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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1275
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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961.  ワンス・アンド・フォーエバー
「これはアメリカ人が認めようとしない事実である」とのナレーションに続き、インドシナ戦争からはじまる冒頭には大変に期待しました。ベトナム戦争の歴史的経緯を踏まえた、硬派で鋭利なドラマ作品になるのだろうかと。しかし、蓋を開けるといつもの戦争映画でした。冒頭のインドシナ戦争などは後の話にまったく絡んで来ず、あれを入れることで一体何を言いたかったのかがサッパリわかりません。本作はすべてがこの調子で、感動しそうな要素や思慮深い要素をとりあえず挿入してはいるものの、そのどれもが中途半端。「ベトナムさんも大変でした」という場面も本当に申し訳程度で、文句言われないように表面上はいろんな配慮をしているものの、本質的にはいつものアメリカ映画です。娘から「どうして戦争は起こるの?」と聞かれたメル中佐が、「ある国の人達がよその国の人達を殺そうとする時に、パパ達軍人がそれを止めにいくんだよ」と説明する場面にはガックリ。私はアメリカ万歳映画というものをジャンルとして認めているので、そのような作品でアメリカ万歳発言が飛び出しても特に気にはならないのですが、本作のように一応は中立的な立場を装っている映画でこのような発言が堂々と出て来ることには驚きです。アメリカさんというのは相変わらずなんだなぁと。軍人の家族の視点を設けたことも面白い試みでしたが、こちらも付け足し程度で特に感動はありません。奥さん達の場面は丸々いらないのではないかと、老けてマイケル・ジャクソンみたいな顔になったマデリーン・ストウのどアップを見る度に思いました。一方で戦闘シーンはド迫力でなかなか見ごたえがあり、メル・ギブソンも生まれながらのリーダー、生まれながらの軍人という感じでバシっと決まっています(銃弾飛び交う戦場で立ち話は男らしすぎますが)。後にキルゴア中佐が率いる部隊だけあって「ブロークン・アロー!」には血が燃えたし、気がつけばベトナム兵が鼻先まで迫って来ている場面も印象的でした。要らん配慮で作品のバランスを崩すくらいなら、戦闘に特化した方がよかったように思います。。。鑑賞後、冒頭のインドシナ戦争の意味について考えてみたのですが、インドシナ戦争でフランスを倒すという成功体験を積んだことで、ベトナムはアメリカと闘う腹を決めたとでも言いたかったのでしょうか?
[DVD(吹替)] 5点(2010-01-21 20:48:33)
962.  マイノリティ・リポート
見せ場のキレはさすがスピルバーグで、犯罪予知局の活躍が描かれる冒頭から最高でした。本作には印象に残るアクションが多く、しかもただ勢いで押すだけの代物ではなくアイデアとテクニックに溢れたもので、この人は現代における最高の映画監督であることを再認識させられます。緊迫した逃走劇の間にはドリフみたいなギャグまで入っていて、どういう目的でこんなギャグを入れてきたのかはサッパリわからないものの、意味不明なギャグを入れてもなお見せ場の緊張感を維持しているスピルバーグはやはりタダモノではないなと、おかしなところでも納得してしまうわけです。他の近未来SFとはかなり雰囲気の違う未来社会の描写も面白く、細かいところにまでかなりこだわって作られています。トム・クルーズ、コリン・ファレル、マックス・フォン・シドーはそれぞれよくハマっており、特にコリン・ファレルは初の大作にも関わらずトム・クルーズ以上の存在感を放ち、役者の使い方もバッチリです。。。問題を感じたのは脚本で、二転三転どころか五転も六転もする展開はさすがにクドすぎです。読む分には面白い脚本だったのでしょうが、映像化するにはちょっと捻りすぎかなと。SFアクションの横軸としては複雑すぎるプロットで、アンダートンの目指すべき方向がもっと分かりやすい話にした方がよかったと思います。また、これだけ複雑な陰謀論をバックにしてしまうと、首謀者側にとってかなりのご都合主義になってしまうのが宿命。デ・パルマ作品をも超えるようなウルトラC級の犯罪計画は説得力に欠いています。アンダートンを殺人犯にでっち上げ、それをプリコグに予知させるという計画なんて、一体どうやって仕組んだんだよと。。。サスペンスを映画の核にはせず、まだ犯していない罪で人を罰することが正しいのかという倫理的な問題を掘り下げる話にした方がよかったんじゃないですかね。ここでスピルバーグの不思議なところは、「ジュラシック・パーク」の時もそうでしたが、科学と倫理というテーマからはなぜか逃げようとするんですね。この人は映画で哲学を語ることに懐疑的なのか?それともテクノロジーを批判する話が嫌いなのか?科学と倫理なんてテーマは陳腐だから、今更そんなことを取り上げたくないのか?前述のギャグもそうでしたが、時折意味の分からない行動をとる巨匠なのです。
[映画館(字幕)] 5点(2009-12-31 16:31:59)(良:2票)
963.  ブレイド(1998) 《ネタバレ》 
シリーズが3本も作られ、テレビシリーズ化までされた作品だけあって、ブレイドのキャラが魅力的です。日本刀を振り回し、もう片方の手では銃を乱射、黒コートにサングラスの出で立ちでカンフーを決めるという、男子の憧れの結晶のような素敵なキャラクター。彼が登場するナイトクラブの乱闘は、その素晴らしすぎる武装とアクションに大興奮でした。そのかっこよさは「リローデッド」のモーフィアス、「アンダーワールド」のセリーン、「リベリオン」のクラリック達に受け継がれましたが、やはり最高なのはブレイドです。このキャラはウェズリー・スナイプスが演じたことが最大の強みで、この人はベルリン映画祭主演男優賞受賞者にしてマーシャルアーツの達人(12歳ではじめ、空手は5段の腕前)、動ける役者がアクションをやったことで、後続のキャラ達にはない凄味や説得力があります。また、まるでマフィアのようなバンパイア社会の作りこみも面白く(「アンダーワールド」に丸パクリされましたが)、バンパイアは何百年間も人間社会を裏で牛耳っており、警察権力も掌握しているため人を殺しても事件にならないという設定には、「我々が知らないだけで、この社会の裏側ではバンパイアとブレイドが戦っている」という他のアメコミ作品とは違った感覚があって新鮮です。ブレイドは社会から外れた無法者であり、警官に暴力行為を働くは、襲ったバンパイアから「活動資金がいる」と言って金品を奪い取る(ヒーローものに付きまとう活動資金の謎をうまくクリアー)はのやりたい放題。こうしたブラックな面も魅力的なのです。。。と、見るべきところは多いものの、お話の方がイマイチどころかイマニぐらいなのが残念。夜のシーンばかりでブレイドがデイウォーカーである設定がまったく活かされておらず、「ヴァンパイア最期の聖戦」のように、お休み中のバンパイアのアジトに襲撃をかけ、日光の下に引きずり出すという気の利いた展開があってもよかったように思います。またバンパイア社会にしても、チンピラを従えたフロストがいとも簡単に下克上できてしまうのでは、せっかくの設定が死んでしまいます。ブレイドと母親のエピソードはなくてもいいぐらいに印象に残らないし、フロストが血の神を蘇らせようとする動機は説明不足です。ついに蘇った血の神も意外と簡単に退治してしまい、計ったように尻すぼみに盛り下がって映画は終了してしまいました。
[DVD(字幕)] 5点(2009-09-21 19:43:01)
964.  ウルヴァリン:X-MEN ZERO
監督:ギャヴィン・フッド…誰だよ?と思って調べてみたら『ツォツィ』の監督でした。初のハリウッド大作、しかも大ヒットシリーズのスピンオフという重大な企画を任されながら、かなり落ち着いた仕事ぶりを披露しています。。。 おかしな格好のキャラが暴れ回る一方で深刻なドラマが展開されるという、他のアメコミ映画と比較するとバランスの取り方の難しいのがX-MENシリーズなのですが、この監督はなかなか器用に作品をまとめています。アメリカが経験した近代戦のすべてを渡り歩いてきたウルヴァリンの半生を冒頭5分で一気にまとめたかと思えば、妻との穏やかな日々や親切にしてくれた老夫婦とのつながりも短時間で簡潔に片付けています。この手際は見事なものだと思いました。見せ場の作り込みも上々で、ミュータントならではの激しいアクションは迫力十分。残念なのは後半になると映画のテンションが一気に下がってしまうことで、ウルヴァリンがストライカー大佐の陰謀を追いはじめてからは、作品が急激に失速します。忍従を重ねた末にいよいよアダマンチウムの爪を出すところがウルヴァリンの見せ場の王道なのですが、そんな彼が積極的に敵を追いはじめると、どうしてもこのカタルシスが半減してしまいます。。。 【2012年7月30日ブルーレイにて再鑑賞】 あらためて鑑賞すると、”ドラマを簡潔にまとめている”という点が本作を中途半端な出来にしているように感じました。ウルヴァリンの人生は悲惨なものです。実の父親を自らの手で殺害し、長い長い人生の大半を戦場で過ごし、唯一血を分けた兄とは敵味方に分かれて殺し合っている。この映画はそんなウルヴァリンの痛みを観客に伝えるべき作品だったのに、ドラマを駆け足で終わらせてストライカーとの確執を中心に据えてしまったために、感情的にピンとこない出来となっています。『X-MEN』第一作の冒頭にて初登場したウルヴァリンの背中にはこの”業”というものが確かに見えていたのですが、本作はその深い闇をすっかり矮小化してしまったという印象です。
[映画館(字幕)] 5点(2009-09-14 23:18:10)
965.  パッチギ!
活き活きとした不良達が画面を席巻し、間に入る笑いのタイミングも絶妙。井筒監督はもっとも得意とするジャンルにおいて、本当に良い仕事をしています。メイキングを見ると俳優を追い込む鬼のような演出をしていますが、そのしごきの甲斐あってか俳優たちの演技も見どころとなっています。「良い俳優・良い演技を見たなぁ」と素直に思わせる邦画は久しぶりです。また細かい部分では、主要な登場人物達の髪型をすべて別々にし、服装も人物特定しやすいようにそれとなく色分けがしてあります。時代ものの映画では全員が同じような髪型・服装をするため人物の特定が難しいことがあるのですが、監督は観客が混乱しないよう、視覚的な工夫をきちんと入れてきているのです。以上、いくらお金をかけても「映画になっていない映画」が多い中、井筒監督はお金の力ではなくプロとしての腕前で「映画らしい映画」を撮ってみせる、現在の日本映画界においては稀有な存在だと評価できます。。。と非常に楽しく鑑賞していたのですが、ラスト30分で一気に冷めてしまいました。葬式に出席した主人公康介が、在日の老人から「在日朝鮮人がいかに酷い目に遭ってきたか」を聞かされる場面です。。。私が生まれ育った地域には朝鮮学校があり、学生時代には在日の店長のお店で4年間アルバイトしたし、妹の彼氏が在日朝鮮人だったこともありました。私は在日社会のすぐ近くで生きてきて、日本人と在日朝鮮人双方に対してフラットな認識を持っているつもりなのですが、その私がこの場面には強い違和感を覚えます。他のレビュワーのみなさんも指摘されている通り、事実誤認の嵐。調べればすぐにわかるようなウソを映画で堂々と主張し、ありもしないことの反省を日本人に強要するのは、ちょっとどうなのよと思います。監督は在日の人達のためにこの場面を入れたのかもしれません。しかし、このような形で必要以上の贖罪意識を押しつけることが日本人のストレスとなり、それが在日のみなさんに対する反発へつながっているという現実を私は目にしています。もちろん、監督がどんな主張をするかは自由です。日本が悪いと思うのならそれでも良いのですが、ウソやデマを言ってでも日本が悪かったことにしようとする姿勢は作り手として問題だし、それが日本人のストレスを煽っていて、かえって溝を作っているという現実もよく認識されるべきです。
[DVD(邦画)] 5点(2009-09-14 01:30:35)(笑:1票) (良:2票)
966.  マルホランド・ドライブ 《ネタバレ》 
【猛烈にネタバレします】5年以上前に見たものの、さっぱり意味のわからない映像がダラダラと続く(ファンの方ごめんなさい)中盤で眠くなってしまい途中でリタイア。今回久し振りに再チャレンジし、無事完走しました。要するに、自分を裏切った恋人カミーラを殺してしまったものの、その罪悪感に耐えきれず自殺した女優ダイアンが断末魔に見た妄想ということですね。妄想の世界でダイアンはベティという名の別人となり、一方カミーラは殺し屋襲撃から生き延びるも記憶喪失、ふたりの関係はリセットされ、出会いを一からやり直すこととなります。妄想の世界は、ダイアンの願望が具現化されるパラダイス。現実世界でカミーラを寝とった憎き映画監督は、理不尽なスポンサーに企画を潰されるわ、家に帰れば奥さんが堂々と浮気してるわ、浮気相手から殴られるわのさんざんな仕打ちを受けます。また現実世界でダイアンの演技をまったく認めなかった別の映画監督は、妄想の世界ではベティ(=ダイアン)を絶賛。しかしキャスティングの担当者は「あの監督は老いぼれだから、別の映画に出なさい」とその監督の悪口三昧なのです。意中のカミーラとも結ばれ(誘ってくるのはカミーラの方!)、ダイアンは至福の時を過ごしますが、その後カミーラに連れて行かれた劇場で「ここで起こっているすべてはウソ、幻」ということに気付かされ、これは空しい夢だと認識します。。。この映画の面白いところは、本来はシンプルな話を真ん中でぶった切り、前後を入れ替えたために難解なルックスとなっているところ。何が起こってるのかわからないが、画面で起きていることすべてに何かの意味がありそうな前半の「引き」のうまさはさすがリンチ。話の前後を入れ替え、観客を突如物語のド真ん中に放り込むという荒業の効果がよく出ています。また、謎がつながる後半部分も興味深く見ることができました。しかし問題は、中盤があまりに退屈なこと。ひとつひとつの場面が猛烈に長くて飽きてしまいました。それに、さっぱりわからない伏線がいくつかあって、ファミレスの裏に潜む魔物とか、監督に無茶な要求をするカウボーイなどの意味がいまだにわかりません。丁寧に見てもサッパリわからない謎で感心を引くのは、ちょっと反則じゃないかという気もします。
[DVD(吹替)] 5点(2009-09-04 22:29:34)(良:1票)
967.  ドミノ(2005) 《ネタバレ》 
ここ10年のトニー・スコットは、「スパイゲーム」や「デジャヴ」など並の監督では手出しできないような困難な企画を器用に作り上げており、リドリー以上にその手腕には注目しているのですが、ここ最近で唯一のハズレ映画がこれでした。大して難しい企画ではなく、普通に撮ってれば面白い映画になっていたのに、どうしてこんなことになってしまったのかと。前作「マイ・ボディガード」(ヘタレなタイトルからは想像もつかない残酷バイオレンスの傑作)で効果を発揮したチラチラ映像を全編でやってしまい、まったく落ち付かないビジュアル。ドミノの生い立ちなどではその効果を感じたものの、全編に渡ってこれはさすがにやりすぎでしょう。また、話を複雑にしすぎていることも問題でした。この映画の核はあくまでドミノ・ハーヴェイという実在の人物であり、彼女の数奇な生き様を堪能することがもっとも大事なことのはず。にも関わらず、タランティーノも呆れるような複雑な犯罪を後半に持ってきたことから、見ている私達の集中力はドミノから犯罪へとシフトすることを余儀なくされます。これにより、せっかく面白かったドミノと仲間たちの物語が中断される形となってしまいました。ラストの銃撃戦も、相変わらずのチラチラ映像のために燃えるような大アクションとなっていません。スコットの手腕があれば余裕でかっこいい銃撃戦を撮れるのに、必要とされていない工夫をしてしまったことが完全に裏目に出ています。良い題材に、良い役者(ミッキー・ロークの最高ぶり!)を得ながら、要らない工夫のために映画をつまらなくしてしまった珍しいケースだと言えます。。。なお、DVDに収録されている眞鍋かをりによる吹き替えはよく出来ていました。ここ数年のユニバーサルはよくタレントを吹き替えに起用し、その大半は恐ろしくダメな仕上がりなのですが(DAIGOによる「ウォンテッド」には倒れそうになりました)、これだけは例外。決してうまくはないものの、その不安定さがお嬢様育ちの賞金稼ぎというキャラクターと偶然にも噛み合っており、作品の意図と一致しているのです。彼女が汚い言葉を吐く時の無理しているような感じなど、完成されたプロの声優では出せない妙な味が出ています。キーラ・ナイトレイのルックスと眞鍋かをりの声質にも不思議な統一感がありました。
[DVD(吹替)] 5点(2009-08-14 11:42:07)
968.  オール・アバウト・マイ・マザー
序盤、マヌエラが息子を失うマドリードのパートは非常に素晴らしかったです。この監督さんは人間の描き方が巧く、彼女の悲しみが痛いほどに伝わってきます。また、エステヴァンという本作においてキーとなる人物を、短時間の登場ながら印象に残るよう描いていることにも感心しました。しかし舞台がバルセロナに移ると、途端に感情移入しがたくなります。ゲイが女性と関係を持ったり、修道女が避妊もせず成り行きで男と寝たり、有名女優が昨日今日会ったばかりの他人を付き人として雇ったり、マヌエラが息子の死の原因となった女優と何事もなかったかのように親しくしたりと、目の前で起こっていることにいちいち疑問符が付いてしまうのです。重いドラマがどんどん軽くなっていき、最終的には母を失った子供を引き取ることで、かつて失ったエステヴァンの代わりができましたというハッピーエンドも、やっぱりよく理解できませんでした。また、出てくるのが女性かゲイばかりなので、男の私には彼女たちの会話や行動の面白さがイマイチ伝わらなかったのも問題でしょう。「たぶんこの演出は巧いんだろうな」と思いながらも、心には入ってこなかったという感じです。外国の人が「男はつらいよ」や「釣りバカ日誌」を見ると、たぶんこういう印象を持つのだろうという感じです。おすぎは絶賛しても、私には一生良さのわからない映画だと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2009-08-07 21:43:36)
969.  スリーピー・ホロウ
特殊メイク界の大御所ケビン・イエーガーがなぜか脚本を担当し、「セブン」のアンドリュー・ケビン・ウォーカーがさらに手を加えたという極めつけの脚本だけあって、この映画の残酷ぶりはすさまじいものがあります。拷問で断末魔の母親と目が合うイカボッド少年(直後、大量の血を浴びるという徹底ぶり)、ご丁寧にも妊婦のおなかの胎児にまで剣を突き立てるホースマン、枝を折り、表皮をはがすと血を流す「死人の木」を掘っていくとゴロっと現れる生首、ホースマンに体を真っ二つに引き裂かれるキャスパー・ヴァン・ディーン等々、枚挙に暇がありません。この凶悪な脚本を得たことで、性根が残酷なティム・バートンの演出が水を得た魚のように冴え渡ります。残酷描写を包み隠さずバンバン見せてくるのです。残酷絵巻を明るい色調でやって顰蹙を買った「マーズ・アタック」の反省もあってか、本作は残銀処理により色調を抑え、芸術的なルックスにすることで残酷シーンに対する観客の抵抗感を軽減しています。一流スタッフを動員して残酷描写を芸術的に見せるのはスピルバーグのお家芸ですが、本作においては「トゥモロー・ワールド」も担当した撮影監督のエマニュエル・ルベッキ、及び美術監督のリック・ハインリックスがバートンの共犯者でしょう。とにかく本作のルックスは美しく、世界中でバートンにしか作れない映像をたっぷりと堪能できます。しかしここぞという時は真っ赤な血の飛び散る地獄絵図。無名スタッフが低予算で作るのが相場の残酷映画を、メジャー監督が潤沢な資金と優秀なスタッフを率いて作るとどんなことになるかという興味深い見本市となっています。また、剣と斧の二刀流で暴れ回るホースマンの殺陣のかっこよさにも(相手にとどめを刺す際の一瞬の決めポーズは最高)、良い意味で子供っぽいバートン演出の良さが出ています。首なし状態よりも首のある時の方が怖いクリストファー・ウォーケンの怪演もあり(オスカー俳優なのにセリフなし!)、ホースマンはキャラ立ちした素晴らしい悪役となっています。ただし本作で残念なのは、ビジュアルに集中しすぎたためか、謎解きやロマンス部分がまったく面白くないことです。村の秘密や陰謀などは大して難しい話でもないのになぜか頭に入って来ず、「で、今は誰の話をしてるんだっけ?」と何度も話を見失いそうになります。
[DVD(字幕)] 5点(2009-08-07 21:17:10)
970.  ファニーゲーム 《ネタバレ》 
「ファニーゲームは物凄い!狂っている!」という噂を聞き猛烈に関心があったものの、長期に及ぶ廃版状態により、DVDを入手して鑑賞するまで5年待ちました。人は見られないものほど見たくなる。期待パンパン、さぞかしショッキングな映画なんだろうと身構えて鑑賞したため、衝撃はそれほど感じませんでした。「得体の知れないヨーロッパ映画として鑑賞できれば」と、とても残念に思いました。要するに監督がやりたかったのは、暴力がギッシリ詰まった娯楽映画を見て「楽しい」と喜んでいる一般の観客達への嫌がらせでしょうか。デンジャラスのノッチに似ている不快極まる兄ちゃんは、普段暴力的な映画を見て喜んでいるあんた達の姿なんだよと。。。若者二人は、天の上から家族に不幸を与えます。逃げられるかも、警察に通報されるかもという、被害者と同一次元にいる加害者であれば持つであろう不安や迷いは一切ありません。自分たちがゲームを支配し、ゲームは必ず自分たちの思い通りに終わることを分かって行動している以上、彼らは映画固有の登場人物というよりも、映画を作っている人間や、それを眺める観客に近い存在だと考えられます(自分の作品に突如割って入る手塚治虫や鳥山明みたいなもの)。彼らはゲームが単調では面白くないから、被害者を泳がせ、哀れな家族にも一応「ゲームに勝つ」チャンスを与えます。しかし被害者が予想外の反撃をすれば、巻き戻して自分たちのシナリオに戻します。これは、結末のわかりきった話、設定が少し違うだけで中身はどれも大差のない娯楽作を飽きもせず何本も見て喜んでいる観客への皮肉でしょうか。まったく同じ映画であってはいけないがお約束は守って欲しい、自分たちが期待する内容でなければ不満に感じるという短絡的な観客たちへの。そんな頭空っぽの観客たちが、刺激を求めて「美化された暴力」を消費することの空恐ろしさ。これを、「美化」というオブラートを取り払った形で観客に提示します。「あんたらが喜んで見ている暴力って、そんなに楽しいものかね?」。本作から10年後、監督はまったく同じシナリオでファニーゲームをリメイクしました。わかりきった結末の映画を見て喜ぶ観客への嫌味はまだ終わっていないようです。
[DVD(字幕)] 5点(2009-07-23 20:48:07)(良:2票)
971.  もしも昨日が選べたら
人生をDVDのメニューのように自由に操作できるリモコンというアイデアは秀逸です。このアイデアにアダム・サンドラーの腕前も加わり、コメディ部分は非常に楽しめました。時間を止めている間に気に入らない相手をビンタしたり股間を蹴り上げたりとサンドラーらしいギャグが多くあって、志村けんのバカ殿様を見ている時のような抜群の安定感を感じました。ただし人情話になると途端につまらなくなったのが残念。「ブルース・オールマイティ」などもそうでしたが、独特のアイデアを活かしたコメディ部分は面白いのに、どうしてオチは毎回「日常こそ得難い幸福。家族を大切に」というありきたりな説教になってしまうのか。アメリカ人はこういう説教が好きなのでしょうか?最後まで人を食ったような話にしてもよかったと思います。また説教映画にするならするで、もう少しやりようがあったと思います。ルックスも性格も最高の奥さんと、素直でかわいい子供が二人も家にいるのですから、サンドラーが家庭に不満を持つ背景がイマイチ弱く感じました。ケイト・ベッキンセールが家にいれば幸せだろ!と誰もが感じたはずです。また、仕事が悪として描かれている点も、何か倫理感がズレているような気がしました。お父さんは家族を養うために仕事をし(職場は決して楽しい場所ではありません)、奥さんも子供もお父さんが頑張って仕事をしてくれているおかげで豊かな生活を送れているのですから、仕事は悪、家族のために何が何でも時間を持つべきという価値観にはあまり賛同できません。本作におけるサンドラーの仕事ぶりは決して極端なものではなく、家族を養うための範囲を逸脱しているように感じなかったため、このメッセージを伝えたいならもっと極端な仕事中毒にすべきだったでしょう。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2009-07-21 19:49:15)(良:1票)
972.  アミスタッド
脚本はよく作り込まれています。奴隷商人、アメリカ海軍、スペイン王室らの利益が複雑に絡み合い、さらに国際条約や国家間の力関係、アメリカ国内の対立までが影響を及ぼすかなり厄介な裁判をテーマとしながら、事件を取り巻く環境の交通整理がうまくなされています。マシュー・マコノヒーに「この裁判の本質は所有権争いである」と言わせ、どうすれば黒人奴隷達が裁判に勝てるのかを観客に対して事前に提示したことで、話がグっとわかりやすくなっています。このようなストーリーテリングの工夫には好感が持てます。証拠や論理を積み重ねていき、裁判を有利に導く様は小気味よく、法廷ものとしてなかなかのレベルです。しかし残念なのは、当のスピルバーグが本作を法廷ものとして描く気がなく、法廷で論理を積み重ねることよりも、いかに感動的なセリフを言わせるかを重視したこと。感動過多というスピの悪い癖がここでも出ています。また、アフリカ出身で西洋文明には馴染みがないはずの黒人奴隷が聖書に関心を持ったり、西洋の価値観である「自由」を叫んだりと、黒人の白人化が目に付きました。「奴隷制度に反対を叫んで、奴隷達そのものに無関心な人間」という印象的なセリフがありましたが、本作の作り手達にもこれを自問していただきたいところです。一方、スピお得意の残酷スペクタクルのインパクトは絶大で、本作の壮絶さはシンドラーのリストをも超えています。言葉でのみ語られてきた歴史を、迫真の映像で見せられるとここまでショッキングなものかと驚きました。ロスト・ワールド、プライベート・ライアン、そして本作と残酷描写が際立つ作品を3つもほぼ同時に作り上げたスピの絶倫ぶりは、さすが巨匠なのです。
[DVD(字幕)] 5点(2009-07-18 21:22:05)
973.  ジェシー・ジェームズの暗殺 《ネタバレ》 
伝説的アウトローを撃ち殺した男の物語という着眼点の良さ、撮影の美しさ、俳優の演技の良さ等見るべきものの多い作品となっていますが、いかんせん長い。シンプルな話なのにどうしてここまで長くややこしい映画になったんだろうかと、テレンス・マリックの映画を見ている時と同じ感覚を味わいました。映像は綺麗だし、役者は良い表情してるし、何かを感じ取るべき場面なのはわかるけど、いくつかのシーンでそれを見せてくれれば十分伝わるわけで、映画の最初から最後までずっとその調子でやられるとさすがに飽きてしまいます。また長い割に話の整理が出来ておらず、前半などはさほど登場人物が多いわけでもないのに「で、今は誰の話をしてるんだっけ」と何度も話を見失いそうになりました。時間配分も適切とは言い難く、ジェシーが疑心暗鬼になるきっかけとなる仲間内のトラブルや隠し事を必要以上に丁寧に描く一方で、このテーマにおいて重要であるはずの、ジェシーを殺した後のロバートの人生や彼の葛藤については駆け足のナレーションで説明され、それまでイヤというほど見せられた冗長なカットもここにはありません。憧れの対象にいざ出会うと幻滅し、最終的に殺すに至ってしまうというテーマはすごく良いので、もっとストレートな映画にすべきだったと思います。本来わかりやすい話をわざわざ回りくどくすることは、「俺たち芸術的なもの作ってるぞぉ」という監督やプロデューサー(インディーズ作品を好むブラピ)の自己満足のような気がします。映画の外見にこだわって話を難しくする中で、一体何を見せたいのか、見た人に何を感じ取って欲しいのかという意識が薄くなっていったのではと思います。映画の流れを観客の生理に合わせることや、主張を浮き立たせるために映画全体のバランスを計算することは、娯楽作でなくとも重要なことです。
[DVD(吹替)] 5点(2009-06-13 22:11:49)
974.  ザ・シークレット・サービス
70点ぐらいの映画を撮り続けるハリウッドの職人さんウォルフガング・ペーターゼンが送る70点ぐらいのサスペンスアクションでした。見せ場の作り方や話のまとめ方は当時の娯楽作の標準的なレベルだし、主人公の努力が報われるハッピーエンドも、バッドエンドを好まなかった当時のハリウッドらしい終わり方。この題材であれば後味を悪くしてもよかったように思うのですが、やはりそこは空気を読む男ペーターゼンの本領発揮というところでしょうか。脚本は面白いアイデアを内包しているものの、そのほとんどが作品を盛り上げることなく、映画を構成するパーツに終わってしまっているのが残念。「ザ・シークレット・サービス」というタイトルながら、大統領警護ではなく偽札捜査から映画がはじまるところで「おっ」と思わせたものの、その後の展開は事実のリサーチに基づいた緻密な話というわけでもなくただのサスペンスアクションとなります。暗殺者ミッチの人物像は秀逸で、予算削減でCIAをリストラされた元殺し屋で、特殊な訓練で人格が完全に曲げられた結果社会に適応することができず、夜な夜なイーストウッドへのイタ電とプラモデル制作に精を出す腹の出た中年という、他に類を見ない悪役像を構築しています。存在自体が最高機密のこの男に対しては、シークレットサービスとは別にCIAも独自捜査をしているという燃える設定も準備されているものの、CIA絡みの話は映画の本筋には特に絡んできません。イーストウッド扮するいかにもやり手そうな老練の捜査官と、マルコビッチ扮する異常かつ頭のキレそうな暗殺者を準備した以上は、互いに裏をかき、相手を出し抜こうとする頭脳戦を期待しますが、「マルコビッチがイーストウッドにイタ電→逆探知で通話場所を特定→現場へ急行するも逃げられた後」これを何度か繰り返すのみです。その一方で、当時63歳のイーストウッドが、当時39歳のレネ・ルッソを真剣に口説くという、誰も見たくない展開をしつこいくらいに見せられるので困ったものです。ここで時間を割かれたためか、イーストウッドの相棒君がいてもいなくても変わらないくらい影が薄くなっています。イーストウッド作品にはおなじみの後輩教育ですが、今回はあまりに影が薄いので彼は必要なかったと思います。レネ・ルッソも不要。ヘタなドラマ要素など入れずひたすら追っかけに終始した「逃亡者」はやっぱり偉大だったんだなと思います。
[DVD(字幕)] 5点(2009-05-25 03:29:07)(良:2票)
975.  ジャンパー
陽気な『インビジブル』とでも言いましょうか、まったく悩まない主人公が斬新な映画でした。能力が発現すれば、その日の夜にはさっそく家出。ただひたすら私利私欲のために能力を浪費し、社会正義などはまったく気にかけないという潔さは見ていて気持ちがよくなるほどでした。確かに、10代の若者が特殊能力を身につければ、その能力を専ら金と女に向けることは自然なことです。正義のあり方についてあれこれ悩むピーター・パーカーのような殊勝な青年はむしろ例外であり、本作はアンチアメコミものとしてなかなか興味深い姿勢で製作されています。。。 問題だったのは、ジャンパーとパラディンの戦いに緊張感がまったくなかったこと。特殊能力を持つ主人公が圧倒的に有利なことは誰の目にも明らかであり、その戦力差は憎まれ役であるはずのパラディンが気の毒になるほどでした。また、主人公が大馬鹿野郎のバカボン君だったことも、映画のテンションを大きく下げる原因となっています。パラディンの襲撃から命からがら逃げ出した直後であるにも関わらず、高校時代のマドンナをナンパしてローマ旅行に向かい、案の定、パラディンに追跡されてしまうというバカさ加減には呆れました。意図的にライトさを狙った作品であることは理解できるのですが、主人公がここまで愚かでは活劇として成立しません。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2008-11-22 03:02:27)
976.  GODZILLA ゴジラ(1998)
よく言われることですが、日本人の描く怪獣は人間では対抗することのできない神に等しい存在で、一方ハリウッドのモンスターはやがて人間の力によって命を奪われてしまう存在。これをはじめて見た時は、ヘリや潜水艦からの攻撃、果ては歩兵の撃つ自動小銃からも逃げているゴジラの姿が印象的でした。最近公開された「クローバーフィールド」は日本の怪獣映画を参考にして作られたと言われますが、結局あれも軍隊の力でモンスターに対抗していたので、やはり怪獣の捉え方は日本独特のものだと思います。そんな特殊な文化的背景を持つ「ゴジラ」の製作ですから、エメリッヒも相当苦労したと思います。例えばゴジラの出自ひとつとってみても、不思議なことに日本人はあれが一体何者なのかということに説明を求めません。ゴジラが水爆実験によって復活した太古の恐竜という設定を知らない人は意外と多いのではないでしょうか?キングギドラの基本設定がコロコロ変わったり、最後のつがいが死んで絶滅したはずのラドンが次作に登場したり、ゴジラに息子がいたりしても何となく受け入れてきたのも、やはり「怪獣は人智の及ばない存在」という捉え方から来ているのだと思いますが、ハリウッドで映画化するとなればそれなりに納得できる説明が必要となります。批判の多い巨大イグアナという設定にしても、さすがに太古の恐竜という話を世界マーケットでそのまま押し通せるものでもないので、あれはあれで仕方のない方便だったと思います。そんな難しい映画化でしたが、前半は非常に巧く作られていて感心します。主人公が局地的な異変を辿りながらゴジラの存在に行きつく展開はこれまで製作されたどの続編よりも1954年版に忠実で、かつ退屈になりがちな序盤の前振りをここまで面白く撮っているのはさすがです。ミミズの突然変異を研究してる学者、テレビ局に勤める野心家の元カノ、愛妻家のカメラマン、保険調査員と称して事故現場に現れるフランス諜報部員と、普通ではちょっと思いつかない登場人物を配置してるのも面白く、かなりよく考えて作られた映画だと思います。ただしエメリッヒ作品毎度のことですが後半になるにつれ演出がグダグダになっていくし、ゴジラが軍隊から逃げ回るという同じような見せ場を何度も見せられたのでは飽きてくるし、せっかくの登場人物を活かしきれていないしと、明らかな問題点も指摘できるので、ここは5点という評価で。
[DVD(吹替)] 5点(2008-06-22 03:51:00)(良:2票)
977.  L.A.大捜査線/狼たちの街 《ネタバレ》 
この時期はなぜかポリスアクションが流行ってましたね。そんな時代の1本ですが、70年代に頂点を極めた監督の作品とは思えないほど珍妙な仕上がりとなっています。当時はかっこよく見えてたのか知りませんが、気の抜けるようなダサダサのスタイリッシュが画面を席巻。全裸のウィレム・デフォーが偽札を燃やすシーンには爆笑してしまいました。「新しい信仰 ”気にしない”という宗教」という意味のわからない歌詞の主題歌がいかにもかっこいいでしょってタイミングで流れたりと、フリードキンが柄にもないことやってんの丸出しで、見てる私が照れてしまう程です。とにかくこの映画で使われる曲はどれも意味不明で、サントラが欲しくなってしまいました。ただしそんな無様なスタイリッシュを除けば、フレンチ・コネクションの血を引いた無骨な刑事アクションとなっています。たまたま刑事やってるだけで根は悪人と変わらない主人公が、どんな手段を使っても標的を追い詰めるという漢の物語。主演は「ビースト/巨大イカの大逆襲」でおなじみのウィリアム・ピーターセン。「ビースト~」の時は胡散臭いおやじという印象だったピーターセンも、本作ではマシュー・マコノヒーを思わせるイケメンとして登場します。本当にかっこいいので女性方は驚いてください。そんなピーターセン演じるチャンス捜査官、彼女に対しては常に冷たく当たり、捜査についてもルール違反はへっちゃらな男の中の男なのですが、いかんせん弱いのが難点。すぐに敵の反撃を受け、準備してた捜査プランがどんどん悪い方向へと転がっていくバカっぷり。そしてラストでは、主人公なのにあんなことに…。リッグス刑事かアクセル刑事に弟子入りすることを強くお勧めしたい逸材です。それに対するはウィレム・デフォー。怪優のイメージの強い御仁ですが、本作ではミステリアスなイケメンカリスマ犯罪者として登場します。本当にかっこいいのでこちらも女性方必見です。そんなふたりの対決ですが、脚本の出来がいまひとつで話があちこちへ飛んでいってしまうので、対決という一番おいしい部分に焦点が合っていないのが残念。役者のハマり具合や話自体は悪くないので、もう少し整った脚本であればよかったと思います。冒頭の爆弾魔だとか明らかに必要のないエピソードが混じってるわりに、描くべき部分が端折られたりしていましたから。
[DVD(字幕)] 5点(2007-04-08 02:20:43)(良:1票)
978.  エネミー・オブ・アメリカ
トニー・スコットならではのテンションの高い映像が楽しく、掴みは上々。トニー・スコットの手腕はもはやの名人芸のレベルで、チェイスシーンにおいてはただ細切れアクションを見せるだけでなく、NSAの操るハイテクの実力や、追う者と追われる者の位置関係等の情報を実にスムーズに見せてきます。こういう巧い映像を余裕で作ってしまう辺り、マイケル・ベイなんかにはまだまだ負けない娯楽アクションの王様の実力が感じられます。ただし作品自体は、そんなトニー・スコットの手腕におんぶにだっこの状態で脚本が致命的なまでに弱いのが残念。最初こそ盛り上がったチェイスも、同じような構図を何度も何度も見せられては飽きてしまいます。テンポをぐっと上げていかねばならない後半になると、逆に話のテンションまで失速気味に。諜報機関による殺人を隠蔽したいというそもそもの目的がありながら、街中でヘリを飛ばすはカーチェイスするはの大騒ぎという本末転倒な内容自体が、最後までテンションを引っ張っていく求心力に欠けていたように思います。こういうアクションのためのアクション映画って、見た目こそ派手でも最後まで緊迫感を保つことは難しいですね。またザ・ロック、アルマゲドン等、ジェリー・ブラッカイマーはプロの集団が寄せ集めや素人にしてやられる映画をよく製作しますが、こういうのも敵がバカっぽく見えるのであまり感心しません。機転を利かせて逃げるウィル・スミスよりも、あれほどのハイテク機器を駆使しながら標的を追い込みきれないNSAの間抜けぶりの方が目立っていました。そう思うと、本作と同じ巻き込まれ型映画であっても視点を主人公に絞り、追跡する側をほとんど描かなかったヒッチコックはやはり偉大だったなと思います。事情も知らない素人相手にミスを重ねる間抜けな姿をさらさないことで、恐怖を十分に維持できていましたから。ジョン・ボイド、バリー・ペッパー、ガブリエル・バーン、ジャック・ブラックと悪役にやたら豪華なキャスティングをしても、見せ方を間違えると役は引き立たないということがよくわかります。
[DVD(字幕)] 5点(2007-04-03 20:59:45)
979.  ジェヴォーダンの獣
フランス貴族に並んでインディアン風の男が立っているポスターを見た時点で「これはバカ映画だ」と確信したのですが、いざ鑑賞すると意外にも時代劇としてまっとうな出来なので驚きました。ヴァン・ヘルシングのように「設定だけは時代劇ですが」みたいな軽いものではなく、衣装やセットも手がこんでいるし演出にも重厚感があってよくできているのです。登場人物の演技やセリフもバカっぽくなく、怪しい時代の怪しい田舎の雰囲気も良く出ていて、少なくとも前半はどこの大河ドラマかとでも言わんばかりの仕上がりとなっています。問題のカンフーインディアンも撮影や編集がよかったためか視覚的にはそれほど浮いて感じられず、マニという人物もキャラクターとしてきちんと完成されているので、フランス貴族とカンフーという無茶苦茶な組み合わせなのに巧く見せるなぁと感心しました。ただし話の展開が単調なので後半になると猛烈に退屈になってきます。確かに後半は獣がついに姿を現し見せ場も増えるのですが、話自体が求心力を失っているので見ていてもまったく盛り上がらないのです。「実は○○は~~でした」などという短絡的な怒涛の展開が起これば起こるほどチープ加減に拍車がかかり、クライマックスに行き着く頃には完璧なB級映画になってしまいます。監督もその自覚があるのかないのか、最後のバトルは無茶苦茶で笑ってしまいました。文科系の学者さんで得意の武器は銃だったフロンサックが、インディアンばりのフェイスペイントして二刀流で大暴れ。ブレイドばりに敵のど真ん中へ飛び降りて大見栄を切ると、武闘派マニですら勝てなかった敵一味をひとりで殺しまくります。あんた、そんなに強かったのか?と驚いていると、今度はヴァンサン・カッセルが伸びる剣で対抗。重厚な時代劇としてはじまった話のクライマックスがこれかと、高級フランス料理のデザートがガリガリくんだったような気持ちになりました。安易にアクションで決着をつけるよりも、ジェヴォーダンの獣に関する陰謀や駆け引きをもっと見せて欲しかったような気がします。モニカ・ベルッチの正体をもう少し早く暴いて、闇の勢力とバチカンとの知的な駆け引きを後半の山場にすれば良い映画になったと思うんですけどね。
[DVD(字幕)] 5点(2006-11-25 19:42:54)(笑:1票)
980.  ステルス
いまだにこういう映画を作ってる人たちもいるんだな~ってしみじみしてしまいました。低脳の極致を行くこの映画は80年代にスタローンやシュワルツェネッガーが出まくってたのと同じにおいがします。敵を殺しまくり、悪い国を成敗しまくって最後に主人公が生き残るこのパターン。アクション映画好きな私はこういうノリも大好きだったんですが、今の時代にいきなりこういうのが現れても素直には盛り上がれない、時代は変わったんだなと実感しました。単純な勧善懲悪を「痛快」の一言で片付けられる時代でもなくなってるんですね。例えばテロリストを殺すためなら当然のように他国を領空侵犯し、ミサイル攻撃してビルひとつを崩壊させる。こんな行為が英雄的に描かれ、「巻き添えは出ませんでした。成功です。やったー!」と手をたたいて喜んでる場面。思えばトップガンのクライマックスも領空侵犯して他国と非公式に交戦するという似たようなものでしたが、80年代には素直に盛り上がれたこの展開も、今の時代に見せられては素直に興奮できなくなってしまっています。「いくら悪いやつがいるからって、よその国を勝手に攻撃しちゃいけないよ」という感覚が常識となっているためですが、一方この映画を製作した人たちは、世間の人たちがこんな単純な話に素直に盛り上がると本気で思ったのでしょうか?これを製作したのはソニーピクチャーズという会社ですが、ソニーが製作する娯楽作はスパイダーマン以外ロクなのがありません。バーティカル・リミット、SWAT、ティアーズ・オブ・ザ・サン、バッドボーイズ2、アンダーワールド、パニッシャー・・・爆破さえ見せてれば盛り上がると勘違いした映画に大金を投入し続けているようです。エアフォース・ワンが思った以上に稼いでくれた97年以来、方針がまったく変わっていないような気がします。もうちょっとよく考えて映画作りましょうね。
[DVD(吹替)] 5点(2006-10-21 19:06:17)
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