1661. ドクトル・ジバゴ(1965)
これだけの手間暇を全部「外枠の形を作ること」に投入してしまって、中身がまったく伴っていない。登場人物がことごとく動かされているだけであって、動いてないのです。だから、役者の台詞や演技の一つ一つも、そうさせられているだけ、になっています。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-04-16 01:41:55) |
1662. アウェイ・フロム・ハー 君を想う
《ネタバレ》 発想は悪くないのですが・・・。施設内で別の男が出てきてどうこう、さらにその妻も出てきて、しかもそこに主人公夫妻の過去も投影されて・・・となれば、もっと生々しい生活感、もっといえば「男女感」で裏付けてくれないと、リアリティが伴わないのです。この作品はその辺の突っ込みが浅く、全体的にさらーと流されているので、何か作り物っぽく、観念的に感じられてしまうのです。 [DVD(字幕)] 5点(2018-04-14 02:24:53) |
1663. さよならをもう一度
実は若い頃のバーグマンよりも、こっちの方が魅力的なのではないか。生活に少し疲れた感じのほどよい色気が絶妙に発散されており、年下男がころりと参ってしまうのもよく分かる。ただ、作品としては、尺が不必要に長く、中盤で少しだれてしまっている。あと20分は短くできたと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2018-04-13 00:02:28) |
1664. フォレスト・ガンプ/一期一会
《ネタバレ》 「アメリカ人って歴史の短さコンプレックスがあるから、こうやって『アメリカにも歴史はありますよ!』みたいにされると、ころっとやられちゃうんだよね」ととりあえずは言いたくなってしまう。また、しつこいナレーションも、本来なら、いい加減にしろと言いたくなるはずである。しかしそれでもこの作品にそこはかとない好感を持ってしまうのはなぜなのかと考えていたのだが、やはり、主人公フォレスト・ガンプの人物造形に尽きるのだろう。彼は、自分の話を聞いていない人にも、聞いてくれる人にも、とにかく語る、語る(何でそんなにテンションが高いの?という理由も、最後に分かる仕掛け)。どの人に対しても、誠実に、公平に、愚直に語る。その語り口は、迷いがなく、確信に満ちている(話の中に出てくる主人公の行動そのものと同じく)。だから、見る側の誰に対しても、一筋の希望の光を与える結果になっているのだろう。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-04-12 02:05:25) |
1665. ミルドレッド・ピアース
《ネタバレ》 こ、これは凄い。いきなり銃声で本題発生→鏡の向こうで閉まる扉、という導入のインパクト。そこから手際よく前置きを済ませ、一気に回想へ。その後も、先を読ませないドライブ感あふれる展開を維持しつつ、その中での研ぎ澄まされた会話の切り返しの鋭さ、濃厚さ、無駄のなさ。また、ウェイトレス上司出身のアイダがいい感じに場を引き締める一方で、元夫・現夫・友人のダメ男3人衆も、ところどころで妙に格好良かったり存在意義を示していたりして、それが物語のスリルを高めるという奇妙な効果を発しています。オチ自体は、伏線がはっきりしすぎていて、今日の基準ならかえって分かりやすかったりもするのですが、それにしても70年以上前にこんな洗練された作品があったというのは驚きです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-04-10 01:45:20) |
1666. ロシュフォールの恋人たち
どうも、歌についても踊りについても、何かを逸脱しようとする躍動感がないというか、指示されたとおりに動いているだけというか・・・そもそも、曲調も振付も似たような感じのものばかりなので、いくら各キャストが満面の笑みでテンション高く振る舞おうとしても、足元が固まっていないのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-04-07 01:45:28) |
1667. 海街diary
何でこんなに中身が感じられないんだろう?と思いながら見ていたのですが、つまり、あれこれ入れない自然な姿を描きますよ~という演出の意図がそこだけで終わっていて、かえって最初から最後まで作為的になってしまっているのです。輪をかけて、登場人物の台詞も行動も、制作側がこう動かしたいからこうする、という操られ感満載であり、女優陣も演技のしようがありません。綾瀬はるかと広瀬すずのビジュアルに相当助けられているのではないでしょうか。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2018-04-05 01:30:21)(良:1票) |
1668. 最後のマイ・ウェイ
《ネタバレ》 もう、最初の20~30分で、何かのダイジェストかと思うくらいの物凄いスピードで話が進んでいくので、びっくりするわけです。その後も、特にそれは変わっていません。ということは、再現の形を整えた時点で演出の力が尽きてしまい、それ以上の表現もなければドラマもないということです。大体、大スターが身勝手だったり横暴だったりするのはいいけど、何らかの形での人間的魅力すらも感じられないのであれば、それは映画の主人公たりえません。唯一光っていたのは、中盤のパーティーの際の割と凝った移動長回し。それと、最後の一瞬で、「触れた瞬間」に描写をばっさり終わらせ、倒れる姿とか、それを発見してどうこうとかいうものを無視していること。何でほかのシーンもこうできなかったんだろう・・・。 [DVD(字幕)] 3点(2018-04-04 01:35:47) |
1669. バラバ
《ネタバレ》 「イエス・キリストの処刑の日、どちらかを釈放することになって結局バラバが釈放された」ということは知っていても、それ以外のことはほとんど何も知られていないバラバの「その後」。なるほど、確かにそれは興味深い。このような、別の意味で十字架を背負ってしまった彼の苦悩や逡巡は、と思いながら見始めたら、いきなりただの酔っ払いオヤジでしかないところに笑ってしまう。その後も俗人っぷりは一貫しており、元カノが殉教しようと、軽々に悔い改めたりはしない。で、そこからさらに苦難の道が始まるのですが、全体として、重点を強調しつつもペースの良い脚本が巧妙で、最後まで一気に見せ切ってくれます。また、石打処刑とか鉱山爆発とか、ここぞというシーンを丁寧に撮っているのも見逃せません(コロシアムのくだりはやや時間割きすぎという気もするが)。そして、この主人公の存在意義がどこにあったのかということも終末近くで登場人物の1人によって語られており、最後の一瞬の説得力を増しています。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-04-03 21:38:05) |
1670. フォーカス(2015)
《ネタバレ》 前半でさんざん、人の視線のFocusがどうのこうのという話をしていて、その実戦部分を描いて、タイトルにまでしているんだから、後半もそれで勝負してくださいよ。あれだったら、さらに巨大な敵やラスボスが現れて、しかし指テクやチームワークでそれに対抗する、という展開を、誰もが期待するんじゃない?競技場のギャンブル対決はまだしも、その後は本来の設定が全然関係ありませんでした。●後半、ここぞというところで、イッツ・ア・ビューティフル・デイの"White Bird"という選曲のセンスは素晴らしい。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-04-03 02:17:17) |
1671. ペギー・スーの結婚
監督がコッポラなんですよねえ・・・。本来、奇想天外ラブコメの方向になるはずなのに、あくまでもじわじわと、そしてじめじめと進んでいく。導入部の延々続く(そしてその間に、中心人物もどうでもいいサブキャラも含めてあれこれ無秩序に出入りしている)同窓会の流れは、どうみても重厚大作の作り方です。なので、いざタイムスリップが起こっても、主人公が感情のままに跳ねることができず、結局何がしたいのかがさっぱり分かりません。●ヘレン・ハントの若々しさも驚きですが、友人の1人役でまったく見せ場のないあのお方は、ジョアン・アレンじゃないですか。今からすれば、何ともったいない使い方・・・。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-04-02 23:27:46) |
1672. ターミナル
《ネタバレ》 主人公が背負った状況を考えると、すごく重いものがあるはずなのに、ベタにも軽快にもせずに普通に流しているのがいい。ラストの部分も、たかが30分前後のためにそれまでの数か月間があったという一筋のまとまりを見せていて、良い。ただ、根本的な問題として、トム・ハンクスにこういう役をやらせると、あまりにも安定感がありすぎて、何をやっていても危機感に乏しいのですね。だから、作品のドラマ性は減殺された気がします。中盤も、少しだれていたと思います。 [映画館(字幕)] 6点(2018-04-01 02:36:46) |
1673. 故郷(1972)
《ネタバレ》 あえて起伏を少なくしようとしたであろう作り方は分かるが、それにしても主人公の内面はどこまでも表出されておらず、結局は「舟を廃業して出ていっただけ」に見えてしまう。この辺は、日本各地の風景や出会いを媒介として巧妙かつ周到に主人公のステップを追っていった前作とは逆の結果になってしまった。一方で、道化役のはずの松下さん(渥美清)は異様に生き生きしており、むしろこっちの方にドラマが感じられる状態になっている。そのバランスが今ひとつかみ合っていない。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2018-03-29 01:15:15) |
1674. ワーテルロー
いくら大量のエキストラを動員して、大量の馬だの砲弾だのを投入しても、そのシーンを撮ることが目的になってしまっており、肝心のナポレオンの(あるいはこの対戦の)何を表現したかったのかが最後まで不明なため、見ていて少しも面白くないのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-03-28 01:23:33) |
1675. 家族(1970)
《ネタバレ》 ただ順番に日本列島の南から北まで順々に撮っていったといえばいえるのだが、しかし、無用な情緒的描写を排することによって、それぞれの光景を鮮烈に浮かび上がらせることに成功している。いろいろなロケ地の映像も今となっては貴重といえるが、実は、一番強烈だったのは、東京の公園で笠智衆が孫を叱るシーン。いつも飄々としているイメージの笠さんがこれほど重圧感に満ちた存在を見せつけたのって、ほかには記憶がない。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-03-27 01:06:07) |
1676. キューティ・バニー
ただの説明ナレーションで始まる陳腐な出だしと、見た目も中身もまったく魅力が感じられない主人公の安直な描写で、これはもしかしたらすごくつまらない作品なのではないかと思っていたら、まったくそのとおりだった。各登場人物の根本キャラクターができてない、というかワーワー騒いでいるだけなので、主人公の関与によって変化が、とか言われても、変化になってないのです。 [DVD(字幕)] 2点(2018-03-26 02:05:30) |
1677. 真昼の用心棒
《ネタバレ》 話の膨らませ度が低いので、ただ単にガンファイトでやっつけてるだけ、になってしまっています。何とかひねろうとして父親が実は・・・のくだりを入れたものの、それも別に広がっていない。唯一ドラマを感じたのは、酔っ払いの兄貴が突然覚醒して6人組を葬るシーンでした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-03-24 23:30:21) |
1678. ビッグ・トラブル(2006)
せっかくいろいろな登場人物を配置しているのに、ストーリーが何らかの壁に当たったときの切り抜け方が安直なのです。知恵を使ってません。つまり、コメディとしてのレベルは低いということ。 [DVD(字幕)] 4点(2018-03-24 01:03:02) |
1679. 続・さすらいの一匹狼
《ネタバレ》 主人公がとにかく格好悪くて。前後の見境なく何でも突っ込んで行くかと思えば、武力があるわけでもなく、かといって知恵や作戦でカバーして進むわけでもない(というかむしろ頭が悪い)。医者が随所でフォローしてくれなかったら、瞬時に消えていたんじゃないですか。ヒロインが言葉少なに凜とした感じを表現していてなかなかいい感じだっただけに、この主人公のヘボさは何とも残念。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-03-24 00:58:04) |
1680. オール・ユー・ニード・イズ・キル
《ネタバレ》 この作品の最大の功績は、ビル・パクストン先生に最後の一花を咲かせてあげたことです。一応の前置きが終わって、いよいよ本題に入ったところで、ジャーン!とばかりにアップで登場。よっ!パク先生!その後、世界的スターのトム・クルーズを、いかにも小役人的に上から目線で馬鹿にしまくる描写。よっ!パク先生!で、何か意外に出番多いな、とか、まさかこのままチームトップとして活躍を!?とか思っていたら、トムがタイムリープに突入して以降は、加速度的に出番が減っていく。挙げ句、中盤以降は、「あいつは本当に新入りなのか?」とか、「小隊はどこへ行った!」とか、何とも情けないシーンがごく一部にあるだけ。これぞまさにパク先生。この作品の3年後に彼は天に召されますが、あなたは最後まで偉大でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-03-22 21:13:45) |