1461. NANA
中島美嘉の等身大の演技に、歌手としての中島美嘉にはない親近感をおぼえた。 宮崎あおいは、ほんとに巧い。 こういう若いのをいいことに、自分勝手で彼氏を振り回す女のコを演じても、見事にハマっているから凄い。 映画の一部として音楽が効果的に使われているという意味で、既に傑作だと思う。 音響も良く、迫力があって歯切れのいいサウンドが、物語を盛り立てる。 二人のナナが同居するマンションも個性があって非常に魅力的だ。 宮崎あおいの衣装、中島美嘉のメイク、二人の個性の不協和音が功を奏し、良い対比となっている。 男同士の友情とは異なる、女性の友人同士ならではの、少しレズっ気を感じるアブナイ距離感がまた、男の私からすると興味深く面白い。 原作が下敷きとしてあるだけに、ストーリーとしての完成度も高く破綻もない。 特別にスピード感があるわけでもないのに、最後まで飽きさせない内容と、その演出も見事。 おそらく、2000年以降の、青春もの日本映画としては屈指の作品。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-08-21 22:42:04) |
1462. 東海道四谷怪談
かの有名な四谷怪談。 「うらめしや~」 「この恨み、晴らさずでおくべきか~」 などの名文句が聞けただけで満足。 内容は、新東宝色全開で、終始ハイテンションで疲れる。 もちろん、観ていて楽しい気分になる内容でもないし、暑さをしのげるほどの怖さも無い。 だけど、これを私が観ようと思った理由は、小さい頃のトラウマを克服したかったから。 小さい頃と言えば、その作品のクオリティとか関係なく、この手の映画が怖くて仕方なかったものだ。 中でも、この作品は有名で、子供の頃の恐怖の記憶として残っていた。 それを大人になって大人買い、、、ではなく、大人観る(?)してみた。 こうして私は幼少期の恐怖日本映画のトラウマを克服し、やっと立派な大人になれました! [CS・衛星(邦画)] 4点(2011-08-21 14:32:37) |
1463. チルソクの夏
《ネタバレ》 素晴らしい! 青春映画の傑作!! 青春時代の恋は、人生で最も純粋でいて輝かしい思い出である。 その恋は、不器用で経験も少ないから、その分、辛いことも起きる。 相手に気持ちをどう伝えればいいのか? その勇気と決断は? 伝えた後の付き合い方は? 勉強やスポーツ、本作においては特に国境と文化の壁。 様々な障壁が立ちはだかる中で、必至に相手のことを想う。 それはとても切なく辛いものではあるが、同時に、人生でもう二度と経験できない甘い記憶が胸に刻み込まれる。 好きな異性とのちょっとした会話、手紙のやりとり、相手の体温、そういった青春時代にしか体験することのできない貴重な瞬間が、この作品には見事なまでに焼き付けられている。 現在がセピア色、青春時代がカラー。 この色の使い分けも効果的。 最も輝いていた時代が青春時代であることを映像的にうまく表現している。 思わず観ていて涙してしまった。 映画ではめったに涙が出ないのだが、これには見事に落涙させられた。 心の奥底に眠った青春時代の甘くて切ない思い出を、この見事な青春映画によって、掘り起こされたからに相違ない。 500本に1本くらいしか涙を流す機会が無いので、久しぶりに心を洗われた思いがする。 それと、主演の水谷妃里が何とも言えず魅力的。 どこか物憂げな瞳と端正な顔立ちが印象的で、主演としてこの作品を彩るに相応しい女優さんだった。 日韓友好、女性同士の友情、家族の絆、その他さまざまなテーマもよく描かれており、後世に名を残すであろう、青春映画の紛れもない傑作である。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-08-21 12:02:09)(良:1票) |
1464. たぶん悪魔が
《ネタバレ》 ロベール・ブレッソン監督作としては、遺作の『ラルジャン』と似た味わい。 その映像たるは、恐ろしいほどに澄み切っていて、透明度が高い。 この美しい映像の中で、ロベール・ブレッソンの手腕が遺憾なく発揮されている。 主人公の男は、これまたおそろしいほどに美青年で、おそらく女性ならこの俳優を観ているだけで楽しめるだろう。 しかし、この主人公は全てにおいて、社会と隔絶した考え方を持っており、ひと癖もふた癖もある人物設定で、実にとっつきにくいキャラである。 ところが、そんなとっつきにくいキャラであるにも関わらず、彼は世の中で居場所を失い苦悩しており、同情に似た共感を観る者に与えてくれる。 美しい映像の中で、美しい青年が、苦悩の果てにその命を散らせていく。 実に破滅的でいて、美しい世界観が展開されていく。 青年は頭も良く外見も良いのに、自ら命を捨てる。 それは絶望の果てに、彼が選択せざるを得なかった唯一の選択肢だった。 人は馬鹿に生まれて外見も悪ければ、不屈の精神で生きる道をさぐるべく生へのモチベーションを得ることもあろうが、この青年のように頭も良くて外見が良いと、逆の道を辿り、破滅死に追い込まれることがある。 どちらの人生が良いのか? どちらに生まれれば幸せなのか? そういった深淵なテーマについて、考えさせられる作品だった。 本作は、ロベール・ブレッソン作品としては、初期の傑作群にはやや及ばないものの、晩年の作品として評価の高い『ラルジャン』に匹敵する作品であると思う。 [DVD(字幕)] 7点(2011-08-21 00:24:06) |
1465. ラルジャン
ブレッソンの遺作。 カラーとブレッソンの不協和音が心地よい。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-08-21 00:18:35) |
1466. シュリ
《ネタバレ》 アジアンクライムアクションムービーでもって、ラブストーリー。 この手の映画って、香港あたりに作らせると、抜群に面白くて映像も綺麗で、優れた作品が多い。 本作は韓国の映画だが、どうもパっとしない。 アクションシーンは、臨場感を溢れさせるためにカメラを揺さぶってるのかもしれないけれど、その分、リアリティが欠如し、そもそも何がどうアクションしてるのかが分かりづらくて仕方ない。 ストーリーも特段に練られた犯罪劇というほどでもない。 朝鮮半島分断の悲劇をテーマにしているが、そのテーマの掘り下げが甘い。 特に、『ピョンヤン・ダイアリー』や『ディア・ピョンヤン』辺りのドキュメンタリーを観てしまっていると、余計に軽く感じてしまう。 そんな中にあって、終盤にかけての色恋沙汰は唯一みどころがあった。 北朝鮮工作員としての任務を遂行しなければならない義務感と、一人の女性として大韓民国の男性を好きになってしまったという心の葛藤が、とてもよく描かれている。 アクションはアメリカ、アジアンクライムサスペンスは香港に任せておき、朝鮮半島分断という大きなテーマをもっと掘り下げ、そこに韓国が得意とするラブストーリー色を全編に絡めれば、傑作になったに違いない。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-08-18 23:47:05) |
1467. リリイ・シュシュのすべて
岩井俊二監督の作品は、好きなものもあるが、どうも肌に合わないものがほとんどらしい。 そんな中で、この作品を鑑賞した理由は、“リリイ・シュシュ”という音楽ユニットと、ちょっとした因果があったからである。 リリイ・シュシュは、小林武史がプロデュースしたグループ。 知人がそれに少し関与していて、世に売り出す前に存在を知っていたグループだった。 ちなみに、プロモーションCDも持っていた。 商業的な趣きがプンプンと臭う映画であり、儲けるためにつくった映画を楽しむというのは、やはり私には全くもって無理な話で、しかも、リリイ・シュシュの音楽に共感できなかった私としては、なおのこと辛い。 ただ、岩井俊二の役者の卵を発掘する能力は認めざるを得ない。 蒼井優と市原隼人を発掘したが、現在の活躍をみるにつけ、強くそう思う。 さて、本作で“エーテル”という単語が連発されるが、『20世紀ノスタルジア』を思い起こしてしまうのは私だけだろうか? 広末涼子と一緒に出ていたあの野郎の、「エーテル体♪エーテル体♪」という気色の悪いフレーズが頭をよぎってしまった。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2011-08-15 23:46:48) |
1468. 儀式
“ATG×大島渚”という組み合わせによる個性が、爆発しまくった作品。 この頃の大島渚監督の映画に共通する「密閉感」「風変り」「モノクロの寒々しい映像」などの特徴が、本作にも十分感じられる。 そういう個性を感じられたの良かったのだが、理屈抜きにつまらない! なんというか、尺が長い上に、表現している内容が同じことの繰り返しというか。 血筋による因果、悪しき風習など、テーマは面白いが、全体的に平坦な内容で、正直なところ、後半は飽き飽きしてしまった。 それにしても、大島渚監督の作品における、戸浦六宏、小松方正、渡辺文雄の3人は、本作でも「大島3兄弟」として異彩を放っていた。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2011-08-15 23:12:46) |
1469. 真夜中のカーボーイ
女を相手に売春して都会で儲けようと田舎から出てきた青年。 この甘い考えは、すぐに夢と消える。 都会で待っていたものは、孤独であった。 都会に向かうバスの中で、青年はラジオに耳を傾けながら、甘い夢を見ている。 この時に流れる音楽もそれを盛り立て、観ているこちらもわくわくしてくる。 だが、都会で待っていたものは、これ以上なく辛い現実だった。 その描写があまりに現実的で、こちらも気分が滅入ってくる。 そんな孤独な都会で、一人の男と知り合い、そこに友情が生まれる。 しかし、その友人も病に倒れてしまう。 なんとも救いようのない話で、ハッピーな気持ちになれないのが難だが、肉体労働で地道に稼ぐことを決心した青年が、最後でちょっとした希望を見せてくれた。 都会を目指した青年の孤独と希望を描いた、ロードムービー的要素を併せ持つ、ほろ苦い青春ドラマの名作。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-08-15 19:01:39) |
1470. 不安
《ネタバレ》 不倫に関わる、ややもすると単純になりそうな話を、見事なまでにサスペンス風味満載に仕上げた作品で、いつ殺人が起るとも分からない雰囲気が全編に渡り漂っていて、緊張感を持ったまま最後まで観ることができた。 ロベルト・ロッセリーニとイングリッド・バーグマンは実生活でも不倫関係にあったが、本作はその不倫関係をまるで鏡の様に映しこんだ内容である。 結果、ロッセリーニは、不倫というものを深くリアルに追究し過ぎ、本作をもってバーグマンとの不倫仲も終りを遂げる。 ロッセリーニが、自身のプライベートをさらけ出してでも撮ろうとしたその意気込みを評価したいが、その一方で、単にロッセリーニの女グセの悪さを見せられているだけの様な気がしなくもない。 不倫とはいかに不誠実で、リスクが高いか。 単純に言えば、そんなことを訴えている作品である。 そんな単純な題材を、ロッセリーニは独自のセンスで、サスペンス劇としても十分に楽しめる作品に仕上げてみせた。 ロッセリーニは、イタリア近代映画の草分け的存在の監督だけあって、その完成された演出手腕には、さすがの貫禄を感じた。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-08-14 16:54:51) |
1471. g@me.(2003)
《ネタバレ》 とにかくドンデン返しの連続。 最後まで飽きさせないとも言えるし、やりすぎとも言える。 でも、ここまでひっくり返しまくれば、結局は元に戻る。 つまり、二人は離れ離れになる。 その締め方が巧い。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-08-14 02:39:18) |
1472. 秋菊の物語
《ネタバレ》 人それぞれには意地とプライドというものがある。 それに強いこだわり持つ人にとっては、曖昧な結論など受容できるはずもない。 夫にケガを負わされた妻は、最初は夫のために抗議活動をしていたとはいえ、いつの間にか自分自身のこだわりとしての活動にエスカレートしていった。 本作は、役人の権力に対して人民がどれだけ対抗し得るか、それを一つのテーマにしている。 民主主義ではなく社会主義としての中国内において、どれだけ人民ひとりひとりの権利が尊重されるのか。 そして、それは尊重されるべきものであるとして、監督のチャン・イーモウは、観る者に訴えたかったに違いない。 人間というものは一度感情的になってしまうと、敵も味方もなく言動を起こしてしまいがちであり、本来仲間である村長や村人たちを巻き込んでいってしまう。 そんな暴走ぶりと、終盤の難産騒ぎで村長がこの妻の為に職務を全うするという下りが、見事に平行して描かれており、実に人情味のある豊かで緻密な作品に仕上がっている。 組織や集団における仲間意識の重要性。 だが、それはちょっとしたことから亀裂が生じ、行き違いが生じてしまう。 そんな人間の絆の重要性と脆さ、そして逆に結束力の強さをも提示してみせた本作は、チャン・イーモウの実力と魅力が存分に発揮されている作品だった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-08-06 13:21:49) |
1473. ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー
《ネタバレ》 ハードボイルドな雰囲気が漂い、小道具を使っての金庫破りなど、興味をひく部分はあった。 しかし、音楽はダサさ全開だし、どうにも話がくだらない。 そして主人公をカッコよく見せすぎなのが、観ていて恥ずかしくなる。 独りよがりな勘違い男の映画を観ている感じだった。 [ビデオ(字幕)] 5点(2011-08-06 11:31:36) |
1474. スウィート シンフォニー
《ネタバレ》 ポップなナンバーが不思議に心地良い、香港発のラブストーリー。 6人の男女が織りなす、くっついては離れのラブストーリーは、スピード感はあるものの、陳腐過ぎる内容。 話の内容も都合が良すぎるし、その演出も恥ずかしくなるくらいありふれたものである。 しかしながら、香港ならではの風景とポップな音楽は、否定しがたく魅力的で、陳腐でありながら嫌いになれない何かを感じる作品だった。 個性あふれる女優陣も捨てがたい。 でも何と言っても、本作の最大の魅力は、その軽快な音楽にあるだろう。 どれもどこかで聴いたことのある曲ばかりだが、香港映画は良い意味で音楽のパクリ方、いや、音楽の引用の仕方が巧い。 オリジナルな楽曲でなくても、それがその映画にマッチしていれば、それはそれで良しと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2011-08-01 23:11:24) |
1475. Dear Pyongyang ディア・ピョンヤン
《ネタバレ》 北朝鮮を支持する団体の幹部であった父と、日本で在日として生まれ育った娘。 二人の間には、思想という点で、どうしても埋められない溝があった。 それは、どんなに父娘が愛し合っていても、埋められない溝だ。 日本で北朝鮮の思想活動を人生を賭けて行ってきた父親だが、老齢になり活力も失われつつあった。 そんな父親に、娘が「韓国籍」を取ってもいいか、と質問するシーン。 娘に幸せになってもらいたいという思いが頭をもたげ、韓国籍になることを許す言葉をひねり出す。 北朝鮮の思想を生涯信じ続けてきた男としての父親と、愛する娘の幸せを願う父親とが交錯し、葛藤するシーンだ。 父親は誰だって、娘に幸せになってもらいたいと心の底から願っている。 だけど、どうしても譲歩できない部分がある。 そんな葛藤から意を決してひねり出した言葉が、娘に韓国籍になることを許す言葉だった。 娘を持つ父親なら、感情移入できる部分に違いない。 それと、本作は北朝鮮の風景や人間たちを映像に残しているという部分でも、非常に貴重な作品である。 ピョンヤンの映像を撮った監督の勇気に敬服する。 個々の人間がそれぞれに持つ思想や価値観。 それを上回るものは、親の子供に対する愛情であった。 あらゆる試練や苦難を乗り越えてきた一人の男の、死に瀕するまでの過程を描いたドキュメンタリーで、人間の生き様、人間の業というものを深く考えさせられる作品であった。 [DVD(邦画)] 7点(2011-08-01 01:31:30) |
1476. からみ合い
《ネタバレ》 さすが小林正樹監督作品、重厚な味わいで内容も面白い。 美術や音楽も独自性に富んでおり、ストーリーとは別に、映画として、画として楽しめるのがまた良い。 小林正樹監督作品の『化石』と似たような設定で、大企業の経営者が不治の病に侵され、今までの人生を反芻し、余生をどうにか全うしようと苦悶する姿が主軸となっている。 その社長の死に臨み、その遺産を狙う人々。 さまざまな欲望と策略、そして嘘が複雑に“からみ合い”、醜悪な人間たちの内面を見せつけられた。 法律の知識を武器に暗躍する企業顧問弁護士、愛人のごとく体を武器にして遺産相続人に名乗りを挙げる社長秘書、必至に自分の立場を守ろうとする若き妻、そしてその妻の元愛人・・・と実に複雑巧みに人間がからみ合う。 ドロドロとした人間ドラマで、もう一度観たいとは思えない内容ながら、これまたハズレのない小林正樹作品に、どっぷり黒々酔いしれることのできた2時間弱だった。 [ビデオ(邦画)] 7点(2011-07-28 23:04:11) |
1477. 小さな赤い花
《ネタバレ》 チャン・ユアン監督の作品ということで鑑賞したが、これまでの作品とは趣がまったく異なり、子供たちが主人公という内容。 全寮制の幼稚園が舞台で、そこに入園した問題児がどうなるかの過程を描いた内容だ。 これが全くつまらない。 起伏がない。 そして、主人公の男のコが、これまた憎たらしい。 ラストにもひねりがない。 ある監督が好きだからと言って、その監督の作品を選ばずに観ると、残念な結果になってしまうという典型になってしまった。 [DVD(字幕)] 3点(2011-07-27 20:16:51) |
1478. ピョンヤン・ダイアリー 1994-1997
オーストラリア人が北朝鮮を旅した際に、手持ちカメラでもって、北朝鮮の実態を映像におさめようと、旅先の日々を綴ったドキュメンタリー映画。 日本のニュース映像で垣間見る北朝鮮の映像は、非常に限定、いや、人為的に偏った映像であり、それが日本人の北朝鮮という国に対する偏見を生んでいる。 アメリカ傘下の日本では、北朝鮮の実態そのままをニュースで報じることは現実的には不可能である。 そんな中で、オーストラリア人が北朝鮮を旅して、監視付きながらも北朝鮮の映像を中立的立場で撮って見せた本作はとても価値があり、有意義なものであると私は感じた。同じ人間である以上、日本人も北朝鮮も平和を願っているという点では共通である。 勿論、できれば戦争は避けたいと北朝鮮人も思っている。 だが、アメリカが世界を牛耳る世の中で、アメリカにおんぶにだっこである日本が、北朝鮮を正しく理解できるはずもない。 それはアメリカに影響を受けた報道規制の中でしか、我々日本人は北朝鮮の思想や実際の姿をニュースで見ることしかできないからだ。 北朝鮮は小国ながら、社会主義国としての立場を貫こうと奮闘している。 こういった北朝鮮の真っ直ぐな姿勢を、もっと日本人は客観的に評価すべではないか? もちろん、北朝鮮の全てを肯定しろという意味ではない(飢餓問題など)。 報道規制されたマスコミの情報だけで、北朝鮮を悪い国だと決め付けている日本人、アメリカにぶら下がり安穏としてアイディンティティを持ち得ない日本人は、北朝鮮のこういった真っ直ぐな姿勢にもっと興味を持ち、理解する努力すべきなのではないかと思う。 アメリカに抑圧され、操作された日本報道文化の中で、どうしたら我々日本人が、同じアジアの国で自国のアイデンティティを貫いている北朝鮮を理解できるのか。 中立的な本作を観ていると、そういった疑問や不満がわいてくる。 念のために書いておくが、本作は決して北朝鮮寄りに創られたドキュメンタリー映画ではない。 オーストラリア人が、極めて中立的な立場で創り上げたドキュメンタリー映画である。 極めて客観的で中立的な本作を観るにつき、アメリカ式資本主義に対立する、社会主義国に関する日本人の理解の低さ、そしてマスコミ報道を丸ごと無意識に信じ込んでいる日本人の愚かさを感じずにはいられない。 [DVD(字幕)] 7点(2011-07-27 20:13:56) |
1479. TAKESHIS’
北野武のイマジネーションが、映像として極めて明瞭に具現化された傑作。 タレントとして、あまりに有名になりすぎた北野武が、「もし自分が垢抜けない凡人だったら」と想いをめぐらし、それを現在の姿と対比させて表現していく。 武の「凡人であったら、さぞかし気楽であろうに・・・」という、ないものねだり的な一種の願望を、スクリーンに映し出したのだ。 そして単純に楽しめる部分として、武のコンビニ店員姿。 これが意外にもサマになっていて、武って結構マジでコンビニ店員に憧れてるのでは?と感じてしまった程だ。 武のいるコンビニに行きたい。 そして武に「弁当温めますか?」と、やる気なさそうに聞かれてみたい。 又、この作品を観て思うに、人はどんなに社会的・経済的に満たされても、どこがで不満を持ってしまう生き物なんだということ。 この社会において、武の様に超有名人である人間は、ごく一握りなわけで、その様な位置にいる人間が持つ、深い部分での心理って、理解しがたいものがある。 それらの人達が持つ矛盾や心の闇、悩み、願望などを、本作を通して体感することができた。 [DVD(邦画)] 7点(2011-07-21 22:54:23) |
1480. イースト/ウエスト 遥かなる祖国
最後どうなるか?ただそれだけにしか興味を見出せない凡作。 だが、主演女優のサンドリーヌ・ボネールは魅力的。 疲れた大人の色気を感じる。 [DVD(字幕)] 3点(2011-07-21 20:32:27)(笑:1票) |