61. タクシードライバー(1976)
孤独の中で悶々と生活し、それ故に屈折した自意識ばかりが拡大している主人公トラヴィス。周囲の人々をクズ同然と見下し、自分は同類ではないということをどうにか世の中に示そうと企んでいる。 共感出来ない人は最初から最後まで全く共感できないと思うが、自分の中に少しでもトラヴィス的孤独感が思い当たる人にとっては、この作品が描く狂気があまりにもリアルに感じられるはず。 「タクシー運転手」という設定も、孤独のメタファーとしてこれぞ、と言ったところ。 若きジョディ・フォスターは可愛いし、同じく若きハーヴェイ・カイテルも良いが、 見所は何と言ってもヤバすぎるデ・ニーロの演技。いかにも不健康そうな顔色、挙動不審で妙に目だけギラついている。 全体のドロドロした雰囲気といい、本作はまさしく「病める現代っ子の狂気」を見事に映し出していると思う。 [DVD(字幕)] 9点(2010-10-01 22:08:06)(良:1票) |
62. 地獄の黙示録 特別完全版
戦争が生んだ様々な「狂気」を描きたいのは分かるが、何だか表現が薄く散漫で、結局何も胸に響くものが無かった。キルゴアとドアーズに2点。 [DVD(字幕)] 2点(2010-09-28 18:54:43) |
63. フレンチ・コネクション
《ネタバレ》 映画全体に漂うザラついた雰囲気。犯罪の臭い。 手持ちカメラの荒い映像が、犯罪都市のザラつきを見事に映し出すことに成功している。 前半は少しテンポが緩く感じられるが、中盤からの怒涛の展開はほぼ全てが見せ場と言っていいほどの素晴らしい出来。目が離せなかった。 犯人を捕まえるなら手段を選ばないポパイ。暴力行使なんて当たり前。そんな熱苦しいほどの執念を持ってしてもラストは報われずに終わる。現実の虚しさ。 細かいニクい演出が沢山散りばめられており、何度も見ても楽しめる作品だと思う。 まあ、完全に男向けではあるが。 [DVD(字幕)] 8点(2010-09-28 18:44:55) |
64. イノセンス
仰々しい比喩や引用を多用しすぎて、登場人物間の会話があまりに不自然。結果誰にも感情移入出来ず、途中からストーリー展開すらどうでもよくなってしまった。よほどこの世界観が好みな人でなければキツい作品だと思う。 [DVD(邦画)] 1点(2010-09-25 15:01:28) |
65. THE 有頂天ホテル
「ラヂオの時間」が個人的にツボだっただけに、本作は笑えたけど全体的にすこし雑な感じがした。単純にハッピーになりたい人にはお勧めできるかもしれない。 [地上波(邦画)] 5点(2010-09-25 14:58:17) |
66. ブラッド・シンプル ザ・スリラー
コーエン処女作という事で、その後の彼らの作品に比べると、物凄くストレートでシュールな要素は少ない。 コーエン兄弟作品とかそういう意識が無くとも、一級のサスペンス映画として充分に楽しめる作品。 実はなかなか入り組んだ話なのだけれども、小難しさを全く感じず観れるのは、やはり巧妙で綿密なストーリー展開の成せる業。 他のコーエン作品がダメな人にも勧められる映画かもしれない。 [DVD(字幕)] 7点(2010-09-25 04:15:23) |
67. ダンサー・イン・ザ・ダーク
確かにストーリーはありきたりなド悲劇で、全く共感出来ない。 ではなぜ8点か。 ビョークの演技と歌・音楽があまりに素晴らしかったから。 そしてカメラワークなどの演出全てが彼女をさらに引き立てている。 僕は特別ビョークのファンではない。 しかしこの映画で使われているミュージカルシーンは、音楽と映像の融合性が高く、 感性に迫るものがあった。 ビョーク以外にセルマを演じられる俳優はいないだろう。 [DVD(字幕)] 7点(2010-09-25 04:14:16) |
68. オアシス
韓国映画は時々とんでもない作品が出てくる。そのうちの一本である本作。 主演2人の演技は凄まじい。このテーマを映画化しようとした監督も日本じゃ有り得ない。忘れてはいけないのが、主役の男が前科持ちである以前に軽度の知的障害者であること。最後のシーンでは泣けた。 [DVD(字幕)] 7点(2010-09-25 04:13:20) |
69. バートン・フィンク
2回鑑賞しましたが、やはり謎は謎のままです。むしろディテールに目が行った分、2回目鑑賞時の方がさらに謎が深まった感もあります。 これはコーエン兄弟作品の中でも特に賛否分かれる作品かと思います。 個人的には、場面ひとつひとつに意味を見出そうとせず、この独特の雰囲気に身を任せてしまえれば、充分酔える作品だと思います。 それにしても、ジョン・グッドマンを始め、俳優陣の演技の素晴らしいこと! 臭ってきそうなくらいの濃いキャラクター達を、見事に演じきっています。 個人的に一番感動したのは、ラスト、鳥が海に「ポチャッ」と落ちてエンドクレジットが入る絶妙な間です。あれにはハッとさせられた。 カンヌでパルムドールを取ったからには、きっと僕のような平凡な日本人には分からないメッセージがこめられているのでしょう。 日本文学をいくら巧みに英訳しても、微妙な感情表現は決して伝えることが出来ないことと同じように、この映画を完全にかつ自然に理解するのは、平凡な日本人である限り難しいでしょう。 しかし、この映画の持つ独特な展開、雰囲気は僕を充分魅了してくれました。 要は好きか嫌いか、好みの問題だと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2010-09-25 04:12:21)(良:1票) |
70. 最後の猿の惑星
やっと「猿」シリーズコンプリート。 矛盾無く(多少の無理矢理な部分はあるが)「1」へループさせる設定も上手くいっているし、これまでと違った開放的なラストは、最終作に相応しいと思う。 結局「1」を超える作品は無かったものの、個人的には「2」、「4」以外は楽しく見れたし、何より5部作という大長編をコンプリート出来た達成感が強い。 つまらないと分かっていながらも次作を見てしまう、そんな不思議な魅力があるシリーズであることは否めない。 [DVD(字幕)] 6点(2010-09-23 17:55:55) |
71. 猿の惑星・征服
あらら。 黒人とのやりとりは訴えられるものがあったが、全体で見ると単調なクーデターのゴリ押し。 コーネリアスやジーラなど、感情移入出来るキャラがいないため、とにかくメリハリに欠ける。 おそらくこの第4作まで見た人は、本作の出来に関係無く、もう後に引けない状況で最終章も見ることだろう。 思いっきり酷いというわけではないけれど、決して面白くは無い。 前作で少し盛り返しただけに、残念。 [DVD(字幕)] 4点(2010-09-23 04:33:35) |
72. 新・猿の惑星
設定の無理矢理感には多少目を瞑らなければならないものの、前作より確実に面白く、見応えがあった。 ヒト対猿の戦闘シーンを排除し、よりドラマ性を高めた事が成功の要因であると思う。 コーネリアス、ジーラの人間性(猿性?)がきっちり描かれるから、2人に充分感情移入出来るし、その分ラストで受ける衝撃も大きいものになる。 「続」を見て「新」を見ていない人は絶対損だ、と言い切れるほど、本作は本当に良く出来ている。 7.5点献上。 [DVD(字幕)] 7点(2010-09-22 20:06:53)(良:2票) |
73. 続・猿の惑星
《ネタバレ》 前作に比べ、あらゆる面で明らかに劣っている印象。 メッセージ性が薄いし、何より映画のテンポが悪い。 凄い映像を見せたいだけで、ストーリー的に明らかに必要の無いシーンが沢山あった。 地底人の描写がとにかくチープで、特に幻覚攻撃や超音波は全くもって意味不明(おそらく大した意味は無いだろうけど)。 ラストのカタルシスもやはり前作には全く及ばず。 前作が傑作すぎた。 [DVD(字幕)] 4点(2010-09-21 17:01:22) |
74. ミスト
「後味が最高に悪い」という前情報があったせいで、色々想像しすぎてしまい、ラストが自分の想定内の驚きに終わってしまった(決して不快感が物足りないとか、出来が悪いと批判しているわけではない)。 とはいえ、2時間近い上映時間にも関わらず全くその長さを感じさせない巧みな展開はお見事。 敵キャラが虫や触手ってちょっと安易過ぎないかと前半は思ったが、本作ではそれは全く重要ではなく、中盤から「本当に恐ろしいもの」は何であるか、徐々に気付かされる。 宗教(神と人間)が大きく関わってくるが、全くとっつきづらいものになっていないのが良い。 パニックムービーとしてのスリルもちゃんと持続出来ているし、非常に残酷でやり切れないラストも映画のオチとしては素晴らしいと思う。 前情報無しで見たかった。 [DVD(字幕)] 6点(2010-09-19 19:03:42) |
75. アルマゲドン(1998)
お金かけまくって、過剰な音楽、CG、俳優の演技で大感動を強要する「これぞハリウッド!!」という映画。 [地上波(吹替)] 1点(2010-09-17 23:31:52) |
76. 勝手にしやがれ
映画ファンとしてゴダールは押さえておかないとならないと思い、初ゴダールです。 とりあえず59年にこの映像感覚は凄い、というのが第一印象でした。 ただ初回鑑賞時は斬新な演出以外に本作に面白みを見出せず、正直退屈でした。 しかし、映画の内容を把握した2回目以降の鑑賞では、驚くほど自然に内容を受け入れる事が出来、この世界に浸ることが出来ました。 初回鑑賞時はこの映画を「理解」しようと努めすぎていたのかもしれません。 台詞の言葉ひとつひとつ、映像ひとつに意味を、いちいち見出そうとしていたのかもしれません。 ストーリーはとてもシンプルで、悪く言えば中身の無いストーリー。 台詞もクセはあるが中身の無い、会話というよりは投げっ放しの言葉がそのまま宙に浮かぶようなもの。 ただその映画全体に漂う「投げっ放し感」は、どうしようもないダメ男ミシェルが放つ雰囲気そのままに、どこか不思議な魅力を感じずにはいられません。 映像、台詞回し、パトリシアとミシェルというキャラクター、音楽など、映画を構成するもの全てが個性的で、そのアナーキーで洒落た感覚は今見ても古さを感じませんでした。 むしろ新しいものを、今更この59年作モノクロ映画から与えられた気がします。 [DVD(字幕)] 6点(2010-09-17 18:49:57) |
77. キル・ビル Vol.2
《ネタバレ》 全体評価は下がっているようですが、個人的にはVol.1よりも楽しめました。 まず前作で引っ張りに引っ張った大ボス・ビル役の故デヴィッド・キャラダインの存在感が素晴らしい。大ボスとしての期待を裏切らないカリスマ的な極悪っぷりでした。 物語は序盤は割と静かに展開していきます。生き埋めシーンの暗闇の閉塞感、怖さの演出。タランティーノはこういう演出がやはり上手いなぁと思わされました。人を虐めたら右に出るものはいないですね(笑) アクションシーンの割合は前作に比べて減り、ストーリー重視になっているものの、 その分エルとの対決シーンはとてもスピーディで迫力があり、手に汗握る素晴らしい出来。 ラストは、タランティーノにしては真面目すぎというかストレートすぎる気がしないでもないですが、総じて見ると、常に漂うヒリヒリとした感触といい、前作とは全く違った作品に仕上がっていて見応えがありました。 まぁ何よりユマ・サーマンの役者魂に感服いたしました。頑張りすぎです。 [DVD(字幕)] 7点(2010-09-17 14:47:12) |
78. 猿の惑星
《ネタバレ》 運良く前情報ゼロでこの映画に臨めたからか、オチには唸らされてしまいました。 異性人の猿達が普通に英語を喋る事など、多くの設定に違和感を覚えながら鑑賞していましたが、ラストを見て全て納得。全てが前フリだったのだと認識して再鑑賞すると、完成度の高い脚本、設定だったということに驚かされました。 この映画が、人種差別、核兵器問題への痛烈な批判であり、アメリカを始め「命を奪い合う」人間全てへの警告であることは明らかです。人間同様のヒエラルキーが存在しても、猿たちは同種族間で殺し合うことはしません。殺し合う人間たちを「危険で、愚かだ」と言っています。危機的状況にも関わらずやたらと好戦的な主人公の行動も、人間が危険であるということを暗示しているのでしょう。 絶望的かつ凄まじい印象を残すエンディングを含め、設定がとても良かっただけに中盤の中だるみが惜しいところです。テンションの高いシーンが何度も何度も続き、そのパターンがあまり変わり映えのしないものなので、終盤にさしかかるまでは正直退屈でした。 とはいえ、一度は見ておくべき映画であり、運良く前情報無しで見れるならばかなり楽しめる映画であることは間違いありません。7.5点献上。 [DVD(字幕)] 7点(2010-09-17 14:00:00) |
79. スカイ・クロラ The Sky Crawlers
《ネタバレ》 本作はこの世界観を好きになれるかどうかで、かなり賛否が分かれる作品だと思われる。 メッセージに共感出来る云々ではなく、台詞の言い回し、抑揚のない展開、冷たい雰囲気など、この映画に自分が溶け込めるかどうか。終始違和感を感じたまま観終える人も多いのではないだろうか。 圧倒的に美しいCGと、悲しげな音楽は、この映画特有の虚無的な美しさを際立てていたと思う。ラスト、明確に問題は解決しないが、僅かに希望が示唆される。そんなに簡単に世界は解決しない、もしかしたら絶望しかないのかもしれない、でも闘ってみる価値はある。そんなメッセージを感じた。 ただ、少し抽象的な表現が多すぎて、監督のメッセージが伝わりづらい気がしないでもない。とにかく観る人を選ぶ作品だろう。 [DVD(邦画)] 7点(2010-09-16 21:18:07) |
80. マッハ!!!!!!!!
友達やらと大人数で観賞することをお勧め。あまりのストーリーのB級さと、アクションが凄すぎて逆に笑えます。人間ってこんな動きが出来るのか!ってビックリ。ただほんとにストーリーは酷いよ(笑)無駄だらけ。長すぎ。でもアクションだけ観ればいいのです!時にはこういう映画を観て馬鹿になるのもいいと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2010-09-16 21:16:44) |