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101.  紙の月 《ネタバレ》 
原作既読。1990年代初めという時代設定にうまくのれない。街の風景やファッションや人物像は結構現代風だし、あのエレクトロなBGMもそういう雰囲気を醸し出す。でも、「最新のBMW」が古かったり、「届いた」って迎えるのが懐かしいPerformaだったりで、微妙に時代感を出してきて、そのたびに「あ、これ90年代の話だったな」と確認させられて、ペースが乱れる。賛美歌の使い方とかもいかにもな感じで個人的にはマイナス。ラストで走り出すシーンはBGMなしでもよかったんじゃないかなあ。そのほうがシーンの「美しさ」が際立ったように思う。原作で痛感したお金の怖〜い部分(というか優れた消費社会批評になってる)はちょっと薄れたのも残念。むしろ、映画版では主人公の「解放」がテーマに強調されてて、原作のテイストで見たかったなと思いつつも、映画は映画で独自の方向性はよかったように思う。大島優子と小林聡美の2人の女性キャラも効いてるし、廻りの男性が本当にどうしようもないのは、ここまでやればかえって気持ちいい。とくに夫はダメ人間扱いだったけど、バブル崩壊直後のあの時代に「上海」に目をつけてるところ、ビジネスマンとしては先見の明ってあったっていうか、実は優秀な人だったのでは、と思える感じもまたよいです。ただ、最後のタイ?のシーンは余計。どうせファンタジーなんだから、あーゆーのはいらなかったような・・・。
[DVD(邦画)] 7点(2015-08-21 19:26:25)
102.  バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 《ネタバレ》 
イニャリトゥ監督のコメディでしかもオスカー受賞ということもあって、やや期待値高めでの鑑賞でしたが、結果的にはうーん、という感じ。まず撮影についてはすごいです。劇場を中心とした密室劇的な構成なのもあるのですが、ワンカットでひたすら続くカメラワークには唸らされます。エマニュエル・ルベツキは、現在の撮影監督の最高峰といえるでしょう。そして、マイケル・キートン、エドワード・ノートン&ナオミ・ワッツのアテ書きっぽい設定だけでも楽しめるし、エマ・ストーンのちょっとスレた演技も印象的。全体に漂う皮肉っぽい独特のムードも好みです。ただ、ドタバタがドタバタしきれない消化不良な感じを終始感じていたのも確か。ちょっと捻りのきいた映像や台詞でごまかされるけど、よくよく考えてみれば、いかにもよくあるシチュエーション・コメディな展開で、そもそも「ブリーフでNYの町を歩く」って面白いのか?という気にさえなってくる。面白くはないのだけれど、人生の苦みを表現した一種の「雰囲気映画」と考えれば、まあ楽しめる作品に仕上がってると思います。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-03-11 15:11:04)
103.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
カプローニが面白い。少年時代の主人公はカプローニに憧れるが、彼の作る飛行機はごちゃごちゃしてて全然美しくない。そのあと、主人公が作ったのは、その対極にあるような、物事の装飾をそぎ落としたシンプルな形状の戦闘機。カプローニの飛行機はまるで、監督宮崎駿自身が作ってきた娯楽作品であり、最後のゼロ戦はこの映画の比喩のようにも映る。でもゼロ戦はラストでは美しいながらも、人々を死へと追いやる凶器となる・・・。創造性と人間性の、なんというか危険な諸刃の部分を見せつけられた気分。それは、心が通い合っているようで全く身勝手な二郎と菜穂子の夫婦にも言える。他人が共に暮らすと言うことの困難と、でもそれが奇跡のようなバランスで可能になることの美しさ。難病夫婦ものという古今東西使い果たした陳腐なネタを陳腐なまま、この物語の中核においてしまう大胆さ。とにかく、とても恐ろしい作品であり、最後の最後に宮崎駿は、観衆を突き放して1人で遠~~い世界に行ってしまった感じ。ああ、でも自分はカプローニ、嫌いじゃないんだよなあ・・・。この映画でもどうみても一番人間らしく魅力的なキャラクターだった。いまの時代、必要なのは二郎じゃなくてカプローニだと思うのだけれど・・・。
[地上波(邦画)] 7点(2015-02-21 23:42:08)
104.  WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~
自分の祖先がかつて一生懸命世話をした木々を今の自分が刈るという林業の考え方にはハッとさせられた。今の自分が生きていることを自分の家族や他者とのつながりのなかに見いだすという、今どこかおろそかにされている考えをズバリと言い当てられた感がした。こういう「哲学」を軸に置きつつも、内容は矢口監督らしいエンターテインメント。たしかに自分も子どもが行方不明になるエピソードは不要だったと思うし、恋愛パートもちょっと違うようなという違和感もある。でもそれ以上に山男たち(とくに伊藤英明は特筆モノ)の気持ちのいい描き方に、すっきり爽やかな気持ちで見ることができた。くだらないネタに笑いながら(苦笑を含むけど)、その「哲学」がじわじわと染みこんでくる、矢口監督らしい快作だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-10-11 06:18:29)
105.  キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー 《ネタバレ》 
これは最近の大作系の映画のなかでは、ひさびさにアクションに見応えがある良作。ノーラン以来、アメコミ大作でアクション系ではない監督を起用することが多くなっている分、アクションそのものの魅力で語られるものが少ないなか、この映画は、ジェイソン・ボーン的な迫力ある肉弾戦と壮快なスカイアクションの両方を楽しめる。スカーレット・ヨハンソンやサミュエル・L・ジャクソンらのサブキャラも魅力的で脇役まで丁寧に描いているのもいい。ただ、ストーリーは、「自由を制約するのではなく、自由を差し出させる」というあたりの狙いはいいけど、監視社会の倫理的問題そのものは、『ダークナイト』でも描かれているわけであまり新味はない。悪役の荒唐無稽さ(+キャプテン・アメリカの衣装のダサさ)と、リアルな物語展開のバランスの悪さも少し気になる。いずれにしても、最近のアメコミ系のなかでは魅力的なアクションのスピード感は一件の価値あり。
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 7点(2014-08-31 10:56:27)(良:1票)
106.  ゼロ・ダーク・サーティ 《ネタバレ》 
いやあ、なんだろう、不思議な映画。主人公があれだけの執念を見せつけてるのに、どこか実在感がない。与えられた情報は「マヤ」という名前だけ。なぜ彼女が抜擢されたのか、何が彼女をそこまでさせるのかよくわからない。ラストで「名字は聞いてない」と言われ、一人だけで空っぽの輸送機に乗るときの空虚さ。まるで彼女自身が9.11以降のアメリカが陥った「狂気」を体現しているかのよう。テロから数年たって、国民の関心は薄れ、戦争や拷問への批判が巻き起こり、行き場を失いつつあった「狂気」は、ビンラディン追討への執念として生き延びた。この映画では、あの死体が本当にビンラディンだったのかどうかもわからない。そういうことにしなければならない空気だけは理解できた。そして少なくとも、あの時代の「狂気」をなかったことにはできない。そういうことは十分に伝わった。
[DVD(字幕)] 7点(2014-07-24 16:19:21)(良:1票)
107.  大統領の執事の涙 《ネタバレ》 
主人公が大統領執事として仕えた大統領たちの個性も楽しめますが(しかし、スルーされたフォードとカーターは気の毒)、ドラマの軸は、「節度」を重んじる執事セシルと、「変革」のために身を投げ出す息子ルイスの関係。若さと理想で突っ走る息子は『フォレスト・ガンプ』のジェニーのように危なっかしく、そういう意味では『フォレスト・ガンプ』と構図も似ていますが、大きく異なるのは、この映画は、そんな息子の生き方の意味を、父親が理解し、それを認めるシーンがあること。このシーンこそ、この映画の白眉です。これがなかったら、次々出てくる大統領のモノマネショーを楽しむだけの映画になってたかもしれない。とはいえ、アラン・リックマンとジェーン・フォンダのやり過ぎカップルは笑える。これは必見。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2014-02-12 08:10:01)(良:1票)
108.  パシフィック・リム 《ネタバレ》 
はじめて日本語吹き替えで見なければと思った作品。某社の機内上映で吹き替え版放送があったので鑑賞。もちろん、3DでもIMAXでもないが、この映画の魅力は十分伝わった。最初の出撃まではダレダレで選んだのを後悔しかけたけど、後半のバトルに入ってからはもう楽しすぎ。幼少期に早起きして再放送のウルトラマン見てる気分で楽しめました。ただ、視聴環境のせいもあってか、怪獣バトルアクションの狭間に見え隠れするハリウッド的な要素がうざい。たとえば、主人公のマッチョな外見。やっぱり、この手のロボット・アクションの主人公は線の細い「少年」であってほしい。逆にヒロインは菊池凛子ではない。あのパワースーツみたいなのが似合う女優は他にもいるでしょう。ついでにラストの海上での抱擁もいらないなあ。怪獣の不満はみなさんの言うとおり。少なくとも最初から最後まで外見が同じなのは残念。ウルトラマンやエヴァもそうだったけど、怪獣の「個性」は、僕はこの手の作品にとってはとっても大事だと思う。外部の「敵」を均質なものにしたがるのはハリウッド映画(だけでなくアメリカ文化)の特徴だけど、敵の「個性」を(愛憎こめて)丁寧に描くのは怪獣映画やロボットアニメの美学のようなものだと思う。そこを落としてしまったこの作品は、怪獣バトル風味のハリウッド映画なんだなあと・・・。そういう意味ではラストの謝辞はちょっと残念な感じ。
[DVD(吹替)] 7点(2013-12-08 03:31:19)
109.  モンスターズ・ユニバーシティ 《ネタバレ》 
アメリカでの子どもの映画館デビューにちょうどいいかということで一緒に見に行きました。前作の凝った世界観を説明する必要はないので、どちらかというとフラタニティをはじめとする大学モノに定番の流れで笑わせる。ただ、途中のScary Gamesでちょっと雲行きが怪しくなり、その結果に一瞬唖然としそうになりましたが、そこからがさすがのピクサー。映画として安直な方向に流れず、マイクとサリーが現実を直視し、それでも前向きに立ち向かうラストはお見事でした。ヘレン・ミレンが伝説のScarerにして学部長という役柄を見事に演じてました(『キューティ・ブロンド』のロースクールの教授とキャラが被ってたけど)。どうでもいいことだけど、前作は原題も『Monsters Inc.』でIncorporationは省略語を使ってたのに、なんで今作は「Univ.」じゃなくて原題も「University」だったのかな。省略語使った方がシリーズの一貫性があったように思うのだけれど。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2013-07-30 02:11:15)
110.  リンカーン
憲法修正13条をなぜ成立させなくてはならないのか。戦争に勝つことでも、そこでどんな崇高な理念を語るかだけでなく、その理想を一つの「しくみ」として「国」に根づかせなければ社会は本当には変わらないことを彼は強調する。そして、国に根付かせるために、ありとあらゆる政治的手段が駆使される。南北戦争はアメリカ合衆国がはじめて1つの「国(Union)」という意識を共有するきっかけになった戦争であり(それ以前は州(State)こそが「国」であり、合衆国は「国」が連なった「連邦」でしかなかった)、リンカンが「しくみ」にこだわったのは、それが一つの「国」をつくる作業であったからにほかならない。そこに注目したスピルバーグの慧眼。リンカンの偉人伝を聞かされて育ったアメリカの観客に訴えるだけでなく、「民主化」やら「憲法」をめぐってバタバタしている世界じゅうの国々にも明確なメッセージを持った作品だ。ただ、冷徹な政治劇の陰でちらちら姿を見せる「甘い」シーン(ラストのスティーヴンスのシーンはとくに・・)もスピルバーグらしい(イーストウッドならこうはいかない)。ただ、その「甘さ」のミックス度合いが今作にあっていたのかどうか。今作に限って言えば、音楽のジョン・ウィリアムズをはじめ、いつものスピルバーグ組のやり方が、今作で描こうとしていたことと微妙にずれていたような。それがテンポを悪くし、印象をぼやけさせてしまったように思う。
[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2013-07-15 23:31:49)(良:1票)
111.  007/スカイフォール 《ネタバレ》 
ダニエル・クレイグのリアル路線007の集大成のような一作。派手なアクションも抑え気味の今作ですが、サム・メンデス監督の画とドラマで見せる手法もハマっていたと思う。くせ者の登場人物たちの練り上げられた台詞も楽しい(ただし、字幕はちょっと残念な感じだった)。ただ、ちょっと気になるのは、もう三作目だというのに、いまだに、過去のボンド・シリーズへのオマージュや自己言及的な引用(アストンマーチンやらマネーペニーの登場など)が肝になっている点。音楽で「ここは過去作とのリンクですよ~」と教えてくれる親切設計なので、ディープなファンじゃなくても楽しめるのはいいけど、他のシリーズ作品も最近はそんなのばっかりなので、ちょっと食傷気味というか・・・。あとそろそろ「世界征服をたくらぬ悪の一味」みたいのと戦うのも見たいんだけど。今作の路線では次もそういうのは期待できないか・・・。
[映画館(字幕)] 7点(2013-03-11 09:10:05)
112.  レ・ミゼラブル(2012) 《ネタバレ》 
高校時代に原作を読み、文化祭で無謀にも3時間超の自己満足の極みといえる劇をやりました。ただ、ミュージカルは未見。アメリカ滞在中に座席がすべて寝転がれる巨大カウチという映画館で鑑賞。冒頭から映画ならではの映像美と迫力で引き込まれ、ファンテーヌの悲劇ですっかり物語にはまっていました。ただ、そこからは個人的には下降線。ジャン・バルジャンとジャベールの対決がちょっとあっさりで、もっとジャベールの執拗さとそれゆえのラストの絶望を表現して欲しかった。ラッセル・クロウならできたはずだけど、歌のほうに意識が行き過ぎてたのかなあ。彼の(歌唱力じゃなくて)「演技力」に期待したぶん、ちょっと物足りなかった。また、コゼットの出番が終盤思ったよりも多くなく、むしろエポニーヌに感情移入してしまう始末(いや、そういう人は多いとは思うけど)。というわけで、とくに何をしたわけでもないマリウスとの結婚と大団円にもイマイチ乗り切れず。ラストのファンテーヌとエポニーヌの再登場に一気にテンションあがるものの、やっぱりもう少しいい感じにできたのではないかなあという感はぬぐえずの鑑賞でした。あ、ちなみに巨大ソファに寝っ転がっての2時間半強は快適そのもの。他のお客さんと最後は拍手で(ここはさすが本場)締めました。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2013-03-09 10:39:12)(良:1票)
113.  桐島、部活やめるってよ 《ネタバレ》 
「学校」という閉鎖的空間のなかの微妙な人間関係を描くうえで、「桐島」というしかけが効いている。みんな、自分の身体では抱えきれないような肥大する自意識を、ギリギリのバランスの上で成り立たせている。とくに外見や能力も含めた「コミュニケーション力」によって成立するヒエラルキーは、「桐島の退部」という小さな出来事であっという間に崩れてしまう。一方で、映画部にとっての「ゾンビ」は、誰が何と言おうが関係ないもの、「コミュニケーション力」の裏側に存在するものだ。ただ、ほとんどの大人が「体験」をもって知っているものをうまく描いた、という以上のものは感じなかったのも確か。実は、原作のラストにあった「ひかり」をどう描くかが最大の興味だったのだければ、うーん、文化部の鬱憤晴らしみたいな感じになってしまって、ちょっと残念。そこには、もっと「普遍的な何か」を感じさせてほしかったなあ。難しいとは思うけど。
[DVD(邦画)] 7点(2013-02-21 14:47:52)(良:2票)
114.  ダークナイト ライジング 《ネタバレ》 
あの『ダークナイト』の続編、というわけで期待しないぞ、期待しないぞ、と自分に言い聞かせるように映画館に向かう。結果としては「悪くない」。実際のところ、ラスト10分までの2時間半は「これは違うぞ」と思い続け、最後のバットマンの行動で「絶対違う!見たかったのはこれじゃない」と落胆したが、最後の最後で「ええ~」っと気持ちよく裏切られ、『ダークナイト』とは正反対のラストも「悪くないかな」。3部作の完結編としては及第点だと思うが、それ以上ではなかった。個人的に印象的だったのは、昨年のNYウォール街占拠運動の「悪夢版」のようなベイン一味のテロ以後のゴッサムシティの暴走ぶり。そして、「あそこには無垢の人間なんていない」という台詞(誰だっけ?)と、「持たざる者」の代表として「持てる者」を裁くスケアクロウ(なにげに3部作皆勤賞!)。こういう暗部の描写が生き生きしてこそのゴッサムシティなんだと実感。 あと蛇足ですが、やっぱりタイトルは、「ライジズ」にすべきだったと思います。1作目の「ビギンズ」との対応を考えても、意味を考えてみても。
[映画館(字幕)] 7点(2012-08-21 19:03:26)
115.  猿の惑星:創世記(ジェネシス) 《ネタバレ》 
面白い! そして短いっ! 最近はやりの前日譚モノですが、バットマンやX-MENと異なるのは、『猿の惑星』が、(コミックとして、ではなく)映画として、その歴史に名を刻む名作であること。そのオリジンとなる物語を、新人監督に任せてしまうハリウッドの懐の深さと、その重圧に負けず、そして冗長にすることなく必要最小限のカットとスピード感で見事に描いてしまう監督自身の力量に脱帽です。突っ込みどころはたくさんあります。父の病気治療のためにつくった改良版(ALZ113)が人類を滅亡させるウィルスとなるというのは、ちょっと都合よすぎる。また、シーザーの「知性」も、もっと人間との騙しあいや知能戦のような形で発揮してほしかった。それでも、つじつま合わせのための設定上の問題がどうでもよくなるくらい、本作の描く猿たちは魅力的でした。続編もありうる展開でしたが、3時間の人間vs猿の大戦争みたいなのは、あんまり見たくないので、このコンパクトな1作で終わらせてほしいな。あと、邦題は残念。少なくとも、(ジェネシス)は余分で、創世記だけのほうが、このシリーズの雰囲気にあってると思う。
[DVD(字幕)] 7点(2012-03-06 22:56:25)(良:2票)
116.  トイ・ストーリー3 《ネタバレ》 
期待どおりの完結編(だよね)。1作・2作目とも学生の頃にリアルタイムで見て、今作は3歳の娘といっしょに吹き替え版で2D自宅鑑賞。驚いたことに、娘はクマが持ち主と離ればなれになるシーンと、ラストのアンディとのお別れのシーンで涙を流してました。ちなみに、うちの娘が一番笑っていたのは、トルティーヤ版ポテトヘッドでした。で、私の感想はといえば、パート2でも描かれたおもちゃとの「別れ」というテーマに正面から挑んだ点は高く評価したいのですが、ラスト近くの焼却炉で最期を覚悟して手をつなぐおもちゃたちに違和感。なんか、それは『トイストーリー』とは違うような。子ども向けの映画だからこそ、あそこは最後まであきらめない姿を見せてほしかったです。また、そこからの脱出法も安易で、このへんのツメが甘かったのが残念。
[DVD(吹替)] 7点(2011-04-30 20:48:22)
117.  ソーシャル・ネットワーク 《ネタバレ》 
冒頭の会話にさまざまな伏線が張りめぐらされて、結局、マークはずっと、あの続きをしていたように思います。あのかみ合わない会話。しかし、あの会話からフェイスブックという壮大なドラマが生まれる。マークは、必死にコミュニケーションしている。そういう意味では、「the social network」という題名は、フェイスブックのことでもあり、マークを中心に「つながってるようでつながっていない」というネットワークのかたちを指しているようにもみえる。定冠詞theは、対象を限定する役割を持つわけで、the facebookからfacebookへの変化はまさにfacebookの普遍化を指している。でも、原題「the social network」から定冠詞は消えていない。それは、この映画が描くのが、まさにマークをめぐる具体的な、そして血の通った人間関係だからだ。この映画におけるマークたちの関係の描き方は、醒めているようだが、どこか温かみを感じる。かみ合わない会話のなかで生まれるコミュニケーション。フラットのなかのエモーション。友情や嫉妬などベタな物語を交えながらも、そういう「現代」をしっかりと描いたところに、フィンチャー監督の本領を感じます。そんな同時代性ゆえに、本作品の賞味期限は、フェイスブックと同様、とても短いようにも感じます。いまこれを見ることができたのは、ある意味、幸せなのかもと思います。
[映画館(字幕)] 7点(2011-02-11 20:15:47)(良:1票)
118.  響 HIBIKI 《ネタバレ》 
言葉を綴ることが仕事の小説家が、人が相手になると言葉より先に暴力っていう設定自体、「天才」の表現とはいえいかがなものかという気はするが、この映画でそれを言ってはおしまいだと思うので、それはそれとして受け入れれば、地味でドロドロした文学と文学賞の世界をこれだけエンターテインメントで見せてくれれば、ちゃんと面白い映画と言えるのではないか。主人公の響を演じる平手さんにはあまり興味はなく、いつもしんどそうな女の子だなあと思っていたくらいなので、そのパブリック・イメージを活かしつつ、ときどき笑顔を見せてファンを喜ばせるという意味では、なかなかよくできた「アイドル映画」ではあるけど、多くの人は彼女よりも彼女を取り巻く人たちのほうに感情移入して、その振り回されっぷりを楽しむのが楽しい鑑賞法なのだと思う。個人的には、響が小栗旬演じる山本の作品を読んでいる途中で買い物に出かけるシーン(もし山本の作品が受賞するほどのものであれば、響はあんな簡単に途中で読むのをやめないだろう)がとても切なくてよかった。キャラ推し映画のようでいて、そうゆう丁寧な描写が各所にあるのもこの作品の魅力だった。  ただ、自分もいちおう文章を生業の一部としている人間なのでどうしても気になったのは、響と彼女の作品『御伽の庭』を表現する語彙の乏しさ。冒頭の北川景子が表現する部分が唯一、具体的に「どうすごいのか」を説明した部分だと思うのだが、そういう表現だったら今時の作家さんの多くが志している部分だと思うし、自分もそういう作品も多く読んできたように思う。肝心の作品自体を表に見せる必要はないが、もっといろんな人がいろんな言葉で表現することは必要だったんじゃないかなーと思う。たくさんの違った角度、違った顔を持つ作品こそ、「傑作」と呼ぶにふさわしいと思うので。あと、芥川賞と直木賞の基準とかに全く触れないのも、「文学賞」を題材にした作品としてはやっぱり残念。ただ、終わらせ方はとてもよかったと思う。そして続編はないと思うけど、いらないと思います。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-08-09 08:42:38)(良:1票)
119.  孤狼の血 《ネタバレ》 
これはまさにオールスターヤクザ映画。とくに江口洋介、竹野内豊が対立する組の幹部に扮して暴れているあたりが、今の「日本映画」という感じ。この2人はほかの役者に比べれば、ちょっと無理してる感じもあるし、そもそも2人とも役名ではなく、「江口洋介」「竹野内豊」にしか見えないが(実際、2人の役名は覚えていない)、それはそれでいいのだ。それこそが、日本の娯楽映画だったわけで。一方の物語の主軸は、役所広司と松坂桃李のバディもの。「悪徳警官」に振り回される松坂桃李視線で物語は展開し、最後に彼の「成長」(or転落)を描いて終わるあたりも定型通りだが、それもそれでいい。もちろん、暴力・グロいシーンでも痛い絵は最小限に、濡れ場でも男女の裸も見せず、テレビで流せない卑猥な言葉もサラリと流れていくところに、「メジャー娯楽映画」としてヤクザ映画を再構築しようという白石監督の狙いも感じる。ただ、そうした試みの数々がうまくいっているのかどうかは、うーん、どうだろう。豚糞や真珠などの悪趣味なアイデアに喜べる人たちは、有名俳優の名前で映画館に通う人たちとは違う気がするし、そんな人たちが裸を見せない絡みに満足するとも思えない。結局、雰囲気だけは劇画調ながらあっさり風味のヤクザ映画が、結果的に誰にとってもストライクを外した作品になってしまったように思える。ただ、続編も公開間近ということで、客観的にはその試みはそれなりに成功してるのかもしれない。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-06-20 10:09:22)
120.  パンとバスと2度目のハツコイ 《ネタバレ》 
今泉監督作品は、『愛がなんだ』に続いて2作目。『愛がなんだ』で印象的だった深川麻衣さんの主演作ということで見てみたが、『愛がなんだ』とは正反対の若干不思議系・真面目系キャラが面白いし、演技の幅も垣間見えてますます気になる俳優さんになりました。今泉監督は、ちょっとした日常の場面でそのキャラクターの心情を丁寧に掘り下げるのがうまい。この作品の面白いのは、恋愛とそのほかの関係のあいだの境界線を引かないというか、主人公のふみの恋愛観は友人・家族・仕事、そしてかつて志した美術との彼女の向き合い方と地続きになっていて、そのどれにも宙ぶらりんな彼女の現在地がそのまますくい取られている。見ていて、ああ20代の半ばってこんな感じだったなあというのも、じんわりと思い出させてくれた。難点は、相手男性役の演技か(あと元彼役の人の演技も残念だった)。深川さんと伊藤沙莉さんがちょっとした視線の置き方や呼吸の間などでうまく感情を表してくるのに対して、山下さんの演技はいかにもワークショップ的というか演劇的というか、うまくかみ合っておらず、2人(or3人)のシーンのアンサンブルが残念だった。あと、これは低予算だからしょうがないのだけれど音楽の「いかにも」感。そして、パンがいまいちおいしそうに見えないこと。パンがそこまでおいしそうにみえないことも含めての、ほろ苦さの演出なのかもしれないが、シンプルなパンをおいしそうに見せてこその、この映画の味のような気もする。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-06-19 09:56:27)
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