Menu
 > レビュワー
 > ころりさん さんの口コミ一覧。5ページ目
ころりさんさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 634
性別

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12345678910111213
投稿日付順12345678910111213
変更日付順12345678910111213
>> カレンダー表示
>> 通常表示
81.  トリガール! 《ネタバレ》 
これは、土屋太鳳を見る映画だし、そうゆうふうに作られているのだから、土屋太鳳を見たい人が、彼女を見るという目的で見る以外の評価はあまり意味がないだろう。『鈴木先生』では見られなかった、吹っ切れたコメディエンヌ演技、体育会的な身体のキレ、全身で感情を表現する彼女のキャラは現実的ではないけれど、映画を引っ張るに十分な魅力でした。ただ、そういう「アイドル映画」としての部分以外は、手抜きばかりが目につく。登場人物たちの「空を飛ぶ」動機はよくわからない。メカニック班の扱い(矢本悠馬の無駄遣い・・・)が酷いのでチーム感がゼロ。コンテストで坂場が墜落せずに「飛ぶ」ことができたのかがなぜか、ロジックがわからない(努力の賜物?)。落下からの「浮上」の画の平凡さ。もっと鳥肌モノのやつが作れるし、そのワンシーンのためにこの映画を見ていたようなものなのに、妙にあっさり。そして、セオリーであれば若手中心の俳優陣のなかで実力派が配されるはずの「先輩」枠に演技素人の芸人を持ってくる愚策・・・。これはナダルが悪いというよりはキャスティング担当者が悪い。物語の骨格を語り要所を締めるはずのシーンで、いちいち滑舌が悪く、何を言っているか聞き取れない。実は私、途中から日本語字幕付きで見たので、少しストレス和らいだけど、映画館だったら最悪だっただろう。というわけで、よく動き、よく笑い、よくしゃべる土屋太鳳を見たいという目的を果たせたこと、飛行中の告白シーンの顛末には笑ったこと、『空を飛べるはず』、その3つは個人的には楽しめた。しかし、土屋太鳳に興味がない人にはぜったいにお薦めできない映画。
[インターネット(字幕)] 5点(2019-02-14 23:37:44)
82.  哀しき獣
『コクソン』を見て、ナ・ホンジン監督の過去作に興味をもって鑑賞。入り組みすぎてごちゃごちゃな人間関係、説明不足のまま突っ走る展開は『コクソン』でも体験済みだったので、それはまあ許容範囲。ただ、終盤のアクションは手が込んでたけど、少し長くてダレてしまった。むしろ、個人的に感心したのは、序盤の殺人事件が起きるまでの緊張感。序盤に中国における朝鮮族社会を丁寧に描いたからこそ、中盤〜後半の主人公の陥る苦境が社会性をおびて「哀しみ」を増幅させる。ただ、哀愁に浸らせてくれないのもナ・ホンジン監督の面白いところ。後半は、一転してミョン社長の独壇場で、マイノリティとして成り上がった人間が持つ独特の凄みとユーモア。見てるこっちは苦笑いするしかない。怒濤のごとく突っ走った後で、ラストは静かにしんみりというのも韓国映画らしい。1本の映画にするには明らかにエッセンスを詰め込みすぎだけれど、それをまとめてエンタメとして提示するパワーもまた、この監督の魅力だと再確認しました。
[インターネット(字幕)] 6点(2019-02-14 13:55:51)
83.  ミッション:インポッシブル/フォールアウト 《ネタバレ》 
トム・クルーズのアクションへのこだわりは、ちょっとおかしい領域まで来ている。とにかく、高いところに行く、飛ぶ、落ちるを繰り返し、カーチェイスではわざわざ逆走して目立つ方向へ目立つ方向へ行ってしまう。でも、トムは傷つき、ボロボロになっても、なんか楽しそうで幸せそうなのだ。なんか、よくわからないプレイに付き合わされている感さえあるけれど、それはそれでこっちも楽しくなってくる。とくに今作は、いい感じのユーモアが絡んで、呆れたり、突っ込んだりしながらワイワイ楽しむアクション・コメディとして完璧と言っていいかもしれない。アメリカ出張中に現地の巨大スクリーンで見るチャンスがあったのに結局別の映画を見てしまったのを本当に後悔している。ただ・・・残念なのは、その異次元に行ってしまったアクションとストーリーがうまくかみ合っていないこと。とくに、奥さん絡み。イーサンが奥さんのために、あえて離れて任務を全うするという設定は、切なくシリアスなのだけれど、そのシリアスなイーサンの顔と、無茶アクションで見るからにイッてしまっているトムの噛み合わせが悪い。奥さんが出てきた終盤だけ3作目っぽいのだけれど、アクションやコメディ演出はあいかわらずというバランスの悪さで、せっかくの無茶苦茶なヘリ・アクションに乗り切れなかった。そこは、4作目『ゴースト・プロトコル』くらいのバランスがベストだったろう。ついでにいえば、ジェレミー・レナー演じるブラントの不在も痛かった。その分、ベンジーががんばっていたけど、コメディとシリアスの橋渡しがうまいブラントのバランス感覚は貴重だったと、いなくなってよくわかった。まあ、バランスを崩しても、その「道」を突っ走るトム・クルーズと同時代を生きてる私たちは確実に幸せモノだ。その幸運を噛みしめながら、次作はやっぱり映画館で観るようにしよう。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-02-03 16:04:35)(良:1票)
84.  哭声/コクソン 《ネタバレ》 
もう、舞台となる村の描写だけで素晴らしい韓国映画。『殺人の追憶』を思い出しそうな、なんてことはない田舎のさえない警官たち、村の人たちとのやりとりだけでとても楽しい。ただ、この作品はのんびりした田舎の人情ドラマから始まったと思ったら、猟奇殺人事件サスペンスになり、懐かしいエクソシスト系オカルト映画になり、ゾンビ映画になり、最後には神と悪魔をめぐる宗教映画に・・・。謎のよそ者を演じた國村隼は本当にすばらしい怪演で、序盤の感情を感じさせない無表情から、中盤のいかにもなサイコ犯人風、そして魔女狩りのように村の男たちに追われて逃げ惑う顔、そしてラストのアレ・・・まで、多種多様な顔を見せて私たちを戸惑わせてくれました。そして対峙するクァク・ドウォンの憎めない凡庸な父親。彼は本作中で何度か判断を誤り、ある意味観客を苛つかせる主人公ではあるんだけど、その「小市民」風の造形によって一つ一つの「過ち」にちゃんと説得力を持たせているのが素晴らしい。とくにラストは、彼にとっては地獄のような経験ではあるのだけれど、でも彼はやっぱりあの場にいってあそこで娘と再会できたことで、どこかハッピーエンドのような後味を残してしまったのがすごい。これって、おそらくハリウッド映画では描けない土着的な共同体のなかの家族のかたちなんだろうと思える。同じくらいの年頃の娘がいる自分としては、この映画は序盤からずーーーーっと苦しい展開だったのだけれど、最後の彼の選択は、ある意味「救い」のように感じました。ただ、そういう小市民がどう生きようが、もっと大きな枠組(=宗教?)のなかで、ある種のどうしようもない方向に物語全体が向かっていくという「救いのなさ」も本作の魅力です。全編にちりばめられた謎かけの過剰さはいろんな解釈を生みそうで、正直それに付き合うのもしんどいなあと感じながら見ていたのですが、最終的には、小市民の小さな幸せとそれでもどうしようもない世の中を描いた物語として個人的には楽しめました。
[インターネット(字幕)] 7点(2019-01-12 17:00:32)
85.  沈黙 ーサイレンスー(2016) 《ネタバレ》 
原作は数十年前に既読だけど、ほとんど覚えていません。長尺でなかなか手が出なかったのですが、年末年始ということで鑑賞。前評判どおりの素晴らしい作品でした。何よりも「異国」の風景とそこに住まう(ふつうの)人々の描写が秀逸。そこに溶け込んでしまった塚本晋也、窪塚洋介、小松菜奈、加瀬亮などの俳優陣は素晴らしい。そのなかに、明らかに「異質」な存在として現れる2人の若手ハリウッド・スターもよくがんばりました。アンドリュー・ガーフィールドもアダム・ドライバーも「スター」のオーラをまといつつも、いい意味での「異物感」を感じる好演です。やや、残念だったのは、リーアム・ニーソンがどうしてもクワイ・ガン・ジンやらラーズ・アル・グールに見えてしまうこと。彼が語る比較文化論も、そういう人たちの言葉に聞こえてしまったのがノイズでした。映画としては、「試練」を通して信仰が試されるという、キリスト教的には定番の題材ながら、それをストレートに問い続けることで、「信仰」や「魂」なるものについての物語になっているのが見事です。近世の物語ではありますが、最後には、神を思い続け、それを棄てても残っている、この「私」とは何か、という「近代的個人」というものをめぐる根源的な考察になっていて、遠藤周作の原作も、それをこうして映像化したスコセッシも、あらためてその素晴らしさを実感できました。
[インターネット(字幕)] 8点(2019-01-06 11:22:12)
86.  ROMA/ローマ 《ネタバレ》 
盟友の撮影監督エマニュエル・ルベツキ抜きのキュアロン監督というのはちょい不安だったのですが、全くの杞憂でした。冒頭の印象的なタイルとそこに映り込む飛行機の映像から始まり、主人公一家が住む家のなかを水平移動するカメラ。あちこちにモノが散らばっているところに、この一家の不安定な日常が浮かび挙がってくる。犬とあちこちに散らばるその糞。それでも素直で元気な子どもたち。少数民族の言語で会話するメイド。道を行進する軍隊。狭いガレージに無理矢理駐車される巨大なアメ車。これら一つ一つが、その後、家族の状況の変化のなかでとても効果的に繰り返し描かれる。なんてことはない反復技法なのだけれど、モノクロの美しい映像でゆっくりじっくりと見せられると、そこに込められた心情描写がじんわりと見る者にも染み込んでくる。水平移動カメラで俯瞰的に眺める映像は、序盤はちょっともどかしいのだけれど、中盤のクライマックスの若者運動の弾圧シーン、そしてラストの海辺のシーンでは、これ以上ないくらい効果的に使われる。そして、ラストの空に向かうショットの美しさ! もう絵を思い出しただけで泣けそう。残念だったのは、音と映像に凝ったこの映画を、映画館で観る機会がほとんどないということ。もちろん、非英語、モノクロ、パーソナルなテーマという点では明らかにミニシアター向けのこの作品が、田舎に住んでいてもすぐにNetflixで見られることは、悪いことばかりではないのだけれど。
[インターネット(字幕)] 9点(2019-01-06 10:55:44)(良:1票)
87.  ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 《ネタバレ》 
前作未見なのに映画館へ。理由は、ここ毎年元旦に奥さんと映画館で『スターウォーズ』を見るのが習慣化してたのに『ハン・ソロ』を夏休み公開するというディズニーの暴挙のせい(こんな中年夫婦けっこう多いと思う)。で、何を見るか迷った結果、奥さんが「Netflixで前作を見たら面白かった」という理由でこれに。ちなみに前作はいつの間にかNetflixのラインナップからは姿を消してしまったため、私は未見。奥さんにあらすじを聞いて、いちおうネットでも内容を確認して映画館へ。結論としては、最低限でも知識があったおかげで、複雑なストーリーも退屈はせずに見れました。ただ、この映画に期待するのはそこなのだろうか・・・という感じのほうが強め。正直、『ハリポタ』もそうですが、J・K・ローリングに期待するのは、独創的な世界観にどっぷり浸ることであって、人間関係ドラマではない気が・・・。その世界観のなかでユニークなクリーチャーがワチャワチャするのを楽しみにしてた部分はあったのだけれど、その意味ではかなりの期待外れ。人間関係っていったって、某SW8作目と同様、最後に実はーーーでした、みたいな後出し感も強くて納得度は低め。あと、舞台設定が1920年代だったからこそ、終盤見せられる現代史とのシンクロに「おおっ」とはなるのですが、この映画で見たかったのってやっぱりそれじゃない、という感じのほうが大きかった。よかった点としては、ジョニー・デップ。キャリア的にも正念場だと思うけど、彼にしては「抑え」が効いていて凄みがあった。
[映画館(字幕)] 5点(2019-01-04 13:31:57)
88.  バーフバリ 王の凱旋 《ネタバレ》 
インドでは前編から2年後に公開されたとのことで、あそこで終わって2年待たされたインドの観客のことを思うと、この作品への思い入れは相当だったろうと想像できます。まさか、回想シーンで物語の大半を使うとは思わず、なかなか動き出さない物語にちょっと焦らされた感も。その煽りをくって、1作目のヒロインだったアヴァンティカは空気キャラ化してしまったのはちょっと残念。とはいえ、この2年のあいだにすっかり変わった映画業界における女性の立場を反映してのことなのか、本作のシヴァガミとデーヴァセーナの「メチャクチャ強い女性」キャラ造形は素晴らしい。この2人がそれぞれ映画の最初と最後に炎を掲げて歩く場面の力強さ、美しさは、ハリウッド映画にもない独特の美学を体現していて格別です。また、後編ということでキャラ紹介に時間をかけなくてもいい分、各キャラクターの歌舞伎のようなキメたポーズが続出するのも魅力。ダークな展開でもとにかく印象的な絵を連続させるのでワクワクも続くし、その見事なまでの画力にザック・スナイダーが霞んで見える。難点を言えば、やっぱり息子バーフバリの物語が弱くなってしまったことか。ストーリー的には、父バーフバリの物語を反復しているようにも見えるのだけれど、俳優が一緒なのもあって、息子が体現する「新しい世代」の時代だ!的なワクワク感がなく、逆に息子とアヴァンティカのカップルは、強烈だった父バーフとデーヴァセーナ夫婦と比べるとスケールダウンして見えてしまうのは残念。もう少し「新しい希望」的なものが見えると、もっと気持ちが盛り上がったかなあとは思うのですが、ここが西洋哲学とは異なるインド哲学的な価値観なのでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-24 10:18:22)(良:1票)
89.  バーフバリ 伝説誕生
恐るべし映画大国インド。その集大成のような特大娯楽大作。荒唐無稽で巨大なスケールなわりには、主要な登場人物がごく最小限に絞られていて、キャラばっかり増殖して物語の交通整理能力をひたすら見せつけられるハリウッド産大作と比べて、わかりやすい。でも、わかりやすいこと=質が低いということではなく、1人1人の登場人物の見せ場はしっかり用意されてるし、とくに物語の時間的・空間的な舞台の配置がしっかりしていて、見た目やスケールだけでない、全体としての質の高さも伝わる。前編は、基本的には主要登場人物のキャラを描くことに費やされていて、「これから」というところでスパッと終わるところも含めて『ロード・オブ・ザ・リング』の第1作を思いだす。今何が起きてるんだろう、これからどうなるんだろう、という「サスペンス」という意味では、後編よりも前編のほうが楽しい。ただ、歌と踊りで主人公とアヴァンティカが恋に落ちるシークエンスは、ちょっと好みが分かれるかも。『グリーン・デスティニー』のチャン・ツィイーもそうだったけど「強がっていても結局は女だろ」みたいな雰囲気もあって、ここが好きな方も気持ちもわかるけど、個人的にはちょっと乗れなかった。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-24 09:58:53)
90.  カメラを止めるな! 《ネタバレ》 
観たかったけど、いろいろ忙しくて映画公開時を逃し、DVD化されやっと見れる・・・ということで平日休みの日に意気込んで自宅でプレーヤーへ。予備知識はほとんどなし。前半・・・。うー、これはツラい。変な間とか、なぜ趣味の話とか・・なんか実験的作品だったのか。それが斬新ポイント? そして最初のエンドロール・・・からの「お、これは面白いヤツかも知れない」。やばい、楽しくなってきた。そして撮影開始・・のところで、突然自宅の電話が!!? え、娘の学校? ケガした? 後ろ髪引かれながらプレーヤーをストップ。娘を学校に迎えに行き、病院に連れて行って、その後一緒に帰宅・・・。大事なくてよかった。ただ、普段からサスペンスドラマでさえも「怖いから消して」という娘のため、続きを見ることを断念。そのまま夜に。夜、家族が就寝後、やっとプレーヤーをオン。続きを見る。ヤバい、本当に楽しい。うわー、これは途中で止めたらいけないヤツだ。続けて見なくてはいけなかったヤツだ〜。なんでこんな日に限って、うちの娘は・・・。と思いかけたところで、ラストシーン。大号泣。今作の教訓。観たい映画はやっぱり映画館で観よう。そして、すべての父にとって娘とは、どんなことがあってもそれを力に変えてくれる存在だ。
[DVD(邦画)] 8点(2018-12-13 22:02:56)(笑:2票) (良:2票)
91.  ちはやふる 結び 《ネタバレ》 
太一に焦点を当てた「上の句」、千早を中心に描いた「下の句」を比べて、圧倒的に前者のクオリティが高かったのは確かだけれど、まさか「結び」を再び「太一の物語」にするとは思わなかった。軸を太一に置いたおかげで、登場人物が増えてゴチャゴチャした状況がすっきりオーガナイズされて、奇跡的といっていいバランスになった。見せ場は、新キャラにも旧キャラにもちゃんと用意されていて、ちゃんと「彼らにまた会えた!」感と「新しい仲間に会えた!」感が共存できてるのはすばらしい。ただ、その分、主役である千早自身の葛藤はあまり深掘りされず、新はふつうの脇役になってしまい、主人公のライバルのはずの若宮詩暢にいたっては完全にコメディキャラ扱い。「下の句」のラストからのつながりで言えば、あそこで高揚した気持ちの行き場がない感じは残念。監督はそれでも、これを「太一の物語」として、これを完結させたかったのでしょう。ただ、それが「結び」としてよかったのかどうか、もう少し違った『ちはやふる』がありえたのではないかなどと、素直に楽しめた「上の句」とは違って、あれこれ考えてしまった分、少し残念な幕引きとなりました。
[ブルーレイ(邦画)] 6点(2018-10-30 09:28:53)
92.  インクレディブル・ファミリー
今回の主役は明らかにイラスティ・ガールだ。彼女が大活躍するアクションの数々と比べ、夫のほうは育児や家事に悪戦苦闘。これが「『#MeToo』時代のピクサー映画!」みたいな評判も呼んでいるわけですが、それはかなり違和感あり。そもそも「夫が育児・家事に奮闘」話は1970年代の『クレイマー、クレイマー』あたりからずーーっと続く鉄板ネタであって、正直、現代のジェンダー絡みのトピックを表現するには目新しさがない・・・。この物語が「現代的」だとブラッド・バードあたりが思っていたのだとすれば、それは致命的な気がする(もっとも、ジョン・ラセターがセクハラでピクサーを追われるわけだから、米国のアニメ業界における感覚が、思った以上に「古い」のかもしれないが・・・)。というわけで、延々続くジャックジャックと育児絡みのエピソードに食傷気味になり、逆に極端なイラスティガール推しにもちょっと引いてしまいながらも、それでも全体とすれば、エンターテインメントとして「面白い」ものに仕上がっているところは流石です。個人的には、ジャックジャック無双よりも、もう少しバイオレットとダッシュの成長と活躍が見たかった。キャラの見せ場配分が絶妙のバランスだった前作と比べると、今作はイラスティガールとジャックジャック偏重でバランス崩してたなあという印象。このあたりのバランスの狂いに、ジョン・ラセターの休職が関係しているのだとすれば、大きな皮肉ではあるのですが。
[映画館(字幕)] 6点(2018-10-12 23:22:40)(良:1票)
93.  三度目の殺人 《ネタバレ》 
「三度目」「十字架」「カナリア」「裁くのは誰?」「器」などなど、あれこれメタファーを盛り込み過ぎの感はあったし、俳優みんなオーバーアクトな感じもあって、見終わったときはお腹いっぱい。いつもの是枝監督作と比べると「思ってたのと違う」感もあった。その上、サスペンス風な味付けなので、「犯人」「動機」「真相」みたいなところにも関心が飛んで、さらに落ち着かない。ただ、あとでじんわりじんわりと、作品の味が伝わってきて、思ってたのと違ったけど、これはなかなかよかったのでは、と思うようになった。何より、最後の「器」がいい。結局、登場人物たちはみんな役所さん演じる三隅に、自分が思う犯人像を重ねていて、それを彼は「演じて」いるに過ぎない。彼が力強く自分の意志を訴えているように見えるシーンでも、彼の目は「からっぽ」だ。それを考えると、最初は苦手だなと思った役所さんのオーバーアクトも説得力を持ってくる。裁判をめぐるあれこれの表現は、自分は昔近い人に関する裁判を数回傍聴したことがあって、そのとき「裁判なるもの」に感じた違和感を、すごく適切に表現してくれた気がする。裁判は「真実」を明らかにする場ではなく、起こってしまった「アノマリー(非日常)」を日常世界へと回収するための共同体儀礼である、というのは言い過ぎかもしれないが、そういう側面が見事に描かれていた。これは、米国産の量産される裁判モノにはない、是枝さん的な視点でとても面白い。「モヤモヤ」する映画であることは間違いないが、そもそも裁判で「スッキリ」すること自体への違和感というか、そこを見事に突いた作品だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-10-11 11:54:58)(良:1票)
94.  クレイジー・リッチ! 《ネタバレ》 
サンフランシスコ都心の映画館に公開3週目の週末に見に行きました。予想外の大ヒットで各所で話題になっていたこともあり、座席は予約でほぼ満席。在米中国人向けなのか、中国語字幕付きの上映館もあったようでした。アジア系住民が多い土地柄でしたが、観客の6〜7割は非アジア系の方々でした。映画はいたってありがちな古典的な「彼氏の家族に会いに行く」モノの範疇を出るものではないし、バチェラー・パーティあたりのセレブ文化描写はあまりにベタでクドいなあと思いつつも、終わってみれば、心からこの映画を楽しんでいました。たぶん理由は3つ。1つは、シンガポールの大富豪の派手な金持ちぶりが話題ではあるのですが、物語の中心は、主人公レイチェルが自分自身のルーツを発見する典型的な移民家族物語になっていて、そこがぶれておらず、映画としての芯がしっかりしていたこと。2つは、映画の軸がはっきりしているがゆえに、オークワフィナやケン・チョンのコメディ部分を物語のもう一つの華として心から笑えて楽しめる作りになってること。そして、3つめは、何よりも満員の観客の反応が素晴らしかったこと。人種や民族関係なく、みんなゲラゲラ笑い、ときには突っ込みも入れ、口笛を鳴らし、ラストの飛行機の機内のシーンでは、みんなで「オオーーーー」と声をあげて驚き、そして終幕後は大拍手。何度かアメリカの映画館で映画を見てますが、そのなかでも最良の体験でした。そして、何よりもそうやってみんなが喝采した映画が、いわゆるハリウッド映画スターは誰も出てこない(ミッシェル・ヨーぐらい)、俳優も主要なスタッフもアジアにルーツも持つ人々で作り上げた映画であるということが、その感動を何倍にもしてくれた。はっきり言えば、映画としての出来は6点くらいだと思うが、何よりもすばらしい観客によって忘れられない経験になりました。あと、難を言えば、なぜ邦題で「Asians」が消えてしまったのか・・・。語呂が難しいのは理解できるけれど、これはCrazyやらRichなだけではなく、何よりもアジアにルーツを持つ人々の映画なのに。その映画を、人種や民族関係なくみんなが楽しんだことが重要なのに。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2018-09-27 22:54:20)(良:1票)
95.  麒麟の翼~劇場版・新参者~ 《ネタバレ》 
原作未読。連続ドラマもたまに見てた程度。東野作品は旧作はけっこう読んでいたのですが、たぶん原作に忠実なんだろうなあと思わせる、序盤のミスリードをさそう展開で、終盤まで「真犯人」は本当に誰かわからないまま、宙ぶらりん状態を楽しむことはできました。映画的なスケール感と対照的なテーマの地味さは、ある意味「東野印」の1つでもあるとは思うので、これはこれでよし。ただ、平板な演出と本作にあってるのかどうか微妙なBGMの出来もあってか、「映画」としては退屈で冗長でした。公開から6年たった今見れば、その後映画で主演を張る若手俳優が続々出てくる豪華さはちょっとわくわくするけど、今作ではそれぞれに見るべき所があるわけでもない(たとえば、物語を左右する重要人物の松坂君はもっと「できる」と思うけど、「この程度」でよしとしたのは演出側の責任だと思う)。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2018-09-22 09:06:59)(良:1票)
96.  ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 《ネタバレ》 
近作『ブリッジ・オブ・スパイ』もよかったが、今作はさらにシンプルな出来。こうゆうストレートなメッセージをてらいなく、でもエンターテイメントで発する最近のスピルバーグの姿勢は好きだ。それに応える大御所主演コンビもさすが。トム・ハンクスなんて、別に特殊な役作りをしてるわけではないのに、他の作品とは違う、明らかにワシントン・ポストの編集長になってた。ちょっと弱っちくて、まわりの男たちからさりげなくバカにされるメリル・ストリープも新鮮。役者の引き出しってすごいと素直に感動する。個人的に気に入ったのは、本作では「正義を為す」ことが、ベンにとってはケネディ大統領と親友だったことで生まれる躊躇をジャーナリストとして乗り越えることでもあり、父と夫から引き継いだ新聞社を守ることしか考えていなかったケイにとっては、はじめて自分の信条に従って(だから、ケイとマクナマラのシーンは超重要)決断を下すことであったという、「公」と「私」を重ねた描き方。脚本うまいし、それを嫌みなく演じる2人と監督の淡々とした演出も素晴らしい。この後のウォーターゲート事件で実際に『ワシントン・ポスト』はニクソン政権の息の根を止めてしまうのだが、そこにつなげるラストシーンの流れもなかなかよい。難点をいえば、短時間で作ったことがわかるセットや場面のワンパターンさ。あと、最近のスピルバーグ作品にイマイチあってない気がするジョン・ウィリアムズの音楽くらいか・・・。それから邦題。サスペンス的な印象を与えてしまって、この作品のシンプルな作風を損ねてしまっていて残念。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2018-09-17 21:41:15)(良:1票)
97.  タリーと私の秘密の時間 《ネタバレ》 
『マイレージ、マイライフ』がお気に入りなジェイソン・ライトマン監督の最新作、という以外はほとんど予備知識なしで見ました。タリーというベビーシッターが来ることで変わっていく日常生活というのが、なんとなく実は夫にとって一番都合のいい方向に向かっているのが少々気になっていたのですが、後半の展開はその懸念がまさに現実化していく怖〜い展開で、育児世代の男性(&父親)の自分としては、心にグサリと突き刺さる、なんとも恐ろしい映画でした。その苦みを引き継ぎつつも、優しい雰囲気でまとめるところが、ライトマン監督印。「産後鬱」という重いテーマをこれだけエンタメ化できるセンスには感心しました。
[映画館(字幕)] 7点(2018-09-02 13:13:26)
98.  ウインド・リバー 《ネタバレ》 
『ファーゴ』を思わせる雪のなかの死体という絵からはじまるものの、描かれるのは冷徹で苛酷な先住民居留地の現実。ジェレミー・レナー演じるハンターを導きの糸として、FBI捜査官のエリザベス・オルセンと一緒に観客も少しずつ先住民の苦しみや哀しみを学ぶことができる構成が見事。殺された少女の父親役のギル・バーミンガムや少女の不良少年の兄たちの「よそ者」への不信と、その影に隠れた「本音」の見せ方など、一気に感情移入させる。そして、最後の最後にエリザベス・オルセンが見せる涙とその言葉で、失った命がなんと大きなものであったのかを観客も真に実感することができる。テイラー・シェリダン監督が脚本家として名をあげた『ボーダーライン』と比べると絵的な新しさには乏しいし、主人公の父子関係あたりが置き去りになってしまうあたりなど脚本にも疑問が残る。けれど、最底辺で生きている人たちが見せる「人間性」を丁寧に描いたという意味で、より厳しく、そして優しい作品でした。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2018-08-31 11:56:05)
99.  リメンバー・ミー(2017) 《ネタバレ》 
原語のみの上映で見たのですが、歌詞だけでなく台詞もスペイン語混じりの英語になってて、それを字幕なしで見ていることにびっくり。それでも英語しかわからない人でもちゃんと意味を伝えつつ、スペイン語の美しさ、楽しさ、リズムが活かされるよう、台詞が精巧に工夫されていて、自然にメキシコ文化の世界に身を浸すことができました。ここまで異文化を尊重する姿勢で作られた映画は「いま」という時代だからこそ輝く。吹き替え版がそのあたりの表現がどうなってるのかわかりませんが、スペイン語の美しい響きを体感するだけでも英語版・字幕版を見る価値はあると思います。一方で、ストーリーは、多くの方が述べているように、かなりベタです。写真の男性の顔が切り取られているところで、だいたいのシナリオ(先祖だと思っていた人は違っていて、実は意外なあの人だった!)は想像できるし、「第二の死」の仕組みがわかれば、最後どうなるかも大方予想ができてしまいます。そして、物語はその筋をほとんど外すことなくまとまってしまいます。ストーリーの意外性や精密さよりも、美しい歌と映像、異文化の豊かさを堪能するタイプの作品だと感じました。
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 7点(2018-08-22 12:10:51)
100.  ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー 《ネタバレ》 
ほぼ期待ゼロで見たせいか、思ったより楽しかった(という人、多いですね)。フツーに冒険映画として映像的見所も多く、騙しダマされな後半もそれなりに楽しい。ただ、『スターウォーズ』のサイドストーリーとしての魅力・・といわれると大いに肩すかし。そもそも主人公がハン・ソロには見えないし、キャラもあまり立っていない。ヒロインのエミリア・クラークは影があってよかったけど『ゲーム・オブ・スローンズ』のイメージを引きずっているだけのようにも思える。『ローグワン』でも気になったドロイドの「狙いすぎ」なキャラ設定は私は否定派。前半はあちこち金かかっていたのに、後半地味で単調なアクションに終始しちゃったのはスケジュールの関係? そして、ラストのあいつ。アニメのことなんて知らないよ。一瞬これって「エピソード1」の前日譚だっけ、でもだったら「エピソード4」のハン・ソロって何歳?などと余計な混乱で頭を抱えての終幕。ついでにいえば、あそこって『クローンウォーズ』見てた人にとっては「キターーーー!」ってアがるところなのか聞いてみたい。最後に、ロン・ハワードに監督させるんだったら、もう少し時間あげようよ(クリスマス公開でよかったのに)。『レゴ・ムービー』コンビの「やり過ぎ」路線を軌道修正するためだけにロン・ハワードを連れてくるっていうのは贅沢過ぎるけど、彼のキャリアに対する敬意が足りん(「レゴ」コンビに対しても!)。ディズニー版SWは経営陣なのかプロデューサーなのか、マネジメント面の問題が目立ち過ぎで、その雑音のせいで素直に楽しめないのも本当に本当にマイナス。
[映画館(字幕)] 4点(2018-08-16 17:18:33)(良:2票)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS