1761. アウトレイジ(2010)
《ネタバレ》 北野武の映画って、個人的に苦手だったのだけど、これはけっこう観ていられた(それでもその〝イタイ〟暴力描写は、やっぱり自分には合わなかったけれど)。どうしようもないヤクザ者たちの暴力の応酬が、次第にエスカレートしていって、最後はほとんどの登場人物たちが自滅していく姿を、独特のドライな映像で描く。なんだか花村萬月のある種の小説の世界を思い出してしまった。 [DVD(字幕)] 6点(2012-09-06 18:58:52) |
1762. カウボーイ&エイリアン
《ネタバレ》 正直、面白くなかった。西部劇の世界にエイリアン襲来という単なる一発アイデアのみで企画を進めたのか、脚本に穴だらけ。だいたい本拠地である宇宙船に登られてダイナマイトを爆発させられるまで気付かないエイリアンてどれだけ間抜けなんだ!それならそれで、とことんお馬鹿なB級映画にしてやろうというなら分かるけれど、それもなし。無駄に豪華な俳優陣が勿体なかったなぁ、という感想しか浮かんでこない。 [DVD(字幕)] 3点(2012-09-06 18:48:49) |
1763. 誰も知らない(2004)
《ネタバレ》 確かに、子供たちの(日本の本当に下手な子役が多いなか)自然な演技は素晴らしいし、悲惨な話なのに、その優れた映像感覚で最後までちゃんと観ていられるところも評価したいのだけど、それでも個人的にはちょっとずるい映画だと思わざるを得ない。後で調べたところによると、実際の事件の少年はこんなに優しい人間では毛頭なかった。ここまで事実を曲げて描くのであれば、やはり冒頭に「この映画は実際にあった事件をモチーフにしている」というのは、ちょっと言い訳がましく聞こえてしまう。監督は完全フィクションとして勝負すべきだったと、映画の内容が良かっただけに残念に思ってしまった。 [DVD(字幕)] 5点(2012-08-27 20:02:27) |
1764. パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド
《ネタバレ》 さすがに三部作として、話を大きくしてしまい過ぎたのか、ストーリーの色んなところが破綻しております。でも、個人的にこの監督の明るい映像感覚と、乾いたユーモアセンスが好きなので、ちょっと甘めかもとも思うけどこの点数。船が大爆発する、いかにもお金がかかってますという最後のほうのシーンと、エンドロールが終わった後に始まる「もう何年も我慢しとって、めちゃ溜まってるんじゃぁ」という、オーランド・ブルームの表情が好き。 [DVD(字幕)] 7点(2012-08-27 19:49:48) |
1765. ニコラス・ケイジの ウェザーマン
《ネタバレ》 けっこうな閉塞状況にいると(個人的は)思える主人公なのに、その独特なユーモア感覚で最後まで明るく観れるというこの監督らしい作品だった。どうしようもない状況に陥った駄目男が、この状況を打ち破るためにアーチェリーの矢を構えるところはもっと悲惨な描写になっても良いはずなのに、そうはならず、最後まで軽妙な作風を維持するところが観ていて楽しい。最近、借金まみれで駄作にばかり出ているニコラス・ケイジに、スポンジボブがいつだって見守っていてくれているよって(余計なお世話だろうけど)言ってあげたい。 [DVD(字幕)] 6点(2012-08-27 19:41:05) |
1766. アイ・アム・ナンバー4
《ネタバレ》 なんとも中途半端な残念な映画。メインが、青春学園ドラマにしたいのか、それとも何も考えずに観られるヒーローアクションにしたいのか、あるいはサスペンスフルな逃亡劇にしたいのか、その軸がブレブレでどうにも感情移入出来ない。それにラストの最近ありがちな、これからさらなる激しい戦いが待っていると勝手に自己満足して旅立つ主人公の後姿が個人的にとっても不愉快。 [DVD(字幕)] 4点(2012-08-27 19:19:19) |
1767. プリースト
《ネタバレ》 まぁ、これくらいの出来だろうと自分のなかで勝手にハードルを下げて観たせいか、そこそこ楽しめた。色んな映画(ブレードランナーやらアンダーワールドやら)の良いところをどうにかこうにか繋ぎ合わせて無難な出来に仕上がっている。後で知ったことだけど、監督は『レギオン』を撮った人だった。そのデビュー作では、人類の存亡を賭けた戦いが、最後まで田舎のレストランで繰り広げられるというお馬鹿な設定だったけど、今作ではそこまで破綻した設定は出てこなかったように思う(勝手にハードルを下げて観たせいかもですけどね)。 [DVD(字幕)] 6点(2012-08-27 19:04:01) |
1768. 影武者
《ネタバレ》 うーん、黒澤明が初めてカラーで撮った時代劇だと思うのだけど、それで肩に力が入り過ぎたせいか、幾分かそれが空回りしている感が否めない。どうにも無駄なシーンが多いような気がする(特に何度も繰り返される大量の馬の転倒シーン)。次作「乱」では、その力みがちゃんとコントロールされた傑作になるだけに、その習作のような残念な映画に思えた。 [DVD(字幕)] 5点(2012-08-16 17:33:47) |
1769. 蜘蛛巣城
《ネタバレ》 凡百の日本の時代劇とは一線を画する哲学的なストーリーと、それを彩る陰鬱とした映像美はさすがに見事としか言いようがない。後の傑作「乱」を髣髴とさせるダークな世界観と、ラストそれを切り裂くかのように画面狭しと降り注ぐ矢の雨あられ。本当にその独特の幽玄の世界はとても良い余韻となっていまも心に残っている。 [DVD(字幕)] 7点(2012-08-16 17:19:14) |
1770. 生きる
《ネタバレ》 確かに力強い映画であることは分かる。黒澤明の才気が縦横にみなぎっているのも伝わってくるけれど、どうにも個人的にそれが説教臭く感じてしまった。良い映画だとは思うけど、個人的には他の黒澤作品のほうが好き。 [DVD(字幕)] 6点(2012-08-16 17:07:21) |
1771. ドライブ・アングリー3D
《ネタバレ》 どうしようもなく馬鹿馬鹿しいけど、それでもそれがひどく面白い、そんな映画を撮ろうとして見事に失敗してます。なにより変にストーリーに謎を持たせようとしたのか、話が見えてこず途中でだれる。それでも役者陣は豪華で良かった。高級食材を、料理をしたことのない素人が調理したような映画。 [DVD(字幕)] 4点(2012-08-16 16:52:06) |
1772. ロスト・チルドレン
《ネタバレ》 初期のジャン・ピエール・ジュネの、その独特の映像美といつかは醒めると分かっている悪夢のようなストーリーは、若干荒削りさが目立つけれど、それでも十分に魅力的。良いですね、この湿潤でありながらどこか乾いた世界観、特に毒を注入するように訓練されたノミと、少女の流した涙が流れ流れてその少女を救うというところはとてもわくわくさせられました。 [DVD(字幕)] 7点(2012-08-12 17:15:41) |
1773. サマーウォーズ
《ネタバレ》 80年代に大量に作られた、ドタバタラブコメの現代版のような映画。やはり新しいのは、そのネット上の世界を表すシャープでポップな映像美だろう。現実とネットの世界がシンクロし、夏休みに訪れた田舎の裏山と世界の危機が同時進行で収斂されていく演出は確かに見事だった。ただ、その余りに童貞中高生が夢見そうなラブコメ世界は、個人的に辟易させられてしまったのでこの点数。 [DVD(字幕)] 6点(2012-08-12 11:00:21) |
1774. コンテイジョン
《ネタバレ》 丁寧に作られたパンデミック・スリラー映画。豪華な俳優人の抑えた演技が緊迫度を増していて、ソダーバーグの手堅い演出が光っている。映画が始まってから約二時間、緊張の糸が途切れないのがすごい。ただ、それが余りにも優等生なつくりに仕上がっていて、幾分物足りないようにも感じる。この群像劇のなかにもっと一人くらい人間的な壊れたキャラクターが欲しかった。監督が過去に撮った傑作「トラフィック」に出てくる、子供のために麻薬を売り捌く母親のような。 [DVD(字幕)] 6点(2012-08-12 10:49:28)(良:1票) |
1775. グリーン・ランタン
《ネタバレ》 なーんにも期待しないで観たせいか、そこそこ楽しめた。これまで手堅いアクション映画を手掛けてきたマーティン・キャンベル監督らしく、今作もまぁ突っ込みどころは多いけれど二時間飽きずに楽しめる。宇宙規模の大戦争と、いけてない科学者の横恋慕を同列に扱うのはさすがにどうかと思うけど。 [DVD(字幕)] 6点(2012-07-29 17:10:16) |
1776. ヒア アフター
さすがにイーストウッドも年を取ってしまったのか、死を変に神秘主義的に描き出したどちらかというと退屈な作品。これまでのイーストウッド作品は、その重厚なテーマをなるだけ宗教色を排除して描くところが魅力だったのだけど、これはちょっと宗教色が濃すぎてげんなりしてしまう。 [DVD(字幕)] 5点(2012-07-26 16:12:01) |
1777. チェンジリング(2008)
子供を奪われた母親が陥っていく地獄のような世界を重厚に描き出している。見事なまでに女優魂を見せたアンジーが、そんな苛烈な現実を乗り越えようとする母の愛情を鬼気迫るような演技で表現している。そんな彼女を支えてくれたものは、ただ息子と会いたいという希望。人間の生きる力強さが、神々しいまでに胸に迫る。 [DVD(字幕)] 7点(2012-07-26 15:57:54) |
1778. 硫黄島からの手紙
かつての敵国人であるイーストウッドが、戦時下の日本人を変に美化するでも逆に貶めるわけでもなく、極めて中立的に描写することで日本人監督とはまた違った客観的なメンタリティを描きだしている。良い部分も悪い部分も含めて、誰もが愛する人が住む祖国を守るために戦っていたのだという、そんな当たり前のことを思い出させてくれたイーストウッドにただ感謝するばかり。 [DVD(字幕)] 7点(2012-07-26 15:48:24) |
1779. 父親たちの星条旗
あの有名な写真の裏に隠された真実を巡る戦争映画なんだけど、後半はその後、復員してからの生活に焦点が移る。そのせいかテーマがぶれてしまったような印象をもった。姉妹編の「硫黄島からの手紙」との関連性もいまひとつ感じられず、イーストウッド作品としてはあまり出来は良くなかった。「手紙」のために作られた試作品といった印象。 [DVD(字幕)] 4点(2012-07-26 15:41:18) |
1780. トゥルー・クライム(1999)
手堅く作られた、社会派サスペンス。イーストウッド監督作品としては、珍しくエンタメ要素の強い作品なので、比較的気軽に楽しめる。最後は少々ご都合主義に過ぎるきらいもあるが、最後まで緊張感を持って観ることができる良作。 [DVD(字幕)] 6点(2012-07-26 15:17:09) |