1481. サウンド・オブ・ミュージック
《ネタバレ》 歌の持つ力、音楽の持つ力を高らかに讃美し、正面からそれを描ききった制作者の誠実な姿勢が美しい。登場人物のテンションと熱気が、オーストリアの雄大な風景に少しも負けていない。●再見して気づいたのですが、冒頭の高原のシーンから、嵐の夜に寝室で子供たちと語り合うシーンまでが1時間弱(全体の3分の1)。しかし、実はこの間、作中の時間は2日間しか経過していません。この一つ一つの丁寧さ、そしてそこから窺える登場人物に対する制作側の愛情といったものが、作品を後世に残るものたらしめたのだと思います。 [映画館(字幕)] 7点(2018-12-28 02:10:03) |
1482. ラビット・ホール
《ネタバレ》 冒頭、庭園のシーンの意味ありげな導入に胸が躍り、エッカートがぽつんとスマホの動画を見ているシーンの気品に期待が高まる。・・・が、その後は、それっぽいシーンが細かく積み重ねられるだけで、消化不良のままに終わってしまいました。例えば、マイルズ・テラーが夫婦宅を訪れて「しまう」シーンなんて、まさに心理の重層的な綾が衝突する重要ポイントなはずなのに、そこもあっさり、後のフォローもなし。もったいないです。 [DVD(字幕)] 4点(2018-12-28 00:13:39) |
1483. ヒンデンブルグ
《ネタバレ》 これだけの近代史を代表する大事件を採り上げ、しかもいろんな乗客も描写対象とするグランド・ホテル形式なのであれば、いくらでも盛り上げられそうなものなのに・・・結局は最後の方まで、各登場人物がそわそわごそごそしているだけであって、スリルもドラマもあったものではない。爆発以降の迫力の映像は、それまでとのギャップも相まって、思わず見入らせる力がありますが、要はここが撮りたかっただけなんじゃないの?という気がしてなりません。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-12-26 01:12:12) |
1484. ミッドウェイ(1976)
《ネタバレ》 ミッドウェー海戦というのは日米双方にとって重要な転機となった場面であって、まずそこをしっかり押さえてほしいんですけどね。それまでの経緯だとか、双方は何を意図してそこに至ったのかということだとか。しかし前半は、どうでもいいようなのんびりしたやりとりが続いて、緊迫感のかけらもありません。後半はまあ、戦闘の一つ一つのステップを押さえており、まだましでしょうか。ただ私は、日本人が英語でやりとりしていることよりも、これ見よがしに挟まれる(そして結果として映画を邪魔している)実際の記録映像よりも、同じ人のテロップや同じ軍艦のテロップが何回も表示されることの方が気になりました。つまり、制作側自身が、描き分けに自信がなかったってことじゃない? [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-12-25 01:17:23) |
1485. 聖母マリア(TVM)
《ネタバレ》 なぜかビデオタイトルが「ジーザス」になっているのですが、あくまでもマリア側の視点です。したがって、イエスの出生~成長の前半は丁寧である代わりに、布教開始後のイエスのエピソードのあれこれはほとんどなし。しかし、それはそれで新鮮です。少年時のイエスがいじめに遭っている(!)とか、悩めるイエスにマリアが指針を与えるとか。最後のゴルゴダまでの流れもあくまでもマリア視点。したがってこれは、マリアの「受胎と子育ての物語」なのです。●しかししかし、もっと大事なことは、若き日のマリアを演じるのが、「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」の美少女、メリンダ・キンナマンちゃんだということなのです!そこからこの時点で15年近く経ってはいますが、凜とした美しさに衰えなし、というかむしろさらに開花しています。彼女のほかの映像作品はほぼ見る機会はないと思うので、これはとても貴重です。したがって、これがマリアであると言われても説得力十分。英語の台詞がちょっとぎこちないのはご愛敬。 [DVD(字幕)] 7点(2018-12-24 02:24:01) |
1486. ザ・マスター
ストーリーはあってなきがごとし。ほとんど、監督の脳内二重人格会話を延々と聞かされているような感じ。本来は達者な役者陣に対しては、「こんな苦行によく立ち向かって耐えているなあ」という感心は起こりますが、これでは芝居の鑑賞はできません。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2018-12-23 01:24:48) |
1487. ロンメル軍団を叩け
せっかくのロンメル軍団だトブルク砲台だとかいう設定をしていながら、誰が何をしたいのかがほとんど不明であり、しかも全体の雰囲気がやたらのんびりしている。差し迫った戦場の危機というものがまったくありません。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-12-19 23:35:31) |
1488. マッチスティック・メン
トリックものにしたいのか、笑えるコン・ゲームものにしたいのか、親子家族関係を中心にしたいのか、最後まで中途半端でした。 [映画館(字幕)] 4点(2018-12-19 00:35:55) |
1489. スーサイド・スクワッド
何というか、各キャラクターの配役を決めて衣装をデザインして着せてみたところで、力尽きてしまったんだろうなあ。いや、最初からそれ以上のことをするつもりはなかったというか、目的はそこにしかなかったというか。大体、元締のはずのヴィオラ・デイヴィスがどこまでいっても人の良さそうな普通の小母さんにしか見えない時点で、すでに失敗です。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2018-12-18 01:43:28) |
1490. 夜霧のマンハッタン
レッドフォードとデブラ・ウィンガーを投入しておいてこんなドタバタ・サスペンス・コメディとは、こんなことが許されていた時代もあったんだね。謎の持っていき方の方向性が次々に変わっているので、サスペンスとしては破綻しています。大体、検事と弁護人が仲良く一つの事件を解決するなんてのがそもそも無茶だよな・・・。そうはいってもやっぱり可愛いデブラに4点。 [DVD(字幕)] 4点(2018-12-15 22:14:33) |
1491. 東京家族
中途半端なカメラ目線の切り返しとか台詞の妙な間とか説明的な脚本とかは、もちろんオリジナルを意識しているんだろうけど、それがかえって作品をガタガタにしている。役者陣も、それによって不自然な芝居を強要されており、やりにくさがミエミエ。そんな中でも、そういった作為的な演出に毒されるのを最小限にとどめ、元の作品がどうだったとか知ったことではない、と言わんばかりに自我を貫いている蒼井優ちゃんに2点。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2018-12-15 01:09:34) |
1492. プリティ・ブライド
意外に笑える場面もそこそこあったのだが、こんなアホコメディにギアとロバーツというのがすべての間違い。もっと若い人にやらせていたら、そんなにちぐはぐになることもなかっただろうに・・・。 [DVD(字幕)] 4点(2018-12-10 02:01:29) |
1493. ジャングル・ブック(2016)
CGはこれだけ頑張っているのに、何でこんなに面白くないんだろう?と考えていたのですが、結局、主人公の彼に、人格もなければ成長も変化もないからなのですね。したがってこれは、よくできたCG展覧会ではあっても、映画ではないです。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2018-12-08 00:01:20) |
1494. フェリスはある朝突然に
ただの「高校生が何とかして学校をさぼろうとする話」というだけで映画を一本作ってしまおうという根性は大したもの。しかし、その割にはネタが盛り込み不足なので、結局はそれほど笑えない。まず、こういうのは、敵役の校長が能力を絞ってもうちょっとでフェリスに到達しそうになるんだけど、フェリスの機転で(あるいは運で)ぎりぎり躱してしまうというような、根っこの部分でのスリルがないと話が維持できないんだけど、その辺の接点が全然ないので、「単にさぼっているだけ」になってしまうのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-12-05 22:36:27) |
1495. 学校
《ネタバレ》 前半の各生徒の背景エピソードは、どれも凡庸であり、官僚的ですらある。一方で田中邦衛がエンジンのギアを上げていくと、制作側も大喜びで、どんどん彼の出番を増やしてしまう。結果、各生徒はみんな添え物扱いになってしまっており、この学校が提唱している(はずの)理念そのものにも反することになっている。田中邦衛の実力からすれば、たとえ10分の登場だけでも、それまでの全部の流れをひっくり返して押さえ込むほどのインパクトは可能なはずであり、逆になぜそういう方向での構築を目指さなかったのかが不思議である。辛うじて、西田敏行の、突破力のみに焦点を絞った演技の一貫性によって助かっているだけ。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2018-12-05 01:58:36) |
1496. キネマの天地
企画自体が「全員集合のお祭り」みたいなもので、ストーリーなどはあってなきがごとしである。寅さんシリーズのメンバーの起用も、あそこまで露骨にしなくてよかったのに、と思ってしまう。●と思っていたのだが、改めて見てみると、いくつかの箇所でスパイスが利いていて、それが作品の存在を維持しているのです。序盤の「たった一言の台詞」をめぐるやりとりとか、岸部一徳のすっと染みるような存在感とか、平田満が落とす暗い影とか、そして、「次のスターとはみんなで作っていくものだ」という視点とか。●ただ、結局は着地点はノスタルジックな指向に収束しており、それが同時に作品としての限界でもあったりします。 [映画館(邦画)] 5点(2018-12-04 01:17:01) |
1497. 王様と私(1956)
《ネタバレ》 全体の作り方が何とも大らかなのですが、そこが良い。アンナと王様はあちこちでぶつかりそうになるのですが、そのたびに、「まあとりあえずいいか」で互いに何となくその場は収まってしまう。いきなり相手の首を取るようなことはしない。ビルマの美女とその彼のエピソードも、最後の処理はものすごく適当。一方で、劇中劇のシャム版「アンクル・トム」は、一部抜粋とかもったいないことはせず、フルで披露(これはこれで出来が良いんだ)。クライマックスのシャル・ウィ・ダンスも、よく考えると何でここで2人が仲良く踊り出すのかさっぱり分からないんだけど、そんなことを押し流すほどのパワーとインパクトがある。あれこれ深く考えずに初期衝動を完結させたことが大きくプラスに働いた作品です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-12-02 16:45:49) |
1498. WIN WIN ダメ男とダメ少年の最高の日々
《ネタバレ》 なぜかジメジメした停滞した雰囲気のままで終わってしまいました。せっかく面白そうなキャラを揃えていながら、全部があっさりしすぎていて、生かされていないのです。導入部もあっさり、レスリングの試合もあっさり、母親や老人の処理もあっさり。もっと引っ張るべきシーンはいくつもありました。その結果、登場人物が衝突することも葛藤することもなく進んでしまっています。唯一ドラマを感じたのは、最後に地下室の階段でエイミー・ライアンが発する一言くらいでしょうか。 [DVD(字幕)] 4点(2018-12-01 00:51:31) |
1499. クレオパトラ(1963)
物的再現には全力を投入して、これでもかというくらいの視覚世界を展開しているのだが、肝心の、それによって何を表現したいのかという部分がほとんどすべて欠落しているのです。あと、セットなんかは結構頑張っていろいろ作っているのですが、照明が悪いのか、全部ハリボテ感満載なんですよね・・・。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-12-01 00:42:42) |
1500. スリーメン&ベビー
《ネタバレ》 導入部はワーワーうるさいばかりでほとんど出オチかと思っていたのですが、いざいったん落ち着いてからは、ポイントを絞ったシャープな進行で最後まで行ききっています。1シーンの登場で物語を一気に左右してしまうジャックのママ(セレステ・ホルム!)など、スパイスもなかなか。麻薬関係のあれこれを誘因ネタとして使っておき、さっさと中盤で引き上げる展開も正解。※例の「少年」のシーン、私も「あれ?」と思って、戻して確認までしてしまいました。みんな同じところに気づくんですね・・・。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-11-27 00:46:03) |