101. 昭和残侠伝 吼えろ唐獅子
鶴田、池部、高倉そろい踏みの、痛みがヒシヒシと伝わる大立ち回りの迫力。「義理」「筋を通す」事の苦悩。これ等をシリーズ中最も感じた本作。惜しむらくは物語の発端が駆け落ちであった事で今一つグッと迫ってくるものがありませんでした。 [DVD(邦画)] 7点(2012-06-09 14:16:44) |
102. 昭和残侠伝 破れ傘
筋を通そうとした者が命を落とす滅びの美学に惹かれる本シリーズ。今作では安藤昇にそれを見ました。特筆すべきは鶴田浩二の物凄い存在感。侠客とは、男の中の男とは、かくあるべしと見せつけます。風花コンビが霞んでいました。 [DVD(邦画)] 7点(2012-06-03 13:29:22) |
103. 死に花
《ネタバレ》 人も羨む悠々自適の毎日を送る老人が咲かせようとした死に花。優雅な悪巧みの成功譚は突っ込みどころ満載ですが名優達が醸し出す人柄にそれほど目くじらをたてることもなく。一方で目に焼き付いて離れないのが遠山貞子が咲かせた大輪の死に花。空前絶後の衝撃的なショット。生きていく張り合いや喜びについて考えさせられました。 [DVD(邦画)] 7点(2012-05-24 19:24:00) |
104. 昭和残侠伝 血染の唐獅子
今作の風花コンビの絡みは道行きを始めとして今一つ趣きに欠けていました。しかし、 本シリーズが魅せてくれる滅びの美学を存分に堪能できました。今作では竹>染次>風間重吉でありました。個人的に苦手な津川雅彦が唖然とするほどの男振りで、文代の「あんたも行くの」に答えた台詞に涙腺決壊寸前となり、「三社祭の馬鹿踊りだいっ」に鳥肌が立ちました。 [DVD(邦画)] 7点(2011-12-23 03:55:09) |
105. 西の魔女が死んだ
《ネタバレ》 慈愛に満ちて且つ凛とした祖母に癒されました。生き生きとしたスローライフをを見るにつけ、学校へ行けない等、子どもが皆と同じでなくとも恥じる必要はなく、荒んで腐ってしまうのを恥じるのだと思いました。ほろ苦い別れを経た永遠の別れ、無限の後悔にさいなまれた心を救うメッセージに祖母の有り難味を痛感しました。 [DVD(邦画)] 7点(2011-11-05 17:58:41)(良:1票) |
106. 噂の女
娘が母に代わって、店を切り盛りしている姿に、それまでの曲折を思い感慨深いものがありました。監督の女性に対する労わりと励ましが仄かに滲み出ている秀作。 [DVD(邦画)] 7点(2011-07-29 23:21:03) |
107. しとやかな獣
団地の一室二間を舞台としたホームドラマ。工夫を凝らしたカメラワークは飽きさせないもののそれ以上の意味を感じません。「獣」と言うよりは飼育ケースの中の食虫植物のよう。気味が悪くて薄汚いと見るか、種の保存の為の堂々とした営みと見るか、結論が出ません。始終交わされる会話の、お上品ぶって取り澄ましてのご丁寧な言葉遣いであっても、中身は恥知らずの下劣である様子から、監督の軽蔑が「しとやかな」に込められているように思えました。本作に限っては若尾文子は山岡久乃の軍門に下っていました。上には上がいるものです。恐るべし。 [DVD(邦画)] 7点(2011-06-19 15:48:15) |
108. わるいやつら
清張作品で個人的に最上の原作。びっくりするほど豪華なキャスト、捻りを効かせたラスト。なかなかの仕上がりだと思いました。 [DVD(邦画)] 7点(2010-09-03 00:04:54) |
109. 張込み(1958)
張り込み場所が都合良過ぎるのはご愛嬌。実直&無骨の二人組の、暑さに閉口しながらの地を這うような様子に、被害者の無念を晴らすという職務のリアルさを感じました。地味なテーマでありながら最後まで飽きさせない展開は見事。また、慟哭するなら、やらなかった後悔よりやった失敗に対するものでありたいと思わされました。 [DVD(邦画)] 7点(2010-08-22 00:51:19) |
110. バカヤロー! 私、怒ってます
シリーズ中では本作の安田成美、大地康雄、小林薫の耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ姿とそれが決壊する姿のみ今も鮮明な記憶があります。 [地上波(邦画)] 7点(2010-05-04 10:44:54) |
111. 狼(1955)
《ネタバレ》 マスコミに「群狼」と名づけられた五人組。「狼の皮を被った羊」達が「羊の皮を被った狼」達に翻弄される過程が実に実に丹念に描き出されています。時代の被害者であり且つ加害者であるという彼等に対する監督の視線に、胸が詰まってしまう作品です。 [DVD(邦画)] 7点(2009-11-29 14:35:09) |
112. ザ・ヤクザ(1974)
健さんの相手役にロバート・ミッチャムをもってきたキャスティングが絶妙。全編に亘り二人が醸し出す「不器用さ」に何とも言えない味わいを感じるのです。唯一の不満は、賭場への殴り込み。片手にショットガン、片手に拳銃のミッチャムの姿にクラクラ~ッときたのに、長ドスの健さんの活躍ばかりが目だった点です。別れ際にタラップ上でお辞儀をするミッチャムに、これはアメリカ人には解るまいと中学生の私が思った作品です。 [地上波(吹替)] 7点(2009-11-12 00:22:54) |
113. 火垂るの墓(1988)
あどけない妹を守れなかった兄の行為は浅はかの誹りを受けるものかもしれません。 しかし、兄とてまだまだ思慮浅き子供。 防ぎようのない天変地異ではなく、戦乱状況に子供を追い込んだのは意志を持った大人。 無慈悲に子供達の未来を毟り取っておきながら、「子供達の未来の為に」と謳う戦争指導者の浅はかさこそ万死に値します。 次世代に語り継がねばならない作品です。 [地上波(邦画)] 7点(2009-11-10 14:47:17) |
114. 雨月物語
《ネタバレ》 御伽噺を思わせる内容の中で、幼子が食べる前に母の墓に供えて手を合わせるラストシーンにハッとさせられました。宮木への供養はその思いを汲み取って生涯を送る事であり、誰にもあてはまる事なのだと痛感させられます。映像と和楽によって、妖艶かつ物悲しい世界に惹き入れられます。ご参考までに、ビデオの台詞は幸いにしてクリアでした。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-10-14 18:42:32) |
115. お吟さま(1962)
妻を持つキリシタン大名の高山右近と千利休の娘(実の娘ではない)吟。双方が思慕と倫理観の狭間で錐揉みする姿のみ描かれていれば辟易したことでしょう。しかし、秀吉・三成と千利休の確執が盛り込まれている事で奥行きの深い物語になっています。とりわけ千利休が示した娘に対する慈愛の深さ、宗匠としての巌の如き威厳。それぞれの神々しさは神の領域でした。結末の理不尽さ・非情さを際立たせる音楽、桃山文化(ですか?)の凛とした気品が漂う衣装も心に残る、一級の作品です。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-09-18 14:57:19) |
116. 赤線地帯
「夢の里」の人間模様。遊郭モノにありがちな、殊更おどろおどろしく描かれる男女の絡みや同性の取っ組み合いはありません。そのようなものが無くとも、個性がそれぞれ際立っている五人から共通して「生き抜いてやる」意志を感じた見応えのあるドラマでした。ですから、ゆめ子には何としても快復して欲しいと思うのです。余韻が残るラストシーンの演出が見事です。 [DVD(邦画)] 7点(2009-08-28 15:02:21) |
117. レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―
《ネタバレ》 「続編を映画館で」Part1を観た直後から待ち遠しかった水曜日。満を持しての鑑賞となりました。将の智略の妙を堪能し、尚香と一兵卒と同様な心情を持ち合わせた何十万の兵士の壮大な肉弾戦では、業火に彼等の思いが表れているようで鳥肌が立ちました。ですので史実であったとしても結末が残念でなりません。曹操の首を取れなかったのならともかく、取らなかった。これでは死者が浮かばれない。取った上での「戦争に勝者なし」なのではないか。と思います。 [映画館(字幕)] 7点(2009-08-05 23:23:33)(良:1票) |
118. レッドクリフ Part I
子供の頃NHKの人形劇で見た内容は忘れてしまっています。予備知識なく観た事が幸いしたのか迫力ある歴史絵巻を楽しめて、終わった途端にこの「決着」を映画館で観たいと思いました。また、この面々がその時代、何に価値を置き、何を考え、どう行動したのか、詳細を原作で知りたくなりました。思わぬ余禄が付いていた本作。この嬉しさも映画鑑賞の醍醐味の一つです。 [DVD(吹替)] 7点(2009-08-02 02:20:02) |
119. 宣戦布告
《ネタバレ》 万が一にも起こりえないとは言い切れない内容が不気味です。潜入の目的と危機回避の経緯が明確に描かれていれば一層不気味さが増したでしょう。ところで、敵に遭遇して命のやり取りをするのに「発砲していいですか」「この武器使っていいですか」とお伺いを立てるシステムは事実ですか?酷過ぎますね。世の中の上から下まで長と名のつく者であれば肝心な時にこそ役に立たなければ軽蔑の対象となるだけです。5月27日の党首討論。野次で覆い尽くされた泥田のような場所で立ち回りを演じるお二人。これぞまさしく泥仕合。あの場におられる方々が、今、危機が現実になったとして役に立ってくれるのだろうかを考えると空恐ろしくなります。「わしゃ知らん」と遁走する外務大臣は映画の中だけであって頂きたいものです。 [DVD(邦画)] 7点(2009-06-01 03:25:58) |
120. 社葬
劇場で2度鑑賞した稀有な作品です。細かな部分は忘れていますが、大奥の女たちも裸足で逃げ出すであろう、男たちの群れを作って裏切り裏切られの権力争いのリアルさとコミカルさが印象深いです。佐藤浩市演ずる社長の息子に「あなたは父親のパンツでも洗いそうですね」と揶揄された緒形拳が「いけませんか、家族のためならパンツだってサルマタだって洗いますよ」と憤然とするシーンは忘れ難く「こんな人と結婚できればいいな」と思ったものでした・・・・・・。 [映画館(邦画)] 7点(2008-07-14 02:10:46) |