映画『ぐるりのこと。』の口コミ・レビュー

ぐるりのこと。

[グルリノコト]
All Around Us
2008年上映時間:140分
平均点:7.03 / 10(Review 68人) (点数分布表示)
公開開始日(2008-06-07)
ドラマ法廷もの
新規登録(2007-12-02)【ボビー】さん
タイトル情報更新(2024-03-18)【イニシャルK】さん
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監督橋口亮輔
キャスト木村多江(女優)佐藤翔子
リリー・フランキー(男優)佐藤カナオ
倍賞美津子(女優)吉田波子
寺島進(男優)吉田勝利
安藤玉恵(女優)吉田雅子
柄本明(男優)安田邦正
八嶋智人(男優)諸井康文
寺田農(男優)吉住栄一
木村祐一(男優)夏目先輩
斉藤洋介(男優)橋本浩二
温水洋一(男優)和久井寛人
峯村リエ(女優)生方圭子
加瀬亮(男優)田中ツヨシ
光石研(男優)幼女誘拐殺人事件の弁護士
田辺誠一(男優)売春事件の裁判長
横山めぐみ(女優)資産家の母親
片岡礼子(女優)小山悦子
新井浩文(男優)大間真治
菅原大吉(男優)マッサージ師
新屋英子(女優)佐伯志津子
江口のりこ(女優)マンションの隣人
山中聡(男優)奸原聡(記者)
山中崇(男優)小久保健二
佐藤二朗(男優)内田
田中要次(男優)富田
菊池亜希子(女優)梶山栄子
古舘寛治(男優)
黒田大輔(男優)
赤堀雅秋(男優)
原作橋口亮輔
脚本橋口亮輔
音楽北原京子(音楽プロデューサー)
撮影上野彰吾
製作山上徹二郎
ビターズ・エンド(『ぐるりのこと。』プロデューサーズ)
博報堂DYメディアパートナーズ(『ぐるりのこと。』プロデューサーズ)
松竹ブロードキャスティング(『ぐるりのこと。』プロデューサーズ)
企画山上徹二郎
配給ビターズ・エンド
美術磯見俊裕
衣装小川久美子
ヘアメイク豊川京子
編集橋口亮輔
録音小川武
照明矢部一男
あらすじ
貧乏で負け組みの夫と生真面目な妻。どこにでも存在する夫婦であり、大きな不幸があるわけでもないし、特別良いこともない。しかし妻の様子が徐々におかしくなっていく・・・。再生を描いたヒューマンドラマ
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💬口コミ一覧

68.ネタバレ しみる映画。静かなドラマの中で、法廷画家という要素で世相と時の流れを表現してるのがいいアクセントになっている。
リリー・フランキーが描いた娘の顔がエンディングで再び映し出されて泣けた。
ブラック武藤さん [インターネット(邦画)] 10点(2019-10-09 08:53:50)
67.愛を「お互いが分かりあうこと」だと思っている人にとっては、この映画の描く絆の形ほど分かりづらいことはないだろう。この作品は、「お互いが分かりあえる」という幻想によって愛を捏造するのではなく、「人間はお互いに分かりあうことなどできない」というありのままの事実にしっかりと気付いていながら、それでもなお、お互いを大切にするためにはどうするかというテーマを描いている。この着眼点の鋭さによって、この作品は、2008年の邦画の中ではぶっちぎりの傑作であるように僕には思えた。お互いを大切にするということは、二人でしかできないことをするのではなく、一人でもできることを二人でやることから開けてくるのではないか。この映画はそのように問いかける。そして僕はこの問いかけを出した精神に最大級の敬意を表する。ひょうひょうと、あるいは淡々と生きたいと願う人にとってこの作品は一つの答えを見せてくれるだろう。
wunderlichさん [映画館(邦画)] 10点(2009-12-28 23:11:03)
66.ネタバレ 現代日本の問題と希望を法定画家という視点を通して描いた作品。橋口監督が得意とする感情の細やかな描写が冴え渡る。これまでの橋口作品の印象は、短歌のように感情の機微を描写したシーンの集合体であり、悪く言えば寄せ集めの歌集のようなイメージが拭いきれなかった。しかしこの作品は、それぞれの歌が総合的に共鳴し、一体となって感情のうねりのようなものを生み出している。鑑賞後、あたたかい涙が流れる素晴らしい作品だった。この監督の眼差しが心に沁み込むのは、自身が患った鬱病や同性愛者として社会から受けた偏見、それらによる実体験に基づいて、真摯に人間と向き合ってきた結果なのだろう。本当に沢山の人間の美しさや汚さを見てきたのだと思う。そしてこれ程までに、日本人の美点と欠点、その両方を鋭く描写できる監督は、僕にはあの小津監督以外に浮かばない。小津は省略が上手い監督であるが、橋口はその逆の長回しでその場の空気感を伝えるのが上手い。両者に共通するのは日本を愛する心と繊細さとユーモア。そして、この映画では、監督が今の日本を憂いていて、どうしてそうなったのかを、失われた10年を振り返ることで問題提起しているのだなと思った。どこまでも日本というものに拘って撮った作品であるのは間違いない。個人的に印象に残ったのは、日本人の愛情表現を描写したシーンの美しさ。欧米の方が見たら、こんな感想を持つだろう。なぜ彼女を強くハグしないんだ、なぜキスをしないんだ、なんで愛してると言ってあげないんだ、等々…。こういった疑問には、こう答えるしかない。「これが日本人である」と。最後の方のシーン。二人で完成した天井画を見つめ寝転がる。そっと手をつなぐ。そして、足でお互いを蹴りあう。素晴らしい日本的な愛の表現方法だと思う。しかし、悲しい哉、時には直球で表現することも必要なんですね。それは日本人の欠点。白黒つけず曖昧なままだったから、カナオを女好きなだけな男だと勘違いして、ショウコは勝手に妄想爆発して病んでしまったのでしょう。段々分かってくるが、彼は"ヒト"が好きなのである。その眼差しは、どこまでも多角的であたたかい。ところで、この夫婦は、死んだ老婆のようにスケッチされた女性の心も救ったのでしょうね。大事に持っていたカルキ臭い壺が割れたのは爽快だった。はからずも、小津の傑作『晩春』の壺を思い出した。
Nujabestさん [DVD(字幕)] 10点(2009-07-22 21:11:14)
👍 2
65.ネタバレ 子どもが死ぬまでは、非常に退屈な映画です。そこまで30分、危うく途中放棄するところでした。・・・・この映画、男性の見る目と、女性の感想とでは、もしかしたら、かなり違うのかもしれない。というのも木村多江の感情の動きが、確かに、こういうのはあるだろうけど、自然なものには思えないから。・・・・・ということで、リリーフランキーにしてみると、仕事は最低、自分の態度も最低、奥さんも最低、奥さんの母親も薬事法違反の行為で金を稼いで最低、奥さんの兄も殆どヤクザで最低、兄の嫁も最低、法廷画家の仕事も最低の内容、そしてこうした犯罪者も最低なら、それを生み出す社会も最低。・・・こんな最低の周囲に対して、どう接したらよいのだろう。木村多江は、最低の部下に対して、結局自分が破壊され、仕事を辞めた。フランキーの父は、自殺した。・・・・この映画、そうした態度を「逃げる」と表現し、逃げてはならない、と説く。最低の周囲環境から逃げることなく、無理に戦わず、適切な関係を取って生きて行けば、木村多江の失踪した親父のように、最後にこの上のない微笑みを保つことができるのでしょう。拒否するのでもなく、かといって、全面的に受け入れるのでもなく、最低な周囲の存在を承認するけど、自分はそれに染まるわけではない。・・・・それにしても、こんな大人の日本映画があり得たのだ、とびっくりしました。
王の七つの森さん [DVD(邦画)] 10点(2009-03-29 23:32:19)
👍 2
64.人と人の結びつきなんて、とても“あやふや”で、脆いものだろうと思う。
結ばれることも、離れることも、実際紙一重で、ギリギリな状態。
でも、だからこそ、今一緒にいられることが、愛おしく素晴らしいものなのだと思う。

ふと一緒になった夫婦が、愛し合い、傷つき、泣き、笑いながら、それでも共に生きていく。
特別に劇的なわけではない。
普遍的だからこそ、その当たり前の“結びつき”が、キラキラと光り輝いて見える。

なんて素晴らしい映画だろうと思った。なんて人生は素晴らしいのだろうと思った。

木村多江+リリー・フランキー。
何とも味わい深い配役によって、とても魅力的な夫婦像を見せてくれた。
特に、木村多江の存在感が素晴らしく、10年という歳月の中で、子を亡くし深く落ち込んでいく繊細さと、そこからまた浮かび上がっていく力強さを、とても魅力的に表現してみせてくれる。
また、リリー・フランキーも、陰惨な数々の事件を法廷画家という視点で触れながら、心揺れる妻を静かに支える朴訥な夫を好演したと思う。

そして「ハッシュ!」以来の待望の監督作品となった橋口亮輔の繊細な人間描写が冴え渡る。

人間が傷つくことに、明確な理由なんて存在しない。
だから、そこから立ち直っていくことにも、理由なんてない。
どうするべきだとか、何をしてはいけないなんてなくて、それを求めようとしても難しい。

ただ一つ、ヒントがあるとすれば、それは、「時間」だと思う。
「時間」さえ経ることができれば、人間は大抵のことは消化できる。

そういう、人間の根本的な“つよさ”を描いた映画だと思う。
鉄腕麗人さん [DVD(邦画)] 10点(2009-03-29 10:54:18)
👍 2
63.これは   いい映画でした
 
うまくいくはずなのに・・思い描いてもうまくいかない なぜだかわからない マイナスのスパイラルがとてもリアルに出てるように感じました

主役2人がすごい これは監督はじめスタッフさんの力もあるでしょうが 自然でいい
 
親戚が集まると 大人たちはなんともつまらない話ばかりしているのが子供のころつまらなかった
ただ ああして集まってたわいのない笑いができるようになるのに1山も2山も越えてきているということが大人と言われる年になってきてだんだんわかるようになった
 
僕もいつかああして笑えるような大人になっていきたい 
おでんの卵さん [DVD(邦画)] 9点(2010-11-27 21:14:23)
62.ネタバレ 最初の長回しのシーン。ごくありふれた一組の夫婦の他愛もない会話。ここでくすっと笑えるかどうかが肝なのかもしれません。笑えないと以降ただひたすら長いだけの映画になってしまうかも。この後も映画は当時の代表的な事件の裁判シーンを織り交ぜつつ、淡々と夫婦のお話が続きます。そこに理想の夫婦像とか華やかなロマンスみたいなものは出てきません。そもそもいわゆる美男美女なんてこの映画に誰一人と登場しません。出てくるのは実社会と同じで、つらい現実ばかり。夫のこと、仕事のこと、親兄弟のこと。子供を亡くし、うつになるまで打ちひしがれて、それでも夫の支えを得て立ち直っていく妻。こんな地味なお話の映画です。深い洞察力や絶対の自信がないと作れないと思います。最初の他愛のない長回しに始まり、中盤の最大の見せ場と、そこに至るまでの過程、そしてそれ以降の展開、笑えたり納得できる所が多々あったので高得点を付けました。流行の俳優さんやらCGやらをふんだんに使う映画もいいですが、時代に流される事なく淡々と人間のドラマを描いたこの映画も、とてもいいと思うのです。
はらへりさん [DVD(邦画)] 9点(2010-04-16 01:38:54)
61.ネタバレ 処女作『二十才の微熱』から一貫してゲイを主人公に作品を撮り続けてきた橋口亮輔監督だが、『渚のシンドバッド』の浜崎あゆみや『ハッシュ!』の片岡礼子のように、主人公のかたわらには常に、自身も心の奥底に何らかの傷を抱えた女たちが、それでもか弱い彼らを護り支える女神のように毅然と立っていた気がする。彼女らは時に自らの自由や可能性を犠牲にしてまで、弱者たる主人公たちを力強く庇護する存在としてそこにいた。『ハッシュ!』を観た時、魅力的な映画とは思いつつ、ふと、どこかしら共感しがたいものを感じた。それは片岡礼子演じる孤独な朝子に、それでもいつか生涯の伴侶と巡り会うかもしれない可能性を軽率に唾棄させてしまう(それがたとえ本人の強い意志でむしろ彼女自身から強引に持ちかける提案として描かれてはいても)ことへの違和感だった。彼女の存在意義が、主体となるゲイのカップルにとってある種都合のいい、母なる女神として、そこに置かれてしまっているように思えたのだ。ゲイであるどうこうは、このさいどうでもいい。『ぐるりのこと。』でリリー・フランキー扮する夫もまた、ゲイではないが、橋口がこれまで描いてきた心やさしくも不甲斐ない男性像をそのままに踏襲している。だがここで彼が描くのは一転、糸が切れたように力尽きてしまった出来損ないの女神と、そんな彼女を今度は自分が支え返そうとする男の、その姿なのだ。橋口が初めて、か弱い男を庇うヒーローとしてのヒロインではなく、傷を負った一人の生身の女を腰を据えて見つめようとした本作には、だからこそとても大きな意味がある。少なくとも私にはそう思える。そして橋口映画史上もっとも弱々しくカッコ悪いそんな女性像を託された木村多江が、その意味に、見事に温かい血を通わせている。癇癪を起こし泣きじゃくる妻と、そんな彼女にそっと洟をかませる夫。これほどみっともなく、けれどこれほどに美しいラブシーンを、私は他に知らない。夫婦とは何なのだろう。共に生きるとはどういうことなのだろう。それは支えあうこと、そして見つめあうこと、時には横たわり同じ天井を見上げること、足でそっと蹴りあい手をつなぐこと。たったそれだけのことなんだと映画は語りかける。金屏風の前でささやかな記念写真を撮る前も後も、それこそ病める時も健やかなる時も、彼女たちはただシンプルにけれど力強く、夫婦なのだと。
BOWWOWさん [DVD(邦画)] 9点(2010-01-28 15:26:50)
60.ネタバレ リリー・フランキー氏を、この主役に据えるという蛮勇。おみそれしました。ベストチョイスだったと思います。ものすごく普通なシーンひとつひとつが、瑞々しく見える名作。くたびれてる人、ぜひ見てください。
なたねさん [DVD(邦画)] 9点(2010-01-17 00:34:48)
59.ネタバレ 生きる技術を教えますという感じの映画でした。観ればきっと苦境から脱出するヒントを見つけることができるでしょう。夫は負け組みの亭主です。優しい男なのかもしれませんが、貧乏のオーラが体から漂っていました。まるで貧乏神の化身。まさに甲斐性の無い夫の象徴でした。こういう男の妻にだけはなりたくない。しかし世の中には、DV夫や、ギャンブル狂の夫が星の数ほど存在し、妻を苦しめています。それに比べたら、屁のツッパリでもないかもしれません。妻は家庭内で暴力をふるわれたり、社内でセクハラを受けていたわけではありません。しかし彼女がだんだん傷ついて壊れていく様子が、丁重に描かれており、うつに陥る人のことがよくわかりました。人によってはこの程度の不幸だったら、もっとがんばりなさい、と言うかもしれません。しかし借金地獄だったら納得できるのでしょうか。地雷で足を失えばいいのでしょうか?エイズを抱えて生きている人が本当の不幸を抱えているのでしょうか。人が感じる不幸というのは相対的だと思います。人生は素晴らしいとよく言われますが、あれは半分は嘘です。人生の本質はつらいのです。そういう前提で、先の見えない海の向こうを泳ぐときのように、人生を完走しなくてはいけません。それは簡単ではありません。生きる技術が必要です。ヘタレ亭主でもたまには名言を吐くようです。「おまえはみんなに好かれようとするからだめになる」 ・・・・。妻のように、ちょっと自分を否定されたら、すぐに落ち込む人は多い。こういうときは我が国の総理大臣を見習ってください。政治家というのは、選挙で当選して政治家になります。しかし誰1人として、満票で当選した人はいません。全員から好かれることは不可能なのです。必ず自分の存在を否定する他人が存在します。だからムリに人間関係を修復しようと、もがくのではなく、そういう事実を受け入れたうえで、自分を信頼してくれる人を大切にしたほうがいいですね。法廷を通して、人と人との関係性を丁重に描いたヒューマンドラマでした。

花守湖さん [DVD(字幕)] 9点(2009-05-15 21:42:00)
👍 2
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58.絶望と希望への再生、陰湿な心と優しい心、対極的な人の心が沢山映し出されている。
夫婦二人のスタンスが凄く居心地良かった。

ひで太郎さん [DVD(邦画)] 9点(2009-03-24 12:01:36)
57.ネタバレ 自らの意志のみで世の中を真っ当に生きることはそもそも難しいことである。智に働けば角が立ち、情に棹させばながされる、意地を張れば窮屈だ。明治の代からそれは変わらない人情という世情である。
夏目漱石が『草枕』で描いた非人情の風景。誠実さ故に人情の世界の中では「狂い」のものとされてしまう女。その女に人間として惹かれる画家の男。それは絵画的な風景としての生の捉え方であったか。

『ぐるりのこと。』は、自らの行き方と世の中のズレを許容できないばかりに、次第に精神を病んでいく女とそれを見守る男の物語である。「ぐるり」とは、自分たちを取り巻く世の中のこと、という意味だと察せられる。(英語題より)
女は非日常的に自らの誠実さを表現できる「絵画」を日常とすることによって快復していく。男はそれを見守る法廷画家の男である。彼は「ぐるり」を描き続ける男でもある。
もちろん、彼らは10年という年月をリアルに生きており、それは決して非人情という風景の断片ではない。丹念に描かれ、紡がれる生活というもの。日常があり、非日常がある。その繰り返しの中で生きる辛さに押しつぶされてしまったが為に、破錠しかける2人の生活。
生きるというのは「ぐるりのこと。」であり、「関係」であるが故に辛いけど、それが為に繋がる喜びである可能性もある。彼らの10年はそのことを漸く知る為の10年であったことが僕らに伝えられる。

生きることは、年輪を重ね合わせることである。そう思わせてくれる「物語」であった。
onomichiさん [DVD(邦画)] 9点(2009-03-18 22:10:34)
👍 1
56.妻が好き夫が好き子供が好き母が好き父が好き兄が好き妹が好き同僚が好き絵が好き人間が好き・・・孤独の連帯があり、絶望に希望がある。ひとはひとを大切に想う。「そうしなければならない」からではなく、「好き」だから。これから何人のひとを好きになれるのだろう。カナオや翔子のようになれるだろうか。
veryautumnさん [映画館(字幕)] 9点(2009-02-15 09:54:00)
55.悲しくて、悲しくて、その瞬間には見えなくても、自分を見守り続けてくれる人が確かにいる。そんな存在のいる翔子をうらやましくも思い、変わらずそんな存在であり続けるカナオのようにもなりたいと思いました。
淡々と続いていくストーリーが、カナオと翔子の人物像を逆に浮き立たせていたと思います。心に響きました。
abbeyさん [映画館(邦画)] 9点(2009-01-01 00:28:59)
54.ネタバレ 鬱病に掛かっている人が知り合いであった事があるので、個人的には非常に刺激的な一本でした。リリー・フランキーの嫁を演じる木村多恵の演技が素晴らしかったです。子どもが流れてしまってからの情緒不安定な演技には「この人ホントに鬱病に掛かってるんじゃないか?」と思ってしまうほどでした。ふとした時にみせる目の泳ぎとかが凄くリアル。それがあるから序盤で不器用ながらも仲睦まじい夫婦を見た後に訪れる不幸の様子は観ていて非常に心が痛みました。まあだからこそ終盤の幸せが素晴らしいものと感じる訳ですが。
無口な画家を演じるリリー・フランキーも好演していたと思います。彼の持つ何処かフワフワした空気が役にピッタリでした。
この物語は正直言って誰にでも訪れる不幸を描いているので、私たち観客に直に苦しみが伝わってくる。しかしその不幸の時に自分の愛する相手とどう向き合うのか、その相手もどうやってその不幸を乗り越えるのか教えてくれる。すごく優しさに満ちた映画だと思います。そういう悩みを抱えている人にこそ是非観てほしいです。
序盤や終盤に時々入る不必要(と言うと怒られそうですが……)なカットが無ければもっと評価が上がったかも。でも時々入る不必要な会話はとても面白かった。
民朗さん [映画館(邦画)] 9点(2008-10-03 01:14:31)
53.ネタバレ 映画は救いだと、ある監督が言いました。この作品はまさに救いであり、希望だと思います。何事にも真面目に取り組む頑張り屋の翔子とだらしなく見える法廷画家のカナオ。皆そうなんだろうけど、頑張りすぎるとネジが外れて、崩れてしまいます。苦しいときに苦しいと言えず、悲しいときに悲しいと言えない、そのあまりにも急過ぎる時間の流れの中で、翔子はまるで溺れないようにもがいているように見えました。そんな疲労や苦痛が積もりに積もってしまった翔子は、崩れてしまったのだと思いました。だけど、そんな中でも、翔子のそばにいたカナオはどんな時も目を逸らさず、逃げず、抱きしめ、受け入れようとしているように見えました。現代社会には、人それぞれ異なった人生を歩み、それぞれの事情を背負っているのが当たり前なのに、その抱えているものも見ようともせずに頭ごなしに否定する人々や結果だけ見て、全てを判断してしまう人々、そして生きることは答え合わせではないはずなのに、間違いを恐れ、思い込みに捕らわれ、頭でっかちで凝り固まった考えしかできない人々など、それはもうたくさんの人がいます。それらの常識と呼ばれる凝り固まった考えに橋口監督は「二十才の微熱」の頃から疑問符を投げかけ続けているように思います。その橋口監督の考え方は、簡単に言えば他者への感心や尊重だと思います。ラストのカナオの台詞にも「人、人、人」とありますが、社会は人の集まりなのでそこから逃れることも目を逸らすこともできないのですが、それでも社会は他者への興味、関心、尊重が薄く感じられます。そんな世界で、橋口監督が描いたカナオという人物の、まわりの人間に関心と尊重をしっかり持つ姿勢にはすごく感動しました。法廷であろうと、妻に対してであろうと、ご近所さんであろうと、道を歩くあかの他人にであろうと、彼は関心を持ち、他人を尊重していたように思います。それは理想でしかないのかもしれませんが、僕はあのカナオの姿を目指したいと思えました。
ボビーさん [映画館(邦画)] 9点(2008-08-13 19:12:47)
👍 3
52.はっきりとしたストーリーがあるわけでなく、フワッとしたりズシっとしたり、なんと評していいか判らない掴みどころのない映画です。140分と長尺でワンシーンワンシーンが長まわしで穏やかなのに、ちっとも退屈だと思わされないのは、ボーっとしてるようで包み込むような優しさを持つリリーさんと、独特な存在感を持つ木村多江の二人から発される自然で重みのある言葉と雰囲気に魅了されていたからかもしれません。
主演二人の絡みは中盤極端に少なくなり、心情や状況もはっきりと説明されずもやもやしながら、二人の会話のシーンを心待ちにしてしまいました。
理解できないのが人間なのだ、というセリフとしっかりと整合されている作り方に感心しました。なんか凄いと思うんです、この映画。
すべからさん [映画館(邦画)] 9点(2008-06-27 11:49:59)
51.ネタバレ 韓国映画『シークレット・サンシャイン』に匹敵する映画は現れないと思っていたが、すぐ目の前にあった。同じく喪失のテーマを扱いながらも、宗教を強調しないあたり見易い。監督の鬱病体験を元にしているだけあって、描かれている夫婦が身近に感じる。同時に周囲の他者に対する無知も無理解さも。法廷画家として携わる夫が見た重大事件の裁判の数々は、奪った者、奪われた者の負の感情が凝縮されている。全て人・人・人が生み出した側面に対して達観しているからこそ、長い時間をかけて妻を癒せたのかもしれない。物語は911直前で終わる。歴史も日常も先の見えない暗澹さはあれど、明けない夜はきっとない。そうやって世界はぐるりと廻っている。
Cinecdockeさん [DVD(邦画)] 8点(2017-12-11 20:46:16)
50.こういう映画は好き。
最近良質な邦画が増えて気がする。
aimihcimuimさん [DVD(邦画)] 8点(2014-08-13 23:00:39)
49.ネタバレ ちょっと壊れちゃった夫婦の再生を描いた物語。いやぁいい映画を観たなぁって印象ですね。採りあげられるエピソードがいちいちシブイ!しかも撮りかたもウマイ!演技もウマイ!とくれば、ちょっと長めの作品で、わりと淡々とした内容ですが魅入っちゃいますよね。木村多江さんはいわずもがな倍賞美津子さん、柄本明さん、寺島進さん、みんないい!リリーさんはハマってましたね、この役。『見守りキャラときどきお下品』は彼の真骨頂と言えるでしょう。ただ、見守るモチベーションみたいなものが見えてくるともうちょっと良かったかな?あと法廷画家の設定がこの映画のテーマとどう沿うのかは正直見極められなかったのはわたしの理解力不足でしょう。。。
ろにまささん [DVD(邦画)] 8点(2012-02-27 22:40:26)
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【点数情報】

Review人数 68人
平均点数 7.03点
000.00%
111.47%
222.94%
345.88%
411.47%
557.35%
6811.76%
71420.59%
81623.53%
91217.65%
1057.35%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 6.66点 Review3人
2 ストーリー評価 6.16点 Review6人
3 鑑賞後の後味 6.66点 Review6人
4 音楽評価 5.80点 Review5人
5 感泣評価 6.80点 Review5人

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