1541. マラソン マン
当時に観て歯のシーン以外は全て忘れた作品でした。今、観てみますと、キーンと脳天に響く痛みが全編から伝わってきます。ゼルの、寡黙で淡々とした面持ちで事を進める姿、ダイヤを見つめて欲に塗れた表情を浮かべる姿に、非人間的な底知れない冷酷さを感じます。これぞ悪役、いえ、悪魔の役というローレンス・オリビエには唸らされます。しかしながらストーリーが、ベイブのマラソンへの思い、父の兄弟達への思い、ドクはどういう立場の人物なのか、ドクとゼルの関係、ジェニウェイは結局何者なのか、エルザとゼルの関係、どれもが思わせぶりに描かれていながら中途半端で惹き込まれる所が無く物足りません。忘れてしまっていたのも無理はないと納得してしまいました。 5点(2004-12-18 20:32:28) |
1542. キャッツ&ドッグス
猫といえども悪の魅力を感じたかったのですが、大層な悪巧みを企んでいる割には、知性のカケラもないキャラクターは物足りません。ハイテク機器、組織力はこの物語では猫にこそ必要だった気がします。脚本はサッサと仕上げたという感じですが、観て楽しめる部分は結構あり、続編が観たいです。小学生の頃、飼っていた白い犬に眉毛を描いたところ、物凄く表情が豊かになって驚いた事、親にえらく叱られた事を思い出しました。 5点(2004-12-14 08:38:38)(笑:2票) (良:1票) |
1543. 黄金(1948)
《ネタバレ》 ハワード爺さんは酸いも甘いも知り尽くしているのでしょう。器の大きさが違います。ラストの高笑いは「降り出しに戻っても、生きていればいいんだよ」と言っているように感じます。茫然自失のカーティンがつられて笑い出したのには思わず頷いてしまいました。ハワードのように年を重ねた、上司、先輩、師匠が居てくれれば心強い事この上なしです。大金の誘惑に狂ってしまったドブスはハワードに言わせると正直者だからそうなったという事ですが、自分は大金に変わってしまう人間と大金にも変わらない人間の違いは人に対する優しさがある、なしの違いに思います。手に汗握る展開、三人の名演技。見応えのある作品でした。 8点(2004-12-13 18:20:37) |
1544. アンジェラの灰
《ネタバレ》 プライドだけは人一倍で、飲んだくれで、養う気概もないくせに、次々に子供を作る父親。親も時代も選べない子供が精一杯生きてゆく姿が描かれています。長男を応援していました。それなのに、自分が世話になった強欲金貸しばあさんの死体を横目に見て大金をネコババして、得意気に船代を払うのには糞尿バケツシーン以上に吐き気がします。あの行為は清濁併せ飲む行為では決して無いと自分は考えます。生きるためには誰でもそうするとでも言いたいのでしょうか。彼はその後の人生の一大事においても、「見つからなければ何をしても良い」という考えに基づいた行動をとるのでしょう。後味の悪い映画です。 2点(2004-12-13 17:56:57) |
1545. 刑事コロンボ/野望の果て<TVM>
上院議員を目指す者らしく目的の為には手段を選ばず、周到な計画で犯行に及び、発覚の恐れを微塵も持たないヘイワード。コロンボは一歩一歩追い詰めて行き、詰めの部分は「果報は寝て待て」とばかり彼が墓穴を掘るのを待っているようでした。ヘイワードが自分から動いてしまったのはコロンボを恐れてなのか、見くびってなのか、ラストのぐうの音も出ない表情から自分は後者だと思います。自分は愛人は若いだけでヘイワードがそうまでしても失いたくないという魅力を感じる事が出来ませんでした。コロンボは犯行の動機も見抜いていたようで今回の犯人は相手にとって不足があったのではないでしょうか。 6点(2004-12-10 23:31:13) |
1546. 刑事コロンボ/別れのワイン<TVM>
コロンボシリーズは、子供の頃放送が楽しみで欠かさず観ていました。毎回、犯人を応援していたのは言うまでもありません。この作品は犯人がワインを海に投げ捨てるシーンが強烈に印象に残っていました。30年振り位に観ました。何時もの、芒洋とした姿で覆い隠した、深い洞察力と権威に臆することの無い強靭な意志で犯人に食らい付いてゆくコロンボとは趣きが異なっています。人生でワインしか愛せなく、愛するものを守るため凶行に走ってしまったエイドリアンを見つめる眼差しに思いやりと敬意、悲しみを感じました。エイドリアンの完全犯罪の破綻がワインであるのも自縄自縛とはいえ悲しいです。コロンボの「自供してくれますね」「なによりも嬉しいお褒めの言葉です」には酔いしれました。上質なワインのように味わい深く、心地良い余韻が残る素晴らしい作品に乾杯。 9点(2004-12-10 06:21:08)(良:3票) |
1547. ボビー・デアフィールド
《ネタバレ》 F1レーサーのボビーと難病のリリアン。「死」を覚悟しながらも、その時をただじっと待っているのではなく、その時が来るまでの「生きる」力強さをお互いに感じとり、惹かれ合ったのではないでしょうか。二人の束の間の幸せは、お互いが一日一日「今日が最後かもしれない」と思いがあるからでしょうか、輝いて見えました。最期を看取る者、看取られる者の姿は二人ならではのもので、静かな様子にとてつもない悲しみを感じました。静かなパチーノもまた素晴らしいです。 7点(2004-12-01 23:47:10) |
1548. ローラーボール(1975)
土居まさるさんの実況で『東京ボンバーズ』のミッキー・角田、佐々木ヨーコ、ラルフ・パラディアスをアメリカチームが悪どく痛めつけるシーンに熱狂した自分(この頃既に悪役好き?)が、親に頼んで連れて行ってもらって観た作品です。ムーンパイが三人がかりで葬られる事のみ記憶に残っていました。29年振りに観ました。所々思い出すシーンがあり、懐かしかったです。組織対個人という事がテーマなのでしょうか、ストーリーはつまらなく退屈でした。ゲームの模様もただの殺し合いで、大昔にテレビの前でワクワクした思いとは程遠く興ざめしました。 3点(2004-11-29 05:35:00) |
1549. 恋人よ帰れ!わが胸に
無茶苦茶な邦題は別として、見応えのある素晴らしい作品でした。優しさや思いやりなど一銭の得にもならん、生きるのには不必要が信条のようなウイリーの、知恵を働かせ、絶対に引き下がる事無く何が何でも目的を果たそうとするえげつなさと、果たせなくても決して反省もせず落ち込みもしないド厚かましさは、何故か憎めない所があったせいか少し羨ましく感じました。人を疑う事を知らぬような、お人好しで純真な好青年ジャクソン。この両極端な二人が強烈なればこそ、どちらにもなりきれず、ご都合主義的に心が揺れ動くハリーの情けなさ、やるせなさが際立っていました。ジャック・レモンとビリー・ワイルダー監督の真骨頂を見せてもらいました。 9点(2004-10-31 00:46:20) |
1550. スピード(1994)
《ネタバレ》 バスはこの状況から如何にして脱するのか。もうハラハラ、ドキドキし通しで、飛行場での大爆発には心底スカッとしたものでした。緊迫感を後押ししてくれた音楽も記憶に残っています。その後の展開は大爆発の余韻のように感じました。悪役好きの自分にとってデニス・ホッパー演ずる偏執狂的ないやらしさに満ち溢れる犯人は、これぞ悪役といえる印象深さでした。あの対決とあの散り方はこの犯人には相応しくないように思いました。 8点(2004-10-31 00:34:43) |
1551. サンセット大通り
初めて観ました。ノーマの老いを受け入れられない姿は強烈な印象ですが、自分にはマックスの存在が圧倒的でした。ノーマに仕える姿は執事としての忠実さを超えたものを感じましたが、最初のご亭主だったとは・・・自分の想像をはるかに超えるものでした。無償の愛というのでしょうか。ラストシーンの、マックスの別れを覚悟したような眼差しは胸が痛くなり、最後の晴れ姿を見届けてあげるから悔いなく精一杯演じよ、という思いがこめられたような「アクション」 この一言には胸が一杯になりました。心に残る作品です。 8点(2004-10-30 23:49:34) |
1552. レオン/完全版
《ネタバレ》 他の職業とは違いミスをすると命が無くなる可能性が大きい殺し屋というのは、体力や技術と共に無感情でなければ勤まりませんね。超一流のレオンがマチルダに抱いた感情は、唯一愛した弟を失い殺し屋になりたいという彼女を見て、自分が唯一愛した女性を失い殺し屋になった過去が蘇り、殺し屋になるまでの人を愛する気持ちを思い出した事によるものなのでしょうね。マチルダのためにという感情を抱いて散っていった最期は切ないです。一緒に散ったスタン。モーツァルトだベートーベンだブラームスだとのたまいつつ、人の感情が抜け落ちた野獣のような所業と人間離れした表情は、悪役好きの自分にはたまらないキャラクターでした。【追伸】自分はモーツァルトファンですが、ベートーベンファンにもなりました。最近初めて聴きましたブラームスにはシビレました。ゾッコンです。スタンに感謝です。 7点(2004-10-28 21:55:56) |
1553. ブラック・レイン
当時の通勤途中で見かけたあの場所、この場所。スクリーンの中では妖しい魅力に溢れる光景で誇らしく思ったものでした。悪役好きの自分にとって松田優作の狂気に満ちた演技も日本男優ここにあり、と誇らしく思います。ラストシーンの百貨店の包装紙と健さんの表情は忘れられません。自分の思い出の作品です。 8点(2004-10-14 00:11:21) |
1554. レボリューション・めぐり逢い
子供が成人するまでは親としてあらん限り力を尽くし、独立して巣立っていくときは笑顔で見送る。パチーノ親子の絆の強さは胸に響いてきました。パチーノとナスターシャ・キンスキー、パチーノとドナルド・サザーランドの絡みは物足りませんでした。アメリカとは独立戦争当時から身勝手な理屈を振りかざす国だったように感じました。 6点(2004-10-01 00:40:34) |
1555. セルピコ
不合理だと誰もが理解しながらも決して口には出さずまとまっている組織の中にあって、筋を貫き通そうとしたセルピコ。仕事の実力、何事にも動じない精神力、信念、共感して協力してくれる者が無いと出来ない事ですね。理想を言うと、組織の為を思うなら、ヒラ刑事の現在は出来る限り我慢して、一日も早くトップになってやりたい改革をやる事だと思いますが。彼女はセルピコのもとを去っていきました。試練に見舞われた時、相手が自分と同じく苦しい事を分かろうともせず、自分の苦しみだけを喚きたてるというお馴染のシーンが繰り広げられ、ラスト、セルピコの側にいたのがアルフィのみだったのは寂しかったです。 8点(2004-09-20 00:46:22) |
1556. 恐怖の岬
リメイク版は何度か観ていますが、こちらは初めて観ました。弁護士一家は上品でリメイク版の濃い三人に比べてずっと良かったです。デ・ニーロが見せるあからさまな狂気より、ロバート・ミッチャムのふてぶてしい面構えの中に見える狂気の方に怖さを感じました。川の中での肉弾戦は観ていて物凄く力が入りました。 7点(2004-09-17 00:37:07)(良:1票) |
1557. ノッティングヒルの恋人
スーパースターが異国の本屋さんの冴えない店員さんに一目惚れするとは、いくら映画とはいえ声を大にして叫びたいです「そんなアホなーっ!」トランティニャンがアイアンズがバーンがパチーノが自分の職場に訪れて・・・けったいな妄想が湧き上がる自分にとって罪な作品でした♪ ヒュー・グラントはピタリと役にはまっていたように感じました。彼の友達の面々がとっても好感持てました。 7点(2004-09-02 00:46:36) |
1558. クルージング
ゲイの皆さんが集う酒場のシーンは、「人生いろいろ」と感じました。何度観てもラストが理解できません。 3点(2004-09-01 00:56:22) |
1559. 仮面の男(1998/ランドール・ウォレス監督)
そもそもこの作品、アイアンズが出演しているので観ました。頭はクール、ハートは熱いアラミスを優雅に演じる姿には満足しました。そして、初めて観たガブリエル・バーンは衝撃でした。眼差しがたまらなく、もうメロメロです。突撃シーンや最期のシーンは胸をかきむしるような、のたうちまわるような(初めてビデオで観た時、部屋で転がっていました。)たまらない気持ちになります。いい歳して何ですが、時々観ては喜んでいます。何時か劇場で観てみたいです。 8点(2004-09-01 00:30:15) |
1560. ロリータ(1997)
《ネタバレ》 遠い昔に失った初恋の人を思い続けて独身を通す人は珍しくないと思います。初老となってからロリータに偶然出会ったハンバート。ロリータは幼く無邪気な子供が好奇心丸出しでハンバートに接しているのに、理性も教養も持ち合わせているはずのハンバートは自制しようとするも効かず虜になってしまいます。ロリータの心が自分から離れて行くのを悟った時点で、ここらが潮時、いい夢見さしてもらったと自ら身を引くべきでしたね。アイアンズにそのような役どころは不似合いですか♪ 子供を宿してオバサン臭くなったロリータと再会した時のハンバートの絶望感は、自分の想像を遥かに超えるものなのでしょうね。何処の誰か分からない若い旦那は許せても、キルティは許せず挙句の果ての凶行は歪んだ嫉妬心からのように感じました。踏みとどまる事ができない者の悲しさを感じた作品でした。 9点(2004-08-29 22:12:12) |