41. ノーカントリー
異様にエッジが立っているシガーのキャラクターに釘付け。モスとの対峙シーンより、一般人とのやりとりが異常性が際だってて怖かった。ヒリヒリするような緊張感の漂うシーンの連続の果てに訪れる、全然解決になってない結末。すごく乱暴なようで妙に納得感があり、その理由を自分ではうまく説明できなかったが、ザ・チャンバラさんのレビューを読んで膝を打つ思いがした。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2009-05-31 22:12:13) |
42. ギルバート・グレイプ
まるで演技ではないかのようなディカプリオの見事な役作りに目を奪われ、一見ギルバートはただ家族のために自分を犠牲にしている良心と忍耐の人のように見えるが、実はギルバートも自我が薄弱で自分の感情に鈍感すぎるというある意味心の障害を負っている人物なのではないかと思った。人に夢を聞かれて他人の望みばかり答え、自分自身の希望を聞かれると「いい人になりたい」なんて言ってしまうのは、単なるお人好しのレベルを超えている。どうみても絶望的な閉塞状況にあって、この映画が不思議な明るさとあたたかみに溢れているのは、たまたま天に授かったこの兄弟それぞれの心の偏りが絶妙なバランスをなして奇跡のような家族愛にあふれた生活が描かれているからだと思う。それにしてもディカプリオはこの頃が一番光ってた。今じゃ才能を持てあますトッチャン坊やになってしまってもったいない。 [CS・衛星(吹替)] 9点(2006-11-08 14:29:43)(良:1票) |
43. 戦場のメリークリスマス
《ネタバレ》 20年ぶりに見て泣いた。ボウイが見たいだけだった若かりし頃は何度見ても「超豪華キャストによる超珍作」でしかなかったが、ようやくテーマの奥深さが分かるようになった。戦争によって「集団で発狂した」日本軍に虐げられつつも、憎むべきは「お前らの神」であり、その殉教者として日本人を理解しようとするローレンスと、悪魔と呼ばれようとも誇りを失わず信念を貫き、自らの行動によって「汝の敵を愛せ」とヨノイに伝えて死んでいったセリアズ。そのどちらをも受け入れず理解を拒む狂信的な日本兵達。戦時下の極限状態にあって、東西の文化や宗教観・人生観を隔てる深くて暗い川の奔流にただただ流されていく男達の葛藤と悲劇が、あくまでも美しく描かれている。ただし、監督の美学を貫いた結果やたら難解な映画になってしまっていて、肝心のテーマが伝わりにくい。少なくとも主演男優は化粧映えよりも滑舌の良さで選ぶべき(笑) [CS・衛星(字幕)] 9点(2006-09-06 10:48:50) |
44. チャーリーとチョコレート工場
一言で言うなら、予想以上に原作に忠実だった。それでいて監督をはじめとする制作陣の原作への深いリスペクトがバートン一流のこだわりとなって作品中に満ちていて、双方のファンである私は始めから終わりまで感激の思いが絶えなかった。特に、チャーリーとその家族のライフスタイルは完璧といってもいいぐらい原作に忠実に再現されていた。ただ、原作でのイノセントな奇人ウォンカ氏を演じるにはデップはやはり美しすぎた。その異質な存在感のせいでウォンカ氏が奇人変人どころか狂人に見えてしまい、結果的に作品のカラーはかなりブラックなものになっていた。ところがそこに原作にないウォンカ自身の生い立ちストーリーを絡めることで、最後にはこのブラックさが一転してハートウォーミングなエンディングにつながるというバートンファンのツボを突いた展開にうならされる。原作を大切にしつつしっかりバートン風味が効いているという監督の職人芸に拍手。マイナス1点は今回はコドモ同行につき吹き替えでしか観られなかったため。 [映画館(吹替)] 9点(2005-10-11 23:42:00) |
45. バック・トゥ・ザ・フューチャー
20年経っても色褪せない娯楽大作としての完成度の高さはさすが!万人向けのエンターテイメントとして、映画で何ができるかという見本のような作品。見るたびに隅々まで小ネタの効いた脚本に感心させられます。個人的には、ドクの過剰な顔演技だけでご飯3杯はいけます。 [ビデオ(字幕)] 9点(2005-09-19 21:24:57) |
46. 犬の生活
たったの40分でチャップリンの才能と映画に懸ける情熱、ヒューマニティを堪能できる傑作。最初に野良犬の群れから子犬を助け出すシーンで、チャップリンと犬たちの激しいからみがみられるが、あれだけの数の犬たちに細かい演技指導ができるわけはなく、ただひたすら身体を張って撮ったのだろうなと思うとため息がでる。最初に見たときはただただ爆笑した二人羽織のシーンも、改めて見るとかなり周到に考えられていて感心する。演出に金をかけたり、テクノロジーの力を借りずとも人の心を動かす映画は作れるのだと実感させられる。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-09-12 04:10:26)(良:1票) |
47. ショーシャンクの空に
最初に見たのは10年前ぐらいか。私の考える名画としての要素をほぼ全てクリアした完成度の高さは、未だに超えるものなし。カタルシスという感情を初めて実感させてくれた作品でもある。143分と少し長めだが、とりあえず人に勧めて金と時間を返せと言われる心配のない映画。善人ぶることなく鮮やかな復讐劇を成功させ、権力よりも知と忍耐が何よりの力であることを身をもって仲間に教えたアンディは滅茶苦茶カッコイイ。短編の原作を名脚本によって見応えのある長編作品に仕上げたダラポン監督に敬服する。また、ホラー以外の作品で思い知らされるストーリーテラーとしてのキングの才能にも、改めて感嘆させられた。 [DVD(字幕)] 9点(2005-05-03 00:29:03) |
48. ブルース・ブラザース
開き直ってカントリー&ウェスタンを演じるシーンが結構好き。決して王道を行く完成度ではないし品もないけれど、ひたすらソウル・ミュージックへの愛にあふれている。B級コメディの傑作! [DVD(字幕)] 9点(2004-10-09 20:10:59) |
49. もののけ姫
森の緑が非常に綺麗で目が癒される。「あー楽しかった!」で終わりの子供向け映画ではないので、子供と一緒に観ていて「このひとは、わるもの?」と聞かれて即答できないところが素晴らしい。エボシは私が今まで観たアニメ映画史上に残るいい女だった。サンの声優キャストがあんまりだったのでマイナス1点。松田洋治氏の実力と不釣り合いすぎ。他のキャスティングは良かったのに残念。余談だが、たたら場に夫婦はいても全く子供がいないのが不思議だった。男どもが去勢でもされてるのか? 9点(2004-10-09 11:21:50)(笑:1票) |
50. ロング,ロングバケーション
年季の入った名優ならではの演技。というかさすがに主演お二人ともお年を召しているので時々演技なのか素なのか分からずハラハラしたり。最初から最後まで老境を迎えた大人のためのおとぎ話なのだが、舞台はアメリカだが内容はイタリア映画的な情の深さが感じられ、ちょっと羨ましくさえ感じた。 [映画館(字幕)] 8点(2018-06-11 22:55:11) |
51. gifted/ギフテッド
天才少女の天才ぶりと無邪気な子供っぽさの見せ方が絶妙で、ギリギリあざとさを感じない演出が良かった。 [映画館(字幕)] 8点(2018-06-06 02:06:37) |
52. あん
《ネタバレ》 希林さんのやさしさがにじみ出るような笑顔につられてつい何度も顔が微笑んでしまった。これが他の人ならイラッと来るばあさんになりそうなキャラが、彼女だと何故か許せてしまう。キャスティング大当たり。重いテーマとはいえ、物語はひたすら淡々と静かに進む。じっくり鑑賞できる良作だと思うが、映画館の暗く温かい席では心地よい音や色彩にうっとり寝てしまいそうになるかも。個人的には映画館よりも自宅でのんびりDVD鑑賞の方が向いている作品だと思った。粒あん大好きな私は自分でもよく小豆を炊くが、次からはもっと愛情込めて炊いてあげようと思った。そして千太郎の作るちょっと小ぶりで皮がふっくら柔らかめなこのどら焼き、もしや・・と思ったら、やっぱりエンドロールにうさぎやのクレジットが。また食べたくなった。 [映画館(邦画)] 8点(2016-03-28 00:53:26) |
53. カリフォルニア・ダウン
典型的な娯楽大作仕立てのパニック映画として優等生な出来。冒頭から早々に主人公がスーパーマンであることを見せてくれるので、もはや大船に乗った気分で安心して先にすすめる。とにかくCGが見事なので、なりふり構わずのご都合主義を仕様として心寛く受け入れ、それはそれとして突っ込みを入れつつ流す心の余裕さえあれば、それなりに楽しめる。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-02-15 23:47:37) |
54. 天才スピヴェット
2Dにて映画館で鑑賞。映像美を堪能できるという点ではジュネ監督らしいが、今回はターゲットがファミリー視聴者なのか、シニカルな毒気はほとんど感じられなかったのがやや残念。お子様と一緒でも安心して観られます。家族全員が変人だなんて素晴らしすぎる。特にママ、最高です。変人故、両親共に子どもへの愛情表現が独特すぎて子どもに伝わりにくいけれど、彼らなりに心底家族を愛しているのだということが最後には伝わる。そしてアメリカ横断鉄道の旅の壮大な景色はとにかく美しく、是非大きなスクリーンでの鑑賞をおすすめする。 [映画館(字幕)] 8点(2015-06-25 02:06:08)(良:1票) |
55. ブラック・スワン
地味に激痛シーン満載で変な汗が出た。ラストは賛否両論出そうだが、私はまさにパーフェクトだと思った。真面目で繊細で完璧主義のプリマが壊れていく様が妙にリアルに思えたのだが、実際にプロのダンサーとして世界の一線で日々プレッシャーと闘っている人が見たらどんな感想を持つのか、ちょっと聞いてみたい気がした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-01-31 17:40:23) |
56. 舞妓Haaaan!!!
《ネタバレ》 クドカン&サダヲが苦手な人には拷問のような映画かも。自分にとってはクドカン節にどっぷりはまったサダヲワールドを満喫できて大満足。家族と一緒に「キモイ、キモ過ぎる~!!」と爆笑しながら一緒に突っ走り、後に何も残らないこの爽快感(笑)。ところで、これまで白塗りの舞妓さんの容姿は正直キワモノに思えてしまい、女性として美しいと思ったことがなかったのですが、小出早織の舞妓姿は素晴らしかった!まさにお人形のような可憐さや女性らしいたおやかさが感じられ、柴咲コウより1000倍似合ってました。あそこまでガッツリ白塗りすればみんな一緒かと思いきや、実はむしろものすごく素顔の造形により向き不向きがあるメイクだったとは、目からウロコ。舞妓の魅力に気付かせてくれたというキャスティングの素晴らしさにプラス1点。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-10-03 18:51:41) |
57. マーティ
《ネタバレ》 いやー、婚期逃して親や世間にやいやい言われるとか嫁姑同居問題だとかって古今東西を問わず普遍的にネタにされるのね。50年以上前の作品なのに、むしろの遅咲き婚活流行りの現代のアラサー・アラフォー恋愛事情においてタイムリーと言える内容かも。元祖モテない系のマーティが棚ぼた初デートで思わずがっつき過ぎて引かれるくだりは、妙にリアルで苦笑。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-09-24 00:52:41) |
58. 悲しみが乾くまで
《ネタバレ》 邦題がなんだかなーだったので期待せずに観たが、思わぬ佳作を発見した気分。冒頭からすごく丁寧な画像に惹きつけられ、なんだろう?と思うウチにドラマに引き込まれ・・ただちょっと麻薬中毒からの再生を綺麗に描きすぎというか「そんな簡単なもんじゃないだろーよ」と思わず画面に突っ込み入れたくなるシーンもあったが、それを見せたかったんじゃないのかも知れない。扱ってるテーマが重いのに表立って非道い人間が出てこないのも後味の良さにつながっている。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-04-18 17:09:59) |
59. まだらキンセンカにあらわれるガンマ線の影響
かなり古い映画なのに内容は現代にも通じる。この作品から40年近く経った今も、世界中にこういう状況の家庭はあるだろうし、同じように人知れず傷ついたり悩んでいる子どもも多いのだろうと思うと、ちょっと切なくなる。今の子どもが目にする機会はあまりない作品だろうし、展開が冗長過ぎて嫌われるかもしれないが、時代を問わず、思春期の子どもが見たら何かしら心に響くものがあるであろう佳作。なお、毎日ニュースで天気予報と並んで「本日の空間線量」がレポートされているという現在の日本の状況下でこの作品を観ると、映画と現実世界のどっちがフィクションだか分からなく思えるという、シュールな気分を味わえる。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-03-08 09:37:45) |
60. 野獣死すべし(1980/日本)
松田優作の怪演が凄まじい。彼のヒリヒリするようなキレ芝居を恐る恐る鑑賞させていただくだけでお腹一杯。確実に一見の価値はあるのだけれど、一人の俳優の渾身の演技を堪能できる反面、彼一人の芝居のインパクトがあまりに強すぎて他に何も残らないという、ある意味贅沢な作品。それにしても本当に残念な人を亡くしました・・。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-08-26 00:12:59) |