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 > かたゆき さんの口コミ一覧
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1885
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  ウインド・リバー 《ネタバレ》 
アメリカ北部の寂れた荒野に拡がる先住民保留地、通称ウィンド・リバー。雪と静寂しかないようなこの辺鄙な地で長年ハンターとして生計を立てているコリーはある日、人里離れた山奥で半ば雪に埋もれかけていた若い女性の遺体を発見する。昨日の酷い吹雪の中、彼女はかなりの薄着でしかも靴も履かずに長い距離を歩いてきたらしく全身に重度の凍傷を負っていた。被害者の名は、ナタリー。偶然にも彼女はコリーの知り合いの先住民夫婦の子供だった。検死の結果、死因は肺出血と判明する。極度の冷気によって肺の細胞が破壊され、その出血により窒息死したというものだった。しかも亡くなる直前に彼女は複数の男たちによって暴行を受けていた。事件解決のために派遣された若きFBI捜査官ジェーンとともに調査に乗り出したコリーだったが、貧困と犯罪が蔓延するこの地で捜査は難航を極める。そして、コリーもまた二年前に起こったある事件によって心に深い傷を負っていたのだった…。雪深い田舎町で起こった若い女性の凄惨な凍死事件、本作はその捜査の過程で炙りだされるアメリカ社会の暗部を冷徹に見つめた社会派ミステリー・ドラマだ。主役である、心に静かな怒りと悲しみを抱え込んだハンター役を演じるのは人気俳優ジェレミー・レナ―。メガホンを執るのは、本作が監督デビュー作となる『ボーダーライン』の脚本を書いたテイラー・シェリダン。美しい雪景色の中で描かれる、この重厚で閉塞感に満ちた雰囲気と丁寧な演出力は見応え充分だった。ネイティブ・アメリカンや中央から取り残された地方社会といったアメリカの構造的な差別や貧困問題を背景とした脚本もよく練られており、その最底辺で常に犠牲となるのはより弱い立場の人々であるというメッセージも心を打たずにはいられない。このやり切れない物語の中で、主人公であるコリーの最後に取った行動は、法律の垣根を越えた人間性の発露として唯一の救いとなっている。とても重い物語ではあるが、充分見る価値のある社会派ドラマの秀作であった。
[DVD(字幕)] 8点(2019-04-21 02:35:14)
2.  ウルフ・オブ・ウォールストリート 《ネタバレ》 
貧しい母子家庭に育ったものの、持ち前のバイタリティと人を惹きつけるカリスマ性のみを武器に、金とハッタリと欲望だけがものを言う金融取引の世界でただひたすらのし上がってゆき、いつしかウォール街の狼と呼ばれるようになった男、ジョーダン・ベルフォート。だが、その私生活は酒とドラッグとセックスが渦巻く欲望の海にただひたすら溺れていくかのような破天荒なものだった――。栄光と挫折を味わった実在の金融マンがその半生を赤裸々に綴った自伝を元に、巨匠スコセッシが若き盟友ディカプリオと再びタッグを組んで描き出したエネルギッシュなサクセス・ストーリー。いやー、アメリカってホントに法治国家なんですか(笑)。映画が始まって、ただひたすら3時間、金と女とドラッグが乱れ飛ぶ乱痴気騒ぎが延々と繰り広げられて、もうお腹いっぱいっす!彼らに実際に騙されて資産を失った被害者とかがこれを観たら、もう怒りのあまり血管が切れちゃうかもね。それにしても、もう70を越えているはずのスコセッシ御大がこんなにも猥雑で下品で胡散臭くて、それでも生きるエネルギーに満ち溢れたつわもの共の宴を最後までテンションMAXに描き出すその衰えない手腕はやっぱり賞賛に値すると思います。かつて巨匠と呼ばれた監督たちが、最後はその晩節を汚すような作品を遺して逝ったことを思えば、彼のこの無尽蔵のバイタリティはホント凄いですね。そんなスコセッシの要求に、もはや名実共にハリウッドトップクラスの俳優であるディカプリオが見事な熱演でもって応えていて、最後まで充分見応えのある作品に仕上がっておりました。これまでのスコセッシ&ディカプリオコンビの作品の中でベストワークと言えるほどのクオリティを誇っていたと思います。それにしてもこのベルフォートって男はなんと愚かで馬鹿でイヤらしくて最低のゲス野郎なのに、どうしてこんなにも魅力的なのでしょう。この映画で彼の半生を辿ると、人間ってもっと馬鹿で愚かになってもいいんだと何故だか生きるエネルギーを貰えたように感じます。少なくとも、「情熱と努力と奉仕の精神でこんなにも会社を大きくしました。だから、みんなも希望を捨てずに頑張りましょう」という世の多くの会社社長たちの建前だらけの胡散臭い演説よりは彼の言葉の方が信じられるような気がします。…あれ、もしかして自分もいま、騙されかかってる?(笑)。
[DVD(字幕)] 8点(2014-10-30 06:48:13)(良:2票)
3.  ウォー・マシーン:戦争は話術だ! 《ネタバレ》 
2009年、対テロから始まったはずの戦争がいつしか目的を見失い、もはや泥沼化していたアフガニスタン。事態を打開するためにアメリカ政府が送り込んだのは、イラクでの極秘作戦を成功させたグレン・マクマーン陸軍大将だった。絶対的な自信と正義感に溢れる彼は、自らを信奉する部下たちとともに戦争を早期に終結させるためにあらゆる手を尽くすのだが……。実話を基に、アメリカの対テロ戦争の内幕を皮肉たっぷりに描いた政治ドラマ。正義感に燃え、必要とあれば本国政府との対立も辞さない男気溢れる陸軍大将を演じるのは人気俳優ブラッド・ピット、他に一癖も二癖もあるアフガニスタンのカルザイ大統領を名優ベン・キングズレーが怪演しております。ともすれば地味で退屈なお話になりそうな題材なのに、全編に渡ってシニカルな笑いを散りばめたことで最後までなかなか興味深く観ることが出来ました。テロ撲滅から始まった正義の戦争なのに、いつしかそれは文明の対立へと変貌を遂げ、いつまで経っても出口が見えない泥沼へと引きずり込まれたアメリカの実情を巧く突いている。特に、正義感から出発したはずの主人公の陸軍大将がいつしか、女性ジャーナリストの素朴な正論にうまく反論できなくなるシーンは象徴的。終始軽いノリで描きながら、けっこう深いテーマをも扱った作品に仕上がっていたんじゃないでしょうか。欲を言えば、もう少しブラックな笑いがあっても良かったんじゃないかな。コメディとしてはちょっと突き抜け方が足りない気がしなくもない。とはいえ、実際に戦場で戦う兵士と体面ばかり気にする政府、そのはざまで振り回される指揮官のジレンマをスラップスティックに描くことに成功している。うん、なかなか面白かった。7点!
[インターネット(字幕)] 7点(2020-07-01 00:18:13)
4.  ウルフマン(2010) 《ネタバレ》 
最新のCG技術を駆使して、超古典的な映画をリメイク。おどろおどろしい中世の雰囲気はなかなか味わい深かった。何よりデル・トロとホプキンスの濃ゆい演技合戦は見もの。そしてこんなCGなどなかった時代から狼男という題材を苦労して映像化してきた先人の映画人への深いリスペクトも感じられてナイス。
[DVD(字幕)] 7点(2013-03-29 14:19:34)
5.  ウェイティング・バーバリアンズ 帝国の黄昏 《ネタバレ》 
ここは、帝国の端っこに位置する小さな辺境の町。心優しい民政官の元、人々は貧しいながらもずっと平和に暮らしてきた。ここからそう遠くない場所にある未開の地には昔から遊牧民が住み、たまに住民との小競り合いも起きるが、それでもこの静かな生活はずっと続くと信じていた。そんなある日、帝国の中央政府からジョル大佐という名の警察官僚が派遣されてくる。大佐は唐突に、「蛮族が帝国の領土を狙って攻めてくるという噂がある」と民政官に告げるのだった――。その日から、誇り高き遊牧民たちを蛮族と決めつけるジョル大佐の厳しい弾圧の日々が始まる。次々と捕らえられては激しい拷問と容赦ない尋問を受ける遊牧民たち。それまで平和だった辺境の町は、瞬く間に血生臭い空気に支配されることに。単なる一公務員に過ぎない民政官は、帝国の強大な権力を後ろ盾にする大佐に逆らうことも出来ず、なすすべもなく見守ることしか出来なかった。そんな折、彼は捕らえられた遊牧民の中に両親を殺された挙句自らも両足首を折られ、さらには両目を潰された少女を見つける。あまりの不憫さに彼女を引き取ることを決意した民政官だったが……。ノーベル賞作家の著した小説を基に、そんな辺境の小さな町で繰り広げられる憎しみと暴力の連鎖を寓話的に描いたヒューマン・ドラマ。最近スランプ気味のジョニー・デップが冷酷無比な軍幹部を演じ新境地を拓いたということで今回鑑賞してみました。まあ彼の演技がいいかどうかはさておき、これがウィリー・ウォンカやキャプテン・ジャック・スパロウと同一人物とは到底思えないほど、全く違うイメージを作り出しているのは事実。ここはさすがカメレオン俳優と言った感じですね。変なサングラスをずっと掛けてるとこは相変わらずでしたけど(笑)。お話の方は、極端なまでに無駄を削ぎ落した寓話的ないわゆる不条理劇。それまで何も問題なかった平和な町の中で、権力がいかに敵を作り不毛な争いを生み出すかがよく分かる。結局国家が権力を維持するためには、共通の敵を作り出して国民の不満を外へと向けさせるのが一番手っ取り早いということですね。それが絵本のような分かりやすい物語の中に結実しておりました。また、主人公となる民政官も絶対的な正義というわけではなく、彼も人間的な弱さを抱えている小市民というのもなかなか深い。きっとこのようなことは今も世界中で繰り返されているのでしょう。ただ、後半から幾分か腰砕けちゃったのか、物語の結論がかなり尻切れトンボに終わってしまったのが残念でした。もっとこのテーマを深く掘り下げてほしかったところ。殺伐とした世界観や脚本は悪くなかっただけに、何とも惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2022-02-24 07:32:32)
6.  美しい絵の崩壊 《ネタバレ》 
そこは奇麗な碧い海が何処までも拡がる、風光明媚なオーストラリアのとある観光地。小さなころから共にこの地で育ったリルとロズは、お互いのことなら何でも知っている大の親友同士。結婚も出産も子育ても一緒に乗り越えてきた二人は、もはや夫以上に深く結びついている。そして、お互いの一人息子、イアンとトムも今やすっかり一人前の逞しい青年へと成長していた。そんなある日、彼女たちの関係に微妙な亀裂が入るのだった。なんとお互いの一人息子とほぼ同時期に肉体関係を持ってしまったのだ。「こんなこと、人としての倫理に背いている」――。許されざる事態に深く思い悩むリルとロズだったが、何度も身体を重ねるうちに彼女たちはいつしか深い愛情を芽生えさせてゆくのだった。それぞれの関係を認め合い、ずるずると深みに嵌まってゆく母親とその息子たち。微妙な均衡のうえに成り立っていた四人の関係は、二年後、新たな若い女性の登場で徐々に崩壊してゆく……。子供のころから知っている親友の一人息子との禁断の愛に溺れる二人の母親をじっとりと描いた愛憎劇。そんな許されざる愛に苦悩する母親役をそれぞれ演じるのは、実力派のベテラン女優ナオミ・ワッツとロビン・ライト。ノーベル文学賞を受賞した作家の小説を基にしたという本作、これがまぁなんともイヤーーーなお話でしたね。お互い親友同士の母親がこれまた親友同士のそれぞれの息子と一線を越えてしまうというだけでもイヤなのに、それがバレてしまうと今度はお互い公認で愛欲の海に溺れてゆくというのがまたなんとも不愉快……。母親と息子たちが、それぞれレズ&ゲイっぽいとこも不快指数を上げてきます。谷崎潤一郎の『卍』も真っ青な、なんというドロドロな四角関係(笑)。当然そんな関係がうまくゆくわけもなく、お互いの息子がそれぞれ若い娘に惹かれてゆくとこからは、今度は老いに怯える中年女性の嫉妬という新たな不快要素もぶち込んできます。さすがに後半は「もう分かったから勘弁してくれ!」って感じで観てました(笑)。まあここまで不愉快なお話を、美しい自然の風景と年を取ってもまだまだキレイな主演女優二人の魅力とで最後まで魅せきったところは素直に良かったと思うんですけどね。作品としてはそこまで悪くないんだろうけど、僕はもういいかな。ははは……。
[DVD(字幕)] 6点(2020-09-21 00:32:05)
7.  ヴェノム 《ネタバレ》 
宇宙から飛来した凶悪寄生生物ヴェノム、その宿主となってしまった男の闘いをダークに描くアメコミ・ヒーロー作品。設定だけはけっこう奇抜なのに内容は案外平凡なのですね、これ。CGを多用したその画のクオリティは相変わらず高く画的には充分観ていられますけど、中身の方はありがちかな。最後に何故かスパイダーマンのアニメが流れてましたけど、調べてみるとこれってその中のキャラクターの一人だったのですね。シリーズは一通り観ているはずなのに全然覚えてなかったですわ。まぁぼちぼちってとこでした。
[DVD(字幕)] 6点(2019-06-03 21:27:48)
8.  ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男 《ネタバレ》 
第二次世界大戦という激動の時代にイギリス首相としてヒトラーと戦ったウィンストン・チャーチル。彼の首相就任からイギリス軍の運命を決したダンケルクの戦いまでの数週間を濃密に描いた伝記映画。まるで本人にしか見えない特殊メイクを施しアカデミー賞の栄誉に輝いた辻一弘の匠の技もさることながら、同じくアカデミー賞を受けたゲイリー・オールドマンの演技も素晴らしかったですね。一時はイカレタ悪役ばかりを演じていたこの人もこんな熟練の演技が出来るようになったのですね(笑)。とはいえ内容の方は、ジョー・ライト監督らしい演出の冴えは各所に見られるものの、全体的に見れば幾分か物足りなさの残る作品でありました。事実を基にした作品なので仕方ないのかも知れませんが、もう少しテーマの掘り下げが欲しかったところ。好きな監督の作品だっただけに惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2019-04-05 13:17:29)
9.  ウォルト・ディズニーの約束 《ネタバレ》 
ディズニーの名作映画『メリー・ポピンズ』。その制作の舞台裏を、ウォルト・ディズニーと原作者であるトラヴァース夫人との確執をメインに描いたヒューマン・ドラマ。ディズニー社制作でありながら、ウォルト・ディズニーを必要以上に美化しておらず、また非常に丁寧に作られていて好感は持てるものの、『メリー・ポピンズ』にほとんど思い入れのない自分にはそこまで心に響かず。それでも嫌みなおばちゃんをのびのびと演じていたエマ・トンプソンはなかなかの嵌まり役でしたね。
[DVD(字幕)] 6点(2018-12-14 09:48:51)
10.  ヴェンジェンス 《ネタバレ》 
銃撃事件により相棒を亡くしたばかりの刑事ジョン・ドロモア。失意の中に生きていた彼はある日、夜の酒場でシングルマザーのティーナと出会う。奔放な見た目や言動とは違い、その優しい性格に意気投合したジョンは少しずつ癒されていくのだった。だが、そんな幸せな日々も長くは続かなかった――。独立記念日の夜、友人宅で飲んだ帰り道、ティーナは一緒に歩いていた12歳の娘ベシーとともに四人のチンピラたちに絡まれ船小屋へと連れ込まれてしまう。そして、娘の目の前でティーナは非道な男どもに抑え込まれ、死んでもおかしくないほどの暴行を受けるのだった。捜査を担当することになったジョンの尽力によりすぐに犯人は逮捕されたものの、家族に雇われた敏腕弁護士によってすぐに釈放されてしまう。あろうことか直後に始まった陪審員裁判の中でティーナは売春婦扱いされ、男どもは無罪放免になる可能性さえあった。ティーナは精神的に追い詰められ、塞ぎ込む娘のベシーには追い打ちをかけるように犯人からの嫌がらせが始まった。法律は役に立たない。娘からの決死の訴えを聞いたジョンは、自らの力で犯人どもに正義の鉄槌を下すことを決意する…。毎度おなじみニコラス・ケイジ主演で送る、そんな勧善懲悪リベンジ・アクション作品。まあベタベタな内容ながら、けっこう丁寧に作られていてそこそこ面白かったですね、これ。突っ込みどころは満載だし、絵に描いたような憎まれ演技してる悪役たちにもちょっと笑っちゃいそうにもなりましたけど。んでも娘役の女の子は健気に頑張っていたし、もういかにもな悪徳弁護士を演じたドン・ジョンソンもなかなかの嵌まり具合。肝心の復讐劇もそこまでやり過ぎにならず、ぎりぎりでリアリティを保っていたのも良かったかな。まあ頭空っぽにして観る分にはぼちぼち楽しめるんじゃないでしょうか。それにしてもニコラス・ケイジ、今も新作が2~3本レンタルビデオ屋さんの棚に並んでいたけど、ほんとにどんなけ自分を安売りするねん!って改めて思っちゃいます。もうここまで来たら自分も出来る限り観ていったろやんけ!って若干意地になってます(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2018-12-07 08:54:02)
11.  ウォークラフト 《ネタバレ》 
俺たちオークの故郷は滅びつつあり、生き残るためには新天地が必要だった――。ここは人間やドワーフ、エルフや魔法使いがそれぞれに同盟を結び、平和的に暮らす異世界。絶大な信頼を受ける国王の下、長い間平穏な暮らしを送ってきたこの世界にある日、邪悪な影が忍び寄る。森の奥深くに突如として開いた緑色の光を放つゲートから、凶悪なオークの一族が侵入してきたのだ。邪悪な魔術の使い手である呪術師に率いられたその軍勢は目の前にあった人間の村を瞬く間に焼き払うと、王国の中枢部を目指して突き進んでゆく。一方、いち早く危機を察知した王国の騎士団長であるローサーは落ちこぼれ魔法使いカドガーとともに、国の守護者として強大な力を有するメディヴという男の元を訪れる。彼に王国が存亡の危機に立たされていることを知らされたローサーは、オークの軍勢を撃退するために彼らのうちの反逆者と密約を交わすのだったが…。人気ファンタジーゲームを基に、SF界の俊英ダンカン・ジョーンズ監督が壮大なスケールで映像化したヒロイック・ファンタジー。細部にまで拘ったこの濃厚な世界観や、ふんだんにお金をかけただろう迫力の映像は充分評価に値すると思います。人間の何倍もの力を有するオーク族たちの巨大な身体なんて、今にも汗の匂いが漂ってきそうなほどリアル。こいつらが巨大な狼に跨り、群れを成して迫りくる様はなかなかの迫力でした。青と緑の鮮やかな光で表現された魔法シーンもジョーンズ監督のセンスが冴えていて、とても格好良かったですね。と、この造り込まれた世界観は確かに素晴らしかったのですが、肝心のお話の方は僕は首を傾げざるを得ませんでした。ゲームをやったことのある人には常識なのかもしれませんが、何の予備知識もない人間にとってはこの当然のように語られる邪悪な魔術〝フェル〟や、何故か国の守護者となっている謎の男の存在、オークの交雑種である捕虜となった女、魔法使いの聖地らしきキリン・トア…。この一見さんお断りな感じ、僕は正直途中から付いていくのがしんどくなりました。それに続編があるのか知りませんが、物語を投げっ放しのままで終わるこのラストもいかがなものか。せめて何らかのカタルシスを与えてほしかったです。
[DVD(字幕)] 6点(2017-06-29 00:08:11)
12.  ヴィジット 《ネタバレ》 
物語は一本のインタビュー映像から始まる。話しているのはとある中年女性。若かりし日のダメ男との大恋愛と家出、それから長年にわたる両親との断絶の日々を熱弁している。撮っているのは彼女の二人の子供たちだ。映画監督を夢見る思春期真っ只中の姉は何に対しても好奇心旺盛で、まだ小学生の生意気盛りの弟はラップが得意な典型的な現代っ子。これはその後、最近ようやく和解したそのおじいちゃんとおばあちゃんの家へと泊りがけで出かけた姉弟が撮ったビデオ映像を再編集したものである――。最初は一見優し気なその祖父母との生活にテンション上がりっぱなしの2人。だが、一日、二日と過ごしてゆくうちに次第に彼らの奇行が目につくようになる。夜になると裸で廊下を走り回ったり突然わけの分からないことを言い出すおばあちゃんに、お漏らししたオムツを溜め込んだりいきなり激昂して赤の他人に絡んでゆくおじいちゃん…。不安を感じながらも姉弟は残りの日々を過ごしていくのだったが――。いろんな意味でハリウッドの異端児と称されるM・ナイト・シャマランの最新作は、POVという手法を駆使して撮られたいかにも彼らしいサスペンス・スリラーでした。最初こそ、「シャマランが今さらPOV?」と疑問を感じながら観ていたんだけど、これがなかなかポイントを押さえた演出がばっちり決まっていて、途中からはけっこう見入っている自分がいました。うん、なかなか面白いじゃん、これ。見所はやはりこの主人公二人を招き入れる老夫婦のあり得ないほどの不気味さでしょう。徐々に狂気を露わにさせるポイントがすごく絶妙で、当初の優し気な印象とのギャップにじんわりと冷や汗が…。「シャイニング」以来、やはり裸のババアほど怖いものはないですね(笑)。クライマックスでのジジイのオムツを顔に付けられるシーンは、我が映画鑑賞史上最大の生理的に無理な気持ち悪さで思わず悲鳴!!ただ、POVという手法上仕方ないのかもしれませんが、少々脚本に強引さが目立つのが本作の難点。ここまで狂気を露わにした夫婦宅に最後まで泊まろうとするなんてこの姉弟、どんなけ義理堅いねん!それにお姉ちゃん、そのタイミングで地下室に行くなんて殺してくれって言ってるようなもんじゃん!!と、そこらへんに不満は残るものの、最近不調の目立つシャマランの中ではけっこうよく出来ていたんじゃないでしょーか。
[DVD(字幕)] 6点(2017-02-12 23:00:00)
13.  ヴィクトリア(2015) 《ネタバレ》 
真夜中を少し過ぎたばかりのベルリン。クラブで夜通し踊り続けてきた若い女性が家路を急いでいる。街の小さなカフェで働く彼女の名はヴィクトリア。まだスペインから越してきたばかりでドイツ語も分からない。そんな彼女に、会ったこともない4人の青年が声をかけてくる。見るからにガラの悪い不良たちだったが、異国の地で孤独に喘いでいたヴィクトリアは彼らと思わず意気投合するのだった。特に、リーダー格の青年ゾンネにヴィクトリアは強く惹かれていく。夜も更けたころ、ヴィクトリアは彼からあるお願いをされる。それは明らかに犯罪がらみだったが、ゾンネの為に彼女は思わず首を縦に振ってしまう。その選択が自らの運命を大きく変えてしまうことも知らずに――。孤独な女の子が経験する破滅的な一夜の冒険を、2時間20分全編ワンカットという画期的な手法で描いたクライム・サスペンス。ストーリー自体は極めてオーソドックスなものなのなのだが、やはり特筆すべきなのはその驚くべき撮影スタイルだろう。映画が始まってからエンドロールを迎えるまでの2時間強、本当に編集ナシのワンカットでひたすら続いてゆくのだ。例えばこれがCGでそう見えるように処理しているだとか、雰囲気のみのアートな感じでお茶を濁しているだとかならさして珍しくもない。だが本作がそれら凡作と一線を画しているのはちゃんと因果律のあるドラマがそこに成立しているからだ。ちゃんと考えられたストーリーがあり、それに応じて舞台も路上からビルの屋上、銀行にクラブ、多くの住民が暮らす公営住宅と目まぐるしく移ってゆく。登場するキャラクターも多岐にわたり、それぞれに個性が割り振られている。これは驚異的と言うほかない。よく途中で破綻しなかったものだ。最後の方のシーンを撮っている時など、監督も役者もスタッフもドキドキしっ放しだっただろう。ただ、肝心の内容の方なのだが、ワンカットに拘るあまりところどころに明らかな無理が生じてしまっているのが残念だった。特に主人公ヴィクトリアがいとも簡単に犯罪行為に手を染めてしまうばかりか、不良たちのボス・ゾンネにあそこまで付き従うのはさすがに説得力に欠ける。ここら辺をもう少し何とかしてほしかった。とはいえ、到底不可能と思われた手法に果敢に挑み、それを見事に成しえたこの監督の手腕は大したものだ。
[DVD(字幕)] 6点(2017-01-05 00:38:15)
14.  ウォーム・ボディーズ 《ネタバレ》 
俺、どうしちゃったんだ?顔色も悪いし、身体も調子よくないし、姿勢だって猫背になっちゃってるし。それに、俺はもっと人と繋がりたいのに、どうしてまともに接せられないんだろう?あ、そっか、俺って死んだんだ…。ここに居る連中も皆死んでしまってるんだ。あいつもそいつも皆よれよれ。そう、もう気付いていると思うけど、俺ゾンビなんだ。自己紹介したいところだけど、名前も思い出せないんだよ。Rから始まった気がするけど、忘れた――。謎の病原菌の蔓延により、人類の大半がゾンビと化した近未来。人間が主な主食のゾンビたちは、巨大な壁の中に閉じこもって自衛している人間たちが物資調達のためにたまに外に出てくることを涎を垂らしながら待っている。ゾンビと化して間もない青年“R”も、腹が減ったらそんな自衛コロニーまでとろとろ歩き〝食事〟にありつくのだった。ところがその日、いつものように人間たちを襲おうと仲間のゾンビたちと一緒に部屋へと雪崩れ込んだRだったが、そこで彼はその人と出会ってしまったのだった。そう、動かなくなって久しい彼の心臓がもう一度ドクンと脈打つほどの最高に可愛い女の子、ジュリーに…。ゾンビと化した青年ととってもキュートな人間の女の子のそんな禁断の愛をコミカルに描くヘンテコ・ラブストーリー。いやー、まさにアイデア一発勝負な映画でしたな~、これ。ゾンビ男と人間女の恋愛と聞いて、もっとキワモノ系の悪ノリ映画だと思って観始めたのですが、中身は意外にも『ロミオとジュリエット』的プラトニックラブストーリーでありました。最初こそ、主人公が人間の脳ミソ喰うシーンがあるものの、それ以降は「こいつ、ホントにゾンビなんかい!!」と突っ込みたくなるほどフツ~の青春ラブコメなんで、誰でも安心して観ていられると思います。って、これって主人公がゾンビという特異な設定を取り除いたら、後には大して面白くない青春ラブコメしか残らないんじゃ?という疑問が最後まで拭いきれないんですけどね(笑)。個人的には、もっと挑戦的なネタ――たとえばゾンビが人間の女の子と思わずセックスしてみたら、思わずテンション上がって彼女の肉を文字通り食べちゃった!!みたいな(笑)――が欲しかったけど、それは好みの問題。主人公の恋が世界を救うという脚本もそこそこ練られていたし、ゾンビと骸骨と人間の三つ巴の戦いが繰り広げられるクライマックスもけっこう盛り上がったし、ベタではあるけれどぼちぼち面白かったんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 6点(2015-08-21 19:25:06)(良:1票)
15.  ウォールフラワー 《ネタバレ》 
なあ、みんな、聞いてくれ。今日はチャーリーに乾杯しようと思う。理由はいい。君に乾杯したいんだ、新しい友人に。君はいつも壁際でみんなを観察して見守る。そう、“ウォールフラワー(壁の花)”だ――。地味で人付き合いが苦手な大人しい青年、チャーリー。仲の良かった親友を自殺でなくし、精神的に不安定だった彼は、新しく入学した高校でもみんなから無視される孤独な日々を過ごしていた。ところがある日、チャーリーは自由奔放に生きる兄妹パトリックとサムに出会うのだった。兄であるパトリックは面倒見のいいゲイ、妹のサムはよからぬ噂が付き纏うもののその心には芯の強い純粋さを隠し持っている魅力的な女の子。社会のはみ出し者を自認する彼らやその仲間たちと共に過ごしていくうちに、チャーリーはその硬い石の花のようだった心を、少しずつ開花させてゆく…。アメリカでベストセラーとなった青春小説を基に、原作者自身がメガホンを取って瑞々しく描き出す青春ラブ・ストーリー。美しい映像やセンス溢れる音楽、そして主人公を優しく導いていく魅力的なキャラクターとで、こういう鬱屈した想いを心に抱えた青年の成長物語をスタイリッシュに描いた作品ってけっこう僕の好みなんだけど、うーん、確かに頑張っているのは分かるのだけど、映画製作に関してはずぶの素人に過ぎない原作者自身が監督を務めたのはちょっと無理があったのでは。原作となった小説は読んでいないのでなんとも言えないのですが、ちょっと映画としてはエピソードを盛り込みすぎて何を一番メインに描きたかったのかがいまいち分かり辛いという印象を僕は持ってしまいました。主人公チャーリーを取り巻く仲間たちとのエピソードと、最後に明かされる彼のトラウマ克服の物語がいまいち上手く絡み合っていないような気がします。それに、肝心の主人公を表す“ウォールフラワー”という比喩も残念ながら僕は最後までピンとこなかったです。ここはやっぱり青春映画の名手であるラッセ・ハルストレムやガス・ヴァン・サントとかに任せた方が良かったような…。とはいえ、主役を演じた俳優陣のナチュラルな演技は充分見応えあったし(特にエマ・ワトソンのコケティッシュな魅力は、『ギルバート・グレイプ』のころのジュリエット・ルイスを髣髴させました)、デビッド・ボウイの名曲「ヒーローズ」の扱いも良かったしで、普通に青春映画としてけっこう頑張っていたと思います。うん、一見の価値はあるよん。
[DVD(字幕)] 6点(2015-06-05 00:18:49)(良:1票)
16.  ウルヴァリン:SAMURAI 《ネタバレ》 
昔から僕はこの「X-MEN」シリーズとは相性がよろしくなくて、確か一作目だけは観たと思うのだけど個人的に「うーん…」て感じだったので、以来このシリーズは全く観てこなかったのだけど、今回は日本が舞台、しかも監督は「17歳のカルテ」や「アイデンティティー」という良質のエンタメ作品を数多く制作してきたジェームズ・マンゴールドということで、ちょっと興味を惹かれてこの度鑑賞してみました。というわけで僕が「X-MEN」シリーズにこれっぽっちの思い入れもなく観始めたことが功を奏したのか、けっこう面白かったっすよ、これ。取り敢えず、ウルヴァリンさんは怒ると手の甲から鉄爪が出てきてすぐに傷が治っちゃう不死身のむさ苦しい髭面のおっさんてだけでなく、過去に奥さん(?)を殺しちゃった悲惨な過去を持つ哀しいおっさんでもあったのですね。そんな哀愁漂う彼が若い女と日本の観光地をウレシハズカシ巡りながら、その先々で暴れまくるアクションシーンの数々はなかなか楽しめました。まあ、真面目に突っ込み出したら怒りのあまり鼻血が出そうなほど、次々と出てくるおかしな日本描写はご愛嬌だけどさ。「どうだ、このイレズミ!怖いだろ~、俺たち恐ろしいヤクザなんだぜ!」と、わざわざ裸になって会長の娘を追いかけるお馬鹿なヤクザさんたちが一番面白かったかな~。ラブホの火星探検部屋は、逆に狙い過ぎてスベッてたけどね(笑)。それに新幹線をあんなにズタボロにしちゃったウルヴァリンを簡単に途中下車させちゃうJRってどんなけ甘々やねーん!と、まあそこらへんに目を瞑れば、その新幹線での白熱のバトルとか、中2病全開の赤毛の女忍者とか、真田広之のダークサイドに堕ちちゃったサムライっぷりとか、僕はけっこう楽しめたっす。
[DVD(字幕)] 6点(2014-06-10 00:04:50)
17.  ウィッシュ・ルーム 《ネタバレ》 
そこはどんな願いも叶う部屋――。売れない画家の夫を支えながら、翻訳ライターとして働く妻ケイト。夢を求めて頑張ってはきたのだがそれでも夫婦の収入はずっと不安定で、今もぎりぎりの生活を強いられていた。少しでも支出を減らそうと、二人は郊外に佇む古い一軒家を購入し、そこに引っ越してくる。都会のしがらみを全て捨てて、夫と夫婦水入らずの生活を満喫するケイト。そんなある日、二人は新居で壁紙に隠された謎の部屋を発見するのだった。不審に思い、その謎めいた部屋を調べた夫は、その後驚きの事実をケイトに告げる。なんとその部屋の中では欲しいと願ったものが、一瞬の停電の後に必ず現れるというのだ。ゴッホやダビンチの名画、飲みきれないほどの高級ワイン、そして一生遊んで暮らせるだけの大量の現金……。部屋の力で夢のような生活を手に入れたケイトは、やがてずっと諦めていたある願いを口にすることに。それは、二人の赤ちゃん。だが、ケイトはまだ知らなかった。この部屋から得られた全てのものは、家の外へと持ち出すとすぐさま灰になってしまうことを――。なんでも願いが叶う部屋を手に入れた若い夫婦が迷い込む、そんな悪夢のような世界を描いたスリラー。文字通り、ただそれだけのお話でしたね、これ。星新一のショートショートか笑うセールスマン(古い!)の1エピソードを無理やり90分の映画に引き延ばしたような感じです。なんかこれ、あまりにも捻りがなさすぎじゃありせん?これじゃ脚本の第一稿をそのまま映像化したようなもんで、普通の脚本家ならここからさらにストーリーを練ってゆくもんでしょう。例えば、この夫婦のことを怪しんだ知人が家にやってきたり、部屋を守るクリーチャーみたいなんを登場させてみたりとか。最後まであまりにも想定通りに進む展開に正直、あくびが止まんなかったです。まあ映像的には若干センスを感じたんで、+1点しときましょう!
[DVD(字幕)] 5点(2022-01-25 05:47:30)
18.  ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷 《ネタバレ》 
使いやすい自動小銃で人気を博し、一代で財を成したウィンチェスター社。だが、創業者であるウィリアム・ウィンチェスターは莫大な財産と51%の株を遺し、この世を去ってしまう。そればかりか一人娘であるアニーも亡くなり、遺産を相続したのは夫人であるサラ・ウィンチェスターのみだった。深い絶望の中で、夫人は怪しげな霊媒師に縋りつき、サンノゼに広大な屋敷を購入することに。以来彼女はその霊媒師に言われるがまま、この館を増築し続けるのだった。最初は8部屋から出発した館も20年経った今では7階建ての巨大建造物、まさに迷路としか言いようのない不気味な幽霊屋敷へと変貌を遂げ、夫人はその増改築を繰り返す館の中で孤独に暮らし続けている――。サンフランシスコで落ちぶれた精神科医として暮らしていたプライス医師の元に、そんな夫人の精神鑑定をしてくれという依頼が舞い込んだのもそんなころだった。トラブルを恐れた重役会が夫人から経営権を取り戻したいという本音が透けて見えるその依頼を受け、プライス医師はその巨大な迷路のような屋敷へと訪れるのだったが…。アメリカに実在する有名な幽霊屋敷を舞台にそんな悪夢のような恐怖を描いたゴシック・ホラー。スタイリッシュな映像と独自の世界観で最近めきめきと頭角を現しているスピエリッグ兄弟の新作ということで今回鑑賞してみました。細部にまで拘ったであろう重厚で美しい映像は相変わらず見応え抜群。このイカレタ?老婦人の頭の中を再現するために、ひたすら増改築を繰り返してきた幽霊屋敷という舞台の不気味さを余すことなく伝えられていたと思います。夜中であろうとお構いなしに聞こえてくるトンカチやのこぎりの音、何処に繋がっているのか分からない無数のドア、ひたすら同じところをぐるぐると廻らされる階段、夜中の12時に決まって鳴らされる鐘の音…、いやーこんな屋敷になんか死んでも泊まりたくない(笑)。ただ、それに対して肝心のストーリーの方は正直「?」でした。それぞれに闇を抱えた登場人物への掘り下げが巧く機能しておらず、クライマックスへの盛り上がりに繋がっていません。特に主人公の過去のトラウマである死んだ恋人のエピソードなど、果たして意味があったのかどうか。ヘレン・ミレン演じる夫人ももっとぶっ壊れた不気味なキャラでもよかったような気がします。映像や世界観は良かっただけに、惜しい。
[DVD(字幕)] 5点(2019-04-08 23:48:13)
19.  ウォーリアー 《ネタバレ》 
総合格闘技の世界で互いに確執を抱えた兄弟がそれぞれ命を削ってまで戦い抜く姿を描いたスポーツ群像ドラマ。見所は、トム・ハーディやニック・ノルティをはじめとする男くさい役者陣の文字通り血沸き肉躍る熱い演技のぶつかり合いでしょう。天才肌の弟と不器用ながらも家族のために必死になって戦い抜く兄貴、そして過去に色々と問題を抱えたしまった父親…。ベタながらも最後まで熱いドラマが展開されていきます。ただ難点は、いくらなんでもエピソードを詰め込みすぎなところでしょうか。例えば兄貴。難病を抱えた娘の治療費がかさんで家を手放さざるをえなくなる。何とか借金を返すために身一つで昔なじみのジム経営者の元を訪れ格闘技の世界に挑むのだけど、そのために教師の職をなくしてしまう。ぎりぎりまで追い詰められながらもトレーニングを重ね、やがて世界最高峰の大会への切符を手にする。かつての教え子や上司も次第に勝ち進んでゆく彼に少しずつエールを送りはじめ、そして、最後まで反対していた妻も…って、これだけで映画一本いけますやん(笑)。例えば弟。イラクからの帰還兵である彼は、常に謎めいた存在で何か心に闇を抱えていることを窺わせる。でもその天才的な格闘技のセンスでもって大会を勝ち進んでゆき、世間の注目を集めるように。すると彼の戦場での過去が明らかにされ、実は仲間の命を救った英雄であることが判明する。入場曲を持たない彼のために自主的に集まってアメリカ国歌を歌う海兵隊員たち。だが、決勝進出を決めた直後、さらに衝撃の事実が明らかとなるのだった…って、こっちもこれだけで映画一本いけますやん(笑)。そして彼らの父親。かつては子供想いのよき父だったのに酒が原因で身を持ち崩し妻に暴力を振るって今や何もかもを失ってしまった。せめて孫と穏やかな時間を過ごしたいと決死の覚悟で禁酒しているのだが、彼の息子たちは決して父の過去を許しはしない。そんな彼にまたもや酒の誘惑が…って、これも映画一本いけますやん(笑)。さらには弟にスパーリングでボコボコにされリベンジを誓うヤツやら今や伝説となったロシアのチャンピオンやら、いろいろ出てきて後半はもう何が何だか分かりません。もっと軸となるお話に焦点を絞って、無駄なエピソードを削って、もっとスリムに出来たんじゃないでしょうか。観客に楽しんでもらいたいという監督の有り余る熱意だけは伝わってきたので残念でなりません。
[DVD(字幕)] 5点(2017-03-07 22:08:29)(良:1票)
20.  ヴィオレッタ 《ネタバレ》 
子供のころ、実の母親にヌード写真を撮られることを強要され、さらにはそれをアート写真集として世間一般に販売されてしまった少女、ヴィオレッタ。そんな彼女が大人となり、そのころの忌まわしき体験を基に自伝的物語として製作したのが本作である。主役を演じた少女が当時10歳でありながら相当な美少女であり、なおかつかなり大胆な衣装を着てかなり挑発的なポーズをとっているということでも話題を呼んだ作品でもある。正直そっち系の嗜好を自覚している自分としては、たまたまビデオ屋さんに並んでいた本作のその怪しい魅惑に満ちたパッケージを発見し、「こ、こんな作品があったとは……。不覚」とすぐさまレンタルし今回鑑賞してみた。結論から言うと、映画としての出来は大したものではない。むしろ、完全なる失敗作と呼んでいいほどの酷い内容だった。あまりにも拙い脚本、全く繋がりというものを考えていない場当たり的な編集、センスというものを一切感じさせない凡庸な映像、そして作品の肝と言ってもいいはずなのにとことんダサい主人公たちの衣装や撮影現場のセット…。映画としての基礎がまるでなっていない、完全なる駄作である。だが、しかし!この作品を毎年何十、何百と大量に創られてはあぶくのように消えていくあまたの駄作たちの海に沈めて忘れ去るには惜しい魅力がただ一つだけある。それは、主役を演じたアナマリア・ヴァルトロメイの類まれなる美少女性である。すっと通った鼻梁にふっくらとした唇、透き通るような美しい肌に大人になりかけた少女だけが持つまるで妖精のような未成熟な身体つき、そして何よりも男心を貫くように見つめてくるその純粋な瞳……。脳と何処かがスパークしそうなほどの魅力に満ちた完璧なる逸材であった。素晴らしいというほかない。これで、映画としての出来が良ければと考えると本当に惜しい作品であった。
[DVD(字幕)] 5点(2016-08-15 23:00:19)
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