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1.  殷狼 《ネタバレ》 
終戦直後の日本を舞台にしたホラー漫画。古代から棲息する伝説の精神獣が、何故か敗戦直後の日本の首相に憑りついて世界滅亡を企むという話。作者の田中正仁という方はよく知りませんが、絵柄がとても好み。三山のぼる、池上遼一、大友克洋、かわぐちかいじ、神江里見、ヒロモト森一などを併せて割ったような感じ。おそらく他には例のないSFホラーに人形浄瑠璃を取り入れたセンスや、意識的に行っているであろうプチ・シュールな描写は魅了されます。物語自体は色々と残念な部分も多い。世界を滅亡させたいならアメリカやソ連の首脳に憑りつけばいい話だし、最後の最後に主人公が自分探しを始めてしまう展開(正当な目的と能力を与えられて生まれてきたというのは今の時代では羨むべき話で、何が「憎い」のか意味不明)等々…あのバブル時代ならではの頓珍漢な感覚が何とも。 しかし正直言って物語はどうでもよく、時折姿を見せる殷狼の物体Xな描写や、憑りつかれた首相の表情の様々な表現が実に素晴しい。何の変哲もないオッサンの表情でこれだけ見せるのは、比肩しうるのは初期のヒロモト森一氏くらいではなかろうか。
8点(2015-01-18 23:40:59)
2.  怒りのロードショー
映画好きの高校生がダベっている様子をそのままギャグ漫画にした、あるようで無かったアイデアもの。「パーレーツ・オブ・カリビアン」の主演俳優は他に誰が相応しいかという議論で、最終的にスティーブン・セガール「沈黙の海賊」に落ち着いたとか、そんな感じ。 ヘタウマな絵柄ですがデッサン力はしっかりしており個人的には好き。 語られているものがアクションやホラーなどの流行ものと、古典文芸映画の両極のみというのが少し残念。二次元ネタが多すぎる気もする。 リドリー・スコットやアラン・パーカー、古典ではホドロフスキーやヘルツォークが好きな自分が共感できるキャラはいないかな・・。
7点(2018-10-14 03:31:40)
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