Menu
 > レビュワー
 > S&S さんの口コミ一覧。9ページ目
S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2402
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12345678910111213141516171819
投稿日付順12345678910111213141516171819
変更日付順12345678910111213141516171819
>> カレンダー表示
>> 通常表示
161.  キングスマン: ゴールデン・サークル 《ネタバレ》 
この手の映画では善玉・悪玉のボスやわき役に大物をキャスティングするのが最近の定石ですが、コリン・ファースに加えてハル・ベリーとジェフ・ブリッジスのオスカー俳優が三人、そしてあのエルトン・ジョン卿までもが嬉々としてセルフ・パロディを演じているのがこの映画の見どころです。冒頭でマイケル・ガンボンはじめキングスマンの面々が全滅、後半ではついにあの人までも…というわけで前作の主要メンバーはふたりのガラハッド以外は在庫一掃され、今後はジェフ・ブリッジス率いるステイツマンの一員としてキングスマンをシリーズ化しますというのが、ラストの製作者の決意表明でした。前作はだいぶ前に観たので忘れている設定も多かったのですが、撮り方自体はかなりシリアスに寄っている感じがします。悪役ジュリアン・ムーアは彼女の演技力では余裕なんでしょうが、サイコパス女ぶりはけっこう強烈でした。でもその最期はちょっとあっさりしすぎだったかな。アクション・シーンもこの監督が得意とするワンテイク(風)の連続アクションで、これぞ職人芸と呼ぶにふさわしいところです。次回作にも期待いたしましょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-26 01:42:40)
162.  パトリオット・ウォー ナチス戦車部隊に挑んだ28人 《ネタバレ》 
期待しないで観たのですが、意外とこれが悪くなかったです。なんでもこの映画が取り上げている戦闘は“パンフィロフの28人”としてロシアでは有名なんだそうです。この1941年11月のモスクワ前面での神話的な戦闘ですが、実は最近当時の記者による捏造説が出てきて、これはかなり真実をついているそうです。とはいえ話が盛られているにしてもその地で戦闘があったことは事実で、映画製作者もそのことは踏まえたうえでの映像化らしいです。 攻めるドイツ軍は三号戦車と四号戦車を大量に投入してきますが、CGではあるけど動作も含めて出色の再現度です。これはWar Thunderというロシアのネット・コンバット・ゲームの運営が出資していることがいい影響を与えたみたいです。他のドイツ・ソ連両陣営の火砲もCGを交えて忠実に再現されていました。塹壕陣地にこもって戦車を伴って攻めてくる歩兵をひたすら撃退するだけというシチュエーションはフィンランド映画の『ウィンター・ウォー/厳寒の攻防戦』とまるで一緒ですが、本作の方が見せ方に迫力があって段違いです。ソ連兵たちは個々のキャラの掘り下げはほとんどないので誰が誰やら戦闘が始まったらさっぱりですが、史実通りらしいのですがカザフスタンあたりのアジア系兵士が多かったです。ソ連側は対戦車砲からモロトフカクテル(いわゆる火炎瓶)まで多様な兵器で防衛しますが、中でも対戦車ライフルが大活躍しています。いくらまだ装甲が薄かったドイツ戦車とはいえ、対戦車ライフルがあそこまで効果あるとは思えません。そして最後のいちばん都合の良いところでドイツ兵をバッタバッタとなぎ倒すマキシム重機関銃、MVP兵器はこの重機だったのかもしれません。 さすがロシア政府まで出資しただけあって全編にわたって英雄物語に徹していますが、旧ソ連国策戦争映画ほどの暑苦しさはありません。でも当時の赤軍には督戦隊という戦意が低い兵士を処刑する部隊がいて、史実でもこの戦闘で降伏しようとした兵士が射殺されたということはきれいにスルーしています。28人全員が愛国心に燃えて積極的に戦った、というこの映画のプロットはやはり神話だったということです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-12-10 23:52:20)
163.  イコライザー 《ネタバレ》 
ストーリー・ライン自体は単純というか他愛のないお話しです。主人公は後半に少し明かされるけどかつてはCIAのエージェントだったらしく、リタイアするときもいろいろあったみたいで、円満卒業というわけでもなかったことは判ります。そんな昼はホームセンターで働き、夜はダイナーで読書するのが唯一の趣味である独身のおっさんが、実は凄腕の殺人マシーンだったという設定は面白いけど、日本じゃ『仕事人』シリーズで飽きるほど見せられています。それを名優デンゼル・ワシントンに演じさせるとなると…これがなかなか魅力的な映画に仕上がっているんです。彼は映画中盤から数えきれないほどロシアン・マフィアを殺しまくりますが、銃をいっさい使わずいろんな小道具を武器にして処刑するところが面白い。そこはホームセンター勤務という設定が生きています、考えてみるとホームセンターってところは恐ろしいものをいろいろ売っているんですね(笑)。クロエちゃん演じる娼婦を助けるようになるという展開の説得力のなさがこの映画の最大の弱点かと思いますが、ラストでデンゼルがネットで“お助け屋”みたいな稼業を開業するところは、この弱点を判ったうえでの脚本家の開き直りみたいな皮肉を感じました。最近のハリウッド映画で最凶なのはロシアン・マフィアというのが相場ですが、こいつら大物も雑魚も背中一面にタトゥーを入れまくっているところに禍々しさが強調されてます。でも振り返ってみると、面構えの割にはみんな大して強くなかったのがちょっと残念。 デンゼル・ワシントン&アントワン・フークワのコンビはやっぱ最高ですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-07 22:45:09)
164.  ジェイソン・ボーン 《ネタバレ》 
このシリーズが好きな自分としましては、この続編製作じたいはアリだったと思います。考えてみれば前三作は一本の映画を三分割したようなものだし、『アルティメイタム』の閉め方からして、最低でもあと一本は撮ってそのストーリーではジュリア・スタイルズをかなり前面に押し出してくるだろうと予測はつきました。 お約束の冒頭30分の手ぶれ映像によるサスペンス・シークエンスはシリーズ最大規模、実際のギリシャ危機のゴタゴタを巧妙に取り込んでいて、この脚本のセンスには毎回感心させられます。でもまさかここでジュリア・スタイルズが退場するとは予想外でした。けっきょく明かされたジェイソン・ボーン=デヴィッド・ウエッブの秘密も、サプライズを呼ぶほどのことはありません。悪役CIAはトミー・リー・ジョーンズ、殺し屋はヴァンサン・カッセルと両者ともシリーズ中最凶でかつ大物俳優を連れてきました。ボーンはついにCIAのトップと直接対決となったわけですが、仕留めたのかというとそれは微妙な感じです。しかし最高責任者の長官が二代続いてこんな不祥事しでかしたら、いよいよCIAは組織解体そして大統領は辞任ものですよ。 さてシリーズ四作を観て私がいちばん気になっているのは、劇中のCIAの情報収集力の驚異的な高さです。現実にはエシュロンとかいう盗聴システムみたいなものを米国は運用しているそうですが、映画の中にそのテクノロジーがどれだけ反映されているのか気になるところです。また世界中に支部があって実力行使部隊を、たとえそれが英国であろうとも、その国の主権をガン無視してやりたい放題するのは実に恐ろしいことです。誇張はあるにしても、何らかのCIAの現実の活動を脚本におとしこんでいる気がしてなりません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-04 22:19:27)(良:1票)
165.  暗黒女子 《ネタバレ》 
これが清水富美加の出家騒動であわやお蔵入りになりかけたやつですね。ストーリーテリングからして『キサラギ』のJK版という感じが濃厚。原作は若手女流作家の推理小説だそうで、原作が『キサラギ』の影響を強く受けたというのが正解でしょう。でもキャスティングからして文学サークル会長代行の清水富美加があまりにも怪しげなので、細部はともかくとしてオチの方向性は序盤からバレバレ。しかも文学サークル定例会の恒例行事が闇鍋というところからして、設定の無理やり度が高すぎです。そういうところからして、原作自体がケータイ小説の多少出来が良いバージョン程度なのかもしれません。飯豊まりえの死の顛末やラストの展開などに現実味がこれっぽっちもないのですから、いっそのこと“文学サークルは悪魔崇拝グループだった”みたいなオカルト噺にしたほうが正解だったんじゃないかな、でも原作があるからそういうわけにもいかないか。 清水が出家騒動の時に「人間を喰う内容の映画に出演しなければならなかったのが嫌だった」と事務所をディスっていたのはこの映画のことだったのかな?でも彼女は『東京喰種トーキョーグール』もほぼ同時期に出演してたよな、こりゃレプロもしくじったな(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2018-11-14 22:41:01)
166.  極道大戦争 《ネタバレ》 
まじめに観てると頭が痛くなってくる、まさに怪作。三池崇史が何をやりたかったのかは理解不能ですが、しいて言えばヤヤン・ルヒアンのキレッキレのアクションを見せたかったのかもしれません、脚本も書き終わらないうちに彼の起用が決まっていたそうですから。いやそれとも、あのKAERU君が暴れるところだったのかも、でもKAERU君の暴れっぷりはふなっしーを見ているみたいでなんか気持ちが入ってゆきませんでした(笑)。 すっかり大物になってしまった三池崇史がVシネマでブイブイ言わしてた頃の初心に帰って撮ったんだそうですが、エロもグロも彼にしてはえらくおとなしめで物語だけがアンバランスなほど狂っている。普通の映画監督なら面白がってもらえるかもしれませんが、そりゃあ『DEAD OR ALIVE』を撮った人だもの、世間の眼は厳しいですぜ。もうこの人はどんなに弾けたってあれを超えることは不可能で、いい加減に本人も気づくべきでしょう。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2018-10-26 23:12:23)
167.  ブリングリング 《ネタバレ》 
「事実は小説よりも奇なり」、本作はまさにこの古人の名言につきます。こんなお話し、フィクションならば脚本段階で即ボツにされること間違いなしでしょう。ハリウッド・セレブの自宅があんなにセキュリティが甘かったなんてとても信じ難い。ビバリーヒルズなんか町の入り口でセレブの自宅を案内するマップが売られているぐらいだから住所をネットで特定するぐらい誰でもできるでしょうが、まさかパリス・ヒルトンが鍵をマットの下に隠していたなんて(笑)。撮影には実際の彼女の家を使わせたそうで、この女どこまでアホなのかそれとも売れるためなら手段を選ばないタレントの鑑なのか?被害者の中にリンジー・ローハンもいましたが、パリスといい今や落ちるところまで落ちてしまった者同士という共通点があります。事実なのか脚色なのか判断に迷いますけど、ラストのインタビューで主犯格のエマ・ワトソンが「刑務所で隣の房にリンジー・ローハンが入っていた」と語るシーンが強烈な皮肉になっています。つまり、盗るほうも盗られるほうもその差は紙一重の似た者同士というわけです。 共感できる要素は一かけらもないんですが、ガーリー・ムーヴィーの巨匠ソフィア・コッポラだけあってそのセンスだけは円熟の域に達していると思います。彼女自身が育った環境の賜物かもしれませんが、こういうファッションとブランドものをアイコンに使わせたら、ハリウッドでも彼女の右に出るものはいないのは確かです。でもそのセンスが映像化されても、観る者の心に何かが残るかという観点から言うと、ちょっと苦しいところがあります。まあこれが彼女の趣味なんだからどうしようもないんですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-10-22 22:42:19)
168.  あさひなぐ 《ネタバレ》 
アイドル映画としてはかなり上質な出来ではないでしょうか。乃木坂のメンバーは西野七瀬と白石麻衣ぐらいしか顔認識ができない私ですが、調べると主要キャストはほとんど乃木坂のメンバーなんですね。二年生の部長を演じる伊藤万理華って女優がけっこう個性があって上手いなあと思ったら、彼女も撮影当時は在籍していた元メンバーだったんですね(すいません知識がなさ過ぎて)。かなりコメディ色が強い撮り方ですが、演出のテンポが良いので愉しめました。演技力に難があるアイドルを起用する場合は、それをカヴァーするためにカット割りを短くするのがコツですが、こういうアイドルばかり出演する作品になるとそれがストーリーテリングのテンポをよくしてくれる効果があるわけです、これも怪我の功名ですかね。 面白いのは二ツ坂高校という校名で、私はてっきり乃木坂・欅坂の二つのグループ名をもじったシャレなのかと思っていたら、原作コミックの連載開始の方が乃木坂46結成より早かったんですね。現在の坂道グループの隆盛を予言しているみたいで面白いと思います。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2018-09-30 21:39:32)
169.  新感染 ファイナル・エクスプレス 《ネタバレ》 
物の見事にくそったれキャラばかりの大人の登場人物たち(特に男性)、対照的に主人公の娘や高校生たちの未成年キャラはみな純真無垢、韓国映画らしいまことに判りやすいキャラ分けです。釜山行きの特急電車内でゾンビがどんどん繁殖してゆくというプロット自体も目新しさはないけど、それを引っ張るストーリーテリング力は多少強引なところはありますが飽きさせないパワーがあります。もし日本の新幹線を舞台にするとしたら、車掌をはじめとする何人もいる乗務員があれほど無能で役に立たないというのはかえって不自然に感じるかもしれないけど、韓国では結構リアルな描写になるんでしょうね。列車がトンネルに入るとゾンビの活動が不活発になるというのは良いアイデアだと思いますが(まあそうでもしないと乗客は全滅しちゃいますけど)、こいつらは夜になったら全然活動できないので脅威じゃないってことなんです。あと凄いのは驚異の走力、歴代ゾンビの中でもトップクラスです。だから、ディーゼル機関車に向かって主人公たちが必死に走るシーンでゾンビの群れが追い付けないというのは、いくら何でもご都合主義が過ぎます(生存者の中に妊婦までいるのにね)。ゾンビの大群描写あたりはあの映画のパクリみたいなところですが、この映画独自(たぶん)の印象的なシーンもあります。それは狭い空間に詰め込まれたゾンビたちが限界に達すると窓を突き破ってあふれ出す映像で、とくに傾いた車両から窓ガラスが割れて零れ落ちてくるカット、まるで水族館で水槽のガラスが割れて飛び出してきたサメが観客を襲ってくるような感じです。自分にはこのシーンが妙に怖かったですね。ゾンビが発生する説明はほぼ皆無という潔さも評価できますし、いろいろとネタ元にしたあの映画よりははるかに面白かったです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-09-28 21:10:47)
170.  ゼロ・グラビティ 《ネタバレ》 
地球帰還に成功するシーンに、この映画で監督の伝えたかったメッセージが凝縮されていると感じました。着水した湖(?) はまるで羊水のごとく、生物の進化の過程を再現するように魚類や両生類を追い越して水上に浮かび上がったサンドラ・ブロックが泥をかきながら立ち上がって重力を感じる瞬間、これぞまさしく人類誕生の瞬間をメタファーしているに相違ないでしょう。“母なる大地”という賛辞がありますが、その大地に地球の全生命を固く結び付けてくれているのがまさに“グラビティ”なのであります。そう考えると“ゼロ・グラビティ”という邦題はちょっとセンスがないですね。Perfumeの昔の名曲に“ゼロ・グラビティ”というのがありますが、担当者はPerfumeのファンだったのかな(そういやPerfumeには“引力”という曲まであります)。 そうは言ってもこの映像体験は圧倒的です。とにかく言えることは「宇宙は怖い」の一言に尽きます。当たり前ですけど宇宙は真空の世界で、自分には昔から“空気がない、呼吸できない”真空状態に対する恐怖心が根強くて、こういう宇宙空間の映像が本能的に怖いんです。そして真空の空間を音もなく高速で突っ込んでくる破片の恐ろしいことと言ったら… ロシアが起こした迷惑でスペースシャトルがひどい目に遭って中国の宇宙ステーションに助けられる構図なので、最近のハリウッドが病んでいるいわゆるチャイナ・シンドロームなのかとも思いましたが、中国を揶揄する感じのカットもあった気がします。操作パネルが中国語表示でサンドラ・ブロックがキレるところや、極めつけはステーション内を卓球のラケットが漂っていたところで、中国人どんだけ卓球が好きなん?でも無重力状態でどうやって卓球するんだよ!って爆笑してしまいました。偉大なる中華民族なら、やってのけるかもしれませんね(笑)。
[CS・衛星(吹替)] 8点(2018-08-27 23:15:58)
171.  ゼロ・ダーク・サーティ 《ネタバレ》 
大統領以下の合衆国首脳がビン・ラディン襲撃作戦をリアルタイム映像で観戦している動画を見たことがありますが、その顔ぶれの中でいちばん不安そうな表情をしているように感じたのはオバマ氏でした。作戦の最高責任者なんだから緊張するのは当然という解釈が成り立つでしょうが、「ノーベル平和賞をもらった僕がこんな荒っぽいことをさせたら、イメージが悪くなっちゃうんじゃないの?」とビビッていたのが本心だったようにしか私には思えませんでした。8年間の任期で残した唯一の功績がビン・ラディン殺害だったというのは、皮肉なことです。 ナショジオ・チャンネルあたりでこの事件のドキュメンタリーがさんざん観させられたあとなのでいまさら感が濃厚でしたが、やはりキャサリン・ビグローのような凄腕がメガホンをとったら迫力が段違いですね。この映画はマヤの同僚が自爆テロで殺されるまでの前半と、そのショックからマヤが鬼神のような奮闘でビン・ラディンを追い詰めてゆく後半と、はっきり分かれたストーリーテリングになっています。その後半のジェシカ・チャスティンの演技がまた凄まじいんです。無能な上司に喰ってかかるときの表情、「こいつはオコゼ女か!」と私は震えあがってしまいました。美人なのは確かですが個人的にはこういう顔は趣味じゃないので、余計に衝撃だったのかもしれません。でも襲撃隊員に「私のために殺してきて」と声をかける姿には、後光がさしていたような感じすらしました。だから作戦成功後に燃え尽き症候群みたいになってしまうのは、説得力に満ちています。この映画の最大の見どころは、やはり彼女の演技に尽きると思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-08-21 23:54:37)(良:1票)
172.  ベイビー・ドライバー 《ネタバレ》 
いい加減なライターの本作がウォルター・ヒルの『ザ・ドライバー』のリメイクだという記事を真に受けていましたが、観てみりゃ全然関係ないじゃないですか。というよりもタランティーノをはじめとして色々な映画のイメージの寄せ集め的な感じすらします。別にこれは悪い意味ではありません。才人エドガー・ライトだけあってそれぞれの映画作家のエッセンスを上手くまとめています、でもその中でもタランティーノの影響は強く感じます。ダイナーでバッツがデボラにからむシークエンスなんて、その緊迫感は本家を凌駕してるんじゃないですか。 マニアは歓喜の涙を流すんじゃないかと思うぐらいカーアクションは切れまくり、やはりこういうアクションはスバルの時代ですよ。同じ赤い二台の車の間に入って入れ替わるというネタは、バカバカしいけどアイデアとしては最高でした。バッツもこれぞジェイミー・フォックスと声をかけたくなるぐらいの恐ろしい悪役ぶりを堪能させられましたが、あの突然の退場シーンは意外でした。でもこれって『ジャッキー・ブラウン』のデ・ニーロのあっけなさに通じるところがある気もします、ここにもタランティーノの影響が感じられます。主演のカップル役の二人は初めて観る顔ぶれでしたが、自分にはどうしても若き日のジェフ・ブリッジスとジェシカ・ラングが演じているような気がしてなりませんでした。雰囲気、似てますよね?
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-08-15 20:19:15)
173.  アンストッパブル(2010) 《ネタバレ》 
率直に言って楽しめたんですけど、いろいろと恐ろしいことも見せられた気がします。それはアメリカの鉄道会社の実態と職員のいい加減さです。いくら田園地帯といっても70万も人口がある都市を通る路線が単線だなんて日本じゃ考えられない、それも電化されてないんですから。職員もダレきっているとしか言いようがなく、勤務中でも携帯電話に平気で出るし緊張感は皆無です。詳しいことはわかりませんが、工業原料や穀物を輸送するのにこの鉄道は特化しているようなので多少乱暴なのはしょうがないという弁護も成り立つかもしれません、でもその結果がこれですからねえ。 と、悲憤慷慨してますけど、映画自体はトニー・スコットらしいスピーディで息もつかせぬ演出がさえ渡り、この職人芸がもう見ることが叶わないと思うと悲しくなってしまいます。ほぼ実話通りの展開なんだそうですけど、劇中のセリフにあるように「クライスラー・ビルほどの長さがあるミサイルが線路上を暴走している」という比喩がピッタリの恐怖の暴走列車です。ミサイルだって本体のほとんどは推進ロケットでヤバいのは弾頭だけなのに、この列車はその真逆で延々とつながっている貨車に爆発物がぎっしり積み込まれているんですから、まさに恐怖の“線路上を爆走するバンカーバスター”です。CGも使っていますが踏切で立ち往生した車を吹っ飛ばしてゆくシーンはどう見ても実写で、もの凄い迫力です。この暴走にはなんの関りもなかったデンゼル・ワシントンたちが機関車で追っかけるようになるまでのストーリーテリングも秀逸でよかったです。TVで旦那の奮闘を見た途端に現場に駆け付けるクリス・パインの別居中の女房には、ちょっとムッとさせられましたけどね(笑)。 しかしよく考えてみると電化された路線なら送電を止めてしまえば機関車は当然ストップするはずで、やはり日本では起こりえない事故なんです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-07-14 02:21:33)(良:1票)
174.  桐島、部活やめるってよ 《ネタバレ》 
ウダウダ・グジグジの男陣とカースト意識むき出しで火花を散らしあう女陣、これぞゆとり世代の高校生活という感じだが、よく考えると自分のはるか昔の高校生活と大して変わらないことに気づかされました。現在は高校全入の時代で大学も選り好みしなければどこでも入れる状況なので高校生たちも個人の趣味や男女交際に没頭してる感もありますが、偏差値万能の自分らのころは入った(合格した)高校によって学生生活が変わってしまうといういわば高校カーストの要素が強かった気がします。そのころでも部活は学校体制から離れて個性を発揮できる場だったから楽しかったわけで、そう考えるとこの映画のキャラたちが持っているような部活カースト意識はなかったなあ。 確かに観る人によって評価の振幅が大きい類の映画だと思いますが、凝った構成の脚本と出演陣の最近の日本映画ではピカイチの自然な演技は秀逸の極みです。ただ唯一、神木隆之介の映画部部長だけはキャラ設定が臭すぎた感が否めなかったですね。今どきロメロ愛を熱く語り8ミリで映画を撮る高校生なんているかよ(いや、いるかもしれないけど)!30年前の映画青年みたいな語り口はちょっと不自然でしょ。思い返せば自分の高校時代にもこの部長を彷彿させる同級生の演劇部がいました、彼は今やこのサイトにも登録されている有名な声優になっています。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-07-12 00:56:46)
175.  アイアン・スカイ 《ネタバレ》 
フィンランドのオタクがクラウド・ファンディングも使って製作した低予算映画にしては、よく出来ているんじゃないですか。とても750万ユーロ(円換算では10億にもならない)が全予算とは思えない映像、やはりCGの力は偉大です。ナチの宇宙船やメカに漂うレトロ感はよく感じが出てましたが、ナチの逆襲というプロットも含めて既視感が濃厚で目新しさはないです。だけどギャグネタはかなり強烈なインパクトがあったんじゃないでしょうか。黒人を薬品で白人化させる、これは今のハリウッドじゃ絶対に使えないネタです。サラ・ペイリンにクリソツな合衆国大統領、まあこれは笑ってもいいでしょう。でもいちばんインパクトがあったのはこれでもかとカリカチュアライズされた国連の様相で、ヘリウム3なる鉱物を巡って巻き起こる壮絶な乱闘プロレスには爆笑させられました、サラ・ペイリンのピンヒールで殴られたらそりゃ血を見ますよ。そして北朝鮮とフィンランドのネタもね(笑)。 そういや、「続編製作中!」というインフォメーションもあったけど、どうなったんでしょうか?
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-06-26 22:59:04)(良:1票)
176.  ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ 《ネタバレ》 
この映画を観て、銀座に出来たマクドナルド日本第一号店でマックシェイクを食したときのことを思い出しました。「世の中にこんなに美味しい食べ物があったんだ、アメリカすげー!」これがたぶん人生初のカルチャーショックだったと思います。恥ずかしながら、今でもマックシェイクは私には特別な存在です。そのマックシェイクが、粉末を溶かして作っていた時期があったなんて、ちょっとショックです。 マクドナルドの創業経緯やレイ・クロックについては、ほとんど予備知識なしで観始めました。最初は素朴なアメリカン・ドリームの物語と思いきや、予想通りいわゆる“カネモメ”の泥仕合の展開になります。だって、レイ・クロックのことを知らない私でも、演じているのがマイケル・キートンですから絶対に綺麗ごとでは済まないと序盤から期待(?) してしまいます。まあそれだけキートンの演技が素晴らしかったということです。日本で起業のサクセスストーリーとなると、ノンフィクションでは本田宗一郎の人生やフィクションでは『下町ロケット』などが出てきますが、このアメリカとの違いは何なんでしょうね。もうどんな手段を使っても勝つことがすべて、だいたいからしてこのクロックという人はマクドナルドを乗っ取った人としか言いようがなく、原題でもある “The Founder” 創業者という肩書はクロックに対する強烈な皮肉にもなっています。マクドナルド兄弟の遺族はこの映画を公認、マクドナルド本社は非公認ということらしいですが、これには至極納得です。 一癖も二癖もありいろいろ考えさせられましたが、けっきょくクロックが成功したのはマクドナルドを不動産業みたいにして運営したからだということは伝わります。恐ろしいのは、このレイ・クロックとよく似たことをしてきた人が、現在合衆国の大統領の座に座っていることでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-06-22 00:05:56)(笑:1票)
177.  ディクテーター 身元不明でニューヨーク 《ネタバレ》 
アメリカ大統領と北朝鮮の刈り上げ独裁者が会談するなんて茶番が現実となった昨今、観るべきはやはりこの映画でしょう。サッシャ・バロン・コーエンの最高傑作とも称賛されるだけあり、この風刺の鋭さとネタのくだらなさと下品さは数あるおバカ映画の中でも頭抜けています。くだらないお話しのように見えて、けっこう鋭い問題提起が内包されているところも見逃せないでしょう。これは独裁政治を糾弾しているように見えながらも、そのアンチテーゼである民主主義にも鋭いツッコミを入れている感じがするからです。デモクラシーの宿痾である貪欲なキャピタリズムに搾取されるぐらいなら独裁政治の方がまだ良くね? という真面目に考えてみたくもなる命題でもあります。 でもそんな隠れた意図なんて後から後から繰り出してくるネタのくだらなさの前では、もう存在しないも同然です。人種ネタ・障害者ネタも強烈でしたが、いちばんコケにされていたのは中国人だったかなと感じるのは気のせいでしょうか(笑)。チラッと出てくるジョン・C・ライリーやエドワード・ノートンも笑わしてくれますけど、問題なのはあの人ですよ。そう、名優ベン・キングズレーあなたのことですよ!この人近年はヘンな映画やおバカ映画でしか顔をお見掛けしないと思うんですが、きっと懐の深い人なんだろうなと、好意的に解釈しておきます(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-06-16 23:12:39)
178.  パトリオット・デイ 《ネタバレ》 
ボストンを舞台にした犯罪・アクション系映画になると、主役キャラが警官ならマーク・ウォールバーグを主演に据えることはハリウッドの最近のお約束事みたいな感じですね。この実録映画で彼が演じるキャラは架空の存在キャラみたいですが、いつものウォールバーグとは違ってすぐに頭に血が昇るタイプではなく自省的で割と落ち着いた男のように見受けました。そうなると、「この役はマーク・ウォールバーグじゃなくても良くね?」、ということになる気がします。俳優も、一度染みついた悪い(?)イメージは払拭するのはなかなか大変です(笑)。 つい最近のことの様な気がしてましたが、ボストン・マラソン爆弾事件は5年も前の事件だったんですね。この映画を観ての感想は、テロなどの犯罪に対するアメリカ人の立ち直りの早さは大したものだ、ということでした。これにはマスコミの対応も影響が大なのかもしれません。日本のマスコミ、とくに社名に「日」が入っているところはすぐに犯罪者側に同情する方向に誘導する記事を載せますからね。彼らは基本的に大衆を見下していますから、世論を善導してやるんだという意識が強いわけです。そしてテロや犯罪をタイムリーに映画化してしまうハリウッドの貪欲さには、毎度のことながら感心するしかないです。日本の場合は、震災の様な天災に関してはトライすることはありますが、犯罪事件などの人災については、映画化された事例はほぼ皆無ですからねえ。 映画の内容についてはかなりオーソドックスな撮り方だったかな、と思います。中では市警察はもちろんFBIですら実態をつかめていない風なワシントンから来た尋問チームが、なんか思わせぶりで不気味でした。実話なのかは不明ですが、犯人兄弟が9.11陰謀説を信じているところも印象に残りました。そして驚くことに、ボストン・マラソン爆弾事件を検索するとアメリカ政府の自作自演だという陰謀説がたくさんヒットすることです。もう狂っているとしか言いようがありません。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-06-09 23:17:17)
179.  ハクソー・リッジ 《ネタバレ》 
考えるに、現役映画監督の中で戦争映画を撮るのがいちばん上手いのは、メル・ギブソンなのかもしれません。リアリティーやストーリーテリングの巧みさではスピルバーグやイーストウッドの方が勝っていますが、臨場感と巧妙な脚色と観る者を引きずり込まずにはいられないヒロイズムに関しては、文句なしで当代一でしょう。とは言え、これだけバッタバッタと日本兵が殺される(アメリカ兵も負けず劣らずの大損害ですが)シーンが連続すると、さすがに気分が悪くなってしまいます。そして凝り性のギブソンのことですから、人体損壊シーンが多いことにも辟易させられます。個人的には『プライベート・ライアン』の“ブラッディ・オマハ”の方がはるかにショックを受けましたけど、スピルバーグの方が見せ方については巧みだったんでしょうね。監督がこの人だからと警戒した宗教色は、さほど気になりませんでした。同じ部隊のアメリカ人からも異常視されるぐらいですから、このデズモンド・ドスという人の信条は日本人の私らには理解できるはずもありません。でも「この人は狂信者ではなく、普通の若者だったんだよ」ということを前面に押し出したかったギブソンの演出意図は、それなりに成功したんじゃないでしょうか。しかし銃は握らなかったといっても戦争そのものは否定せずに、自ら志願して戦場に赴くんですから、やはりこの宗教観を理解するのは難しいです。『ヨーク軍曹』を撮ったハワード・ホークスが生きていたら、この映画を観てどういう感想を持ったか想像してみると面白いです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-05-16 23:48:17)
180.  トロール・ハンター 《ネタバレ》 
はい、観終わっての感想を一言、「絶対に笑ってはいけないトロール・ハンター24時」でした(笑)。こらえきれずに笑ってしまったシーンは数知れず、“自分のしっぽを食べようとして転がるトロール”“「実は俺キリスト教徒なんだ…」なんでこの状況でカミングアウトするの”“トロールを捨て身の攻撃で爆殺するハンス、その時着用していたミシュランのマスコットみたいなバケツを被っているとしか思えない鎧”“ぐるっと円を描いて戻ってくる送電線”etc… だいたいこのお話しは日本に置き換えると「実は巨大化したカッパが実在していて、日本アルプスの山岳地帯でひそかに隔離されているけど、政府はその事実を隠蔽している」という感じでしょう。つまり現地の人にはそれが端からジョークだと判る与太話で、それをいわゆるPOV手法のパロディとして、徹底的にシリアスに映画にまとめたというわけです。冒頭とラストのテロップなんてこの手の映画の忠実なパロディで、ここで「あっ、これはおふざけ映画なんだ」と気づかねばなりません。でも笑いのネタを随所に散りばめながらも、この監督は正攻法の撮り方で押し通すので引っ掛けられてしまうかもしれません。ラストの巨大トロールとハンスのバトルはさすがに悪ノリが過ぎたかとも思いますが、この監督が持つ才気だけは感じ取ることができました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-05-03 21:13:44)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS