか分からない」という気持ちがあったのだろう。それまで彼は、"自分の価値を支えるための正義"で自己満足に浸っていた節がどこかにあったのかもしれない。白人ヒッチハイカーだったら同じことが起こっただろうか。差別というものは実に巧妙に人の心の隙間に忍び込んできて、ふとした瞬間、なにかがクラッシュした瞬間に突然堰を切ったように溢れ出す。それが、普段は抑圧して顔を出さないその人の心の奥に潜む真実だ。心の中まで、差別をしない人ってほとんどいないんじゃなかろうか。この点は、非常に考えさせられた。この物語の人物達は常に不安を抱えていて、見えない何かを恐れている。不安ばかりが蓄積し、想像が暴走し、予断と偏見つまり差別を生み出す。本当に心があたたかい人とは誰なのか、その見極めは本当に難しいことだと思う。話しあう、喧嘩、抱き合うなど身体と言語による衝突を経て人間は理解しあっていくしかない。その他感心したのは、被差別者が差別反対を訴えながらも差別をしたり、黒人が「白人と仲良くしている黒人」を疎む箇所。そして、この作品は、人間の冷たさだけを描くだけではなく、人間の持つあたたかさを同時に描いている。これも人間の持つ本質的な真実であると思う。空砲を買った女性、病気の父親の為に口を滑らせ差別した男、ずっと黒人に奉仕してきて裏切られたのに泣き言一つ言わない男、昔は正義を志し黒人犯罪を目の当たりにして暗黒面に陥っていった警官が救出した行動、どれも考えさせるエピソードばかりだった。
[映画館(字幕)] 8点(2009-08-29 10:16:45)(良:1票)
25.  運命じゃない人 《ネタバレ》 
これは面白い。邪道だが、先日図書館で借りた05年のシナリオ年鑑に載っていて、脚本を読んでからの鑑賞。読む分においてはその脚本の上手さに脱帽。9~10点に近かった。ということで、借りて見てみました。何かいろんな意味で裏切られた。スタイリッシュで小粋な映像を予想していたので、ここまでコメディに味付けしているとはちょっと予想外。まぁこのダササも、これはこれで成功していたと思う。味があるといいますか。中村靖日さんを主役に据えた時点でこう撮るしかないな。それほど強烈キャラ。特に足首の演技には魅せられた。ラストがシナリオとは異なっていたので、最初あのおっさんが誰かわからなかった。なるほど。細かい。ところで、神田役の山中聡もどっかで見たことあるなーとずっと考えていたら、「ハッシュ」の濃いキャラの人じゃないですか(笑)この人も演技上手いなw 内田さんの他の作品も観てみようと思います。表層的なユーモアだけに頼るだけじゃなく、脚本の構成や仕掛けで、人を楽しませようとしているのが伝わってくる映画というのは、やはり嬉しくなってしまいます。
[DVD(邦画)] 8点(2009-08-24 01:43:45)(良:1票)
26.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 
予告見た印象では、一時期流行したセカイ系を踏襲しただけの作品かと思っていたが、曾祖母や親戚を巻き込んでの縦の繋がりや、一族の連帯感を投入してきたことは斬新だった。しかし、前半あれだけ人間同志の連帯感を意識的に描いた割には、クライマックスの戦闘シーンで、格ゲーや花札で「個VS個」の戦いに変貌するところなど不可解な点も。だが、所々で甲子園の実況中継を印象的に挿入してきたことで、「あーなるほど」と納得。この監督さん野球が本当に好きなんでしょうね。自分も大好きなスポーツなんだが、後半の戦闘シーンの描き方なんて野球の攻撃とまるっきり一緒。野球は一見、個VS個のスポーツに見えるのだけれど、チームの連携無しには成り立たない競技であり、そこに人間と人間の繋がり、つまり小さな運命共同体である社会が存在する。失敗する人がいたり、それを挽回する為に頑張る人がいたり、それらをお互いにカバー、連携しあってゲームを作り上げていく。そして勝敗が決まる。やはり、意図的にセカイ系とは一線を画す作品にしようと努力したのだろう。ところで肝心の内容なんですが、主人公が野球で言えばサード辺りをやっているようでイマイチ没頭できず。やはり映画の主人公は一番活躍して欲しいというのが正直な所。ピッチャーであり4番である必要もないが、せめてドでかいホームランくらいは打って欲しい。なんか活躍が、地味といいますか…。多分成長する前の段階を丁寧に描いてないからだと思う。それ故に、ナツキが侘助へ抱いていた憧れなのか初恋なのか分からない感情が、ラブマシーン(その感情のメタファー?)をぶっ倒すことで、主人公への恋に発展したという展開も、やや唐突で説得力が足りなかったように思う。他の選手の活躍は、各々泣き所があって良かったのだが。みんなが主役の物語ってのも悪くないが、自分は物足りませんでした。一番印象に残ったシーンは大屋敷の長い縁側で、各々が死の悲しみに浸っている箇所。人間と自然が一体となってる感じ、生と死が身近にある日本の田舎の原風景を描いているようで素晴らしかった。
[映画館(邦画)] 6点(2009-08-21 22:08:36)(良:2票)
27.  マッチスティック・メン 《ネタバレ》 
この映画の何が上手いって、クライン医師の登場のさせ方につきる。ロイは導入部で段々と潔癖症だと分かっていく。カーペットの上のゴミ一つ許せない、脅迫的に掃除するシーンを先に見せる。そこに、ガサツな相棒が、自然な流れでやってくるのだが、ジャンクフードらしきものを食らいながら突入してくるし、土足で踏み込んでくるわで、見てるこっちもロイと同様にイライラ。ロイが一生懸命に掃除してた、塵ひとつ落ちてないカーペットを汚しまくる。そんな折に、タイミングよくクライン医師をロイに紹介。普通に紹介してたのなら、あんな怪しい男が紹介するセラピストなんて信用できるわけが無い。しかし主人公は電話してる際も、指紋の方が気になっていて疑う余裕すら無い。相棒もちゃんと拭くと言いながらケツに挟んで受話器を拭く(笑) これは後半、空港で使った詐欺の手口と同様で、他の事に気を取られている隙に騙すテクニックそのものである。この辺りの一連のシーンの流れの上手さには唸った。自分は最初からこのセラピスト怪しいなと思っていた。なぜなら、靴を家具の上に投げ出す不遜な態度でセラピーにあたるからだ。しかし、このことは後半で職業を見破る際の伏線として回収しており、そういう疑い深い人たちの疑念を薄くする仕掛けまでほどこしてある。そもそも、"罪悪感で、葛藤し精神病に陥る詐欺師"という設定がとても良いし、脚本にまで詐欺師のテクニックを上手に応用して使っているのは素晴らしいの一言。ただし、あのコンゲームの歴史的名作のような爽快感がないのは、あの映画とは逆に完膚なきまでに騙されてしまったからだろう。ロイの精神的成長につなげているのは素晴らしいが、ドラマの爽快感としてはやっぱり敵わないな。余談だが、詐欺にかかりやすい人というのは、弱点を持っている人、確固たる自分を持ってない人、他人の評価に左右されやすい人etc…だそうだ。"弱点を持っている人”というのも、この脚本では上手いこと使用してある。
[DVD(字幕)] 9点(2009-08-16 13:34:05)
28.  モーターサイクル・ダイアリーズ
モラトリアムに浸かって青春を謳歌し、足掻いているような男性にオススメ。旅というものの良さを改めて感じさせてくれます。養老孟司が言ってた、"自分の世界観が「変わる」ことに勇気を持ち、それを楽しめ"って、まさにこういうことなんだろうなあ。"男らしさ"って言葉は不適切かもしれないが、変わることに勇気を持ち自己を磨きあげていける人間こそがイイ男になっていくんだろう。前知識として、チェ・ゲバラという人物を頭に入れて見るとよりいいかもしれません。やっぱロードムービーはいいですなぁ。映画として観たというよりも、一緒に旅に行ったような気分になった。映画として見ると微妙なところですが、観て損はないと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2009-08-16 12:56:42)
29.  トウキョウソナタ 《ネタバレ》 
家庭というものが形骸化、空洞化し、ギリギリのとこでなんとか成立している家族というのは、まぁ陳腐だがリアルなのかもしれない。しかしやや不満もあった。ここでは、主役の父親について。彼には、自分なりの理想とすべき威厳のある父親ってのがあるらしく、それを家族の前で虚勢を張って示している。しかし実際はプライドが邪魔をして本来の自分を家族の前で晒せないでいる可愛そうな男。ちょっと切ない。後半、車に轢き逃げされて覚醒するのだが、これも副次的なものにすぎず、自分から変わってやろうという意志が最後までほとんど感じられない。どこまでも受け身な感じが気になった。そしてラストに向かうわけだが、あの終わりだと、子供の才能に希望を託して終わったようにしか見えない。息子が弾く『月の光』は、親が太陽になってあげないといけないってメッセージなのだろうか?(月光は太陽無しには成立しませんからね)何れにせよ、ぶっ壊れた家庭の中に存在する、うっすーーい希望しか描かれていない。それ故に、あの父親のままだと、挫折ゆえに満たされなかった不満を子供に押し付けるような教育パパになってしまいそうな危機感が募る。親自身が発光して見えないんですよね。自分の満たされないモノを子供の価値で満たそうとする親っているじゃないですか。ああいう人達とダブって見えて、「これでいいのか…?」と何とも煮え切らない結末だった。父親の精神的成長をみたかったです。家族全員、落すなら落して欲しいし、希望なら希望を見たい。末っ子だけじゃなくて。父親が朝ピアノを買って自宅に戻ってきて、朝食後、「月の光」を息子がリビングで弾くという展開ならまだ納得できたかも。何れにせよ、どうにも中途半端で、映像と音楽の良さに脚本が追いついていない印象。役所の登場シーンは言うに及ばず、構成、台詞などもいまひとつ。しかし、ホラーとコメディを交互に行き来する不思議な世界観は充分に堪能。一番笑ったシーンは、キッチンで大威張りしてる父親のシーンの次に、ハロワの階段に並んでる父親を上から目線で撮ったシーンをつないでいるとこ。ニクイ。サントラ欲しくなった。
[DVD(邦画)] 6点(2009-08-16 12:50:03)
30.  ぐるりのこと。 《ネタバレ》 
現代日本の問題と希望を法定画家という視点を通して描いた作品。橋口監督が得意とする感情の細やかな描写が冴え渡る。これまでの橋口作品の印象は、短歌のように感情の機微を描写したシーンの集合体であり、悪く言えば寄せ集めの歌集のようなイメージが拭いきれなかった。しかしこの作品は、それぞれの歌が総合的に共鳴し、一体となって感情のうねりのようなものを生み出している。鑑賞後、あたたかい涙が流れる素晴らしい作品だった。この監督の眼差しが心に沁み込むのは、自身が患った鬱病や同性愛者として社会から受けた偏見、それらによる実体験に基づいて、真摯に人間と向き合ってきた結果なのだろう。本当に沢山の人間の美しさや汚さを見てきたのだと思う。そしてこれ程までに、日本人の美点と欠点、その両方を鋭く描写できる監督は、僕にはあの小津監督以外に浮かばない。小津は省略が上手い監督であるが、橋口はその逆の長回しでその場の空気感を伝えるのが上手い。両者に共通するのは日本を愛する心と繊細さとユーモア。そして、この映画では、監督が今の日本を憂いていて、どうしてそうなったのかを、失われた10年を振り返ることで問題提起しているのだなと思った。どこまでも日本というものに拘って撮った作品であるのは間違いない。個人的に印象に残ったのは、日本人の愛情表現を描写したシーンの美しさ。欧米の方が見たら、こんな感想を持つだろう。なぜ彼女を強くハグしないんだ、なぜキスをしないんだ、なんで愛してると言ってあげないんだ、等々…。こういった疑問には、こう答えるしかない。「これが日本人である」と。最後の方のシーン。二人で完成した天井画を見つめ寝転がる。そっと手をつなぐ。そして、足でお互いを蹴りあう。素晴らしい日本的な愛の表現方法だと思う。しかし、悲しい哉、時には直球で表現することも必要なんですね。それは日本人の欠点。白黒つけず曖昧なままだったから、カナオを女好きなだけな男だと勘違いして、ショウコは勝手に妄想爆発して病んでしまったのでしょう。段々分かってくるが、彼は"ヒト"が好きなのである。その眼差しは、どこまでも多角的であたたかい。ところで、この夫婦は、死んだ老婆のようにスケッチされた女性の心も救ったのでしょうね。大事に持っていたカルキ臭い壺が割れたのは爽快だった。はからずも、小津の傑作『晩春』の壺を思い出した。
[DVD(字幕)] 10点(2009-07-22 21:11:14)(良:2票)
31.  サイドウェイ
ちょっと想像して欲しい。絶倫の松岡修三と、少し知的な小日向文世が男二人で旅している所を。  ね? 面白そうでしょ? ほんっとに、くだらないおっさん二人のロードムービーなんですが、人生の深みや味というものを教えてくれます。気だるい休日の午後に最適の映画。そのままワイン飲みながら、シエスタってのもオツですね。で、全裸のオッサンが全力で追いかけてくるシーンで起こされるっと(笑) とにかく、ほんと好きです。じわじわくる良さといいますか。しかし、知りませんでしたがゴールデングローブ賞など賞取りまくってるんですね。かなり、お下品な内容なのですが…(失礼) んー、アメリカの懐の広さを感じる…。
[DVD(字幕)] 7点(2009-07-14 15:35:44)(笑:2票)
32.  秒速5センチメートル 《ネタバレ》 
アニメーション特有の汚いものを一切排除した世界。とにかく背景は他に比肩するアニメが無いほどに美しい仕上がりだと思います。ただ、登場人物に生命力や躍動感が感じられず、そこがこの作者の弱点なのでしょう。肝心のストーリーも、ナレーションに頼りすぎで、もう少し面白く展開できなかったのかな、と。キャラを動かすのには手間がかかるのはわかるが、それ以外でも工夫ができる筈。例えば、各話を結ぶ共通点や繋がりを薄くし、3話目で実は全員タカキだったことを明かすとか、そういう細かな技巧と伏線を脚本に挿入していけば充分に楽しめたのでしょうが。何の仕掛けも無いため、本当に只のオムニバス映画に。アカリへの恋心という各話を貫く棒の如き物はあるのだが、ただそれだけ。もっと工夫が欲しかった。
[DVD(邦画)] 5点(2009-07-12 20:31:47)
33.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 《ネタバレ》 
このアニメが始まった当初、シンジやレイやアスカと同じ14歳だった。そして、それ以来その倍近くの時間をこの作品と共に過ごしてきたわけだけど、今劇場版の破の上映時間中ずっと、過ぎ去った過去の膨大な記憶が怒涛のように押し寄せてきた。ああ、俺も大人になったんだなあと思った。そして、もうあの頃には戻れないんだということをはっきりと感じた。なぜか目頭が熱くなった。ダウナーな世界に入り浸り、その世界にカタルシスを感じていたあの当時、誰もが見たかったエヴァ、心の深い奥底で無意識に望んでいたエヴァはこれだったのかもしれない。仕掛けられた謎や難解さで注意を引き膨大な奥行きを感じさせるあの魅力とは違う、心の鬱屈した部分をナイフで抉り出すあの魅力とは違う、心の奥底でこうなって欲しいと漠然と思っていた形が眼前に広がっていた。いや、こうなって欲しいという想像を軽く超えていくほどに素晴らしい出来栄えに仕上がっていた。心のツボを同時に四方八方から強烈に刺激されている感じさえした。動機付けや設定にメスを入れ、娯楽追求を徹底していた。特にシンジ、レイ、アスカの変貌ぶりには泣かされてしまった。各キャラに、人間らしいあたたかな感情が流れている。REBIRTHで激しく心を揺さぶられ、その後の夏エヴァでどん底に叩き落され、激しいトラウマを与えられ現在に至るのだが、これからまた前回のように叩き落とされるのかもしれないという一抹の不安はある。頼むからこのベクトルを保って欲しい。暗闇の中に燻る希望の光も描いて欲しい。次作以降でまたトラウマ方向に持っていかれたら、自分の中で、この『破』をヱヴァンゲリヲンの結末にしようと思う。 未完なままでもいい。それでいい。
[映画館(邦画)] 10点(2009-07-12 14:44:19)(良:2票)
34.  Mr.インクレディブル 《ネタバレ》 
良く出来た脚本の隙間を縫うように、デフォルメされたアニメーションの動きで魅せる。娯楽を通り越して、おもてなしの精神さえ感じた。つまらないと感じる暇がないほどに。宮崎駿が初期~中期アニメで得意としていたものが、ピクサーの中で確実に消化され息づいています。マイナスをつけるとすれば、都市戦に移行してからの失速か。しかし、面白いです。夫婦喧嘩、兄弟喧嘩が面白いので是非吹き替えで。水を疾走するシーンはポニョに軍配。
[ビデオ(吹替)] 8点(2009-07-07 18:30:21)
35.  シティ・オブ・ゴッド 《ネタバレ》 
何ともおぞましい一つのスラム街の子供たちを、徹底してエンターテイメントとして描く。スタイリッシュな映像で且つ脚本的に面白く、娯楽映画として味付けしているのはわざとでしょう。吉行淳之介の名言「汚れるのが厭ならば、生きることをやめなくてはならない。生きているのに汚れていないつもりならば、それは鈍感である。」という言葉を思い出す。私たちは遠い世界の関係のない話と思ってこの映画を楽しむ。エンドロールまでは。しかし、最後の最後で実話と知る。そこで気づく。この話の遠因には常に私達がいて、搾取する側と搾取される側の深い深い溝が横たわっている。先進国が豊かでいる一番下で、こういう子供達が懸命に支えている。そのことを重い現実として受け止めなければならない。先進国の人々は、汚れていないつもりで生きている。そのことに対する強烈な皮肉だ。ナイロビの蜂でも思ったが、この監督は余韻の棘を観客に打ち込むのがとても上手い。
[DVD(字幕)] 8点(2009-07-07 17:52:12)
36.  崖の上のポニョ 《ネタバレ》 
これ『5歳児向け』のかなり限定された作品なんですね。子供で言えば3歳~8歳くらいまでしか楽しめないだろうな~と思った。なぜなら、自分が小学校の頃の思い出に即して言えば、こういう起承転結のはっきりしていない物語は嫌いだった。例えば、宮沢賢治の「やまなし」とかがいい例。国語の教科書で出てくるのですが、起承転結もはっきりせず、「クラムボンって何?」とか「何が言いたいか分からん」とか授業中ずっと考えていた。で、先生に聞いても親に聞いても、彼らですらアヤフヤなこと言ってる。子供ながらに「全く糞つまんねー話だな」と思った記憶がある。大人になった今読むと、すごく想像力を鍛えてくれるいいお話だと思うのですがね。星の王子様とかもそうですね。 このポニョという話も一緒。理解不能の生物がうようよいて、プロットが分かるように作られていない。自分が小学生だったら、「なぜこうなるの?」「どうしてこうなるの?」と親に質問しまくっているに違いない。海を走るとか、おもちゃの船に乗るという設定はワクワクするから許せるとして、なぜこういう展開で話が進んでいくのかが分からないと忽ち不満になる。大人でさえ意味を掴みきれず、自分なりの解釈を持って説明しづらいのに、それをどうやって子供に説明するのか。ポニョソングで誤魔化して、子供をいなしている親の姿が目に浮かぶ。まぁ、ポニョと波が宗助に突進してくるあのダイナミズムや、泡とかクラゲとか、おもちゃの船にのっちゃう所とかのデティールは充分楽しめるでしょうが。しかし、やはり宮崎駿ですね。どんなにVFXやCG、画像処理の技術などが発達しても、キャラクターの持つあの躍動感と生命力はまだまだCGでは表現しきれてないなあと思いました。大人である自分から見たら、想像力を使わせてくれる壮大な御伽噺であり、最後レスキューらしきものが見えたときの現実的な展開には思わず涙腺が緩んでしまった。本当は怖いおとぎばなし。出てくる度に説明台詞を吐くフジモトに-1。リサのダメ母っぷりに-2。宗助がしっかりしすぎているのがなんだか可愛そうに思えた。子役二人は声優並に良かった。
[DVD(邦画)] 7点(2009-07-07 00:21:33)(良:1票)
37.  パッチギ! 《ネタバレ》 
ドラマはなかなか丁寧に描かれていて泣かすまでの仕掛けは用意周到。しかし、その感動の隙間に作為的な情報を巧妙に仕込み、テーマの位置を意図的にずらしているように見えることによって駄作に。現代プロパガンダ映画の常套的手法ですね。こういう部分がはっきり見えちゃうと一気に冷める。泣きながら一気に覚めるという不思議な現象を体験した。社会的な問題を含む作品の場合、観る人の価値観や歴史観との乖離によって評価が左右されるのは仕方ないが、身近な問題でもあり、ちょっと露骨だった。青春ラブストーリ云々というのは、言い訳用に配置しているようにしか見えず、もしこのことを脚本のテーマの核とするならば、このような比重の置き方をして描くことはしない筈。もっと最後は素直且つ丁寧に描きましょうよ。キョンジャが川を越えて康介に会いに行く最も大事な局面もさらりとしか描かれてないからいまいち伝わらない。何も考えずに見ると、葬式のシーンが一番重要なシーン(?)に見えてしまう。『知ることが大事』というメッセージには大いに納得なんだが"感動しました"でそれ以上行動を起こさずに思考停止する人を見越して作ってる感じがどうも透けてみえる。いつもTV見てて思うのだが、この監督「日本人と在日の人がどう共生していくか」ということにはあまり興味がないのかなと思う。この映画も理解の押し付けばかりが目立つ。この映画に限らずこういう問題に対して思うのは、差別、友情、平和、博愛などの言葉のマジックで感情的恐喝に負けてはいけないことだ。相手に罪の意識を植え付けて、それらを謳うのは欺瞞に満ちたやり方。真の友情的で平等な関係ならば、お互いを尊重する気持ちを持って自分の意見を主張をしなくてはならない。それがこの映画では薄いから『虐げられている側が虐げる側に、ただシフトする行為』『罪悪感を巧みに利用して、上下の立場の逆転を試みる行為』にしか見えない。そして不満を誘発するのは、相互の理解を阻害するような映画にしかなってないと思うから。私の在日の友達のほうがよっぽど深くこの問題を考えている。お互いがお互いを差別しあっているから問題であって、そこをしっかり描いて欲しい。脚本は中盤までは丁寧にドラマを描いているので3点献上。この監督の作品で急に世間的評価が上がったのは、脚本を3人で共作したことが主な理由でしょう。
[DVD(字幕)] 3点(2009-07-06 23:56:05)(良:4票)
38.  キャッチ ア ウェーブ 《ネタバレ》 
3人組の悪い奴らが何度も出てきて、恋人二人に絡むシーンには…失笑しました。コントの世界。この映画の何が悪いって、まず間違いなく脚本だと思います。もう少し練るべきだと思います。クライマックスのドラマが薄い、エピソードに意外性がない、観客の興味をひっぱって行くような仕掛けが足りない、アイデアがない、台詞が練られていない等。スポーツものなんでやはり難しさはあるのでしょうが。脳を使う部分がほとんどなく、見るべき点といえば美しい海と俳優陣だけ。。これでは、眠くなるとか面白くないといわれても仕方ない。脚本以外の他の点を述べるなら、天気では苦労したんだろうなー。途中天気が繋がってないところが気になりました。役者はそれなりに頑張ってたのではないでしょうか。脚本の台詞の悪さで役者の台詞まで下手に見えるってのはあったかも。 
[DVD(邦画)] 3点(2009-07-06 22:51:35)
39.  JUNO/ジュノ 《ネタバレ》 
ダイアローグは抜群のセンスで面白いし、キャラクターもキュートで好きな雰囲気の映画なのだけれど、それ以上に感じるものがなかった。ドラマ性が薄く、ストーリーがつまらない。特異な設定やアイディアは良いのだけど、意外性も殆どなく、好きな描写もこれといってない。 これアカデミー取ったのですねえ。と、悪口ばかり書きましたが嫌いじゃないです。
[DVD(字幕)] 6点(2009-06-24 17:41:19)
40.  トーク・トゥ・ハー 《ネタバレ》 
アルモドバルの集大成はこれでしょう。芸術的で且つ娯楽(惹きつける要素)を見事にブレンドさせた脚本。素晴らしい。評価分かれているようですが、完成度は高いと感じました。主題については自分の気持ちと似たようなことを書いてる方がおられたので、ベニグノについて。 彼は軽い嘘の言い訳をしたことで、レイプに対して罪悪感を感じているようにも見えますが、あれは純粋にただ怒られるからという理由なのだと思います。ベニグノが少女に犯した罪は、普通の感覚から見たらストーカーそのもので、気持ち悪いの一言でしかない。少女の視点から描いた作品だったら、まず間違いなく嫌悪の対象でしかなく『ソドムの市』的な作品になってたはずです。この監督はベニグノの視点から、特異な思春期をあえて事細かに描かず、少しの情報しか与えないで観客に境遇の悲惨さ想像させるような作りにしている。つまり説明不足なのですが、それが逆にこの映画では成功していたと思う。思春期の少年が、母親の下の世話などまでしていたのでしょうか。爪を磨いたり、メイクをしたり、身体を洗ったり。愛情というものはそうやって表現するのだということを母親から学んだのでしょう…。そして彼は彼女と相思相愛であるという結論にいきつく。あまりにも悲しすぎます。通常、どんなに親がおかしかろうと、社会と関わり合いの中で自己補正を行って大人になっていくのだろうが、それさえも彼には許されない。不幸の連鎖はこうやって生まれるのだと思った。彼は成人しているので、境遇を理由にはできないと主張する人もいることは分かりますが、明らかに社会に迷惑をかけてしまうパラフィリアで治療の対象であり、精神鑑定が必要な事例だと思います。途中、性の目覚めがサイレント映画を見た後に起こるのだが、ベニグノはそれまでオナ●ーすら経験したことなかったんじゃないだろうか…。これは考えすぎか・・・。などと色々な事を観客に考えさせてしまう悲しい映画でした。しかし、重い・・・重すぎますよ。これ。この話が実話でなくて良かった。
[DVD(字幕)] 9点(2009-06-24 15:56:35)(良:1票)
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