101. 古都(1963)
原作好きなので、とても原作に忠実でよかったです。岩下志麻さんの若い頃ってこんなだったんですね。武満徹の音楽はもう少し叙情的なものでも良かったのでは。最初、横溝正史モノが始まるのかと・・・。もう少し日の光が活かせる屋外ロケが多ければな・・・と思いましたが、当時の映画の作り方としてはセットを組む方がより豪勢だったんでしょうか。北山杉林でのシーンがセットと聞いて驚きました。個人的に好きなシーン…土間で大原女を休ませてあげるシーンとか、お稚児さんの真一を千重子が追いかけていく回想シーンとか…が無かったのは少々残念。それにしてもあの81/2と賞争いをしていたとは・・・つくづく昔の邦画ってレベル高いですね。 [DVD(邦画)] 8点(2011-10-04 23:48:23) |
102. ANA+OTTO/アナとオットー
《ネタバレ》 凛とした冷気の中に漂う人柄の暖かさ・・・というイメージで北欧は好き。後半の湖畔での生活シーンはそういう感覚を堪能できて良かったです。お話もよくできてると思いました。ただ、恋人に会うために貨物機を墜落させるのは幾らなんでも無茶過ぎ。その貨物機には様々な人が大事な人に宛てた手紙や小包が積まれていたかもしれないのに。そもそも普通に旅客機で来てればあんな悲劇になってない・・・と思うと少し微妙でした。 [DVD(字幕)] 7点(2011-10-04 23:42:28) |
103. サンキュー・スモーキング
《ネタバレ》 ドキュメンタリーものかと思ったら意外やファミリー映画。コメディながらホロっとさせられる良質な映画でした。それにしても嫌煙活動家の総本山アメリカでこういう映画が作れるんですね。例えて言えば、反捕鯨のメッカ・オーストラリアで「白鯨」を、民主党政権下の日本で「嫌韓流」を、それぞれ映画化するようなものでは…活動家の妨害運動が凄そう。何というか、本当の意味での「表現の自由」がある程度保証されている点は、何だかんだ言ってもさすがアメリカだなと思いました。(そういえば反ベトナム戦争運動の真っ只中で「ランボー」が公開され大ヒットした事もありましたな。)最後は反嫌煙組織は潰されてしまうのですが、「嫌煙家の言う健康上のリスクは何の根拠も無い」という点はしっかりと言い切っており、お見事でした。…日本も国際捕鯨委員会でこの位まくし立ててやればいいのに。 [DVD(字幕)] 8点(2011-10-04 23:38:08) |
104. バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲
《ネタバレ》 他作に劣らず良く出来てると思う。ただ、これまでの大物悪役の弾けっぷりに比べるとシュワルツネッガーに気を遣い過ぎた脚本が玉に瑕。バットシリーズで唯一悪役が改心してしまう。しかし考えてみれば「悪者を決して殺さない」→「刑務所か精神病院に入れて更正させる」というのが、(他のヒーローモノにはない)バットマン独特のの信条なので、プロット的には最も理想的な展開のはず。にも係わらずこれがダメなのであれば、今後のバットマンは敵をキチンと自分で殺すようにするか、或いは敵に負けるキャラになるか、どちらかしかない。で、後者を選んだのが「ダークナイト」って感じ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-06-28 22:18:43) |
105. バットマン・フォーエヴァー
悪役2人の切れっぷりが清々しい。ひたすら生真面目なバットマンとの組合せが漫才の名人トリオみたい。漫画の見事な映像化。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-06-28 22:14:39) |
106. 夕陽のガンマン
マカロニウェスタンというと非情で残酷なイメージがあったのですが、今回初めて観て人情味のあるお話なのが意外でした。(それだけ現代の映画が荒んでいるのか。)しかし、これは面白いな。ラストの対決シーン、あまりにイイので何度も観返してしまいました。どっかり座って傍観を決め込むイーストウッドの表情が素敵。映像(特にオープニング)は今の目でも斬新だし、有名な音楽もやはりカッコイイ。しかし何と言っても主役の3人もさることながら、どうでもいい端役たちが無茶苦茶良い。冒頭のユダヤ商人、あっという間に倒される3人の用心棒、宿屋の支配人夫婦、情報屋の爺さん、弁髪の中国人ポーター・・・等々、こんな俳優どっから見つけてきたのか、皆さんとっても濃ゆ~くてイイ味出まくりw メインディッシュ前の前菜にも、珍味がぎゅうぎゅうに詰まっている感じで満足です。 [DVD(字幕)] 8点(2011-06-27 20:55:16) |
107. プライベート・ライアン
《ネタバレ》 「プライベート・ライアン」なんて邦題のおかげで「ライアンさんの個人的な話」と思い込み、邦画によくあるエセ反戦映画か何かと勘違いして長い間観てませんでした。「プライベート」とは「二等兵」という意味。意訳すれば「ライアン二等兵救出大作戦」といった所でしょうか。ちゃんと解る邦題にしてよ。冒頭ではスプラッタじみたリアル描写により戦争の悲惨さが描き出され、反戦主義者のハートをもしっかりゲット。さすが商売上手です。当然そういう映画ではなく、クライマックスでは戦地における勇敢さや自己犠牲の尊さが壮大に描き出されます。冒頭のスプラッタは「こんな状況でも、貴方は国や仲間の為に居残って戦うことができるのか」という問いかけへの伏線であり、更には「彼等のような人間が築いた土台の上に、我々は今生きているのだ」という自国民に対するメッセージへと繋がっていきます。どうオチるか疑問に思いながら見てたのでこの展開はお見事。(「わーい助かったー」なんて即座に戦線離脱してしまうアホ兵士だったら身も蓋もありませんけども・・・) 日本人から見れば敵国が勝った映画なのに、これは素直に感動できました。勝者として言うべき事をきちんと言っている感じ。スピルバーグ、老いてなお健在ですね。(といっても10年以上前か) [DVD(字幕)] 9点(2011-06-23 23:43:46) |
108. サスペリアPART2
《ネタバレ》 残虐描写に目を奪われがちですが、下の方も仰られてるように内容は本格推理小説風。有名な「黒い家」は、保険ネタを除いたらほぼコレの翻案(というかパク○)という気がします。「鏡ネタ」などアイデアが秀逸。最初の殺人が起こった部屋がそのまんま塗り込められてるのが個人的にツボでした。日本の狭い住宅事情じゃ有り得ん・・ [DVD(字幕)] 7点(2011-06-22 03:50:41) |
109. “アイデンティティー”
《ネタバレ》 推理小説で言う所の「嵐の山荘もの」は好き。ただ今では「意外な犯人とくれば刑事のどちらかか、ひょっとして子供かなぁ・・・。」とか思って見てしまう。普通のミステリーだったなら「やっぱりそんなオチか」程度の印象しか残らなかったでしょう。その点、こういうアイデアで一旦収束して更にコレ、っていうのは斬新で良かったです。でも実際の所、その性格で現実に生活してないと多重人格とは言えないのでは。本当に女装してオレンジ畑を耕しているとか。現実に体験をして、それがフィードバックされ、考えて、行動して、また体験をして・・・その無数の繰り返しによって初めて人格が形作られてくるものでしょ。売春婦として幾多の男性遍歴を重ねた体験なんて、あの容貌でどうやって人格として取り込めるんだ。アレは単なる脳内妄想であって、それで連続殺人犯が無罪になってしまう事が一番ショックだったかも。 [DVD(字幕)] 7点(2011-06-22 01:06:32)(良:1票) |
110. ストーカー(1979)
この感覚どこかで味わったことがある・・・と思っていたら子供時代の野原での遊びの記憶でした。芒の原っぱは広大な海原、崖は海にそそり立つ断崖絶壁の秘密基地、廃坑は怪物の住むトンネルだったかもしれない。あそこを踏んだら異次元に落ちるから近づいたらダメ、とか。マンションの非常階段、抜け道的な用水路、おっかない爺さんの居る近所の立派な庭・・・かくれんぼかヒーローごっこか何の遊びだったか憶えていませんけども、この映画にはあの時の感覚が横溢している。「童心に戻って遊ぶ」と言えば、スポーツ化された雪合戦や欧米にあるサバイバルゲーム等がありますが、ルール化され、お金をかけて装備を揃える点で立派な「大人の」遊び。あの頃の、自由に想像力を駆使して遊ぶような面白さとは異なるものです。子供時代のあの感覚を再現するのにこういう手法があったかと唸りました。ちょっと異端の感想かしら。 [DVD(字幕)] 9点(2011-06-06 21:52:36)(良:2票) |
111. イーグル・アイ
《ネタバレ》 ミステリーじみた面白いプロットだけど「ダイハード4.0」に全ていい所を持って行かれた感じ。同じような時期に同じような事考える人居るんですね。「マイノリティ・レポート」でもそうだったけど、スピルバーグの描く管理社会はどことなく設定が甘い。 [DVD(字幕)] 7点(2011-06-05 17:35:53)(良:1票) |
112. ダークネス(2002)
《ネタバレ》 本当の狙いはオヤジって所でずっこけた。姉弟、逃げ回る必要ないじゃん。…と思っていたら、何の伏線もなく超自然的な闇が迫ってきて…。どうも撮影しながらお話作ってるんじゃないかというような展開が残念。雰囲気や自然描写などの情緒的な部分は無茶苦茶良いので何か勿体ない。米資本やハリウッドが絡むと、あっちこっちから横槍が入って収集つかなくなるのかしらん。 [DVD(字幕)] 6点(2010-11-23 13:42:25) |
113. es[エス](2001)
《ネタバレ》 屋内版「蝿の王」って感じ。何の為の実験で、どういうデータを集めたいかの説明がないので解りにくい。2週間経てば解放されるのにこの展開は無いでしょう。終了後に仕返しされるのは嫌だから看守もそうそう酷い事出来ないと思いますが。実際にあったという実験を拡大解釈しすぎに思う。(実際には死者どころか怪我人も出てないそうな。)ブレアウィッチ的な『実際にあった話』を売りにしたホラ・ホラーとして見ればそこそこ楽しめる。 しかし、これなら連合赤軍やオウムのサティアンのドキュメンタリーでも見た方が遥かに凄いような。こっちは本当に「実際にあった事」だし。 [DVD(字幕)] 6点(2010-11-23 01:29:30) |
114. ダイ・ハード4.0
アイデアを凝らした豪華なアクションのオンパレード。並の映画なら1つだけで一本撮れそうなアイデアが次から次へと惜しげもなく繰り出される。ここまでアクションに特化してれば見事という他ない感じ。2があまり面白くなかったので3以降見てなかったけど、ここまで進化してるとは思いませんでした。 [DVD(吹替)] 8点(2010-10-31 23:14:11) |
115. パラノーマル・アクティビティ
《ネタバレ》 「固定カメラで手振れを30%抑えました」的手持ちカメラ映画。ドアがちょこっとだけ動いたり、シーツがずり下がったり、とにかく地味。この地味さがあってこそラストのインパクトが活きて来る訳ですが…。ブレアウィッチだと、木からぶら下がった大量のの木人形だとか、聞こえるような聞こえないような子供の笑い声だとか、無数の手形とか…要所要所に出てくる怪異が楽しめるわけで、個人的にはこちらの方が好きです。あと自分(というか大抵の日本人)には「悪魔が怖い」という本能的な恐怖が無い。あまりにストレートに「正体は悪魔」とやられると、ホラーというよりファンタジーに感じてしまう。この辺もイマイチの理由かな。 [DVD(字幕)] 6点(2010-08-31 23:29:04) |
116. クローバーフィールド/HAKAISHA
こんな大惨事なら9.11よろしく世界に同時中継されて、もっと凄い映像が茶の間で見れたはず。こういう点で「手持ちカメラ映画」の醍醐味は薄い。ただ「臨場感」が目的のコレであるなら成功なのかも。確かに映画館で見たかった感じですね。残念なのはモンスター…何であんな眉が吊り上がって牙剥き出しで、これ見よがしな古典的悪役顔なのか。モンスターの造型は「エイリアン」や「物体X」辺りから一歩も前進してない感じ。ハリウッドは優秀なクリエーターがしのぎを削っているはずなのに…何故だろう。 [DVD(字幕)] 7点(2010-08-31 23:05:48) |
117. ●REC/レック(2007)
手持ちカメラ映画の難点は、①画面がブレて見にくい&気分悪くなる ②クライマックスで「こんなパニクった状況でしっかりカメラ撮りながら逃げてるわけないやん」とツッコんでしまう だと思ってました。しかしながらこの映画、①について:テレビ取材(プロの機材+撮影者)という設定により画面が綺麗&見易い ②について:電気が消えてカメラのライト(それも壊れてからはカメラの暗視機能)で進むしかない という事で、両者をきちんとクリアしており、お見事だと思いました。テンポがとても良い事や、ツインテールのレポーターのお姉さんの可愛さも相まって、ホラーなのに2回見直してしまいました。しかし「アザーズ」といい「オープンユアアイズ」といい、たまにしか見ないけどスペインホラーって面白いな。 [DVD(字幕)] 8点(2010-08-31 22:46:17) |
118. フランドル
裏寂れたヨーロッパの田舎町…音楽ほとんど無し…編集忘れたかのような長回し…どことなくアンゲロプロス監督辺りの質感。これがその調子のまま、ハリウッド映画と見紛うばかりの戦争シーンに突入するのが面白い。おそらく国連の多国籍軍の話かと思うが、アメリカ人でなく欧州人(オランダ人かフランス人?)から見た視点というのも新鮮。ハリウッド反戦映画だと「ああ俺は酷い事をした」と勝手に反省して自己完結してしまうキライがあるが、この映画の場合、反省では済まずきっちり相手側(被侵略側)から制裁を受ける。(レイプした後にチンポ切られちゃうとか。)こういう点、上手く言えないが、より他国側の視点が汲み取られている感じで、非アメリカ人の自分としては何か腑に落ちる感覚がある。残念なのは故郷側の堕胎と戦場での殺人を同格に語ろうとしている(ように見える)事。確かに「人を殺す」という事は一緒だが性質が全く違うわけで、少し安っぽい印象になってしまった感じ。 [DVD(字幕)] 7点(2010-08-31 21:52:20) |
119. グッバイ、レーニン!
単なるコメディと思ってましたが、ほんわかと感動させてくれる良作。ああいうお母さんはちょっと嫌だけど。ヒロインが可愛すぎてビックリ。名前からしてトルコ系ロシア人でしょうか。恐るべし。あと映画マニアの友人の造型もいいなぁ…。「ひょうきんなドイツ人」という、ちょっと想像しがたい難役もあの顔立ちなら納得。キャスティングの妙ですね。 [DVD(字幕)] 8点(2010-08-02 00:53:49) |
120. マインドハンター
推理小説の「孤島もの」というジャンル、出入り不可能な孤島に集められた登場人物が一人、また一人・・と減っていく、犯人は誰?というお話。この手の話はパソコンや携帯電話が普及した現代にあっては成立しないという事が言われてきましたが、これを完全に逆手に取った設定が面白い。登場人物は全てFBIのエリート達、最新科学捜査の粋を駆使して犯人解明に乗り出す。…ただ最初のドミノ+オーロラエクスキューションまではとても良かったが、後が続かないのが難。血染めの暗号も思わせぶりなだけで何の意味も無かったし、最後は暑苦しい肉弾戦になってしまってるし・・・。発想は素晴しいのに、脚本の練りが全然足りないという感じ。なんか勿体ない。 [DVD(字幕)] 6点(2010-08-02 00:40:02) |