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サムサッカー・サムさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 211
性別 男性
年齢 34歳
自己紹介 日本は公開日が世界的に遅い傾向があるので、最近の大作系は海外で鑑賞しています。
福岡在住ですが、終業後に出国して海外(主に韓国)で映画を観て、翌日の朝イチで帰国して出社したりしています。ちょっとキツイけど。

Filmarksというアプリでも感想を投稿していますので、内容が被ることがあるかもしれません。ご了承ください。

これからも素晴らしい映画に沢山出会えたらいいなと思います。よろしくお願いします。

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1.  バンブルビー 《ネタバレ》 
これは泣いた。もうガチで泣いた。 小学生の頃からトランスフォーマーで遊んできたけど、これは僕がずっと観たかったトランスフォーマーだった。  本作はベイ版の前日譚とのことだが、過去作との矛盾が散見され、実はリブートとの噂まで出ているので、シリーズファンすら混乱気味である。気にせずに楽しもう。(そもそもベイ版ではビーは既にWW2でナチス相手に暴れていた設定)  トランスフォーマーはベイを監督に据え、5作品が制作されきたが、もはや何をやっているのか分からないほど散らかっており、映画として誉められる出来ではなかっただろう。(個人的には大好きだが) しかしトラビス・ナイト版はベイとは対照的にコンパクトにまとめられ、チャーリーとビーの絆を丁寧に追っていく。 エモーショナルなアクションは、ファミリー映画を逸脱せぬようにとても見やすく、変形ギミックを活かすアイデアに満ちている。  まず映像が良い。複雑なキャラデザだった過去作では、もはや変形はほとんど描かれなくなってしまったが、今作では80年代という舞台を加味し、当時のG1世代を思い起こさせるレトロで簡素なデザインが採用されている。(サイバトロン星のトランスフォーマー達に興奮するファンも多いだろう。)  彼らが現実のトイのようにガシャンガシャンとパーツを移動させて変形すれば、否が応でも子供心がくすぐられるというものだ。 実際、チャーリーがワーゲンの下にビーの顔を発見するシーンは、ある種のメッセージだろう。多くの車型TFトイは車体下部にロボットの顔が配置されることが多いのだ。これは僕が親しんできた、あのおもちゃの映画なのだ。   もちろんただの回顧主義だけではなく、シンプルなデザインの恩恵で、アクションはとても見やすい。 変形ギミックも、作中至る所で活かされており、今更ながら他のSF作品との違いを見せつけてくれる。 例えば、チャーリーとメモの距離をぐっと近づけたチェイスシーン、或いは吹き飛ばされた勢いそのままにに変形し、継ぎ目ない攻撃を見せる戦闘描写、そしてビーのお茶目な一面をのぞかせる感情表現として。敵のトリプルチェンジャー(三段変形)もせわしなく変形し、見せ場を盛り上げてくれる。  またクライマックスでは、同時進行するイベントをワンショットで処理するなど、ナイトはアクションの見せ方もずば抜けている。 アニメ作品で鳴らしてきた彼だが、実写でもその技巧やセンスを遺憾なく発揮したといえるだろう。 主要キャラを黄色、赤、青と特徴づけたり、小さな子供に分かりやすいような配慮も優しくて好きだ。  そんな本作の最も良い点は、他のどのTF映画よりもドラマ性とメッセージ性に長けている点だろう。 ほんの数年前に、本作とほぼ同じプロットのSFファミリー映画が制作されいるように、話自体は有りがちだ。 しかしチャーリーとビーの交流は、丁寧な人物描写に裏打ちされ、爽やかな感動をもたらしてくれる。  日本公開時に字幕が出るか不明だが、チャーリーを映して去るカマロのミラーには「ミラーに映る物体は、実際には見えている場所よりも近くにあります」という旨の注意喚起が表記されている。(アメリカでは安全面からこの表記が義務付けられているのである)  「世界を救え!!」と訴え続けてきたベイ版とは、全く別のアプローチがここで結実している。  大好きだったお父さんも、遠くに行ってしまったようで今も一番身近な心にいるということ。 心が離れてしまったようでも、家族の愛はいつもチャーリーを見守っているということ。 それはきっとバンブルビーにとっても同じ。  傷ついた二人が絆を深め、お互いに再生を促していく。 EDテーマの歌詞(主演のヘイリーちゃんが作詞して歌っている)に、「一人では見つけられなかった気持ちを君がくれたんだよ」とあるように、目に見える以上の力がチャーリーやビー、そして家族を繋げているのである。 これぞまさにトランスフォーマーシリーズに受け継がれる「モア・ザン・ミーツ・ジ・アイ」の精神ではないだろうか。  子どものころ、おもちゃで遊びながら「彼らと友だちになりたいな」と空想したものだが、「バンブルビー」はそんな僕が本当に観たかったトランスフォーマー映画であり、号泣ファミリー映画に仕上がっていた。  余談ですが僕は「トゥルー・グリッド」以来、ヘイリーちゃん追い続けています。初期は「存在感あるなぁ」的な感じで見てたのですが、今では曲を発表すればヘビロテし、海外でヘイリーちゃん似を見つければ必ずナンパするなど、半ば変態じみた目線で彼女を見ています。そんで今回のヘイリーちゃんなんですが、もう可愛くて可愛くて…はい満点。 ※映画も良かったです。
[映画館(字幕なし「原語」)] 10点(2019-03-04 15:23:53)
2.  LOGAN ローガン 《ネタバレ》 
号泣。ヒュー・ジャックマンとP・スチュワートが登場する最期のX-MENは、号泣必至の傑作ロードムービーだ。  「オールドマン ローガン」に着想を得たと思われる本作は、およそスーパーヒーロー映画とは思えないほどの陰鬱さと暴力描写に彩られている。 監督は前作もヒューと組んだが、傑作を予感させた「サムライ」は、制作側からの映画娯楽的要求を呑み込み続け、ヘンテコニッポン推しのアクション映画に仕上がってしまった。(2人は「ケイト&レオポルド」でも組んだことがあり、信頼は厚い) それにもめげず今回はヒュー自らサラリーのカットを承諾してR指定を勝ち取った。無論、シリーズ最低予算&R指定の「デッドプール」が最大のヒットを飛ばしたことも影響しただろう。  一応シリーズ内での時間軸ではアポカリプスの後という設定だが、これはあまり気にすることはないだろう。そのままの設定の「ローガン」を楽しむことをお勧めする。(カリバンが本作とアポカリプスに登場するのは、実はFOX社内の報連相の失敗の産物である)  何はともあれ満を持して、ローガンの物語が誕生した。 トレイラーやエンドクレジットで流れるJ・キャッシュ(ちなみに監督は過去に彼の伝記モノを手掛けている)がビシッと決まる映像美と世界観。ウルヴァリン映画とは、本来このように描写されるべきだったのかもしれない。普段は特殊効果に隠れがちだが、俳優たちの素晴らしい演技合戦も見どころになっている。   本国でR指定を受けただけあって、暴力描写は多いが本作のそれは必要不可欠な部分に絞られている。 傷付き、そして傷付けること。本作のカギを直接的に描写するのだ。 冒頭の喧嘩シーンは、まさに本作の立ち位置を明確にさせる宣言だ。「X-MEN」であれば爽快にモブキャラを蹴散らすだろうが今回は違う。アダマンチウムの一振りで血しぶきが舞い、四肢が飛ぶ。消えない傷が残るのだ。  しかしながら消耗しきったローガン達を見るのは辛い。皮肉めいた名のボートにすがる彼らに、ローラが信じるX-MENの面影はない。テンションぶちアゲのテーマ曲なんてもちろんナシ。世界をぶち壊せる程のヴィランもいない。 そのかわり、人生の成功者や青春を謳歌する若者がいる。そして、苦い表情で彼らのためにハンドルを切る者もいるのだ。  どうしてこうなった?他のミュータントは?国境の向こうにはアルファフライト(カナダのヒーローチーム)でも待機しているのか?ウェストチェスター・インシデントとは?(補足するとニューヨークの地名であり、エグゼビアスクールの所在地である) こういった部分を明言しなかったからこそ、中盤のチャールズの告白に深みが増す。  誰かを傷付ければ、結局は自分をも傷つけてしまう。散々人を傷付けておいて、今更自分だけが穏やかな幸せを享受してもいいのだろうか。不意に人の善意に触れ、その温かみを思い出してしまうから感じる不安、業の深さ、贖罪の念。 それはローガンもローラもカリバンも。この世界では誰もが傷ついて、人に言えない痛みを負っているのだ。 「この瞬間を受け取れ」 パトリック・スチュワートの名演も相まって、チャールズ最期の「導き」が胸に残る。もう戻れないとしても、それでも人生は続く。大事なのは残された時間に何が出来るかだ。  こういう素晴らしい演技があるから、最後の見せ場のアクションも燃える。 命を顧みずに疾走するウルヴァリン、ローラとの共闘などアメコミ映画の熱い部分もしっかり押さえている。(「ZERO」で兄ヴィクターとは背中合わせ、今回娘には自分の背中を超えさせるという演出も興味深い)  立ちはだかるX-24とは、過去のローガンの罪と苦しみの象徴か。だが強大な敵も癒えない傷も、ローラと一緒なら乗り越えられる。どれだけ傷ついても、まだ誰かの為に闘う時間はある。  X-MENの矜持を見せつけたローガンの生き様に、そして安らぎを得た彼への手向けの「X」に。いい年した私、号泣でございます。
[映画館(字幕なし「原語」)] 10点(2017-03-30 16:30:59)(良:3票)
3.  トイ・ストーリー3 《ネタバレ》 
練りに練りこまれた脚本、CGを活かしたアクション、情緒ある音楽、魅力的なキャラクタ、最高のドラマ。全ての要素を完璧に兼ね備えた傑作中の傑作。「トイ・ストーリー3」はこの夏の、いや今年の大本命だ!と冷静にレビューしてみたが、鑑賞中の感情の爆発はこんなものじゃなかった、男ながらに号泣である。涙もろくなんてないし、人前で涙を見せることなんてない。しかしこれ観たら大号泣、男泣き、涙ちょちょぎれ。そういえば初めて「トイ・ストーリー」を観たときは僕は小学生。アンディと同じように僕も年をとった訳で。冒頭、西部劇ありSFありと想像力抜群のアンディ少年のおもちゃ遊びのシーンからホームビデオに移って「俺っがつっいてるぜ~」てとこで、早くも目に涙をため必死にこらえる始末。その後はケンとバービーに笑わせてもらったもののクライマックスの溶鉱炉のシーンではまたしても目頭が。そしてラスト、アンディ青年がおもちゃを譲るシーン、自らの道を決めたウッディに一瞬戸惑いながらも「さよなら」を決意するあのシーン。映画史に残る感動シーンといってもいい!もうこらえきれないと大粒の涙がぼろぼろと頬を伝う、大号泣。いや正確にいえば「じつはポーク・チョップさ!」のところで冒頭のおもちゃ遊びを思い出しておお泣き。まさに惜別!しかし悲しいだけじゃない。「じゃあな、相棒。」新しい日々が始まる、それでも僕らはずっと友達という切ないながらも優しく前向きなメッセージ。最後にアンディと無邪気に遊んだこと、トイたちにとって、アンディにとってどれだけ楽しかっただろう、ボニーがアンディに別れを告げる際、人前で動けないウッディの手をとって手を振ってくれたこと、ウッディにとってどれだけの幸福だっただろう・・・。思い出すだけで胸が苦しくなる。別れがあっても思い出は残るし、きっと忘れない。また新しい日々が始まっていくんだろうな。素晴らしい映画をありがとう!
[映画館(吹替)] 10点(2010-07-26 05:54:39)(良:4票)
4.  ダークナイト(2008) 《ネタバレ》 
クリストファー・ノーラン監督の描く新生バットマンシリーズ第二章。ヒース・レジャーは最期の最期にとんでもないモノを残していきやがった!!ただ事ではない異様な緊張感がみちており、ジョーカーが次々と仕掛ける生と死、善と悪の究極の選択からなる連続するクライマックス、怒涛のアクション、畳み掛ける音楽に終始引きこまれる。ノーラン監督の下で全く妥協を許さない姿勢が本年度最高の大傑作を誕生させた!クリスチャン・ベールを初めとする実力重視の超豪華俳優陣の演技も見応えがある。だが何といっても本作最大のみどころはヒース・レジャーの最期の怪演!!知恵と力、強固な意志で常人を超越した存在となったバットマンに対し、全ての規律を捨て去る事で常軌を逸した怪人、ジョーカーを爆発的な存在感と悪のカリスマ性で演じきった。必見だ。彼の名演は間違いなく映画史に刻まれるだろう。この映画はもはや単なるアメコミの映画化作品ではない。本格クライムアクション映画でありながら、スタイルは違えど自身のやり方で正義を貫こうとする三人の男達のドラマでもある。前作「ビギンズ」からさらにゴッサムの闇が掘り下げられており、正義の追求、希望とは何かを考えさせられるストーリーも秀逸。腐敗を一掃することをゴッサムに誓い、闘った正義漢であったデントですら闇に堕ちる。どんな人間でも心の底には悪を抱えていることを証明したいジョーカーの勝利に見えたが、バットマンが無法者の自警市民として罪を被りジョーカーの勝利を打ち砕く事で、デントを信じたゴッサムの人々の希望を守った。希望を絶やさないためにデントが自身をバットマンだと言ってブルースをかばったように。偽ることが時に正義、希望へと繋がることもある。希望を信じ闘うブルース自身すら最愛のレイチェルがデントを選んだことを知らないのも深く考えさせられるところだ。三人の男が求めた正義とはどれほど大きな犠牲を払おうと、たとえ偽りを伝えようと、人々に希望をついえさせないようにすることではないだろうか。三人の関係は、デントの死で変わってしまったが、正義をもとめる姿勢は変わることはない。バットマンはたとえ無法者として警察に追われても、決して日の光があたることがなくても自分の正義を貫きゴッサムの平和のために死力を尽くし闘い続けるだろう。それこそが彼がダークナイトと呼ばれる由縁ではないだろうか。
[映画館(字幕)] 10点(2008-08-03 17:22:01)(良:4票)
5.  ターミネーター2 《ネタバレ》 
この映画はまさに「ターミネーター」という存在同様、今後どのような傑作にも負けることはない。
[DVD(字幕)] 10点(2008-04-10 20:45:13)
6.  アメリ 《ネタバレ》 
思い切って飛び込んでみれば人生はきっと楽しくなる、もし失敗してもやり直すことはできる。独特の世界観と映像、音楽に彩られた「アメリ」は人生の素晴らしさを教えてくれて同時に心を幸福感で満たしてくれる。誰が何と言おうと胸を張って「大好き。」といえる映画。大好き。
[ビデオ(字幕)] 10点(2008-03-11 09:19:32)
7.  007/カジノ・ロワイヤル(2006) 《ネタバレ》 
満点を付けざるを得ない傑作。全編において演技と演出が冴え、すべてのシーンが見所といえる。始まりからボンドとは思えない激しいファイトシーンで007になる前ということを見せ付けられ、またドライデンとボンドが向き合うシーンを黒主体、ドライデンの部下をボンドが殺すシーンを白主体の映像で描く演出も素晴らしい。マダガスカルの追跡シーンでは迫力のアクションだけでなく体術を駆使して逃げるモロカと知恵と力で追うボンドの対比も見ることができる。空港のシーンも緊張感がある。しかしこの映画が一番面白くなってくるのはやはりヴェスパーが登場してからだろう。二人が惹かれあっていく過程をハイテンションなポーカーゲームの間に丁寧に描いている。シャワールームでボンドがヴェスパーの血を舐めて拭うシーンは特に印象的だ。拷問の後の療養中にパスワードがVESPERと知った時の「笑顔と小指だけでも私にとっては立派な男よ。」という台詞とエヴァ・グリーンの表情からもボンドへの大きな愛を感じさせる。ラストのヴェニスに沈む家で必死で助けようとするボンドをヴェスパーが制止するところではやはりエヴァ・グリーンの表情がとても切なく涙してしまった。ラストでホワイトを殺さなかったのはボンドの00としての成長をあらわしていたと思う。きめ台詞にもしびれた。 you know my nameを基調としたスコアがパナマ、ヴェニスなどの映像にマッチし、アクション、脚本など全ての面においてパーフェクトだと感じた傑作。
[映画館(字幕)] 10点(2008-01-12 21:28:34)(良:2票)
8.  スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 《ネタバレ》 
紆余曲折の末、J.J・エイブラムスにメガホンを戻して遂にスクリーンに登場した完結編。 謎には適切な回答が示され、愛すべきキャラクタ達のドラマもあるべき場所に落ち着いた。そして、とんでもなく面白い。  賛否を呼んだ「最後のジェダイ」。個人的にはその革新性と娯楽性の高さは大いにアリなのだが、今回はオーディエンスのフィードバックを適宜に反映したことが見て取れる。 かといって媚びすぎることもなく、いやむしろ予想の上を行く展開には、やはりエイブラムスの細やかな配慮と制作陣の気概を感じられる。  最初に3作全ての脚本を完成させずに、1作ごとにアイデアを出し合って作られてきた今回のトリロジーの制作スタイルの影響もよく出ている。  新たな脅威としてのパルパティーンの復活、そして何者でもなかったはずのレイの血筋の再考がそれに当たるだろう。  それ故に序盤こそ世界観の説明に時間をとってしまったが、しかしウェイファインダーを探す旅に入れば、途端に冒険活劇の色が濃くなる。 そこには呼吸を忘れる程に壮絶なアクションシークエンスがあり、感情を揺さぶるドラマもある。  複雑化したベンの心情も、しっかりとした救済の道を与えた上で退場させてくれたのも良かった。「フォースの覚醒」からも言及されていたが、彼が最後にハンと向き合う勇気を手に出来たという落としドコロは、確実にカイロという悪役とベンという青年の魅力を押し上げた。  散々伏線を張っておいたフォースの繋がりからの、兄弟ライトセーバーの受け渡しは最高にアツい見せ場になっていたと思う。  そしてやっぱりずーっと「スター・ウォーズ」が大好きだったこともあり、エモいシーンがバシバシキマる最終決戦はもう涙である。隣で観てたおっさんも号泣である。  新三部作を支えたポー、フィン、レイの抱擁にもまた涙。伝説の幕引きに相応しい一作だ。  また、個人的に気になっている事なのだが、「映画」はいま確実に変化の中にあると思う。 スコセッシの大作も、ベイのドンパチも(一部除き)映画館を介さずにネット配信される時代になった。自分もこういったサービスを映画館に通いつつも重宝してるので、映画、そして映画館のあり方の変化に戸惑っている。  それでも今日は最速の上映会ということもあり、映画館は満員で、ファンの間で交流があったりもして、映画館が映画を超える体験を提供してくれたと思う。  このレベルの盛り上がりを見せる場面は今後そう簡単に出会えるものではないかもしれないな。ネット配信が全盛を迎えていくだろうが、「スター・ウォーズ」と映画館の思い出はいつまでも大事にしたい。と言いつつ、新作「マンダロリアン」を見るためにディズニーの配信サービスに加入するのであった。
[映画館(字幕)] 9点(2019-12-19 23:46:10)(笑:1票) (良:3票)
9.  トイ・ストーリー4 《ネタバレ》 
これ以上ない形で幕を下ろした「トイ・ストーリー」、まさかの続編。 なぜ今更かとも思いつつ、しかし実際に見てると、今だからこそのメッセージが詰め込まれた素晴らしい傑作だ。  まず、本作はファミリー映画として、とても良質。 トイの性質を活かした見せ場は目を見張るものがあり、洗練された脚本と相まって異次元の面白さに昇華している。  大人の観客にとってはドラマパートも骨太で見ごたえがある。 様々なキャラが、おもちゃの人生(?)の多様さを浮き彫りにし、ウッディの「内なる声」に影響を与えていく。  おもちゃの一般的な幸せを改めて提示するギャビー。さらには、価値観のまるで違う新入り・フォーキー、そしてワイルドな変貌を遂げたボー。 奇しくもシリーズと一緒に成長してきた僕は、今では平々凡々と仕事をこなしてきたわけだが、本作の彼らには見覚えがあるような気もした。  世の中にはいろんな人がいて、色んな道がある。 会社の主力として実直に頑張る人もいるし、世代の異なる新人が風変りに見えたこともある。 独立したり、まったく別のことを始めたりした人もいた。   ときおり、別の生き方が頭をよぎることもある。 自分は、自分が思うよりももっと別の人生を送れたり、思いもよらないような別の生き方もあるのではないか。 今まさに人生の岐路に立っているわけではないけども、人にもおもちゃにも選択の瞬間は訪れるものなのだと思う。  だからこそ最後のウッディの決断は、胸にこみ上げるものがあった。 今度は離さないと、最愛のボーの手を取ることがウッディの答えなのである。 「好きな人といたい」。小さな子供にもわかるようなアプローチだが、シンプルで、優しくて、感動的だ。  その決断に戸惑いながらも、ウッディの背中を押して送り出したギャングたち(ウッディの仲間たち)の一幕も心に残る。 悲しい別れもあるが、人生には、希望と幸福に満ちた「旅立ち」という別れもあるということだろうか。  さらにギャビーが見せるドラマも、大人のお友だちにとっては勇気づけられるメッセージとなっているのも良い。 おもちゃにとっての普通に焦がれること。 「普通」と言うとなんだか当たり前なこととして受け取られがちだが、おもちゃにとっての「普通」とは何だろうか。 もしそれが、子供たちを楽しませ、心に寄り添い、勇気づけてあげることだとしたら、「普通」でいることはどれだけ素晴らしく、素敵なことなのだろうか。  この物語は、特別とは違う皆に向けた優しさをも内包しているのだ。 普通でもいい、できることをやっていけばいい。 自分が何者かは置いといて、何になりたいのかに耳を済ませればいい。 「何で生きてるの?」なんてその時まで分からないのだから。   繰り返しになるが、本作はシリーズの例に漏れない最高に楽しいファミリー映画だ。 そして、あの素晴らしい前作から数年を経た今だからこそ、僕にとって本当に観て良かったと思える作品になっていた。
[映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2019-07-10 18:13:53)
10.  アベンジャーズ/エンドゲーム 《ネタバレ》 
前代未聞のエンディングを迎えた前作から1年。 巷では、指パッチンの力でサノス自身も消え去っていた説や、サノスのケツの穴から侵入したミクロ化アントマンが体内で巨大化してサノス爆殺説など、興味深い(?)考察も見られたが、遂に!遂に決着!  「インフィニティ・ウォー」はバトルに次ぐバトルで突っ走る、それはそれは凄まじい1本だった。しかし回答編である本作は、前作とは打って変わってしっかりとストーリー展開に時間を振ってくる。  その運びも衝撃的だ。何しろ怒りをぶつけるべき相手が、ヘロヘロの隠居生活でご飯を作っているのだから。  サノスを倒しても手遅れ、記録的大敗ムードに拍車をかける鬱展開。さらにそのまま無慈悲にも5年もの時が経とうとは、誰が予想し得ただろうか。  中盤のタイムトラベルもありがちに見えて実はトガっている。 某ユニバースでは「全部無かったコト」として新たな時間軸を生成した例もあったが、「アベンジャーズ」では都合の良い改変はできないらしい。サノスによって奪われた者を取り返すことはできるが、その前に死んでしまえばゲームエンドである。鑑賞者からすれば、ソウルストーンのもたらす確実な死を意識させるサスペンスフルな設定だ。  同時に、今まで何作と関連作を作り続け、おびただしい数のキャラを輩出してきたMCUだからこその重厚な見せ場としても機能している。 ロバート・レッドフォードやらフランク・グリロがまた出るとは… 個人的にはヒドラ万歳と耳打ちしたり(「ウィンター・ソルジャー」では、キャップはエレベーターで暴れている)、「一日中だってやれるからな!」を言わせる辺りが面白かった。  そんな魅力的なヒーローが大挙して押し寄せる最終決戦も文句なしの盛り上がりだ。今までタメにタメた「アッセンブル…!」もキマっている。 もうキマりまくって何が起きてるかよく分からんほどのヒーロー量。それでも、それぞれの見せ場も細やかに設けてあって嬉しいのなんの。  飛んでるヤツ、魔術を使うヤツ、さらには巨大化するヤツ 全軍が猛チャージでなだれ込む画の凄まじさったらない。 これが「アベンジャーズ」だぁ! 文句ナシに過去最大級のパワーで魅せてくれる一遍。  しかしながら、トニーやスティーブを中心としたアベンジャーズは終了してしまう。 映画史に残る一大エンターテイメントの1つの終焉に寂しさを感じる一方、エンディングの映像を眺めていたら、感謝の気持ちが湧いてきた。  思えば高校生の頃から観てきたのだ。 時に深い作品で、時に笑える作品で、時に熱い作品で。ずっと僕を楽しませてくれたMCU、そしてそんな作品を製作してきた現実のスーパーヒーロー達には感謝しかない。  3000回ありがとう。
[映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2019-04-26 00:18:01)(良:9票)
11.  シャザム! 《ネタバレ》 
面白すぎる。 完全勝利のDCEU最新作。  個人的には今年最大のアメコミ大作「アベンジャーズ/エンドゲーム」より100億倍楽しみにしていた一作。 劇場で「シャザム!!!!!」と叫んでチケット購入する日をどれだけ待ったことか。(なお自動券売機で静かに購入した模様) ともかく待望の実写化なのだ。  さて、本作はティーンエイジャーを主役に据え、大切な人達とのドラマをどこまでも明るく陽気に描き出していくのが特徴的。 大人に向けた難しい作品が増えた昨今、「シャザム!」はアメコミ映画を子供たち、そして一緒に映画館に出かける保護者=家族のもとに届けてくれる何気に希少な一本だ。  いや~全編通して笑った。 ザッカリー・リーヴァイのコメディアンっぷり、ナイス。 「マイティ・ソー」シリーズのファンドラル(2作目からリキャストされ参加)役だった時は、ほとんど存在感の無かった彼だがここまで面白いとは。 黒髪スリックヘアでスーパーマンとほぼ変わらないのに、溢れ出るコミカルさがもうスゴかった。なんなんだその笑顔は。  ギャグはキレッキレ。マーク・ストロングがなんか言ってるけど遠すぎて全然聞こえない件については変な声が出てしまった。スーパー聴力は備わってなかったのね、いやいや面白い。  (そういえばマーク・ストロングは同じDCヒーローの「グリーン・ランタン」にも出演しているが、これはDCEUにはカウントされず、今後グリーン・ランタンはリブートして合流予定らしい。ライアン・レイノルズがやらかした件で単体作品はスキップされるかと思ったが…。 また、ザッカリーもそうだけどウィザード役のジャイモン・ハンスゥもMCUとDCEUの両方に出演してて、いかに選手層の厚いハリウッドと言えど、ダブりが出るほどアメコミ映画が作れられてるんやなぁとしみじみ考えたりする。)  話を本編に戻して、この映画の素晴らしい点は、ヒーローのオリジン・ストーリーなのにメチャメチャ面白いってところだ。 ドラマも説明もめいっぱい詰め込んでるけど、破たんもなく、悲惨さもなく、とてつもなく楽しく仕上げられているのがスゴイ。  ティーンエイジャーという設定を活かし、スーパーパワーを笑いと共に展開させる小気味の良さ。フレディの仕掛けるサディスティックなイタズラも光る。  ヴィランを通したドラマの展開も秀逸だ。 実はアメコミの敵は、主人公と似たモノ同士として描かれることが多い。 本作も例に漏れず。シヴァナはウィザードと遭遇しながら、ビリーとは違う方向に堕ちてしまった悪役である。  2人を比べると、ビリーは一見、試練ナシでシャザムの力を受け継いだように見えるかもしれない。 しかし彼もまた、探し続けた家族との悲しい別れに打ちのめされるのである。  だがビリーはケンカしていたフレディに電話できた。 彼には喜びや悲しみを共有してくれる人がいた。  一人でつらいなら、だれかが助けてあげればいい。例えスーパーパワーを持った超人だとしても、大切な人からまた別の力を受け取ることもある。  シヴァナとの対比は、チャンピオンのピュアな資質をより明確に表現する。 ヒーローとは傷ついてもなお、与え、そして分け合うことができる者のことだ。  終盤、ついにビリーはその本質を見極め、シャザムの力を文字通り分け与えるのである。 作品の持つメッセージ性と、熱いアメコミのスピリットが見事に合致するファンタスティックな一幕である。笑いつつ感動。 (実は原作でのシャザムが単体ヒーローではないと知りつつ、しかしこの設定は2作目以降だろうと踏んでいたので尚更ビックリ。予告でもでないしね。)  ラストはビリーとフレディの友情や家族の絆にウルっとさせられ、スーパーマン登場からのご機嫌なエンディングを迎える本作。 最強に面白い。 フィラデルフィアに現れたロッキーに次ぐニューヒーロー、スーツは絶妙にダサいがバズると良いなぁ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2019-04-16 22:03:24)(良:1票)
12.  スパイダーマン:スパイダーバース 《ネタバレ》 
アニメのことはよく知らないのだが、凄まじい映像に圧倒され「とにかく面白いスパイダーマンを観たぞ!!」という満足感で劇場を後にした。  実は鑑賞したのは去年なのだが、数週間くらいしてから不意に「冒頭でマイルス君がいい感じの曲(Sunflower)を聴いていたな」と思いだし、何となくYoutubeでMVを検索してみた。 …やはりとても良いじゃないか! メロディも良いけど、(個人的な解釈ではあるが)ピーター・BとMJの関係を想起させるような詩もグッとくる。そんなこんなで本作「スパイダーバース」に思いを馳せながらヘビロテしていると、「あの映画…めっちゃ面白かったなぁ」と改めて実感。なんか余韻があるのです。 (他の曲もめっちゃかっこいいのでオススメ)  「スパイダーバース」と言えば、今まで途方もないアダプテーションを経たスパイダーマンというヒーローが一堂に会すぶっ飛んだシリーズだ。コミックスでは東映版のスパイダーマッ!やボンボンで連載されていたヤツまでもが出てきて日本でも話題になった。  さてそんな超絶変化球を原作とした本作だが、奇をてらう場所はしっかりかき回し、しかし描くところはド直球。 そんな計算されつくした作りがとても良い。  色んなスパイダーマンが出てくる独特の世界観はもちろんこの映画の特徴、そして面白さに直結する。 そしてピーター以外がスパイダーマンになるというプロットを用い、スパイダーマン誕生譚というマンネリを上手く打破出来ている。 そればかりではない。「クモの下り何回やるねん」というメタ的なユーモアとしても面白いし、予測不能のスパイダーマンが多数出るからこそ「ヒーローとは?」というテーマを明確に炙り出していく。  伝え方も上手い。 実は「スパイダーバース」には奇抜なスパイダーマンが多く出るものの、スパイダー・ハム、ペニ・パーカー、ノワール(ニコラス・ケイジの声がいい)は「同じ次元に来た」こと以外には、まったくと言っていいほど、話の動きには絡んでこない。彼らを強烈な世界観を醸成するサポートに徹しさせているのである。 「ヒーロー誕生」を描くに当たりコレは絶妙の采配である。メンターにピーター・B、サポートにグウェン。彼らが未熟なモラレスを導いていく。あれだけのスパイディに色々と口出しさせたり、トラブルを起こさせていたら、これほど締まった脚本にはならなかっただろう。ぶっ飛んだ世界観ながら、マジメで実直な構成を貫けている。  では「スパイダーマン」とは何か。答えはクライマックスに最高の形で気付かされるように用意されていた。 マイルズの父と共に、観客が拳を握りしめて「立て!がんばれ!」と心からの声援を送る人物。それこそが親愛なる隣人の姿である。  凄い映像に熱いストーリー、本当に面白い映画を観たなぁ。
[映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2019-03-04 02:20:59)
13.  ミッション:インポッシブル/フォールアウト 《ネタバレ》 
間違いなくシリーズの、いやスパイ映画の、いやいや娯楽映画の最高峰。 これほどまでに娯楽という言葉に命を懸けた映画が昨今あっただろうか。  本格的な作戦開始を告げる怒涛のHALO降下を皮切りに、死ぬ気満々の超絶シーンのつるべ打ち。 おっさんを気絶させるだけのミッションかと思ったら、トムとヘンリー・カヴィルの変則タッグを圧倒する謎のアジア人は強さの何たることか。ファイトシーンも熾烈で良い!ヘンリー・カヴィルのヒゲ騒動も納得(?)である。 (カヴィルは本作撮影中に「ジャスティス・リーグ」再撮影の要請を受けたが、髭剃りの許しが出なかったので、CGでスーパーマンのヒゲを消すハメになった)  続くパリのバイクチェイスシーンは、一バイク乗りとして「頼むからトムを止めてくれぇ!」と身を乗り出して、冷や汗をかく僕をしり目に、凱旋門の環状道路をひょうひょうと逆走しちゃうトム。ってやっぱり事故ってんじゃねぇか!  クライマックスのヘリを駆っての追いかけっこなんてもうどういう事なんですか、トムは死なないの?大丈夫なの? 容赦ないヘンリー・カヴィルとの死闘死闘死闘。 やってることが凄すぎて、ラストのロッククライミングに至っては造作ない通常業務に見えてきてしまうもんだから苦笑い。 「リアルに見えるのはそれが本物だからさ」と豪語するトムの通り、今回もトムがやりたかったチャレンジ企画が目白押しで飽きさせない。  前回から登板したマッカリーの手腕も見逃せない。 「アウトロー」から続いてのクラシックで渋めの演出が心地良い。 トムのアクションを除けば、描かれるのはチームプレーと裏切りの物語。この作品はとても古風なスパイサスペンスとしても楽しめるのだ。 アクションシーンをストーリーを添えて描く手法も、この監督のいいところ。 例えば護送車を襲うイメージの後で、今度はその護送車群が集結する様を描写することでスリルが格段に増している。 こういったマッカリーの好演出のおかげで、トム一辺倒のアクションの羅列になっていない。だからスリリングで、ときに感情的で面白い。  監督も俳優も音楽も撮影も、この映画に関わる全ての人が、そしてトムが。 金曜夜に、仕事終わりでヘトヘトになった僕を。 会員価格1000円で友達とノコノコ劇場に来た僕を、全力で楽しませようとしているではないか。 今、僕は間違いなく最高の映画を観ているっ!!!!そんな満足感。これぞ娯楽映画。  鑑賞後も友達との会話が盛り上がること。盛り上がりすぎて、帰り道でトムの真似して背中を負傷。これぞミッション・インポッシブル。  ありがとうトム!くれぐれもお体にお気を付けください。
[映画館(字幕)] 9点(2018-08-09 18:34:54)
14.  スター・ウォーズ/最後のジェダイ 《ネタバレ》 
先ごろ、来年に公開されるスピンオフ「ハン・ソロ」が発表されたように、ディズニーが主導権を握って以降、コンスタントに劇場に登場するようになったスター・ウォーズ。  今回の「最後のジェダイ」は正史の続編となるため、話題性も抜群である。また、本作にまつわるディズニーの鬼のビジネス術が世界中で話題となったのも記憶に新しい。  僕はプレミアムナイト(とかいう限定上映会、2500円)に参加したが、ポスターがついているものの映画代自体を釣りあげてくるとはなかなかエグいことをしてくれるじゃないか。その後のチケット転売のおかげでもっと高い出費になった人もいるだろう。 激戦区である東京の日劇ではチケットの争奪戦で怪我人が出るなど、もはや異常と言える現象を巻き起こしている。  さらにアメリカ本土では映画館に対して前代未聞の「どぎつい交渉」を行ったようで(映画館に不利な取り分、最大スクリーンの独占など)、田舎の小さな映画館を圧迫して世界をドン引きさせた。本シリーズの他に「アベンジャーズ」「CGアニメ」という、最も稼ぐ映像コンテンツを手中に収めるディズニーだが、マーケティング面ではがっつりダークサイドに魅せられている。悲しいかな、僕は完全にその術中である。  いきなり余談から入ってしまったが、映画製作に対しての安定感もまた絶大なのがディズニーの頼れるところ。 「フォースの覚醒」「ローグワン」に続き、本作も言葉で表せない程に素晴らしい「スター・ウォーズ」だ。  前作が「4」の構成に近かったこともあってか、今回は修行、冒険、出生の秘密など、「5」の要素が多く観られるのが特徴か。 ポー・ダメロンの成長、レイとカイロの絆、フィンとローズのアドベンチャーが群像劇のように展開していき、冒頭から継続するスペース・バトルに集約されるという豪快な構成が面白い。レイの秘密、カイロの狙いという求心力の高いミステリ要素も見どころだ。  またシリーズ最大の長尺も手伝い、どのキャラもとても魅力的に描けているのが良い。 ホルド提督との対立を経て真のヒーローに近づいていくポー。過去の因縁との対決に奮い立つ一方、また大切な人のための戦いを学ぶフィン。新キャラであるローズとホルド提督を絡めて、前作のヒーローに更に深みが増した。 主役格のレイにしても衝撃的なドラマが待ち受けている。「お前の父だ」という告白に比べればインパクトは薄いかもしれないが、レイのこれまでの孤独を考えると「お前は関係ない」という事実は、言葉以上の重みがある。レイは戦いに参加することで、ソロやスカイウォーカーに父親を重ね、家族の影を追うことが出来た、何者かではないヒーローになれたのである。 作品をまたいでしまうが「嘘だ!!」と驚愕したルークに対し、薄々感づいていたと静かに認めるレイの対比も趣が合っていい。 他にも、お前らそんなに強かったのか!?とツッコんでしまうレイアとルークの共演も熱いし、ハックス将軍のヘタレ芸も心に残る。新キャラ、脇役、もうすべてのキャラが魅力的だ。 やはりキャラクターの魅力というのはスター・ウォーズには必須なのである。  そういうとことでしっかり感情移入できるので、全編を彩る見せ場の大洪水が大いに盛り上がる。 正直な話、メチャクチャ興奮した。身を乗り出してのけ反るほどの面白さだった。(←迷惑) ここまで色々な要素を詰め込んでおいて、奇跡的なバランスで最後まで一気に魅せてくれる本作は、至高の娯楽大作と言っていい。楽しかった!  最後になるが、プリンセスとの思いでに感謝。
[映画館(字幕)] 9点(2017-12-15 02:12:34)(良:2票)
15.  レヴェナント 蘇えりし者 《ネタバレ》 
何と言ってもレオが悲願の受賞を達成したことが一番に耳に入るが、同時に監督・撮影賞受賞のお墨付きどおり、熱のこもった力作に仕上がっている。  その出来栄えたるや、どの場面を切り取っても圧巻。長回しと視覚効果の融合が激しい臨場感を醸成する一方で、自然光の生む映像美が野蛮さと過酷さの中によく映える。雪原でバイソンを喰う先住民と遭遇するシーンなど、あまりの美しさにおしっこ漏らすかと思ったほどである。 かなりチャレンジングな制作内容だが、制作努力だけでなくしっかりモノにできているからこそ評価したい。  レオの演技もやはり大きな見どころで、ヒューの復讐劇を体現する様は壮絶。受賞を逃し続けたレオだが、逆に言えばいつもオスカーを狙うパフォーマンスを見せる名優だ。ベジタリアンなのに生肉を貪ったり、骨折するまで殴り合ったりの演技はもちろんすごい。しかし本作の言葉で表現すると「神」に出会う瞬間だろうか。そういったシーンでは、心情を表す表情の演技が印象に残った。 過酷な撮影を耐え抜き、素晴らしい演技でオスカーを受賞したレオには素直に拍手である。   惜しい点としては、やはり賞取り映画に寄りすぎていて如何せん一般の客層には向かないところか。 監督の個性ではあるが、バードマンの時のようなユーモアが封印されたため、結果的に更に間口が狭くなり、長尺の暗い感触に仕上がっている。  かといってダラダラと長尺を消化していくわけでもない。美しい映像と過酷なサバイバルの途中にはなかなか興味深い描写もある。 この映画では色々な人物が「神」に遭遇する。これはヒューが一度死んで蘇ったという伝説にキリストをイメージして、映画的なメタファーを込めたものだろう。  ヒューはバイソンの群れと遭遇し、フィッツジェラルドは親父がリスを食べて生き延びたと話す。開拓民に破壊された集落で先住民はブリジャーから食料を得た。ポワカは突如現れたレヴェナントにより部隊に合流し、ヒューは自らを神と思えと怒鳴った男と対峙、ポワカ達はフィッツジェラルドを裁き、レヴェナントを生かした。 映画ではヒューの生死があいまいに描かれたことによって、ブリジャーの顛末もあえて宙ぶらりんになっている。フィッツジェラルドの言葉では、神は与えそして奪う(ヒューに施しを与えた先住民は開拓民に奪われてしまった)。ブリジャーに対して神がどのような運命を与えるのか。予想してみると面白い。 (ちなみにブリジャーは史実では生き延びていて、開拓時代ではわりと有名な人物です。よかったね。)
[映画館(字幕)] 9点(2016-04-26 18:00:16)(良:1票)
16.  スター・ウォーズ/フォースの覚醒 《ネタバレ》 
実に10年ぶりとなる待望の新章。劇場には長くからのファンが沢山詰めかけた一方で、初めてスター・ウォーズに触れる人も多いようだった。 これは新たに製作の主導権を握ったディズニーの広告戦術の賜物か。可愛らしくデフォルメされたSWグッズに、SNS上で盛り上がるようなイベント感を醸す同時刻上映ときた。10年間のブランクも手伝ってか、多くの新規ファンを動員出来たようである。 かくして公開前の映画館には、SWの思い出を語る人やコスプレのコアなファン、パーティに乗っかった若者まで様々な層が集まり、モスアイズリーの酒場のような賑やかさだ。  そんな人々をどのように楽しませるか、その点もディズニーは抜かりない。 監督は「スター・トレック」を甦らせたJJエイブラムスである。彼はテレビシリーズのプロデュースで活躍しており、「M:I-3」の監督抜擢を皮切りに数多くの大作を成功に導いてきた。 特撮を得意とする一方、ドラマの展開もスマート。オリジナル作品も上手いし、続編・リブートもお手の物だ。正直ムカつくほどに有能な監督であるが、だからこそ今回のSWにも信頼がおけるというものだ。  実際、エイブラムスは今回も素晴らしい仕事をこなしている。前3部作はEP4に繋げるために、やや説明的で内面を描く作風だったのに対し、今回は誰もが楽しめる冒険活劇といった趣だ。情報に乏しいフィンとレイの視点を通した物語は、一見さんでも楽しめるような配慮が伺える。  しかしながらSWのエッセンスも失われていない。こういうバランス感覚は流石である。実際にはEP4とかなり似たような点が散見されるのだが、SWは繰り返される家族の物語でもある。それに大事なのは巡ってきた境遇でどのような決断をするかである。ハン・ソロはベン(カイロ・レン)と対峙するが、彼らの血筋では初めてのことではない。第二デス・スターでのルークとベイダーを知っていれば、あの場面でカイロが下す決断には驚愕必至である(同時にとても悲しい場面だ)。 今作だけで一つの物語を上手くまとめているが、ルークの登場やカイロの動向など、次作への期待を繋げているのも良い。  やっぱりSWは面白くて魅力がある。 物語が新たな世代に受け継がれたのと同様に、ルーカスはかつてSWを観ていたというエイブラムスにバトンを渡した。 作り手が変われば確かに作風の変化は感じる。映像の進化もあるし、ドラマの展開も合理的になった。 でも今日観てきたのは本当に紛れもなくSWだった。 EP4から何十年と経ってるのに、相変わらず新しいスピーダーだかドロイドだかの世間話をするトルーパーも面白いではないか。
[映画館(字幕)] 9点(2015-12-19 01:35:29)(良:3票)
17.  007/スペクター 《ネタバレ》 
ガンバレル、そしてプレタイトル・シークエンスに続いてオープニングテーマが始まる。そこには過去3作の重要人物が登場する。 伝統的な一連の流れだけで、この作品に込められた意味や立ち位置が理解できる仕組みだ。 本作が目指すのは究極の「ボンド映画」であり、過去作品はスペクターへの壮大な伏線であったのだ。  実際、本作はどこをとってもボンド映画といった印象だ。 まずは世界を股にかけたロケーション。死者の日や雪山、列車に砂漠など、何かしらの特徴を持たせているのが面白い。ボンド映画らしいケレン味を演出する仕掛けだ。  それを活かしたアクションも素晴らしい。大迫力の映像の中に、忘れずユーモアを盛り付けているのが憎い所だ。さらにはタフなライバルの出現も熱い。ボンドに対峙する巨漢はジョーズを思い起こさせる。(ちなみにQの遠征は「消されたライセンス」を彷彿とさせる) 今回は敵が「組織」ということで、ボンドもスクワッドを組んで闘うのが新鮮である。普段は待機組のMたちだが、Mとマニーペニーは元工作員として描かれているため、こういった使い方もアリなのだ。クレイグ=ボンドの世界観を上手く昇華させていると言える。  メンデス監督の人間描写もボンド映画の中に活きている。 拷問で意識を失いかける中、マドレーヌの言葉に応え時計爆弾を持ち直すシーンは特に印象的だ。研究所に向かう車中で「怖ろしいわ」と漏らす彼女に応え、ボンドが無言で手を握る描写が事前にあるから、こういう大人のラブストーリーに説得力が出る。  惜しむらくはスペクター首領か。名優を投入して色気が出たか、首領にしては前線で体を張りすぎである。ボンドへの興味の表れともとれるが、参謀役がいても良かったかもしれない。  しかしそれを補ってなお余るほどの完成度だ。 思えば新ボンドが決まったとき、世間ではバッシングが起きたものだ。僕自身、クレイグ=ボンドに懐疑的だったが、しかしそんな感情は「カジノ・ロワイヤル」公開当日に払拭され、以降は新作が出るたびに新ボンドを確立された。炸裂する爆弾のように闘い、愛し傷つき涙を流す人間ボンドだ。 そして伝統的な様式美を携えた本作を観たとき、クレイグの起用やシリーズのリブート、新ボンド像への挑戦、それら全てが「スペクター」で繋がったような気がした。前3作の正統な続編、正常進化の結果がこれほど素晴らしい「ボンド映画」として結実するとは感慨深い。
[映画館(字幕)] 9点(2015-11-29 02:36:51)
18.  007/スカイフォール 《ネタバレ》 
五輪開催などの一大行事に湧くロンドンイヤーであった2012年。その締めくくりに相応しいコンテンツとして登場したのがスカイフォールだ。奇しくもシリーズの50周年が重なり、記念碑的ボンド映画の趣だ。  クレイグの007に通ずる興味深い点は、一人のエージェントの成長物語としての側面だ。既存のイメージをぶち壊して登場したクレイグ=ボンドが、今作では熟練の諜報員として描かれるのもそのためである。  そういった世界観の説明を孕んだプレタイトルシークエンスから実に良くできている。 状況変化に富んだアクションも圧巻だが、ドラマに秀でたメンデス監督の的確な人物描写も巧い。 引金を引くための駒。地球の裏側からの無線指示が招く結果。 これらは中盤のハビエルとの演技合戦できちんと回収され、「2匹のネズミ」を決定的に分かつ理由になる。  多くの部下を失ったMは、現場に復帰できないはずのボンドまで起用した。MI6に見捨てられたシルヴァはこの事実をMの裏切りと解釈するが、ボンドはどう捉えたか。 会話劇を通してプロの信頼関係を浮き彫りにする秀逸なシーンだ。 つまり、ボンドはこれをMからの信頼と受け取り、シルヴァとの対決に臨んだのだろう。  Mとボンドの信頼関係は、実は前2作でも盛り込まれた隠れたテーマでもある。お互いに信頼することで生き抜いてきたからこそ、今作でボンドがついにみせた涙が胸に突き刺る。信頼に応え任務を全うしても、かけがえのない人を失っては、ボンドでも感情を堪えられない。こういった人間的な面もしっかり表現できるからクレイグのボンドは良い。過去に「ボンドは泣かない」という監督の意向でレーゼンビー=ボンドが涙するシーンがNGとなったことあるが、そのことからもクレイグの007がいかに人間としてのボンドに迫っているかが分かる。  冷戦終結後に数々のテロリストと戦ったブロスナン=ボンドとは異なり、クレイグ=ボンドは実態の見えない組織を追った。現代の諜報戦におけるスパイの有用性を問うような闘いだが、本作では次の50年に向けた結論を打ち出している。レイザーブレードにDB5、無線機。良いものはいつの時代も残っていく。リザレクションの言葉通り、ボンド映画の伝統もまた復活し、受け継がれていくだろう。
[映画館(字幕)] 9点(2015-11-26 14:07:18)
19.  ナイトクローラー 《ネタバレ》 
ダッジ・チャレンジャーに乗り込み、夜のLAを跋扈する不気味なダークヒーローの物語。これは紛れもない傑作だ。  ナイトクローラーという知られざる職業にフォーカスすることで、退屈さとは無縁のエンターテイメント作品として仕上がっているのが面白い。役者の演技が光るサスペンスフルな展開から、素晴らしい出来のカーチェイスを経て、再三言い続けていたメッセージを突きつける。脚本もよく練られており、全ての要素が高いレベルでまとまっている。  ジェイクが演じるルーは疑う余地のない強烈キャラだが、負けず劣らず、ストーリーやメッセージ性もかなりキツイ。成功、成果、数字のためにどこまでやれるか。要はどこまで倫理から外れられるか。  僕はやはり倫理観という範囲の中で行動しているので、ずれ気味なルーが異様な行動力で成りあがっていく様はどこか痛快に映る。ネットで覚えた受け売りで相手を煙に巻き、ライバルは排除、衝撃映像を捏造するなど八面六臂の大活躍。「勝つためにはチケットを買え」ともっともらしいことを口にしておきながら、そもそも彼の成功のチケット(カメラ)は犯罪で得たものだ。コイツは最初からズレているのだ。  そういった中で描かれる雇用主と労働者の関係もかなりエグく描写されており、この辺は経営者や就活生にはかなり刺さるハズだ。薄給で酷使され、悲惨な最期を迎えたリックも決して他人事ではない。大企業のインターンという名目で無給で働かされ、正規雇用でないゆえ簡単に切られる若者は実際多い。  面白いのはこういった点が非難などもなく、中立の視点で描かれていることだ。これはOPとEDの映像を観れば合点がいく。この映画の主役の一人は街であり、ここで起きる事件も、ナイトクローラーもインターンも、全てが粛々と流れるLAの日常なのだ。  ふとテレビを点けると、ショッキングな「バナー」が踊っていた。生放送中に銃撃事件が起きたというのだ。 その内容はまさに善良な市民を襲うマイノリティの凶弾、大都市に潜む身近な狂気。 この事件にもやはりナイトクローラーやテレビ屋の奔走(または暗躍か)があったのだろうか。 無論、この映画はフィクションであるが、そう思わせるようなリアリティを十分すぎるほど持ち合わせている。膨大な時間をかけた取材と、LAの街を主役とした撮影の賜物である。
[映画館(字幕)] 9点(2015-09-29 13:59:44)(良:3票)
20.  セッション 《ネタバレ》 
最近の映画界では、「新バットマン」への大抜擢でトップスターへと躍進したあの俳優だろうか。 バットマンの前に撮った作品は低予算スリラーでありながら、危険な役作りを敢行したというエピソードがあった。(もっとも本人にとってはそういった努力への評価は二の次で、役者としてどれだけ作品に貢献できるかを重要視しているだけのようだが。)  「天才」とか「偉人」とか言われる人は、やはり常人とは違う。 そんな人間は、件の俳優や劇中のバードのように、「天才」という記号だけでは片づけられない狂気じみた逸話を持っているものだ。   「ウィップラッシュ」では、そういった人間が作られる過程を威圧的な緊張感と共に描き出している。 彼らを表すにはあまりに稚拙で安い表現だが、「輝いている人」「トップを走る人」は決して、才能のみで今の称号を手にしたのではない。「アマデウス」みたいな化け物もいるかもしれないが、多くはフレッチャーのシゴキのような辛辣な境遇で、闘いぬき、挫折して、そしてなお立ち上がって、道を極めたのだと思う。  フレッチャーの教育方針に100%賛同するわけではないが、絶対に折ることの出来ない信念を持った人間の会話には説得力がある。 上出来なんてクソだ。 鬼教師の放つ言葉がグサリとくる。 こういう会話があったからこそ、ラストのセッションはとてつもないパワーを帯びてくるし、観終わった後には、アスリートや芸術家、各界の巨人たちの凄さを今一度、凡人の僕に教えてくれる。  また、一握りの偉人をフィーチャーする一方で、普通の人々についても描けているのが素晴らしい。  レーズンをよけてポップコーンを食べることのできる優しい青年が、理想にとりつかれ、人を傷付けて、挫折を経験し、そして自分のやるべきことを見つけていく。 あるいは極端なサディスト指導者が、ピアノ少女に気さくに話しかけ、時に自身の教育の悲劇的な結果を偲ぶ。  普通の人間、そして弱さを描くことで、観客もこの異常なドラマに没入できるし、浮き彫りになる強固な信念が、彼らがなぜ一般人より抜きん出ているのかを強調している。  これはとんでもなく強烈な映画だった。この完成度、上出来どころじゃない。
[映画館(字幕)] 9点(2015-06-18 23:51:38)
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