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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 615
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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221.  ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎 《ネタバレ》 
 バイオリンを弾くのが下手だったり、ワトソンの「名前当て」も完璧には成功出来なかったりと、まだ未熟で人間臭さの強いホームズ像が如何にも「ヤング」という感じがして、好印象。   その一方で、ヒロインを巡る恋のライバルな男子生徒を嫌味に描いているけど、ホームズ自身も「嫌味な優等生」に思えてしまうキャラなので、これにはチグハグな印象も受けましたね。  既に恋人がいたり「授業中は気が散るから話しかけないでくれ」と言ったりと、取っ付き難いタイプの主人公なので、もう少し相棒のワトソンの比重も大きくして「親しみが持てる凡人」としてのワトソンの魅力も描いていたら、それと対になるホームズの魅力も、更に際立っていた気がします。  あくまで個人的な見解ですが、偉大なるポーの「オーギュスト・デュパン物」をそのまま剽窃したとしか思えない「シャーロック・ホームズ物」が何故魅力的なのかといえば、それはワトソンの存在が大きいからであると考える自分としては、ちょっと本作はホームズにばかり偏り過ぎに思えちゃいました。   また、本作は「スリーパーズ」や「レインマン」で有名なバリー・レヴィンソンが監督を務めているのですが、それ以上に脚本のクリス・コロンバスの個性が色濃く表れている感じでしたね。  後に「ハリー・ポッター」シリーズの脚本を担当する人だけあってか、それと共通した「少年少女達の学園物語」として仕上げられている。  特に、空飛ぶ自転車に乗って歓声を挙げるシーンなんかは、如何にも「青春物」「子供達が主役の話」って感じの魅力が伝わってきました。   退校処分になったホームズを見送るヒロインが窓に息を吹き掛け、指で「I LOVE YOU」と書く場面なんかも、凄く良かったですね。  しかも、相手が読めるようにと普段とは反対に書く為、ちょっと考えて間を置いたりするのが、また可愛いんです。  そんな印象的なやり取りが、ラストシーンにて「ここには思い出が多過ぎる」と、ヒロインが指文字を描いた窓を見つめるホームズの姿に重なる脚本となっており、切ない余韻を与えてくれました。  「レストレード『警部補』が登場し、最後に昇進する」 「恩師であり敵となる相手が『モリアーティ』を名乗る」  など、元ネタを知っていればニヤリと出来る描写が多いのも特徴ですね。  自分としては、ヒロインのエリザベスが後のアイリーンなのでは? と思っていただけに、その予想が外れたというか「最後に死ぬからアイリーンじゃなかったのか!」と唸らされた形。  パイプを買ったワトソンに対し「そんなの馬鹿に見えるだけさ」と皮肉るも、別れ際にパイプをプレゼントされたら、喜んで受け取るホームズの姿も良かったです。   その他、印象深いのは、吹き矢を操る相手と格闘になった際に「相手が吹くよりも先に射出口から吹いて、毒矢を逆に呑み込ませる」方法で勝つ場面。  そして、ワトソンの好物である「クリームパイ」がチョココロネみたいな形をしており、かなり美味しそうであった場面なんかが挙げられそう。   観賞中は、退屈になってしまう事も多く 「幻覚シーンが何度もあって、流石にしつこくて飽きる」 「ヒロインが死んで犯人も逃げ延びてとバッドエンドに近いので、後味が悪い」  などの不満点も数多くあるのですが、こうして感想を書いてみれば「良かった部分」ばかりが思い浮かんでくるんだから、何とも不思議ですね。  観客にとって「良い思い出」として記憶に残り易いタイプの、非常にお得な映画だったと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2017-10-11 16:40:41)(良:1票)
222.  プライベート・ベンジャミン 《ネタバレ》 
 展開上「好きな時に除隊出来る」という前提は覆されるだろうと思っていましたが「そんな約束を信用したの?」と一言だけで片付けられたのには吃驚。  今も昔も、こんな詐欺同然のやり口がまかり通って、しかも「騙される方が悪い」となったりするんだから恐ろしい話だなぁ……なんて、映画の本質とは関係無い部分で、つい考え込んでしまいました。   すぐ近くにある煙草やマッチを取ってくれと命じる父親、平気でメイドと浮気する恋人など「男性の傲慢さ」「女性を見下している感じ」は上手く描かれていたと思いますし、それらが伏線として機能している脚本は、お見事。  ただ、本作にはどうしても「女性の自立を描いた映画」としてより「軍隊映画」として観た方が面白い、なんて印象も受けちゃいましたね。   過保護で支配的な両親への反発から、落ちこぼれだったベンジャミン二等兵がキッと目の色変えて生まれ変わり、逞しい兵士へと成長していく。  その過程が魅力的であっただけに、訓練学校を卒業して以降の展開は、蛇足に思えてしまいました。   優等生のウインターや、ルイス大尉が憎まれ役のまま終わるというのも、ちょっと寂しい。  特に後者に関しては、作中での認識ほど「嫌な上官」とは思えなかったのですよね。  シャワーに悪戯して仕返しする件なんて「そこまでやらなくても……」と、彼女の方に同情しちゃったくらいです。  勤務先のパリで彼女と再会し(さぁ、どうなる?)と期待したのに「恋人の男性が共産主義者であると難癖を付けられた」程度で終わりというのも、流石に拍子抜け。  ベタかも知れませんが、対立していた彼女達にも「一人前の兵士」として認められ、分かり合う展開の方が、カタルシスがあって良かったんじゃないかなと、つい考えてしまいました。   ラストにて、不貞を働いた恋人を殴って終わるのは痛快であり「良くぞやった!」という感じ。  色々と不満点もあるんですが、主演のゴールディ・ホーンを眺めているだけでも楽しいし、終わり方も気持ち良いしで、それなりの満足感を得られた映画でした。
[DVD(字幕)] 6点(2017-10-09 10:06:40)(良:2票)
223.  子連れじゃダメかしら? 《ネタバレ》 
 「最低男と思われた彼が、実は良い奴だった」という意外性ありきのストーリーなのですが、本作に関しては主演がアダム・サンドラーという事もあり「実は良い奴だって事はバレバレ」なのが残念でしたね。   他にも、ヒロインが仕事中に雇い主の服を盗み着したり、文字通り服を持ち出して盗んでみせたりと、ちょっと「嫌な女」に思えてしまう事。  そしてパラセーリングの場面にて、地面にいる動物達が合成映像だと丸分かりで興醒めしてしまった事などは、欠点と言えそう。  「ママの幽霊」「浮気性の元亭主」などの要素についても、完璧な決着が付いておらず、宙ぶらりんな印象です。   でも、それらを考慮しても面白い映画であり、面白さ以上に(好きな映画だな)と感じさせてくれるものがありました。   そもそも、この主演二人の組み合わせの時点で「50回目のファースト・キス」が好きな自分としては、嬉しくなってしまうのですよね。  フランク・コラチ監督に関しても、作品履歴を眺めれば「好きな映画」ばかりなのだから、本作は自分との相性が、凄く良かったのだと思います。    好みじゃない相手とのデート中に、友人から電話を掛けてもらい「緊急事態」と言って逃げ出す作戦を立てていたら、相手側に全く同じ手をやられ、逃げるより先に逃げられてしまったという導入部から、もう面白い。  他にも、全く同じ車に乗っているとか、動きが逐一シンクロしているとか、そういった伏線を丁寧に張っていき「行動パターンの同じ男女二人が、同じように考えて、同じアフリカ旅行に参加する」ストーリーとして繋げてみせるのが、とても気持ち良かったです。   本作はラブコメであると同時に「家族モノ」「旅行モノ」でもあり、三つの意味で楽しめる、贅沢な品に仕上がっているのも良かったですね。  主人公とヒロインの家族は、男親と娘達、女親と息子達という組み合わせであり、お互いに「男同士」「女同士」で仲良くなっていく流れなのも微笑ましい。   アフリカ旅行する楽しさが、しっかり描かれている点も嬉しかったです。  初めてホテルを訪れたシーンでは(うわぁ、良いなぁ……)と感嘆させられるし、朝の訪れと同時に、大欠伸する豹の姿を映すのも(舞台がアフリカだからこそ)と思えて、雰囲気を盛り上げてくれる。   基本的には王道展開であり、主人公とヒロインは無事に結ばれる訳ですが、脇役関連のストーリーについては、結構こちらの予想が外れたりする辺りも、面白かったですね。  ヒロインの雇い主である金持ち家族も再登場するだろうと思っていたけど、そうじゃない。  喧嘩している息子と娘同士が結ばれるんじゃないかと思っていたけど、そうじゃない。  その一方で(これは結ばれないオチだろう。失恋した彼女をヒロインが慰めてあげて、主人公との距離を縮めるイベントにするはず……)と思っていた、主人公の娘と「吸血鬼系男子」との恋が実ったりするもんだから、もう吃驚です。  そういったサプライズがあるからこそ(流石に主人公とヒロインが結ばれないって事は無いだろう)と思いつつも、最後まで程好い緊張感を味わいながら、楽しく観賞出来た気がします。   それと、上述の娘に関してですが、作中に出てくる男共が悉く彼女を「男の子」に間違えるというのは、ちょっと無理がある気もしましたね。  「少女と見紛うほどの美少年」に思えない事もありませんが、それにしても髪型や口紅の色などは、もっと中性的に寄せた方が良かったんじゃないかと。  その方が、髪型を変えて女の子らしくなった時のギャップも際立ったように思えます。   そんな娘と結ばれた彼氏くんの両親も、旅先のホテルの従業員達も、これまた良い味を出しており、お気に入り。  勿論、娘達と、息子達も魅力的であり、特に娘達の方なんてもう、可愛くて仕方なかったです。  父親から「彼女を愛している」という言葉を引き出して、ガッツポーズを取る姿には、思わず(天使か!)とツッコんだくらい。   クライマックスには「少年野球の試合」という山場を用意し、盛り上げてくれるのも良かったですね。  ヒロインの息子が、主人公の応援を受けて、見事にヒット(=ランニングホームラン)を放ってみせる。  そして、勝利の興奮の勢いそのまま、主人公がヒロインに告白して、無事に二人が結ばれる。   その後はもう、アフリカから駆け付けた(?)面々も気球の上から祝福して、エンディング曲は子供達が唄ってくれてと、好き放題やっている感じで、最後まで笑えて、楽しくて、面白い。  色々と滅茶苦茶だし、整合性は取れていないかも知れないけど、そんなの吹き飛ばしてみせるだけのパワーが感じられました。  こういう映画、好きです。
[DVD(字幕)] 7点(2017-10-07 06:51:40)(良:1票)
224.  おまけつき新婚生活 《ネタバレ》 
 決して面白くない訳じゃないんだけど、後味が悪いというか、観ている間も気分が悪くなってしまうという、奇妙な映画。   いや、本当に「面白いか否か」と問われれば、結構面白いんですよね。  ベン・スティラーとドリュー・バリモアが夫婦を演じているというだけでも楽しいし、演出も冴えています。  終盤、殺し屋に支払う二万五千ドルを捻出する為、家具を売り払う件なんかは、特に好き。  音楽に合わせ、一つずつ家具が消えていく様が、まるで魔法みたいなんですよね。  寂しさを感じると同時に、広やかになっていく部屋には爽快感もあったりして、不思議な気分に浸る事が出来ました。   で、そんな楽しい演出やら音楽に反し、何とも悪趣味なのが「骨幹となるストーリー」というのだから、困ってしまいます。  「善良な主人公夫婦が、間借り人の老婆に迷惑を掛けられ続け、遂には彼女を殺そうと決意する」に至るまでの流れが、非常に丁寧に描かれており「これは殺したくなっても仕方ない」と納得させられるのですけど、それが即ち「殺したくなるほど憎たらしい老婆の振る舞い」を延々見せ付けられるという結果に繋がっているのですよね。   特に唸ったというか、これは嫌だなぁと感じたのは「本に貼られた特価99セントのシール」の件。  (なんだ、本当は良いお婆ちゃんじゃないか)と気を緩め、作家である主人公が快くサインしてあげようと本を開いた途端に、そのシールが目に飛び込んでくるという形なんですよね。  恐らくは意図的にやった事なんでしょうが(なんて性格が悪いんだ)と舌を巻く思いです。   それと、作中でも愚痴られていましたけど、命を助けようとしたのが「老婆をレイプしようとした」なんて誤解に繋がってしまい、警官に睨まれる展開なんかは、観ていて本当に辛かったですね。  「苦労して小説を締め切り前に書き上げる」→「お婆さんにパソコンを燃やされる」という流れで、編集者に「本当は書き上げていなかったんでしょう?」と断定されてしまうのも、何ともやり切れない。  ストーリー上、そういった「主人公夫婦に降りかかる災難の数々」を描いておくのは必要な事なんでしょうが、それにしたってコレは、観ていて気分が落ち込んじゃいました。   ラストに関しては「返された酒瓶の中身が減っていた」など、序盤から「この老婆は嘘を吐いている」という伏線があった為、それほど反則的なオチとも言えないんですが、それにしたって、やはり悪趣味は悪趣味。  死んだように偽装するのは「復讐される事を避ける為」だろうに「いい夫婦よね。幸せになって欲しいわ」なんて老婆が呟いたりするんだから、あまりに偽善的な物言いで、呆れちゃいます。  これまで騙して追い出してきた夫婦の写真を並べて飾ったりしている辺りにも、正直ドン引き。   一応「今回の出来事を題材に新作を書き上げ、主人公は作家として成功した」という未来が示唆されている為、ハッピーエンドと言えない事も無いんですが、やっぱり引っ掛かる物が多かったですね。  「老婆」「大家」「警官」の悪党一家には、何らかの罰が下って欲しかったなと、つい思っちゃいます。   それか、せめて老婆が主人公夫婦に命を救われた事に感動し、改心して「二度とこんな事はやらない」と言わせる展開にしても良かったんじゃないかと。  この終わり方では、新しく引っ越してきた夫婦も同じような目に遭う未来に繋がってしまう訳で、そう考えると、とても笑えない。   あと、主人公が書いた本「2世帯住宅」の中身についても、もうちょっと言及して欲しかったところです。  予想としては、著作の中では問題の老婆が一貫して心優しい人物として描かれており、とびきりの美談に仕上げられているんじゃないかなぁ……と思えるのですが、真相や如何に。   「手を叩く音に反応して、電源が点いたり消えたりするテレビ」が伏線となっており「手を叩く音」と共に映画が終わる形なのは、中々洒落ていて、良かったですね。  でも、上述の通り本の内容が気になりますし、自分としては、もう一度手を叩いて、もうちょっと詳しい後日談まで、観せてもらいたかったところです。
[DVD(字幕)] 6点(2017-10-05 20:55:27)
225.  48時間PART2/帰って来たふたり 《ネタバレ》 
 映画単品としての出来栄えは、結構良かったと思うんです。   でも「続編で、こういう事はやって欲しくない」と思えるような部分が多く、それが引っ掛かって、素直に楽しめないんですよね。  まず、主人公であるジャックとレジーが再び喧嘩してストーリーが始まっている時点で幻滅。  バディムービーである以上「喧嘩」→「和解」という流れにするのが無難ではあるんですが、それにしても本作は無理矢理感が否めなかったです。  何せ「実は前作にて、レジーはジャックの給料を盗んでいたのだ」なんていう、嬉しくない後付けが喧嘩の一因ですからね。  これには流石に(じゃあ前作のラストで、あんなに仲良くなっていたのは何だったんだよ)(レジーは盗みを働いておいて、しれっと友達面してジャックと別れたのか)とツッコんじゃいます。  「48時間」で積み上げたものをリセットするだけでなく、マイナスまで付け足されたように思え、どうにも居心地が悪い。   唯一、本作の敵であるアイスマンが「前作でレジーが盗んだ大金の持ち主だった」と判明する件には感心させられたのですが、精々それくらいでしたね。  目立たないとはいえ、前作からの同僚で何くれとなく協力してくれていたキーホーが黒幕というのも(えぇ……)という感じで、ひたすら困惑。  「これこれこういう理由で悪の道に走った」「元々悪人で、警官になったのは偽装工作の為」などの背景が一切語られず「善人のはずの同僚が黒幕だよ。驚いた?」というだけの仕掛けでしかないので、ちょっと褒めるのは難しいです。  そんな事をすればダレてしまうかも知れませんが、やはり最低限の義務として「アイスマンの背景」については語っておいて欲しかったところ。   そんな具合にストーリー面については不満も多いのですが、個々のアクションなどは(流石ウォルター・ヒル監督)と思わせるものがあり、良かったです。  ポルノ映画のスクリーンを破ってバイクが飛び出す(しかも飛び出す度に女優が喘ぐ)シーンは馬鹿々々しいけど笑っちゃったし、クライマックスの銃撃戦も、色々と派手なアクションを交えて盛り上げてくれています。  序盤にてジャックが撃たれるも「防弾チョッキのお蔭で助かる」という伏線があったものだから、当然レジーも防弾チョッキを着ていて助かるのだろうと思ったら「本当に生身のレジーを撃った」ってオチだったのも、驚かされましたね。  ラストにて、撃たれたレジーが仕返しとばかりにジャックのライターを盗み「これでおあいこ」と両者が笑い合う形で終わり、五十万ドルも無事に確保出来てと、ハッピーエンドな点も嬉しい。   評価が難しいのですが、とりあえず一定の面白さは感じられたし「観ておいて良かったな」と思えた一本でした。
[DVD(吹替)] 6点(2017-10-04 07:36:43)(良:1票)
226.  48時間 《ネタバレ》 
 此度再見してみて、エディ・マーフィ演じるレジーの登場が結構遅かった事に驚きました。  全編出ずっぱりのような印象があったのですが、それだけ彼のキャラクター性が際立っていたという事なのでしょうね。  彼のデビュー作であると同時に、出世作となったのも納得。   相棒であり、本作のメイン主人公となるニック・ノルティ演じるジャックも、これまた良い味を出しているんですよね。  陽気な黒人に対する無骨な白人という組み合わせであり、如何にもな強面なのですが、恋人である女性には押しが弱く、情けない姿を見せたりするのが憎めない。  バディムービーのお約束として、本作にも「いがみ合っていた二人が仲良くなった事を示す場面」が存在する訳ですが、その際のカタルシスも大きかったです。  「あの」気難しくて頑固な警官のジャックがレジーを庇ってくれた、という形だからこそ心に響いてくる訳であり、その辺りは上手い。   一方(そこまで心を開くほどの交流があったかな?)と思わせる面もあったりして、そこは残念。  当時は未だ「白人と黒人によるバディムービー」というジャンルが確立されていなかったがゆえの未成熟さというか、ぎこちなさのような物があるんですよね。  敵方にもインディアンというマイノリティを配し、主人公コンビと対にしているのですが、その事を劇中で活かせていない感じなのも、ちょっと勿体無い。   最後に大金をせしめるエンドに関しては、ジャックも模範的な警官ではなく、清濁併せ呑むタイプとして描かれていただけに「まぁ、良いか」と納得出来る範囲内。  レジーが終始「ずっと刑務所にいたんだから、女を抱きたい」と訴えるも、お預けを食らい続け、最後の最後で本懐を遂げられた形なのも、後味の良さに繋がっていたと思います。   期待通りの楽しさを提供してくれた、良い映画でした。
[DVD(吹替)] 7点(2017-10-04 03:37:22)(良:1票)
227.  プレミアム・ラッシュ 《ネタバレ》 
 これは面白い。   自転車によるメッセンジャーを題材とした作品としては、邦画にもタイトルそのまま「メッセンジャー」なる傑作がありましたが、洋画代表として本作の名前も挙げたくなるほどの出来栄えでしたね。  とにかくもう、車や歩行者をスイスイ避けて、道路を駆け抜ける主人公の姿を捉えるだけで面白い。迷惑なんだけど面白い。   普通、こういった作りだと「主人公側を善玉として描いているけど、こいつらの方が周りに迷惑掛けているよなぁ」なんて疑念が湧いてしまい、距離を感じがちなのですが、本作はその辺りの観客の反発も、上手く躱しているんですよね。  序盤にて、主人公も「道路の嫌われ者」と自嘲しているし、悪役となる警官にも「クズども」とハッキリ言わせている。  些細な演出かも知れませんが、それによって主人公達は「勘違い野郎」ではないという印象を与えてくれるし、悪役の言葉に対しては(そこまで言わなくても……)と思えるしで、むしろ応援したくなってくるんです。  この辺りのバランス感覚は、非常に巧みだったかと。   特に素晴らしいのが、主人公が事故を起こしそうになった瞬間、時間が止まり、その止まった時間の中で、様々なルートを模索するという演出。  「この道を行ったら、車に轢かれる」「あっちの道を行ったら、乳母車と衝突する」「唯一、この道だけが無事に通過出来る」といった具合に、事故に遭う様も交えてのシミュレーション映像となっており、非常にユニークなんです。  あえて喩えるなら、TVゲームにてセーブ&ロードを繰り返して、正解を確かめる作業に似ているようにも思え、とにかく観ていて楽しかったですね。   また、ストーリー面においても複雑になり過ぎない程度に時間軸を弄っており、主人公と観客とが同時に「依頼者の真の目的」を知る構成になっているのも、凄く上手い。  麻薬の密輸かと思い、一度は依頼を放棄した主人公が「今回の依頼主は悪人ではない。幼い息子と共に暮らしたいと願う善良な母親だ」と悟り、メッセンジャーの誇りに掛けて仕事をやり遂げるべく決意する流れには、熱くなるものがありました。   そんな具合に長所が幾つもあって、かなり好きな映画なんですけど……唯一の難点は「クライマックスが微妙」という事ですね。  主人公は最高のメッセンジャーであり、その腕前を駆使して悪徳警官の追跡を躱し続け、無事に荷物を送り届けようとするという、基本のストーリーラインが良かっただけに、最後の決め手が「人海戦術」というのは、どうも受け入れ難い。  一応、序盤にて「結束力も強い」という一言があったので、それが伏線といえば伏線なんですけど、ちょっと弱いかなと。  主人公単独の技量によって勝利出来たのだ、と思えるような決着の付け方だったら、もっと好きになれていたかも知れません。   そんな具合に、肩透かし感もあったのですが、無事に依頼は達成され、母子が共に過ごせるようになってと、ハッピーエンドを迎えてくれたのは、嬉しい限り。  「このままメッセンジャーを続けていれば、いずれ主人公は事故死してしまう」事を連想させ、刹那的な快楽を求め続けるがゆえの「止まらない」「止まりたくない」という、明るさの中に悲劇の匂いを帯びた終わり方だったのも、良かったです。  何時か事故に見舞われ、死んでしまうとしても、彼であれば、そんな瞬間も満足気な笑顔で迎えられるんじゃないかな……と思えました。
[DVD(字幕)] 7点(2017-09-27 08:28:30)(良:1票)
228.  俺たちニュースキャスター 《ネタバレ》 
 冒頭にて「これは実際の出来事に基づいています」なんてテロップが表示されるものだから、意外と真面目な実録物かと身構えたけど、全然そんな事はありませんでしたね。  ごくごく軽い、お馬鹿なノリのコメディ映画でありました。   出演者がとにかく豪華であり、贔屓のベン・スティラーやジャック・ブラックもチョイ役で出てくるのが嬉しい。  中盤の乱闘シーンで彼らの役目は完了、御役御免かと思いきや、終盤にてティム・ロビンスやルーク・ウィルソンが再登場するという、二段仕掛けの構造になっているのも良かったです。   ストーリーに関しては 「結局、主人公がヒロインを危機から救って復縁するというだけなので、女性の社会進出による男性との対立なんてテーマは放り投げられている」 「ラストに主人公が復職するだけでなく、出世までする事に説得力が無い」  といった感じで、不満点も多いです。  でも、そんな細かい点をツッコむ方が野暮だと思わせる空気が、作中全体に漂っているんですよね。  これは映画としての強みだと思います。   ただ、肝心の「笑い」の部分が好みではなかったりしたので、そこは非常に残念。  香水の匂いを「使用済みのオムツ」に喩えるとか、主人公が勃起しているのをヒロインに指摘されたりとか、どうも下品さが目立って、笑えないという以上に鼻白むものがあったんです。  ルーク・ウィルソンが腕を斬り落とされる展開なんかも、そこだけ妙にスプラッターな笑いで浮いている気がして、天丼演出までされているのに、全然ピンと来ない。  「犬を橋から蹴り飛ばすシーンでは、途中で分かりやすくヌイグルミに変えられている」「クビになった主人公が、酒の代わりにミルクを飲み干している」などの件は結構好きなんですが、全体的にはイマイチに思えました。   ラストに関しても、ヒロインと結ばれるし、出世もするしで、ハッピーエンドなのは嬉しいんだけど、やっぱり前提として「ヒロインを本当に愛しているという主人公の想い」「仕事にかける主人公の情熱と努力」を描いてもらいたいんですよね。  本作は終盤にて「命の危機にあるヒロインよりも仕事を選ぼうかと悩む主人公」ってシーンがある時点で、恋愛物としては不適切だと思うし、クビになった後に復職の為の努力を全くしていなかった時点で「仕事に生きる男」として応援する事も出来なかったです。  自分でも無粋なツッコミだって分かっているけど、やはりそこは外して欲しくないというか、芯が定まっていないと枝葉の部分で笑う事は難しいんじゃないかと。   何も考えずに観れば、それなりに楽しいし、心地良い雰囲気を味わえるというだけでも、凄い事だと思います。  それでも、本作に対しては(もうちょっと丁寧に作って欲しいな……)と、つい思ってしまいました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-09-25 06:17:53)(良:1票)
229.  デッド・サイレンス(2007) 《ネタバレ》 
 冒頭で主人公と奥さんがイチャつくシーンを観ただけでも「あっ、ホラー映画だな」と分かるような、暗く陰鬱な画面作り、雰囲気作りがお見事ですね。  ラストの「種明かし」におけるスピーディーな演出も、正にジェームズ・ワン印といった感じ。  赤い車が走る様を上空からの俯瞰で捉え、鮮やかに映し出すビジュアル的なセンスも良かったです。  特に好きな監督さんという訳でも無かったはずなのですが「才能ある人なんだなぁ」と、しみじみ感じ入りました。   腹話術の人形が醸し出す恐怖に着目した映画としては「マジック」という先例がありましたが、あちらが二重人格的なスリラー映画だったのに比べると、本作はもっとシンプルに「人形の怖さ」を突き詰めた、純粋なホラー映画と言えそう。  で、そんな本作のリアリティレベルは「超常的な幽霊が黒幕なので、何でもあり」に分類されると思うのですが……どうも、その辺が曖昧なんですよね。   上述の種明かしシーンでも「主人公の父親は実は死んでいて、黒幕のエラ=メアリーが腹話術のように動かして騙していた」というネタがある訳ですが(あれだけ色々好き勝手出来る幽霊のはずなのに、何でそんなところだけ妙に現実的なの?)って、引っ掛かっちゃうんです。  多分、監督さんとしては「言われてみれば確かに、父親が喋る時はエラがピッタリと寄り添っていた」と観客を唸らせたり「飲ませたはずのスープが人形の口を素通りして、ボタボタと受皿に落ちる」場面で、視覚的な衝撃を与えたりする狙いがあったのでしょうが、どうもチグハグなバランスに思えました。  妙に現実的なトリックの種明かしなどせず、思い切り良く超常的なホラーとして割り切るか、いっそ「悪霊の仕業ではなく、全ては普通の人間のエラが仕掛けた一大芝居だった」という現実的な作りにするか、どちらかを選んだ方が良かったのではないかと。  特典映像からすると「主人公の父親が黒幕」など、様々な案を用意していたのが窺えるので「どの案の結末にしても不自然じゃないバランスで撮ろう」と欲張りな見切り発車をした結果、こんな仕上がりとなったのかも知れませんね。   他にも「人形と二人きりの場面が多く、何時でも殺せたはずの主人公を殺さなかった理由が謎」(あえて推理するなら、完璧な人形のエラを誰かに人形と気付いてもらい、驚く顔が見てみたいというメアリーの欲望ゆえ?)「主人公の奥さんを殺した理由は妊娠していたからという種明かしの通り、メアリーは復讐の為に過去の事件に関わった血族だけを殺していたはずなのに、血の繋がりが無い警官もアッサリ殺しているのは一貫性が感じられない」など、色々と気になる点が多い本作。  でも、演出が上手い為か、如何にもなホラー映画としての雰囲気が心地良いせいか、観ている間は楽しかったし、自分としては結構満足ですね。   人形や登場人物など「ソウ」や「インシディアス」との繋がりも匂わせている為、監督さんのファンであればチェックしておく事をオススメしたい一本です。
[DVD(吹替)] 6点(2017-09-21 00:14:20)(良:1票)
230.  7つの贈り物 《ネタバレ》 
 所謂「いい話」であり、感動的に仕上げられた品だと思います。   ただ、映画として「面白かった」「楽しかった」とは言い難い内容でしたね。  理由としては、冒頭で「主人公は自殺する」と分かってしまう事。  そして、かなり早い段階(映画が始まって十五分ほど)で「いずれ死ぬ主人公は、自分が贈り物をする相手は誰にすべきかを審査している」という真相まで種明かししている事が挙げられそう。  「贈り物」=「臓器移植」である事も、審査対象となる人物の顔触れで分かるようになっているし、根本的に「謎解き」要素が据えられていないのですよね。  だから観客としては「この先どうなるんだ?」「彼は一体何が目的なんだ?」という興味を抱き続ける事が出来ない。   である以上、この映画のメインは「主人公による審査」となる訳ですが、それがどうにも単調で、正直退屈なんです。  なんせ悪人は序盤の医者くらいで、後は悉く「善人」「合格」なのだから、余りにも予定調和な展開。  死期が迫っているヒロインと恋仲になり「余命僅かな難病物」のテンプレをなぞる形になる辺りも、更に既視感を強めていた気がします。   唯一、それを崩すアクセントとして「臓器移植ではない、住居提供」のシークエンスがあるのですが、それも「家庭内暴力を受けている女性と、その子供達を救う」というお約束展開なせいか、まるで目新しさを感じないから困り物。  勿論、王道だからこその魅力は盛り込まれていましたし、自分としても、この中盤の「家を譲る」件が一番感動したのですけどね。  ただ、その結果「感動のピークは過ぎたのに、主人公とヒロインとのやり取りを一時間近くも見せられる」という事になってしまい、折角の感動も冷めてしまった形。   盲目の青年とウェイトレスの微笑ましい会話や(このままでは、彼女に愛情を抱かれてしまう)と察した主人公が、あえてヒロインを冷たく突き放す件など、好きな場面も幾つかあるのですけどね。  もう少し全体のバランスが違っていたら「いい話」ではなく「良い映画」と表現出来ていた気がします。
[DVD(吹替)] 5点(2017-09-13 19:22:47)(良:1票)
231.  パーフェクト・ストレンジャー(2007) 《ネタバレ》 
「お金は諸悪の根源よ」 「諸悪の根源は、金を愛する事。愛だ」  という男女の会話が印象的。  最終的に、男の方は「愛」ゆえに彼女に無防備に近付いて、その結果殺された形にも思えるし、中々皮肉が効いているように思えます。   この映画の是非に関しては「主人公が犯人だった」というお約束オチを受け入れられるかどうかに掛かっているのでしょうが、自分としては「ギリギリOKなんじゃないの」という感じでしたね。  女友達との駅でのやり取りが、とても仲良しには見えなかった事や「お母さんによろしく」という台詞が伏線であった事には、素直に感心。  父親の話題を出された際に、意味深に話を逸らしてみせたのも「性的虐待を受けていたから」と思わせておいて、実は「父親の死の真相を知られたくないから」だったと分かる形になっているのも、上手かったと思います。  勿論「やり方が回りくどすぎる」「主人公が犯人というオチありきで無理やりストーリーを組み立てている」など、ツッコミどころもあるにはありますが、何とか許容範囲内でした。  予備知識は殆ど仕入れず、先入観を持たないで観賞したのも幸いしたのかも知れません。   「マイルズはセクシー」の場面における、ストーカー的な気持ち悪さも良く出来ていたと思いますし、最後の最後、ようやく秘密を知る人間を全て始末したと思っていたのに、それさえも元上司に見られていたという「そこまでやるか!」なオチも結構好み。   映画の大半を占める「会社への潜入行為」「ブルース・ウィリス演じるハリソン・ヒルとの駆け引き」などには魅力を感じず、退屈な時間も長かったのですが、最初と最後が綺麗に繋がった感覚を味わえたし、満足度は高めでしたね。  期待して観ていたら「期待外れ」だったかも知れないけど、期待せずに見たせいか「意外とイケるじゃん」と思えたというか、そんな感じの一品でありました。
[DVD(吹替)] 6点(2017-09-13 00:47:54)
232.  DOOM ドゥーム 《ネタバレ》 
 王道の娯楽アクション映画ですね。   序盤に研究所の職員達が逃げ惑い、閉ざされるドアに挟まれて手首が千切れちゃうシーンなど、掴みも上々。  盲腸の手術痕によって、怪物が元人間だと気が付く件も良かったし、BFGを発見するシーンに関しては、原作未プレイな自分ですらテンション上がるものがありました。  「後ろにいるんだな?」って台詞も、お約束だけど面白かったです。  そして何といっても、クライマックスのFPS風演出が楽しい。  ゲームならではの臨場感を映画的手法として取り入れたという意味においても、非常に価値ある数分間だったんじゃないかな、と思います。   その一方で、ゲームとは違い「主人公が誰なのか分からない」という映画ならではの特徴を活かし「隊長役のザ・ロックではなく、カール・アーバンこそが真の主人公だった」というネタも盛り込んでいるのですが……  これに関しては、ちょっと微妙に思えてしまいましたね。   まず、種明かしを勿体ぶっているせいで衝撃が薄れている点が痛い。  唐突に豹変させるのではなく、段階を踏んで丁寧に「実は隊長は主役ではなく、悪役」と描写するのは誠実だと思いますが、ちょっとやり過ぎかと。  せめて、命令に従わない部下を殺した時点で種明かしをしていても良かった気がしますね。  その時点で観客としては「こいつがラスボスか」と分かっているのに、その後も隊長は味方側のままストーリーが進行し、最後になってようやく明確な敵となる形なので「そんなの、とっくに分かっていたよ」と白けてしまうんです。  今となっては悪役のザ・ロックって結構貴重だし、上手く描いてくれていたら、ラスボスとしての暴れっ振りを素直に楽しめたかも知れないなと思うと、非常に残念。   ストーリーの流れとしては「隊長に殺された同僚達の仇を討つ主人公」という形なのに、主人公と同僚が全然仲良く見えなかったというのも難点ですね。  唯一まともに交流し、絆が窺えたのはヒロイン格の双子の姉だけであり、彼女だけは死なずに共に生還する訳だから、敵を倒しても復讐のカタルシスなんて皆無なんです。  これは如何にも寂しいし、勿体無い。   そういう細かい部分を、もうちょっと何とかしてくれたら「傑作」と言えそうなポテンシャルは窺えただけに、惜しくなってしまう一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-09-12 21:31:10)
233.  カンガルー・ジャック 《ネタバレ》 
 監督の前作「コヨーテ・アグリー」は好きだったので、期待を込めて観賞。   序盤からカーチェイスを盛り込んだりと、観客を楽しませようとしている作りなのは分かるのですが、今一つノリ切れなかった気がしますね。  全体の雰囲気などは好みなのに、細部に引っ掛かる点が多かったです。   例えば「義父のサルは主人公達を殺すつもりだった」と序盤で分かる以上、終盤にて何らかのどんでん返しがあるだろうと思っていたのに、全然そんな事は無かったりするんだから、これは如何にも寂しい。  それでも、そこをサラッと流すなら気にならなかったかも知れないけど、如何にも衝撃の事実を明かすかのように「分かってねぇな、坊や」と悪役が種明かしする形なんですよね。  観客の目線からすると「そんなの、とっくに分かってるよ」と呆れちゃうし、その告白に対して驚いている主人公達には、距離を感じてしまう。  映画のクライマックスにて、こういう事をされちゃうのは、大いに興醒めです。   カンガルーやラクダなども登場するけど、彼らを可愛いとも面白いとも思えなかったのも、辛いところ。  激辛キャンディーを舐めて悶えるとか、おならネタとか、何ていうか扱い方が下品なんですよね。  だから「画面に動物が映っているだけでも癒される」って事も無いしで、ちょっとキツかったです。   長所としては、飛行機内でのやり取りや、絶景の滝で水浴びする場面など、きちんと「旅行映画」ならではの魅力を感じ取れる内容であった事。  そして、主人公チャーリーとルイスの友情が微笑ましく、気持ち良いハッピーエンドであった事が挙げられそうですね。   特に終盤、崖から落ちそうなルイスをチャーリーが助け、子供時代に命を助けられたという借りを返し、二人が対等の関係になる流れなんかは、凄く良かったです。  「これでチャラだ」  「お前と俺とは、負い目だけで結ばれていたんだ」  と会話を交わし、いつも迷惑を掛けてばかりな相棒から離れようとしたルイスを「それは違うよ。ずっと必要だった」「これまでの人生で、人に話せるような話は、どれもお前と一緒だ」と言って、チャーリーが引き止め、笑顔でハグし合う場面は、本作の白眉かと。   二人の友情を描いた部分だけでも、観て良かったなと思えた映画でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-09-10 19:59:37)
234.  Mr.ボディガード/学園生活は命がけ! 《ネタバレ》 
 オーウェン・ウィルソンという人は、綺麗な金髪で二枚目なのに、こういう「負け犬男」を演じても妙にハマっているから不思議ですね。  どこか間の抜けた感じや、愛嬌があるからこそ出来る芸当なのだろうけど、それでいて元々のルックスは良いものだから「ダメ男でも、やれば出来る」を実践してみせるシーンで、しっかり説得力があったりする。  これは俳優さんとして、凄く強みになっているんじゃないかな、と思います。   そんな彼を主演に据えた本作は、お約束の「スクール下剋上映画」であり、特に目新しさは無い内容。  セス・ローゲンが原案と脚本を担当している為か、子供達三人のキャラクターも「スーパーバッド 童貞ウォーズ」と似通っており、既視感を覚えてしまうくらいでしたね。  でも、だからこそ安心して、しっかり楽しむ事が出来たように思えます。   子供側の主人公であるウェイドの義理の父が「私もイジメっ子だった」と誇らしげに語るような奴だったもので、彼と弟達が逞しくなったウェイドを見直すなり、幼少期にイジメていた相手に仕返しされるなりの顛末を迎えるかと思ったら、何にも無しで拍子抜けした事。  そしてヒロインの女教師が主人公を許し、刑務所に迎えに来るまでの心理描写が足りないように思えた事など、細かい不満点は色々あるんですが、面白い部分の方が多かったです。   物凄ぉ~くベタなんだけど、最初は金目当てでボディガードを引き受け、子供達を騙していた主人公が、徐々に優しさに目覚めていく流れが良いんですよね。  最初からそうなるって分かっていたし、見え見えのあざとい展開かも知れないけど、やっぱりグッと来ちゃう。  一緒に撮った写真を渡し「作戦が終わっても友達でいて」と訴えられて、何とも言えない表情を浮かべる辺りなんかは、特に好き。  一度は仲間を見捨てたかと思われたがエミットが、土壇場で「やっぱり仲間だった」と証明し、一緒に戦ってくれる展開も、これまたベタながら素敵でありました。   クライマックスの喧嘩に関しては、あくまで「リーチが長い」で通して、ウェイド達が自力でイジメっ子達を倒す方が良いんじゃないかなとも思いましたが、主人公が助けに来てくれる展開も熱かったし、判断が難しいところですね。  とはいえ、相手が十八歳で成人していると分かった途端、容赦無く殴り飛ばして「本当に強かったんだ!」と驚かせてくれる主人公の姿に関しては、実に痛快で、大満足。  日本刀を掴み、子供達の命を救った訳だけど、作中で過度にヒーロー扱いされる事は無いというバランス感覚も良かったです。   窃盗やら軍法違反やらの罪状で逮捕され、しっかり罪は償う事になる。  でも、たった三週間で出所して、ヒロインと子供達に再会するハッピーエンドを迎えてくれるから、後味は悪くないし、妙な罪悪感も残らないしで、とても爽やかな終わり方。   作中で描かれる「特別な時間」が過ぎ去った後も、彼らはずっと仲間のままなんだろうなと思える、良い映画でした。
[DVD(字幕)] 7点(2017-09-05 23:21:06)
235.  バウンティー・ハンター(2010) 《ネタバレ》 
 愉快な雰囲気の映画でしたね。  追う者と追われる者、賞金稼ぎと賞金首が元夫婦であり、二人が追いかけっこを通して、徐々に復縁していくというストーリーラインも良かったと思います。   ただ、自分としては今一つ楽しめなくて……その理由は、主人公の性格。  野性味があって、毒舌で、所謂ツンデレ気質でと、女性目線なら魅力的なキャラクターに思えたかも知れませんが、単なる「嫌な奴」としか思えない場面も多く、感情移入するのが難しかったです。  演じているジェラルド・バトラーは嫌いじゃないし、なんだかんだで一途な男なんだろうなぁ、って事は伝わってくるんですが、あまり応援出来ないタイプ。  元妻の家に忍び込んで、トイレの便器に歯ブラシを落としたり、録画されていた番組を消したり、ベッドの上でスナック菓子を貪り枕で口元を拭うシーンなんかは、流石に呆れちゃいましたね。  しかも、そこをさも痛快な復讐劇みたいなタッチで描いているもんだから、どうにもノリ切れない。   監督さんは傑作映画「最後の恋のはじめ方」なども手掛けられているし、全体的な演出や音楽の使い方なんかは、結構好みだったんですけどね。  カジノのシーンにおける「最初は乗り気じゃなかったヒロインも、勝ち続けるにつれ段々ヒートアップしていく」という流れや「軍資金片手にエレベーターに乗り込んだ主人公が、次の瞬間には酒のグラス片手に出てきて、ボロ負けした事を示す」という表現なんかも、良かったと思います。  「主人公とヒロインは元夫婦である」という設定も活かされており、互いを知り尽くしている夫婦ならではの会話が劇中に散りばめられている点も、好感触。   で、そんな主人公カップルを囲む脇役陣はというと……ヒロインの母親は結構良い味出していたけど、精々それくらいで、他は微妙に思えちゃいましたね。  中でも、ヒロインに片想いしている男のエピソードなんかは、本筋に全然関係無いし、人違いで骨を折られたりして悲惨な目に遭うだけなので、全然笑えない。  主人公目線なら「俺の元妻に言い寄るから悪いんだ、ざまぁみろ」と思えたかも知れませんが、ちょっとキツかったです。   「結婚記念日を一緒に過ごす為、嫌味な警官を殴って主人公もヒロイン共々逮捕され、檻の中でキスをして終わり」というハッピーエンドに関しては、中々オシャレだし、綺麗に纏まっていたと思います。  終わり良ければ全て良し……という程ではありませんが、この結末のお蔭で、そんなに後味は悪くない。  まずまずの満足感を味わえた一品でした。
[DVD(吹替)] 5点(2017-09-05 18:36:41)(良:2票)
236.  ノウイング 《ネタバレ》 
 「お前と」「パパは」「ずっと一緒」「何時までも」という手話は、絶対伏線だろうなと思っていたので、それが当たっていて嬉しかったですね。  永遠の別れとなるはずの場面にて「ずっと一緒」と父子が伝え合う姿には、グッと来るものがありました。   飛行機事故や電車事故の映像なども迫力があったし、ちゃんと「終末映画」としての娯楽的要素も満たしているんですよね。  とても宗教的な内容でありながら、さほど胡散臭さを感じさせなかったのは、作り手に「観客を退屈させない、楽しませる」という意識があったからこそだと思います。   「預言を知った主人公が惨事を警告したら、予告テロかと疑われる」という、この手の映画のお約束ネタを盛り込んでくれる辺りも嬉しい。  実はこれ、劇中でそれほど重要とは思えなくて「別にやらなくても話としては成立したよな」という部分だったりするんです。  でも「やっぱり、こういう映画なら、このネタはやっておかないと!」とばかりに実行してくれたんだから、観ているこちらとしては、ニヤリとさせられました。   不満点としては、上述の息子と別れるシーンでの「最後の手話」が良かっただけに、その後の「主人公が父母と妹と抱き合って迎える、地球消滅の瞬間」が、ちょっと蛇足に思えてしまった事でしょうか。  作中の描き方としても、主人公は明らかに父や妹よりも息子の存在を重視していた訳だから、如何にもオマケ的な付け足しというか「ついでに和解してみた」感があったんですよね。  そもそも父親との長年の確執についても「今となっては、理由も忘れた」と作中で言っているくらいなんだし、映画のラストに「父との和解」を用意するにしては、ちょっとフリが弱かったように思えます。  ヒロイン格かと思われた女性が、交通事故でアッサリ死んでしまうというのも、何だか拍子抜け。   新たな星でアダムとイムになった幼い二人を映し出して終わるのは、中々幻想的で良かったですし「世界の終わり」と「主人公の死」の中にも救いを見出そうとするような「前向きなバッドエンド」とも言うべき作風は、決して嫌いじゃないんですけどね。  丁寧に作られた、良質なSF宗教映画なんだろうな、とは思います。  でも、根本的に信仰心が薄い自分には、あんまり向いていなかったみたいです。
[DVD(吹替)] 5点(2017-09-04 10:34:10)(良:2票)
237.  アナコンダ2 《ネタバレ》 
 前作とは異なり「如何にも胡散臭いが頼りになりそうな男」が、一貫して味方側だったのが嬉しいですね。  ワニをナイフ一本で倒すシーンなんかもう、恰好良くて惚れ惚れしちゃうくらい。  終わってみれば、そんな彼=ビルこそが主役であり、当初主役格かと思われたジャックが悪役に転じるという構成なのですが、その辺りの「転換」描写も巧みでした。  始まってから大体四十分くらいでビルは「金よりも人の命が大事」ジャックは「人の命よりも研究(と、それによって齎される金)が大事」という考えだと分かる為、観客も自然と善悪が判別出来るという形。  そんな「主役交代」の仕掛けを用意する一方で、作中全体を通してのヒロインとしてサムも用意している為、視点が散漫に感じられる事も無く、素直に楽しめたように思えます。   序盤では「川下り映画」としての魅力を堪能出来たし、巨大な滝に落ちて船が壊れ、徒歩となった後も「吸血ヒル」「毒蜘蛛」など、様々な障害を用意して、飽きさせない作りになっている辺りも良い。  本命の「アナコンダ」は要所要所で襲い掛かる程度に留め、最終的には人類にとって最も恐ろしい動物である「人間」との戦いになる構成も、王道な魅力があったかと。   その他「JAWS/ジョーズ」や「サバイバー」をパロった場面ではニヤリとさせられるし、ビルのペットの子猿は可愛いしで、全体的に愛嬌がある作りなんですよね。  アナコンダの恐怖だとか、人間同士の争いで剥き出しになる醜さだとか、そういった面は薄味なんだけど、それゆえ気軽に、肩の力を抜いて楽しめる。  繁殖期の為、沢山の大蛇が集まっているという設定なのに、実際は単体の蛇に襲われるシーンばかりな点など、物足りなさを感じる部分もありますが「まぁ、面白いし良いか」と納得出来る範囲内でした。   最後は爆発オチで倒すというお約束も守ってくれたし、四人という結構な人数が生き残る事が出来て、妙に明るいノリで終わる辺りも好みでしたね。  総合的な面白さという意味では前作と甲乙付け難いですが、どちらが好きかと問われたら、本作の方を挙げちゃいそうです。
[DVD(吹替)] 7点(2017-08-22 10:06:54)(良:1票)
238.  アナコンダ 《ネタバレ》 
 こういった川下りを疑似体験出来る映画、好きですね。  「アフリカの女王」みたいなロマンス物も良し、本作のようなモンスターパニック物も良し、という感じ。  出発シーンにて、上空からグルリと回って船を映し出す件なんて、荘厳な音楽も合わさり「実際に船旅をしても味わえない程の高揚感」を与えてくれるように思えます。   しかしまぁ、映画冒頭の説明文「獲物を呑み込むだけでは満足出来ず、捕った獲物をわざわざ吐き出して、また新たな獲物に襲い掛かる」が伏線だったと判明するシーンには、もう吃驚。  ジョン・ヴォイト演じる悪役のサローンが、大蛇に吐き出された後、死にかけの体であるにも拘らずウインクしてみせるのだから、忘れ難いインパクトがありました。   サローンに関しては「殺す相手の目は見るな」「見ると亡霊が付き纏うぞ」などの台詞も恰好良く、悪党には悪党の魅力があるのだと教えてくれた気がしますね。  もしかしたら生きていて、2で再登場する事も有り得るのではないか? と思えただけに、1にしか出て来ないのが残念です。   その他、あえて不満を述べるとすれば、贔屓の俳優であるオーウェン・ウィルソンが、散々な役どころだったという事くらいでしょうか。  一応、最後は川に落ちた恋人を救った末に殺されているけど、主要人物の中で一番情けないキャラクターだったように思えます。  物語の欠点と呼べるような類ではありませんが、彼のファンとしては寂しかったですね。  ダニー・トレホが冒頭でアッサリ死んじゃうのも、ちょっと勿体無い。   でも、その分他のキャラクターには見せ場が用意されており、バランスは良かったです。  ヒロインの恋人役であるケイルが、昏睡状態の身体を押してサローンを倒してみせたり、気弱で嫌味なだけの男かと思われたウエストリッジが、意外な活躍を見せたりと、気持ち良いサプライズ感を味わえました。   最後も、派手な爆発オチで大蛇を倒してくれるし「実は、まだ生きていた」なオチも交えて、二重に盛り上げてくれるしで、大いに満足。  当初の目的通り「霧の民」と遭遇するのに成功した事も、ハッピーエンド感を強めてくれましたね。   細かいツッコミどころはあるかも知れないけど、観賞後は、そんなの気にならなくなる。  楽しい映画でした。
[DVD(吹替)] 7点(2017-08-22 06:34:25)(良:2票)
239.  ディープ・ブルー(1999) 《ネタバレ》 
 以前観た時は何の疑いも無く、トーマス・ジェーン演じるカーターが主人公だと思っていたし、特に奇抜な内容だったという印象も残っていなかったのですが、改めて観賞してみると、色々と遊び心満載の映画でしたね。   まず、序盤は明らかに、サミュエル・L・ジャクソン演じるラッセルを主人公として扱っています。  俳優さんがビッグネームであるというだけに留まらず「海に浮かぶアルカトラズ」な研究施設に彼が訪れ、色々と説明してもらったり、人物を紹介してもらったりするという流れですからね。  観客の目線とラッセルの目線とが、自然に重なり合い、彼に感情移入してしまう形。  だから、中盤にて彼が食い殺されるシーンはショッキングだし(こりゃあ誰が生き残るか分からないぞ……)と思わせる効果もあるしで、非常に計算された構成であったと思います。   それも、ただ「予想を裏切る」「お約束の展開とは逆にする」という天邪鬼な作りというだけじゃなくて、ちゃんと観客が納得して、受け入れられるように作ってあるのが凄いですね。  上述のラッセル死亡シーンにおいても、事前に「水際は危険だ」と警告させているので、不意打ちの衝撃はあっても(こりゃあ反則だよ)という不快感には繋がらない。  カーターの存在にしたって、ルックスや性格を考えれば彼が一番主人公に相応しいし、何より劇中でもラッセルより先に登場しているので「実は彼こそが主人公だった」と後半に判明しても、自然と納得出来ちゃう訳です。   それは「一緒にビールを飲む」という生存フラグを立てつつ死んじゃったヒロインも然り。  「遺言ビデオを撮影する」という死亡フラグを立てつつ生き残った黒人コックも然り、ですね。  前者には「嫌な女だ」と思わせるような場面があったし、そもそも彼女が事態の元凶だったりする訳だから、死んでもそこまで衝撃は受けないし、逆に黒人コックは観客に「こいつは良い奴だ。生き残って欲しいな」と思わせる描写が色々あったからこそ、生存を素直に喜べるという形。    今の自分のように、伏線だの何だのアレコレ考えながら観て(おっ、このナンバープレートは「JAWS/ジョーズ」のパロディだな)とニヤリとしちゃうような映画オタクでも、昔の自分のように(男前さんだから、きっとこの人が主人公だろう)と直感的に考えるような初心な人であっても、等しく楽しめるように作られているのだから、これは凄い事だと思います。  ちゃんと中盤に爆発シーンという山場を用意しているし、サメが人を食い殺すシーンも間隔を開け過ぎず、それぞれ工夫して演出しているしで、シンプルな娯楽映画としてもレベルが高い。   敵となるサメが求めていたものが「自由」だったと判明するシーンも、情感が込められていて、良かったですね。  お約束の爆発と共にラスボスを倒した後「サメは本当に三匹だけか?」と、わざわざ確認して「生き残りに襲われるエンド」の可能性を摘み取ってくれる辺りなんかも、実に心憎い。   昔観た時とは、受ける印象が全く違ったけれど、それでも面白かったという本作品。  「期待外れ」でも「期待通り」でもない、不思議な満足感を味わう事が出来ました。
[DVD(吹替)] 7点(2017-08-18 06:41:39)
240.  オープン・ウォーター 《ネタバレ》 
 この映画を最も楽しむ方法とは「実話ネタである、という情報を元に観賞する」→「実話なら最低でも一人は助かったはずだ、と思い込む」→「二人とも死ぬのかよ! とツッコむ」ではないでしょうか。   で、自分はといえば「実話ネタ」という以上に「サメ映画」との情報を元に観賞したせいか、受けた衝撃は弱かったように思えますね。  「サメ映画である以上、実話ネタでも間違いなく話を盛っている」との認識があったせいか、ラストシーンの妻の自殺(?)に関しても「あれ、二人とも死んじゃうのか」とアッサリした感想になっちゃいました。   別に実話云々が絡まなくても、劇中世界に没頭していれば衝撃的な結末だったのでしょうが……正直、あまり楽しめなかったがゆえに「バッドエンドでも後味が悪くない」という形になってしまった気がします。  「実話なら生存者の証言を元に作られているはずなのに、それを裏切られた」という不快感も無い代わりに、特にハラハラドキドキもしなかったという形。   一見して低予算映画であると分かる作りであり、映像や音楽などが洗練されていないのが、観ていて盛り上がれなかった一因かも知れませんね。  こういう映画って、ついつい「アイディアが素晴らしい」「大金をかけた映画より遥かに面白い」と褒めたくなるものですが、ちょっと厳しかったです。   前半部の「旅行」パートが、あんまり楽しそうに見えない辺りなんかも、非常に残念。  やっぱり、そういう部分で観客のテンションを高めておいてこそ、その後の海中に取り残される絶望的な展開に、落差が生じる訳ですからね。  なのに、それが一般人のホームビデオ撮影みたいなノリで全然盛り上がれなかったものだから、正直ガッカリです。  問題を抱えた夫婦なのだから、能天気に描く訳にはいかない……って訳でもなく、明るい音楽が流れ、俳優さん達も笑顔を見せているんだから、ちゃんと観客側にも「楽しさ」が伝わってくるように仕上げて欲しかったところ。  サメの模型の口元に頭を突っ込んで、おどけてみせたりする辺りは悪くないだけに、勿体無かったです。   良かった点としては、サメを前にしてナイフを落としてしまう絶望感とか、眠った隙に互いが離れ離れになってしまうも何とか合流出来た時の安堵感とか、持ち物の中に飴玉があると知った時の喜びとか、その辺りが挙げられそうですね。  五十分近くも「海中で孤立する主人公夫妻」というシーンで引っ張る為に、あの手この手のアイディアを出してくれており、観ていて退屈させなかったのだから、これは素直に凄いと思います。  序盤にて、主人公夫妻が「我が家に帰ってくる」事を前提に電話をかけたり、防犯の為に自宅の電気を点けたままにしておく描写を挟む辺りも、皮肉が効いているというか、非常に残酷な描写であり、印象深い。   ハッピーエンドではないし、観ている間楽しかった訳でもないけれど「こういう映画があったよ」という形で、語り易いし、記憶に残り易い一品であったと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2017-08-16 02:26:01)(良:1票)
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