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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2383
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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641.  燃えよドラゴン 《ネタバレ》 
これが公開された時に日本全国の小中学生へ与えた衝撃というか影響は、今の若者には想像もつかないでしょう。この新しいヒーローの登場が世界に衝撃を与えたとき、本人はすでに早世していたというのもまたドラマチックじゃないですか。当時の中学生たちを魅了したのがそれまで誰も存在すら知らなかったヌンチャクという武具で、たちまちそのおもちゃ版が爆発的なヒット商品になりました。あのブルース・リーのヌンチャクさばきにあこがれて自分も含めてみんな夢中で練習しましたが、たとえおもちゃであろうとも中坊に扱える代物じゃございません。あれは失敗して頭や背中に当たるとおもちゃでも物凄く痛いんです、たちまち学校に持ち込み禁止になりました。でもブルース・リーも映画の中でヌンチャク振り回してたのはほんの数十秒でしたね(笑)。 史上もっとも影響を与えたB級映画は、間違いなく『燃えよドラゴン』です。映画自体は典型的なB級で、ちょっと垢ぬけた香港カンフー映画以外の何物でもありません。でもブルース・リーの研ぎ澄まされた肉体美と怪鳥のようなカンフー、そしてもう顔芸としか言いようのない表情には一撃で魅了されてしまいます。意外と敵ボスが弱かった、なんて細かいこと気にしてたらあきまへん。ジョン・サクソンやほかの武芸者とリーはなんの関係がないという雑なストーリーテリングはどうなの?なんて突っ込みを入れたら罰があたります。そしてこの映画の(今となっては)凄いところは、無名時代のジャッキー・チェンやサモ・ハン・キンポーやユン・ピョウといった大スターたちがエキストラに近い役で出演しているところです。おかげで毎回観るたびに「○○をさがせ」と遊ぶことができます。 映画史上もっとも早世が惜しまれる俳優は、やはりブルース・リーじゃないでしょうか。
[映画館(字幕)] 8点(2019-01-21 21:49:08)(良:2票)
642.  陽動作戦 《ネタバレ》 
サミュエル・フラーの戦争映画は戦争を個人の目線で追うストーリーテリングがその特徴なんだけど、本作はそういう彼の作劇術とはちょっと外れたある意味普通の戦争映画と言えます。 世界中で戦争に明け暮れた大英帝国が「戦争するには世界で最悪の土地」と認めたのはビルマです。雨季の降雨量は半端じゃないし、地勢のほとんどはジャングルで高温多湿となれば西洋人にはそりゃ耐え難いでしょう。そのビルマで戦い抜いた米軍志願兵部隊の史実を基にした映画です。その部隊の創設者というか親玉が、フランク・メリルという准将で、当初三千人規模だった彼らの俗称が“メリルの匪賊たち”でこれが原題です。もっともこの俗称は、戦後メリル自身が話を盛ってでっち上げたもので、これもよくある手柄噺の一つでしょう。ストーリーはメリル率いる部隊が日本軍の後方に侵入して戦闘を続けて激戦地ミートキーナにまで苦労して行軍し先頭に参加するまでを、コンパクトに描いています。メリル准将は部下とともにミートキーナまで行軍して攻撃中に心臓病で倒れますが、実は史実ではかなり初期に発作で戦場離脱していて指揮をとっていないそうで、話しは大盛りになっているわけです。まあそれじゃ映画としたら面白くもなんともないし、そもそもこの映画には特殊部隊の存在を一般世間に宣伝したい米軍が協力していますから、これはこれでありでしょう。 ジャングルを徒歩で移動する軽装備の米軍と戦車も持たない日本軍ですから、戦闘シーン自体は地味です。でも米軍は“弾を撃てば必ず中る状態”なので日本兵はバッタバッタとやられてしまい、「いくら何でもそこまでヘボじゃないだろ」と突っ込みたくなります。それでも駅の操車場でのシーンでは、場内に沢山設置してある三角形のコンクリート・ブロックの隙間で繰り広げられる戦闘シーンは実に不思議な絵面で、この映画でサミュエル・フラーらしさが唯一出ていたところかもしれません。 最後のナレーションにもあるように“メリルの匪賊たち”は結局八割が戦死傷してしまったわけで、これは軍事的には全滅したということです。ビルマでは日本軍も米軍もお偉方の無茶な命令で兵士は大損害を強いられたのですが、最終的に戦争の勝敗によってかたや犬死かたや英雄と後世の評価が分かれてしまうのが、悲しいところです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-19 20:52:20)
643.  ブルースチール(1990) 《ネタバレ》 
『ヒッチャー』の脚本家と駆け出し時代のキャサリン・ビグローがタッグを組んでいます。“ブルースチール”といえばハンドガン(拳銃)の異名であるのは言うまでもありませんが、同時にこの物語ではブルーを基調としたNY市警の制服を暗示しているわけです。タイトなまでの映像美は後年のビグローの片鱗をのぞかせていますが、どうにも脚本の出来がよろしくありません。『ヒッチャー』のルトガー・ハウアーをNYのヤッピーに置き換えたつもりだったと推察いたしますが、ヤッピーの正体がバレバレでバブルな証券マンがだんだん狂ってきて連続射殺魔になるわけで、そこになんらオカルト的な要素はありません。これでは得体の知れなかったルトガー・ハウアーの不気味さの足元にも及びません。そしてヒロインが新人警官という設定もあまり生かされているとは言えず、ジェイミー・リー・カーティスの行動も中盤以降はベテランの貫禄すら感じさせて、これでは“女ダーティ・ハリー”です。終盤の街中での銃撃戦に至る流れも、なんでロン・シルバーがカーティスを見つけることができたのかということからして、なんか脚本が雑なんだなあ。この犯人はスピリチュアルな存在じゃなくて頭がおかしいだけの生身の人間だってことを忘れるな、って脚本家に説教したくなりました(笑)。 現代のNYの最大の脅威はテロリズムですけど、30年前では悪徳弁護士と無能な警察幹部だったということなんでしょうね、きっと。
[ビデオ(字幕)] 5点(2019-01-15 23:39:26)
644.  殺しの烙印 《ネタバレ》 
これは正真正銘のコメディですよ、それも日本映画では他に類を見ないスタイリッシュ・コメディです。 “コメが炊きあがるときの香りフェチな殺し屋” という宍戸錠のキャラは、別に深い哲学があっての設定ではなくなんとパロマガス炊飯器とのタイアップのおかげなんだそうですが、それを知ったときは思わず「まじか…」と絶句してしまいました。そして何度も見返してようやく確認できたのは、宍戸錠演じる花田と組織の中ボス薮原の両者の女房を小川万里子が演じていることです。もちろんメイクや髪形を変えているし彼女自身があまり特徴のない地味な面相(失礼)なので気づきませんでした(お前注意力散漫だと突っ込まれそう)。でも宍戸錠だって薮原に電話したら女房が出てきたことに気が付かないんだから(というか亭主が電話してきてるの女房が平気というのが凄過ぎる)、私と似たようなもんです(笑)。要は冒頭のクラブのシークエンスで薮原と女房が出会って出来ちゃったということなんでしょうが、普通の監督ならこんな演出ぜったいしません。 そしてこの映画のコメディ要素が大爆発するのは、宍戸錠と殺し屋NO.1が不思議な同居対決をするところで、これはもう抱腹絶倒するしかないです。身動きできない状況で尿意を催したら殺しのプロはどうするか?その場合は尿を放出してズボンを通して靴の中に溜める、これをまじめな顔で実演する殺し屋NO.1のプロフェッショナルぶりには大爆笑しました。 まあこれで鈴木清順が日活をクビになったというのは、トップの経営判断ですからしょうがないでしょう。むしろ深刻な問題だと思うのは、こんな才能ある映画作家がその後10年も映画に関われず生活が困窮したという当時の日本映画界の情けない状況でしょう。ハリウッドで現在巨匠と呼ばれる人たちで、若いころ製作者と対立してクビになったけど順調にキャリアを積んできた監督なんてゴロゴロいるのにねえ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-01-13 00:11:52)
645.  刑事グラハム/凍りついた欲望 《ネタバレ》 
これどっかで観たことある話だと思ったら、この映画のリメイクが『レッド・ドラゴン』だったんですね。主人公はFBI捜査官なのに『刑事グラハム』としちゃう邦題のいい加減さ(Grahamは発音としてはグレアムなんだけど、なぜか日本じゃ昔からローマ字読みしてる)は置いとくとしても、レクター博士はもちろんのことクロフォード捜査官やチルトン博士まで登場するんで『羊たちの沈黙』の前日譚かなとも思えます。もちろん『羊たちの沈黙』がスタンダードになっている現代だからしょうがないと言えるけど、あまりにレクター博士のわき役ぶりが残念です。自分としてはマイケル・マンは苦手な部類の映画作家なんですけど、やはりこの人は題材にエンタティメント性を盛り込むのが下手だなと再確認してしまいました。この暗い雰囲気がいわゆるマイケル・マン節で、好きな人にはたまらないんでしょうけどね。でもサイコ・キラー役のトム・ヌーナンは、シリーズ中で一番インパクトが強かったと思います。なんせ『ロボコップ2』の極悪人ケインの人ですからねえ。でもその横顔がよく見ると若き日のマーロン・ブランドにそっくりだったのは新発見でした。 というわけで『レッド・ドラゴン』よりは観られるかなというのが感想ですけど、この映画が『死ぬまでに観たい映画1001本』に入っているのはちょっと解せない。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-11 01:02:53)
646.  ミロクローゼ 《ネタバレ》 
ぶっ飛んでます。山田孝之はへんな役でも感性が合えば嬉々として演じる人ですが、伝説のTV番組『オー!マイキー』や映画『狂わせたいの』で知る人ぞ知る石橋義正とタッグを組むとは、ほんと彼はいいセンスしてます。山田孝之は三種類のキャラを演じていますが、その中でもやはり「青春相談員熊谷ベッソン」がサイコーでした。彼のキレッキレッのダンスは見応えがあり、このノリでおバカミュージカルを一本撮ってほしいですね。このパートがわずか10分足らずというのは実に惜しい。時空を超えた時代劇という感じの「片目の浪人多聞」が一番長い尺なのですが、まあこれは『キル・ビル』のいわゆる“青葉屋の死闘”へのオマージュがしたくて撮ったって感じです。この多聞が暴れる天拓楼は美術に凝りまくっていて、スローで見せる山田孝之の殺陣もかなりのレベルとお見受けいたしました。驚いたのは壺振り役の原田美枝子、メイクの効果もあるかもしれませんがとても撮影当時50代とは信じられない美魔女ぶりです。ちなみに天拓楼遊女七人衆の軟体遊女は、山田孝之の実姉である椿かおりなんだそうです。でもこの多聞、どうして「片目」という役名なのかは謎です(笑)。そういやオブレネリなんとかというキャラも出ていましたが、このエピソードはイマイチ理解不能でした(笑)。 石橋義正は最近は目立った活動がないのですが、どうしちゃったのかな?
[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-01-05 22:37:37)
647.  ダウンサイズ 《ネタバレ》 
前半はとてもよく考えられたSFです。税金や選挙権などの人権、そして経済に与える影響など、ミニサイズの人類が登場したらどういう問題が起きるかということを、社会科学的な視点で見せようとする意図の脚本です。その代わりダウンサイズのテクノロジー面の描写はけっこう雑で、注射を打たれてから縮小されるまでのあっけなさには思わず笑っちゃいました。疑問なのはミクロ社会の建物や車などの人工物で、あくまで生体の細胞を縮小するテクノロジーだからモノには通用しないはず(ミニサイズの馬がいるのは納得できます)、じゃあ彼らはそれらのモノをコミュニティ内で製造したことになるけど、そんなことできるわけないでしょう。とすると、あの建造物などは通常サイズの世界で作られて持ち込まれたものじゃないとおかしいということになりますが、車や携帯電話をあのサイズで製造するのは無理でしょう。つまり論理的にはこの映画のプロットは破綻しているわけですが、このお話しのキモは全人類がダウンサイズするわけではなく、ミクロサイズと通常サイズの二種類の人類というか社会が併存する世界であることでしょう。つまりダウンサイズ人間社会は通常サイズの人類なしでは存在することができず、一種の棄民された人類とも言えます。 この映画が迷走し始めるのはノルウェーに舞台を移す後半です。あの地下に潜る選択をする人々は、私にはカルト集団としか思えません。この人たちを揶揄するわけでなく、最後まで善意に満ちた集団として描いているので違和感が半端ないです。マット・デイモンは全編を通して「人生流されて生きてきました」という感じのジェイソン・ボーンとは対極のキャラでしたが、まあ最後の決断は良しとしておきましょう。 余談ですがホン・チャウが演じた元政治犯を刑罰としてダウンサイズした国家はベトナムということになっていますが、なんか違和感があります。たしかにベトナムも今でも共産党独裁国家ですが、ここはやはり中国としたほうがしっくりきませんか。ひょっとして脚本段階では中国だったのかなと邪推したりしますが、これもまたハリウッドを毒しているチャイナ・リスクなのかもしれません。これはあくまで私の勘で、根拠はないですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-03 20:55:32)(笑:1票) (良:1票)
648.  影なき淫獣
タイトルバックからしてヌードですから、これは変な期待を持たせてくれます。が、しかし、エロもミステリーもその後はかなりグダグダじゃないですか。何気に犯人フラッグを立てて登場するキャラが何人もいて、そのわざとらしさが笑いを誘うんです。美女たちの殺され方も特に工夫もないワン(いや、ツゥーかな)パターンで、いかにもイタリアン・ジャーロって雰囲気だけは濃厚です。腹立つのはこれまたイタリアン・ジャーロにつきものの場違いな緩い音楽で、このセンスだけは理解不能です。一部では本作がカーペンター親父の『ハロウィン』に影響を与えたなんて唱える方もいますが、そりゃ買いかぶりすぎですよ(笑)。プロデューサーがカルロ・ポンティというのが信じられない、というのが正直な感想です。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2018-12-31 23:15:02)
649.  ディアボロス/悪魔の扉 《ネタバレ》 
“80年代以降のハリウッド映画で悪魔が出てくる映画は駄作ばかり”という持論をもつわたくしですが、さすがにアル・パチーノを悪魔に据えたらかなり見どころの多い映画になりました。この悪魔の造形は今までのテンプレな悪魔像とは違って、アル・パチーノが思い入れを持つシェイクスピア劇のリチャード三世を意識した役作りだったのは明白。一部ではかなり悪評なクライマックスでの“悪魔の大演説”ですが、私はかなり説得力ある演技だったと思います。この演説のロジック自体は17世紀の神学論争を忠実に落とし込んでいるそうですが、無神論者や異教徒にとっては判りやすいと感じます。しかし犯罪者に片っ端から無罪評決を勝ち取らせて人間世界を邪悪に染めてゆこうなんて、サタンもなかなかユニークというかまわりくどいことが好きですね(笑)。対する“悪魔の代弁人”たるキアヌ・リーヴスですが、毎度のごとくの大根演技です。その分、ヌードも見せてくれるシャリーズ・セロンの文字通り体を張った熱演で、見ごたえありです。オチが普通は忌み嫌われるアレですけど、そのあとに本当の大オチが用意されているのでこれはこれで許されるし、意表を突かれた快感すらありました。 余談ですけど、「あれっ?」と感じるほどアル・パチーノがチビに見えるんですよ。キアヌ・リーヴスとは16センチも身長差があるので並べば当然かもしれませんが、他のパチーノと並んで映る俳優も背が高いのを選んで絵面として悪魔が人間界にいる異質さを強調する演出なのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-12-29 22:33:07)
650.  キングスマン: ゴールデン・サークル 《ネタバレ》 
この手の映画では善玉・悪玉のボスやわき役に大物をキャスティングするのが最近の定石ですが、コリン・ファースに加えてハル・ベリーとジェフ・ブリッジスのオスカー俳優が三人、そしてあのエルトン・ジョン卿までもが嬉々としてセルフ・パロディを演じているのがこの映画の見どころです。冒頭でマイケル・ガンボンはじめキングスマンの面々が全滅、後半ではついにあの人までも…というわけで前作の主要メンバーはふたりのガラハッド以外は在庫一掃され、今後はジェフ・ブリッジス率いるステイツマンの一員としてキングスマンをシリーズ化しますというのが、ラストの製作者の決意表明でした。前作はだいぶ前に観たので忘れている設定も多かったのですが、撮り方自体はかなりシリアスに寄っている感じがします。悪役ジュリアン・ムーアは彼女の演技力では余裕なんでしょうが、サイコパス女ぶりはけっこう強烈でした。でもその最期はちょっとあっさりしすぎだったかな。アクション・シーンもこの監督が得意とするワンテイク(風)の連続アクションで、これぞ職人芸と呼ぶにふさわしいところです。次回作にも期待いたしましょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-26 01:42:40)
651.  子連れ狼 三途の川の乳母車 《ネタバレ》 
大江戸版子連れゴルゴ13、拝一刀シリーズ第二弾。今回は松尾嘉代率いる明石柳生のくのいち軍団と、大江戸版トランスポーター弁天来三兄弟という敵役も豪華ダブルキャストです。明石柳生のアマゾネスたち、忍びの黒鍬衆には滅法強いのに肝心の拝一刀にはいずれも瞬殺されるという残念な結果に。あの大根切り殺法にはそのユニークさに爆笑しましたが、最後の一人はなんと大五郎に仕留められるという衝撃の結末。だいたいあんな殺気ばしった顔で近寄ってくれば、いくらコスプレしてたって一刀に見破られるのは当然の帰結。でも全滅しながらも一刀に手傷を負わせたところは評価してあげたい。目を見張るのは大五郎の子役の演技力、乳母車からガンを飛ばすところなんかもう天才子役と呼んであげたい。弁天三兄弟との砂丘での対決は、地中に潜んだ阿波藩の雑魚侍の登場がなんといってもシュールの極み。でもガジェットに凝った割には、三兄弟とも一刀にはまるで歯が立たずにあっさり斬られてしまいました。護送されていた職人を助けるのかと思いきやばっさり斬捨てる、さすが拝一刀引き受けた仕事はきっちりこなす、まさに非情な大江戸版ゴルゴ13でした。でも何人斬っても一依頼につき五百両とは、なかなか良心的な価格設定です(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2018-12-25 00:27:58)
652.  豚と軍艦 《ネタバレ》 
唐獅子みたいなご面相で決して美人とは言い難い吉村実子、でも不思議とこの人には引き付けられる魅力があるんです。まして本作が17歳のデビュー作、とても高校生の新人とは思えない溌溂とした演技が素晴らしい。数年前に『徹子の部屋』に出演しているのを見ましたが、すっかり魅力的なおばあちゃんになっていて感慨深かったです。 今村昌平の最高傑作と言えば、やはり本作になるんでしょうね。この映画が若き日のマーティン・スコセッシに衝撃を与えたという逸話は有名ですが、確かにピカレスクものとしては『グッドフェローズ』に通じるところがあるかもしれません。今村昌平らしく“敵はアメリカ”“悪はヤクザ”という徹底的に冷徹な視点、ヤクザ業界とズブズブな東映じゃないのでヤクザ組織のクズっぷりをこれでもかと突き付けてくれますが、ここもマフィアに厳しいスコセッシと通じるところがあるのでは。でも長門裕之と吉村実子のカップルはまさに「どぶの中の青春」という感じですけど、まだ少年の面影が残る長門裕之の弾けっぷりが見ていて愉しいです。印象良かったのは兄貴分の丹波哲郎で、肩の力が抜けた軽やかなコメディ演技ができたとは意外でした。丹波が横須賀線の電車に飛び込もうとするシーンで線路際に建っている大きな日産生命の看板、強烈なブラックユーモアでした。でもよく見るとタイトルロールに「協賛 日産生命」と出てました(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2018-12-20 11:06:07)
653.  子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる 《ネタバレ》 
製作当時の邦画界はどん底で死に体も同然、それで勝プロ製作で出演俳優は東映作品の常連ばかりという本シリーズが東宝から配給されるという珍現象が起こったわけです。若山富三郎の拝一刀は原作キャラとは容姿があまりにもかけ離れていて違和感が半端ないのですが、その殺陣の切れ味はさすがです。劇画チックなお話し(劇画が原作ですから当たり前ですね)を三隈研次が独特の映像表現を駆使してまとめ上げており、冒頭の若君介錯の件なんかはシンプルに徹した様式美ながら思わず引き込まれてしまいます。現代では絶対製作できないどころか地上波での放映さえ不可能なスプラッターぶりには、唖然どころかもう笑うしかないという気分になるぐらいです。笑わせてくれたのが無頼集団のボス官兵衛が子連れ浪人を拝一刀と気づくシーンで、あれは当時NHKで放送されていた『連想ゲーム』のパロディかと突っ込みたくなるほどのバカバカしさでした。 それにしても大五郎の愛くるしいこと、この人は今どんなおじさんになっているんでしょうか、その姿を見るのはなんか恐い気もします。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2018-12-20 02:08:27)
654.  荒野の七人 《ネタバレ》 
これが黒澤明のあの傑作のリメイクでなければ西部劇としてはかなり面白いということができますが、比べるなというほうがムリというものです。まあ端的に言えば舞台を開拓時代のメキシコに置き換えたオリジナルの短縮版というところでしょうか。 ユル・ブリンナーが志村喬、スティーヴ・マックイーンが稲葉義男、ホルスト・ブッフホルツが三船敏郎(と木村功)などオリジナルのキャラが投影されていますが、みんなオリジナルの泥臭さが消えてスマートすぎるのが私には不満です。ブリンナーには志村喬の持っていた侍も百姓も引き付けるカリスマ性が全然感じられないし、ブッフホルツには三船=菊千代が体現した爆発的なエネルギーが決定的に欠けています。存在感のあるイーライ・ウォーラックを盗賊のボスとして前面に出して、村人が七人を裏切って盗賊に内通するなど元ネタを進化させたなと感じるところもあります。ラストも全然違いますけど、いったん追放された七人が村に戻るくだりがかっこよすぎて説得力がない。ラストであの有名なセリフを使って辻褄を合わせた感は否めなかったです。 とは言ってもあまりに有名なテーマ曲は何度聞いても気分が良くなるし、スティーヴ・マックイーンは痺れるほどカッコよいし、観て損はさせない一編ではあります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-17 01:05:45)
655.  大空港 《ネタバレ》 
この映画をパニックものとして定義するなら、確かにこれほど人物描写が丁寧なのは評価が高いといえるでしょう。こういう群像劇は監督がヘボだと目も当てられない惨事になってしまいますが、監督がジョージ・シートンですからそこは安心して観れます。逆にパニック映画としてはサスペンスの盛り上げ方がちょっと緩すぎるところが難点です。しかし一時代を画した『エアポート』シリーズの第一作目ですから、オスカー受賞者まで出るほどの出演俳優陣の豪華さは見応えがあります。全盛期を迎えていた我が愛するジャクリーン・ビセットのスッチー・コスプレが堪能できます、これは至福です。そして『エアポート』シリーズといえばこの人、ジョージ・ケネディ=ジョー・パトローニが大活躍!初登場シーンで奥さんとソファーでいちゃつくとは、憎いぜ色男パトローニ!と掛け声かけたくなりました(笑)。あと興味深いのは昔の空港の様子です。無銭搭乗や手荷物チェックなしで爆弾入りスーツケースを簡単に機内持ち込みができるなど、現代の人はいくら何でも話しを盛りすぎだろと突っ込むでしょうが、50年近く前ならこういうことがアメリカの空港でも起こりえたことなんでしょうね。滑走路を外した旅客機を動かそうと悪戦苦闘するところなどの特撮は見事なんですけど、飛行中になるととても大作ハリウッド映画とは思えないショボいミニチュア・ワークは残念至極、これもサスペンス盛り上がらなかったが要因だったのかもしれません。 どちらも配偶者が原因とはいえ、バート・ランカスターとその妹が二人とも離婚することを暗示してのエンドですが、ランカスターはすぐに次のお相手がいてなんか幸せそう。でも妹の方はなんか可哀そうな感じです、そりゃディーン・マーティンは奥さん捨ててジャクリーン・ビセットの方に行くでしょう、でもそれでいいのかなぁ?
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-13 23:00:19)
656.  パトリオット・ウォー ナチス戦車部隊に挑んだ28人 《ネタバレ》 
期待しないで観たのですが、意外とこれが悪くなかったです。なんでもこの映画が取り上げている戦闘は“パンフィロフの28人”としてロシアでは有名なんだそうです。この1941年11月のモスクワ前面での神話的な戦闘ですが、実は最近当時の記者による捏造説が出てきて、これはかなり真実をついているそうです。とはいえ話が盛られているにしてもその地で戦闘があったことは事実で、映画製作者もそのことは踏まえたうえでの映像化らしいです。 攻めるドイツ軍は三号戦車と四号戦車を大量に投入してきますが、CGではあるけど動作も含めて出色の再現度です。これはWar Thunderというロシアのネット・コンバット・ゲームの運営が出資していることがいい影響を与えたみたいです。他のドイツ・ソ連両陣営の火砲もCGを交えて忠実に再現されていました。塹壕陣地にこもって戦車を伴って攻めてくる歩兵をひたすら撃退するだけというシチュエーションはフィンランド映画の『ウィンター・ウォー/厳寒の攻防戦』とまるで一緒ですが、本作の方が見せ方に迫力があって段違いです。ソ連兵たちは個々のキャラの掘り下げはほとんどないので誰が誰やら戦闘が始まったらさっぱりですが、史実通りらしいのですがカザフスタンあたりのアジア系兵士が多かったです。ソ連側は対戦車砲からモロトフカクテル(いわゆる火炎瓶)まで多様な兵器で防衛しますが、中でも対戦車ライフルが大活躍しています。いくらまだ装甲が薄かったドイツ戦車とはいえ、対戦車ライフルがあそこまで効果あるとは思えません。そして最後のいちばん都合の良いところでドイツ兵をバッタバッタとなぎ倒すマキシム重機関銃、MVP兵器はこの重機だったのかもしれません。 さすがロシア政府まで出資しただけあって全編にわたって英雄物語に徹していますが、旧ソ連国策戦争映画ほどの暑苦しさはありません。でも当時の赤軍には督戦隊という戦意が低い兵士を処刑する部隊がいて、史実でもこの戦闘で降伏しようとした兵士が射殺されたということはきれいにスルーしています。28人全員が愛国心に燃えて積極的に戦った、というこの映画のプロットはやはり神話だったということです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-12-10 23:52:20)
657.  イコライザー 《ネタバレ》 
ストーリー・ライン自体は単純というか他愛のないお話しです。主人公は後半に少し明かされるけどかつてはCIAのエージェントだったらしく、リタイアするときもいろいろあったみたいで、円満卒業というわけでもなかったことは判ります。そんな昼はホームセンターで働き、夜はダイナーで読書するのが唯一の趣味である独身のおっさんが、実は凄腕の殺人マシーンだったという設定は面白いけど、日本じゃ『仕事人』シリーズで飽きるほど見せられています。それを名優デンゼル・ワシントンに演じさせるとなると…これがなかなか魅力的な映画に仕上がっているんです。彼は映画中盤から数えきれないほどロシアン・マフィアを殺しまくりますが、銃をいっさい使わずいろんな小道具を武器にして処刑するところが面白い。そこはホームセンター勤務という設定が生きています、考えてみるとホームセンターってところは恐ろしいものをいろいろ売っているんですね(笑)。クロエちゃん演じる娼婦を助けるようになるという展開の説得力のなさがこの映画の最大の弱点かと思いますが、ラストでデンゼルがネットで“お助け屋”みたいな稼業を開業するところは、この弱点を判ったうえでの脚本家の開き直りみたいな皮肉を感じました。最近のハリウッド映画で最凶なのはロシアン・マフィアというのが相場ですが、こいつら大物も雑魚も背中一面にタトゥーを入れまくっているところに禍々しさが強調されてます。でも振り返ってみると、面構えの割にはみんな大して強くなかったのがちょっと残念。 デンゼル・ワシントン&アントワン・フークワのコンビはやっぱ最高ですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-07 22:45:09)
658.  ジェイソン・ボーン 《ネタバレ》 
このシリーズが好きな自分としましては、この続編製作じたいはアリだったと思います。考えてみれば前三作は一本の映画を三分割したようなものだし、『アルティメイタム』の閉め方からして、最低でもあと一本は撮ってそのストーリーではジュリア・スタイルズをかなり前面に押し出してくるだろうと予測はつきました。 お約束の冒頭30分の手ぶれ映像によるサスペンス・シークエンスはシリーズ最大規模、実際のギリシャ危機のゴタゴタを巧妙に取り込んでいて、この脚本のセンスには毎回感心させられます。でもまさかここでジュリア・スタイルズが退場するとは予想外でした。けっきょく明かされたジェイソン・ボーン=デヴィッド・ウエッブの秘密も、サプライズを呼ぶほどのことはありません。悪役CIAはトミー・リー・ジョーンズ、殺し屋はヴァンサン・カッセルと両者ともシリーズ中最凶でかつ大物俳優を連れてきました。ボーンはついにCIAのトップと直接対決となったわけですが、仕留めたのかというとそれは微妙な感じです。しかし最高責任者の長官が二代続いてこんな不祥事しでかしたら、いよいよCIAは組織解体そして大統領は辞任ものですよ。 さてシリーズ四作を観て私がいちばん気になっているのは、劇中のCIAの情報収集力の驚異的な高さです。現実にはエシュロンとかいう盗聴システムみたいなものを米国は運用しているそうですが、映画の中にそのテクノロジーがどれだけ反映されているのか気になるところです。また世界中に支部があって実力行使部隊を、たとえそれが英国であろうとも、その国の主権をガン無視してやりたい放題するのは実に恐ろしいことです。誇張はあるにしても、何らかのCIAの現実の活動を脚本におとしこんでいる気がしてなりません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-04 22:19:27)(良:1票)
659.  メン・イン・ブラック 《ネタバレ》 
久しぶりに再見して、本編時間が90分という短さだったのがサプライズでございました。ストーリーテリングのテンポの速さといい詰め込まれた内容も含めて、2時間超の映画並みの濃さです。名優トミー・リーも本作からコメディ演技に開眼して、今やBOSSの『宇宙人ジョーンズ』として日本でも一般認知度が高いハリウッド・スターの上位に君臨しているのは周知のとおりです。メキシコ国境に中米から移民希望者が殺到して緊張が高まっている昨今、エイリアン亡命者を全宇宙から受け入れてNY周辺で市民として共存しているというプロットは、図らずもトランプ政策への痛烈な批判になっているのが面白いと思います。悪玉エイリアンをゴキブリ型にしちゃったのはちょっと安易な感じもしますが、『スターシップ・トルーパーズ』をはじめ当時のハリウッドの流行だったので大目にみましょう。メカやガジェットのデザインもけっこうセンスが良くて、グロ要素も品をギリギリ保ったレベルに抑えています。ギャグについては日本人でも十分通じますけど、ニューヨーカーにはもっと受ける地元ネタも多そうです。 不思議なこと:MIBのブラック・スーツにさすがに液体系は付着するけど地面を転がったりしてもホコリなどが全くつきません。これってやはり特殊スーツの一種なんでしょうか?防弾性や水中とか宇宙でもOKといった気密性があったりして。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-12-01 23:05:56)
660.  ファイヤーフォックス 《ネタバレ》 
とにかく、イーストウッドがファイアフォックスを盗み出すまでの展開が暗いことと言ったら… イーストウッド自身がヴェトナムでPTSDを負っていて、いわば『シベールの日曜日』のハーディ・クリューガーのキャラをそのまま持ってきた感じ。ソ連に潜入してからも自信なさげで過剰反応してKGB捜査員を殺しちゃうし、いくら弱みを軍部に握られた(それも国有地占有というチンケな違反)とは言ってもなんで任務を引き受けたのかは謎。こういう心理的な苦しみを抱えたキャラはイーストウッドとしては珍しいパターンですが、ファイアフォックスでいったん飛び上がってしまうと、レコーダーに向かっていつもの諧謔に満ちた『荒野の用心棒』の名無しの男風キャラに戻ってしまうので「あれれ?」と思ってしまいます。ファイアフォックス自体はそのパイロットの思考に従って操縦されるという設定が当時は荒唐無稽でしたが、現在のAIテクノロジーの進化を見ていると「ひょっとして、これって実現できるんじゃね?」と思えてきます。二号機との北極圏での追撃戦は迫力ありますけど、やはり『スターウォーズ』の強い影響は否定できないでしょう。ちなみにMiG‐31という機番のソ連戦闘機は実在し、西側コードネームは“フォックスハウンド”ですがもちろんファイアフォックスとは似ても似つかぬ戦闘機です(ベレンコ中尉で有名なMiG‐25の改良版みたいな感じ)。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-11-26 21:02:59)
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