Menu
 > レビュワー
 > S&S さんの口コミ一覧
S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2398
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作国 : 日本 抽出】 >> 製作国別レビュー統計
評価順1
投稿日付順1
変更日付順1
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  グレイトフルデッド 《ネタバレ》 
そうですね、確かにこの作品には園子温風味がありますね、それも暴走を抑え気味で撮った園子温映画って感じでしょうか。キリスト教が陰のモチーフであるところも園子温の作風に繋がるところがありますが、彼なら後半の爺さんとヒロインの激闘はもっとハチャメチャになることは間違いなしでしょう。正直言って感情移入できる登場キャラは皆無だしストーリーも暗くて後味は最悪ですが、なんか刺さるものがあったのは確かです。 10年前の映画ですけど、キャスト・スタッフの中で三人のキーマンが現在に繋がっている気がします。まずは監督の内田英治、10年前はまあ駆け出しに毛が生えた存在という感じでしたが、その後に力量を発揮してゆきついには『ミッドナイトスワン』で絶賛されることになりましたね。本作では脚本も彼が手掛けているがストーリーは自分には?だったけど、この独特の間の撮り方は好みです。次はヒロイン(なのかな?)役の瀧内公美、この役はオーディションで選ばれた女優デビュー作でしたがスターダスト所属ながらも脱ぎまで見せる根性を見せてくれます。彼女も順調にキャリアを積み、本年にはNHK大河ドラマにも出演しています。今後が愉しみですね。そして忘れてはいけないのは、プロデューサーも務めた笹野高史の殺される息子を演じた木下ほうか、最近文春に悪事が暴露されて警察沙汰にはならなかったけど芸能界からは追放状態、もうTVや映画に出演することはないでしょうね。プロデューサーだったことも災いしたのか本作の公式HPは存在しているけど閲覧不可能になっている、やっぱ本作自体も今後はCSでも放送が難しいのかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2024-06-07 23:01:09)《新規》
2.  雲の上団五郎一座 《ネタバレ》 
いやはや錚々たる面子、昭和の喜劇役者が勢ぞろいしていて壮観でした。エノケンが座長のドサ回り劇団が、四国の公演に赴く船上で東京から流れてきた(一応)インテリの演出家と出会いタッグを組み、彼の吹っ飛んだ演出のおかげで大入り満員、ついには大阪の興行会社の眼に留まり大阪でも大成功をおさめるというサクセスストーリー、言ってしまえば他愛もないお話しです。菊田一夫が大ヒットさせた舞台の映画化だそうで、21世紀になってからもジャニーズ(おっと放送禁止用語でした)WESTがアレンジして上演しています。はっきり言ってストーリーなんてどうでも良しで、喜劇役者たちのパフォーマンスを愛でる映画でしょう。やっぱフランキー堺は凄くて、彼のパロディ『勧進帳』での弁慶は必見です。そして見逃してはいけないのは三木のり平の芸のキレっぷりで、八波むと志とのコンビで演じる『切られ与三』は抱腹絶倒でした。いやはや、この人はほんとに凄い役者だったんですね。あと花菱アチャコ、あの中気の芸は現代では炎上必至のヤバさがありますが、これが上手いんだよなあ。一座の団長役のエノケンの出番が少なく意外と大人しかったのはちょっと残念だったかな。このストーリーは続編も撮られたりTVドラマ化されたりしたそうで、埋もれてしまうのは惜しいエンターテインメントだと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2024-04-12 23:12:21)
3.  空気の無くなる日 《ネタバレ》 
1910年(明治43年)に20世紀最初のハレー彗星接近がありましたが、日本では明治維新後初のハレー彗星との出会いだったわけです。約75年周期で地球に接近するわけですから現代人の感覚では生涯で一回もしくは二回は出会うことがあるイベントですけど、昔の日本人の平均寿命はまだ短かかったので、一度もハレー彗星を見ることなく墓に入る人が多かったと思います。当時は半端に科学知識が広まっていた時代にはなっていましたので、あやふやな情報が元になったパニックが日本でも一部の地方であったそうです。そんな史実をもとにした児童文学を映画化したのが本作です。 舞台は山奥の集落、平和に農業や牧畜を営む地区にハレー彗星接近の知らせとともにある情報が伝わります。彗星がもっとも地球に接近する七日後の4月20日正午、地球の大気が5分間消失するという驚天動地の新聞記事。なんでも彗星の長い尾が地球を包むのがその5分間なんだそうで、大気がその間彗星に吸い取られちゃうという説明だが、なんでまた大気が元に戻るのかはさっぱり謎。つまり5分間呼吸を止めていれば助かるという理屈なんだけど、校長先生や児童たちは一生懸命に洗面器の水に顔を突っ込んで挑戦するけど、そんなことできるはずがない。すると空気がつまった自転車のチューブを使えば5分間を耐えられるというアイデアが広まるが、チューブや浮袋みたいなものは全て地主が買い占めてしまう。かくして地主一族以外の村民は、地球最後の日を粛々と迎えることになります。 プロレタリア作家である岩倉政治が書いた原作は子供向け寓話の形をとっていますが、痛烈な資本主義批判が込められています。貧しい生活だが清らかに生きる農家の一家と対照されるのが、チューブを買い占めて一族だけで独占して生き残ろうとする冷酷な地主階級というわけです。この原作は戯曲化され、昭和の日教組全盛時代には各地の小中学校で児童生徒を使って上演されていました。実は小学校高学年のときに小生のクラスでも学芸会の演目にされ、校長先生の役で生涯ただ一度(今のところ)の舞台に立ったのは懐かしい思い出です。ウン十年ぶり映像作品として再会を果たしたわけですが、小品ながら映画としても結構良く撮れています。冒頭でハレー彗星の接近が特撮アニメーションで解説されるわけですが、東宝のスタッフやまだ駆け出しのうしおそうじが関わっているのも興味深い。左翼臭もそれほど露骨ではなく、地球最後の日を迎えるように死を受け入れて彗星接近の瞬間を待つ村人たちの様子もしっとりと描かれていましたね。フィクションとはいえ、海外の映画ではこういう人類滅亡の危機では暴動や略奪が起こる(まあ現実でもそうなるでしょうね)のが定番ですけど、死に向かって悟りきったように対処するところも日本人的なリアルさかもしれません。もちろん結末はハッピーエンドですけどね。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2023-10-03 22:20:22)
4.  狂った野獣(1976) 《ネタバレ》 
『暴走パニック/大激突』と同じ76年に二本だけ製作された東映カーアクションものですが、そのぶっ飛びぶりは『暴走パニック』を凌駕している快作です。どっちも渡瀬恒彦が主演でピラニア軍団の川谷拓三と室田日出男が出ているというのが共通点ですが、『暴走』では川谷が警官で室田が犯人、本作では室田が白バイ警官で川谷が犯人と逆のキャスティングになっているのが面白い。 銀行強盗犯の川谷と片桐竜次が路線バスを乗っ取って逃走を図るが、小市民丸出しの乗客の中にグラサン姿の動揺しない渡瀬恒彦がいて、ミステリアスな存在感で観る者の興味を引かせる上手いストーリーテリングです。渡瀬は実は前夜の宝石強盗の犯人で逃走中の身なんですけど、途中から渡瀬が運転するようになってからはひたすら暴走・暴走のまさに『スピード』状態!この役のために大型免許を取ったという彼が実際に運転しているというのも凄いですけど、クライマックスのバス横転まで彼がスタントなしでやったというのはもう開いた口がふさがりません。途中で疾走しているバスの窓から乗り込むというシーンも本人が演じているそうで、この人実は千葉真一に匹敵するスタント能力を持っていたんですね、知らなかった。室田日出男も猛スピードで走るバスの後部にしがみついたり、川谷も画面に映されるわけでもないのに志願して横転するバスに乗り込んだり、この頃の東映俳優たちはムチャしすぎです。バス乗客たちもみなキャラが立っている面々で、とくに女性陣がみな関西のおばちゃん気質丸出しなのが笑えます。終盤のバスとパトカー・白バイのカーチェイスも結構な迫力で、やはり『暴走パニック』よりも本作の方が面白かったと思います。こうやって見ると、深作欣二よりも中島貞夫の方が実はアクション映画の腕前は上だったんじゃないでしょうか。 それにしても70年代東映プログラム・ムーヴィーは、全盛期の新東宝を上回るぶっ飛び映画揃いで侮れませんよ。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-01-19 22:13:48)
5.  黒い家(1999) 《ネタバレ》 
原作未読なのでどこまで脚色されているのかはわかりませんが、噂の大竹しのぶの壊れっぷりにはほんとにゾッとさせられました。平成ももうすぐ終わりますが、その31年間の日本映画の中で最凶の怪演であることは間違いないでしょう。例の「乳吸え~」は誰が見ても別人なのはバレバレですけど、中盤の病院のシーンあたりから大竹しのぶが突然巨乳になっているのが笑えます。ラストの「乳吸え~」に備えての小細工だったんでしょうけど、若いころは平気で脱いでたくせにと怒りたくもなります。ぶっちゃけ歳とってボディラインが崩れてるので、熟女女優の方が脱ぎたがらないのかな。前半は大竹しのぶがあまり登場しないので余計になのかもしれませんが、西村雅彦もかなり気持ち悪かったですよね。 監督が森田芳光なので相変わらず奇をてらったショットの多用は平常運転です。でも若いころの才気が無くなってきてるのは顕著に感じられます、なんせ次回作が『模倣犯』ですからねえ。一番イライラさせられたのは内野聖陽のビビりキャラぶりで、あんなにガタイのいいイケメンがこの役とは、どう考えてもミスキャストだったんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-04-29 22:49:16)
6.  黒い十人の女 《ネタバレ》 
船越英二が演じる風松吉のキャラは、実はいろんな女優たちと浮名を流していた市川崑がモデルなんじゃないかな。それを奥さんの和田夏十が脚色しているところが、ある意味この映画で一番恐ろしいところかもしれません。とはいえ市川崑の死後雑誌に載った有馬稲子の赤裸々な手記などからすると、市川崑自身は風松吉みたいな優しさを武器にするタイプのプレイボーイではなかったようです。 物語自体はかなりブラックでちょっとシュール、冒頭から普通に演技している宮城まり子が実は幽霊だなんてこの時代の邦画にしてはかなり洒落た演出です。実質的にストーリーに絡むのは五人の女というわけですが、どの女優も芸達者なのが素晴らしい。とくに山本富士子と岸恵子の、決して荒々しいセリフを使っていないけどバチバチ火花が散るような演技対決は見ものです。船越英二のいかにも業界人らしい無責任な世渡りは秀逸、「彼は誰にでも優しくするけど、実は誰にも優しくないのよ」というセリフもありましたが、これはこの男の本質を鋭く突いています。ただ忙しくしているだけで決して仕事に情熱があるようには見えない船越英二が、会社を退職させられて岸恵子に軟禁されると急に「男の対面がつぶされた」と泣くわけでここにはなんか「お前キャラ変したのか」と突っ込みたくなりますが、実はここに高度成長期のサラリーマンの心理が良く出ています。実際は大して重要な仕事をしていないのに、脚光を浴びる業界にいるとそのこと自体に自分のアイデンティティを見出す、現代のサラリーマンにもあてはまるんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-02-28 00:11:28)
7.  軍旗はためく下に 《ネタバレ》 
監督が深作欣二で脚本が新藤兼人というおよそ東宝作品とは思えない布陣です。かねがね新藤兼人はその能力・思想信条において和製ドルトン・トランボと呼ぶに相応しい存在だと思っていましたが、この映画はトランボの『ジョニーは戦場へ行った』に匹敵する強烈な反軍思想の脚本だと思います。 かつての戦友たちを訪ね歩いて丹波哲郎の死の真相を知ろうとする左幸子の執念は、『ゆきゆきて、神軍』の奥崎謙三を彷彿させてくれます。丹波哲郎の最期についての記憶が訪ねた四人でそれぞれ違うのは(もっとも一人はウソをついていましたが)、推理小説の様な秀逸な語り口です。そのうちの一人である内藤武敏が勤務している高校で、彼が戦時中の記憶を語っているシーンでジェット旅客機が轟音をたてて着陸するカットが挿入されますが、いかにも時代の世相というか深作欣二の思想が感じられました(当時は成田空反対闘争の真っ只中で、過激派は“軍事空港ハンタイ”なんて言っていました)。そういう思想的な臭みも帳消しにするのが、左幸子の熱演です。やはりこの人は天才女優です。丹波哲郎も彼としては非常に抑えた演技で、「天皇…」と言いかけて銃殺される最期は涙を誘います。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2018-04-26 22:41:55)
8.  黒線地帯
新東宝のいわゆるライン・シリーズの中では、『黄線地帯』ほどのインパクトはないけどそれでもかなりテンポも良くて一般受けしただろうなと思います。考えてみると、三原葉子は天知茂と組むといい味が出るんですよね。これは石井輝男の脚本の功績であるのは間違いないです。この映画でも、天知茂が演じるトップ屋の軽妙で歯切れの啖呵は、聞いていて実に愉しいです。でも所々で急に天知の喋りが畏まった説明セリフになるところがあり、そこら辺は石井だけじゃなくて宮川一郎も脚本に参加していたからなのでしょうか。中盤にあるバーのシークエンスでは、言葉が喋れないホステスやモロにオカマと判るホステスが出てくるという不思議な空間で、いかにも石井輝男ワールドといった感じがして面白かったです。またカメラにもけっこう力が入っていて、新東宝にしては珍しく陰影のはっきりした画で登場人物のアップを撮っていて、石井輝男という人はけっこう画作りに拘った面も有ったんだなと再認識させられました。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2016-06-26 22:11:00)
9.  黒の試走車(テストカー) 《ネタバレ》 
モダニスト増村保造の面目躍如といった感じのキレキレのサスペンスです。映像も当時としてはかなりモダンで、増村らしい才気が感じられます。たとえば前半にあるバーのシークエンス、近景というかカメラのまん前でホステスが客を接待しているところを半身で捉えている、そして遠景では奥の席でヤマト自動車の馬渡が密談をしています、これが両者にきっちりピントが合っていて実にシャープです。タイガー自動車の企画課は倉庫みたいなところの二階にあって、そのロケーションを活かして上から下から観せるショットも多用されていて、こういうところもいかにも増村らしい。ストーリーも梶山季之の原作がしっかりしているから、タイガーVSヤマトのスパイ合戦のあの手この手を飽きさずに見せてくれます。まあ確かに、この映画の主役は田宮二郎ではなく高松英郎なんだと納得するしかないわけで、いくら高度成長期のモーレツ社員だと言ってもここまでくれば立派な犯罪者ですよ。当時はこういう生き方が肯定されていたわけなので、脱落してゆく田宮二郎の姿やラストの虚無的なセリフは世相に対する強烈なアンチテーゼだったろうと思いました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-03-23 23:21:48)
10.  黒部の太陽 《ネタバレ》 
長い間封印されていて短縮版しか観れなかった伝説の映画だけに、こうやって完全版が鑑賞できるようになったことは素直に喜ばしいと思います。■観始めてまず感じたのは、現代の日本人の感覚からはかけ離れた(忘れられた?)価値観に満ち溢れているな、ということです。まず第一にあんな雄大な大自然を発破で吹き飛ばしトンネルを掘るなんてことには、いまのエコ重視の日本人には到底受け入れがたいことになるでしょうね。でも戦後間もなく貧しかったころには、電気のこない生活と言うのは個人にも企業にとっても死活問題だったことを無視してはいけないと思います。それは発展途上国では現代でも切実な問題で、“節電”に苦労するなんて昭和30年代に生きていた人々には想像もつかない贅沢だったんでしょうね。まさに「衣食足りて礼節を知る」と言うことです。■三時間超の映画ですが、こういうプロジェクトもの映画が陥りがちな説明映像で物語を進行させる愚は極力抑え、映像にストーリーを語らせる工夫を凝らしているところは大作映画らしくなく良かったです。ときには会話音や効果音をシャットアウトして三船敏郎や石原裕次郎の無言の芝居に映像を集中させるところなんかも良かったと思います。裕次郎の親父を演じた辰巳柳太郎がまた感情移入許させない様な激しいキャラで、この親子の葛藤はなかなかの迫力でした。■関電をはじめ参画した企業が全部実名で登場しているところも現在の日本映画界からは考えられない骨太さです。中でも滝澤修の関電社長は迫力がありました、熊谷組専務に手をついて頭を下げるシーンなんか、もう一筋縄ではいかない怪物財界人という感じでしたね。反面、史実では170人以上の殉職者を出したということには事実上映画では触れていないというのはどうかと思います、描かれた死者は三人(描写はないけど寺尾聡もその後死んでいるんじゃないでしょうか)だけですから。考えてみれば病死する三船敏郎の娘は、工事の成功のために山の神に差し出された人身御供だったと解釈することもできます。■全篇“土方”“労務者”といった放送禁止用語だらけのセリフなので地上波では放映は不可能でしょうね(笑)。でも、大手メジャーの手を借りずにこれだけの大作を撮りあげた石原裕次郎と三船敏郎の映画人としての功績は、伝説としてこれからも語り継がれてゆくことでしょう。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-12-24 21:45:03)
11.  くちづけ(1957) 《ネタバレ》 
これが増村保造の初監督なんだけど、これがほんとに増村保造の撮った映画かと思うくらい瑞々しいタッチの作風なんですね。大人になりきれない子供といった感じの川口浩のキャラがまた良いんです。若いころの彼はセリフ回しに独特の歯切れの良さがあって、とくに増村作品でその傾向が顕著。これは増村監督の演出手腕の賜物と言えるかもしれません。川口浩が演じる大学生の、なんというか焦りに急かされている様な心情は良く判る気がします。野添ひとみも初々しくってイイなあ、じっとりしそうな役柄なんだけど、そこをあっけらかんとした明るさを前面に出して乗り切っています。そして、彼女が歌うちょっとレトロなんだけど情感たっぷりの主題歌がとても印象的なんです。 実は川口浩が川口松太郎の息子だと今回初めて知った次第ですが、母親の三益愛子まで共演していて“川口ファミリー劇場”みたいな様相です。川口浩は映画界で活躍したのはわずか五年余り、その後はご存知TV『川口探検隊』の人となってしまったのは有名ですが、個人的には同時代の裕次郎なんかより引かれます。演技力は川口の方が上だったんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-08-28 21:34:48)(良:2票)
12.  雲霧仁左衛門 《ネタバレ》 
何とも豪華というかムダに絢爛なキャストでしょうか! 八代目と九代目、松本幸四郎の親子共演なんて映画じゃ滅多に観れないもんですよ。でもこんだけ脇役にまで大物俳優が出ていると、かえって目移りはするしお話しが散漫になるので副作用が強いんだと良く判りました。女優の扱いがまた露骨で、岩下志麻(ミエミエのボディダブル・ヌード)、倍賞美津子(手拭いで胸を隠して入浴シーン)、宮下順子(ロマンポルノの人だからと言っても、初登場シーンはあまりにムダ脱ぎ)と監督の脳内での女優格付け順が露骨に判って失笑ものです。と言うことは、ただ一人エロに無縁な役だった松坂慶子がいちばんの大物女優だってことなんですかね(笑)。 せっかく“大江戸版ワイルド・バンチ”な食材なのに、下手な料理人のおかげで恐ろしく不味い料理が出来ちゃったと言うしかありません。チープな音楽に安直な脚本、この監督は撮り方がTV時代劇と基本的に変わっていないのが良く判ります。池波正太郎もさぞやご立腹だったんじゃないでしょうかね。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2013-12-23 20:13:56)(笑:1票)
13.  クライング・ゲーム 《ネタバレ》 
まるで出来の良い短編小説を彷彿させる語り口は見事です。この映画はスティーブン・レイとフォレスト・ウィテカーやその他の“男の友情”がテーマなのですが、その分ミランダ・リチャードソンが演じるIRA女テロリストの凶暴振りが強調されているのが上手い脚本だと思います。事件の発端だって、リチャードソンが“男の友情”に割り込んできたのが始まりですからね。そういう意味では“アンチ・フェミニズム”映画と言えるかも。
[DVD(字幕)] 8点(2011-01-23 18:45:36)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS