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61.  ブレードランナー 2049 《ネタバレ》 
公開終了間近に映画館で見られてよかった。ドゥニ・ヴィルヌーヴは『ボーダーライン』での絵作りがとても印象的だったので、期待通りのオリジナルな(でも前作ファンを怒らせない程度の共通項を持った)絵が満載で、定番の混沌とした都市だけでなく、冒頭の「農場」から、ラスヴェガスの廃墟、廃棄場、ラストの海から雪までどのシーンも美しい。この点では、2D字幕だったのが悔やまれる。本当はIMAXで見たかった。そして、この絵のなかで展開されるストーリーが本当に切ない。ライアン・ゴズリングはあまり好きな俳優ではないけど、彼にここまでどっぷり感情移入できるとは驚き。自身の存在を否定しながら生きてきた彼が、「自分は実は何者かであるんじゃないか」という思いを抱くことで生まれる残酷な物語。でも、その物語の顛末で「特別ではない生」を受け入れる姿は本当に美しい。遅いテンポもシーンへの没入感づくりという意味では正解。正直『ブレードランナー』1回目でこんなにエモーショナルな体験をするとは思ってもみなかった(前作で、「感動」できたのって何回目だったろう)。一方で、会話シーンなどの描き方にはやや不満あり。ウォレスの登場シーンは恥ずかしいくらいの過剰演出だし、デッカードとKの対話シーンは退屈。ただ、ジョイとラヴの登場シーンはテンポも演出もよかったので、単にヴィルヌーヴ監督(あるいは私)の趣味の問題かもしれない。いずれにせよ、失敗する姿しか浮かばなかったクレイジーなプロジェクトでここまでできればOKでしょう。十分に新しい映像体験だったと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2018-01-05 15:48:53)
62.  ムーンライト 《ネタバレ》 
オスカー作品賞!というタイプではないと思うけど、素直によくできた良作。アメリカの観客にとって説明過多にならない程度の省略なのだけれど、日本ではちょっと文脈がわからない部分が多いかも。でも、この省略のおかげで、スラムに住むゲイの黒人少年の半生といういかにもドラマティックな内容が、パーソナルで内省的な作品にうまく昇華したと思う。何より印象的なのは色彩感覚。ほぼ全員が黒人キャストだからこそ際立つ肌の色の描き方(そのトーンの多様性も含む)や、太陽や月の光の美しさ。『それでも夜は明ける』でも思ったけれど、最近の「黒人映画」は、各シーンの構図や配色がいちいち絵画的で、残酷な物語なのに(だからこそ)本当にうっとりするくらい美しい。その「絵」を見るだけでも見る価値あります。ストーリーは、主人公とそれを取り巻く人々(母親、父親代わりになるフアン、「初恋」の相手ケヴィン)のあいだの関係性の変化を丁寧に描いていて、これも好印象。オスカー脚色賞は納得。派手でドラマティックな展開ではないけれど大切にしたい一作です。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2017-04-21 16:51:10)
63.  ラ・ラ・ランド 《ネタバレ》 
3月の全日空国際線のシートモニターで観られるようだったけど、これはモニターで見てはいけないとぐっと我慢して、映画館へ。その甲斐はありました。私は冒頭のシークエンス大好きです。LAに住んでたこともあるので、ああやってフリーウェイの分岐路がドラマティックに使われたり、その向こうにダウンタウンが見えたり、(実はたいしたことがない)夜景をバックにダンスとか、もうそれだけで大満足です。ただ、この映画の本領は実はラスト15分にありました。あれでこの映画が描こうとしていたことが、単に夢を追うこととか、ラブロマンスとかだけではなく、もっと大きな「人生」そのものだったことが浮かび上がります。「ありえたかもしれない自分」「自分の隣にいたのは違う人だったかも知れない」という夢想の甘美さ、美しさ。「いま、ここに、この人といること」の偶発性。その儚さと、そうであればこその「いま」のかけがえなさの肯定。だから、ラストの2人の表情は本当に美しい。このラストで、それまでの90分とは完全に別の映画に化けてしまいました。まあ、ジョン・レジェンドの(楽曲も含めて)失礼過ぎる使い方も含め、ちょっと監督の(若さ故の?)「意地悪さ」が鼻につくところではありますが、ちゃんと現代だからこそのミュージカル映画になってるところはやっぱり魅力的です。
[映画館(字幕)] 8点(2017-03-17 23:11:19)
64.  マネー・ショート 華麗なる大逆転 《ネタバレ》 
面白かった。サブプライム・ローン問題についての最低限の知識と関心があれば、ついて行ける作りにはなってる。これをみれば、そもそもリーマンショックに結びついた金融バブル自体が、「今日ある繁栄は明日も続くはずだ」「みんなで言ってるんだから、そうに違いない」という非科学的な思い込みが、「事実」から目を反らして問題を先送りする制度をつくり出した結果であるというのが、本当によくわかる。そして、その「事実」に気づくのは、どこか現実世界になじめない人びとだったというのも面白い。とくに、スティーヴ・カレル演じる、善悪の判断にはこだわるのに空気を読まない偏執狂的モラリスト、マークのキャラ造形はお見事で、初登場シーンでは「絶対友達にはなれない」と思ったのに、最後にはその人間らしい表情に心を打たれてしまうのだから、映画って面白い(クリスチャン・ベイルのマイケルは僕には現実離れしすぎていたけど)。あと、金髪美女や国際的スター(笑)に金融問題を解説させるなどの面白い仕掛けも、重く難しくなりすぎない工夫として評価できる。でも、この映画の本当にすばらしいところは、現実問題に直接対峙しない、癒着と腐敗で凝り固まった金融業界を批判しながらも、主人公たちの「成功」が数百万単位の人たちの「破滅」を意味するという「大不況」の恐ろしさをしっかりと描いているところ。ブラピにそれを指摘されて思わず固まる若者投資家や、自分の予測があたったのに沈痛なマークやマイケルの表情、そして何よりも家を追われる人びとの映像などが、この映画が描いたのは「華麗なる大逆転」なんかじゃなくて、責任をとるべき人たちが取らない(取れない)金融業界の仕組みと、なぜこんなことが起きてしまったのか、という社会派ど真ん中のテーマだってことを物語ってる。いや、単にサブプライム問題だけじゃなく、根拠のないまま希望的観測だけで問題を見過ごしてしまう、いまの時代が背負ってる雰囲気(日本の少子高齢化とか、原発問題とかもそうだ)を描ききった映画だったと思う。だから、コンゲーム的なものを連想させる邦題は本当に最悪です。配給会社は猛省してほしい。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-01-22 18:19:44)(良:3票)
65.  マネーボール 《ネタバレ》 
本作自体が、劇中で実践されるマネーボール理論の産物のようにも見える。チームの絆とか、精神力とか、スター性とかではなく、「データ」で野球を変えた弱小チームの物語。だから映画としても、徹底したアンチドラマ、アンチクライマックスの作りで、主人公が自分の気持ちを叫んだり、誰かと熱く抱擁したり、チームが一致団結して困難に立ち向かう、的な描写は皆無です。主人公は、野球をちゃんと見ることはできないし、もう大丈夫かと思って球場にいったら11点差を追いつかれるという「もう、野球と関わるのやめたら?」と思ってしまう経験もして、チームと団結することもないし、監督(フィリップ・シーモア・ホフマン!)とも和解しないし、結局はチームの誰からも(さらにファンからも)感謝されない。唯一評価したのは、金満球団の1つレッドソックスという皮肉。ラストの「パパはおバカ」「本当に自分は野球を楽しんでるのか?」と娘の歌ににじむ涙は、GMという仕事の本質にこだわった男の誇り(だからレッドソックスのオファーは断るわけだし)と、それでも感じてしまう虚しさの両方を描いた名シーンだと思います。そのあたりは、人間の二面性・両義性を描く名人監督ベネット・ミラー&脚本アーロン・ソーキンだからこそできた名人芸でした。そして、本作最大のパラドクスは、この映画の主演・プロデュースが大スター俳優ブラッド・ピットであること。その矛盾をブラピ自身も理解していて、だからこその抑えた名演技だったと思います。この作品で注目されたジョナ・ヒルやクリス・プラットのその後の活躍を見れば、この作品が、ブラピという巨大な矛盾を抱えながらも、出塁率の高い才能あふれる俳優たちで作られた優れたアンサンブルであったこともわかります。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-09-19 12:20:17)(良:2票)
66.  ファインディング・ドリー
夏休みということで子どもと鑑賞。ストーリーはほぼ言うことなし。相変わらずのピクサー印で、ドタバタを楽しく見せつつも、一つ一つのアクションにちゃんと意味がある。とくに、ニモとマーリンが「ドリーならどうするか」を考えるところが素敵。たとえ記憶障害を抱えていてついつい「うっとおしい」と思ってしまう相手であっても、相手の目線で物事をみることが、自分との「ちがい」を知り、相手に「共感」して「理解」することへの第一歩だという素敵なメッセージだったと思います。でも押しつけがましくなく、新登場のキャラクターも個性豊かで魅力的。ハラハラしたり、笑ったり、驚いたりしながら、気がついたらピクサーらしい世界観にどっぷり浸かり、ちょっと優しい気持ちで映画館から出ることができました。欲をいえば、中盤から後半はアクションの連続で、位置関係がよくわからなくなったりしても立ち止まって考えるする余裕がなく、ヤマの盛り上がりにつながるようなメリハリがもう少しあってもよかったかな、と思うくらい。
[映画館(字幕)] 8点(2016-07-25 17:02:36)(良:1票)
67.  ズートピア 《ネタバレ》 
最近のディズニーの「社会派」ぶりにちょっと驚いてます。警察、差別と偏見、犯罪者と見なされること、犯罪者になること、これはいまのアメリカ社会に置き換えて考えれば、やっぱり警察と黒人の問題でしょう。そして、これは、2016年のアメリカで、この偏見や差別を煽ることによって支持を集めている政治家の問題でもある。そんなテーマに正面から挑みながらも、子どももちゃんと楽しめる(そして、そのメッセージもちゃんと伝わる)作品に仕上げた制作陣は本当に素晴らしいと思います。この映画の最も「社会派」なところは、主人公をこのような偏見や差別のサイクルから自由で超越した存在として描かなかったこと。もっとも偏見から遠いところにいる(と思われていた)ジュディが、その善良さゆえに、警察という立場から自ら偏見を持ち込むような発言をしてしまい、社会に分断を招いてしまうシーンは、大人の自分でも冷や汗が出るような恐ろしさでした。そして、そこからジュディが立ち直る過程こそ、この映画の本当のメッセージであり、テーマであったのだと思います。ただ、ここも最近のディズニーに共通するところですが、物語が複雑でガチャガチャしてしまい、落ち着きがないところ。出てくるキャラクターがそれぞれ魅力的ではあるのだけれど、個人的には種類が多すぎで、それぞれの見せ場が短い。もう少し展開やキャラを絞ってシンプルな成長物語としたうえで、この映画の重くて真摯なテーマを絡ませることは、たぶんできたと思う。あと音楽と映像(とくにズートピアの多彩なエリア)は、もちろん2016年の平均以上レベルだけど、でも、もっと出来たんじゃないかなとも思いました。とかグチグチ言っても、一緒に観た娘たちがケラケラ笑って楽しんで、帰りに「もう1回みたい!」と言ったことがすべて。小さな娘のなかに、現代という時代に向けた本作の大切なメッセージが、じわ〜っと伝わっていることを願っています。
[映画館(字幕)] 8点(2016-04-29 22:26:56)(良:1票)
68.  オデッセイ(2015) 《ネタバレ》 
明るいノリの火星サバイバル&救出作戦。危機的状況のなかで、人類の知性の結晶としての「科学」、人間文化としての「音楽」、人間らしさが集約される「笑い」と「チームワーク」のすばらしさをこれでもかとポジティブに描いた快作。マット・デイモン扮する主人公ワトリーはたびたび窮地に立たされるけれど、そこを科学と音楽と何よりもユーモア(とくにポテト畑壊滅の絶望的状況から立ち直らせるクルーとのブラックジョークのやりとりは感動的ですらあります)によって乗り越えていく。人種・宗教・国境による分断が強調され、分断を煽る人間が「指導者」面をする今の社会に対する強烈なメッセージであったと思います。ただ、一方で、あのリドリー・スコットが、なぜ、いかにもハリウッド映画という感じのラストの群衆シーンをわざわざこの映画に挿入したのか。あれ、なくても十分に話は作れるはずなのに。わざと皮肉でやってるとしか思えない。ただ、これが「群衆の醜悪さ」を描いた皮肉であったとすれば、映画自体のメッセージとも矛盾する。それから、ワトリーの家族が一切登場しない件。彼は孤独な人間であるからこそ、火星の孤独にも耐えたことができたのかもしれないけれど、裏を返せば、本作は、ふつう人間の可能性を根源とされる「家族」や「愛情」を敢えて描かなかった「人間賛歌」であり、その意味するところは実は深くて重いようにも思える。というわけで、鑑賞中はふつうに楽しく前向きになれるのに、見終わって考えると、実はこの映画のメッセージはもっと恐ろしいものだったのではないのかと思えてくる。そういう意味でのリドリー・スコット印。健在です。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2016-03-15 10:17:52)
69.  ランボー/最後の戦場 《ネタバレ》 
正直もういいだろうと思ってたし、残虐描写もすごいっていうので、未見でしたが、『クリード』見て以来、またスタローンが気になりだしたので、思い切って見てみました。前評判どおりのシリアスで残酷。グロ描写は苦手なので、拷問のような90分。そして、一時期ジャンル映画化していたアフリカ紛争ものにも通じる「ビルマ人の残虐性」をステレオタイプに強調してるところなど、素直に「よかった」と受け入れられない。軍が、白人だけをなぜ生かしていたのかなど(物語を進めるには必要でも)不可解な部分もある。ただ、この映画が凄いと思うのは、「キレイ事」と「暴力」との複雑な関係を丁寧に描いている点。この映画は善意あふれるNGOをある意味、嫌みたっぷりに描いていて、キレイごとを繰り返すマイケルが最後に人を殺すシーンは、ある種のカタルシスすらもたらします。でも、最後の大銃撃シーンの後の死体の山は、同時に暴力とか戦場とか「戦争」とは何なのかを雄弁に語っています。そして、最後に生き残ったサラがマイケルのもとにかけより、それをランボーが眺めるシーンが私たちに伝えるものは、AかBかという単純な選択ではない現実というものの重みです。「世界の現実」を描いたこの複雑な作品を、たった90分の「戦争映画」の傑作として、スタローンが自身の監督作品として作るなんて、2作目や3作目の頃には考えもしなかったこと。やっぱりスタローンという人は本当に面白いのだと認識を新たにしました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-02-24 12:17:16)(良:1票)
70.  ウルフ・オブ・ウォールストリート
この内容このテーマで、3時間ちゃんと魅せてしまうこと自体が凄い。スコセッシの演出も、ディカプリオの演技もキレキレです。口八丁手八丁で莫大な金を稼いでも、その使い途が結局はあの乱痴気騒ぎ。実は、少し前に、失業者や最下層の人々がドラッグで転落するドキュメンタリーを見たのだけれど、金はあってもやってることは結局一緒・・・。こんなに虚しいことのために割かれる膨大なエネルギーの不毛さ。あの「レモン」からのランボルギーニと電話のくだりは、もうディカプリオの演技力の壮大な無駄遣い(誉めています)。そして、映画全体のドラッグのような編集と音楽(胸を叩いて「んーっんっぽー」の中毒性・・・)。才気爆発とはこのことを言うのでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-01-09 10:34:19)
71.  ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 《ネタバレ》 
70年代懐メロとSFアクションの融合という技法は新鮮でとにかく楽しい! ダメキャラ5人(?)組が団結し、強敵に立ち向かうという物語の骨格はシンプルだからこそ、随所に散りばめられたチャレンジ精神が光る。コメディとドラマのバランスもよく、うまくハズしつつもきちんと伏線を回収し、物語の流れを損なわない演出技術は確か。正直、今回使用された70年代の「名(迷)曲」はよく知らない曲ばかりでしたが、それでも物語にしっかりハマってちゃんとこっちの気分を上げてくれるのだから見事です。むしろ、自分もよく知らない曲ばっかだった分、「Vol.2テープ」からのラストの(みんな知ってるアノ)2曲でガツ~ん! こういう憎い演出が随所に光ってて、まさに新感覚のSFファンタジーとして新しい流れを作るかもしれない。もちろん、物語的な突っ込みどころの多さ、物語がサクサク展開しすぎて「タメ」がない、5人があんまり極悪人に見えない、ハワード・ザ・ダック(苦笑)・・・などケチをつける箇所もあるけど、「ダークナイト」以降、リアル路線一辺倒だったアメコミ系大作の流れを変える可能性を秘めた快作。本国では興行的にも成功したみたいなので、次作では、ジェームス・ガン監督のカラーをもっと押し出して、これぞ新世代スペースオペラだ、というのがもっと見たい!
[映画館(字幕)] 8点(2014-10-10 06:13:43)(良:1票)
72.  her 世界でひとつの彼女 《ネタバレ》 
いやあ、スカーレット・ヨハンソンに「サマンサ」役をあてた配役の勝利。ハスキーで明瞭さに欠けるあの声は、ふつうに考えれば、もっとも人工音声向きではないのだけれど、これがドはまり。これを考えた人(スパイク・ジョーンズ?)はすごい。そのおかげで、人工知能との恋愛というテーマにも妙に自然に入っていけた。そして、恋愛って何だろうということを妙に深く考えさせるエピソードの数々。声だけのセックスはOK(ここは『恋人たちの予感』のメグ・ライアン以来の名シーン!)なのに人間の体を借りたら急に気分が下がったり、ラストのサマンサの告白をどうしても受け入れられないセオドアなどなど。久々にスパイク・ジョーンズらしい皮肉とユーモアと探究心が同居する世界を楽しめました。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2014-08-12 22:59:19)
73.  アナと雪の女王 《ネタバレ》 
昨年末に娘を連れてアメリカ国内の映画館で鑑賞。完全なこどもの付き添い気分だったので、「こどもの間で流行っているらしい」という情報のみで事前チェックなし。久々のピクサー以外のディズニー映画を映画館で見ましたが、意外といい・・・というか、いまや超有名な「Let It Go」のシーンは映画館で初めてみて、もう号泣。歌詞も、エルサが抱えてきた苦悩からの解放を描いてて本当にすばらしい(日本語版のこのシーンをYoutubeで見て、松たか子さんの歌はすばらしいと思いましたが、あの日本語歌詞は本来の意味を全く伝えていない・・・「姉」「長女」としての苦悩の部分が伝わってこないのが残念)! 正直、この映画はこのシーンがピーク。あとは、既存のプリンセスものの図式をうまくずらした展開はなかなかだし、オラフはキュートなキャラで「Some people are worth melting for」は名台詞でしたが、脚本全体はちょっと荒っぽく、残念な展開も少なくない・・・。なんか記録的な大ヒットとあとで聞いて、そこまでの映画かどうかはちょい微妙です。あとで知りましたが、日本では予告編でLet It Goのシーンをノーカットでオンエアしていたとのこと。でもあれは、その前の流れがあるからこそ感動的なわけで、あそこだけ見ても、まあ「いい曲だね」とか「CGきれいだね」で終わってしまうのが本当に残念。事前情報ぬきで、あのシーンを映画館で見て号泣できた私は幸せ者でした。あのシーンを最高の環境で見たいという理由だけで映画館に行く、というのもアリだと思います。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2014-03-18 01:27:28)(良:1票)
74.  (500)日のサマー
物語内の時間が前後して一回目はちょっと混乱したので(200~300日あたりの前後関係がごっちゃになった)二回見た。完全にトム目線のストーリーなので、後半のサマーの行動はちょっと理解できないものだけど、でもある意味「恋愛」とはそういうもの。自分目線でしか見えない世界で、相手が何を考えているのか、すくない材料から推測して一喜一憂しまくるもの。そういう姿を、あれこれの映像技法で楽しめます。恋愛があれば、人生はミュージカルにだってなるし、都合のいい妄想と現実とのギャップに引き裂かれるときだってある。それを本当に映像にするというアイデアの勝利(まあ、『アニー・ホール』という偉大な先達があるわけですが)。十分おっさんになった今ではやや達観しながら楽しめましたが、たぶんイケてなかった10代~20代の頃にみたら悶絶して即10点付けそうな、愛すべき作品です。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2014-02-08 02:38:39)(良:1票)
75.  アメリカン・ハッスル 《ネタバレ》 
若手演技派オールスター総出演という感じの本作。コンゲームを主題に置きつつも、物語の焦点はどちらかというと登場人物たちの愛情・感情のもつれ合いっていうところが本作のポイント。そこは、芸達者な俳優たちのおかげで、どこまでが詐欺のための演技で、どこまでが本気の感情なのかもわからず、見ている側は混乱しまくった挙げ句の「どんでん返し」のラスト。スカッとするというよりは、もう1回みてあれこれ確認したくなったのが正直なところでしたが、映画館ではそれが叶わず。エイミー・アダムスは、ちょっと影のあるセクシー美女をうまく演じきったけど、個人的には、ジェニファー・ローレンスが面白かった!空気を読まずに暴走する彼女に会場も爆笑。ただ、中年女の役を演じるには、お肌がキレイすぎたような・・・(映画館の大スクリーンだとそれがよくわかってしまう)。それにしても、これだけクセのあるキャラを見事なアンサンブルへと昇華させたデヴィッド・O・ラッセル監督の手腕は見事。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2014-01-27 12:58:08)
76.  ビフォア・ミッドナイト
前作から9年。そのあいだにジェシーとセリーヌのあいだに双子の娘が生まれ、2人の関係も前2作までとはうって変わって「生活感」と「倦怠感」あふれるものに・・・。前作のセリーヌにもちらりと見えたリアリストな部分と、ジェシーのちょっと無神経な部分がそれぞれ加速して、もう2人の会話はひたすらかみ合わない。言わなきゃいいことを言ってしまい、ちょっとした言葉をひきずってしまって、結局悪い方へ悪いほうへと向かってしまう。ロマンティックな設定だった前2作と比べ、今作は恋愛成就の「その後」を、ひたすら痛い会話劇として描いてしまいます。でも、この映画の本領は、トゲがあるセリーヌの言葉やジェシーの無神経な態度の繰り返しのなかにも、恋愛モードによるオーラ抜きで生身の人間として関係をつくっていくさまが積み重ねられている部分。前作もそうでしたが、「会話」中心の構成でも「言葉」だけで伝わるわけではない人間関係というものを描いた映画として、あいかわらずのクオリティです。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2014-01-13 10:49:45)(良:2票)
77.  アルゴ 《ネタバレ》 
近年の映画で、ただ単に空港で出国する過程のシークエンスをこれだけ緊迫感をもったシーンに昇華させた例ってないんじゃないかな。ド派手なアクションや設定やCGを用意しなくても、その背景と登場人物が置かれている状況を丁寧に描けば、観客をドキドキさせることができるという、エンタメ映画の教科書のような佳作。もちろん、この映画にはイラン側の視点が欠けていて、アメリカ側の一方的な描き方だという、そういう前提で見るべき映画だと思う。しかし、アメリカ側の一方的な視点のなかでも、イランの人々が時々魅力的に描かれる点も付け加えたい。たとえば、ラストの空港の革命防衛隊の男。もっとも反米的なはずの彼が、映画撮影班だという一隊に最後に隙をみせてしまうところ。映画の絵コンテを興味深そうに見る男たち。もともと、すべての人たちを「公平に」描くことが難しいのであれば、今作のような方法は、ある意味、潔く、だからこそ描けているものもあると思う。ただ、アカデミー賞取っちゃったのは、ある意味、まずかったかも。この映画の潔さが、政治の文脈「のみ」で非難されるのは、ちょっと悲しい。
[映画館(字幕)] 8点(2013-03-11 06:04:01)(良:1票)
78.  ショート・カッツ
20年近くまえ、映画館で観た。まだ10代の自分には早すぎた気がして、撃沈した。そして、アラフォーの年末、ふと見返してみた。「ショートカッツ」というタイトルのとおり、短いシーンがめまぐるしく移り変わる。それがとにかくスリリング。ある程度まとまった「エピソード」を重ねるオムニバスとは全く違う。最初1時間は話も見えず、やっぱりしんどかったが、途中から突然物語がつながり、登場人物が生き生きと動き始める。そのへんは後発の群像劇『マグノリア』や『クラッシュ』とも似ているけれど、やっぱりぜんぜん違う。何が違うか考えてみたのだけれど、結局、この映画は、徹頭徹尾、登場人物のあいだの「関係」を執拗に描く。関係を欲望し、関係に絶望し、関係を喪失し、関係がうまれる。アルトマンらしい「文明批評」。唯一無二の映画体験だと思う。残念なのはラストかな。『マグノリア』の元ネタではあるといえるが、この映画に限っていえば、もっと別の可能性があったように思える。
[DVD(字幕)] 8点(2013-01-06 18:10:27)
79.  それでも恋するバルセロナ 《ネタバレ》 
ステレオタイプのオンパレードですが、それが本当に楽しい。軽薄なアメリカ人と情熱的なスペイン人。でも個人的には、その狭間で揺れるヴィッキーと「自分探し」を続けるクリスティーナの主人公の造形がすばらしいと感じました。情熱的だけれど破滅的なフアンやマリアの生き方に惹かれながらも、結局はそこに飛び込めない中途半端さ。この映画の魅力は、そんな凡人的な中途半端さを見事に表現しているところでしょう。これだけの大騒動を「ひと夏のバカンス」として済ますという、凡庸であるがゆえのしたたかさを描くシニカルなセンスは、ウディ・アレンならではといえるでしょう。
[DVD(字幕)] 8点(2011-01-09 21:39:41)
80.  ビフォア・サンセット 《ネタバレ》 
9年後の再会ということで、一見よどみなく話しているようで、それでいてお互いの真意をさぐりあっている様が本当にリアルだ。80分の短い映画だけれど、ほぼ全編しゃべりっぱなし。この映画の素晴らしいところは、「会話」が主役の映画なのに、登場人物の感情や微妙な関係性を描くのに「言葉」に頼っていないところ。その最たるものが、ラストのアパートのシーンだと思う。それまでしゃべりっぱなしだった二人だけれど、アパートの二人は、核心に触れるような言葉を交わすことなく、身振りと視線と音楽で「会話」する。そこから終幕への流れは、本当に素晴らしいものでした。脚本にも参加したという主演2人に拍手喝采です。
[DVD(字幕)] 8点(2010-01-26 14:14:24)(良:2票)
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