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エスねこさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 644
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ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/23593/
ホームページ http://kine.matrix.jp/
自己紹介 [2010年8月23日]
か…かわも…

(゚Д゚;)ノ

…映画界は今日終わった…。


[2017年7月16日]
猛暑の夜、amazonで映画ではなく『幼女戦記』を寝ないで通し鑑賞。
大局的な戦略から入って行くという、かつてない架空戦記アニメでありながら、その悪夢性を出し切った感がすごかった。
最終話はテーマ的にポエニ戦争から対テロ戦争まで、膨大な戦争のイメージを深く広く全面爆撃して吹っ切れる展開に。
スピルバーグの『宇宙戦争』はバクテリアに仮託してその地獄自体を救いと説いたわけだけど、このアニメはそんな所まで引いて俯瞰する気がサラサラないってのがスゴイです。

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121.  プライマー
すげえ。 『バタフライ・エフェクト』は、どこが伏線なのかわかりやすいように最初から案内図があるという親切設計テーマパークだったが、『プライマー』は予想しなかった場所に仕掛けや落とし穴がありまくりの忍者屋敷。しかも、当然気づいておくべき些細な仕掛けで、主人公たちがガンジガラメになっているのがわかって来るあたりで観客の推理力が徹底的に試される。覚悟して臨むべし。 個人的にはさりげない科学ネタ満載(しかもかな~りハード。時間の進行方向に正逆の区別がないファインマン時空ベースで、量子電磁力学なアイデアっす)の前半が10点満点なんだが、余詰めのない名作詰め将棋のような後半の展開も評価できる。「時間旅行SFの主人公は一人のみ」という法則を破った人物設定が、大いなる複線となって後半、作品全体を飲み込んでしまうのに目を見張るばかりだった。 …どーでもいいけど、ぽこたさんと意見が合う作品が多いなあ…ダブル?  ●ややバレ追記:…と書いてから半週間。あれこれ考えてるんだけど一部気になるところが…この世界で言う「ダブル」って、コペンハーゲン解釈ってる? もしかしてタイムスリップするたびに人間増えてる? いかん、買ってきてもう一度観ないとダメだぁ…。  ●2回目追記:借り直してしまったっす。初回鑑賞では一見ファインマン時空の中で起こっている事件のように思えたが、過去の自分と未来の自分がパラドックスで「分断」していた。この時点までは時空を超えてもひとつの存在だった主人公達はプライマーで増幅されるがごとくに増え、経路積分が不可能になる。エイブが「ファインマン・ダイアグラムで説明できない」と言った時、オイラは「なぜ?」と聞くべきだっただろう…。
[DVD(吹替)] 9点(2006-08-11 03:10:02)(良:1票)
122.  アンデッド
ちっくしょー面白ェじゃねーかよー! こんなに面白いゾンビ映画アリかよー! なんかねーB級映画ってよりもハンナ・バーバラの新作アニメ観てるみたいで肩がこらなかったっす。ある意味、テンポ良すぎでホラー映画の枠組みを脱してますな。 シェルターの中に入ってから、いきなり手持ちカメラの長回しになるのが無茶苦茶カッコいい。ロメロを研究して、彼の欠点をカバーしてます。他にも無駄にスタイリッシュなガンアクション、意表を突いたキャラの脱落順序、明快でテンポいい人物描写、史上初の魚ゾンビ攻撃…やりたい放題っすな~。 このスタッフで『スクービードゥ3』作ってもらえんでしょうか。切にお願い。
[インターネット(字幕)] 7点(2006-08-10 05:15:51)
123.  カクレンボ
Gyao の放映で観たので映像の明るさとかイマイチなんですが…これは凄かった! 子供の世界には、大人に伝わらずに独自進化していく文化があります。遊び歌とか、近年では『北斗の拳遊び』なんかの進化もそうなんだけど、大人が介在しない、言葉に置き換え難い、それでいて太古からの歴史を思い出させる遊びが息づいている。 本作はそういう世界に焦点を当てたおかげで、シナリオが説明過多に陥るのを免れている。また、圧倒的な異形の描写が、現実を見失わせるのに十分な効果を発揮。ラストまで息をつかせぬ傑作になっています。 アニメは80年代から「動」を描くジャンルに切り替わった(ここでの宮崎駿の功績を否定する気はないっす)。実はアニメというのはセリフが少なければ少ないほどいい分野。 だから、本作は現段階の日本アニメの『最高』にして『最上』のアニメだ、と評しておきます。  ネタ的には『バトルロワイヤル』とか『リアル鬼ごっこ』を想像させるので万人向きじゃないかもしれません。ここが減点ポイントかな。でも、アニメとしての価値はかなり高いと思っています。観るべし。
[インターネット(字幕)] 8点(2006-08-09 22:01:20)(良:1票)
124.  マルホランド・ドライブ
『砂の惑星』を映画館で見て以来、この監督は「存在しないもの」として扱ってきたので、オイラ的には初リンチ。  先週、ハネケ映画祭でスイッチが入ってしまったおかげで、オイラの脳内ビデオプレーヤーが活性化してしまいました。2時間の映画なら、観終わって数時間くらいは脳内再生可能な状態です。 で、「マルホ観るなら今しかねーだろ!」って借りてきましたよ。 いい具合にヒネクレた映画だったと思います。でもこれよりシャルロット・ゲーンズブールが怪演した『アンナ・オズ』の方が複雑な迷宮を楽しめるんだがなあ。ハリウッド作品でないと、やっぱ注目度低いのかなあ…あ、監督の目的は夢破れた少女の絶望にある、ってのはわかってますよ。まっ白な幸せを描く事で、奥底の絶望の深さを表現するという…でもハネケを続けて3本観た後のオイラにはわかりやすすぎだ(結局ソコで評価するんかい…なんか「どっからでもかかって来なさい」モードですな)。 オイラにとってナオミ・ワッツは素直な感情移入を許す女優さんで、特に本作では2回のリハーサルのシーンで「玉虫色の純白」という摩訶不思議なモノを見せてくれます。なので後半のおっぱい丸出しはちょっとキツかったかなぁ…黒い方の彼女はイマイチでした。
[DVD(吹替)] 7点(2006-08-06 18:39:31)
125.  NOTHING ナッシング
なんかもう猛烈に『CUBE』頭わるい版。 最後までのあらすじを聞いてたから驚かなかったけど、本当にこいつら頭悪い。けど画面も単純・キャラも単純で、めっちゃ爽快感があったよ。特にあのエンディング(エンドクレジット前)は突き抜けた頭の悪さで凄かった! あの終わり方は高く評価します。 …とはいえ、途中で何度もベント・ハーメルの『卵の番人』を思い浮かべたんだよな。似たような仕掛け(受け要素ゼロ映画?)なのに、向こうは現実世界を舞台にして、とても味のある話になっている。ナタリはもっともっと肩の力を抜いて、「観客を波乱の展開で面白がらせよう」というつまらん姿勢を捨てるべきだったと思う(亀を軸にした不毛な三角関係が生まれるものと期待してたんだけどなあ…)。少なくともハーメルはそういうスタンスで映画を作って、逆説的に猛烈に面白くなったぞ。 まあ、あの状況下でもエキサイティングに生きちゃう二人を描くのが目的だったんだろうから、仕方ないのかもしれないけど。この映画の主役は「ねじくれた老人二人(しかも頭悪い)」って設定でやった方が最終的に面白かったと思う。  ネタ的には、高速道路の間にある家のポジションがモロにJ・G・バラード作『コンクリートの島』を意識してるワケで、ナタリ監督はこの頃から次回作『ハイライズ』のアイデアを練ってた事がうかがえますナ。てなこってオイラ的ナタリの本命・試金石は次回作『ハイライズ』なのれす。ここはちょっと低目の点数で(とは言っても『CUBE』よりはずっと高得点ですが)。
[DVD(吹替)] 6点(2006-07-23 07:12:41)
126.  ステップフォード・ワイフ(2004) 《ネタバレ》 
もちろん、映画全体としてはもっと点は低いよ。でも監督はフランク・オズだからね。子供時代からの刷り込み、贔屓の引き倒しで点を入れるしかないのれす(2006/7/23、9点に下げます…サスガに…)。知ってる人は知ってると思うけど、一応書いときます。フランク・オズはセサミストリートのクッキーモンスターを演った人。バートもやってます。ジム・ヘンソンの片腕で、『ダーク・クリスタル』の監督ですね。 何を言いたいかというと、この映画、久々にセサミストリート感というかあのバカバカしい感じが戻ってきていて、オズならではのマペットっぽい笑いがあちこちに詰まってるんですね。二コール・キッドマンの「ハァ?」ってな眉根の寄せ方、まんまレディコミ四コママンガの実写版ですわ。そういうとこがいちいちツボに入りまくって、話が面白いってワケでもないのに、ボディブローのように効いてしまいました。もうおかしくって立ち上がれませんがな。まあ一番最高だったのはDVD収録の未公開シーンですがね。ステップフォード・ワイフの正体が、50年代テイスト満載のオール電化人間! こりゃ奥方というより100%メイドロボです。大爆笑。無茶を承知で、カットしないで欲しかったなあ…所詮、オズ・テイストのセサミムービーなんだからさ…。 他方、びっくらこいたのがテーマ。オイラが見る限り「夫婦」とか「主婦業」を中心にしてるワケじゃないです(あえてゲイを持ち込んだのは、そこに気付いてもらうためだと思いまっす)。ブッシュ政権下のアメリカのミョ~な嘘臭さ、怪しい健全さ、その背後にある「弱者を組織化して私兵に仕立てる」仕組み。表立っては描かれていないけど、背後に漂う「イジメ」の香り。このあたりは日本が一度通って来た道なので、もしかするとアメリカ人よりも気付きやすいかもね。マジメすぎた『Vフォー・ヴェンデッタ』を見て損した分を取り返した感じで、気持ちよく笑えました(グレン・クローズって、ブッシュの奥さんに似てるし、言ってる事がまたソックリだしねぇ)。
[DVD(吹替)] 10点(2006-07-23 05:48:38)
127.  恋するトマト
期間限定10点(サービス期間終了のため9点に変更)。 序盤の農村の、気の抜けた息苦しいカメラワークにすっかり騙されました。ラストシーンでは雲に霞んだ茨城の山の遠景がキレイに画面に納まってるから、これは確信犯ですね? 大地康雄&南部英夫、あんたら大詐欺師だ(笑)。中盤の圧し掛かるようなフィリピンのスラムな情景。ただ一回のキスシーンに至るまでの、黄金色の海辺の長回し。そして、とことん台詞を省いて動きで涙させる稲刈りシーン。あ~んな場面が出てくるなんて、予測不可能ですよ。絶対、絶対に前半で「つまらん」と失望させるように計算してるでしょ~! やられたっすよ全く…。 あまりにアタリマエ的に描かれているけど、これはとてつもない告発映画なんじゃないのか…と、中盤以降は悲しさ混じりで鑑賞してました。日本人の、否定しようのない嫌な面が露骨に出てくる映画でもあります。大地康雄はこういうのを演じさせると神業級ですね。見てる間はそれほど気にならなかったのに、いまごろ重た~く効いてきてます。少なくともオイラはもう、以前と同じ気持ちで外人パブには行けなくなりましたよ(いやシャレじゃなく本当に)。 ストーリー展開自体の物凄さで点が上昇した気が強いですから、内容については詳しくコメントしない事にします。多くの人に予備知識なしで見てひっくり返ってほしい映画です。  最後に…『深呼吸の必要』の影響を受けなかったとは言わせませんぜ(ニヤリ)。「無言農作業映画」という妙なジャンルが生まれるかもしれない、という予感を孕んだ作品でもありました。あっちより語り口の誠実さが増してるしね。 ●追記:あ、あと藤岡弘のキャスティングはサスガに濃すぎました…画面の端に立ってるだけで主役を食っちゃうのはどうかと思うっすぉ。富田靖子、ルビー・モレノはドはまり役でした。おかげで、アリス・ティクソンが登場するまでの流れがスムーズに受け入れられました。
[映画館(邦画)] 9点(2006-07-23 05:44:32)(笑:1票)
128.  バタフライ・エフェクト/劇場公開版 《ネタバレ》 
最初、オープニングから青年期までのシーケンスを見て「おおおっ、これは読む人が必ずやアゴを外すという、時空テーマSFの埋もれた怪作『ヘミングウェイごっこ』のパクリかぁ~?」と大期待だったのですが、後半のすんごいストレートな展開に違う意味でアゼンとしておりました。 なるほどなるほど。この脚本なら同じセットを何回も使い回して、120分の映画に仕上げられるなあ。この脚本に目をつけたプロデューサーは賢いよ…ってそんなモン客が見たいわけないだろ~っ! どうも映画界にはCUBE病というか、セット費用を切り詰めたがる悪い病気が根強く残ってますな。主人公のメイクがキリストっぽいのはまあ、アメリカ映画だから目をつむります(留置所で聖痕が出ちゃった時はどーしよーかと思ったけど…)。 予算がないのが比較的前半でわかっちゃったので、あまり豪華な展開を期待しないで見れました。落胆は少なかったけど、点数を上げるわけにも行かないですねえ。このテーマが持つ独特の時空拡張感は『ラン・ローラ・ラン』にも劣りますよ~。コレがそこそこ当たって儲けただろうから、次回はちゃんとしたの作ってください。無理に伏線処理しようとして、小ぢんまりしなくていいものをね。 ●追記:考えてみたら、地球規模まで広がるような恐ろしい物語を想起させる「バタフライ・エフェクト」ってタイトルに問題があるんだなあ…同じカオス関連用語でも、『スリー・ボディ・プロブレム(=三体問題)』だったら良かったかも。最後の解決策は一点を弾き飛ばしてしまうので、力学的にも近いかもね(ニヤリ)。それを飛ばさないように、あくせく努力するのが人生だとは思うんだがねえ…超能力使おうが何しようが…。 ●追記2:うぉっ! これエメリッヒ一族(ローランドの義理の弟)の製作っすか。道理で『13F』似だと思った。 ●追記3:ぶらきさんのレビュー見て、思いました。「そのラストならオイラは10点つける!」(笑)
[DVD(字幕)] 2点(2006-06-20 23:13:26)
129.  カンパニー・マン
『CUBE』はあまり評価できないオイラですが、コレは凄かった~! 何が凄いって、全く知らない俳優だったジェレミー・ノーザムの壮絶な演技力がとんでもない! 人畜無害のボンボン顔で始まって、「正直顔」から「嘘つくの下手なんです顔」まで、表情ひとつで明快に演じ分けるオープニング。スパイとして採用され、ジャック・サーズビーという仕事用の新しい人物像は自分で決めなさいと言われ、誰にも見られないようにニコッとする場面、ハイここでタイトルが入ります。何を見せたい映画なのか、非常に明快なオープニングでした。もちろんノーザムの演技の幅はストーリーに従ってガンガン広がっていきます。「スパイ初日で垢抜けないけどテンション上がってます顔」「オレは新しい人間に目覚めたんだ家庭の事でゴチャゴチャ言うなよ顔」「ボクいま何も見てません聞いてませんよ顔」…これはもう、ストーリーなんかじゃなくて演技だけでおなかいっぱいになる傑作。っていうかこういう卓抜な演技に支えられて、自分のアイデンティティを洋服並みに入れ替えていく主人公の姿は、もはや快感ですらあります。実存のザルと呼んでいいかもしれない。テンポとキレのいい、シャープなクローネンバーグって印象でした。やっぱり『ハイ・ライズ』は期待しちゃうナタリ~。
[DVD(字幕)] 9点(2006-06-18 00:46:19)(良:1票)
130.  スーパーサイズ・ミー
この映画の存在を知ったのはこの春のコト。残念ながらこのサイトではなく、札幌の某風俗店サイトのブログでした。店の新人黒服が1ヶ月間、3食ロッテリアだけの生活に挑戦するのを日々綴るという、風俗店にあるまじき恐ろしい企画でした…以来、元ネタを探してDVDコーナーを探し回っていたのですが人気がないらしく見かける事が皆無だったんです。今日TSUTAYAで発見した時、思わず引っつかんでレジに走りました(笑)。 さて。 自転車をフルスピードで漕いで、帰宅すると即座に鑑賞。こりゃすげえ。何がなんだかわかんないけどすげえ。監督の体型が次第に変わり始めたあたりからドキドキするし、手に汗握るし、この意味不明の迫力は何なんだ…?  全てを理解したのは、見終わった後、DVDに収録された日本語版予告を見た時でした。最後のカットで、カメラを背に、逆光でマックの店舗前に立つ監督…そうか。この映画、計算し尽くされた西部劇だったんだ! 確かにここでやってる人体実験(というか冒険)は、あくまで日常生活から手の届く範囲にあるけど、誰でもやれる冒険に価値がないわけじゃない。そのアドベンチャーが持つ意味、どれほど多くの人が本作の「敵」に大事なものを奪われているか…実験と共にその背景が、しつこいほどに掘り下げられて行く。モーガン・スパーロックは表面上はドン・キホーテであるワケだが、観客がその「敵」を認識した途端に正義のガンマンに摩り替わってしまう。特撮でもないのに、まるで手品のように、見事にヒーローに変身する。 セガールが石油コンビナートに潜入するのも、コネリーがイギリス高地でロシアの不死人と剣を交えるのも、所詮はただの演技。率直に言えば作り事、嘘だ。だがそこには「物語」という大きな背景があって、その中にある対立の構図に観客はアクションを超えた、より大きな意味を見つけ出し画面に釘付けになる。 マックを「悪」だと認識させるデータや証人は100分の映画を埋められるくらい豊富にいる。被害者は観客の大多数。劇映画と違って、主人公の危機感や挫折や再起や勝利はちょっと拙く控え目に描かれるが、全てしっかり作中に存在している。スパーロックは最初から全て計算してやっているのだろう。 これはドキュメンタリーに名を借りた、世界でもっとも身近な、極小の「箱庭アクション映画」だ。劇映画がつまらなくなった今、その着眼点・アイデアにこそ点を献上したい。
[DVD(吹替)] 9点(2006-06-17 22:32:07)(良:2票)
131.  CODE46
ここまでやった近未来ディストピアSF映画は他にないだろう。言葉の端々に膨大な情報量があふれて、観ていて脳がパンクしそうだった。ただのラブ・ストーリーというのもこれまた素晴らしい。ずっとナレーションで語り続けてきたマリアの現在の姿がラストで描かれ、そこで映画全体のパズルが完成するという巧みさ。久々に左脳で観る映画に出会って、満足です…でも後半での「愛のあるソフトSMベッドシーン」で、もろに「アダルトビデオ風ハメ撮りアングル」を使うのはやめて欲しいですわぁ。裸で街中を歩く人を見るような気恥ずかしさで、何度も目を逸らしました…イギリスではああいうの新しいんですか?(苦笑)
[DVD(字幕)] 10点(2006-06-17 00:13:42)
132.  ピッチブラック 《ネタバレ》 
以下、かなりマニアックなレビューで、あんまり映画評になってませんが。  実は数年前、予告を見た時点で「コレは当たり」と判定して、あえて観ずに残してありました。 まあSFを読み込んだ人なら元ネタは即出て来るでしょうな…『夜来たる』×『アヴァロンの闇』×『死の世界』という、豪快な変化球。ついでに前半で、砂漠に異様なオブジェが林立する絵造りはもしかしてキンザザ狙ってますか? …って感じで、SFスリラーな展開にもかかわらず相当にマニアックな映画でした。 ただSFファンへのサービスが前半に集中しているのが残念。夜が来るタイミングも、もう少し遅くてもよかったと思うな。ちょっとサプライズに欠けました。 ストーリーを語って愚痴になるのはつまらないので、プロダクトデザイン関連について書きますか。惑星不時着時に、宇宙船のオペレーション体系をいろいろ考えてあるのはナカナカでした。タトプロスのモンスターデザインは『アヴァロンの闇』のグレンデルをベースにした(未成熟期・成熟期で巣を分けてるし、ちゃんと共食いシーンあるし~! なぜか常時ターボが効いてますが…)爬虫類型ながら、オリジナルな要素として音波を出す長い突起が左右にある。後半で明らかになる奴らの弱点は、このモンスターデザインから来ているワケっすね。リディックの「異星生態系の中で自分が生き延びるためには、どこまでも冷酷になる」という人物像は(日本ではもう絶版して久しいですが)往年の名作『死の世界』シリーズを思い出させます…つうかまあ、ここまでマニアックなシナリオ&監督なら、きっとアレをイメージして作ったんだろうなぁ。  こういうリスペクトの集大成も、SF映画のあり方としてOKでっせ、オイラ的には。よって、『2001年宇宙の旅』と同じ配点とします。 
[DVD(吹替)] 8点(2006-06-12 00:18:16)
133.  バッドサンタ
どうやら昨日は飲みすぎたらしい。確か、仕事仲間と居酒屋でジョッキ3杯&焼酎3本くらい空けたはずだ。激しい頭痛と共に目を覚ましたけれど、どうやって帰ってきたのか全く記憶にない。そして枕元にはGEOのレンタル袋に入った『バッド・サンタ』が転がっていたのでした。酔っ払って借りてきたらしいんだけど、もちろん憶えてなんかいるもんか。 「しがない中年男」が「二日酔いの土曜日の午前中」に見る映画として、これほど情けないチョイスはまずないだろう。冒頭、リアルにゲロる主人公の姿に、自分のイメージがかぶるかぶる。うあっ、い、いまオレ小便漏らしてないか…と思わず股間を確認したくなるくらいに、今の自分の内面が映像にさらけ出されて超シオシオなムードで鑑賞しました。ソーントンが酒を煽るたび、史上最強の梅干を食べてしまったようなしょっぱい顔になってしまって、やりきれない気持ちが湧き上がってくる。ああ、あんなに飲むんじゃなかった。SUNがボトル一本1240円ってのに調子に乗りすぎたなあ。あんなに飲み食いして一人4000円は安かったけど、安い焼酎は絶対次の日に残っちゃうんだよなあ…。 この時、オイラの延長線上にあった「こんな人間にだけはなりたくない」という最悪のサンタ像は、もはや悪趣味を越えてリアルに胸に(いや胸焼けに)迫ってきたのれす。クリスマス・ストーリーだからラストがハッピーエンドになるのはわかってましたが、どう考えても好転しそうにないどん底の状況から、よくまああんな展開に持っていったもんです。てゆーかあの終わり方で本当によかった。アレでなきゃ、コンビニに安酒買いに行っちゃってたかも(笑)。  こんな映画をプレゼントしくさった泥酔中の自分に幸アレ。
[DVD(吹替)] 5点(2006-06-10 23:34:31)
134.  ALWAYS 三丁目の夕日
何しろすごい人気でしたからねえ。一館だけですが、札幌ではいまだに上映されてます。早目に見ておきたかったんだけど…ちっくしょォ~。 さて、チケットを買うために並んでいた時のコト。朝一番の上映だってのに、二組前が50代くらいのおばちゃん一人なんですよ。「あーこりゃリピーターだなあ」と思って眺めてたら、おばちゃん半券落としちゃったんです。すかさず後ろにいた親子連れが気付いて、男の子が拾いました。立ち去りかけるおばちゃんに向かって、チケットを持つ手を90度に上げ、直立不動で「おばさん、落としました!」…今どきそんなガキがいるかよ…こっちの方が確実にリピーターだなあ…。親父さんの手が坊やの頭へ軽くポンと乗ったのも、見逃しませんでしたとも。 上映中のコト。シネコンではありますが、久々に「前から三列目」というかぶりつきの位置で鑑賞しました。同じ列には年配の上品な叔母様がひとり。未来小説、宅間先生の帰宅、お守り、サンタ…泣き所に来るといちいち身をググッと乗り出します。確実にリピーターです。だもんで、何も言われなくても展開が読めすぎ(笑)。いやブームに乗り遅れたオイラが悪いんです、自戒自戒。 上映が終わった時のコト。照明がついても観客が全然立つ気配がない。映画館のおじさんが入口を開けて、「ありがとうございましたァ」と声をかけると、やっと腰をあげるという有様の推定15名…おじさんわかってんじゃん。もしかしてここの館、リピーターだけのために今でも上映続けてるとか? 喫煙コーナーで一服して外に出た時のコト。札幌白石区の国道沿いの光景に一瞬、目が眩みました。街の中心から地下鉄で4駅ほど離れたギリギリ「郊外」のあたりなんですが、それでも風景が違いすぎた。木造二階建ての古臭い軒並みもなく、路面電車も三輪オートもなく、駄菓子屋もない、妙によそよそしい町並み。しばらくの間、本物の風景には見えませんでした。 オイラは先に『力道山』を観て「昭和30年代の仕掛け人の側」を知ってしまっている手前、リピーターにはならないでしょう。でも順序が違えば明日もここに来ていたかも知れない。この映画の力に騙される事はなかったけど、それが残念でもあり、寂しくもあり…。 ●6/4追記:リピーターになっちゃいました…しかも前から2列目…この館、もはや知った仲同士の楽しい空間と化しております。●DVD発売になったのにまだ上映してる…。
[映画館(邦画)] 7点(2006-06-10 15:59:44)(良:1票)
135.  10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス
さてコッチの方は…  「結婚は10分で決める」5点:今回はコレを基準作にしました。 「ライフライン」10点:まさか10分の映画でボロ泣きするハメになるとは~! いつも通りの作風ですが、100分相当の作品として通用します(でも「あと10年は撮らないよ」なんて言わないで下さいね)。 「失われた一万年」4点:あいも変わらず密林ですか…しかも、まんまドキュメンタリーだから、彼独特の狂える迫力が出てない。10分で自分の世界を表現できないからって、投げちゃいけやせんぜ監督。 「女優のブレイクタイム」4点:ジャームッシュに浸るような心の余裕は、オイラにはない。 「トローナからの12マイル」8点:うぉー濃密~。これも、一作分の長編映画に展開できる作品ですなぁ。 「ゴアVSブッシュ」3点:この映画で初めて知りましたが、ゴア君はブッシュたんに向かって一度は敗北宣言したんじゃん。まあアメリカン人でないからどーでもいいですが…。 「夢幻百花」9点:イッセー尾形さん家の引越し(笑)。コレがラストを締めるとは意外でした(ヴェンダース作品の方がよかないか?)が、見応えありました。  そして結果はこのように…。
[DVD(字幕)] 7点(2006-06-03 22:07:27)(良:2票)
136.  10ミニッツ・オールダー イデアの森
平均点方式で行きますか。願いましては…。  「水の寓話」3点:おいおいまた東洋趣味すか。 「時代×4」9点:4倍濃厚で最高。マイフェイバリットな引き込まれる映像。 「老優の一瞬」5点:本作を基準点としました。お手本的逸品。10分で終わる『ニューシネマ・パラダイス』ですな。 「10分後」8点:やるなサボー! あんたが長回しで来るとは思わなかったよ。 「~との対話」7点:正直よくわかんなかったんだけど、一番印象に残る。 「啓示されし者」4点:展開は面白いが、ナレーションは不要では? 「星に魅せられて」7点:正直面白くないんだけど、そのストレートっぷりでサービス点。 「時間の闇の中で」2点:こらこらこらこらこら!  …しめて、この点になりました。
[DVD(字幕)] 6点(2006-06-03 19:31:05)
137.  Vフォー・ヴェンデッタ 《ネタバレ》 
2001年のアフガン侵攻以来、こういう映画を望んでいた観客は少なからずいるんじゃないだろうか。陰惨な現代をカリカチュアライズした舞台、国家に牙を向ける偽悪的な犯罪者、強権的な政府にNOを叩きつける市井の人々の革命…確かに今『未来世紀ブラジル』を撮るなら、こういう風にやるのが正しいだろう。デュマを意識した大ロマン的な展開(ちょっと蛇足気味にラストで明かされているが)も、手品のように巧くはまっていた。 …だが、ラスト30秒で全てがぶち壊し。何とこれは真剣なプロパガンダ映画だったのだ。 「こんなご時勢、何を言っても仕方ねェや」と映画で息抜きしに来たオイラは、カーテンコールのごとくに(だが舞台とは違ってシリアスに)死んでいった者たちが顔見せするエンディングで思いっきりのけぞってしまった。このスタッフ、マジだよ。シャレで作ってるんじゃないよ。大資本映画を見て世界情勢について真剣に考え、自らも行動する時代は70年代で終わってるんだってば。オイラはね、『未来世紀ブラジル』みたいな最後の最後まで意地悪いのを期待してたんだよ。『未来世紀ブラジル』の幻のエンディングバージョンじゃないの。 「素晴らしいディナーを振舞ってもらったけどデザートに毒を盛ってありました」的な悲しい作品でした。素材が良かっただけに残念。娯楽として観たい方は、ビッグベンに花火が舞うあたりで席を立つのがいいと思います。  …あ、今回はクレジットの最後まで見たわけじゃないんで、なんかドンデン返っちゃうような仕掛けがあるかもしれませんがネ。 ●追記:これ、英国の評論家が何て言ってるか気になりますねえ。すっごくスノッブにけなしてそうな気がするな(笑)。●さらに追記:うわぁこれ、イギリス映画じゃなくてドイツ映画なんだ! ラストを含め、いろいろ腑に落ちました。点数上げるかどうかは、しばらく熟考してから…。●さらにさらに追記:そういやこち亀以外でも、『宇宙家族カールビンソン』の虹男にも似てるんだよなあ…あさりよしとお、ネタにしないかなー。
[映画館(字幕)] 2点(2006-05-23 00:43:06)
138.  いかレスラー
買ってきました。これから、見ます。覚悟は決めてます。点数は期待度。  ……実況鑑賞16分目。つかみはオッケー! 演技の大根なんて気にならないこの独特のノリが決め手ッ。 ……実況鑑賞33分目。初泣き。 ……実況鑑賞46分目。熱いぜ ……実況鑑賞52分目。これネタ? ……実況鑑賞70分目。再び熱くなってきたぜ! ……実況鑑賞80分目。燃え燃えだーッ! ……実況鑑賞85分目。はァ? ……実況中継87分目。おいおい『終』って何よ? ……結論。クライマックスやり逃げバカ映画でした(ある意味貴重かも)。点数は維持しときます。 ●追記:心に残る名台詞のサイズ制限に引っかかったんで、こっちにルー大柴の長台詞を引用しときます。「なあいかレスラー君。キミほど現在日本が抱えている混沌とした状況を体現しているレスラーは他にいない。隣国からの核の驚異、テロの驚異。増え続ける悪質犯罪。未知のウィルス。高齢化社会の不安、経済の不安、政治の不安。この時代の雰囲気にピッタリなんだよキミは。10本足のイカの怪物が、キミが日本人レスラーに倒される事でみんな元気になる。得体の知れない怪物が倒される事で、不安は希望に変わる。間違ってもキミは勝ってはならない。キミが日本人レスラーを苦しめ、でも最後は逆転されて負けるところを客は見たいんだ。しかし、影の主役はキミなんだ。イカになってくれてウチとしては返って好都合だ、キミが岩田貫一だとしたらね…イカがかな?」。これ、かなり怪獣特撮の本質を突いてます(いやまあルー大柴の演技には貫禄がないけど)。
[DVD(字幕)] 6点(2006-05-08 03:32:44)
139.  トウキョウ アンダーグラウンド
登録して、長らくレビューするの忘れてました。まあその程度の映画ですが。六本木の外人ホステス界を舞台にしたヘタクソな『不思議の国のアリス』。ドイツ映画の欠点が全て詰まったダメ作品。だが現実にルーシーさん事件が起こってしまっている事だし、気持ち的にコレ以下の点数はつけられんです。あと主役の女の子は映画は初めてだそうですが、本業がモデルさんだけあって、このレベルの映画にしては華がある上、プロポーションも素晴らしい(胸でかっ!)。演技力がないのが残念。
[DVD(字幕)] 4点(2006-05-05 17:09:12)
140.  ブラザーズ・グリム
改訂前のレビューを発見したのでまた戻します。  ギリアムはずーっと、幻想と世知辛い現実の関係をテーマにしてきたんですな。『悪戯Q』では幻想が勝って、『ブラジル』では現実が勝った。『バロン』は何となく幻想の勝ちっぽく終わって、『フィッシャー』は双方が歩み寄って対立が解消する。『ラマンチャ』は映画になる前に現実に負けた(だからノンフィクション形式とは言え、これもギリアムの劇作品の流れではあるのよ)。『12猿』『ラスベガス』は観てないので評価なしだけど…。 んで『グリム兄弟』なんすけど、今までの彼の作品テーマを《魔法の豆》というわっかりやすぅ~いキーワードに集約して、冒頭2分で終わらせてしまったワケですよ! いわゆるギリアム・ワールドの「これまでのあらすじ」ですね。彼は過去に一旦決着をつけちゃったんだと思います。これからは「幻想界」と「現実界」の勝ち・負け・和解の3パターン以外の手法でやるぜ! …という宣言だと思うワケで。 それから始まる物語は、まるで自分の総決算みたいに《魔法の豆》の周囲を巡り続けます。幻想と現実のせめぎ合いが問題なんじゃなく「その両者が結託してビジネス(詐欺)やってる」という最初のニセ水戸黄門みたいなノリは、日本のボケとツッコミのメカニズムになってて最高でしたわぁ~。しかぁし、ギリアムはここに毎度お馴染みジョナサン・プライスを突っ込んで、支配関係を幻想<現実<権力にしやがります。それがやがて権力<幻想という三すくみとなり、この関係を最後まで守り抜く事で「勝者はない」という結論に導きました。それぞれを代表するキャラ(レジャー=幻想担当、デイモン=現実担当、ストーメア=権力担当)がこの力関係を理解し、理解しなかった者が倒れて(プライス=権力担当、ベルッチ=幻想担当、へディの親父=現実担当…これはどうかな…)、ハッピーエンドがやってくる…シンボル的にはそんな仕掛けに思えます。 勝手な想像だけど、おそらくヒロインはこの「新ギリアム界のバランス法則」を知っている人間だったんじゃないですかね。そうすっと、気になるんだ…次作『タイドランド』は少女が主人公で、今回のヒロインの姿には次回への「予告編」が嗅ぎ取れます。ギリアムは次作で新たな領域に行くつもりなんじゃないか。そのための練習、そして予算稼ぎが本作の位置付けのような気がしてきます。
[DVD(吹替)] 7点(2006-05-05 12:44:46)(良:1票)
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