1. ディクテーター 身元不明でニューヨーク
《ネタバレ》 毎度ブッ飛んだキャラクターで笑わせてくれるサシャ・バロン・コーエンですが、彼の作品の中では今のところ一番面白いと感じた作品でした。過去作の「ボラット」や「ブルーノ」は有名人や一般人にドッキリを仕掛けていく半ドキュメンタリー的な内容なのですが、今回の「ディクテーター」は完全に劇映画としてストーリーがキッチリとある為、単純に面白い。ではどこが面白かったかと言うとそれは前述の通り「独裁者アラジーン」のキャラクターに尽きます。生まれた時から独裁者の地位を約束され、民主主義・資本主義大反対、処刑大好き、ついでにバイセクシャルでセックスも大好きという完全に悪役としか言いようもない男がなんと主人公。側近の裏切りによって祖国ワディヤ共和国が独裁政治を止め民主国家に生まれ変わることを目撃し、悲壮なBGMをバックに放水車に向かって「独裁万歳!」と叫ぶ場面なんて最高。もの凄く主人公が可哀そうに見えるように演出されていますが、どう考えても主人公の主張に賛同できないから笑うしかありません。最後の主張も実に良い。結局ワディヤ共和国の民主化は世界中の石油業者が金儲けをするために過ぎず、ワディヤ国民のことなんてちっとも考えられていなかった。そこでアラジーンは演説で「独裁は最高だ!なんせ国民の金を1%の人間に集めることだって簡単だからな」と言う。コレはつまり「お前ら資本主義だって金持ち1%に富を集中しているじゃねーか、お前らがやってることも独裁だ!」ってコトですね。これは世界中のデモに発展した"ウォール街を占拠せよ運動"そのものです。最後に痛烈に資本主義の暴走を揶揄している点が素晴らしいなと思います。そしてアラジーンはオッパイも無いし体臭もキツイ男の子みたいな(アンナ・ファリスごめんね)女と結婚する。民主主義は一部の民衆が金を荒稼ぎするシステムを作るものじゃない。好きな物がどれだけ他人から見て無価値でもそれを好きと言えるシステムが真の民主主義。だから相手が好きだったらオッパイなくても、体臭キツくても、ユダヤ人でも別に良いぜ!と独裁者であるアラジーンが最も民主主義的だったのには不覚にも感動を覚えてしまいました。エンドロールで流れる曲は「Aladeen Motherfuckers」。Motherfuckerには最低と最高という意味がある。アラジーンは最低だけど最高なキャラクターだ。「ラララララ~、アラジーン・マザファッカ~♪」 [映画館(字幕)] 9点(2012-09-21 00:37:52)(良:1票) |
2. 天空の城ラピュタ
《ネタバレ》 何度見ても面白いです。脚本、キャスト、映画のテンポ、どれをとっても完璧と思いました。宮崎が描く冒険モノはホントにハラハラできて楽しいですね。飛行艇のデザインも凝っていてすごく好感が持てました。 日本が世界に誇れるアニメだと思います。 [地上波(邦画)] 9点(2008-08-09 01:48:26) |
3. 天国と地獄
《ネタバレ》 黒澤明のフィルモグラフィーの中でも娯楽性ではトップクラスの作品でしょう。話の筋自体は良くある(というかこの映画をキッカケに増えたんでしょうが)誘拐モノなのですが、善玉であるべき主人公・権藤も人間的に汚い部分を持っているし、最終的には会社を追われてしまうというシビアな展開を入れている辺りが凡庸な作品とは違う点ですね。汚い人間の欲望を会社の重役たちに演じさせている辺りも黒澤イズムを感じます。多くの人が仰っているように後半からは映画のテンションが非常に下がってしまう。リアルな捜査現場の描写をしたかったからなんでしょうが、個々の刑事が全く本筋とは関係のないような報告を延々と続けたりするシーンはやや冗長に感じてしまいました。 [DVD(邦画)] 8点(2012-02-12 20:51:35) |
4. ディア・ドクター
《ネタバレ》 監督の出演者の持ち味を最大限に生かす演出に終始唸らされました。伊野の持つ、おおらかさ、優しさ、そして少し似非な感じが釣瓶と絶妙に合っていたのは流石としか言いようがありません。他の作品だと只の大根役者に見えるのに、この映画では非常に演技派に見える。素晴らしいキャスティングだと思います。 映画全体の出来も良く出来ており、邦画界もまだまだ捨てた物では無い事を再確認させてくれました。ラストで伊野の持つ、誰よりも優しい想いが伝わってくる瞬間が心地良い。 [映画館(邦画)] 8点(2009-09-04 21:44:03) |
5. テッド2
《ネタバレ》 前作に引き続きお下劣ギャグがこれでもかと入っています。また映画ネタも多く、特に『ジュラシック・パーク』のパロディーは演出等も含めて非常に良く出来ていて笑えました。また終盤のコミコンも、映画ネタを盛り込むにはもってこいの舞台なので、色んなコスプレのキャラクターが暴れまわる様はまあ面白かったです。 但し、前作にも増して即物的ギャグに徹してしまっている気はしました。前作はテッドの無茶苦茶な行動がギャグとして機能していましたが、本作では既にテッドの人となりを知ってしまっているので、キャラクターの説明にもなっていないギャグが矢継ぎ早に詰め込まれている感じでしたね。個人的にはストーリーをちゃんと補強するタイプのギャグのほうが好きです。 あと物語の肝となる「テッドが人間であるか否か」を問う法廷劇が割とあっさりと終わってしまうのは残念でした。終盤でモーガン・フリーマン演じる人権派弁護士が簡単にテッドが人間であることを証明してしまうのもどうなのかと。もう少しヒロインの弁護士として仕事の成長も描いて良かったんじゃないでしょうか。 [映画館(字幕)] 7点(2015-08-28 17:36:03)(良:2票) |
6. 天才スピヴェット
《ネタバレ》 ジャン=ピエール・ジュネの美的感覚が只管に心地よい作品でした。大陸横断で見せる大自然の風景の美しさ、田舎ののどかな風景の美しさ、その後に出てくるゴミゴミしたシカゴの大都市すらも美しく見えるから不思議。 後半にちょっとだけテレビ局の傲慢さも描かれていて、それも面白かったです。150年生まれるのが遅かったとスピヴェットに指摘されたお父さんが、あのムカつくインタビュワーにパンチをくれてやった瞬間はスカッとしました。ラストも家族それぞれがあるべき型に収まって良かったですね。 [映画館(字幕)] 7点(2015-01-13 20:25:15) |
7. デーヴ
《ネタバレ》 脚本のゲイリー・ロスと監督のアイヴァン・ライトマン。両者ともに大変丁寧な映画の作り手ですので、その安定感はさすがの一言。逆に尖ったところが余り感じられないのがやや残念ですが、誰にでも進められる作品になっていると思います。 丁寧なコメディ演出にサラッと説教臭くならない程度に政治的メッセージを込める上品さがとても良い。ボディ・ガードを演じるヴィング・レイムスの「君のためなら死ねる」というセリフに全てが凝縮されている。理想の政治家をコミカルに描いた良作。 [DVD(字幕)] 7点(2013-10-05 13:58:06) |
8. テッド
《ネタバレ》 世界的なパペットアニメーション作家J・シュヴァンクマイエルは自伝で「人形とは子どもと大人の世界の境界線である」と述べています。シュヴァンクマイエルが言うには、子どもは人形を使って自分の世界を形成し、大人になる時に人形(自分の世界)を殺して大人の理不尽で不条理で自分のルールが適応されない世界に足を踏み入れるのだといいます。この映画でも人形(というかヌイグルミ)は大人になるための一種の障害として描かれているのが面白いなあと。どんなに仲が良くて親友でもいつかは決別しなければ大人になれないという話しは、「スーパーバッド 童貞ウォーズ」に良く似ていますが、そんな話を非常に寓話的に描いている。 そんな感じで物語の根幹はしっかりしているのですが、物語の中盤でテッドがそれを声に出して全て説明してしまったのは少し残念でした。どうせなら画の力で伝えて欲しかったな。 80年代を代表する底抜けバカSF映画「フラッシュゴードン」、傑作SF映画「エイリアン2」絡みのネタもオタク心をくすぐるような内容で終始楽しかったです。 ただ所謂時事ネタも沢山盛り込まれており、こういう類の映画は実際にアメリカに住んでいないと100%楽しめないと思うので、少し減点しました。結構分からないネタも多かった。 [映画館(字幕)] 7点(2013-01-22 22:31:10)(良:1票) |
9. 鉄男 TETSUO
とんでもないビザール・ムービー。綺麗なモノは歪めてしまい、おぞましいモノは滑稽にしてしまう監督の演出が個人的に好き。後半のストップモーションはちょっとやり過ぎな気も。 [ビデオ(邦画)] 7点(2010-10-10 12:07:09) |
10. テキサス・チェーンソー ビギニング
《ネタバレ》 オリジナルの「悪魔のいけにえ」とは違った演出が多く、ホラーのリメイクとして大いに楽しめました。チェーンソーでの惨殺を隠すことなく見せた事、安易なハッピーエンドにしなかった事、ヒューイット一家のキャラクターが良く出来ていた事、等が個人的に良かったと思います。特に偽ホイト保安官は良いですねー。彼こそがキング・オブ・キチガイでしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2010-10-03 16:16:58)(良:1票) |
11. 天使にラブ・ソングを・・・
《ネタバレ》 ただ踊って終わる映画では無く、ドタバタのコメディも混ざっていて面白いです。 [地上波(吹替)] 7点(2008-08-12 00:48:22) |
12. ディープ・ブルー(2003)
映像美、そしてそれに乗っかるベルリン・フィルの音楽が終始素晴らしかったです。 深海魚の映像はほとんど見たことが無かったので、これまでグロテスクな生き物としか認識していなかったので、衝撃的でした。 最後にチョロっと地球温暖化へのメッセージを込めるのも子供の教育に良かったと思いました。 [映画館(字幕)] 7点(2008-08-05 14:39:44) |
13. デビルズ・ノット
《ネタバレ》 実際の事件を基にしたノンフィクションなのですが、それが足かせになっていたかなと思います。確かにアメリカではデリケートな事件、安易な脚色は出来なかったでしょうし、するべきでは無いのかも知れませんが、ちょっと今回の映画では単純に平板で面白くない。名優コリン・ファースを起用していますが、元々イギリス俳優なのでアメリカの私立探偵という設定にも少し違和感を感じますし、何より余り魅力的なアクティングは見られなかった。リース・ウィザースプーンも田舎訛りで話す姿は上手いと思いますが、それ以上の魅力は残念ながら感じられなかったです。 [映画館(字幕)] 6点(2015-08-04 06:56:43) |
14. ティム・バートンのコープスブライド
《ネタバレ》 高い技術のパペット・アニメーションが魅力ではあるけれど、如何せんストーリーの展開がベタ過ぎ。次の展開が容易に想像出来てしまうのは問題だと思います。しかしそれを意識したのか、ストーリーの展開が早く、上映時間も短くなっていたのは良いですね。 ここからは私のティム・バートンへの愚痴になるのですが、彼を投影させた様なヘナヘナな主人公が、殆ど無条件に二人の美女から愛される展開は個人的に好きになれませんでした。こいつ序盤なんてピアノ弾けるだけじゃん。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2010-04-13 13:30:44) |
15. デス・プルーフ in グラインドハウス
《ネタバレ》 ホンッとに下らない映画。でもその下らなさが凄く面白いと感じるのはタランティーノに毒されて来てるんでしょうか 笑。カート・ラッセルの前半のサイコキラーの一面と後半のヘタレっ振りが最高です。 [DVD(吹替)] 6点(2008-10-21 18:18:25) |
16. テープ
《ネタバレ》 「舞台は一つの部屋のみ、登場人物は三人だけ」という余りにも限られた条件で、あれだけ観客を飽きさせないのは普通に関心しました。もしかしたら飽きる人もいるかもしれませんが。話は男女の三角関係の縺れというありきたりな物です。もうちょっとシリアスな話にすれば緊張感もより生まれて面白かったのかも。 [地上波(字幕)] 6点(2008-10-02 09:51:51) |
17. デトロイト・メタル・シティ
最近の漫画の映画化作品にしては結構出来た方だと思います。兎に角、松山ケンイチと松雪泰子のキャラのなり切りっ振りが凄い。不満点を挙げるとすれば、映倫に年齢制限掛けられてもいいからもっと下ネタ満載にして欲しかったのと、最後のキレイなまとめ方はやめて欲しかったくらいですかね。まあこれは映画としては仕方の無い点なんでしょうけど。 [映画館(邦画)] 6点(2008-09-21 09:35:11) |
18. デッドコースター
前作と殆ど変わらない作り。ホラー性はまだ前作の方が強かったかも。そこら辺は見る人の好みによって評価が変わりそうですね。 あと女優さんの顔のレベルがかなり高かったんですが、そこのこだわりはなんだったんでしょうか(笑) [地上波(吹替)] 6点(2008-08-24 17:00:21)(良:1票) |
19. ディープ・ブルー(1999)
《ネタバレ》 サミュエル・L・ジャクソンが物語半ばで食い殺されるのには申し訳ないが笑ってしまいました。主役級の役者を殺し、最後にはヒロインまで殺しちゃう。でもコックは生き残るっていう何だか凄い映画。 撮影のミスが多かったですけど、単純に楽しめたので概ね良かったです。 [地上波(吹替)] 6点(2008-08-05 14:43:37)(良:1票) |
20. デイ・アフター・トゥモロー
突っ込みどころが満載なのは、この際エメリッヒだからいいんですが、災害の中で起こる人間ドラマがちょっとチープかと。CGによる災害のシーンは迫力があってよかったです。 [映画館(字幕)] 6点(2008-07-31 10:31:56) |