1001. 容疑者Xの献身
《ネタバレ》 ドラマ・原作未見。小説のドラマ化のそのまた映画化というと駄作の匂いがプンプンしますが、評判の良さにつられ鑑賞。本作の場合、ドラマの映画化という側面を控え目にし、小説のタイトルで勝負していることからも意気込みの高さは感じられます。主要人物の描き方が薄いのは気になりましたが、ドラマをみてなくてもしっかりと一本の映画として成立していました。シンプルなストーリーですが、展開の仕方と堤さんのただならぬ雰囲気の力で思いもよらないほど重厚な一本になっていたのに感嘆。 おそらく原作とか観てないと福山の演じる湯川がどんな人物かわからないため、主役なのに漫画っぽいキャラクターが一人浮いているように感じてしまったのは残念。脇の魅力も弱く、堤さんの独り舞台になっていましたが、無償の愛に心震えましたので甘め。 [DVD(邦画)] 7点(2009-03-29 21:01:45) |
1002. スカイ・クロラ The Sky Crawlers
《ネタバレ》 大人になれない病気(?)「キルドレ」の子供たちが主人公なのだが、まず絵柄の問題かそのキャラクター達が子供なのかどうかが視覚的にわからないので、自己申告されないとわからないのは問題かと。言われても何歳くらいの外見なのかわからないし…。 また、それぞれがその病気のせいで、どれだけ長い間生きていて、どういうことにどれだけ苦悩してきて絶望してるかが描かれてないし、伝わってもこない。 また意図的にしても誰と闘っているかわからなく、戦う理由もないならば観ている方としても盛り上がれない。中盤過ぎにそういう設定だとキャラクターに口頭で説明させてしまうのも雑に感じたし、特殊な設定・舞台の物語は序盤でその紹介をしてくれなければ、いつまでたってもその世界に入りこめないので、説明されたころには映画への興味を失ってしまっていました。 以上のことから物語としては完全に観客置いてきぼり感が強い。かと言って、美麗に書きこまれた絵柄を楽しむようなものでもなく、空中戦のシーンだけCGというのも多大に違和感があって嫌だ。そのせいで余計に人物がペラペラに見える。すかしたセリフ回しも好きじゃないし。うーむ、惹きこまれない。 [DVD(邦画)] 3点(2009-03-28 23:34:18) |
1003. 運動靴と赤い金魚
《ネタバレ》 イラン発、妹の靴をなくした少年の物語。一つの靴を交互にはく兄妹が滑稽で愛おしいです。素朴で風情があってリアルで切実で暖かくも苦い。地味ながらもほっこり面白い。イランの文化を垣間見ることもできますが、やはり子供社会は世界共通ですね。 [DVD(字幕)] 8点(2009-03-28 19:26:41) |
1004. エイリアン2
《ネタバレ》 1よりテンポも良く中盤からラストの畳み掛けっぷりと派手さは凄まじく、なかなか楽しい。リプリーはますます逞しく、負けるはずもなく、恐怖感はもはや無い。 ラストのロボリプリーにはやんややんやの大喝采。しかし、この内容で120分を超えてしまうとしつこく感じてしまい、疲れてしまいました。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-28 19:21:04)(笑:1票) |
1005. 仕立て屋の恋
《ネタバレ》 こんなタイトルのフランス映画と来たら、どんなに美しいラブロマンスかと思ってしまうでしょう。蓋を開けてみると、もてないハゲの嫌われ者の覗き男が婚約者のいる訳アリ女性に惚れてしまうというお話。上手く行くわけないし、上手く行ってほしいとも思うわけでもないこの二人の恋路は一番きっつい結末を迎えてしまいます。最低ながら、死ぬほど切ない恋物語でした…。こういう話は下手に長いとうんざりしそうですが、80分足らずとコンパクトなのが良いっす。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-28 19:14:16) |
1006. 街の灯(1931)
《ネタバレ》 いわずと知れたチャップリンのサイレント映画。お約束の笑いが存分に盛り込まれていて楽しい。で、終わろうと思ったのですが、ラストに言及される方が多いので便乗。 確かに目が見えないときに思い描いていた紳士と違って彼女にガッカリされたのかもしれないけれども、結局浮浪者が彼女にしてあげられた事は金持ちから貰った金で花を買ったり、そのお金をあげただけ。凡百のハリウッド映画ではないのだから、その程度で女に惚れられてハッピーエンドでは面白くない。彼女にしたって、元々ただの憧れ程度の感情な筈。 彼女に心底惚れたならば、この先こそは並々ならぬ努力をし、真面目に働きつつ、新たな関係性を築き、彼女に惚れられるような男となってやればよいではないでしょうか。いわばこのラストシーンは、二人の関係性においてはプロローグではないか。 この結論なき素晴らしいラストシーンでは悲劇にもならないし、さして切ないとも思いません。だからこそ名作「喜劇」なのではないか。と、チャップリン初心者ながら思ってみました。 要するに僕個人としては、この映画を「楽しい映画だった」と言いたいのです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-03-27 17:02:25)(良:1票) |
1007. 或る夜の出来事
金持ちの令嬢とチンピラ風新聞記者との珍道中&ラブストーリーで、話の筋はベタベタでそれほど面白いものではない。しかし、いちいち場面やらセリフやらのセンスが良くて面白いんです。ピーターかっこいい。こういう男がモテるんだよなぁ、としみじみ思いました。あらゆる登場人物に愛敬があります。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-27 12:16:15) |
1008. 英霊たちの応援歌
《ネタバレ》 「最後の早慶戦」というサブタイトルのせいでてっきり早慶戦はクライマックスにもってこられ、その試合が実現されるまでの苦闘が描かれている映画かと思っていました。しかし、序盤であっさりと最後の早慶戦は終わってしまい、そこからは若者たちと戦争との群像劇になります。サブタイトルは余計だったんじゃないかと。原作からとはいえ「英霊たちの応援歌」ってタイトルもちょっと固すぎる気もしますが。 野球は一つのキーワードではあったものの、他の部活に燃えていたであろう若者も戦争で同じように死んでいく。過剰な悲劇の演出はなく、淡々と死んでいく。死を目前にしても、悲壮感ばかりでなく、生き生きと当たり前の日常のように無邪気に笑う青年たちに胸を打たれます。落語の下げ(オチ)まで待って号令をかける上官に胸を打たれます。 登場人物が多く、同じ髪型で、スターも不在なので、誰が誰やらわからなくなることもありましたが、そんな事は些細なことです。そんな中、田中邦衛はやはり濃いなぁ・・・。 [DVD(邦画)] 8点(2009-03-27 12:00:21)(良:1票) |
1009. かぞくのひけつ
《ネタバレ》 女癖の悪い親父とその妻と愛人のトライアングルと性病や彼女のことなどに頭を痛める思春期の少年の苦悩が暖かい目線で描かれています。大げさでない日常的な笑いに満ちた生ぬるい世界観が心地よい。キャストも皆魅力的。 こうやって少年は成長していくんだなぁ、と頷きながら観れる地味ながらある意味真っ当な青春映画だと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-26 00:58:08) |
1010. アイアンマン
《ネタバレ》 アメコミ特有の根暗ウジウジ青年主人公ではなく、精神的にたくましいオッチャンが主人公とあって、久方ぶりに爽快でド派手なアクション活劇を期待しつつ拝見。じれったい序盤から、いつ面白くなるんだろうとワクワクしながら観ていたら、1時間を過ぎてやっとアイアンマン登場。アイアンマンの大活躍を期待するも、それほどの盛り上がりをみせぬまま、終わってしまいました。社会派サスペンス+ほんのちょこっとのロボットアクション…? 面白くなかったなー。続編ありきなのか? [DVD(字幕)] 4点(2009-03-24 01:47:42) |
1011. ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生
《ネタバレ》 ロメロのゾンビ三部作の第一作目だからゾンビ誕生の秘密があるのかと思いきや、やはり冒頭からなんの脈絡もなくゾンビに襲われ、逃げ込んだ家屋で籠城して闘うという構図のルーツを見せられてしまいました。 少ない武器での攻防は、ちょっと地味。仲間割れもお約束。スプラッター慣れしてると物足りなくも感じるのですが、チビゾンビ覚醒のシーンはちょっとゾっとしました。ラストもある意味綺麗です。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-23 10:23:05) |
1012. ショーン・オブ・ザ・デッド
《ネタバレ》 序盤から中盤は緊張感のないコンビ芸等が可笑しくてニヤニヤしながら観れました。後半は真面目にゾンビ映画していて、ほどよくスリリングに、ほどよく哀愁のあるシーンなども入っていて、締まりはあります。 徹底したところがなく、もっと笑いに走ってほしい気がしないでもなかったが、細かい伏線などは丁寧。 ゾンビを愛するが故にスタンダードなゾンビ映画の枠内に綺麗におさまってしまっているため、飛び抜けた作品にはなり損ねている気もしますが、その中途半端な真面目さによってしっかりと一つの作品として出来上がっています。安心して楽しめる爽やかなゾンビ映画と言えるでしょう。 「ゾンビーノ」は、ある意味これの続編なんだな。と、繋がっていくゾンビワールドにほくそ笑むのでした。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-23 00:42:45)(良:1票) |
1013. 香港国際警察/NEW POLICE STORY
《ネタバレ》 導入部の恐ろしいゲーム感覚の虐殺のヘヴィーさに面くらいましたが、掴みとしては最高。シリアスすぎて、笑顔のないジャッキーは寂しいがこのガチっぷりにつられ、かなり真剣に観させられてしまいました。落ちぶれた状態から徐々に力を取り戻してくるジャッキーと同様にこちらも話が続くにつれどんどん熱中していくことになります。 顔が良くて金持ちで運動神経が抜群でオタクって、最強じゃないか。こんだけ恵まれてたら親が厳しいだけじゃグレないでしょ、とも思いますが、今までにないタイプの敵役なので、なかなか新鮮。二時間強の尺を一息たりも退屈させないド派手で肉体派のアクションは今まで見た中でもトップクラスの面白さ。こんなの見せられたらそんじょそこらのアクションは見れないっす。 [DVD(字幕)] 9点(2009-03-22 19:36:27) |
1014. ドランク・モンキー/酔拳
《ネタバレ》 ジャッキーファン、カンフーファンには堪らないだろうが、ほとんどのシーンが修行と格闘だけってのはちょっと辛くないだろうか。他のジャッキー映画と比べてもアクション自体は地味で逆に退屈なくらい。もうちょっと物語や人物に奥行きを持たしてくれないと乗れません。主人公も素手の相手に武器使ったり、2対1で戦ったり、食い逃げして店の人をやっつけたり、やたら暴力的で仁義がなさすぎではなかろうか。などと突っ込んでしまう奴が見るような映画ではないんでしょうね。 [DVD(字幕)] 4点(2009-03-21 23:17:13) |
1015. 秒速5センチメートル
《ネタバレ》 スタンダードなアニメーションとしては申し分ないほど丁寧な絵柄と美しい構図でできていて、見た目には文句のつけどころはほぼありません。しかし、内容はというと全くなんの変哲もない、悪意の全くない、甘酸っぱくほろ苦い恋物語。 登場人物に魅力がなく、やたら安っぽい文学風な独白が多いのもなんだか鬱陶しいし、映像のおまけにストーリーがあるようでした。 ラストの五分くらいは出来の良いミュージックビデオのようでしたが、結局名曲の力を借りてやっと初めて映像に息吹が吹きこまれたような気がしました。 [DVD(邦画)] 5点(2009-03-21 20:49:21) |
1016. ジャージの二人
《ネタバレ》 やはり鮎川さんの日本語は素でどこか妙。演技もあまりする気がなさそうだし、こんな人をメインキャストに起用するのはかなりの冒険だったと思います。しかし、自然に割と普通の変人であると思しき彼からは、演技で作られた変人からは出てこないであろう味とおかしみと愛嬌がふんだんに出ております。 激ゆる避暑ムービーなので、真夏の昼下がりに冷房のキンキンにきいた部屋でうとうとしながら見ると良いような気がします。ほどよく楽しかったです。 東京の猛暑の天気予報を見て小さくガッツポーズをするシーンがとても好きです。 [DVD(邦画)] 7点(2009-03-18 11:39:21) |
1017. 顔(1999)
《ネタバレ》 阪本順治監督作品ってことだけで見たので、牧瀬里穂の姉という設定とは思えぬ中年ぶよぶよのおばちゃんが主人公って事に戸惑いました。顔ってタイトルだし、犯罪を犯したから整形して逃げまわる話だなと思いきや、最後まで役者の交替はありませんでした。 最低最悪な人生をたどりながらも引きこもりだった頃に比べて段々といい顔になっていく正子は醜くも美しく、ラストシーンはなんとも清々しい。鬱々としたストーリーなのに辛気臭くならないのは、この物語が悲劇としてではなく、一人の成長記として語られているからなのだろうか。それでもやはり絵面の汚さは気になったし、テンポも悪く感じたので総合ではこの点数くらいで。 [DVD(邦画)] 6点(2009-03-18 11:14:23) |
1018. あの夏、いちばん静かな海。
《ネタバレ》 聴覚障害者が主人公とだけあってタイトル通り、とても静かな映画には違いない。サーファーを主人公にしたいわゆる青春映画として、この静かさは異常。しかし、雰囲気は静かではあるが静寂ではなく、一聴しただけでわかる(トトロっぽい)久石御大の鳴り止まぬ音楽に頼りすぎている気がなきにしもあらずかな。 徹底的に、説明的な感情/感傷を排除しているなーと思いながら見てたらラストシーンの妙に感傷的な回想に戸惑ってしまいました。 [DVD(邦画)] 5点(2009-03-16 12:09:00) |
1019. ウォンテッド(2008)
《ネタバレ》 弾丸の軌道を曲げられたり超絶ジャンプしたりするわりに、銃で簡単に死んでしまう中途半端な超人っぷりが微妙。アンジェ、モーガンの無駄使いのような、奥行きも魅力もない登場人物が、妙な組織で盲目的に一生懸命な姿もバカバカしい。異常に過酷な特訓シーンが妙にスポコンで笑えて、回復風呂が気持ちよさそう。意外な展開をみせたがってるストーリーもそれほど意外ではなくハラハラできない。アクションは派手だけど、何かが飛びぬけてるわけでもない。バイオレンス、コメディの要素が中途半端だったり。突っ込みどころはいっぱいあっても、別にぶっとんでるわけでもないし、どうにも熱を感じない。しかし、なんか全体的な中途半端さのバランスが絶妙で、意外と面白かったりするのが不思議。 [DVD(字幕)] 6点(2009-03-15 01:01:21) |
1020. ベルヴィル・ランデブー
温かみのあるタッチの絵柄ながらも、キャラクターの姿かたちや部分部分が異様。その世界観に酔いしれることができたら勝ち。 主要キャラクターが全然喋らないのも特徴的だが、中途半端に脇が喋るためバランスが悪い。これだったら、セリフ一切なしでもイケたんではないか。もっとも、僕はセリフが余りに少ない映画を観るとすぐ眠くなってしまうんですが。 犬がうるさかったなぁ。 [DVD(吹替)] 6点(2009-03-09 12:08:35) |