1. デビルエクスタシー
できごころで登録してしまったが、冷静に考えるとどうコメントしていいのかわからない。なんとも異様な味わいで、インパクトだけは強かった。 6点(2008-05-14 07:30:16) |
2. デトロイト・メタル・シティ
何かを誤魔化そうとして泥沼にはまっていくというタイプのコメディは好きになれない。途中まで読めば先がわかってしまうし、予定調和的というか、話ができすぎている感が強くて白けてしまう。それ以前に、単純にギャグがつまらないと思う。心地良いくだらなさではあるが、大笑いできるような冴えたネタはほとんどない。有名な割には、たいして笑えない作品。 4点(2008-01-04 02:58:16) |
3. 天使な小生意気
《ネタバレ》 不良が喧嘩ばっかりしてるマンガって苦手なんだけど、これはとっても面白かった。何より笑いのセンスがかなりキてる。旅館のエピソードなんて何度読んでも笑ってしまう。 あとこのマンガってギャグだけじゃなくて、真剣な決めの場面に対しても、「かっこいいぜ…」「決まった…」と突っ込み(客観視)の台詞が入る。たぶん西森さんは自作に対する客観性がものすごく強い人で、まじめなことを書くとすぐ照れてしまうんだと思う。 客観的な視点は創作全般においてはもちろん、一人でボケと突っ込みを兼ねなければいけないギャグ漫画家にとっては絶対に必要な力。そういう意味では西森さんはずば抜けていて、たとえ小ネタであっても全然すべらない安定感を持っている。そして実はすごくかっこいい連中ばかりを描いているのに、全然嫌味がない。この辺りも優れた突っ込み力の賜物だろう。 結末に向けてちゃんと伏線を張っているのも良い。気楽に読める作品でも、やっぱりプロットががっちりしてると満足感が違う。欲をいえば最終話近くが急ぎ足になって、わずかに伏線を拾い損ねているのがもったいないかな(たとえば魔本の起源はほのめかすだけに終わってるし、藤木が闇夜の谷川に飛び込めたのは例の河童のおかげなんじゃないかと思うんだけど説明はなし)。 とはいえ読後の爽快感は最高だった。全体を通して暗い要素は薄く、敵役ですらラストの行動は清々しい。読んでいてすごく気持ちのいいエンターテインメントに仕上がっている。 9点(2007-11-15 00:46:27) |
4. 天才柳沢教授の生活
実は一話完結ものの人間ドラマって相当に難しいジャンルだと思うんですが、『柳沢教授』シリーズはかなりの高水準を保っています。しかも主役は個性的ではあるものの一介の大学教授に過ぎず、話としても地に足ついたリアルなもの。この設定で読ませるのは著者の卓越した洞察力があってこそでしょう。天才から凡人、善人や悪人、子どもから子猫まで、山下和美の筆勢には一定した愛情が感じられる。主人公の柳沢教授同様に、山下さんにとっては人間という生きものが面白くて、愛しくて仕方がないのではないかと推察します。あ、あと「学ぶことの素晴らしさ」というテーマを忌憚なく伝えられるのもこの作品の奇特なところです。お父さんが大学教授、というバックグラウンドに支えられてのことでしょうか。いずれにせよ山下和美独自の人間観に乗っ取っているからこそ、こんなに魅力的な人間ドラマを量産できるのだろうと思います。 8点(2007-11-04 17:40:46) |