161. 殺人の疑惑
《ネタバレ》 父親が真犯人かどうかで最後までぐいぐい引っ張られるが、ネタバラシがどうにもスッキリしない。父が母を捨てた経緯が描かれておらず、放り出したまま。音声鑑定がシロというのもストーリーを紛らせる都合だけに感じられる。 それに根っからの犯罪者なら、どうにかして強請る相手を消しにかかるはず。あれほど嘘をうまく付き通して娘を騙してきた父が、時効になったからといって急に娘に正体を見せるのも極めて不自然。娘に嫌われるのが一番避けたいことだったのに、明らかに嫌われる正体を見せるほどバカなのか。 韓国映画は衝撃的に描こうとするあまり無理筋やご都合主義が目につくことがあるが、これはその典型か。 子どもの誘拐殺人という凶悪犯罪の証拠につながるメモを隠蔽したのでは、肉親を庇うためとはいえヒロインにも好感が持てない。出てくる人物が自己中ばかりで鼻につく。 ただ、娘のソン・イェジンと父のキム・ガプスの演技は良かった。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2015-12-29 22:07:36) |
162. インサイド・ミー
《ネタバレ》 女性ボーカルの弟が薬物中毒死。音楽的才能があった弟を失って、バンドの評判はガタ落ち。替わりにバンドに入った男が才能を発揮して救世主のなるかと期待されたけど、そいつがサイコパスだったというサスペンス。 でも、サイコパスの不気味さが足りないので全然怖くない。サスペンスもエロも中途半端な凡作。 夫と子どもがいるのに酷評のストレスがあったからといって簡単に他の男と寝る女がヒロインというのも萎える。共感できない女がリアルな不気味さに欠けるストーカー男に襲われたところで、ハラハラもドキドキもしない。最後の格闘シーンも暗すぎてよく見えず。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-12-29 22:04:07) |
163. ダーク・ブラッド
《ネタバレ》 リバー・フェニックスが急逝して未完成で終わるかと思われた映画を、無理やり編集して完成させたために完成度はかなり低い。ナレーションを多用してなんとかごまかしているが、違和感ありあり。 ネイティブインディアンの血を引くイカれた妄想青年、平凡な夫、その二人の間で揺れ動く妻。メインの三人ともに魅力がないし、リアリティもない。青年の仲間も何しに出てきたのかわからない役回りで、青年が殺されたのに夫婦に何もせずに引き上げてしまう。核実験場が舞台になっていて、土地を追い出されたインディアンもいて、社会問題的な視点もこめられいるのだろうけど、よくわからない。 もしリバーが生きていたとしても、面白い映画になったかは疑問。リバーのファンしか見る価値はなさそう。 [CS・衛星(吹替)] 2点(2015-11-16 21:50:13) |
164. K2 ~初登頂の真実~
《ネタバレ》 K2初登頂での汚名を着せられたボナッティの証言に基づいて作られた映画。ボナッティを出し抜いて初登頂の栄誉を得た二人に、山の男たちの固い友情のような幻想を打ち破られる。勝手にキャンプ設営場所を移したのは、未必の故意による殺人未遂だ。命がけの危険な登山で助け合うべき仲間のやることではない。 ボナッティの潔白は後に認められたが、ボナッティの言葉が真実なら、罪を被せた卑劣漢アキッレ・コンパニョーニの弁明を聞いてみたい気はする。コンパニョーニは2009年に亡くなっているので当然この映画のことは知らないのだが、死ぬまで嘘を突き通したということだろうか。どの面さげて生きていたのかというのも映画で見てみたい。 偉業に隠されたエピソードはとても興味深かったし山の絶景は素晴らしかったが、ストーリーは実話に基づいた話にありがちな散漫で淡白な嫌いはあった。登場人物が多くてなかなか見分けがつかないのも難点。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-11-08 23:18:09) |
165. さまよう刃(2014)
《ネタバレ》 オリジナルの寺尾聡の主人公とは印象が全然違う。ペンションの女性との交流のような要素もバッサリ削られている。 オリジナルは普段感情を抑える日本人らしいタイプで、激しい怒りを秘めながら粛々と行動しているようなところもあった。リメイクは韓国人らしく感情的で犯行も場当たり的。日本人的なオリジナルのほうが主人公に感情移入しやすかった。 どちらにしても原作の小説にはかなわない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2015-11-03 21:37:05) |
166. 特捜部Q 檻の中の女
《ネタバレ》 加圧装置の中で監禁して真綿を締めるような責め苦に、犯人の憎悪の深さがうかがえる。少女のせいで家族が死傷して挙句に養父に性的虐待されるはめになったと思えば恨んで復讐したくもなるか。 主人公が笑わないキャラというのもあって終始シリアス。少し地味だけれど、相棒のアラブ人とのコンビがいい。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-11-03 21:29:18) |
167. 同窓生
BIGBANGのT.O.Pが北の工作員で主演。韓国得意の工作員ものだけれどその中ではありきたりで、ハッとするようなものは何もない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2015-11-02 22:59:34) |
168. ディス/コネクト
《ネタバレ》 ネットが絡んだ群像劇。現代社会の断面が見えてくる。ネット詐欺にあった夫婦、未成年が出演する違法なアダルトコンテンツを取材するレポーター、トラップにかかって全校に恥ずかしい姿を晒され自殺未遂を図った高校生の家族。三つのストーリーが並行して進んでいく。 中でも、女性になりすました高校生のクソガキっぷりは、悪ふざけの度を超えてリアルで腹が立つ。家庭の事情がどうであろうと許されるものではない。 ところが、加害者の父は息子に怒りながらも結局かばってしまう。被害者の父と加害者の父の激しいぶつかり合いに力が入る。三つの話の中では、このイジメに関わる話が一番印象的。 どこかに満たされない思いを抱えた人たちの苦悩、愛情への渇望が土台にある。その傷を癒すのは人と人との温もりでしかないことに気づいていく。目新しいテーマではないけれど、見事に練られた脚本で、クライマックスに向けての構成力に感心する。 [DVD(字幕)] 7点(2015-10-08 21:23:17) |
169. エヴァの告白
《ネタバレ》 第一次大戦後、ポーランドから逃れてアメリカに渡ろうとした女性に降りかかった辛苦。移民船では男たちに乱暴され、入管では胸を病んだ妹が隔離され、自分も強制送還されそうなところに救いの手を差し伸べた男。よくあることで、これが仕組まれたワナだったため、体を売る商売に。 でも、そこに愛もあったからややこしい展開に。いとこのマジシャンと女を取り合う三角関係がもつれにもつれて。男が最終的に姉妹を助けたとはいえ、もともとこの男が原因なのだから、憎んでも憎みきれないと思うが。 重厚で地味な印象の映画。薄幸の女を演じるマリオン・コディヤールにあまり魅力を感じなかったのが残念。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2015-10-01 22:10:02) |
170. 劇場版 神聖かまってちゃん/ロックンロールは鳴り止まないっ
この手のバンドや歌手の出てくる作品では、その歌の魅力に引き込まれないと厳しい。歌とストーリーの相乗効果で感動が倍加することもあるけど、ここに出てくるバンドは子ども達まで巻き込んで熱狂する存在には思えない。まったく好みのバンドではないし、置いてきぼりを食らった感じで何の共感もできず。 森下くるみの演技が意外とまともだったのが良かったくらい。 [DVD(邦画)] 2点(2015-09-29 23:28:33) |
171. 誰よりも狙われた男
銃を一切使わない重厚なスパイ映画。リアルだけれど地味すぎてちょっと趣味じゃなかった。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2015-09-28 22:20:45) |
172. バイロケーション
《ネタバレ》 オリジナルか偽者か。疑心暗鬼がサスペンス性を高める。メンバーの名前を全員挙げるのは変な合言葉だなと思っていたら、ちゃんと意味があったわけか。 緑の部屋にしかいない加賀美の存在。カガミがキーになってくる。 鏡にバイロケーションは映らないはずだけど、バイロケーションには自分が本物だと思い込んでいるので、鏡に自分の姿が映って見えてしまう。 このアイデアは秀逸なトリックで、うまくミスリードされる。 ただ、ストーリーには相当無理がある。絵を描くときしか6階に行かなかったから、オリジナルの存在に気が付かなかった――あまりに都合のいい理屈に失笑。オリジナルはずっと部屋に籠もって絵に打ち込んでたはずなのに。SFやオカルト的なものには矛盾がつきものだから、うまく誤魔化してくれれば騙されてあげるのだが、これはさすがに無理。 「シックス・センスを超える結末」というキャッチフレーズはちょっとおこがましい。『シックス・センス』のどんでん返しには、無理なこじつけはなく、整合性のとれるような説明がとれた。だから最後に感心できたのだが、この作品はアイデアこそ秀逸だがそこまで完成度は高くない。 ハッピーエンドの裏バージョンも見たが、こちらの表バージョンのほうがまだ良い。表と変わってるのは本当に最後の最後だけで、これを映画館で両方料金を払って見た人はお気の毒としか言えない。DVDの特典映像ならわかるけど、こんな商売してたら酷評されても仕方ない。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-09-28 22:19:41) |
173. ウンギョ 青い蜜
《ネタバレ》 老人が女子高生に密かにときめくのはいいとしても、嫉妬に狂って弟子を殺そうと車に細工するなんて、年甲斐もなく何をやってるんだか。弟子の名前を借りて小説を発表したのも理由がわからない。弟子が事故に遭うシーンは、演出が良くてインパクトがあった。 キム・ゴウンはデビュー作だが、決して美人とはいえないものの、女子高生が似合ってたし、不思議な魅力があって演技もうまい。大胆なベッドシーンもやってのけるし、ペ・ドゥナとまではいかないまでも、おもしろい存在の女優になりそう。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-09-19 22:18:52) |
174. おおかみこどもの雨と雪
《ネタバレ》 姉は人間として、弟は狼として巣立っていく。二人を見つめる母のまなざしがどこまでも優しい。 絵柄が好き。かわいい。背景描写もキレイ。ストーリーはファンタジーアニメということもあって、現実の重みは感じないので、感動までには至らない。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-09-18 22:23:05) |
175. サベージ・キラー
《ネタバレ》 B級ホラーとしてさほど期待せずに見た分、意外とおもしろく見れた。 耳の聞こえない美女が、悪辣非道な鬼畜たちにレイプされて惨殺。先住民の呪術によって蘇る。その魂は白人に殺されたインディアンの酋長が憑依している。美女と酋長の復讐心が合わさって悪党どもをやっつけていくのにカタルシスを感じる。ただし、オカルトパワーを得ても女の体はそのままなので、骨が折れたり腐ってウジが湧いていくのがミソ。自ら体をテープで簡易的な修復をしている画がなかなかシュール。 ホラーといっても全然怖くはなく、バイオレンスな復讐譚。エロはなく、グロ描写はあるがそんなにグロくも感じない。それよりも、黒人の婚約者との哀しいラブストーリーが入っている。あまりに悲惨な姿に変わり果てた愛する女に、油をかけて燃やすしかなかった男。二人の幸せを踏みにじったのは、先祖の時代から先住民を敵視して抹殺を続けるレイシスト。その狂気が浮き彫りになる。 エログロホラーを期待すると拍子抜けするかもしれないが、オカルトの入ったドラマとして見るには良い。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-09-15 19:52:35)(良:1票) |
176. 百円の恋
《ネタバレ》 安藤サクラに尽きる。本当にいい女優だ。『愛のむきだし』で独特の存在感に注目するようになったが、やっぱり他に替えられない存在感。 冒頭は、あれ?安藤サクラってこんなブスで女っ気がなかったっけ?と思うほど酷い有り様。漂う閉塞感、底辺感もすごい。32歳にして引きこもりの処女。実家から追い出され、バイトで入った百円ショップは底辺ダメ人間の吹き溜まり。そこの同僚に処女をレイプで奪われるが、バナナ男とはようやく良い関係に。かと思えば逃げられしまうという、『嫌われ松子』みたいな悲惨な人生。 それがボクシングに打ちこんで変わってくる。決して美人ではないけれど、ふとした表情に色気があってチャーミング。死んだような顔が活きてくる。ボクシングの動きもシャープで本格的。 これで努力が実って勝ってしまえば実に映画的なのだが、そうならないのがいいところ。ボコボコにやられて、負け犬から脱せない。でも、これまでの底辺にうごめく虫けらのような人生とは確実に違っている。ビューティフル・ルーザー。そのボロボロになった姿が愛おしくて感動的。 この役を安藤サクラ以上に表現できる女優はいない。 相手役の新井浩文も適役。それ以外も登場人物のキャラが立っているし、印象的なシーンが幾つも散りばめられている。 ヤンキーっぽい姉妹ゲンカ、バナナ男の乳首プレイ、泣き笑いで食べる巨大肉、同僚ゲス男のレイプ、強盗に入るやきそば弁当女。いたるところにセンスの良さが感じられ、見終わった後は温かい気持ちになれる。 趣味の違う友人が薦めていたが、これには共感。『ボーイズ・オン・ザ・ラン』と同タイプの観ていて痛くて楽しい映画。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2015-09-11 01:12:26) |
177. 海を感じる時
《ネタバレ》 現代ものだと思って見始めたところ、ストーリーやセリフがいやに古臭いなと思ったら、原作は中沢けいが18歳の時に群像新人文学賞を受賞した1978年の小説だし、脚本も還暦を過ぎた荒井晴彦が担当。洋(池松)の高校時代のセリフは、およそ高校生らしくない内容と妙に古臭い言い回しがあり、昭和前期かと笑ってしまうほど。中途半端に古くなってしまった感のある作品を、今映画化する意図がよくわからない。 そもそも映画での時代設定が伝わってこない。ヘアスタイルやファッション、小物、街や全体の雰囲気など、1978年当時にしては新しいし、現代にしては古臭い。どっちつかずで統一されていないバラバラ感。その統一感のなさは、洋のセリフにも感じた。 二人がボソボソする会話も滑舌が悪くて聞き取りにくい。内容もそうだけど、演出にも難あり。これならいっそのこと、昭和テイストのロマンポルノにでもしたほうがマシだったかも。そうなると、市川由衣は出演OKしないか。文学的作品の主役ってことで受けたんだろうから。 話題になった初フルヌードの市川由衣だけが見所のよう。ここが勝負と覚悟を決めて臨んだであろう市川由衣を生かし切れてなくて、ちょっと気の毒になる。はっきり言って脱ぎ損。でも、それがないともっと退屈だっただろうから、まったく無駄ではなかったってことか。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2015-09-09 02:24:39) |
178. スイートプールサイド
《ネタバレ》 太田が純情を通り過ぎて怖すぎる。恍惚とした表情で女の子の毛を自分の肌に擦りつけたり食べたりしている姿は、気持ち悪いことこの上なし。毛に対する執着や妄想が、フェチを超えて変態の領域。ドン引きしてしまうが、仕舞いには笑えてくる。 女子が自分の毛を男子に剃らせるなんてありえない。だけど、それをやってのけるめちゃくちゃ強引なストーリー。変態童貞少年の願望や妄想を映画にしたような感じ。競泳水着の女の子の毛を剃るシーンはマニアックの極み。女の子への妄想を大自然に例えながらの演出がおもしろかった。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-09-02 22:38:18) |
179. アウトレイジ ビヨンド
バンバン人が死んでいく。目が離せないが、一本調子で印象に残りにくい嫌いも。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-09-02 00:18:48) |
180. スリーピング ビューティー/禁断の悦び
《ネタバレ》 女子大生がお金のために始めた風俗のバイト。その内容が、睡眠薬を飲んでただ眠っている間に、客の老人が挿入以外は好きにしていいというもの。老人たちのプレイがなかなかマニアック。 何を描きたかったのか、さっぱりわからない。親友のバードマンの存在もよくわからない。アートぶったシュールな作りが鼻につく。エミリー・ブラウニングのスレンダーなヌードだけ。他に何も残らない。 [DVD(吹替)] 2点(2015-08-30 01:55:34) |