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1941.  富江REVENGE 《ネタバレ》 
ラストに至って「そうか、オリジナルの富江は誰なのかという謎でドキドキさせる仕掛けの映画だったのか」とやっと気がついた。そもそも最近、若い娘の顔を識別する能力が劇的に衰えてるもんで、途中でちょっと誰が誰か混乱しちゃってたんで、そんな方面にまで気が回らなかった。行方不明の所長の娘の顔と、高笑いしている富江の顔とがすぐにつながらず、そしたら内臓食ってる富江も出てきて、所長が娘見て富江ーって叫ぶでしょ、男がいなければ戦争やテロはなくなる、って御立派な演説も始めちゃうし、もう頭んなか渾沌の渦巻き状態。終わってからもう一度要所を再見し、ああこれはどうもあれらしいぞ、と遅まきに理解し、なんとか話の輪郭は認識できた。一苦労であった。ビデオをフィルムに起こしたぼんやりした画調が、記録ビデオのシーン前後になるとビデオそのものの画質になり、また戻ったりと落ち着かない。とにかくこれでやっと全シリーズ見終えたとホッとしてたら、いつのまにかもう1作増殖している。
[DVD(邦画)] 4点(2008-11-14 11:18:37)
1942.  虎の尾を踏む男達
腹のすわった立派なサムライと卑屈な庶民の関係って、師弟関係とは別に、黒澤が好んだ設定で、たとえば後年の『隠し砦…』にも通じていく。その最初の登場が本作だ。また「平家物語」の映画化を生涯の夢にしていた監督が、けっきょくその時代近辺を描くことができたのは、この短い一編だけだったわけで、その点でも貴重な作品。富樫がになう役割りを、富樫と梶原の使者との二人に善悪で分割しすっきりさせている。善悪というより、人情的と官僚的か。勧進帳読み上げのシーンは、梶原の使者に登場させ、カットを畳み込んでサスペンスを盛り上げる。ここらへんはホントうまい。富樫の山伏問答ではロングで引き、セリフと音楽で盛り上げる。同じ手を続けない。後段、エノケンは酔って踊り、これまでずっとビクビクしていた庶民の彼が、ここで初めて「立派なサムライたち」に溶け込む。しかし目覚めてみれば独りぼっちで置き去りにされていた。立派なサムライたちの仲間には入れてもらえなかった。サムライたちの末路を暗示しているような、また庶民にとってああいう立派さがそもそも一場の夢であるような、そんなエンディング。以後も黒澤作品ではこの断絶がしばしば描かれ、なにかと引っかかるところではある。大きな夕景のなかに一人でたたずむってのも、これから何度か目にするモチーフ。
[映画館(邦画)] 7点(2008-11-13 12:17:57)
1943.  ホーホケキョ となりの山田くん
ディズニーがひたすら縮小再生産しているのに対し、ジブリはあえて困難な企画で実験作品を手がける。この心意気を買いたい。冒頭の、イメージが次々と横滑りしていく感覚は見事だし(ボブスレーからウェディングケーキに至ったり、街を練っていくカタツムリとか)、エピソードによって画質を変えたりしている(暴走族のときは粗く)。夫婦のチャンネル争いや、遅く帰ってきてバナナをボソボソと食べるあたりの「演技」も的確、アニメにおける人物の演技がこれほど丁寧に為されるのは珍しい。ただ、一本の作品としてのウネリは当然ないわけで、そのぶん印象は希薄になるが、あくまで実験映画と思えば、健闘していたのではないだろうか。 
[映画館(邦画)] 8点(2008-11-12 12:10:14)
1944.  転々 《ネタバレ》 
一人で見ているときに声出して笑うって滅多にないんだけど、岩松了のツムジが臭いってあたりのやりとりで笑ってしまった。松重豊のリアクションがいいし。でも笑った後で、声出すほどのことでもなかったなあ、うまくやられてしまったなあ、という後悔がちょっとつく。岸部一徳のあたりとか、そういう微後悔つきの笑いがいっぱいあった。こういう脱力系の笑いって体質に合ってるんだけど、でも小手先で引っ繰り返されたような、悔しい気持ちもある。もうちょっとドッシリした笑いで笑わせてくれ、と思っても、まあ笑わされたのは事実だから、敗北を素直に認めよう。花やしきのジェットコースターで「亡き王女のためのパヴァーヌ」が高鳴るところはグッときたが、これもうまくノセられてしまったという後悔がつく。ちょっと私、ひねくれすぎてるのかな。素直なところもあるんですよ。見終わって真っ先にしたのは、針金ハンガーを探してきて…
[DVD(邦画)] 8点(2008-11-11 12:11:42)
1945.  マイ・フェア・レディ
すごく大ざっぱだけど、ミュージカル映画はダンス中心から歌中心に移行してすたれた、って言えないか。この64年はもうダンスは付けたりで、踊ってても絶頂期のハレバレとした感じが出ない。「踊りあかそう」なんてどんどん狭い部屋へ入ってしまい欲求不満が残る。「時間どおりに教会へ」もいろいろやってるんだけど、コワザって感じ。競馬場での白黒の効果は見事だったが、『巴里のアメリカ人』ですでにやってるし、それにこれはミュージカルの味とは関係ない。いや、いい映画だとは思うんです、思うんですけど、峠を過ぎたジャンルの緩さも目立つ作品なんだな。かえって翌年の『サウンド・オブ・ミュージック』は、もうミュージカルの形にこだわらないことで成功したと思うんだ、でもそれはまた別の話。あ、この2つの映画、手元の「ぴあシネマクラブ」によると、どちらも上映時間は172分だぞ。
[映画館(字幕)] 7点(2008-11-10 09:17:02)(良:1票)
1946.  マイ・ネーム・イズ・ジョー 《ネタバレ》 
前半、若くもない男女が次第に親密になっていくあたりの丁寧な進行。壁紙、70年代ポップスの歌手あてゲーム、セーラの仕事場に行ったとき「ああ、ジョー?」と受付の女性にももう知られていることが分かる、なんて。で、ボーリングを経て、恋人を殴った過去を告白するまでに。いっぽう甥リアム周辺に不吉の影が立ち込め出し、ここらへんからドラマが動き出す。運び屋の仕事を引き受けてしまい、それがばれたときのセーラのせりふ「あたしを殴るの」がむごい。どこかエモーションは、仁侠映画に近いのではないか。主人公の回りをうろちょろするリアムみたいのって仁侠映画にもいるでしょ、殺され役。そして主人公の情感の爆発。ジョーがボスを殴るのは、健さんがドスを抜いたようなもんだ。リアムはジョーの分身でもあり、家庭を持てたジョーでもある。だからリアムが死んでジョーが再生し、ジョーの家庭がおそらく生まれるであろうラストになるわけ。主人公が殺されたり牢屋に入ったりしてこの社会から降りるという安易なラストにならない。地獄でも極楽でもないこの世界に踏みとどまる。いや、極楽ではないが地獄でもない、という順番かな。
[映画館(字幕)] 8点(2008-11-09 12:15:30)
1947.  結婚のすべて 《ネタバレ》 
この監督らしいと思ったところは、歩行シーンに合わせてラジオの時報のポ・ポ・ポが重なり、次のポーンでラジオのある茶の間のシーンにブリッジするとこ。まったく無意味なおかしさ。あるいは団令子が鉄工場のリズムに合わせてお尻ふりふり帰ってくるカット。ああデビュー作からして、こういう無意味なリズム合わせの好きな監督だったのだ。虫の音と炭坑節が対比されたり。ただドラマとしての決着は、同時期で似たタッチの崑の鋭さと比べるとかなり保守的で、旧世代の新世代めぐりを経、最後は旧世代に寄った視点が確保されている。脚本は白坂依志夫、白坂はこの年『巨人と玩具』の脚色も手がけてるんだけど。若水ヤエ子がいい。
[映画館(邦画)] 7点(2008-11-08 12:11:20)
1948.  ディープ・ブルー(1999) 《ネタバレ》 
『ポセイドン・アドベンチャー』に『ジョーズ』をミックスしたような映画で、ただ基本のモチーフはしっかりSFを守っていて、予想していたより面白かった。アルツハイマー治療の目的で鮫の脳を膨らませたら鮫が高度な知能を持ってしまい、医薬品の材料にされてたまるかと鮫が自由を求めて反乱するって話。SF小説の古典「脳波」にも通じていく設定で、自然界で人間が優位に立っていられるその基盤の脆弱さ、ってなことに思いがいく。ただ肝心の発達した鮫の知能ってのが、強化ガラスを割るために“道具”を使ったりするぐらいで、もっと被実験物が何かを考えているという不気味さを、手を替え品を替え押し出してもらいたかった。けっきょく元からある鮫の原初的な獰猛さが恐怖のメインになってしまっていたような。半分水に浸かった部屋ってのが怖い。下半身が未知の世界に浸かっている、部屋の半分が確認できない、っていうどこか異次元につながっていくようなブキミさ。そして人があっさり死んでいくその唐突さ。ヒロインは償わねばならなかったからなあ。実業家ってのは食われてもいい部類に入るらしい。
[映画館(字幕)] 7点(2008-11-07 12:15:05)(良:1票)
1949.  暗黒街の美女
これが清順初のワイド画面作品だそうだ。題名の“美女”というのは、ほかに出ないところをみると白木マリのことらしい。ときどき人物が奇妙な姿勢をとるのが、この監督らしさ。うずくまるとか、木にしがみつくとか。部屋の中央に張られた幕をペーパーナイフで切り裂き、そのまましゃがむ。こういった部屋の分割ってのも好みらしく、ラストのほうでは二部屋を見渡すカットあり。一方で芦田伸介、一方で高品格と白木マリ。あの幕は風呂場のガラスにも通じていくか。腕に“クラブ”や“スペード”のいれずみをして“ダイヤ”を奪い合うという洒落。
[映画館(邦画)] 6点(2008-11-06 12:09:23)
1950.  Wiz/Out 《ネタバレ》 
すごく面白いところと、すごくつまんないところがある困った映画。比率で言えばつまんないとこの方が多いけど、そこは見なかったことにしてやろうという、新人監督(園田新)を応援したい気持ちになる映画でもある。冒頭が引き込まれる。これから見るかもしれない人のために細かくは言わないけど、テレビとケータイの時代の恐怖で押していく。他人の事件をドラマとして安全地帯から眺めていたはずが、しだいに当事者になっていく。テレビ画面と現実との切り返しが効いていて、このモチーフだけを膨らませてくれたら傑作になっていた。たとえば遠くの戦争のニュースを見ているときの漠然とした不安(遠くのものが本当に遠いいとは限らないまでに込み入っている現代社会)とも関係があるような。これが話の本筋になるとチマチマした通俗青春ドラマになって、ある天変地異が拡がっているのに、渚で女の子が裸足になって波と戯れてたりする。ま、この天変地異が冒頭の事件の波及した結果らしいんだけど。けっこう撮影大変だったとこもあるんじゃないかなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2008-11-05 12:16:07)
1951.  大番 《ネタバレ》 
昭和32年だと、まだ日本橋をはじめ戦前の昭和を描くドラマのロケが簡単にできたんだ。『男はつらいよ』以前の帝釈天の映像も見られる。宇和島の村の様子なども今では貴重な映像資料なんじゃないか。映画の原点て記録なんだ、とあらためて思う。・特別出演の原節子は、ほんとにラスト近くにちょっと歌舞伎座に姿を現わすだけなんだけど、ずっと主人公の憧れの人として、我々が抱いている原節子のイメージが全編に渡って生かされている。『地獄の黙示録』のM・ブランドが、ラストに出るだけで全体に存在感を示していたのと同じ。特別出演とはこうでなくてはいけない。・加東大介が歌舞伎で泣くシーン、彼がかつて歌舞伎界から追われた俳優であることを思うと、初主演作のこの映画で、しかも成金となった役どころでこういう場面があることに、ある種の感慨が湧いた。そういった雑多な感想の湧く、上京の汽車で始まり帰京の汽車で終わる映画。全四部作の一作目。
[映画館(邦画)] 6点(2008-11-04 12:12:35)
1952.  その名にちなんで 《ネタバレ》 
人が異文化に溶け込んでいくさまを、ビーカーの水にたらしたインクが拡がっていくのを観察するように見つめていく映画。アメリカに渡ってもベンガル人だけのつきあいで閉じていた母の世代。でも子の世代になると、金髪娘とつきあい、親の決めたベンガル生まれの妻の心はフランス人に流れ、妹はアメリカ人と結婚、とゆっくり拡散していく。アメリカの寒さに震えた親の世代に対し、子の世代はインドの暑さがこたえる。アメリカ‐インドを両極とする軸に、もうひとつロシア人作家の名が絡んでくるところが膨らみになっていて、血でなく精神の受け渡しが描かれる。自分のアイデンティティを、血や土地と関係のないよその国の昔の作家に求めてもいいんじゃないか、と思えば、なんとなく気持ちもほぐれていく。見ている間は、ちょっと話があちこちしてダラダラしてるかな、という印象だったが、終わってみれば、言うべきことを言い尽くしていたのかも知れない。
[DVD(字幕)] 6点(2008-11-03 12:12:27)
1953.  日本誕生
なんか吉例顔見世興行って感じで、キャスティングだけでもうワクワクさせる。こういうオールスターキャストの華やかさってのも映画興行には大事な要素だったと思うんだけど、無くなってしまったなあ。かえってテレビの大河ドラマにその残滓を見ることができる。タジカラオに朝潮を持ってくるようなサプライズも大事。ヤオヨロズの神々に、金語楼、エノケン、のり平、加東大介、小林桂樹だぜ。アマテラスの原節子は貫禄。ヤマトタケルは三船で哀れさに欠けるが、まあこの時代の東宝なら彼だろう(5年ズレてたら加山雄三になった!?)。製作サイドとしては時代の復古調への媚びの意味合いも持たせていたかも知れないが、そういう政治臭は感じられなく仕上がっている。すぐ群舞がはいるのも東宝の味わい。ヤマタノオロチのあたりは完全に怪獣映画のノリで、音楽も伊福部昭だ。ラストの天変地異は、なかなかの迫力である。フィルムセンターで上映された124分の短縮版での鑑賞、ちょうどよい長さであった。
[映画館(邦画)] 6点(2008-11-02 12:14:09)
1954.  エリザベス
これがケイト・ブランシェットとの出会いだったが、なんてヘンな顔なんだろうと思った。えー、これがエリザベスなのー、場末のレストランの不機嫌なウエイトレスって顔じゃん、と思った。姉女王はそのレストランのおかみさん顔で、フランスの大使だったかは、イランのアマチュアレスラーって顔で、でもこのどんどん出てくる非史劇的な顔の連続に、そのうちリアリティを感じてくる。あんがい本物の王室世界なんてこんな感じなんじゃないかって。話はつまり『ゴッドファーザー』、次々と対抗勢力を処分していくあたりの演出は、音楽の使い方に至るまで全くイタダキでやってる。王宮の暗さを、マフィアの暗さみたいなもんだと同一視してるんだな。権力集団の暗さ。俯瞰の視点が多用されるのも、その暗さを強める。火あぶりを俯瞰で撮った映画なんて、あんまりないんじゃないか。あ、今ではケイト・ブランシェットもケイト・ブランシェットの顔も大好きです。
[映画館(字幕)] 7点(2008-11-01 12:10:25)
1955.  海の上のピアニスト 《ネタバレ》 
ハリウッド映画だったら、ラストは街へと一歩踏み出していく終わり方を選ぶだろうな。でもこれは、あえてとどまる。有限の鍵盤で無限の曲を奏でるピアニストとしての矜持か、それとも外の無限を怖れてのひきこもりか。船の中ならなめらかに自在に滑りまわれる男なんだけど。単に臆病なのなら、こんなに天使のように美しく描いてしまってもいいのかと思うし、でも船から下りない生き方を肯定しているようでもない。移民や娘たち、実生活のある無限へ乗り出していくものたちも描いている。その肯定とも否定ともはっきりさせないところが、つまり伝説の豊かさなんでしょうなあ。
[映画館(字幕)] 7点(2008-10-31 12:07:56)
1956.  once ダブリンの街角で 《ネタバレ》 
ミュージカルは至って好きなのだけど、普通の劇映画の中で登場人物が歌いだすとイライラさせられる。ここらへん微妙なのだが、なにか私の中で一線が引かれているらしい。ミュージカルは、その日常を歌によって何か別のものに更新してしまうのに、ストーリーの中に組み込まれた歌のシーンはそうなってくれず、人が気持ち良さそうに歌ってるのをこちらはただ傍観し、手持ちぶさたに歌い終わるのを待ってる気分になってしまう。というわけでちょっとその点はつらい映画でした。人生の一コマとしての男女の出会いと別れのスケッチとしては後味がいいし、主人公のお父さんもいいし、70年代っぽい手持ちカメラの効果も概ね良かったと思う(ただ5拍子の歌を録音しているときの、録音技師がしだいに気を引いていく演出は臭く、わざわざ手持ちカメラでリアルにやってる効果を削ぐ)。もうとっくに女が結婚しているって分かったと思ってたら、後の方で主人公が知って驚いてたのには驚いた。なんか重要なポイントを見落としてたのかなあ。
[DVD(字幕)] 6点(2008-10-30 12:12:57)(良:1票)
1957.  初春狸御殿
人間役は、出演の中で一番人間ばなれしている左卜全だけであった。ミュージカルといっても見どころはレビューショーで、別に映画であることを活用してはいないが、日本各地の民謡を狸うたにして巡ったり、チョーチンがいっぱい出てきて、ステージ階段があって、っていうあのレビュー的晴れやかさがたまらない。理屈抜きでシアワセになれる。後のほうでマヒナスターズが出てきて、なにやら脇で妖艶な女狸が大うちわをヒラヒラさせてるとこは慄えた。この題材の自在さ、セットの作り物の楽しみ、が今の映画には欠けていると思った。清順がちょっと復活してくれたけど。
[映画館(邦画)] 7点(2008-10-29 12:11:03)
1958.  明治天皇と日露大戦争 《ネタバレ》 
新右翼の鈴木邦男によると、右翼の全国大会の時には、中島貞夫の『日本暗殺秘録』かこの映画がよく上映されるそうだ。盛り上がるんだろうなあ。敗戦後抑えられていた戦前の気分が爆発したような映画。負け戦の映画ばっかり作られていた50年代に、勝ち戦で景気をつけた作品で、ついでに共産ソ連の前身の国に勝った戦争ってのも右翼には嬉しいだろう。戦前の“伝説”をそのまま画にしていく。広瀬中佐は「杉野!」と叫び、天皇はもったいなくも大御心を悩まし粗末な食事をとり、乃木将軍は二子を失いながらも毅然として幾多の無駄な戦死の責めを免ぜられる。水師営の会見ではそのまま歌が流れ、日本海海戦では軍艦マーチが高鳴る。御製の詩吟まで付く。不潔感のないうるわしい戦争のイメージが延々と綴られていく。思えばこの映画の出自はけっこう複雑なのだ。戦後の右旋回の時期に、昭和前期に流布していた明治の戦争の説話を再現した作品なわけ。明治の戦争の記録としてでなく、昭和の屈折した精神史として、なかなか面白い記録になっている。こういう説話が昭和の戦争の時にもっぱら語られていた、ということを映像で再体験できる。馬鹿馬鹿しいと一方で思いつつも、時代がこの甘美さに満ちていたら、ちょっとフラッと行くかもなあ、と思わせるところもあった。これからも右傾化するだろう未来に備え、こんなの見て免疫つけといたほうがいいかも知れない。
[映画館(邦画)] 6点(2008-10-28 12:20:43)
1959.  クアトロ・ディアス 《ネタバレ》 
いかにも中産階級の坊っちゃんたちの革命ごっこのように始まる。射撃訓練など、部活のノリ。しかし抽象的だった“敵”がしだいに具体的となっていくにつれ、彼らも闘士の顔になっていく。一番ヤワそうなのが、筋金入りの革命家に憧れていくのもいい、話としてはさして発展してないが。周囲も描けていて、拷問者も単なるサディストではなく、そのことによって心にうつろを抱えていたりする。大使も、恐怖で失禁しトイレでさめざめと泣くシーンなどいい。どれも人間らしい人間なのに、政治がからむことで非情になっていく世界。「けっきょく君たちは軍事政権の対極のようでいて、よく似ている」って言葉が重い。
[映画館(字幕)] 6点(2008-10-27 12:05:21)
1960.  呉清源 極みの棋譜
年譜がときどき小さく画面に出る。最初のうちは読んでやろうと、サササとテレビに走り寄ってまた戻るということを繰り返してたが、そのうちやめた。そのことによって得られる情報より、そのことで失われる心の平静の損失のほうが大きそうだから。この映画の最大の魅力は静けさだ。外に暴力が吹き荒れている中で、小さな盤面の宇宙の静寂をなんとか守り続けようとした人たちの物語だ。石による戦いではなく、石による会話なんだな、碁って。たとえ一方がぶっ倒れるような苛酷なものであっても。だから映画を見ているものも、息を詰め体を動かさず、その静けさに加担したくなる。屋外シーンも美しいが室内の美しさは格別で、静けさを守ろうとする者たちの張りつめた空気がその美しさを際立たせていた。呉清源の伝記映画ということで、璽光尊事件をどう扱うかが興味あった。どちらかというと戦後の混乱期のちょっとしたコミカルな挿話として語られることが多かった事件だが、ここではかなり真面目に扱っている。思えば日本の国家神道も、本来の日本の多神教的伝統とはかけ離れた一神教的な新興宗教だったわけで、あの戦争時の興奮とこの新興宗教の興奮とがパラレルに見られる。これは外国人監督の目を通したことで得られた新鮮な視角だ。もしかするとここに中国の法輪功問題やさらにチベット仏教の弾圧をも意識していたのかも知れない、そういえば田壮壮のデビュー作はチベットを舞台にした『盗馬賊』だったっけ。
[DVD(字幕)] 7点(2008-10-26 12:22:41)
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