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花守湖さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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21.  マンマ・ミーア! 《ネタバレ》 
劇団四季のファンなので舞台版「マンマミーア」も観ています。映画は最初からそれほど期待していませんでした。美しい海辺の景色を眺めるだけでいいかな、と思っていました。しかしこれはひどい。あまりにもひどい。バカを通り越してスーパーバカです。わたしは今まで数々のミュージカル映画も観てきましたが、この映画はそのなかでもスーパー最低レベルだとおもいます。俳優たちのテンションが高いように思いますが、日本のくだらないバラエティー番組と同じノリです。中年女性の星であるメリルを主役に抜擢するのはよく分かります。しかしミュージカルというのは、当たり前のことですがやはり歌が基本なんです。歌という土台がしっかりしてなければミュージカルなんて、穴のあいた傘のように意味がないのです。ピアース・ブロスナンなんて頭の悪そうな男が出ていたときから多少嫌な予感がしていましたがあのやろう、オンチにもほどがある、めまいがしたぜ!歌が下手だと感じてしまったらもう何を見ても好意的に受け止めることができません。羞恥心のかけらもないオバサンたちが、裸の男たちに囲まれてぎゃあぎゃあ騒いでいるというマイナスの見方しかできなくなってしまいます。ちなみに「マンマミーア」は母と娘というテーマはあるにはあるのですが、お客層をオバサンに絞っていますので、裸の若い男がたくさんでてきて、おばさんたちはモテモテ状態になるという物語です。私はこういうのは嫌いではないほうですが今回は下品に見えて仕方ありませんでした。
[DVD(字幕)] 3点(2009-08-13 11:10:08)(良:1票)
22.  エディット・ピアフ~愛の讃歌~ 《ネタバレ》 
「歌」というのは単に歌うのがうまいから評価されるということはない。その反対に歌が下手だから評価されないということもありえない。「歌」はきわめて主観的な評価により決定されるものであり、つまり歌う人物が好きか嫌いかによって決まるといっても言い過ぎではありません。ピアフは歌がうまかった。しかし実はそんなことは歌手としての評価にあまり関係がないのです。ピアフがこれほどまでにフランスで愛された理由はひとえに彼女の人格に共感する人が多かったからなのです。それにしてもマリオン・コティヤールです。別映画に主演しているときの彼女はモデルのように身長が高い肉感的な女性だと思っていましたが、身長を調べてみるとやはり170センチ近くもある。ちなみに和田アキ子は174センチ。いずれにせよそんな大柄な女性が身長142センチの子すずめを演じきるというのはやはり尋常なことではない。俳優が役作りのために体重をコントロールする話はよく聞きますが、さすがに身長はむり。しかし彼女は小さく見えました。これが「演じる」ということです。ようやくマリオンが主演女優賞を獲得できた理由が理解できました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-03-06 23:13:00)(良:1票)
23.  エリザベス:ゴールデン・エイジ 《ネタバレ》 
気高くて孤独で痛々しい女王でした。1人の女として生きるか、それともお国のためにわが身を捧げて生きるか、そういう葛藤が分かりやすく描かれていたと思います。「政治家エリザベス」を支える側近たちにもスポットライトが当てられており、とくにジェフリーラッシュが演じるフランシスが面白いキャラでした。陰気で忠実な男です。彼は女王の側近として秘密警察のようなことをやっている男で、今でいうとCIAの長官のような存在でしょうか。この男が色々な場面で暗躍するが、なぜか女王からは好かれない。たとえばメアリーの処刑。あれは明らかに権力争いです。エリザベスにとってメアリーは手強い政敵でしたので、側近たちに促されて処刑を実行します。こういう政争を通して、エリザベスを支える取りまきたちの実力も垣間見ることができます。彼女はフランシスのような謀略家を毛嫌いしていたと思いますが、権力者であり続けるためには、魑魅魍魎然とした人間たちもそばに置いておく必要があったのだと思います。エリザベスが「光」ならばフランシスは「闇」。政治とはその両方があってはじめて機能する。女王は良くも悪くも百戦錬磨の政治家でした。それなのに彼女は恋愛に関してはまるで子供なのです。彼女の孤独感がかなり痛々しい。女王であるがゆえに気軽に相談できる相手もいないので、1人でクヨクヨしたり、みっともなく取り乱したりして痛い女を演じている。女王はたしかにスペインの無敵艦隊には勝ちました。しかしたった1人の侍女に完膚なきまでに負けたのでした。エリザベスの人間としての強さと弱さ、政治家としての光の部分と影の部分、そういう対極の部分を本当にうまく表現したいい映画だと思います。これぞ人間劇。ラストシーンは切ない。恋敵の侍女の産んだ赤ん坊に祝福を与えるシーンです。女性にとって何が幸せなのかは分からない。しかし悟りを開いたような彼女の清清しい表情に少し安堵する。歴史なんて関係ありません。そんな知識がなくても楽しめます。これは1人の女性の決意の物語。  
[DVD(字幕)] 10点(2009-02-25 19:17:14)(良:1票)
24.  スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師 《ネタバレ》 
ミュージカル映画なのになぜこんなに「歌」が軽んじられるのか理解に苦しむ。おそらく監督がティムバートンなので、最初からジョニーデップありきでつくられたジョニーデップのジョニーデップによるジョニーデップのためのプロモーションビデオなのだろう。何をさしおいても、彼の声の音量が絶対的に不足している。もっとおなかに力を入れて歌えないものなのだろうか?それともボソボソと歌うのも演出のうちなのか?正直に言わせてもらうと、ミュージカルを期待している観客にとって、ほぼ2時間近くも主役のレベルの低い歌を聴かされるのは耐えがたい。監督は世界観を作り上げることのみに没頭していたのは明白だ。その結果が歌の軽視につながったのかもしれないが、ミュージカル映画としては、あまりにもお粗末な出来だ。ジョニーデップよ、おまえの歌は酔っ払いのカラオケと同じだ。しかも最後に面倒をみてくれた女性を焼死させるバカがどこにいる?冗談じゃない。自分1人だけが全世界の不幸を背負ったようなあの態度、こういうナルシスト型のバカ男を見ていると本当に腹が立つ。世間では黄金コンビなどと言われている2人だが、監督が俳優にダメ出しができなくなったらおしまいだ。2人とも仲がいいのはよ~く分かった。じゃれあって作ったカラオケ映画など面白くなるはずもない。
[DVD(字幕)] 0点(2009-02-25 19:13:46)
25.  アース
人間が感じる孤独などは北極の前では笑い話にすぎません。人間は生きることに意味を求めたがる。自分の存在価値を必死に求めて悩んでどうなる?生きるということは、ただそれだけでも立派なことではないのか?この映画は自殺大国日本には必見です。自殺の本質とは、生きることが当然の権利だと思い込んできた傲慢な人間の反動です。対照的に水を求めるゾウたちの姿をみて命の躍動を感じずにはいられません。もし社会が悪いから自殺が増えていると本気で思っている人間がいるならば、今すぐシロクマのホラ穴にホームスティに行ってこい。死に急ぐ若者にいたっては白クマのエサになって貢献しろ。それが本当のリサイクル精神だ。これは生きる意味の根源を問いかけた名作だ。生きるのが難しい時代こそ、本来の生物ならば生きたいという気持ちは強くなり、生命は輝きを増す!それができない人間は何かを失っている。本能の欠如した動物だと言われても仕方ない。本当の「命」とは、劣悪な環境であるほど燃え上がる。本作品の映像がそれを物語っています。じつにすばらしい・・改めて命の素晴らしさを感じました。 
[DVD(字幕)] 8点(2008-07-16 00:02:40)(良:1票)
26.  28週後... 《ネタバレ》 
出だしはよかった。気持ちよさそうなふさふさした大草原で、パパとゾンビが追いかけっこ。ゾンビと大自然という神秘的なアンバランスさに衝撃を受けました。ところがパパが感染してパパゾンビになってからがひどい。パパゾンビが暗闇のなかで人を襲うシーンがありましたが光をピカピカさせながらカメラをグルグル振り回しやがる。死ぬかと思った。気絶しなかったのが不思議なくらいだ。ああいう映像は正気の沙汰とは思えない。自律神経が乱れてうつ病になったらどうする気だ?手ぶれ映像は増える傾向にあるが、そのうち映画館で事故が起きると前もって予言しておく。アネロンを飲むヒマすら与えてくれなかったことに憤りを覚える。特にアクション映画の手ぶれは、ドグマ映画における自然な手ぶれとはあきらかに違う。カクテルをシェイクするときのようにカメラをシャカシャカ振り回している。冗談じゃない。観客は地震を疑似体験したいわけではない、映画が観たいのだ。手ぶれなどクソ食らえである。それと子役の姉は美人だが顔の表情が冷たすぎて、弟に対する母性愛が感じられなかった。主役の姉弟が可愛くないから助かって欲しいという気持ちがわかない。むしろ姉弟は感染を拡大させた責任をとって切腹してほしいと思ったくらいです。このぶんじゃ続編はあるとおもう。続編は28ヵ月後か28年後に違いない。調子にのって280年後まで作ってしまいそうで怖い。280年後というと未来のSF型ゾンビ映画だ。宇宙ステーションにゾンビが大量発生し、宇宙遊泳しながら近づいてくるゾンビは怖いかもしれない。そうなればゾンビは歩くべきか、それとも走るべきか、というツマラナイ議論など吹き飛ぶと思う。ネタは尽きることはない。私は何だかんだ言ってもゾンビは好きだ。ゾンビバンザイ! 
[DVD(字幕)] 7点(2008-06-21 19:45:16)(笑:5票) (良:1票)
27.  28日後... 《ネタバレ》 
主人公は感染していませんがとても凶暴でした。兵士のめんたまのなかに指をいれてぐりぐりして絶命させています。もしゾンビが喋れるならば「やりすぎ!」と言うと思います。もしこれで主人公が感染したら恐ろしいゾンビになりそうです。ちなみに人間たちはゾンビに殺されてしまう恐怖よりも、集団から孤立している事実に怯えている。この映画の本質はゾンビとの戦いではなく、孤独との戦いだと思います。そして孤立している人間が他の人間と出会ったときの安堵感がひしひしと伝わってくるのが素晴らしい。主人公がハローと叫びながら、無人の荒野と化した街をさ迷い歩いているシーンがあり、そこから2人の男女の仲間と出会ったときなどは、観ているこちらのほうが思わず安堵してしまう。またマンションの最上階でがんばっている父娘がようやく仲間と出会えたときも、なにかとても嬉しい気持ちになれる。死ぬか生きるか?という問題よりも、いつ孤独から解放されるのか?ということに興味をもって最後まで観る事ができました。そういう意味でDVD版のラストシーンはとても満足できる。ヘルプではなくハローには大きな意味がある。主人公は常にハローと言ってきた。彼は強烈にコミニケーションを求めていたことが分かります。孤独からの脱出。これこそこのゾンビ映画の本質です。ラストシーンにカタルシスを得ることができました。孤独な世界観が素晴らしいゆえに、人と人とのふれあいの重要性を再認識させてくれます。  
[DVD(字幕)] 6点(2008-05-23 21:23:41)(良:2票)
28.  バイオハザードIII
これはひどい。監督の頭がすでにゾンビ化している。ゾンビよりむしろ監督にアリスの血清が必要かもしれない。 ただしアリスが強くなるのは大賛成です。今後もどんどんスキルアップしてもらいたい。沈黙シリーズにでてくるおじさんのように無敵になってください。
[DVD(字幕)] 4点(2008-04-28 23:08:03)(笑:1票)
29.  ブラックブック 《ネタバレ》 
ナチスがユダヤ人をしつこく追い回すという典型的でありきたりなヒューマンドラマはいっぱい観てきたので、もう観たくありませんでした。しかしみんなのシネマレビューの評価は嘘をつきませんでした。一番面白いのは主人公のユダヤ人であるエリスが死にそうで死なないところです。素晴らしい。「戦場のピアニスト」のユダヤ人の主人公もかなりしぶとい男でしたが、エリスはそれを上回るしぶとさだと思いました。特に圧巻だったのが船の上でユダヤ人が棒立ち状態で射撃の的にされて皆殺しにされるシーンでした。まわりのユダヤ人は次々に倒れていくのにエリスには弾は当たりません。いや当たっているのかもしれない。不死身なのかもしれない。人間じゃないのかもしれない。未来からやってきたターミネーターなのかもしれない。本当にびっくりしました。またエリスが体に注射されて殺されそうになったときも凄かったです。エリスの体が動かない、これは殺られた!と思いました。チョコ食って、少しは体が動くようになりました。でもこの状態では空でも飛んで逃げない限り助からないと思いました。そしたらやはり飛びました。窓から飛びました。思わず拍手しました。すべてにおいて完璧な女でした。シガニーウィーバーに変わって是非エイリアンシリーズの主役になってください。驚きの映画でした。エリスの生命力を賞賛したくなりました。人間ってすばらしい! 
[DVD(字幕)] 9点(2008-04-22 18:24:58)(笑:1票)
30.  スターダスト(2007)
むちゃくちゃ面白かったです。ちゃんと冒険をしてるし、魔女は魔法をバンバン使っているし、空賊たちの生活は活気に満ちあふれているし、すべてがほほえましい。なによりもB級路線を貫いたことを評価したいです。同じファンタジーのロード・オブ・ザ・リングはもちろん雲の上の存在ですが、あれは重苦しい戦いばかりが続きますし、人間ドラマも濃いので肩が凝ってしまう。 ようするに真面目すぎるのです。しかし本来ファンタジー映画というのは、もっと肩の力を抜いた適当さがあっても良いのでは??わざわざ人間描写を重厚にする必要もありません。ファンタジーとは何でしょうか? それは世界観です。現実では味わえない世界にどっぷりひたって、いやな現実や、しがらみだらけの人間関係を忘れさせてくれることです。そういう点では「スターダスト」は、まさしくファンタジーの本質を貫いたと思ってます。すごく単純で、すごくさわやかで、すごく笑えるし、非常に世界観がしっかりしているのです!なによりも子供さんが大喜びする映画でしょう!またロバート・デニーロの恐怖のキャプテン。久しぶりに大笑いしました。これはあえて言いませんが観てのお楽しみです。そしてクレアデーンズは人間の姿をした流れ星さんですね。この子が踊りを楽しんでいるときや、または好きな男性から抱きしめらたときは、体がぱあぁと輝きます。うれしいと体から光を放つ。これ・・最高です。流れ星は常に落ちる運命ですが、今回は恋に落ちちゃった、ということでしょうか。ミシェルファイファーの魔女役もはまり役です。この方の悪女ぶりはすっかり板についてきました。いつも心の底から悪役を楽しんでいらっしゃる。ついでに王位継承をもくろむ悪い王子たち。彼らは殺されたあとに、幽霊ギャラリーになる。本当のワルは誰もいないから、安心して観られます。それと壁の番人のじいちゃん、あんたも面白すぎる! 
[DVD(字幕)] 8点(2008-03-01 20:56:07)(良:2票)
31.  クィーン 《ネタバレ》 
一般的に王室というのは、理想的な家庭の模範として存在すべきだ、という暗黙のルールがあるのかもしれません。それだけにそこにギャップが生まれると非難の的になる。善の仮面をかぶったパパラッチはダイアナを追撃し、最後に抹殺した─。しかし一転して今度は亡くなったダイアナを持ち上げ、国民の怒りの対象を王室へと向かわせる。究極の偽善者とはどこの国でもマスコミなのです。このバッシング騒動によってクイーンの価値観は揺らぎ、彼女は「感情を抑圧することがずっと正しいことだと教えられてきた」という台詞を漏らす。つまりこの時期のエリザベス二世は、クイーンとして矜持を保ってきた「品格」すらも、冷淡だというレッテルを貼られ批判されたのでした。面白いのは、エディンバラというエリザベス二世の夫なる人物。いくら彼女が女王といえども、妻なのだから、夫の言動に少なからず影響を受けているのではないかと思いましたが全然そんなことがなかった。女王が寝ている寝室でおどける夫と、女王の命令に、うなだれて従う夫の対比が鮮明に印象に残ります。鹿と対面したエリザベスがその美しさに見惚れるシーンがあります。彼女が鹿に感じた感情は共感でした。夫のいる寝室ですら、妻として涙を見せられない女王が誰もいない水辺でようやく泣く事ができた。そのときにその鹿は現れたのです。しかし「孤独」の境地に共感したのではありません。鹿には気高さと威厳があった。彼女は鹿に孤高の影を感じて共感したのです。孤独と孤高は全然違います。彼女は妻であり、母親という肩書きも持つが、それよりもイギリスの女王として生きてきた。一切の「私」をすべて捨て去った人間でした。孤独になると分かっていながらも、あえて自分でその道を選んで進んできた─。エリザベス二世は孤高の人だったのです。このようにクイーンの本質を、言葉で説明するのではなく、一匹の美しく気高い鹿を見せることによって表現してしまう。まさに映画の持つ素晴らしさを充分生かした作品でした。 
[DVD(字幕)] 9点(2008-02-06 19:48:33)(良:2票)
32.  ラストキング・オブ・スコットランド 《ネタバレ》 
狂気をちらちらと見せながら、笑顔とジョークで本性を隠すアミン大統領。人が何かを怖いと感じるときは、怖いものが目の前に現れた瞬間ではなく、まだそれが見えないときではないでしょうか。想像力によって人は一番恐怖を感じる。ウィテカーの演技の巧さは、怖さを前面に出したものではなく、それを観客に暗示させるものでした。青年医師の視点からみたアミン大統領が描かれているおり、アミンを一人称にしなかったことで、この暴君の心の中は観客には分からない。それが一層不気味さを醸し出している。恐怖の演出がヒッチコックのように技巧的で秀逸でした。一方的にアミンが加害者で青年が被害者という図式にしているわけではなくて、青年をあえてモラルを持たない軽薄な白人の代表者として描くことで、勧善懲悪の色合いを暈し、客観性を取り入れている。「おまえたちにとってはゲームかもしれないが、おれたちにとってはリアルなんだ」というアミンの台詞が特に印象に残ります。この一言があったからこそ、アミンってこわかったね、で終わらない作品になっている。アフリカをつまみ食いしようとする白人たちと、アフリカの惨状がその台詞から炙り出されてくる。ウガンダの場合、日本の戦国時代のように下克上の世の中だから、機会があれば誰もが敵に報復しようと目論んでいる。憎しみが憎しみを生み、その連鎖は広がっていき、誰もが疑心暗鬼となっていく。そういう中でアミンは神経をすり減らし、モンスターへと変わっていったのでしょう。もしこの大統領がアフリカではなく、日本で生まれたならば、愛嬌のある気さくなおじさんとして人生を終えていたはずです。アミンという人間が特別な人間だったわけではなく、アフリカという大地が彼を生み出したのかもしれません。 
[DVD(字幕)] 8点(2008-02-02 10:51:46)(良:1票)
33.  エイリアンVS. プレデター 《ネタバレ》 
プレデター界の成人式は、思いのほか厳しいということが分かった。みなさん、プレデターを弱い、弱いと言うけど、ここに出てくるプレデターは、まだ少年や少女たちですよ。ピラミッドの試練を乗り越えてようやく大人と認められるわけだから弱くても仕方ないと思う。顔もよくみればあどけさが残っている・・気がする。シュワちゃんと戦ったプレデターもこの儀式に生き残った成人だったと思うと感慨深い。それに比べて成人式でいつも問題を起す日本の新成人のガキども・・・精神年齢が下がっているのに、無条件で全員を成人にするから、こういう事件ばかり起こるのだ。こういう新成人はプレデターと一緒にピラミッドに放り込めばいいと思う。生き残ったものだけを成人として認めれば良い。
[地上波(邦画)] 7点(2008-01-21 18:54:01)(笑:3票) (良:1票)
34.  ヴェラ・ドレイク 《ネタバレ》 
警察が家にやってきたときの、天国から地獄に突き落とされたようなヴェラばあさんの顔の表情がじつに痛快でした。蚊も殺せないような、ぶりっ子ばあさんが、無知であるがゆえに大罪をおかしました。けっきょく本人は最後まで罪にたいして無自覚だったのではないでしょうか。といっても私はヴェラが悪いとは思っていません。悪いのは盛りのついたオトコどもなんです。女性を性の道具としか見ていない厚顔無恥なオトコは全員加害者です。そしてすべての女性は被害者なのです。吐き気がするほどクソッタレのオトコ社会で生きていかなければいけない女性の立場はよく分かります。いつの時代も女性はオトコに虐げられている。だからこそ本来は戦わなくてはいけないのではありませんか。ヴェラの行動はバカなオトコの行動を容認しているようで赦しがたいのです。しかも自分がナイチンゲールのように人を救っていると自己満足しているのです。裁判シーンのヴェラの態度は歯がゆい。私が裁判官だったら、ばばあ早く喋れ、と罵ったでしょう。しくしく泣いているヴェラが、少女のような可憐さを装っているように見えて私は閉口してしまいました。こういう浅はかな女がいるからオトコが調子に乗るのだと思います。もしヴェラに本当に罪があるとするならば、それは破廉恥なオトコどもを図にのせた罪ではないでしょうか。どうせならば中絶させたオトコを脅迫して身包みをはがすような罪だったら私はヴェラを拍手喝采したでしょう。偽善者はいつの時代も醜いものです。戦わずして女たちのジハードは成立しません。
[DVD(字幕)] 7点(2007-11-15 19:46:04)(良:1票)
35.  ヘアスプレー(2007) 《ネタバレ》 
と、に、か、く、テンションが高いっ!驚くほど元気いっぱいのミュージカルだ。やはり踊りが素晴らしい。ミュージカルというと、歌の批評が多いですが、この映画のレビューを読んでも分かるように誰もそんなことにこだわっていない。そういう次元をはるかに超えている。この映画に出てくる奴らは全員やぶれかぶれなんです。何があっても、ええじゃないか、といってひたすら狂ったように踊りまくっているんです。これほど激しく動きのミュージカルは初体験です。鳥肌がたったシーンは、母と娘がお店から出てきたときに、なぜか大勢の通行人が道路で無我夢中で踊りまくっていたところ。そして母と娘も申し合わせたように一緒になって踊りだす・・この意味不明のサジ加減が最高です。このシーンを見ていると、小さな悩みでクヨクヨしているのが馬鹿らしくなってきて、もうどうでもいいや、という気分になってくる。ツマラナイ理屈なんてすべて吹っ飛ばしてくれるだけのパワーがこの作品には漲っている、それと人生って、なるようにしかならないんだな、という開き直った気持ちにもさせてくれます。悪のり風のドタバタ劇ですが、そこには黒人も白人もデブも関係なく、小難しいイデオロギーや偏った価値観にこだわらず、とにかく一緒になろう!という心地良い一体感が感じられます。心地良い混沌(カオス)でした。エンドロールが流れたときには嵐が通り過ぎたような感覚で茫然自失となりました。  
[映画館(字幕)] 10点(2007-10-27 13:20:23)(良:1票)
36.  リトル・ヴォイス 《ネタバレ》 
マイケルケインは、LVよりかあちゃんを漫才でスカウトしたほうが破産せずにすんだと思う。マイケル・ケインとかあちゃんのキスシーンがうざいほど繰り返されるのがめまいがするほど最高でした。スポットライトを浴びるLVを舞台の上で紹介していた男。ボクシングの試合で世界チャンピオンを紹介しているのかと思った。鳩小僧のユアンが鳩を外に出したあとに、ラッパを吹きだしたら完全にラピュタになっていたでしょう。 以上。
[DVD(字幕)] 7点(2007-09-17 18:12:20)
37.  Vフォー・ヴェンデッタ
V様が最高でした。最初はオペラ座のファントムのような感じのキャラクターだと思いましたが、思いのほか変態でした。フェチ心をくすぐりそうなキャラクターだし、半官びいきの日本人には好かれるタイプだと思います。N・ポートマンが唐突に坊主になったのには驚いた。あれはV様が坊主にしたのではなくてポートマンの希望だったと思う。「ワタクシは体当たりの演技をしてまーす、アカデミー賞をクダサーイ」というポートマンの心の叫びはしっかり受け止めました。
[ビデオ(吹替)] 5点(2007-05-19 22:56:17)(良:1票)
38.  トゥモロー・ワールド 《ネタバレ》 
生まれてくる赤ん坊の命と、あっけなく死んでいく人間の命の対比を意図的に見せようとしていました。しかし・・・命に軽いも重いもないやろ!たしかに生まれてくるということは素晴らしいですよ。しかし老人として生きつづけることも同じくらい素晴らしいじゃないか。あの老人が愛妻と愛犬を殺して自らも命を捨てて赤ん坊を守る様子はどう考えても尋常じゃありません。クレイジーです。この赤ん坊にかかわった人間たちがみんな蚊みたいに殺されていく。1つの命のためにここまで命を落とす人が出てくればそれゃどう考えても命の重さって人によって違うのかい?なんて思ってしまいますよ。若いほど命は尊いのか?冗談じゃない。べつに赤ん坊に恨みはないですが生まれてくる命を尊いものに見せようとして「命」に差をつけすぎなのです。クライブ・オーウェンは濃いので元々好きではありませんでしたが今回ばかりは彼に同情しましたよ。ヒロインは速攻に殺されるし、主役の彼ですら赤ん坊様の尊い命に比べれば虫けらのような命でした。彼が死んだ瞬間にトゥモロー号がやってきました。そのとき、注意して耳をすますと何ということでしょうか・・・鼻歌が聞えてくるのではありませんかぁぁ!母親は嬉しさのあまり、オーウェンの死体を前にして「ふん♪ふん♪」と上機嫌に鼻歌まじりで歌っていたのでした。これで赤ん坊様は助かりました。一件落着めでたしめでたし。 
[DVD(字幕)] 1点(2007-05-14 20:51:54)
39.  モーターサイクル・ダイアリーズ 《ネタバレ》 
「旅行もの」としても純粋に楽しめました。彼らの旅行はかなり無謀。それは猪突猛進的な旅行であり、若者特有の怖いもの知らずの行動であり、歳をとって過去を振り返れば「若気の至り」という言葉で笑ってすませることもできるような体験なのでしょう。少し呆れたのは何度もバイクで転ぶシーン。学習能力が足らないですね。彼らが旅行する道は、道とは言えないところばかりだったから、逆によかったのかもしれない。もし日本のかたいアスファルト道路であんなに転んでいたら即死です。無茶な運転ですが、あの様子からも、あふれ出るエネルギーをどうしていいか分からない若者らしさが出ていたようにおもいます。旅行中は、雪が降ってきたり、台風でテントが飛ばされたり、大雨が降ってきたり、灼熱の砂漠を歩いたりと、わざとらしいくらいに、ありとあらゆるシュチエーションが用意されていたのが笑えました。不安と期待が入り混じった本当の旅行の楽しさを味わうことができる映画だとおもいます。今の日本のように道路も整備されて、バスも電車も車も何でもあって、そのうえにカーナビまで揃っている現代では便利な旅行はできるでしょうが、便利であるがゆえに何か寂しい気もします。この映画をみて本当の旅行の楽しみを実感できました。  
[DVD(字幕)] 7点(2007-03-09 23:35:06)
40.  ユナイテッド93
この映画はアメリカの映画のなかでもやはりちょっと異色だと思う。最初から観客を泣かせて感動させようという意図が、まるでない。イスラム原理主義への怒りを煽る政治的な意図もない。ただあるがままに淡々と現実を踏襲している。 よく映画を観る人たちのなかで、「何が言いたいのか分からない、メッセージがない」と不満を口にする人がいますが、この映画は、そのメッセージ性を徹底的に廃し、主観を削ぎ落としてつくられている。観終えたあとに「だからなに?」と聞かれれば、「これが事実です」と答えるしかない。そういう映画です。 しかしそれでも、この映画はブッシュ政権の陰謀だとか、ユナイテッド93は、アメリカ政府によって撃墜された、という話が、まことしやかに噂されるほど、ヒステリックな批判がアメリカでは絶えない。ここまで賛否両論が巻き起こるのは、ひとえに、この映画こそ、9・11の核心に迫った作品だからだと思います。良作ではありますが、アメリカ人をもっとも動揺させる映画であることも確かでしょう。とにかく機内の様子の臨場感は圧倒的。ラースフォントリアーの、手ぶれカメラを思い出させる機内映像の揺れは、93便の乗客と同様に、観客にも恐怖と吐き気を引き起こさせる(苦笑) とくに私は揺れには弱いので大変気分が悪くなりました。観終えたときはかなり衰弱してしまいましたが、私は彼らと違って死んでいない。不謹慎かもしれませんが、「死」を意識したことで、よりいっそう生きていることに感謝したい気持ちになれました。 
[DVD(字幕)] 8点(2007-01-09 23:29:59)(良:1票)
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