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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2388
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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61.  グッバイ、レーニン! 《ネタバレ》 
欧州で冷戦終結時に消滅した国家はユーゴスラヴィアと東独だけ(チェコスロバキアは消滅というよりもスロバキアの分離という感じ)、エミール・クストリッツァが『アンダーグラウンド』でエモく訴えたようことを、ちょっと変わった視点で映像化してくれています。それはもはや存在しない東独という国とその社会へのノスタルジックな惜別の情なんですが、監督や脚本家は旧東独出身者だと思い込んでいたら、実はみな旧西独の人たちだったんで驚きました。ドイツでは旧東独出身者が昔を懐かしがる“オスタルギー”という概念があるそうですが、それを逆手に撮った映画だと言えるかもしれません。一つ言えることは、それがナチズムだろうが共産主義であろうとも、全体主義というものはアレックスの母親と同じようにその体制に疑問を持たずに参加すれば心地よいものであるということでしょう。そこが恐ろしいところです。 冒頭で反政府デモに参加していたアレックスですが、母親を欺くためにフェイクニュース番組を制作しているうちに彼自身が“オスタルギー”の沼にはまり込んでゆくところがこの映画の脚本の奥深いところです。物語の後半では、彼がフェイクとして母親に伝える社会ニュースは単なるつじつま合わせを超越して、実はアレックスが望んでいた理想の東独社会であることに気づかされます。サッカーWカップで優勝したのは史実では統一ドイツではなく西独だし、東独初の宇宙飛行士イェーンはタクシー運転手に落ちぶれたことはありませんでした。ここら辺の改変は意味深です。母親もラスト近くでララから社会の真相を聞かされたのは明らかなのに、その後は死ぬまで息子のお芝居につきあってくれます。彼女が再入院してからラストまでの15分こそが、この映画の真骨頂なのではないでしょうか。映画館で観ていたらたぶん号泣していたかもしれない15分でした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2019-09-23 22:35:24)
62.  ターミネーター3 《ネタバレ》 
『2』でスカイネットの誕生を阻止して人類の未来を救ったジョン・コナー、それから12年経って成人した彼はすっかり人生の目的を見失ってヤク中のホームレスになり果ててしまった。このつかみは、コミケで売ってる同人コミックでよくあるヒーローもののパロディみたいで、なかなか面白い。よっぽどこの不細工ジョン・コナーくんが自分探しのために四苦八苦するというお話しの映画として撮ったら面白かったろうけど、それじゃあ『ターミネーター』とは関係ないお話しになっちゃうし全世界が許してくれないでしょう(笑)。 てなわけで前作以上にタイムトリップ理論を無視した展開になるわけですが、まあこうするより他に途はなかったでしょうね。実はむかーし観てけっこう腹が立った記憶があったけど、観直してみると並みの映画ではあるがそこまで怒るほどではなかったですね、まあそこそこということです。敵方ターミネーターを女性型にするというのは誰でも思いつくことですし、肝心の武器というか機能は『2』と較べて大して進歩してないというのが正直な感想です。ただこのT-850型対TX型の肉弾戦は、つまりシュワちゃんVSクリスタナ・ローケンの闘いであるので、大男がナイスバディ美女に痛み付けられるというちょっと特殊な絵面を見せてくれます。アクション・スターとしてここまで体を張れるというのは血まみれになって戦うガメラみたいなもんで、スティーヴン・セガールはシュワちゃんの爪の垢でも煎じて飲んだ方が良いです。 けっきょく核戦争は阻止できないという絶望的な終わり方を迎えるのですが、ハリウッド映画お決まりの「未来は変えられるんだ」というスローガンを粉砕してくれたのは、シリーズを続けてカネをこれからも稼ぐためとはいえ意義があったのでは(と思いたい)。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2019-09-16 10:29:30)
63.  害虫
私の前にレビューされた53人の採点分布を見ると、驚くことに0点から10点まで満遍なく得点しています。他にも探せばあるのかもしれないけど、ここまで綺麗に点数がばらけた映画を自分は初めて見ました。まあそれだけ観た人の評価が分かれたということなんですが、観ていただけると判ると思いますがそうなるのも無理はないです。 監督の塩田明彦は蓮實重彦の門下生の一人みたいですけど、いかにも蓮實教授が好きそうな作風です。デビューしたての十代の宮崎あおいを愛でる映画と言えなくもないが、その割には彼女の家庭環境とキャラ自体が痛すぎて観ててつらいものがあります。私は基本的にセリフでストーリー展開させる映画が嫌いですが、その真逆に位置する本作だけど監督の技量が拙いのでイライラが募るばかり。どの登場人物にも感情移入させたくない、という監督の意図だけは伝わってきましたけど。ずっと一時間あまり音楽を一切使わない流れで来たところで突然流れてきたのは、おお、懐かしのナンバーガールじゃないですか。田淵ひさ子のギターはやっぱこの映画にピッタシだな、ということでそこに一点プラスです。
[ビデオ(邦画)] 4点(2019-06-21 23:15:45)
64.  戦場のピアニスト 《ネタバレ》 
ユダヤ人移民の子孫であるスピルバーグは「ユダヤ系の僕がホロコーストを撮らないで誰が撮る?」と宣言して『シンドラーのリスト』を製作しました。その約10年後に生粋のアメリカ人でベビーブーマーのスピルバーグと違って実際にゲットーで生活したポランスキーが、ヨーロッパ人的かつ彼独特の粘っこさを持った視点でホロコーストの一面を描いたということになります。 本作にはある意味で個人のドラマというものは存在しないとも言えます。シュピルマンとその家族そして周囲のポーランド人にしろ、ヒトラーという独裁者が起こした歴史の渦に飲み込まれて、ある者は絶滅収容所である者はワルシャワの市街戦で死に、またある者はシュピルマンの様に生き延びることができたという、ポランスキーの冷徹な視線を感じてしまうのです。43年のワルシャワ・ゲットーの蜂起、44年のポーランド国内軍の蜂起がともに描かれていますが、それはビルの上階からシュピルマンが見た視点だけで描かれていて決してカメラが戦場に寄って行かないところも、まるで神の視点みたいで意味深です。 そして『シンドラーのリスト』との最大の相違は、両作とも多少の良心を持ったドイツ人がユダヤ人を助けるけど、本作のドイツ人将校は報われることもなく捕虜収容所で死に、そのことに対して少しも同情していないようなポランスキーの視線を感じてしまうことです。『シンドラーのリスト』のようなカタルシスとあざとい涙腺崩壊効果がない点がまた大きな違いでもあり、彼の過酷な人生体験がもたらした結果なのかもしれないけど、ポランスキーは実はヒューマニズムを信じていないのかもしれません。この映画ではシュピルマンの行動や周囲の出来事に関してちょっとブラックなユーモアを感じさせるシーンもありますが、そこに監督の底意地の悪さを感じてしまうのは私だけでしょうか?
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-06-01 23:26:25)
65.  エグザム 《ネタバレ》 
ソリッド・シチュエーソンもの映画としてはその低予算とシンプルなプロットはかなりハイレベルでございました。題材を採用試験にしたことはアイデアとしては抜群だと思いますが、現実に企業の人員採用に携わったことのある人なら、ちょっと違和感を覚えることもあるでしょう。実際に日本の企業でも、さすがに「白紙の問題用紙」なんて極端なケースはなかったですけど、それに近い意表を突く課題で入社試験を行った会社を知っています。でもどちらかというと日本の場合は企業より学生の方が突飛なことをしたという話が多く、面接でマヨネーズを一本丸ごと飲み干すという芸(?)を披露してソニーに採用されたという都市伝説まがいの話がバブル期にはありましたよね。 まあそういう実体験もあり、この映画での試験問題の出し方とその答えというかオチに関してはさほどサプライズはなかったですね。そもそも途中で退室させられるフランス語を話す試験番号1番が怪しすぎ、絶対に後半でまた絡んでくるということは、誰でも読めるでしょう。候補者のうち六人が警戒しながらも協力というか共同作業してゆくという展開は。この手の映画のお約束ですけど映画自体の出来・不出来を左右する大事なところです。その点では本作は緊迫感を持続させる巧みな脚本です。だって他のソリッド・シチュエーソン映画と違って命がかかっているわけではなく、失格したら何事もなく退室できるというかなり緩い状況でこれだけ緊迫感を出せたんだから、大したものです。そしてラストがなんか明るく希望を感じさせてくれるのが同ジャンルの映画とは決定的に違うところでしょう。 観て損はないと私は思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-05-19 12:41:49)(良:1票)
66.  ディセント 《ネタバレ》 
冒険好きの20・30代女性6人がアパラチア山脈にある洞窟を探検する、探検名所の洞窟だと思っていたらガイド役の独断で未知の洞窟に侵入してしまい、あるのかないのか不明の出口を探索するうちに洞窟内で迷ってしまう。サスペンス映画としてはこれだけで十分なプロットなんですが、なぜか中盤から謎の地底人が出現してくるというのが、皮肉なことにこの映画の最大の失敗というわけです。本作の後でダニー・ボイルが似たようなプロットで『127時間』を撮っている(編集者は両作とも同じ)んだから、ヘンな地底人を出さなくても緊迫した映画になったはずなのにねえ。またこの地底人がどこかで観たことあるような使い回しの造形で、生物としてのリアリティが著しく欠けています。暗闇に順応して眼が退化したという設定なのに、白濁しているとはいえちゃんと眼球がついているってのはおかしいでしょ。またそういう生育環境なったら火や光線を忌避するはずなのに、そんな素振りも見せない。六人の女たちもキャラの区別がついたのはせいぜい二人で、実は主人公のサラでさえ途中から誰だか判らなくなっていました。彼女は後半で仲間の一人と夫が不倫していたことを知ってからキャラ変するのですが、夫は事故で死んでしまっているいるのに相手の女に怒りをぶつける心理がどうも理解できない。これも女性特有のマウンティング心理ってやつですかね。いちばん腹立つのは(未見ですけど)この映画には続編があるということ。つまりサラはこの後救出されたというわけです、私は“幻覚を見ながら洞窟内で朽ち果てるサラ”という趣のラストを評価していただけにがっかりです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-05-13 23:17:29)(良:1票)
67.  バタフライ・エフェクト/劇場公開版 《ネタバレ》 
古より “アイデア一発勝負”映画は数多く存在してますが、本作はその中でもかなり出来が良い部類でしょう。日記帳がタイムマシンの機能を持っているというのも、低予算をカヴァーする安上がりなアイデアだけど悪くないです。この映画でエヴァンはタイムリープする能力を持っているわけですが、やはり一番引っかかるのはその能力を発揮するために必要な日記帳(それも最初の人生で書き綴った13年分)が一緒にくっついてくる(としか思えない)ところでしょう。これは脚本家も判っているけどどうしようもなかったように見受けられ、ラストでは苦し紛れかホーム・ムーヴィーを持ち出してくるところなんか苦心の跡が感じられます。このターンのタイムリープでは「日記帳なんて存在しない、それは君の妄想だ」という医者の言葉まであり(かつてのレニーの様にケイリーを爆死させてからずっと病院で拘束されていれば日記なんて書けるはずないですけど)、何とか辻褄を合わせた感があります。 でも、最初に観た時にはそんな矛盾には頓着せず、素直に感動したのはたしかでした。たしかにどのタイムリープでも誰かが命を亡くしたり不幸のどん底に落ちたりで、凡人の私なんか自分がいちばん順調なキャリアを積んでいる最初の人生をそのまま続けていくのを選択します。そういう普通の結論を選ばず、ケイリーが自分に恋心を抱いたのが実は全員の不幸の大本だったと気づいてしまうラストは、この映画の宣伝コピーじゃないけど最高に切ないところです。映画のストーリーには、観客の心をつかむ騙しのテクニックみたいなものがやはり必要なんです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-02-24 23:16:16)
68.  ボーン・アルティメイタム 《ネタバレ》 
本作は前作の完全に続きのストーリーで、本当は一本の映画を二つにぶった切ったようなものです。実際問題、一本にしちゃうと上映時間が4時間近くになるからお話をいろいろと薄めなくちゃいけないのでこれは正解でしょう。 冒頭から記者が暗殺される30分近くまでの展開はまさに怒涛のごとしで、これだけスリリングな展開を見せるアクション映画は滅多にお目にかかれませんよ。ジェイソン・ボーンの強さと頭の回転の速さは、フィクションと判っていても感嘆するしかありません。自信をもってわたくしは史上最強のエージェントの称号を授与いたします。今回のCIA悪役幹部はデヴィッド・ストラザーン、ところが彼は悪の中ボスに過ぎなくて、ラスボスは実はアルバート・フィニーでした。というかほんとのラスボスはCIA長官のスコット・グレンなんでしょうけど、ボーンとの直接対決がなかったのが残念。でもラストがありがちな勧善懲悪だったのは不満ですが、やっぱ心地よいカタルシスは必要です。海中を漂うボーンの映像から始まった三部作が、ハドソン川の水中で動き出すシーンで終わって見事に繋がったわけです。 三作すべてに登場したのはボーン以外ではジュリア・スタイルズですが、最初は単なる事務要員だったのが最後にはボーンを助けるまで存在感を増しています。彼女のニヤッと微笑む表情でこのシリーズが(とりあえず)幕を閉じたのは象徴的でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-11-26 03:16:14)(良:1票)
69.  ミラーズ(2008) 《ネタバレ》 
ジャック・バウアーvs鏡の悪魔!ええ、誰がなんと言おうとも私にゃ彼はジャック・バウアーにしか見えません! フレンチ・スラッシャーの鬼才アレクサンドル・アジャが韓流ホラーをリメイク、どおりでNYを舞台にしながらもフレンチ・ホラーみたいなおどろおどろしい雰囲気が感じられたわけです。ひとり鏡の悪霊に立ち向かうバウ…もといキーファー・サザーランドの痛々しいことといったら、もう完全にあっちの世界に行ってしまった人、その言動はキチ〇イにしか見えません。いきなり家中の鏡を集めて銃弾を撃ち込んだら、奥さん・子供もそりゃ引きますよ。ところがハリウッド映画らしく家族を守る展開にするために奥さんに超常現象を認識させちゃったから、後半はありふれたストーリーテリングになってしまったのは残念。それでもエイミー・スマートの殺され方は「さすが、アジャ」と唸らせる凄まじさ、というかあのシチュエーションならふつう溺死でしょう、これは完全に監督が趣味に走った感じです。ハッピーと思わせておいてのバッド・エンドも、捻りが効いていてよかったです。 謎のカット:ラスト近くに夜が明けてマンハッタンの遠景を映すカットがありますが、よく見ていただくとその遠景にツイン・タワーが確かに立っているんですよ。私はNYの地理には疎いんでその場所がかつてWTCの存在していた地点なのか判りませんが、マンハッタンには他にもツイン・タワーがあるんでしょうか?CGで書き加えたのかもしれませんが、もしそうだとしても監督の意図は何なんでしょう?ちなみにスピルバーグは『ミュンヘン』で、CGでWTCを加えたマンハッタンの風景をラスト・シーンに使っています。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-11-10 22:45:22)(良:1票)
70.  バトル・ロワイアル 《ネタバレ》 
あの分厚い原作は出版当時にちょこっと立ち読みしただけなのであまり偉そうなことは書けないが、設定やストーリーテリングのニュアンスがけっこう変わっていることは確かみたいです。原作では架空の全体主義国家のお話しだったところを、ほぼリアルタイムの日本が舞台としているところが大きな相違。でもその世界では日本は壊れてしまっていてBR法という理解不能な法律が施行されているわけです。こういうSF的な設定なら徹底的に不条理劇として撮るのが正解だと思いますが、いつもの流儀で泥臭く映像化してしまってるところが深作欣二の限界というかセンスのなさなんでしょうね。でもその脚本を書いたのは当時20代だった息子の健太だというのが、ちょっと不思議。彼は初めて劇映画の脚本を書いたわけで、きっと親父がかなり手を加えているんじゃないかと推測します。だって随所に団塊世代チックな臭みが見え隠れしてますもん。中でも塚本高史があの「腹腹時計」を書いた人物の甥という設定で、その叔父をヒーローの様に描いているのには呆れました。もちろんこれがフィクションの映画化だと承知してますが、現実世界で70年代企業爆破事件の指南書だった「腹腹時計」を持ち出してくるのはいわばルール違反です。三菱重工爆破事件で親戚が犠牲になった者としては、不愉快極まりなしでした。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2018-10-28 22:17:26)
71.  クローバーフィールド/HAKAISHA 《ネタバレ》 
POVジャンルは低予算で舞台も森の中や幽霊屋敷の室内とかの狭い空間というのがお決まりだったわけですが、大物プロデューサーが乗り出してくるとこの映画のように凄まじい映像になるわけです。突然出現した怪物がNYを破壊しつくすところを巻き込まれた若者の視点だけで見せる、怪獣ファンには一度は撮ってほしかったプロットであります。プロデューサーであるJ・J・エイブラムスの趣味がうかがえますね。 相変わらずの手振れ映像は不思議とあまり苦にならなかったんですが、これは他のPOVものよりはるかに映像に情報量が多かったからなのかなとも思います。ビデオカメラを回し続ける男はKYなバカという設定は、もうこの手の映画ではお約束です。考えるに現在ではこのプロットは現実味がなくなってしまいましたね、プロの映像スタッフなら別ですけど素人はスマホで動画ですからね。肝心の怪物は中盤以降チラチラ部分的に映り夜が明けるとその醜い全身像をさらすわけですが、最後までほんの一部分だけしか見せずに終わるという撮り方もありだし、正直言ってそのほうが良かったんじゃないかと思います。まあこれは製作スタッフたちが見せたくて我慢しきれなかったのかな(笑)。あと地下鉄で襲ってくるバグみたいなやつは平成ガメラのレギオンに登場の仕方からそっくり、ほんとスタッフの皆さん怪獣映画が好きですね(笑)。 ちょっと不思議なのは、この映画に限らず今世紀に入ってからのハリウッド映画に出てくる怪獣・怪物は、どうして体表がのっぺりした両生類系というかゴブリン系ばっかりなんでしょうね?CG化しやすいからなのか、単に手抜きして真似しあってるだけなのか?
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-09-14 21:48:03)
72.  サロゲート 《ネタバレ》 
細かいことを言うと粗が目立つけど、この映画が見せてくれる世界観はなかなか興味深く考えさせられることが意外と多いと思います。まず世界の98%がサロゲートを使用しているってことは、ほとんど全人類がニートになってしまったというわけで、それを想像するだけでもなんか楽しい。経済的な合理性やセキュリティ面からのありえなさはともかくとしても、これは変身願望を持つ人には堪らない魅力がある商品ですね。冒頭に出てくるクラブのボディコン姉ちゃんのオペレーターが実はメタボの中年おばはんだったというエピソードなんかドンピシャです。ブルース・ウィリスのサロゲートが妙に若々しくて、『シックス・センス』のころみたいな顔つきなのも笑ってしまいます。これはメイクの偉業かと思いますが、まさかCG?ロザムンド・パイクは『ゴーン・ガール』の先入観がどうしてもあるのでまたなんか悪さをするんじゃないかとドキドキしましたが、この人の無表情は究極のサロゲート顔というかサイボーグ顔です。 このお話は変身願望という視点やサロゲート文明に対する抵抗組織が登場するところなどから、シュワちゃん版の『トータル・リコール』と通じるところがあるようにも思えます。そして重要なメッセージとして依存症への警鐘があり、これは現在問題になっているスマホ依存症を予言していると感じました。そういった深いメッセージを軽快なアクションにまとめた良作だったと思います。 ネタバレですけど、このストーリーはスティーヴ・ジョブスが全世界のiPhoneを破壊しようとするみたいなものでしたね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-09-09 00:41:44)
73.  ボーン・スプレマシー 《ネタバレ》 
本作ではジェイソン・ボーンを“追われる者”から徐々に逆の立場に変貌してゆく脚本で、ストーリーのつなぎ目としてどうしても印象が薄くなりがちな三部作の二作目としてのウィークポイントを克服することができました。第一作のミステリー風味は薄れてしまったのは止むを得ないところですが、その分アクション要素が強化されています。前作のクリス・クーパー、本作のブライアン・コックスと一作ごとに組織内のラスボスが倒されてゆくのがこのシリーズの特徴ですが(最もクリス・クーパーはCIAに消されてます)、どちらもボーンが手を下したわけではないことに注目です。前作では組織の殺し屋を何人も返り討ちにしたボーンですが、本作では彼が明らかに殺したのはミュンヘンの男(元同僚?)だけで、これも正当防衛といえる感じでした。派手なカーチェイスを繰り広げたカール・アーバンはこれまでで最強の殺し屋でしたが、壁に激突して瀕死となっても止めはささず。愛するマリーの仇なのになんで?と訝しくなりますが、「マリーに言われたから(殺しは止めた)」というセリフもありますので納得しなければいけませんが、そんな会話のシーンありましたっけ? この映画を見て得た教訓:モスクワのタクシーは世界最強!
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-08-03 22:58:59)
74.  ロスト・イン・トランスレーション 《ネタバレ》 
むかし聞いた話では、海外の映画スターは日本のCMに出演したことは本国では秘密というか触れてはいけないことになっているとのこと、アラン・ドロンとかチャールズ・ブロンソンがCMに出てた頃でなんかショックでした。黒澤明や三船敏郎は知名度があるといっても、当時まだ日本は低く見られていたってことです、要は。それがいまやキアヌ・リーヴスみたいにラーメン食べるためだけにお忍びで来日するハリウッド・セレブまでいるぐらいで、日本が進化したのか彼らスターたちが変わったのか、まあその両方なんでしょうね。 そういう意味ではビル・マーレイが演じるボブ・ハリスは、古いタイプのハリウッド・スターのカリカチュアになっているのかもしれません。ハリスにしてもスカヨハ演じるシャーロットしても、なんとなく鬱気味なのは内容が異なるにしてもそれぞれの結婚生活が原因で、東京や日本人のせいではないわけです。つまり別に東京が舞台でなくてもお話が成立するのは誰にでもわかります。この映画は旅先で誰もが味わったことのある日常からの解放感と疎外感をつづった映像詩みたいなもので、米国人にはパリやローマじゃなくて異質そのものである東京が舞台に最適だったということです。この脚本はソフィア・コッポラの実体験(旦那がスパイク・ジョーンズだったころ)をもとにしているらしいですが、非西洋人に対する彼女の上から目線にはちょっとカチンと来るものがあります。これはフランシス・フォード・コッポラにも感じられるところで、まあ親ゆずりなのかもしれません。 西新宿のヨドバシカメラの前を通るたびに、この雑踏をあのラスト・シーンにまとめたソフィアの映像センスは認めざるを得ないなと、感じてしまいます。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-07-30 23:21:52)
75.  腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 《ネタバレ》 
まず題名に一言。ストーリーとはどこにも繋がらない、いかにも青臭い演劇人が思いつきそうなダサいネーミングは何なんですか。もちろん原作通りなのは承知ですが、劇作家である原作者は一周回って確信的にこういう名づけをしたのかな。 とりあえず腐しましたけど、映画自体は予想を外されて面白かったです。他の方のレヴューを見ると総じてストーリー自体が受け入れられないという意見が目立つような気がしますが、私はブラックコメディとしてはかなりの高レベルと評価いたします。サトエリはもうどう見てもサイコパスとしか言いようがない外道っぷり、こういう女性と今まで遭遇してひどい目に遭った過去を思い出しました(もっともここまで酷いのはいませんでしたが)。対する嫁の永作博美は、そのKYぶりというか理解不可能な言動はもう立派なアスペルガー障害の域に達しています。彼女がここまでの演技ができる女優だったとは意外で、この役で女優賞を総なめしたのは納得です。この二人に挟まれ、とくにサトエリにズタボロに虐待される喘息持ちの妹・佐津川愛実だけは多少はまともなのかと思いきや、ラストには大どんでん返し、実はこいつが最恐のサイコ女だったというオチにはやられました。彼女のことは『悪夢のエレベーター』で知ったのですが、そういやこっちの役も…(ネタバレが過ぎるので以下自主規制)文字通りサトエリに翻弄される永瀬正敏も彼らしいいい演技だったと思いますが、永作博美に対する虐待もこれまたすごい迫力です。 実質登場人物は四人で進行するドロドロ劇ですが、苗字に「佐」と「永」いう漢字が付く役者同士がペアになって相手を苛めるという構造なんです(だからどうした、って言われそうですけど)。一番怖かったシーン:永作博美が永瀬正敏に襲い掛かってロスト・ヴァージンを成し遂げるところ(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2018-07-28 22:11:08)
76.  ブラックブック 《ネタバレ》 
第二次世界大戦でドイツに占領された国々にはいわゆる“レジスタンス神話”大なり小なり存在しますが、さすがヴァーホーヴェンらしく「神話なんてなかったんだよ!」とオランダ・レジスタンスの内情を赤裸々にさらしてくれます。彼のかつて撮った『女王陛下の戦士』もレジスタンスものでしたが、これも単純な戦争アクションではなくレジスタンスに対するシニカルな視線が印象に残る映画でした。 サスペンスドラマとしてはよく出来ています。観終わって気が付くのは序盤にちりばめられた伏線の多さで、必ずしもストーリー展開に関わった伏線ばかりではなかったけど、実に凝った脚本です。そしてヴァーホーヴェン風味のシモネタ・お下劣ネタは健在で、オランダ時代の盟友脚本家のジェラルド・ソエトマンとのタッグはやはり強烈です。なんせ『ルトガー・ハウアー/危険な愛』を生み出したコンビですからねえ。レジスタンス側もナチ側も出てくるキャラはもうゲスばっかり、ヒロインのラヘルにしたって匿ってくれていた農家に爆弾が命中しても一家の安否は眼中になく、次の隠れ家をどうしようかと悩むだけなので、「おい、おい…」と引いてしまいます。ヒーローもヒロインも癖が強いのがヴァーホーヴェンの映画の特徴なので、まあ理解してあげてください。さんざんナチとやりまくったくせにすぐにカナダ兵とくっついちゃうロニーや、降伏後も連合軍に協力すると称して態度がでかいカウトナー将軍など、すっきりした勧善懲悪とは程遠い結末はいい味出してます。 砲声が近づいてくるラスト・カットでしたが、1956年ということでこれはスエズ動乱の始まりを示唆しているんでしょうね。ラヘルはなんかまだまだ苦労しそうですが、続編を制作してみても面白いかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-07-04 21:55:16)
77.  パラノーマル・アクティビティ
1万5000ドルで撮られた映画にしては良くできていると評価したいけど、舞台は監督の自宅だそうで俳優も無名というか素人みたいだし、どこにそんなカネかけたんだよ、って言いたくなることも否定できません。怖がらせ方はJホラーの影響も感じられ“大してでかくはないが突然聞こえる音”で観客を最大限に怖がらせるところは、かなりのレベルです。手持ちカメラのブレ映像は室内撮影だけあって『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』以上のひどさで、これは映像酔いする人が多そうですね。でも映像よりも遥かに自分をいら立たせてくれたのは、ミカ君のバカっぷりでこっちの方がはるかにストレス溜まりました。まあそれを言っちゃったらストーリーが成り立たないけど、ウィジャ盤の件といいあれだけはっきり超常現象が映像に残っていれば、ふつうなんか善後策を考えるもんでしょう。なんでわざわざ寝室のドアを開けっぱなしにするのかもナゾですけど、それを言っちゃあおしまいですね(笑)。 この映画が稼ぎ出した金額は全米だけで1億790万ドル(!)なんだそうで、安易な二番煎じ・三番煎じだとこき下ろすのは簡単ですが、この事実は侮れないと感じます。若者のベンチャーとしては、ビットコイン投機なんかよりよっぽど建設的で社会のために貢献してると思いますよ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-03-27 10:52:26)
78.  ソウ6 《ネタバレ》 
ホフマン刑事がどんどん前面に出てくるようになりました。そりゃジグソウの後継者なんだから当然のことでしょうけど、この人ジグソウに較べるとあまりにやることが雑なうえにお間抜けなので、腹が立ちます。考えてみりゃジグソウはあまりにも用意周到過ぎて辟易となるぐらいですから、ホフマン君の方がリアルな存在と言えるのかもしれません。 本作のゲームは、自分にはシリーズ中で屈指の痛さだった感じがしました。まるで『ベニスの商人』のシャイロックの要求みたいなオープニング・ゲームは、直視できないぐらいです。でも観続けていると疑問に思わざるを得ないのは、この冒頭に出てくる本筋に関係ないゲームは、いったい何なんでしょうね?単なる観客に対するサービスと解するしかないでしょう。ホフマン刑事のキャラも単なるサイコパスになってしまってますけど、彼の行動には何かウラがあるのかと観続けて来た者としては、がっかりです。あとアマンダの秘密やジルの共犯関係などは、いかにもシリーズ製作中の後付けという感じがプンプンです。ここら辺は、連続TVドラマシリーズの手法と一緒ですね。 ラストのサプライズはさすがに「そうだったのか!!」と唸ってしまいました。観客でこの人間関係を予測できた人は、果たしていたでしょうかね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-01-29 22:59:54)
79.  ステップフォード・ワイフ(2004) 《ネタバレ》 
オリジナルは確かホラー映画と呼んでも差し支えないテイストだったので、どうせコメディとしてリメイクするならもっとブラック風味を利かせて欲しかったところです。冒頭のニコール・キッドマンの転落劇が彼女の演技を含めて絶妙だったので、なんでこのブラック・テイストを貫き通さなかったのか、ちょっと首を傾げたくなります。オリジナルでは妻たちはダミー・アンドロイドに置き換えられるという設定だったのが、本作では本人たちの脳にチップを埋め込むとなっています。でもガスレンジの火に手を突っ込んじゃうベット・ミドラーは、もとに戻っても火傷が残って大変じゃね?と言うか、誰もそんなこと気にしないって(笑)。 何気に豪華なキャストでサクサクとテンポよく観れるんですけど、最後の最後にサプライズが用意されています。ちょっとネタバレすると、『ステップフォード・ワイフ』じゃなくて、実は『ステップフォード・ハズバンド』だったとだけ言っておきましょう。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-01-16 23:32:39)
80.  スペース・カウボーイ 《ネタバレ》 
イーストウッドが20世紀の最後に撮ったのは、この肩の凝らないジジイたちの“ライプ・スタッフ”です。“ライプ・スタッフ”とは劇中のワイドショーでジェイ・レノが使ったダジャレですが(もちろん元ネタは『ライト・スタッフ』)、アメリカのキャスターはさすが上手いこと言うもんだと感心しました。この後世紀が変わってからは、『ジャージー・ボーイズ』まで彼のフィルモグラフィは重いテーマの映画ばかりでした。 まさに老人版『ライト・スタッフ』という内容ですけど、その力量がピークに達しようとしていた時期ですから、力を抜いた撮り方ながら随所にイーストウッドらしい遊び心も感じられます。なんといっても“チーム・ダイダロス”の面々の顔ぶれが渋すぎます。4人がNASAに乗り込むところなんて、もう『ワイルド・バンチ』のあのシーンを思い出さずにはいられません。思えばイーストウッドがそれまで主演したウェスタンでは常に孤独なアウトローばかりでしたから、ほんとはこういう仲間と戦うウェスタンもやりたかったんじゃないでしょうか。トミー・リー・ジョーンズとの腐れ縁的な友情が、男の眼からも羨ましく見えるぐらいでしたね。またトミー・リーの最期も、並みの監督なら悲愴感たっぷりにしてしまうところを、シナトラとカウント・ベイシー楽団の“Fly Me to The Moon”で閉めるなんて、これぞ粋ってもんじゃないですか。 後半の宇宙のシークエンスは、前半よりもちょっとちょっと脚本が雑で、普通のスペース・アクション映画という印象になってしまったのはちょっと残念でした。VFX自体はILMの仕事ですから手堅くまとめていて、ロシアの衛星“アイコン”の描写はまるでスペースオペラの悪玉メカの様な禍々しさが強烈です。でもいつも思うんですけど、宇宙空間のシーンで音響を入れるのは何とかしてほしいものです。まあその方が観る者に理解させやすいというのは判るんですけども…
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-01-02 22:51:56)(良:1票)
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